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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年9月6日(火)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 まず、私から2点報告させていただきます。
 第1点ですが、相続登記の義務化・遺産分割等に関する認知度等調査の結果等について御報告します。
 いわゆる所有者不明土地の存在が公共事業や民間取引等の妨げになっており、我が国の国土の有効活用の観点からは、その解消が喫緊の課題となっています。
 現在、関係省庁を挙げてこの問題に取り組んでおり、昨年4月には、所有者不明土地の発生予防と利用の円滑化の両面から、民事基本法制の総合的な見直しが行われました。
 この見直しにより、相続登記の義務化を始めとする新制度が来年4月から順次施行されることとなります。法務省では、これら新制度の周知広報に取り組んでおります。
 その一環として、本年7月末に、新制度の国民認知度を把握するための初めての実態調査を実施しました。本日、その結果を法務省ホームページで公表しました。
 調査結果によれば、新制度の認知度として、相続登記の義務化を「知らない」と答えた人が約66パーセント、相続土地国庫帰属制度を「知らない」と答えた人が約84パーセントであるなど、認知度の向上が大きな課題であります。
 他方、これらの新制度に「関心がある」と答えた人が回答者の半数程度に上っており、また、新制度について、インターネットや公的窓口、専門資格者など、様々な形で情報収集したり、相談したりすることを考えているとの傾向も明らかになりました。
 法務省では、今回の結果も踏まえ、新制度の内容や手続について、国民の皆様に分かりやすく知っていただくための情報発信に、一層努めてまいりたいと思います。
 その一つとして、相続登記の義務化について、手に取りやすいリーフレットを作成して、近く、自治体窓口等で広く配布することを予定しています。
 さらに、全国の法務局はもちろん、各地の自治体や専門資格者団体等とも連携し、新制度に関し、よりきめ細やかな、ニーズに即した周知広報に力を入れて取り組むことを検討しております。
 ちょうど平成30年に、私が法務副大臣をしていましたときに、所有者不明土地に関する民法基本法制の研究会が立ち上がり、私も毎回参加させていただいておりました。非常に大事な基本法制ですので、国民に広く知らしめるとともに、円滑なスタートに向けて、万全を期していきたいと考えています。
 2点目です。昨日、「旧統一教会」問題に係る相談集中強化期間が始まりました。そして、9月5日(昨日)、相当な数が寄せられたということを皆様に申し上げたところですけれども、速報値で集計しましたところ、受付をした相談件数が155件ということです。内容については、更に精査をした上で、しかるべき時期に報告させていただくことになろうかと思います。

安倍元総理の国葬に関する質疑について

【記者】
 今月27日に予定されている安倍元首相の国葬について伺います。報道各社の世論調査などで賛否が割れている中、国葬が実施されることについて葉梨大臣のお考えをお聞かせください。また、法務省として、国葬が行われる当日に弔意表明などの御対応があれば教えてください。

【大臣】
 安倍元総理の国葬については、本当に安倍元総理の御冥福を心からお祈りを申し上げたいと思います。既に閣議で決定されたことでもあり、また、私も加わった閣議では、約2億5,000万円の支出についても了解させていただいたところです。その理由等につきましては、既に岸田総理から説明をしているとおりですので、私からそれに付け加えることはありません。法務省としましては、葬儀委員長決定に基づき、弔旗(半旗)を掲げること、あるいは国葬の当日、一定時刻に黙祷をささげることを考えております。

【記者】
 先ほど御発言のあった国葬の日の対応について念のため確認ですが、当日、一定時刻に黙祷をささげることを考えているとおっしゃいましたが、それを職員全員に呼びかけるということですか。

【大臣】
 もちろん職員全員に強制するということではありませんけれども、葬儀委員長決定に基づいて、ここの施設でアナウンスをして、弔意をささげましょうということです。

【記者】
 本省でということですか。

【大臣】
 本省です。

【記者】
 国葬関連になりますが、政府は先ほど国葬に関する費用について、警備費や接遇費についても公表されました。当初は葬儀後に公表という方針でしたが、前倒しで公表したことへの評価がもしあればお願いします。

【大臣】
 私からは所管外ということになりますけれども、色々な国民の声を聞いて、早め早めに情報発信をされるということは、決して悪いことではないと思います。

司法試験に関する質疑について

【記者】
 本日、合格発表がある司法試験について伺います。法曹志願者が年々減っている状況にあることについての受け止めと、法曹志願者増に向けた取組があれば教えてください。

【大臣】
 法曹志願者の受験者数が減少傾向にあるということについては、ずっと長い傾向ですけれども、重く受け止めさせていただいています。こういったこともあり、法務省だけではなく文科省等も加わり、法科大学院教育の充実と時間的・経済的負担の軽減を目的とする法曹養成制度改革法が段階的に施行されていることは、御案内のとおりだと思います。いわゆる法学部や法科大学院に入って、司法試験を受けやすくするということで、例えば、来年からは、いわゆる「3プラス2」の制度が始まってまいります。私どもとしましては、こういった形で法科大学院の教育を一層充実させる支援、こういった「3プラス2」の制度を周知徹底し、使いやすくしていただくこと、また、非常に大きな問題としては、法曹が活躍する場をできるだけ広げていくために、色々な形で、企業法曹も相当増えてきていますので、しっかりと情報発信をしていくことが必要だと思っています。

「旧統一教会」問題相談集中強化期間に関する質疑について

【記者】
 冒頭に御紹介のありました「旧統一教会」の相談の関係でお尋ねします。1日の相談件数が155件に上ったということですが、改めてこの件数に対する受け止めと、内容は現時点で精査をということでしたが、例えば大まかに霊感商法の問題があったとか、もし御紹介できるものがあったら御紹介いただきたいのと、昨日の件数が多かったことを受けて、体制の充実も検討していきたいということでしたが、改めましてその点についてお尋ねします。

【大臣】
 後者については、体制の充実も柔軟に検討していきたいと思います。飽くまでこれは受付の相談件数ですから、電話をかけられた方が話中でつながらなかったりということもあったのではないかと想像しますので、しっかり柔軟に対応したいと思います。
 前者については、昨日、まず数は締めましたが、プライバシーの問題にも関わる問題でもありますので、中身は精査をすることが必要だと思います。ですから、中身につきましては、私も現時点で報告は受けておりません。

【記者】
 プライバシーに関わるのは承知ですけれども、155件の、例えば年齢層や地域といったことも、今のところまだということでしょうか。

【大臣】
 もちろん、私は報告を受けたら、出せる範囲できちんと皆さんに明らかにするつもりではありますが、今全く手元にそういったものを持ち合わせていないということです。

【記者】
 先ほどの質問にもありましたが、この数字についてはどういう受け止めをしていますか。多いか少ないか。

【大臣】
 一概に予想より多かったとか、予想より少なかったということを申し上げるのは、中身との関連がありますから、今の時点で、中身を知らない時点で、数字だけを評価するということは、なかなか難しいところはあるだろうと思います。しかしながら、先ほども申し上げましたように、話中が多かったと、つまり、相談する方が電話をかけても、つながりにくいという状態があったと聞いていますので、非常に関心が高いということはいえるかと思います。

外国人の差別問題に関する質疑について

【記者】
 8月30日に京都地裁で、在日韓国・朝鮮人が集住する京都府宇治市のウトロ地区で昨年8月に起きた放火事件に関して、被告人に懲役4年の実刑判決が出ました。判決内容として、「在日韓国・朝鮮人に対する偏見や憎悪感に基づく独善的で身勝手な犯行」という内容がありますが、犯行の動機として、在日韓国・朝鮮人に対する誤った歴史認識による人種民族差別に基づくヘイトクライムであるという見解もあります。政府は、2016年にヘイトスピーチ解消法を成立させましたが、いまだに国際人権基準に基づいた包括的な人種差別禁止法が制定されず、被害実態を速やかに調査報告するための独立した専門的な国内人権機関も存在しません。ちなみに、来年は関東大震災の朝鮮人・中国人虐殺から100年の年にあたります。今年、関東各地で行われている追悼行事では、今回のウトロ事件の判決などと関連付けて、こういった大虐殺を起こした真相究明や日本政府の国家責任を問う声も上がっています。人種民族差別の歴史的な真相究明や国家責任を踏まえた上で、包括的な人種差別禁止法の制定やヘイトスピーチ解消法の改正に取り組むお考えは大臣にはありますでしょうか。ウトロの事件の判決を踏まえて伺います。

【大臣】
 まず、ヘイトスピーチ解消法ですが、私が法務大臣になる前に、自民党の中に、差別に関する特命委員会というのがあり、そこの事務局長をしていました。議員立法として、当時私はヘイトスピーチ解消法を起案して調整した立場でもありますし、また、部落差別解消法にも携わりました。そして、ヘイトスピーチ解消法と部落差別解消法といった議員立法を成立させたときの法務委員長でもありました。その経験から申し上げますと、法務大臣としても変わっていませんが、この種の人種差別の問題は、あってはならない問題ではありますが、こういったものを法律として成立をさせていくためには、やはり各方面の意見や幅広い議論を集約していくことが必要だと思いますし、また、今後もそういう姿勢でやっていきたいと思います。ですから、その意味では、差別問題についてどのような法制が必要かということは、政府だけではなく、与党等ともしっかり相談しながら考えていくという姿勢が大切だと思います。そして、私どもは何ができるかということですが、こういった差別というのは、決してあってはならないということで、人権擁護局で、例えば障害、外国人、ヘイトの問題、部落の問題、最近はコロナの問題、あらゆる差別をなくすようにということの啓発活動をまず徹底してやっていくということを行っています。法制については、更に幅広く御意見や御議論を賜りながら考えていかなければいけない問題だと思います。

【記者】
 今のお答えですが、ということは、これに限らず検証していかなければいけないと思いますが、ヘイトクライム解消法の法整備や、先ほど申しました国際人権基準に基づく人種差別禁止法のような新たな法制度を作るといったようなことは、今のところお考えになっていらっしゃらないということなのか、あるいは検討を進めていきたいと考えていらっしゃるのか、分かる範囲でお答えください。

【大臣】
 今、私どもは啓発をしていますが、法制度ということになってまいりますと、色々な形での御意見・御議論をしっかり賜わらなければならないということですので、今具体的に案があるというわけではありません。
(以上)