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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年9月26日(火)

 今朝の閣議におきまして、法務省案件として、「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」が閣議決定されました。
 この政令は、先の通常国会で成立しました入管法等一部改正法のうち、16歳未満の外国人の在留カード等の有効期間の満了の日を改める部分の施行日を令和5年11月1日にし、また、補完的保護対象者の認定制度を創設しますが、この部分の施行日を令和5年12月1日とするものです。
 皆さんよく御存じのように、12月1日施行となりました補完的保護対象者の認定制度については、人道上の危機に直面している真に保護すべき方々を確実に保護する制度であることに鑑みまして、早期に施行することとしたわけであります。
 補完的保護対象者として認定された方々は、原則として「定住者」の在留資格を付与され、より安定的に我が国に在留することが可能となり、制度的な裏付けのある支援を受けることも可能になってまいります。
 改正入管法の趣旨に従って、制度の適切な運用がなされるとともに、補完的保護対象者として認定された方が適切な支援を受けられるように、着実に法施行の準備を進めてまいりたいと考えています。

補完的保護対象者の認定制度に関する質疑について

【記者】
 先ほどおっしゃった補完的保護対象者の施行についてですが、成立時は、公布から施行まで9か月以内ということで明記されていたと思いますが、実質的に今回3か月近く早期に早まったということについて、この制度について期待をしている、対象になると御自身が思っている方たちもいらっしゃると思うので、改めてこれだけ早期に施行したということについて、御所見を教えてください。

【大臣】
 まさに今回の入管法は、保護すべき方を迅速に、またきちっと保護するということが柱の一つになっているのは御存じのとおりです。他の規定の準備は様々必要ですけれど、まずこの補完的保護対象者。こういった方々の現実、非常に御苦労も多いし、そういった方々を早く迅速に保護したいという思いは、立法過程において、国会においてもそういう議論がたくさんありました。また、我々もそれをしっかり受け止めてきました。ですから、それを実現するためには、まずここを優先的に、同時並行で全部全力でやっているんですけれども、その中で特にこの補完的保護対象者の認定制度については、早くスタートして、多くの方々の苦しみを早く救いたいと、そういう思いです。現実に到達するには、いくつか審査があるわけですけれど、こういうものがスタートするというだけで、グッドニュースだと思うんですよね。そういう苦境にある方にとっては、非常にグッドニュースになるだろうと思っているわけです。願っているわけです。そういう趣旨で、早期にやりたい。そういう我々の思いがあります。

相続土地国庫帰属制度に関する質疑について

【記者】
 今年4月に施行された、土地を相続した人が使い道がない場合に国に引き取ってもらう相続土地国庫帰属制度についてお伺いします。所有者が分からない「所有者不明土地」が全国的に増加する中、国には利用していない土地をあらかじめ手放すよう所有者に促し、将来的に管理されずに放置されることを防ぐ狙いがあると理解しています。施行から約半年が過ぎ、各地の法務局には相談が相次いでいると伺っていますが、国が引き取る条件として更地にしなければならないといったように、負担金の支払いも生じ、申請のハードルの高さを指摘する声もあります。その上で、大臣に現状の制度の利用の御認識と、改めて周知について御所見を伺います。

【大臣】
 私の地元も地方都市でありますので、地元を歩いてみると、相続はしたけれども管理できないと、持て余してしまうという土地がずっと増えてきています。振り返ってみると、最近急に起こったようにも思いますけれど、徐々に徐々にこういう土地が増えてきて、それが累積してきたという、そういう背景の下で法改正が行われ、今年の4月27日に施行されました。それから約半年であります。この間の状況を振り返ってみますと、この制度、本年8月末日時点で、全国の法務局に885件の承認申請がなされ、その背景に、まずは相談ですね。これは1万4,000件を超えるというふうに報告を受けております。半年で(約)1万4,000件の相談がまず寄せられるということは、そういう状況を見ますと、本制度が相続した不要な土地を手放したいと、国に戻したいという国民のニーズにある程度沿ったものであるということがいえるのではないかなというふうに考えております。実際にこの(約)1万4,000(件)の相談の中からどれだけのものを認めていくのかというのは、まさに今やっている、これからなのですが、まずこの制度をより理解してもらって、より活用してもらって、御指摘のようにハードルが高いという声があることは、よく承知しておりますが、まずは色々な御議論を経て法改正ができたわけですから、施行から半年経ちましたから、まず全力で我々はこれを周知して理解してもらって、最大限活用してもらって、今、そういう段階にあるというふうに認識しております。地方の経済を盛り上げていくには様々な要素があって、これも大きな私は効果を、ボディブロー的に地域社会とか地域経済の在り方に良い影響を及ぼしてくれるのではないか、そういう期待を持って、しかし一定の責任を持って、この制度を有効な運用に導いていきたい。そんなふうに思っております。

国際テロリズム要覧に関する質疑について

【記者】
 近日中に国際テロリズム要覧が公表されるということですが、なぜこうしたものを作成しているのか、どのように活用してもらいたいのか、最近のテロ事情も含めて教えていただければと思います。

【大臣】
 これは、今から30年前、1993年に作成が始まった要覧です。ちょうど今年で30年。ちょうど世界が、国際化が進み、更にグローバル化する中で、こういう国際テロリズムというものの潮流が、色々な背景がありますけれども、広がってきて、日本は島国ですけれど、日本にいてもやはり多くの国民が脅威に不安を持つような、ちょうどそういう時代の流れを背景に、(19)93年から、情勢の変化をその時々反映させながら、国際テロリズム要覧を公安調査庁が作成し、発表してきています。公表資料、国際機関や各国政府の発表、研究機関の報告書、内外の各種報道等の公開情報を分かりやすく取りまとめて公表すると。やはり世界のテロ情勢について国民の皆様が正確に知りたいとしてもなかなか難しいですよ。新聞(記事)だけを拾っていても、色々なことが色々なところで起きますから、やはり一定の期間、重要な必要な資料を全部束ねて整理し、国民の皆様に正確に脅威を認識してもらうということが多くの政策の基本でないですか。そういう意味で非常に重要な役割を持った情報提供として我々は考えております。私もしっかりとこれは目を通していきたいと思っています。

死刑執行に係る情報公開に関する質疑について

【記者】
 先日、土曜日に、札幌在監だった死刑囚が病死したということで発表がありまして、法務省や矯正管区で比較的細やかに病状悪化の経緯を明らかにしていただいたので、ある程度手厚い看護体制の下で死亡されたんだなということを読者に伝えることができました。一方で、死刑執行時の広報については、打って変わってといいますか、情報公開が乏しいと感じておりまして、大臣、先日の就任会見で、死刑に関して、世論が支持しているということを強調されていたと思うんですけれども、現実の死刑執行がどのようなものなのかというのを知ることなく形成された世論というのが健全なものといえないのではないかというような意見もあると思うのですが、今後の情報公開の在り方について、お考えをお伺いできたらと思います。

【大臣】
 お尋ねの死刑確定者については、9月23日土曜日、札幌刑務所で誤嚥性肺炎による呼吸不全により死亡したと、こういう報告は受けております。個別の死刑確定者に関して所感を述べるということは差し控えたいと思っております。一般論として、国民の理解を得るために我々行政が情報公開を進めるということは重要な在り方だというふうには思いますけれども、個別の死刑執行の判断に関わる事柄を明らかにするということについては、死刑執行を待つ立場にある死刑確定者の心情の安定を害する、そういうおそれがあり慎重な対応が求められているというふうに思います。非常に難しい問題だと思いますので、慎重に、また厳正にこれは考えていきたいと、そういうふうに思っております。

送還忌避者のうち本邦で出生したこどもの在留特別許可に係る対応方針に関する質疑について

【記者】
 これは入管庁の対応に少しちょっと問題があるんじゃないかということで、昨日弊紙報道させていただいた件、こどもへの在留特別許可などについての話ですけれど、今、東京地裁で裁判、争われている件ですけれども、クルド人の女性で逮捕状が出ていると。国からね。だけど難民認定されないと。この方、離婚して四人のこどもを育てていると。一人は心臓病で何回も手術をしているということなんだけれども、女性は働けなくて、要するに「特定活動」のビザが難民認定されないものだから取り消されちゃっているわけですよね。だから仮放免のまま四人のこどもを育てていると。だけど、先日発表されたこどもへの在留特別許可の方針で当てはまる子は一人しかいないんですね、これはね。要するに、日本生まれで就学しているという子は一人しかいないという、四人のうちね。だから非常に厳しい状況に、働きもできない、こどもは病気だ、難民認定もされないという状況にあるんですけれども、これで入管庁はやっぱり認めようとしていないわけなんですけれども、こういう人はやっぱり今回の特別許可の方針で救済していくべきではないかということをちょっと思うんですけれど、これ、いかがでしょうか。
 それから、そもそも一旦退去強制令書が出ると、国から逮捕状が出ていようがこどもが病気になろうが一切これを勘案してこないという話。これは国際こどもの人権条約とか色々な国際条約、難民条約とか、色々な国際条約違反になるのではないかと思うんですけれど、このへんはいかがでしょうか。

【大臣】
 お尋ねのことは、今もずっとお話を伺いましたけれど、やはり個別の問題であり、訴訟になっている問題でありますので、私がここでお答えできるものではありません。お答えすることは適当でないと思いますので、そこも御理解いただきたいと思います。

難民認定制度に関する質疑について

【記者】
 先ほど、補完的保護の話が出ていましたが、その一方で難民認定制度そのもの、難民一次審査のことですとか、それから先の国会でも問題になりましたが、難民参与員制度の見直しというのは、今、ちゃんと並行して、補完的保護と並行して進んでいるのかどうかというのが一点です。

【大臣】
 難民条約に基づく手続、これを公正、公平なものとして、またしっかりと進めていくということが法案審議の中でも求められていたというふうに思います。難民審査参与員制度の適切な運用ということも大きな役割を担っていることは事実でありまして、様々な国会での議論を踏まえ、当然行政としては改めるべきことがあるのかないのか、それは日々不断に視野に入れ、検討もしている。そういう状況です。繰り返しになりますけれども、先般の通常国会で成立しました入管法の全体の在り方が、まずグローバルな社会の中で共生社会を作るんだと。そのためには、ルールを守らない方は、やっぱり厳しくそれは守ってもらいたいし、保護すべき方は保護したい。その後にようやく信頼関係に基づく共生社会が生まれてくる。そういう根本認識があります。ですから、そこを是非また御理解いただいて、また我々も、また個々の課題にはしっかりと対応していきたいと思っています。
(以上)