検索

検索

×閉じる
トップページ  >  政策・審議会等  >  パブリックコメント  >  「債権譲渡登記令及び債権譲渡登記規則の一部改正案」に関する意見募集の実施結果について(報告)

「債権譲渡登記令及び債権譲渡登記規則の一部改正案」に関する意見募集の実施結果について(報告)

第1 意見数

14件 (8団体 個人6名)

第2 意見の概要

※寄せられた意見の中には,改正内容に直接関係のない意見,個別の事案に関する質問,運用に対する要望,規定の表現の仕方のみに関する意見,単に「賛成」とのみする意見等もあったが,ここでは,改正案の実質的な内容について疑問を提起し,又は修正を提案する意見のうちの主なものの要旨のみを取り上げている。

一  債権譲渡登記令の一部改正について

1  第8条第3号及び第4号の「特別の事由があることを証する書面」の具体例を例示すべきである。
2  第15条第1号・第2号について,所有権留保売買の目的物たる動産がさらに譲渡され,当該譲渡について動産譲渡登記がされた場合における留保所有権者を想定して「譲渡に係る動産につき権利を主張しうる者」を加えるべきである。
3  第15条第1号・第2号について,「譲渡に係る動産を取得しようとする者」,担保権等を取得しようとする者を加えるべきである。
4  第16条第4項第3号の譲渡人等の使用人であることを証する書面は限定列挙すべきである。

二  債権譲渡登記規則の一部改正について

1  第7条に関し,概要記録事項証明書の交付請求が新商号又は新本店所在地を表示して行われた場合であっても,その交付が得られるための適宜の措置を講じられたい。
2  第8条第1項第1号イの「動産の種類」をどのように分類するのか明確にすべきである。
3  第8条第1項第1号ロから「型式」は削除すべきである。
4  第8条第1項第1号ロの「その他の同種類の他の物と識別するための必要な特質」の具体例を明示すべきある。
5  第8条第1項第1号ロに掲げる事由に限定せずに,占有者の認識,経緯・経過といった事実も含め特定の仕方は当事者に委ねるべきである。
6  第8条第1項第2号イについて,複数の寄託者から同種の貨物の寄託を受ける場合を念頭に置くと,「動産の種類」では,十分に特定することができない。
7  第8条第1項第2号ロの「動産の保管場所の所在地」では,動産を十分に特定することができないので,保管場所の名称・事業所名を追加すべきである。
8  第8条第1項第2号ロについて,製造番号がない物件(机,椅子等)や製造番号があっても数が多く番号情報の収集が非合理的な物件の場合には,個別動産として登記制度を利用することができない。
9  第8条第1項第2号について,「動産の分類に役立つ特質」「その他」等を加えるべきである。
1 0 第8条第1項について,占有代理人が譲受人から引渡請求を受けた際に,動産譲渡登記がされた譲渡に係る動産と寄託物との対応関係を認識できる情報を登記事項とすべきである。
1 1 第9条第1項第2号から「債権の発生の時における債権者」を削り,同項第3号中「債権の発生原因」とあるのを「債権の発生原因又は取得原因」とし,同項第5号中「債権の発生年月日」とあるのを「債権の発生年月日又は取得年月日」とすべきである。
1 2 第9条第1項第7号として,「その他債権の特定に必要な事項として申請されたもの」とする規定を新設すべきである。
1 3 第12条第1項第2号の「動産の個数」の数え方を明らかにすべきである。

第 3 意見についての考え方

 寄せられた意見は,今回の債権譲渡登記令及び債権譲渡登記規則の一部改正に際して参考にしたが,第2で取り上げた意見に対する考え方の要旨は,次のとおりである。
 一1の意見については,「特別の事由があることを証する書面」として,返済期間が10年を超える契約書等が考えられるが,具体的なケースに応じて千差万別であるから,条文上具体例を例示することは相当でないと考えられる。
 一2の意見については,当該意見における留保所有権者は,動産の譲渡が対抗要件を具備しているか否かによって自己の権利義務に影響がある者とはいえず,「利害関係を有する者」には当たらないことから,「譲渡に係る動産につき権利を主張しうる者」を加えることは相当でないと考えられる。
 一3の意見については,「譲渡に係る動産を取得しようとする者」,担保権等を取得しようとする者は,譲渡に係る動産又はこれを目的とする担保権についての権利義務関係の当事者となった者とはいえず,「利害関係を有する者」には当たらないことから,これを加えることは相当でないと考えられる。
 一4の意見については,雇用形態の多様化に伴い,使用人であることを証する書面も今後様々なものが生じることが予想されることから,限定列挙することは相当でないと考えられる。
 二1の意見については,第7条は,まさに,新商号又は新本店所在地を表示して概要記録事項証明書の交付申請が行われた場合であっても,交付が行われるようにした規定であるが,その趣旨を一層明確にするため,原案を修正することとした。
 二2の意見については,「動産の種類」は,動産によって千差万別であるから,これを明確にすることは困難であり,かつ,相当でないと考えられる。
 二3の意見を受けて,原案を修正することとした。
 二4の意見については,「その他の同種類の他の物と識別するための必要な特質」は,個別の動産によって千差万別であり,個々の譲渡契約において事案に応じた適切な特定がされていると考えられるため,これを定型化することは困難であり,かつ,相当でないと考えられる。
 二5の意見については,動産譲渡登記が第三者対抗要件としての法律効果を有することからみて,譲渡の目的物の特定を当事者の主観を含めた任意の事項に委ねることは相当でないと考えられる。
 二6の意見については,寄託者から同種の貨物の寄託を受けた場合に,寄託者ごとに動産を特定して譲渡するには,当該動産に一定の指標を付する等の明認方法を施して譲渡契約を締結することが,他の動産との混同を防ぐためにも有用であり,その場合には,譲渡契約における特定の方法に応じて「○○製品のうち□□の明認方法を施したもの」を有益事項(第12条第2項)として登記することができることとしている。
 二7の意見については,地番や住居表示の所在地以外の保管場所や事業所の名称,更には,ある倉庫内の明認方法を施した特定の区域等について有益事項として登記することができることとしている。
 二8の意見については,製造番号がない物件等でも,譲渡契約においては客観的に譲渡の対象を特定するのが通常であり,机に明認方法を施す等の方法が考えられるところ,そのような譲渡契約における特定の方法について有益事項として登記することができることとしている。
 二9の意見については,「動産の分類に役立つ特質」等はすべての動産に該当するものではないので必要事項とはせず,有益事項として登記することができることとしている。
 二10の意見については,動産の譲受人が占有代理人に対して引渡請求をするには,当該動産を特定して請求する必要があるところ,そのためには,譲渡契約において,個別動産であれば「記号」,「番号」等により特定し,集合動産であれば種類及び場所(同一場所にある同種動産の一部に限定するときは,一定の明認方法を含む。)により特定し,いずれの場合も,第三者が譲渡の対象である動産を識別することができるようにする必要がある。規則案は,個々の譲渡契約の内容に応じ,このように特定された動産を登記することを前提としたものであるので,それ以上に,常に記号又は符号を必要的記載事項とする必要はないと考える。
 二11の意見については,譲渡人の「債権の取得原因」では,債務者が自己の債務に係る債権が譲渡されているのかどうかを判断できず,債権の特定として不十分であることから,相当でないと考えられる。
 二12の意見については,「その他債権の特定に必要な事項」は,「債権を特定するために有益な事項」として登記される(12条第2項,16条1項2号)ことから,規定を新設する必要はないと考えられる。
 二13の意見については,登記申請に手数料の納付を要しない動産譲渡登記においては「動産の個数」は不要であることから削除することとした。なお,規則第8条第2項の連続番号については,1つの集合動産について1つの番号を付すものとしている。