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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年7月14日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 続いて、私から3件の御報告があります。
 1件目は、スーダン人に対する緊急避難措置についてです。
 スーダンにおいては、本年4月15日、スーダン国軍(SAF)と準軍事組織である即応支援部隊(RSF)との間で衝突が発生し、現在も事態の改善に向けた動きが見られない状況にあります。
 現下の状況を踏まえ、本日以降、一定期間日本に在留しており、スーダンにおける情勢不安を理由に引き続き日本での在留を希望するスーダン人の方々への緊急避難措置として、個別の事情を踏まえつつ、就労可能な「特定活動」の在留資格を許可し、在留を認めることとしました。また、退去強制令書が発付されている方についても、御本人の意思に反して送還することはいたしません。
 法務省としては、今後のスーダンにおける情勢の変化を踏まえつつ、個々の外国人の方々の置かれた状況等にも配慮しながら、引き続き適切に対応してまいります。
 2件目は、アフガニスタン人の難民認定について、近時の諸情勢に鑑みて御説明します。
 アフガニスタンにおきましては2021年(令和3年)8月以降、情勢が不透明な状況であることを踏まえ、アフガニスタン人の方から難民認定申請がなされた場合には、最新のアフガニスタン情勢を踏まえ、申請者ごとにその申請内容を審査した上で、難民条約の定義に基づき、難民と認定すべき者を適切に認定するなどしているところです。
 この認定に関し、個別の申請者が具体的にどのような方なのかについての言及は差し控えますが、本年、多数のアフガニスタン人の方々から難民認定申請をしたい旨の相談を受け、申請者ごとに個別に審査した結果として、今週114人を難民として認定しました。
 また、そのほかにも、本年1月から6月末までの間に、23人のアフガニスタン人の方について難民と認定しています。
 法務省としては、引き続き、真に庇護を必要とする方の確実な保護に取り組んでいく所存です。
 3件目は、「Aleph」(アレフ)への再発防止処分請求についてです。
 公安調査庁から、本日、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の規定に基づき、公安審査委員会に対し、「Aleph」の名称を用いる団体について、再発防止処分の請求を行った旨の報告を受けました。
 被請求団体である「Aleph」は、同法に基づき、観察処分に付されている、いわゆるオウム真理教と同一性を有する団体であります。
 公安調査庁によれば、「Aleph」は、同法で定められている報告すべき事項の一部を報告していないこと等により、本年3月21日から9月20日までの間、再発防止処分に付されているところ、いまだに報告すべき事項の一部を報告しておらず、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難となっております。
 このため、現在の再発防止処分の期間満了後においても、引き続き、必要な限度で活動の一部を一時的に停止させるとともに、速やかにその危険性の程度を把握すべく、新たに再発防止処分の請求を行ったものです。
 今後は、公安審査委員会において、迅速かつ適正な審査が行われるものと考えております。

性犯罪に関する法律の周知等に関する質疑について

【記者】
 (本月)13日に性犯罪の規定を見直した改正刑法が施行になりましたが、法務省として具体的にどのように国民に対して周知・広報活動をする予定なのでしょうか。
 また、実際の捜査の現場などでも罪名や要件の変更への対応が必要になると思いますが、警察等の捜査員への周知はどのようにしていく考えか、併せて教えてください。

【大臣】
 昨日(本月13日)施行された性犯罪に関する二つの法律は、いずれも、性犯罪の被害の実情を踏まえ、事案の実態に即した対処をする上で、大きな意義を有するものと考えています。
 まず、国民に対する周知・広報につきましては、これまでに、法務省のホームページに、二つの法律の趣旨や内容を分かりやすくまとめた資料、あるいはQ&Aを掲載し、ツイッターアカウントにも投稿するとともに、関係省庁等と連携し、ポスターを作成して掲示するなどしていますが、国民の皆様に、これらの法律の趣旨や内容を、引き続き、様々な手段によりしっかりと御理解いただけるよう、十分な周知・広報に努めてまいりたいと考えています。
 私自身も、本日、被害者支援団体の方々と面会して、周知・広報への御協力を直接お願いする予定であります。報道関係の皆様にも是非御協力いただければ有り難いと思っています。
 また、検察や警察等に対する周知につきましては、既に、検察庁に対し、これらの法律の趣旨や運用上の留意事項を記載した通達を発出し、これを警察にも共有するなどしているところでありますが、適切な運用がなされるよう、引き続き、警察庁とも連携し、適切な周知を行ってまいりたいと考えています。

スーダン人に対する緊急避難措置に関する質疑について

【記者】
 スーダンの関係ですけれども、これは「特定活動」のビザを出した人が既にいるという理解でよろしいでしょうか。

【大臣】
 今日、皆さんに方針を報告させていただきましたので、今日以降、この対応を取っていくということになります。タイミングとしましては。

【記者】
 今、発言のあったスーダンの関係ですけれども、現在どれぐらいのスーダンの方が日本にいらっしゃって、どれぐらいの方に「特定活動」を出される見込みがあるのかというところを、もし数字としてお持ちであればお伺いしたいです。

【大臣】
 これから個別に精査することになりますので、現時点で一概にお答えすることは困難ですけれども、ただ、参考として申し上げると、本邦に滞在しているスーダン人の総数は、本年5月末時点で約400名というふうに聞いております。

キルギス共和国との間の在留資格「特定技能」に係る協力覚書の交換に関する質疑について

【記者】
 7月6日にキルギス共和国との間で「特定技能」に関する協力覚書を締結しました。今回、中央アジアの国との連携を強化するねらいと、今後、キルギス共和国からの外国人材の受入れに関して、大臣として期待していることがあればお伺いします。

【大臣】
 7月6日、キルギス共和国ビシュケクにおいて、遠藤利明日・キルギス友好議員連盟副会長及びサディル・ジャパロフ大統領立会いの下で、合田秀樹在キルギス共和国日本国大使とクダイベルゲン・バザルバエフ労働・社会保障・移民大臣の間で、在留資格「特定技能」に係る協力覚書の交換が行われました。
 キルギス共和国を含む送出しが想定される国との間で協力覚書を作成することによりまして、送出国との問題解決のための情報共有、あるいは問題是正等のための協議の枠組み等が活用できるようになりますので、送出国との連携が強化されることになると思っております。
 期待としては、多くの有為な人材に、特定技能制度を利用していただいて、日本において活躍していただきたいというふうに思っております。

難民認定制度等に関する質疑について

【記者】
 難民審査の在り方についてですが、参与員制度も含めてですね。大臣は、これについては大きく見直す必要がないと、法律的に見直す必要がないというふうに常々おっしゃって、その有力根拠として、直近の109件の訴訟のうち、国が否定されたのが5件だけだと。間違ったのが5パーセントにとどまっているということですが、これは以前、刑事裁判なんかを見ますと、直近5年間で国が間違ったのは0.04パーセントなんですね。無罪だという判決が出たのが。確定判決です、これ。非常に、これに比べれば難民審査の国の判断というのは甘いということは言えると思うんですけれど、これを根拠に審査制度を見直さなくても良いとおっしゃっているところがよく分からなくて、これについては、審査制度がゆるいということの証明にはなっても、何ら国のあれが正しいんだと。全般に正しいんだと。難民審査制度がですね。ということの証明には全くならないと思うのです。これはどういうことですか。こういうことをおっしゃっているのか教えてください。

【大臣】
 見解の相違としか言えませんが、世の中の人は、109件のうち104件、この難民不認定ということに関する裁判において、そういう傾向が示されているということにつきましては、私はかなり理解を得られると思っていますので、そこはもう見解の相違と思います。

【記者】
 今の件ですけれども、前にも質問しましたが、日本は国内人権機関もなければ個人通報制度にも入っていない。それによって、司法判断というのは大きく分かれてくると思うのですけれども、その見解について考えてください。そのことを考えていらっしゃるのであれば、世界で120か国以上国内人権機関があるのに、日本にはないという事実があるのですけれども、そこについてどう考えていらっしゃるか。

【大臣】
 何度も御答弁させていただいていると思いますけれども、我が国の人権救済制度の在り方は、これまでなされてきた議論の状況も踏まえながら、不断に検討しています。
 そして、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大事にし、いきいきとした人生を享受できる共生社会の実現を目指して、個別法によるきめ細かな人権救済を推進しているところでありまして、これは今後ともしっかりやっていきたいと思っています。

【記者】
 入管法改正に伴う附帯決議のことで、2点手短に質問したいと思います。
 附帯決議では、難民認定申請における透明性・公平性に関する検討・配慮を行うとしておりますが、これ、具体的にどんなことを行うおつもりなのかというのがまず1点。
 関連して、まさに難民審査参与員の柳瀬房子さんの透明性・公平性が国会で問われたわけですが、大臣は、こう言っては何ですけれど、ひたすら柳瀬さんをかばうだけなので、むしろ疑惑、深まってしまっているわけですよね。ですから、これまで柳瀬さんが審査した内容を、個人名は伏せた状態で見せていただけないかと。特に、ミャンマー、シリア、アフガニスタンやコンゴなどからの難民認定申請者の審査内容は重要かと思います。記者に見せるのが難しいということであれば、野党を含む法務委員会の議員に見せていただけないかと。これまでの言動から考えて、どうしても大臣が柳瀬さんをかばう傾向があるので、柳瀬さんに忖度しない立場の人間が見て判断するべきかと思います。よろしくお願いします。

【大臣】
 前者の質問につきましては、法案審議において、難民調査官や難民審査参与員の審査や研修の在り方、未成年の送還忌避者などに対する在留特別許可の在り方、収容に代わる監理措置制度の運用の在り方など、様々な事項について法案審議の過程で御指摘を頂いて、そして衆議院においては修文が行われ、参議院においても附帯決議がなされたと。そういう経緯があります。当然のことながら、附帯決議で、今、御指摘があった、「難民等の認定申請を行った外国人に対し質問する際の手続の透明性・公平性を高める措置について検討を加え、十分な配慮を行うこと。」という附帯決議を頂いておりますので、これは真摯に受け止めて、その趣旨を踏まえて改正法の施行に向けて準備を進めるに当たり、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
 また、柳瀬さんの件につきましては、見解が相当相違していると思うものの、個別の一つ一つの審査について、どこをどう誰が対応したかということについては、お答えを差し控えさせていただきたいと思っております。

性的マイノリティに係る人権啓発活動に関する質疑について

【記者】
 先日、トランスジェンダーの経産省職員の女性用トイレ使用に関する判決が出ました。様々な反応があるものですが、多様性を尊重した社会を作っていくためには、性的マイノリティの人もそうでない人も理解し合うことが欠かせないと思います。法務省として今後、人権啓発活動にどのように取り組んでいくのか、発信方法など工夫していくことがあれば教えてください。

【大臣】
 法務省の人権擁護機関では、「性的マイノリティに関する偏見や差別をなくそう」を啓発活動強調事項として掲げ、YouTube法務省チャンネルにおける啓発動画の配信や啓発冊子の配布、SNSを利用した情報発信などの各種人権啓発活動を行っているところです。
 また、本年3月には、企業・団体の性的マイノリティに関する先進的な取組事例を紹介する特設サイト「Myじんけん宣言・性的マイノリティ編」を新たに開設し、今月4日に本格運用を開始したところであります。
 性的マイノリティの問題をめぐっては、先の国会で理解増進法が成立したところでもあり、多様性の尊重について、広く国民の理解を得られるよう、インターネットやSNS等も活用しながら、引き続き効果的な人権啓発活動等を推進していきたいと考えています。

関東大震災に関する質疑について

【記者】
 6月15日の参議院法務委員会で、社民党の福島みずほ議員が、関東大震災での朝鮮人・中国人虐殺に関する質問を齋藤大臣にしました。今年はちょうど関東大震災から100年目ですが、大臣は、一般論として、教訓として学ばなければいけないことはたくさんあるだろうというふうにお答えになりました。世界的にも、ヨーロッパやアメリカでは植民地責任や人種民族差別に対する歴史的な真相究明や、政府の公式謝罪などが今も続いています。関東大震災での中国人・朝鮮人への虐殺というものは解決済みの問題だと大臣は考えていらっしゃるのか、今、取り組むべき課題があるのかどうか、大臣のお考えになるところを教えてください。

【大臣】
 御指摘は、参議院法務委員会で、委員から関東大震災に関して質問がなされ、感想を求められた際に、私が「ちょっと法務大臣としてコメントすることができるのかどうかよく分からないが、100年前の出来事から我々が教訓として学んでいかなければならないことというのはたくさんあるのだろうなと、一般論として思っています。」ということを、突然の質問で御答弁させていただいたものだと思います。
 御指摘の答弁は、飽くまで、委員から感想を求められたことから、一般論としてこう述べたものでありまして、その答弁の中でも申し上げましたけれども、法務大臣としてコメントすることは困難であるということを御理解いただきながらも、一般論として申し上げれば、外国人に対する不当な差別や偏見はあってはならないというふうに考えているところです。
(以上)