法務大臣閣議後記者会見の概要

令和2年10月2日(金)

 今朝の閣議において,法務省案件として,主意書に対する答弁書が7件ありました。
 続いて私から1件御報告がございます。
 法務省における新型コロナウイルス感染症の感染状況の「見える化」について申し上げます。
 昨日10月1日から,全国の法務省職員及び法務省施設の被収容者の新型コロナウイルス感染症の感染状況を「見える化」する取組を開始いたしました。
 法務省ホームページに感染状況を掲載し,原則として毎週1回,情報を更新するとともに,私から皆様に対し,感染状況を御報告いたします。これにより,国民の皆様がより一層安心して法務行政にアクセスしていただけることを期待しております。
 今週,9月28日の月曜日以降につきましては,職員の感染判明が1件ございました。名古屋刑務所の職員であり,詳細につきましては,既に関係部署から公表したとおりでございます。
 なお,被収容者の感染判明はございませんでした。
 今後とも積極的に情報発信してまいりたいと思います。
 これが法務省ホームページでありますが,ここにある「法務省関連のコロナウイルスの感染状況」というところをクリックしていただきますと,PDFの形でグラフ化したものが出てくるという状況です。この状況を毎週1回定期的に公表していくという趣旨ですので,よろしくお願いいたします。

令和3年度予算概算要求重点事項に関する質疑について

【記者】
 先日,法務省が来年度予算の概算要求を発表しましたが,特に重点を置いているところについて教えてください。

【大臣】
 まず,令和3年度予算の概算要求では,法務省の官署・施設における新型コロナウイルス感染症対策に万全を期した上で,ウィズ・コロナ,アフター・コロナの時代における「新たな日常」として,テレワーク等を定着させるとともに,法務行政の利便性向上,利用者の負担軽減などの観点から,重点事項として,感染症拡大に対応するための法務行政の体制強化,及び「新たな日常」に対応するための法務行政におけるデジタル・ガバメントの推進を掲げております。
 具体的に申し上げますと,感染症対策や医療体制の充実強化を含む矯正施設等の環境整備の推進,行政手続のオンライン化及び行政機関間の情報連携の推進,こうしたことに要する費用を要求している状況でございます。
 また,不当な差別や偏見等によって人権が傷つけられた方々など,様々な困難を抱える方々への取組を推進し,また,満期釈放者に対する「息の長い」処遇を強化するための重点事項といたしまして,包摂的な社会の実現に向けた人権擁護活動及び再犯防止対策の充実強化を掲げ,具体的には,感染症に関連する差別やインターネット上の人権侵害等の解消に向けた人権擁護活動の強化に関する費用などを要求しているところでございます。
 また,多文化共生社会の定着や法務行政の国際化等による,経済再生の加速化に向けた取組につきましては,更に推進していきたいという観点から,重点事項といたしまして,活力ある日本経済の実現のための法的基盤の強化を掲げております。
 具体的に申し上げますと,所有者不明土地問題への対応及び地図整備体制の強化,ウィズ・コロナにおける出入国在留管理体制の強化及び外国人材の円滑かつ適正な受入れの促進,京都コングレスのレガシーの着実な実施を含む戦略的司法外交及び国際協力の推進に関する費用などを要求しております。
 さらに,国民生活の安全・安心の実現という法務省の使命を果たすという目的で,重点事項といたしまして,新たな世界秩序の下での良好な治安確保のための取組の充実強化を掲げ,具体的には,経済安全保障体制及びテロ発生の未然防止体制の充実強化に関する費用などを要求しているところです。
 令和3年度予算の概算要求では,これらの重点事項を含む各種施策を実現するため,一般会計といたしまして総額8,363億円,東日本大震災復興特別会計といたしまして総額3億円を要求しております。
 法務省の使命であります国民生活の安全・安心の基盤を支えるため,必要な予算と定員確保に努めてまいりたいと思っております。

日本学術会議会員の任命に関する質疑について

【記者】
 日本学術会議が新会員の候補として推薦した人の一部が,この度任命されませんでした。その受け止めと,学問の自由を侵害するのではないかという指摘もありますが,御認識をお聞かせください。

【大臣】
 まず,御質問にあります日本学術会議の会員につきましては,内閣総理大臣が任命をすることとされております。私の所管外ということでございまして,お答えについては差し控えさせていただきたいと思います。後半の御指摘でございますが,この件につきましては,官房長官が記者会見でお答えをするということになっておりますので,これも含めて私からの発言は差し控えさせていただきたいと思います。

入管法改正に関する質疑について

【記者】
 先週の記者会見で,入管法の改正について,大臣は2014年の「難民認定に関する専門部会」や,今年7月の「収容・送還に関する専門部会」の報告書に基づいて,様々な意見を踏まえて法改正を検討すると御発言されていました。
 「収容・送還に関する専門部会」の報告書に対して,7月3日の日弁連の会長声明を始め,全国各地の弁護士会や市民団体から,その内容に反対する意見や会長声明が相次いで出されています。いずれも複数回の難民申請を抑制して,送還停止効に例外規定を設けたり,帰国できない事情があって強制送還を拒む非正規滞在者に刑事罰を科したり,あるいは仮放免の運用を厳格化する方向での入管法改正に反対する意見,現行では99%以上の難民申請が却下されるわけですが,そういった審査体制の見直しや,それから近年減少する一方で,極めて不透明な運用基準の在留特別許可制度の法整備の必要性,あるいは入管収容期間の上限設定や司法審査などの導入を求めている意見ばかりです。
 こういう状況の中で,菅政権におかれましては,多文化共生社会の推進や法務行政の信頼回復を掲げていらっしゃるわけですが,今回の入管法改正をどのような方向で進めるのか,国際人権基準に則した受入体制の改善なのか,あるいは難民申請者や日本に生活基盤を持つ非正規滞在者を排除する方向での入管法改正なのか,大臣の基本的な考えをお聞かせください。

【大臣】
 冒頭引用されました日弁連の会長声明等でございますが,これにつきまして様々な御意見があるということについては,承知をしているところでございます。
 出入国管理行政につきましては,退去強制令書の発付処分を受けた外国人による送還の忌避,これに伴う収容長期化の問題が生じているということに対して,「収容・送還に関する専門部会」におきまして,十分な御検討をいただき,今年の7月に提言をいただいたところでございます。
 この提言の内容につきましては,在留が認められない外国人を迅速に本国に送還するということのみならず,在留を認めるべき外国人を適切に保護する,直ちに送還することができないときに収容の長期化を防止するための措置を講じる,そして収容中の適正な処遇を実施するというコンセプトの下,様々な方策を組み合わせ,パッケージで問題の解決を図ろうというものであると承知をしております。
 現在,出入国在留管理庁におきまして,その他の様々な御指摘も踏まえながら,入管法改正につきまして必要な検討を行っている状況でございます。
 私といたしましても,この提言を踏まえた法改正,また運用の改善につきましては,出入国在留管理庁に必要な指示を行いながら,しっかりと対応してまいりたいと考えております。
 コロナ禍ではございますが,出入国在留管理の在り方については,様々な形で,先ほど御指摘のあった多文化共生社会の実現という大きな方向性の中で,しっかりと取り組むべきことであると思っておりますので,出入国在留管理庁に必要な指示を行いながら,私も積極的に関わっていきたいと思っております。

【記者】
 関連ですが,9月22日の新聞報道で,仮放免の厳格化や,「準難民」といったような形で記事が出たわけですが,これは法務省の定例の記者へのレクチャーとかでも公表しないまま,新聞で掲載されたものなのか,あるいは自民党の法務部会でこういった議論が既に進んでいるのか,その辺の進捗状況について,もし大臣が御存じのことがあれば教えてください。

【大臣】
 今,提言を踏まえ,法改正も含めて検討している状況であるということをしっかりと申し上げたいと思っております。どの時点でどういう形でということについては,プロセスとしてはいろいろあろうかと思いますが,最終的にお出しするものにつきまして,検討している状況でございます。
(以上)