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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年2月10日(金)

 今朝の閣議におきまして、法務省案件はありませんでした。

法テラスにおける民事法律扶助に関する質疑について

【記者】
 法務省が中学生以下のこどもを育てるひとり親の困窮世帯に対し、法テラスが立て替えた弁護士費用の支払いを24年度から免除する方針を固めたとする報道がありますが、これらの具体的な内容と、今後のスケジュールなどについて、決まっていればお聞かせください。

【大臣】
 お尋ねにつきましては、法務省・日弁連・法テラスの三者において、法テラスにおける民事法律扶助をより利用しやすいものとするために、令和4年6月から協議・検討をしていたところです。
 今般、特に要望の声が高かった、養育費の確保にお困りのひとり親の方々に対する支援を拡充する方策に関して、その大枠について合意に至ったということです。
 具体的な内容ですけれども、こどもの利益を図るために、養育費の確保を通じたひとり親世帯への支援を拡充するというものとなっておりまして、ポイントは以下の3点だと思います。
 一つは、養育費の請求を行う利用者のうち、義務教育対象年齢までの子を扶養するひとり親につきましては、一律に資力の回復が困難であるとして、償還免除の要件を緩和することです。
 もう一つは、養育費を得た場合における弁護士報酬につきまして、一定額まで法テラスが立て替えることです。
 三つ目は、未払等養育費を得た場合においては、原則として、その養育費からの一括即時償還を不要とすることです。
 スケジュールにつきましては、法務省としては、今後、方策の詳細についての協議・検討がまだ必要ですので、関係規程の改正作業等を行い、実施に向けて着実に取り組んでまいりたいということです。
 この方策が実現すれば、養育費の確保にお困りのひとり親の方々が法テラスをより利用しやすくなるというふうに考えておりますので、法務省としては、この方策の実現に向けて所要の手続を速やかに進めてまいりたいと考えています。

【記者】
 時期的なもので、いつまで行うかというところと、予備費などを活用して前倒しして行うことを検討しているかという部分と、今回、困窮されているひとり親世帯というところでしたけれども、更なる拡充も現状視野に入れているか、そのあたりをお伺いします。

【大臣】
 先ほど少し申し上げましたが、制度設計の詳細については、協議が続いておりますので、その協議を速やかに進めて実施に向けて取り組んでいきたいということで、まだいつということは申し上げられない段階にあるということです。
 それ以上に拡大するかどうかということについては、現時点でそういう議論をしているわけではありませんが、必要に応じて、考えるべきであるならばやっていくということになるかと思います。

入管法改正法案等に関する質疑について

【記者】
 今日の中日新聞朝刊社会面で、名古屋地裁でウィシュマさん事件に関して、開示された地裁で出す証拠をビデオで見るということをうちの担当記者が行いました。様々、報告書にこれまでなかったことも指摘されていまして、例えば2月23日、ベッド上でウィシュマさんが吐いて「死ぬ。」とうめいている彼女に、女性看守がかなり明るい声で「大丈夫。死なない。そんなんで死んだら困るもん。」などと応じているという様子が出ていたなど、色々ありますが、見た記者によると、非常にかなりショックを受けて、しばらく寝られなくなるのではないかというようなことも指摘されていました。
 今後、これを随時、中日新聞以下、他の通信社、新聞、テレビ等々も見て、それぞれ色々記事にしていくと思いますが、このような状況の中で、昨日から法務部会での法務官僚による概要説明が始まりました。本当にこの状況が始まる中で、3月上旬の法務省の改正法案提出ということを、やはりそこは揺るがずやっていくというお気持ちなのかという点を、まずお願いします。

【大臣】
 法案につきましては、私どもとしては、繰り返し申し上げていますが、送還忌避とか長期収容問題は、やはり早期に解決していかなくてはならない喫緊の課題だと思っておりますし、また、人道上の危機に直面して真に庇護すべき方々を確実に庇護していくという制度の整備もまた、これも急いでやっていかなくてはならないと思っていますので、速やかに手続を終了させて、提出まで持って行きたいと考えています。

【記者】
 ということは、報道が今後続いても提出する方向に変わりはないというお気持ちだということはよく分かったのですが、同時に、2月3日に国連の人権理事会が日本の人権状況について調査し、6年ぶりの日本への審査・勧告等を行いました。死刑制度の廃止やまだ日本にはない人権救済機関の設置、そして入管での医療体制や長期収容の見直しと、まだまだ改善されていない点が色々指摘されているんですけれども、これについて、6月の理事会までに受入れの見解を表明するという方向のようですが、現時点でどういうふうにお考えかというところをお願いします。

【大臣】
 まず、先月31日に、国連人権理事会の制度である普遍的・定期的レビュー(UPR)作業部会におきまして、我が国の審査が実施され、我が国が提出した政府報告等を基に、各国との質疑応答が行われました。
 審査の場においては、多岐にわたる事項について、質問・勧告がなされ、法務省としても、我が国の取組等について説明を行ってきたところです。
 我が国の審査に関する報告書は、御指摘のように、本月3日のUPR作業部会において採択されているわけです。
 今後は、御指摘のように、6月から開催される人権理事会で正式に結果文書として採択されるものと承知しています。
 各国からの勧告を受け入れるか否かなどについては、今後、6月以降の正式採択までの間に内容を精査した上で、関係府省庁とも連携して対応を検討していくということになります。

【記者】
 入管法の関係です。概要説明が昨日から始まりました。現状、メディアに示せるような法案の具体的な内容はまだ出ていないわけですが、報道等によりますと、根幹は前回出された法案と変わらないとか、3回目以降の送還忌避罪が適用されるとか、上限設定がないなどの指摘がされています。今後、具体的に与党の法務部会に示していく内容によって、部会の議員等々からの指摘を受けて、今、法務省として出そうとしている法案の内容を修正していくということがあるのか、最終的にメディアとか世の中に対して法案の具体的なものを示せるタイミングや時期はいつ頃になるのかというのを教えていただけないですか。

【大臣】
 まず、御指摘のように、前回以降様々な御意見が出ているし、経緯が積み重なっていることも承知しておりますので、当然そういうことも踏まえて、法案を準備していくことは当然なんだろうと思っています。
 まだ、法案の内容が出ていない段階で、既に骨格をとか色々出ていますが、我々としては当然与党ともしっかり調整をして、最終的には政府として法案を提出するということですので、今言えることは、与党ともしっかり調整をした上で、期限までに法案を提出したいということに尽きるのではないかと思っています。

性的マイノリティ及び同性婚に関する質疑について

【記者】
 LGBTの関連で伺います。先週、荒井元総理秘書官から発言がありました。これについての大臣のお考えをまずお聞かせいただきたいのと、同性婚やLGBTに関する法案について、今後法務省として取り組むお考えとか、大臣のお考えがあれば教えていただきたいです。

【大臣】
 まず、荒井秘書官の発言についてですが、性的マイノリティを理由とする不当な差別や偏見は、あってはならないわけです。
 御指摘の発言は、多様性が尊重される社会の実現を目指すという政府の方針とは全く相いれないものでありまして、性的マイノリティの方々に不快な思いをさせてしまっているというものですので、言語道断だと思っておりますし、岸田総理においても、総理秘書官としての職務を解くという判断をされたというふうに承知しています。
 二つ目の御質問ですが、性的マイノリティの方々については、社会生活の様々な場面において、課題が生じていると認識しています。
 その課題は、公共施設、医療、就業、学校、社会福祉等の様々な場面で、どのような配慮が合理的か、いかなる整備をなすべきか、差別や偏見を解消するための教育や啓発はいかになすべきかなど、極めて多岐にわたるものであり、関係各府省が、しっかり横断的に連携をしながら個々の問題に取り組んでいくことが必要であると認識しています。
 御指摘のように、法整備を行うべきという御意見も、人によって色々な法整備の在り方があるわけですけれども、色々な御意見があることはもちろん承知していますが、他方で、その在り方を含めて、様々な御意見があるのも現実ですので、今、議員立法として御議論があるということですので、法務省も関係府省の一つとして、こうした議論の推移をしっかり注視していきたいというふうに考えます。

【記者】
 先ほどの性的マイノリティ、同性婚に関する荒井秘書官への言語道断という御指摘と合わせて、岸田首相がそもそも国会で「社会が変わってしまう。」と同性婚の合法化に関して答弁されました。これは、報道によりますと、法務省が準備していたものでない上で、岸田首相自身の発言だったと指摘されています。法務省、大臣として、社会が同性婚で変わってしまうという認識なのかどうか、この岸田さんの、荒井秘書官のきっかけとなった発言についてどう思うかという点、お願いします。

【大臣】
 私が法務大臣として従来から答弁していますが、同性婚制度の導入の問題は、我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題であって、国民的なコンセンサスと理解を得た上でなければ進めることができないという考えは、国会を含めて従来から申し上げているわけでありまして、この点について、私は変わりはありません。
 その上で、総理の御答弁というのは、このことを総理なりの表現でおっしゃったのではないかというふうに私は理解しているというところです。
(以上)