検索

検索

×閉じる

法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年5月30日(火)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 続いて、私から「共生社会の実現に向けた適正な外国人雇用推進月間」に関して御報告があります。
 政府では、毎年6月を「外国人労働者問題啓発月間」として、関係省庁が緊密な連携を図りつつ、外国人労働者問題に関する啓発活動を行っています。
 これに合わせて、出入国在留管理庁では、6月を「共生社会の実現に向けた適正な外国人雇用推進月間」と定め、主に外国人を雇用する事業主の方々に向けた啓発活動を実施しています。
 具体的には、全国の地方出入国在留管理官署において、関係機関と連携して、リーフレットの配布や、街頭でのキャンペーン活動などを実施し、外国人を雇用するに当たっては、雇用契約等について丁寧に説明することや外国人の人権に配慮して、人権侵害等の不適正な行為を行わないことなど、外国人の適正な雇用に係る留意点などの周知を行うものです。
 こうした取組を通じて、日本人と外国人がともに安全に安心して暮らせる共生社会の実現に向け、多くの方々が適正な外国人雇用に対する理解を深めるきっかけにしていただきたいと考えています。
 報道機関の皆様方には、本月間の積極的な周知・広報への御協力をお願いできればと思っています。

G7広島サミットに関する質疑について

【記者】
 先日、G7広島サミットが開催されました。成果をどのように受け止められて、7月に予定されます司法大臣会合につなげていくのか伺います。

【大臣】
 G7サミットでは、国際社会の喫緊の課題について各国首脳が意見交換し、首脳声明では、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序という国際社会の共通の価値を堅持し、強化することなどが確認されたと承知しております。
 7月に開催します司法外交閣僚フォーラムとの関係で申し上げれば、サミットではG7によるウクライナの復旧・復興に向けた支援が再確認され、また、同国の汚職との闘いに関する取組を歓迎し、司法部門及び法の支配の促進において、制度構築や法改革を進める同国の取組を支持することが表明されたと承知しております。
 また、G7として自由で開かれたインド太平洋の重要性を改めて表明し、ASEANを含む地域パートナーとの連携を強化することへのコミットメントが強調されたとも承知しております。
 司法外交閣僚フォーラムでは、まさにこうした国際社会の喫緊の課題を取り上げ、G7やASEANと法務・司法分野での連携を強化することを通じて、法の支配といった普遍的価値を国際社会において維持・促進することを目的として開催するものです。
 サミットで打ち出された様々なコミットメントを実現するべく、引き続き、7月に向けて全力で取り組んでいきたいと考えています。

裁判所における事件記録の廃棄に関する質疑について

【記者】
 各地の裁判所で発生した少年事件の記録の廃棄の問題でお尋ねしたいのですけれども、最高裁が(本月)25日に記者会見を開きまして、不適切な対応をしたことが原因だったと最高裁の責任を認めました。今後は、国民の財産との認識を共有して、第三者委員会を設置する等の再発防止策も公表しましたけれども、これに対する大臣の受け止めをお願いします。

【大臣】
 まず、最高裁判所においては、これまでも民事訴訟等の事件記録の保存・廃棄の在り方について、外部の有識者の意見を聴取しつつ検討を行い、これを踏まえ、調査報告書を取りまとめて公表されたと承知しています。
 今後、裁判所において、事件記録の管理の適切な運用が確保されるよう、調査報告書の内容を踏まえた適切な対応をされるものと認識しておりますが、法務大臣としては、引き続き、裁判所のこうした取組を見守っていきたいというふうに考えています。

大阪入管常勤医師に係る報道に関する質疑について

【記者】
 読売新聞が今日書かれています、大阪(入管)の常勤女性医師の、アルコールが検出されたのではないかという関連でお聞きします。こちらは私も取材をしておりまして書かれてはしまったのですが、この女性の医師、1月20日に足取りがおぼつかないため色々指摘を受けてアルコールをチェックしたところ、アルコールが検出されたと。ただ、このときだけでなくそれ以外にも、ポケットからお酒の空き缶が出たり、勤務中に居眠りしたり、失禁するなど、これはアルコール依存症がかなり疑われるということで、だいぶ前から大阪管内で問題視されていたと聞いております。このことについて事実関係と現在どのような状況なのか、この女性医師は今でも医療対応をされているのか、このような状態が病院の医療体制は良くなったと言いつつ、またこのようなことが起きてしまっていることについての大臣の見解をお願いします。

【大臣】
 まず、御指摘の報道は私も承知しております。現在、大阪局において、まず当該医師を被収容者の診察業務には従事させていません。そして、事実関係の確認など、必要な対応を今行っているというところですので、今の時点で、私のほうからこうだああだと言うことは差し控えざるを得ませんが、大阪局におきましては、被収容者の医療体制に問題が生じてはならないので、現状は、非常勤医師や外部病院医師による診察によってカバーをしております。

【記者】
 女性医師は処分する予定はあるのでしょうか。

【大臣】
 それは事実関係がまだ最終確認できていないので。

【記者】
 いつ発表する予定ですか。

【大臣】
 それは確認し次第。

【記者】
 (本年)1月のことですが。

【大臣】
 確認し次第。

入管法改正法案に関する質疑について

【記者】
 難民審査参与員柳瀬房子氏の件についてお尋ねします。難民審査参与員の柳瀬房子氏、2019年11月の「収容・送還に関する専門部会」第2回、第1回ではなく第2回の会議録に、「私は4,000件の審査請求に対する採決に関与してきました。そのうち約1,500件では直接審尋を行い、あとの2,500件程度は書面審査を行いました。」と発言したと記録されています。第1回では1,000件以上と言っていたんですけれども、第2回では約1,500件と明言されています。2021年4月の衆議院法務委員会では2,000人と会ったと語っているので、この1年間で、2019年11月から2021年4月までの1年半の間で、対面審査が500人増えたということになります。どちらも立法に関わる重要な数字なので、疑惑のある以上、2021年・2022年の審査件数だけではなく、それ以前の審査件数も出す必要があるのではないでしょうか。もしまたこの数字が正しかったとしても、1年半で500人の対面審査を行うなどは、とても真っ当な審査をしたとは思えないのですが、かつ参与員の中でも異常な偏りがあるという点はどのようにお考えでしょうか。

【大臣】
 まず、色々数字をおっしゃったので、一つ一つ確認しなければ答弁できないですけれど、今突然言われてもですね。ただ、1年6か月で500件ですかという御発言がありました。この点について、私は、柳瀬氏の御発言は、様々な場所で様々な御発言をされているわけでありますので、各御発言の時期や経緯、これバラバラでありますので、参与員としての事件処理数を、そのときその都度お話しになっているのだろうと思いますが、いずれにしても、我々の審査の仕方は、事前に書類を送って見ていただくということをやっておりますので、ですからそれも含めての処理数ということでありますので、一般論として申し上げれば、1年6か月で500件の対面審査を行うということは、不可能であろうというふうに思っています。(※)
 それから、様々なデータについては、今、参議院の法務委員会において様々御要請いただいているところでありまして、精査をしたり作業が必要なものもありますので、全部出せるかどうか分かりませんが、御指摘のようなものも含めて、今、対応を検討しているところであります。

(※)法務大臣の発言においては、「可能」とありましたが、「不可能」と発言しようとして誤ったものであり、訂正しています。    

【記者】
 先ほどの質問の続きになるわけなんですけれど、入管の信頼性に大きな疑問が持たれているわけですよね。先ほどの柳瀬参与員の言動の数字のぶれや、審査が適切に行われているのかと。500件という話もありましたけれども。西山入管次長も、国会で、仁比聡平議員に、送還忌避者の統計はないと虚偽答弁をしたりとか、ほかにも色々ありますけれども、大臣、入管の主張だけをうのみにして、その言いなりになっていることは、大臣にとっても、大臣の信頼にも良くないと思うんですけれど、そういったことに関して何の疑問も持たれていないのかということと、やはり難民認定申請者、当事者、その支援者とか、大臣自身がじっくり話を聞いてみるとか、そういうことも必要ではないかと思うんですけれど、いかがでしょうか。

【大臣】
 まず、やや失礼な質問があったとは思いますけれども、このことだけ事実関係を申し上げたいと思います。
 先日の記者会見でも申し上げましたが、平成30年から令和4年の5年間で、入管が難民不認定の判断をしたものの行政訴訟が行われておりまして、全部で109件あります。そのうち、国が勝訴したものが104件ということでありますので、難民認定について、全国の裁判所もそういう判断をしているということだけ申し上げておきたいと思います。
 私も色々な方の意見を聞きながら、本件、大変重要な話ですので、これまでもやってきておりますし、また今後も必要があれば、それは当然のことながら、色々な方と意見交換をしていきたいと思います。今この瞬間、国会で毎日何時間も質問を頂いて、丁寧に説明させていただいておりますので、まずはそこに集中していきたいというふうに考えています。

【記者】
 柳瀬さんの統計を出す御予定はありますか。2021年(より)前の。

【大臣】
 その点については、色々と今、委員会のほうで要請をされている数字がたくさんありますので。

【記者】
 答えるつもりはあるんですか。

【大臣】
 やれるものはやるということで、今、委員会の理事会とお話ししながら進めさせていただいております。
(以上)