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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年9月15日(金)

 今日の閣議において、法務省の関係案件はありませんでした。まず、その点を私から御報告申し上げます。

司法外交の取組に関する質疑について

【記者】
 (本月)13日の就任会見でも言及されておりました司法外交についてお伺いします。今年の7月にはG7司法大臣会合が開かれ、議長国である日本が橋渡し役になって、ASEANの法相も初めて一堂に会し、司法分野での連携を通じ、各局との協力関係を深めることになりました。こうした司法外交そのものは、2018年4月に官房国際課が新設されてから積極的に進めているところでもあると思います。改めてこの司法外交の取組について、その意義をお聞かせください。

【大臣】
 「司法外交」という言葉は昔からあったわけではなくて、まさに今御指摘いただいたように、ここ3年、5年くらいですかね。
 国際情勢が非常に激しく変動する、あるいは世界が一つ、グローバリゼーションの中でつながっていく。そういう大きな潮流の中で、法務省として世界の各国にどういう貢献ができるんだろうかという議論が内部的にあって、そこからその時々の幹部のリーダーシップによってスタートしていく。そこから取組が始まってきています。
 具体的には、2018年4月に官房国際課というのが、まさに官房のど真ん中にできまして、私も非常に期待をしているセクションでありますけれども、ここから新しい司法外交の取組が始まりつつある。だいぶ進みつつあるというのが現状です。この後ちょっと具体的に申し上げます。私も、そういう流れをもっと押し進めたい。着実に押し進めたい。相手のある話ですので、日本の考え方、法務省の考え方だけで進めるわけにはいかないと。合意を取りながら、同意を得ながら、賛同を得ながら進んでいくということになりますけれども、非常に新しい大きな意義を持った行政分野として、私も非常に意欲を持って取り組みたいというふうに思っております。
 基本的なことを申し上げれば、全ての人がルールの下で安全・安心に暮らせる「誰一人取り残さない社会」を実現するために必要な「法の支配」や「基本的人権の尊重」といった価値を日本から世界に発信し、世界各国に浸透させていくための取組であります。
 具体的には、2021年3月に第14回国連犯罪防止刑事司法会議(通称「京都コングレス」)をホストしたほか、アジア諸国を中心に、戦略的に法制度整備支援を実施しているところでもあります。国際機関への法務省職員の派遣や、司法外交の展開に必要な国際法務人材の育成、そういう視点からも人を育てる。そういう視点からも、時間がある程度掛かるかもしれませんけれども、大いに今、努力を進めているところでもあります。制度を作る。人材を作る。そういう地道なところからもう始まっているのが実態だというふうにいえると思います。
 こうした法の支配によって、国際秩序を考えていこう、作っていこうという考え方は、日本オリジナルではないんですけれども、やはりロシアによるウクライナ侵攻によって多くの国々で、法の支配そして法の支配に基づく国際秩序が非常に重要だという認識が広がっていますよね。そういうものに対して、重大な挑戦があった。我々はもっともっとそれを守るために連携してやっていこうという日本のリーダーシップのもとで、ASEANとG7と、その真ん中に日本がダブる形で入って、これはつい先々月の話ですけれども、7月に司法外交閣僚フォーラムを行い、戦略的に、中長期的にこれをやっていきたいという趣旨で、具体的な第一歩を踏み出したところであります。ASEANについても、ASEAN域内国が域外の国と司法、法務、法務司法の分野の閣僚級会合というものを初めて開催し、我々がそこに入って、日ASEAN特別法務大臣会合というものを開催しました。また、(我が国では)15年ぶりの開催になったわけですけれども、我が国でG7司法大臣会合も開かれました。(本年)7月ですね。そして、日本がその間に入って、ASEANとG7双方の閣僚級の方々が一堂に会して、日本が全体を取りまとめるような形で、ASEAN・G7法務大臣特別対話というものも開催しました。だから、合わせて三本の会合を作って、主催をして、法の支配を進めていく。そういう大きな枠組み、潮流の原点みたいなものを7月に踏み出すことができたと。大変意義深いことであり、また大切な課題だというふうに思っております。この三つの会合の具体的な成果としては、「ウクライナ汚職対策タスクフォース」の設置、あるいは人材育成という観点から、「ネクスト・リーダーズ・フォーラム」の創設。こういったものにも合意をして着実にやっていくと。ですから、(司法)外交というのは、継続的に高い理念を持って、継続的に丁寧にやっていくと。それしかない。それが一番効くんですよね。私はそう思います。だから、そういう思いですばらしい流れが生み出されつつあると。法務大臣として、微力ですけれど、全力で取り組みたいと、そういうふうに思っております。御理解いただければと思います。

視察を行っていきたい現場に関する質疑について

【記者】
 法務省は全国に様々な施設や関連する団体などがありますが、大臣が今後力を入れて視察を行っていきたい現場はあるかということと、理由を併せて教えてください。

【大臣】
 本当に大事な御指摘でして、私もそういうふうに強く感じていますけれども、この法務本省で、様々な情報・考え方・政策を深めていきたいことと、法務省は約5万人の職員を擁し、法務行政は、裾野がすごく広くて、大勢の方が携わっておられて、全国津々浦々に関係がある。そういう大きな大きな組織だと思うんですね。ですから、法務本省における仕事は最優先でしっかりと取り組みますけれども、その合間を縫って、時間を何とか融通して、できるだけ地方の部局も回りたいというふうに思っております。全国で786施設あります。北は北海道から、南は石垣島ぐらいまであるわけですよね。クルーズ船が入ってきたら、またそこで対応する職員もいるわけでありますから、そういう全体像をしっかり押さえて。それが一つ。もう一つは、現場にいる職員の方の様々な意識・課題を是非吸収して地方部局のほうから本省を見て、どういうふうに見えているか、どういうことが求められているのか。現場に近い、国民に近い、そういう場所にいる方々の意見をよく聞きたい。交流したり、意思疎通したり。そういう思いを大変強く持っています。具体的な視察先については、事務方とよく相談させていただいて、一生懸命効率的になるべく広く回りたいと、そんなふうに思っています。

法務副大臣及び法務大臣政務官の就任等に関する質疑について

【記者】
 今日、政務官と副大臣が新しく決まりましたが、このお二人、大臣はどういう印象お持ちかというのと、どう仕事されていきたいかというのをまず伺いたいんですが、全体で見ると、副大臣・政務官合わせて54人の中で女性が0ということで、前回ですと11人いたんですけれども、閣僚としては増えてはいますが、結果として政務官たちは(女性が)いないということで、この状況をどう見られているかというのを併せてお答えください。

【大臣】
 まず、本日の閣議において、新法務副大臣に柿沢未途衆議院議員が就任され、また大臣政務官は中野英幸さんが任命されるということが閣議で決定されました。柿沢未途さんは、よく知っています。個人的にね。本会議場で隣にずっと座っていた時期もあります。中野英幸さんも政策集団は一緒ですし、埼玉県なので、個人的なあれですけれど気心の知れたお二人だから心強いなという思いは強くあります。
 女性の副大臣がいないということですけれど、私の立場でちょっと言えないです。「こうです。」とも、今、申し上げられないのは御理解いただきたいと思います。

送還忌避者のうち本邦で出生したこどもの在留特別許可に係る対応方針に関する質疑について

【記者】
 前回の就任のときの記者会見のときに、入管問題ですけれども、こどもへの特別の在留許可の方針ですね。これについては、しっかり引き継いでいかれるということをおっしゃっているんですけれども、一方で、この方針では救われない人たちが、こどもがいっぱいいると。未成年で290人、去年の末でですね。その中で、日本で生まれていない人たちを除くと200人になるんです。日本で生まれていない人たちといっても、1歳のときに日本に抱っこして連れて来られて今まで育ってきた人たち。17歳とかになった方たちというのは、日本で基盤があって、この人たちは日本語しかできないのに帰すということは、大変な不利益になってくるわけですよね。それから、親が何か犯罪を、例えば不法入国して偽造パスポートで来た人。だけど、こういう親のこどもたちでも、こどもには責任は全くないわけですよね、これはね。そういう人たちを帰してしまうと。このルールを厳格に適用するのであればですね。それから、ずっと日本で生まれたんだけれども18歳まで育って高校を卒業したと。そういうことで、そういった人たちは例外になってしまうわけですよね。このルールからすればですね。そういう人たちは救われない。そういう人たちについてはどうされるのか。これを教えてください。

【大臣】
 これはまず、厳格な出入国管理という大原則、大枠がありますよね。これを外しちゃって融通性を持ってやりましょうというわけにはいかない。それは御理解いただきたいと。そうじゃないと、ルールを守ってくれなくなりますよね。自由にどうぞとはできない。その中で、しかし具体的妥当性、その方への人道上の配慮、特にこどもたちへの配慮。それもまた重たい命題ですよね。そのバランスをどう取るかということで、齋藤(前)大臣も非常に苦労されたと思うし、私もこの問題を担当させていただく中で、非常に苦しい、知恵を使わなければいけない大事な問題だというふうに、今、しっかりと認識しているところでもあります。御心配は、例外的に認めるそのまた先に外される方がいるということですけれど、その方々も在留特別許可という、全体を担保する仕組みがありますから。だから、日本で生まれたこどもさんも、一つ一つ個別に在留特別許可が適用できるかどうかを判断していくわけですよ。同じこと。残されたこちら側の日本で生まれなかった方々についても、人道上の配慮をするべきか否か、そういう判断が働いていきますので。全部「駄目ですよ。」と線を引いてしまうものでもないわけですよね。だから、制度全体を崩してしまうわけにはいかない。でも、一人一人を大切にしなければいけない。常にバランスとはざまの中で、これからも苦しみながら、適切な道を探していかなければいけない。今、我々がやっている判断は、齋藤(前)大臣が(本年)8月に打ち出された、まずその方針を進めていこうというふうに思っています。
(以上)