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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年9月2日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 続いて、私から2件報告申し上げます。
 先般、8月18日に、「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議の第1回会合を開催しました。その構成メンバーは、人権・法的支援の関係から法務省、犯罪被害相談の関係から警察庁、消費者トラブルの関係から消費者庁、孤独・孤立の関係から内閣官房ということでしたが、その後、8月22日に私から総理に報告し、後で申し上げます相談機関の関係も含めて、より幅広く悩みを持っている方々を救済できるような体制をしっかりと取ってほしいという御指示がありました。そして、関係省庁間で連携を取って検討したところ、本会議の構成メンバーを昨日決定させていただきました。行政相談の観点から総務省、在外邦人の保護・支援の観点から外務省、子どものいじめへの対応の観点から文部科学省、児童虐待・生活困窮・心の健康の観点から厚生労働省の関係部局の担当者にも加わっていただくこととなりました。
 また、これから行います相談集中強化期間中も、相談窓口のある省庁におかれましては、一緒に入っていただくことになります。
 そして、今申し上げました「旧統一教会」問題・相談集中強化期間について申し上げます。
 来週9月5日(月)から30日(金)までの約1か月間を、「『旧統一教会』問題・相談集中強化期間」として、関係省庁が連携して相談対応を行うこととしました。
 関係省庁が連携し、フリーダイヤルによる「合同電話相談窓口」を設置します。「旧統一教会」問題につき、悩みを抱えている全国各地の方々から幅広く相談を受け付け、即時連携できる態勢を取ってまいります。
 集中強化期間中、既存の相談窓口である警察相談専用電話、消費者ホットライン、みんなの人権110番、法テラス・サポートダイヤル、行政相談「きくみみ」においても、相互の連携を強化して相談対応を行います。
 また、この取組に関しては、日本弁護士連合会などの関係団体の御協力も得られるものと聞いています。
 関係省庁においては、これまでも関連する問題について、それぞれの立場で相談対応等に取り組んでまいりましたが、それぞれの知見を共有し、一体となって取り組むことによって、お困りの方々の相談により適切にお応えできるもの、そして、救済につなげることができるものと考えています。
 報道関係者の皆様も、この取組の周知・広報・情報提供に御協力をお願いしたいと思います。
 2件目は、区分所有法制の見直しに関する法制審議会への諮問についてです。
 区分所有法制は、典型的には分譲マンションに関するものです。分譲マンション等は、建物が老朽化、区分所有者が高齢化し、こういったことを背景として、区分所有者、つまり分譲所有者の不明、あるいは空き家化、そういったものが進行しています。ですから、分譲マンション等、区分所有建物を管理する、例えば大規模修繕、再生、建て替えをするには、今、合意形成の中で相当なハードルがあります。
 それを円滑化しなければいけない課題もありますし、また、非常に災害が多く、被災したそのような建物について再生を図ることは、喫緊の課題です。ですから、政府の基本方針においても、ストックをいかに有効に活用するかという観点は、まさに経済の活性化の観点でもあるわけですが、今年度中できるだけ速やかに論点整理を行っていただきたい、そして法制審議会への諮問などの措置を講ずることが決められたところです。
 これを受け、私どもも相当急ピッチで、法務省の担当者も参加します「区分所有法制研究会」において検討を行ってまいりました。おおむね論点が整理されたものと考えています。ただ、先ほど申し上げましたように、管理と再生の円滑化という要請の反面、それぞれの財産権をどう保護していくかというような要請もあります。ですから、この結論を得るためには、幅広い議論が必要であるということで、急ピッチで作業を行い、できるだけ早く諮問をさせていただくことになりました。
 具体的に申し上げますと、法改正に向けての具体的検討を行っていただくため、9月12日に開催予定の法制審議会総会において、区分所有法制の見直しについての諮問を行うこととします。今後、法制審議会において、幅広い観点から充実した審議がなされることを期待しています。

「旧統一教会」問題・相談集中強化期間に関する質疑について

【記者】
 旧統一教会問題の関連で伺います。岸田首相は8月31日、自民党所属議員に旧統一教会との関係を点検させて結果を公表することと、関係を断つことを基本方針とすることを表明しました。これを受けて、葉梨大臣がどう対応されるかお聞かせください。
 また、冒頭で御説明がありましたが、来週から始まる相談集中強化期間の取組ではどのような効果を期待されているか、改めてお聞かせください。

【大臣】
 一自民党議員として申し上げますと、自民党からの調査等については、既に正確に回答させていただいていますが、その内容は、今までも私が記者会見で述べたとおりです。岸田総理のコメントについて、法務大臣の立場としては、なかなかコメントできる立場ではありませんので、それは御了解いただきたいと思います。
 相談集中強化期間を実施することについては、先ほども詳しく申し上げましたけれども、やはり悩みを抱えている全国各地の方々から幅広く相談を受け付け、即時連携できる態勢を取るということが非常に大切です。今そういった課題を受け付けて、お困りの方々の相談に適切にお応えする、被害者の救済につなげていく、そして、被害の状況を把握していく。そういったことを主眼に、この期間を精力的に、こちらとしても非常に重視しながら、より関係省庁の連携を密にしていきたいと思っています。

【記者】
 相談窓口についてお伺いします。各省庁から人材を集めて相談に応じるということですが、どのぐらいの規模の人数で相談に応じるかということは、決まっていますでしょうか。

【大臣】
 まず5日に始まるときに、私どもの施設は都内にありますが、そこで関係省庁の担当者が集まり、それぞれ専門家を出していただきますので、10人とかそういうオーダーになろうかと思います。そういう方に集まっていただいて、そこで意思疎通を図りながら相談に応じていく、そして、先ほど申し上げましたとおり、相談窓口というのは各省庁にもありますが、このフリーダイヤルを期間中ずっと設置させていただきますので、しっかりそこに常駐するのか、あるいは各省庁にいる形にするのかというのは、初日にそういう形で対応させていただきますけれども、また状況によって、更に強化しなければいけないということもあろうかと思いますので、考えさせていただきたいと思います。

「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議に関する質疑について

【記者】
 「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議の関係ですが、メンバーは関係省庁の対象が広がったと昨日決まったという話ですが、このほかに宗教法人の認証や解散命令の事務を担っている文化庁宗務課が入っていないことについての御意見が専門家からありますが、そのことについての御見解がありましたら伺えればと思います。

【大臣】
 まず、今私たちが行わなければいけないことというのは、お困りになっている幅広い方々の被害者の救済ということです。その上で、先ほども申し上げましたが、被害の状況を把握することが必要になってまいります。そういう観点から、文部科学省でも、初等中等教育局は子どものいじめも担当していますが、そのような形で、被害者の救済に直接関わるところに範囲を広げさせていただいたということです。宗教法人法の改正については、私の所管外ですが、今回の相談集中強化期間、それから関係省庁連絡会議は、まさに被害者の救済ということに焦点を当てて、それに関連する省庁に網羅的に加わっていただいたということです。

出入国在留管理行政に関する質疑について

【記者】
 8月31日に、NHKの「国際報道2022」という番組で、「長期化する不法滞在 日本の入管に密着」という特集をやり、入管庁警備課が、入管法改正を念頭に置き、全面的に取材協力していました。
 まず、大臣はこの番組を御覧になったでしょうか。
 関連して、法務省の基本見解を4点伺います。
 1点目です。番組では、仮放免者は、不法滞在でまるで犯罪者のような扱いでしたが、複数回の難民申請者や事情があって帰国できない非正規滞在者も、帰国を拒否した場合に刑事罰を科すべき犯罪者であるというのが、法務省の基本的な御見解でしょうか。
 2点目です。懲役1年以上の実刑判決を受けても、服役後に日本社会でしか社会復帰できないケースも多く、実際、そのことも配慮して、今までも在留特別許可が出ています。法務省には矯正局もありますが、関係省庁や地方自治体、民間とも連携して、社会復帰のため多文化施策を進める方向ではなく、一律に強制送還を強化するという方向性の入管法の改正を考えていらっしゃるのでしょうか。
 3点目です。チャーター便での強制送還も現在停止していますが、2013年以降繰り返してきました。昨年10月には、難民不認定の告知直後にチャーター便で送還されたスリランカ人男性2人の国賠訴訟で違憲判決が出て判決が確定しました。それでもアフターコロナの対策で、チャーター便による強制送還を拡大・強化して再開することを検討されているのかどうか。
 4点目です。仮放免者は健康保険にも加入できず、医療費は全て自己負担で、まともに医療を受けることができず大変苦労しています。番組では、難病治療のため国外退去できず、高額な医療費を国が負担している中国人男性の例を紹介していましたが、このケースは例外中の例外だと考えてよいのでしょうか。

【大臣】
 まずNHKの番組ですけれども、その番組があるということは承知していますが、ちょうど当日、私は所用があり、後で見させていただきたいと思いますが、その番組の内容をつぶさに私は見ているというわけではありません。その番組がどういう形で報道されていたのか、どういう印象を視聴者に与えたのかというのを、私は見ていないものですから、予断を持って申し上げるわけにはいかないということを前提で、申し上げさせていただきたいと思います。
 まず第一の質問については、退去強制令書が出て、退去強制しなければならないが難民申請を行うことによりその効力が停止されるという建て付けになっていますので、強制送還の対象ではありますが、犯罪者ではありません。そのことは、まさに法律に基づいて、私たちもほぼ執行させていただいています。
 それから第二点ですが、入管法の改正の方向というのは、まず一つは、帰るべき方にはしっかりと帰っていただくということも、おっしゃるとおり大切ですが、それだけではなく、やはり守るべき方、庇護すべき方、色々な事情がある方については、しっかりと対応していく、そのこともやはり車の両輪ですので、そこはしっかりバランス良く、方向性を考えていかなければいけないと考えています。
 第三点の、いわゆるチャーター便の話ですが、まず、スリランカ人の判決については、しっかり私も重く受け止めなければいけないと思います。そして、今後のことについては、個別の事案について、それを拡大するとか拡大しないとか、今現状において、お答えするのはあまり適当ではないのかなと考えております。
 また、医療費の関係ですが、今現在、仮放免された方々については、公的な保険というのはありません。ただ、これは私どもの所管というよりは、別の省庁の所管ということになります。最後の中国人の案件については、私も番組を見ていないということもありますので、なかなかお答えをしかねるところがあるというのを御容赦願いたいと思います。
(以上)