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古川法務大臣年頭所感

令和4年1月7日(金)

 謹んで新春の御挨拶を申し上げます。
 皆様には,それぞれ輝かしい新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。新たな年が,皆様,そして,御家族の皆様方にとって,幸せに満ちたものになりますようお祈りいたします。
 さて,年頭にあたり,法務大臣としての抱負を3点申し述べたいと思います。
 まず,1点目は,「チャンスを逃さない」という意気込みです。
 目の前にチャンスボールが飛んできたら,迷わず思い切りバットを振る,その意気込みで仕事に臨みたいと思っています。
 例えば,技能実習や特定技能,これらは,ちょうど今見直しの時期を迎えています。ならば,チャンスです。この際,大胆に見直し作業に取り組みたいと思います。技能実習制度には,本音と建前のいびつな使い分けがあるとの御意見・御指摘にも,正面から向き合わなければなりません。
 私たちは今,数十年に一度の大きなチャンスを迎えている,その自覚の下に,果敢に見直しを進めるのです。その際,大切なのは,制度の良いところも悪いところも率直に認める素直さ,潔さであり,改めるべきは改めるという誠実さです。
 口で言うほど簡単でないことは分かっています。けれども,もし私たちが,真に素直さ・潔さ・誠実さを持てるのならば,私たちにもう怖いものはありません。私たちは必ずチャンスをものにできるでしょう。
 チャンスは逃さない。私はこの1年,皆さんとともに,思い切りバットを振りたいと思っています。
 2点目は「世の中の懐深くに飛び込む気概」を持ちたいものです。
 昨年,私は,津少年鑑別所を視察しました。そこで,鑑別所の持つ科学的知見やノウハウによって,確実に少なからぬ少年や御家族が救われていることを改めて知りました。
 更に印象的だったのは,「もっと早くここに来ていたら」という当事者の切実なお声がとにかく多かったことです。
 つまり,鑑別所,法務少年支援センターには,暗闇でもがく人々に希望の光を届ける力があるということです。ならば,もう一押しの努力,つまり,こちらから出掛けていって,より多くの人を救えないだろうか。
 更生保護や犯罪被害者保護の取組もしかりです。法テラスや予防司法支援,あるいは,所有者不明土地問題や面会交流の支援も,またしかりです。四谷のFRESCは,アウトリーチの姿勢が高い評価を受けているのだと思います。
 人は助け合って生きるもの,手を差し伸べて,また差し伸べられて生きるものです。世の中の懐深くに飛び込んでいってこそ,法務行政はより強く,より優しく,より多くの人に光を届けることができる。そんな気概を持って,皆さんと仕事をしたいと思っています。
 3点目は,「歴史の本流」を意識するということです。歴史は,とうとうと流れる一本の大河のようなものです。その流れは,時として激流となり,渦を巻き,逆流することもあるでしょう。
 しかし,流れには必ず本流があります。人類社会は,一歩ずつですが,人の尊厳をより重んずる方向へ歩みを進めてまいりました。
 そして,いつの日か,共生,すなわち,全ての人が,お互いを認め合い,尊重し合いながら助け合って生きる。この共生社会の理想の追求こそ,歴史の本流であると,私にはそう思われてなりません。
 共生という理念を法務行政に引き寄せて考えるならば,例えば,外国人相手であれば,出入国在留管理が問われます。犯罪でつまずき立ち直ろうとする人には更生保護,再犯防止,新たな自由刑などで向き合うことになりますし,差別,偏見には人権擁護で立ち向かうことになります。
 また,国際的な視点から,司法外交や難民認定,法制度整備支援,経済安全保障もより重要になるでしょう。
 激動するこの見通しのきかない難しい時代にあって,法務・司法行政はどうあるべきか。私たちは,常に歴史の本流を意識しながら,まっすぐに取り組んでいきたい。そう思います。
 最後に,全国5万5,000人の法務省職員とその御家族の皆様の御健勝を心から御祈念申し上げ,私の年頭の挨拶といたします。
 今年も1年,どうぞよろしくお願い申し上げます。
(以上)