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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年8月25日(金)

 今朝の閣議におきまして、法務省案件はありませんでした。

「全国一斉『こどもの人権相談』強化週間」に関する質疑について

【記者】
 一昨日の8月23日から「『こどもの人権相談』強化週間」が実施されておりまして、夏休みを終えて二学期が始まる中で、全国のこどもたちに向けた法務大臣としてのメッセージがありましたらお願いできますでしょうか。

【大臣】
 御指摘のとおり、8月23日(水)から8月29日(火)までの7日間、全国の法務局におきまして、「全国一斉『こどもの人権相談』強化週間」を実施しております。
 強化週間中は、「こどもの人権110番」による電話相談やLINEじんけん相談について、受付時間を延長したり、土曜・日曜にも相談に応じるなど、相談体制を強化しています。
 夏休みが終了し、学校が再開するこの時期、学校での生活に悩みを抱えて不安を覚えているこどもたちを一人でも多く救いたいと思って、このような取組を行っています。
 こどもたちに(対するメッセージとして)は、今、親や学校の先生、友達にもなかなか相談できず、悩みを抱えている皆さんには、法務局の相談窓口では、法務局の職員や民間ボランティアである人権擁護委員が、皆さんの希望をよく聞いて、相談内容の秘密を守りながら、どのように解決していくのがよいか、一緒に考えてくれます。法務局の相談窓口を利用して実際に救われたこどもたちも数多くいます。ですから、「話を聞いてほしい」と知らせるだけでもいいので、ためらわずに安心して相談してほしいなと。こどもの皆さんからの相談をお待ちしています。

東京少年鑑別所の視察に関する質疑について

【記者】
 少し前の話になりますが、今月2日に、大臣、東京少年鑑別所のほうに視察に行かれたと思います。特に鑑別所の視察は、着任以降初めてというふうに伺っております。鑑別所をめぐっては、2015年6月に(少年)鑑別所法が施行されて以降、技官の専門性をいかして、こども本人や保護者のほか、地域の学校や福祉機関からの相談も主要業務の一つに拡大されて、業務範囲は広がっていると思います。こうした現状を踏まえて、視察を通じた所感とともに、改めて鑑別所に求められる、期待している役割について御見解を教えてください。

【大臣】
 8月2日、東京少年鑑別所において、在所者の特徴、鑑別のために用いる心理検査や少年たちが取り組む課題作文等の説明を受けたほか、在所者が生活している寮舎、地域の方からの相談対応を行う外来相談棟などを視察しました。
 少年鑑別所では、非行の背景にある家庭環境、交友関係、性格などの特性を把握するために様々な働き掛けが行われておりまして、中でも、実際に少年や職員が書き込んだ日記を私は拝見しました。少年たちに立ち直ってもらいたいという職員の熱意とその熱意に応えて変化していく少年の心情がつづられておりまして、大変感銘を受けました。
 また、「法務少年支援センター」の名称を用いて、いじめ等の児童・生徒の問題行動への対応など関係機関等と連携した様々な地域社会への支援が行われていることも確認しました。
 少年鑑別所は、入所した少年の特性の把握、あるいは健全な育成の観点から、専門的知見を用いて丁寧な働き掛けを行っており、引き続き、その重要な役割を着実に果たしていくことが社会から求められていると思います。
 加えて、地域社会の非行防止のための活動につきましては、少年鑑別所法の施行以降、その実施件数は一貫して増加しており、家庭での子育ての問題、学校でのいじめの問題など幅広い相談に対応するようになっておりまして、引き続き、こうした地域社会のニーズに的確に応えられるよう、学校等の関係機関との連携を強化してまいりたいと思います。
 (少年鑑別所の)体育館を拝見したときに、まだ七夕からそんなに日が経っていなかったものですから、笹の葉に少年たちの夢を書いた短冊が飾ってあり、その中に「自動車整備士になれますように」という思いが書かれている短冊がありまして、是非ともその夢を叶えてあげたいなというふうに短冊を見ながら強く思ったというのが、一番印象に残っている出来事でありました。

大阪入管の常勤医師に関する質疑について

【記者】
 大阪入管の酩酊してサスペンドされた医師の話ですけれども、診察業務から外れた医師。これ、大臣が把握されたのは2月下旬です。2月下旬に把握されているんですね。半年以上経つわけです。この医師、実際に問題が発覚したのは1月20日。7か月経っていると。すぐ、1月20日以降は、この医師は業務から外れたというふうに国会でおっしゃった。今の時点で、この大阪入管の常勤医師は、ウィシュマさんの問題なんかを受けて入管には常勤体制を整備したということだったと思うんですけれども、現時点で大阪入管の常勤医師はいるのかどうか。この当該医師以外にですよ。それから、もう半年以上経っているわけですけれど、この医師自体、当該の医師、どういう状態なのか。雇用関係はあるのかどうか。それから、処分はどうなっているのか。これを教えてください。

【大臣】
 大変申し訳ないですけれども、事実関係については、今言われてもお答えできないので、確認をする必要があるというふうに御容赦いただけたらと思います。

【記者】
 それでは、それを調べて報告していただけますでしょうか。連絡していただけますか。お調べになればすぐ分かる話だと思うので。速やかにね。今週中にね。

【大臣】
 今の御指摘については、把握次第御連絡するようにします。

送還忌避者のうち本邦で出生したこどもの在留特別許可に係る対応方針に関する質疑について

【記者】
 8月4日に大臣が公表された、本邦で出生したこどもの在留特別許可に係る対応方針に関して質問させていただきます。非常に重要で関心の高いテーマだと思いますけれども、法務省として公表されているのは、(8月)4日の記者会見の概要のみで、国連の「子どもの権利条約」や自由権規約委員会などから指摘されてきたこどもの最善の利益や家族統合などの観点との整合性や、従来からの在留特別許可のガイドラインをどのように見直すのかといった方向性が今のところ示されておりません。
 実際にこの間改正入管法の附帯決議でも、在留特別許可のガイドラインの策定に当たっては、子どもの利益や家族の統合、日本人又は特別永住者との婚姻関係や無国籍性への十分な配慮を行うことというのが入っておりますし、それから2022年には日弁連も更に細かい政策提言を出されています。
 やはり、国際人権基準に即した形で、非正規滞在者の正規化を行うというのであれば、在留特別許可の在り方に関して、当事者の声や支援団体、それから専門家も含めたパブリックコメントのようなものも必要だと思いますし、その公表も必要だと思いますが、大臣の御所見をお願いします。

【大臣】
 まず、入管法改正法では、在留特別許可の判断の透明性を高めるために、新たに考慮事情を法律で明示することとし、御指摘の点についても、法律で明示された考慮事情のうち「家族関係」又は「人道上の配慮の必要性」として考慮されることになります。
 その上で、それぞれの考慮事情の具体的な考え方というものを、運用上のガイドラインとして策定することとしているところ、新たなガイドラインの内容は、現在検討中でありますが、本邦で家族と共に生活するという子の利益の保護の必要性を積極評価することなどについて、明確に規定する必要があると私は考えています。
 そして、これまでの国会審議等において、様々な御意見を既に数多く頂いているところでありまして、それらを踏まえ、新たなガイドラインを検討し、入管法改正法の施行日を踏まえた適切な時期に策定、公表する予定になっております。
 パブリックコメントについて御指摘がありましたけれども、既に国会審議等において様々な御意見を頂いてきております。私自身、十分把握してきているつもりであります。また、新たなガイドラインは飽くまでも在留特別許可の許否の判断の透明性を更に高めるため、その判断に当たって考慮され得る事情を例示的に示すものでありまして、基準そのものを示すというものではないので、パブリックコメントをする必要はないと考えていますが、その上で、新たなガイドラインが策定された暁には、その運用状況をしっかりと、また注視していかなければならないというふうに考えています。

【記者】
 国際人権基準との整合性というか、そういうのを公表されるお考えはないのでしょうか。

【大臣】
 今のところありません。

【記者】
 外国籍のこどもへの在特の関係ですけれども、方針が示されてから少し経ちますが、実際に在特が出されている例は本日までにあるのかどうかということと、あと支援団体から、もっと要は海外で生まれて幼少期に日本に来たこどもを始め、もうちょっと範囲を広げてほしいという声が、先日も会見がありましたし、支援団体から。今日もそのような動きもあるんですが、改めてそういった声に、これは私の考え的になるのかもしれませんが、今回の方針はともかくとして、もうちょっと大臣から前向きなメッセージが届くときっとそういったこどもたちも安心できるんじゃないかなと思うんですが。大臣のお考えをよろしくお願いします。

【大臣】
 まず、今、現にこの方針によって在特(在留特別許可)が与えられた子がいるのかどうかについては、確認しなければならないんですけれど、ただ、私としては201人のこどものうち、最終的に何人に与えたかということについては、公表したいというふうに思っています。今、この時点で何人というのは、突然(の質問)なので、お答えは差し控えざるを得ないのですが。ただ、(8月)4日に、午前中に方針を公表したら、もうその午後から早速アプローチを始めていますので、できるだけ私としては急いでやっていきたいというふうに思っています。
 それ以外のことについてどうするかということにつきましては、今回の方針は入管法改正法施行時までに、我が国で出生して小学校、中学校又は高校で教育を受けており、引き続き我が国で生活していくことを真に希望しているこどもとその親について、親に看過し難い消極事情がある場合を除いて、家族一体として我が国社会との結び付きを検討して、個別に在留特別許可をする方針というふうにしたわけであります。もっとも、先ほど御質問がありましたけれど、新たなガイドラインというものを、今、策定しておりますので、このガイドラインにおきましては、未成年者であるかどうかにかかわらず、不法滞在者全体に対して在留特別許可の判断を見直すということを予定しております。ただ、内容については、先ほど答弁させていただきましたように現在検討中ですので、それ以上お話をすることはできないということであります。
(以上)