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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年10月14日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件として、「FATF(ファトフ)勧告対応法案」及び「民法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。
 また、主意書に対する答弁書が2件ありました。
 続いて、私から2件報告があります。
 1件目は、「民法等の一部を改正する法律案」についてです。本日、閣議決定されたものです。
 無戸籍者の解消や児童虐待防止の観点から、民法の嫡出推定規定を見直すことや、懲戒権の規定を削除することなどを内容としています。子の利益の保護につながるものと私どもも期待しており、この国会において十分御審議いただき、成立していただけるようお願いしていきたいと思います。
 2件目は、民事判決情報のデータベース化についてです。
 これは有識者の方々も入れて幅広い検討を行う必要がありますけれども、本日、第1回の会議を開催しているところです。民事判決の内容は、国民の行動規範や紛争解決指針ともなり得るもので、社会全体で共有・活用すべき重要な財産です。したがいまして、民事訴訟法のIT化の議論と相まって、民事判決情報を集約し、データベース化する機運が高まっています。そのため、今、会議を開催しまして、今後の進め方について検討を進めていきます。有識者会議の御議論を踏まえ、社会の発展に役立つデータベースの整備に向けた検討を進めていきたいと思っています。

民事判決情報のデータベース化に関する質疑について

【記者】
 民事判決情報のデータベース化について伺います。民間企業にデータを開放することで期待する新たなサービスやイノベーションはありますでしょうか。国民の利便性向上にどう寄与するとお考えでしょうか。

【大臣】
 制度設計の仕方にもよりますが、うまく民間のニーズなども入れながらしっかりとした制度設計を図ることで、民間の利便性の向上には極めて大きな形でつながってくるだろうと思います。具体的には、例えば、法律の専門家を支援するようなAIのデータベースが開発されるということもありましょうし、また、判例法の集積をビッグデータ化するわけですから、それを指針として紛争解決のルールといったものを参考にしていくようなシステムの開発にもつながってくる可能性もあります。いずれにしても、そういうことも含めて、今御議論をいただいていますけれども、この社会の発展に寄与するため、私は非常に大きな期待を持っております。

【記者】
 多少重複しますけれども関連でお尋ねします。今回の判決情報のデータベース化の意義について、大臣はどのようにお考えでしょうか。また、本日始まった有識者による検討会での結論の取りまとめや法案の提出時期など、今後のスケジュール感についても教えてください。

【大臣】
 スケジュール感については、今、明確なスケジュール感を持っているわけではありませんが、改正になりました民事訴訟法のIT化の全面施行が令和7年ということになってまいります。それから、現在他の人事訴訟などのIT化についても法制審議会において審議されています。そういった法制度の整備もにらみつつということになってこようかと思います。
 前者の話ですけれども、先ほどお答えさせていただいたとおりですが、できるだけ社会の役に立つような形のデータベースにしていきたい。ですから、どういう形を作れば使い勝手が良いものになるのかということを、有識者会議の中でしっかり検討していただきたいと考えています。

民法等の一部を改正する法律案に関する質疑について

【記者】
 閣議決定された民法の改正案についてお尋ねします。嫡出推定の見直しですけれども、今回の柱として、再婚後の出生であれば後夫の子にするという内容かと思いますけれども、そこで再婚していることが要件になってくると思います。例えば、DVを受けているなど様々な事情で再婚に至れない方や、自らの意思で事実婚を選ばれる方が最近増えていると思いますが、法的な婚姻に至れない方については救済の対象から外れることになると思います。そこについてどのようにお考えになられるか、今後どういった検討をされていくか、何か御予定があれば教えてください。

【大臣】
 その議論は前々から色々ありまして、一部の学者の中には、別の戸籍を作るべきではないかと言う方もいらっしゃいました。私が最初に副大臣になったときに、無戸籍の問題は一番最初に出てきた話ですけれども、当時も、嫡出否認を訴える範囲を広げるということで対応できないかというような議論もありまして、今回閣議決定をしました法律案では、嫡出推定の見直し、それから再婚後の子どもは後夫の子どもと推定する、再婚禁止期間の廃止、そして今言われたような場合については嫡出否認の訴えの範囲を拡大をすると。子どもの場合ですと、場合によっては最長21歳までそれができることにもなりますし、母親もできる、それから子どももできるという形で、救うことができるのかなということを考えています。いずれにしても、この法律をしっかり審議をして、通していただいて、DVを受けている場合や事実婚の場合もそういった救済策がありますので、その救済策が十分かどうかというのは、法律が通った後でまた検証するということになってこようかと思います。

【記者】
 関連でお尋ねします。今、大臣はお答えの中で、「嫡出否認の訴えで救うことができる。」というふうにおっしゃいました。提訴権者が父親だけではなく、母と子に広げられるということは非常に大きなことだと思いますが、やはり元々DVを受けていたりすると、前の旦那さんに対して、法的な手続を取るということ自体に非常に抵抗を持っていらっしゃる方もいるというふうにお聞きするんですけれども、その点に関してはどのようなお考えでしょうか。

【大臣】
 今申し上げましたように、例えば子ども自身も最長21歳まで訴えることができます。また、母親についても、その範囲が広がります。ですから、制度上の担保はできていますけれども、そこのところは、今申し上げたことの中にも入っていますけれども、まずは法律を通していただいて、その後にどういうような問題があるのかを検証する話になるのだろうと思います。

靖国神社への参拝に関する質疑について

【記者】
 靖国神社の秋の例大祭が来週から開かれます。例大祭中に大臣は神社に参拝されるかどうか、する場合は何日に行く予定か、参拝しない場合でも供物の真榊を奉納する予定はありますでしょうか。

【大臣】
 現在、いずれの予定もありません。
(以上)