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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年10月11日(火)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。

水際対策に関する質疑について

【記者】
 本日から海外からのビザなし渡航や個人旅行の再開など、水際対策の一段の緩和が始まりました。岸田総理は(10月)3日の所信表明演説で、インバウンド観光を復活させ、訪日外国人旅行消費額の年間5兆円超の達成を目指すという発言をされました。入管行政をあずかる法務省として、こういった方針にどのように貢献していきますでしょうか。

【大臣】
 御指摘のように、本日から水際措置の緩和が行われることになりました。査証免除措置の再開、入国者総数の上限の撤廃ということです。
 コロナ禍の前から、入管行政においては、観光立国を目指す我が国の立場を応援するという意味で、入管の体制強化を図ってきたところですけれども、我々としては、訪日外国人旅行者が、円滑かつ快適に出入国ができるような体制づくり、また、業務の円滑化に万全を期すということが、国を挙げて観光立国を目指すことに寄与するものと考えています。

出入国在留管理行政に関する質疑について

【記者】
 (10月)6日の参議院本会議で立憲民主党の田名部匡代議員が行った入管難民行政に関する質問で、岸田首相は、「日本の入管制度は、国連の人権諸条約に違反していない。」、「入管手続と難民認定手続は入管庁で行うのが適切で、独立した難民認定機関を設置することは考えていない。」というふうな御発言がありました。
 日本政府は、国連人権規約委員会や人種差別撤廃委員会、拷問等禁止条約の委員会などから、何回も日本の入管行政の自由裁量による長期無期限収容の是正や、入管行政から完全に独立した難民不服審査機関の設置などを求められてきました。しかし、いまだに実現していません。
 国際人権基準を担保するために、それぞれの人権諸条約で個人通報制度を持つ選択議定書がありますけれども、岸田首相が日本の入管難民制度が国連の人権諸条約に違反していないというふうに言い切るのであれば、日本政府はなぜ国連の人権勧告を受け入れずに、そもそも人権諸条約の選択議定書を全く批准しようとしていないのでしょうか。

【大臣】
 岸田総理の御発言ですけれども、我が国の入管制度が、国が締結している人権諸条約に違反するものとは考えていない、入管関係においては、田名部議員の質問にもありました例えば名古屋の入管施設における死亡事案の報告書で示されました医療体制の強化などの改善を行っている、その上で、難民認定手続については、入管行政と密接に関連するものなので、切り離して例えば第三者委員会を作るというようなことは考えていない、というような御答弁をされております。まさに岸田総理がお答えしたとおりですけれども、我が国の入管関係の難民認定手続は、この場で累次お答えしておりますように、我が国が批准しております国連の人権諸条約に違反するものではないと考えています。そして、難民認定についても、例えば難民審査参与員が審理を行い、その意見を聴いた上で判断したり、あるいは難民に当たらないと判断された場合には、司法上の裁判所に対する不服申立ての訴えを提起することもできるといった形で、難民認定手続の適正を担保していると考えています。
 お尋ねの個人通報制度ですけれども、それぞれ基本的には外務省において関係省庁と検討していくということだろうと思いますが、現状において、我が国の難民認定の手続が、バランスが取れた形で制度上は整備されているということを鑑みると、今後外務省において、そういったことも踏まえて、関係省庁と検討されるものと思います。

【記者】
 今の関連ですが、今週、自由権規約委員会で日本政府の審査が8年ぶりに行われます。今おっしゃっていたような形で、選択議定書を批准していないことや恣意的拘禁に当たるような入管収容の在り方など、色々と審査されると思いますけれども、それについてもこれから検討するといったお話なのか、あるいは、今回の自由権規約委員会に関して、入管制度についてきちんとした国際人権基準に沿った御報告をされるお考えなのかについて、お話をお願いいたします。

【大臣】
 まず一つは、国連人権理事会で色々な形で人権状況の審査をするということですが、入管に限らず政府として、「日本の人権状況等々については、現在こういうような形で適切に行っています。」というようなことを、しっかりと丁寧に説明していくということになってこようかと思います。そして、今後の話ということになりますと、この場でも色々とお話がありましたとおり、先ほどのいわゆる個人通報の話については外務省において検討されるということですけれども、しっかりと庇護すべき方は庇護し、母国に帰っていただく方は母国に帰っていただくというバランスの取れた形で、どういう法制度を皆様にお示しすることができるかということを、今、部内でも検討している最中です。検討状況については、その場でお示しするということはなかなか難しいかも分かりませんけれども、基本的には、我が国において行われている難民認定の手続、あるいは入管の諸手続について、例えば、先ほど私が申し上げました参与員の関与、あるいは司法手続上の救済措置があるといったことも含めて、しっかり丁寧に御説明をしていくということになろうかと思います。
(以上)