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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年3月17日(金)

 今朝の閣議におきまして、法務省案件として、「第二次再犯防止推進計画」及び「最高検察庁の位置並びに最高検察庁以外の検察庁の名称及び位置を定める政令の一部を改正する政令」が閣議決定されました。
 ただ今申し上げました「第二次再犯防止推進計画」について、御報告いたします。
 本計画は、今後5年度にわたる、政府の再犯防止施策の羅針盤となるものです。
 本計画では、一次計画下の取組についての成果と課題を踏まえまして、犯罪をした者等が地域社会の中で孤立することなく生活していくための「息の長い支援」の実現、支援の実効性を高めるための相談拠点及び支援連携拠点の構築、地方公共団体・民間協力者等との連携強化といった基本的な視点の下、7つの重点課題を設定し、96の具体的施策を盛り込んでおります。
 法務省としては、安全・安心な社会の実現に向けて、関係省庁とも連携しながら、計画に掲げる施策を着実に実施してまいります。

第二次再犯防止推進計画に関する質疑について

【記者】
 今おっしゃった、第二次再犯防止推進計画についてお尋ねします。7つの重点課題があるかと思いますが、法務省として、その中でも取り分け重視して取り組みたい分野、施策についてお尋ねします。
 また、地域や民間の協力者を広げていく必要性が昨今高まっていると思いますが、理解を得るために法務省としてどのような努力が必要か、お考えを伺います。

【大臣】
 第二次再犯防止推進計画では、先ほど申し上げたとおり、7つの重点課題を設定し、96の具体的施策を盛り込んでいるということで、特に、犯罪をした者等が、社会の一員として地域社会に立ち戻っていくことの重要性を踏まえて、新たに「地域による包摂の推進」を重点課題の一つに位置付けているところです。
 この点に関しましては、地方公共団体の役割が重要であるということから、国・都道府県・市区町村の役割分担の明確化と地方公共団体の取組への支援を盛り込むとともに、国等による支援も必要でありますので、保護観察所、法務少年支援センターにおける地域援助の推進、保護観察所による刑執行終了者等に対する援助などの具体的な施策を盛り込んでおります。
 また、御指摘のように、これらの施策を進めるためには、地方公共団体や民間協力者の御理解・御協力をいただくための働き掛けが非常に重要です。
 第二次計画におきましても、協議会等を通じた地方公共団体への情報提供ですとか、保護司等民間協力者の活動の発信や一層の開拓、あるいは「再犯防止啓発月間」を中心とした広報・啓発などの施策を盛り込んでいるところです。
 引き続き、国・地方・民間が連携して、地域における再犯防止に向けた取組を推進してまいりたいと考えています。

再審請求事件に関する質疑について

【記者】
 袴田事件に関してですが、今朝の朝刊で、高検が特別抗告をすることを検討しているという記事が出ているのですが、法務省に対して、袴田さんの救援議員連盟の塩谷議員が「特別抗告を絶対に阻止してほしい。場合によっては大臣の指揮権も発動してほしい。」ということをお願いしたということが(本月)15日にあるのですが、これに対しての受け止めと対応をお伺いしてもよいでしょうか。

【大臣】
 まず、御指摘の議員連盟に所属する国会議員の皆様方から、いわゆる袴田事件に関して申入れがなされたという、その旨は報告を受けて把握しております。ただ、お尋ねの件については、個別の再審請求事件に関わる事柄でありますので、法務大臣として何らかのコメントを述べることは差し控えたいなと思っています。

【記者】
 袴田さんの事件の関連でお尋ねいたします。袴田さんを含めて、死刑囚の中に再審請求中の方というのはかなりいらっしゃると思うんですけれども、今後の死刑の執行の判断に関して、何か影響が今回の決定であるかどうか、お聞かせください。

【大臣】
 まず、袴田さんの件については個別のお話なので、お答えは差し控えますが、再審請求中であるということをもって、刑事訴訟法上、死刑の執行停止事由とはされていないことは、御承知のとおりであります。
 死刑の判決は、極めて凶悪かつ重大な罪を犯した者に対して、裁判所が慎重な審理を尽くした上で言い渡したものでありますので、法務大臣としては、裁判所の判断を尊重しつつ、法の定めるところに従って、慎重かつ厳正に対処すべきものだというふうに考えているところであります。

【記者】
 袴田事件で個別は答えられないというお話ですけれども、御存じのように、日弁連からも特別抗告を断念するように強く求める声明が出されております。袴田さんのお姉様、支援団体等々も、これまで47年間の長期勾留も含めて、袴田さんが受けてきた部分のことを含めて、特別抗告を断念してほしいと、再三繰り返しておられます。世論の中でも、再審法改正を含めた見直しも必要じゃないかなど、色々議論が出ている中で、今日の読売のような報道が出ました。個別は答えられないということですけれども、大臣自身は、高裁のこの間の判断を含めて、どのようにこの事件を見ているかというのを、聞かせられる範囲内でよいので、お答えいただきたいです。

【大臣】
 これは何度も御答弁申し上げて申し訳ないですけれど、個別の検察の判断に対する私のコメントにもなりかねません。個別事件における裁判所の判断、あるいは検察の判断について、法務大臣の立場として見解を述べることは、私はやはり差し控えるべきなんだろうというふうに思っているわけでありますので、その点は恐縮ですけれど御理解いただきたいなというふうに思っています。

刑訴法改正の入管被収容者への適用に関する質疑について

【記者】
 入管と刑訴法の改正の関係でお聞きします。今回、刑訴法の一部改正で、逃亡罪に関して懲役1年未満から3年未満と、厳罰化される方向になり、それが合わせて入管の収容者にも適用されるというお話を聞きました。こうなると、いわゆる刑事罰に当たらないような収容者にも、この刑訴法の改正の3年以内というものの適用、厳罰化の適用になるんじゃないかという指摘が出ておりまして、この点について十分な議論がなかったのではないか、刑事罰を受けていない収容者に対しても、そういったものを科すということに対して、大臣としてどういうふうにお考えなのかということをお聞かせください。

【大臣】
 これは当然のことながらでありますが、個々のケースによって、個別にきちんとした判断を行っていくということになろうかと思いますので、一般論としてこうだああだというのは、お答えを差し控えたいなというふうに思っています。

入管法改正法案に関する質疑について

【記者】
 入管法改正のことで伺います。(本月)7日に閣議決定され、大臣は7日の記者会見で、「旧法案に対する国際機関などからの様々な御指摘・御意見の趣旨も踏まえた上で立案した。」ということをおっしゃいました。例えば、2021年4月にUNHCRが発表した「入管法改正案に関する見解」については、大臣御自身が御覧になったり、入管庁職員から説明などは受けたのでしょうか。
 この見解は今でも変わっていないということを、今年2月に就任されたUNHCRの駐日代表の伊藤礼樹さんも、就任の記者会見でそういうふうに御発言されていました。今回の入管法改正案では、この懸念表明に応える内容が全くないと思います。大臣は、この法案を閣議決定する前に、この法案が国際人権基準に合致したものになっているかどうか、事前にUNHCRや国際人権機関、弁護士会などに意見を求めたことはあるのかどうか。また、今後、衆議院法務委員会で法案審議が始まる前に、UNHCRに対して意見を求めるようなお考えはありますでしょうか。

【大臣】
 御指摘のUNHCRが発出した意見の内容については、担当者から、当然のことながら十分な報告を受けております。
 それから、UNHCRからは、令和3年通常国会に提出した法案について、様々な御指摘を受けておりますが、他方で、補完的保護対象者の認定制度を創設したことですとか、処遇の改善に関する規定を設けたことなどは歓迎されていると認識しております。
 法務省としては、国際社会との対話は重要であると考えておりますので、御指摘の見解が示された後も、UNHCRとは、複数回意見交換を行って、我が国の法制度の在り方や入管庁の考え方を説明してきているところであり、UNHCRから意見が示されれば、適切に今後も対応していくということになります。
 ただ、個々のやりとりについては、相手方機関との関係上、つまびらかにすることは差し控えさせていただきますが、我が国の法制度の在り方ですとか、入管庁の考えについては、意見交換をしっかり行っているところであります。
(以上)