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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年9月8日(金)

 今朝の閣議におきまして、法務省も関係する案件としまして、地方公共団体情報システム標準化基本方針の変更について閣議決定しました。

外国人との共生社会に関する質疑について

【記者】
 先月4日に本邦で出生したこどもの在留特別許可に係る対応方針について発表(されて)から、もう1か月弱が過ぎました。この決断をめぐっては、歓迎の声が上がる一方、地域に目を移すと、埼玉県川口市議会が一部の外国人の取締り強化を求める意見書をまとめたり、また、諸外国でも共生社会の実現や社会統合に向け、摩擦や分断が生まれるなど多くの苦労があるように思います。その上で、改めて、日本が外国人との共生社会を実現する上で何が大事だというふうにお考えでしょうか。この10か月弱の大臣の御経験を踏まえ、改めて御所見を伺えたらと思います。

【大臣】
 今日、国境を越えた社会活動、経済活動が活発となってくる中で、しかも我が国の人口もこれから大きく減少もしていきます。我が国における外国人の皆さんとの共生社会の実現というものは、私は時代の要請であろうというふうに思っていますが、一方で、諸外国では、その実現の在り方について社会的な分断ともいうべき状況が見られるということもあります。この問題は、本当に非常に難しい問題であると認識しています。
 その上で、外国人の方との共生社会を実現する上で大事なことを一つ挙げるとすれば、私は、日本人と外国人が互いを尊重し合える環境をつくるということではないかと考えています。
 そのためには、いつも申し上げていることでありますが、日本人において、外国人に対する差別や偏見をなくして、その人権に配慮して、ルールにのっとって外国人を受け入れ、適切な支援等を行っていくことと同時に、外国人においてもルールを守って我が国に滞在していただき、国は、ルールに違反する者に対しては厳正に対応していくということが重要であると考えています。
 私が最も危惧しますのは、日本に在留する外国人に不法滞在や重大な前科があるというような方が増え続けることで、日本人が外国人を不信の目で見るようになってしまうこと、これは何としても避けなければならないというふうに考えています。
 私は、大臣就任後、約10か月の間、共生社会の実現・維持の基盤を整備するために、送還忌避・長期収容問題を解決するための入管法改正や、本邦で出生したが在留資格を有さず、様々な困難を抱えている外国人のこどもへの対応など、諸施策の実現に強い思いを持って取り組んでまいりました。
 しかし、これからも、日本人と外国人が互いに信頼し合って、生き生きと活躍する安全・安心な社会を共に作り上げていくために、国民の皆さんの理解を頂きながら前進を続けていきたいと思っています。

入管庁を装う電話等に関する質疑について

【記者】
 入管庁を装って個人情報を聞き出そうとしたり現金を要求したりする電話などが、外国人を雇っている企業などに相次いでいるという一部報道がありました。こうした状況を受けて、法務省としての対応と、詐欺などの被害など、把握されていることがあるのかを教えていただきたいです。また、改めての注意喚起をお願いできればと思います。

【大臣】
 御指摘の報道は、もちろんよく承知しています。入管庁にはこれまで、入管職員を名乗る者から、知人の外国人が空港の入国審査で足止めされていると。そのために入国手数料を振り込むよう要求する電話があったという相談や、入管法改正に伴う在留資格確認の厳格化という名目で実在する外国人の銀行口座等の情報提供を雇用主に求める文書が届いたなどという相談などが寄せられています。
 しかしながら、入管庁が電話で金銭を要求することは一切ありませんし、また、入管法改正に伴う在留資格確認の厳格化という名目で情報提供を求めることもありません。
 入管庁におきましては、こういう状況を受け、これまでに相談が寄せられた具体例をホームページに多言語に対応する形で掲載しているほか、SNSやメール配信等を通じて、在留外国人等に対する注意喚起を行っています。
 このような詐欺などの被害につきましては、随時必要な情報収集を行って、先ほど述べたホームページを更新するなどして、実際に金銭を振り込むなどという被害が発生しないよう努めているところであります。
 引き続き、我が方としては、在留外国人等が不当な被害に遭うことがないよう、適切に対応するとともに、報道関係の皆様におかれても、周知の御協力をお願いできれば有り難いと思っています。

在留特別許可に関する質疑について

【記者】
 冒頭で質問があった件で質問します。在留特別許可の運用についてですが、これは今まで日本で出生したりとか、日本で定住性が認められるその家族に対して在留特別許可を認めるというもので、今までのような、今までの生活を維持できるようにするということが主目的ですから、外国人の色々犯罪があったり、トラブルがあったりというのはありますけれども、それとは直接関係のないことだと思います。ですから、在留特別許可を出すこと自体、もちろんどこまで対象範囲を広げるかとか、検討課題はあると思うのですが、それほど難しいことではないと思います。そのことと、そういう御認識を大臣が持っていらっしゃるかどうか。それから、刑事罰を科した場合も、もちろん今までも在留特別許可で日本で定住性を認められる場合、日本社会に社会復帰させるといったような形もあったと思います。ということで、色々トラブルはもちろんあるんですけれど、それには厳正に対処するとしても、日本で定住するということについては、今までどおり在留特別許可で運用するといったことも考えられると思うんですけれども、特別、そういった対応を、刑事罰を厳しくするというのは当てはまらないと思うんですが、大臣のお考えをお願いします。

【大臣】
 この件は、従来何回も私の考えは答弁させていただいておりますので、それをもう1回よく見ていただければというふうに思います。

人権救済制度の在り方等に関する質疑について

【記者】
 今年は関東大震災から100年の節目の年で、朝鮮人、中国人などの官民による虐殺事件に関する追悼行事やシンポジウム、それから政府要請などが各地で数多く行われています。
 中国や韓国からも御遺族が来日したり、今年はアメリカからもアジア系マイノリティの方々が来日されて、日本政府に対して、事件の真相究明や公的な謝罪を求める記者会見を行ったり、それから日本政府への要請も行っています。
 日本政府も2009年には、内閣府中央防災会議が関東大震災時の殺傷事件に関する調査報告書を公表しましたし、それから日弁連も関東大震災の人権救済申立てを当時の小泉政権に対して行っています。今国会でも、内閣委員会で杉尾議員が質問したり、法務委員会で福島議員が質問したり、過去にも質問主意書が7、8回、政府に対して提出されてきました。しかし、政府内において事実関係を把握する記録は見当たらないという政府答弁を、先日も官房長官もそういったお答えがありましたが、そういった答えが繰り返されるだけです。
 欧米ではこういった取組がずっと続いているわけですけれども、日本政府は1995年に国連人種差別撤廃条約に加入して、2016年にはヘイトスピーチ解消法も制定されましたけれども、国連から何回も勧告が出ているにもかかわらず、包括的な差別禁止法の制定や、政府から独立した国内人権機関の設置は現在も行われていません。
 法務省も、このことについてはホームページ上で、人種差別撤廃条約の加入から四半世紀とか、パリ原則に準じた国内人権機関設置に関する勧告・要請等といったリストをネットでもアップされています。そういうことから考えて、法務大臣、そして日本政府として、関東大震災の100年をきっかけに、朝鮮人、中国人虐殺事件の真相究明や公的謝罪などに取り組むお考えがあるのかどうか。そして、包括的差別禁止法の制定や国内人権機関の設置をなぜこの間ずっと放置し続けているのか、改めてお答えください。

【大臣】
 まず一点目ですけれども、飽くまで一般論ですが、特定の民族や国籍の人々を排斥しようとする趣旨の不当な差別的言動ですとか、ましてやそのような動機で行われる暴力や犯罪はいかなる社会においても許されないというふうに考えています。ただ、具体的な御指摘につきましては、官房長官が記者会見でお答えしているとおりでありまして、それ以上について法務大臣としてお答えすることは困難でありますので、御理解いただきたいというふうに思っております。
 二点目のお尋ねの、国内人権機関を含む人権救済制度の在り方につきましては、何度もお答えしているのですが、これまでになされてきた議論の状況も踏まえて、不断に検討していきたいと考えています。
 現時点においては、個別法による人権救済を推進しつつ、各種の人権課題の改善状況を見定める、そういったことをしているところであります。
 これも繰り返しの答弁になりますけれども、いずれにしても、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現というものを目指して、個別法によるきめ細かな人権救済を推進していきたいと考えています。

「旧統一教会」に関する質疑について

【記者】
 文化庁が「旧統一教会」に関し、過料を科すように地裁に通知をしました。改めて受け止め等をお願いします。

【大臣】
 報道はもちろん知っていますけれども、文部科学省において所管する事柄に関することでありますので、私の立場でお答えをするというのは、なかなか難しいのかなと思っています。

衆議院議員の逮捕に関する質疑について

【記者】
 昨日秋本さんが逮捕されました。法務大臣として、それに対する思いと、それから同じ千葉選出の国会議員としての思いと、今後のこれを踏まえた対応みたいな話を聞かせてもらえますでしょうか。

【大臣】
 秋本さんに関して言えば、同じ千葉県の議員の仲間でありますし、更には彼が公募で選ばれるときにも関わったということがありますので、そういう意味では色々な思いがありますけれども、これは検察当局における、個別事件における捜査ということでありますので、法務大臣として私からコメントは差し控えなければならないというふうに思っています。御容赦いただけたらと思います。
(以上)