検索

検索

×閉じる

法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年9月29日(金)

 今朝の閣議におきまして、法務省案件として、「不動産登記令等の一部を改正する政令」が閣議決定されました。
 続いて、皆さんの御質問の前に、私から1点御説明させていただきたいと思います。「法の日」と「法の日」週間のことです。
 10月1日が「法の日」として定められまして、10月1日から始まる一週間、10月7日までが「法の日」週間とされております。
 昭和35年、政府によって定めた「法の日」。そして、「法の日」週間ですけれども、国民主権のもとで国を挙げて法律を尊重する、また、法によって個人の基本的権利を擁護する、法によって社会秩序を確立する精神を高めるために設けられたということです。
 以来、法務省・最高検察庁、最高裁判所、日本弁護士連合会では、毎年10月1日からの一週間、「法の日」週間の中で、全国各地で法の役割・重要性について啓発活動を行っております。
 法務本省においても、法の日フェスタということで、イベントを一生懸命準備させていただいているところです。10月7日(土)に「法の日フェスタ in 赤れんが」を開催する予定です。色々な工夫をして大勢の方に参加してもらいたいということで、様々な工夫を積み重ねてきておりまして、一つは裁判員役で一般の方々に参加していただく「模擬裁判」、明治28年建築の国の重要文化財である赤れんが棟内にある法務史料展示室の休日公開、「法の日」にちなんだ「落語会」もやるんですね。入船亭扇蔵さんという方たちが出てきて、法律の話を分かりやすく、楽しく国民に浸透できるようなお話もしてくれるようです。キャピックショップ、法務省の地下にありますけれども、刑務作業で様々な商品が生産されています。私も昨日伺いまして、いくつか購入させてもらいました。このキャピックショップの臨時営業も行われる予定です。新型コロナウイルス感染症の影響によって、令和2年以降はオンライン開催あるいは人数制限を設けておりましたけれども、今回はフルの対面で、4年ぶりに人数制限を設けることなく、どなたでも御参加いただけます。コロナ前、2019年のときは、八百数十人の方が来場してくれていましたので、着実に増えていけばいいなというふうに思っております。是非皆様方もお時間があれば、御家族と一緒にちょっと中をのぞいてみていただければ有り難いと思いますし、また、大勢のお知り合いの方々・関係者の方々に、こういうのがあるんだよということを、是非法務省に御関心をいただいているマスコミの皆様方にも御協力いただければ有り難いというふうに思っております。
 法律というのは何本ぐらい我が国にあるんだろうかということが気になりまして、調べてもらいました。多いというか少ないというか、それはなかなか評価できないんですけれども、憲法1、法律が2,057、これは令和5年9月1日現在ですね。法律が2,057本あります。政令が2,249本あります。勅令が70、閣令10、太政官布告というものがまだ残っていまして、これが7。府省庁の省令が3,955、合わせて8,349。全体が約8,000で、法律が2,000、政令も2,000、省令が4,000、大まかに言うとこういう形です。国民の目にはストレートには見えない、この(約)8,000本の法令によって、我が国という国は成り立っているわけです。それに触れていくというのはなかなか難しいですけれども、我々はその中で一生懸命努力をしていく。こういったものを、国民にもできるだけ分かりやすく、この(約)8,000本(の法律など)をパッと示せませんけれども、国民の方々に理解していただく、国民が支えていただけるような、そういう結果を出したいなと思って、今回「法の日フェスタ in 赤れんが」に取り組もうと思っております。

刑務官らの逮捕に関する質疑について

【記者】
 岡山刑務所が行った物品の入札をめぐり、業者に予定価格に近い金額を漏らした上、飲食の接待を受けたとして、岡山刑務所の刑務官ら男性二人が(今月)27日、官製談合防止法違反などの疑いで岡山県警に逮捕されました。公正な入札手続が求められる中、まだ事実関係そのものは明らかになったわけではありませんが、こうした事態に発展したことに対して、大臣の受け止めをお聞かせください。

【大臣】
 岡山刑務所の刑務官が官製談合防止法違反等の疑い、こういう御指摘の容疑で逮捕されたということは、誠に遺憾なことであると思っております。矯正当局としては、捜査の状況をしっかり注視するとともに、これに全面的に協力していくというのが、まず基本であります。そして、事実関係が明らかとなった段階で、人事上の処分も含めて厳正に対処するということ。そして、その上で、再犯や再発を止めたい。こういうことが起こらないようにしたい。今回の事例をよく分析と検討し、反省もし、再発防止策を速やかに検討して、徹底していきたい。その強い思いでおります。それ以上のことは、警察による捜査が行われている個別事案でありますので、具体的なそれ以上のお答えは差し控えたいと思いますが、しっかりと再発防止に取り組みたいと、そのことは御理解いただきたいと思います。

性同一性障害特例法の規定に係る家事審判事件に関する質疑について

【記者】
 出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーが戸籍上の性別を変更する際、生殖能力をなくす手術を事実上の要件とする性同一性障害特例法の規定は違憲かが争われた家事審判の特別抗告審の弁論が、(今月)27日に最高裁大法廷で開かれました。手術なしでの性別変更を求めている申立人側は、規定は性別の在り方が尊重される権利を侵害し憲法違反だと主張し、大法廷は年内にも憲法判断を示すものとみられています。その一方、手術要件の撤廃に反対する声もあり、今月8日には自民党の議員連盟が、女性の生殖機能を持ったまま男性に性別変更した人が出産する事態などを例に挙げ、違憲となれば大きな混乱が生じるとの声明も出しました。最高裁が違憲へと判断を変えるのかが注目を集めていますが、大臣の現状の受け止めについてお聞かせください。

【大臣】
 当事者間で御議論のある難しい問題でありますので、基本的には個別の家事審判事件でもありまして、我々が直接当事者として関与しているわけでもありませんので、具体的なお答えというのは差し控えたいというふうに思いますが、非常に大きな事案ですから、最高裁の判断を、これからだんだん煮詰まっていくと思いますけれども、しっかりと注視していきたいというふうに思っております。

ODRの実証事業に関する質疑について

【記者】
 日弁連さんと連携しているODRの実証事業、裁判外紛争解決手続のオンライン化の件でお尋ねします。9月1日の実証事業の開始から間もなく1か月になると思います。可能であればですけれども、現在の相談であるとか申込みの現状をお答えいただけるのであればお願いしたいのと、裁判外紛争解決手続をワンストップでオンラインでできるというので、非常に便利な事業だと思うんですけれども、改めてこの事業に関する大臣の期待感をお聞かせいただければと思います。

【大臣】
 ODRの基礎となるADR、裁判外紛争解決手続は、平成16年に法律が制定されて、19年に施行されまして、法務省が機関認証をするという形で裁判外紛争解決手続の機能が始まったわけです。基本的な考え方はこのODRもADRも同じだと思いますけれど、時間的な、物理的な、場合によっては経済的な理由から、なかなか紛争が公正かつ適正な解決の場に上がってこない。潜在化しているという紛争をなるべく公の場に移して解決を公正に図ろうという大きな社会的機能を持ったオペレーションですよね。そして、IT化が進む中で、ADRから更に今度はODR、オンラインでそれをやろうという次のステップに入りつつありまして、社会全体の紛争処理機能ということを考えると、同じ問題意識だと思いますが、非常に重要な課題だというふうに思います。日弁連とまさに連携する形で、9月1日からODRの実証事業を開始しておりまして、9月28日までに約50件の法律相談を受け付け、その約2割がODRの具体的な申立てに至ったと。当事者同士で、この裁判外の解決手続に入ろうという方向に来ていますので、よくこの中身を検証して、課題を掘り起こし、対応策をしっかり練って、それがしっかりと公平・公正な紛争解決手段として定着できるように、解決の道筋に入っていけるようにバックアップしたいというふうに思いますので、引き続きしっかり取り組みたいと思っております。

ヘイトスピーチへの対策等に関する質疑について

【記者】
 法務省のヘイトスピーチ対策に関して質問させていただきます。10月8日に埼玉県の川口駅前で、政治団体の日本第一党が「移民受入れ拒絶デモ 日本は日本人だけのもの」という極めて排外主義的、人種民族差別的な街宣行動やデモを告知しています。この団体と前身の在特会は、今までに何回も各地でヘイト行動を行い、逮捕、起訴されて、刑事裁判で有罪判決を受けたり、民事訴訟で人種民族が認定され損害賠償請求されたり、2020年にも福岡法務局がヘイトスピーチ認定をしました。
 近日中に再度このようなヘイトスピーチの行動を告知している場合に、法務省が主催者に対して事前に注意喚起をしたりはしないのでしょうかというのが一点。今まで政治活動の名目でヘイトスピーチが繰り返し行われてきたんですけれども、今後選挙もあると思いますが、その活動においても、法務省人権行政として、一般的に(ということ)で結構ですがヘイトスピーチ対策を検討しているのかどうかということについてお答えください。これが二点目。それからもう一点は、こういった対策というのは、本来、政府から独立した国内人権機関が通報を受けて、当事者団体に注意喚起をしたり、それから関係省庁に効果的な対策を求めるべきだと思いますが、いまだに国内人権機関も包括的差別禁止法もありません。その御所見も、こういった事態がずっと続いているということを踏まえて改めてお願いします。この三点をお願いします。

【大臣】
 これ(事前の注意喚起)が当局にいかなる行為を求めるものか必ずしも明らかではないということもあります。いずれにしても、基本的に表現行為の内容を理由とした事前の規制に当たり得ますので、これは慎重に検討するべきだと考えております。この時点でのコメントは差し控えたい、そのことを御理解いただきたいと思います。
 選挙運動等に名を借りたヘイトスピーチへの対策についてですが、選挙運動等の自由の保障は民主主義の根幹をなすものである一方、不当な差別的言動は、それが選挙運動等として行われたからといって、直ちにその言動の違法性が否定されるものではありません。
 法務省の人権擁護機関では、選挙運動等に名を借りたヘイトスピーチの解消に向けた取組として、いくつかの強力な取組を行っております。各種人権啓発活動を実施しつつ、関係省庁や地方公共団体を構成員としたヘイトスピーチ関連の専門部会を開催しまして、こうしたヘイトスピーチ対策のための情報交換等も行っているところです。
 今後とも、関係省庁や地方公共団体と緊密に連携し、ヘイトスピーチの解消に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
 政府から独立した国内人権機関については、これまで幾度かお問いかけがありまして、私も幾度かお答えを差し上げておりますので、ここで特にそれに付け加えることはないというふうに認識しております。これまでの議論も踏まえ、不断に検討していくという基本は変わっておりません。
(以上)