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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年10月27日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 私から、簡潔に1点だけ報告をさせていただきたいと思います。10月30日の月曜日に千葉県の市原青年矯正センターの開庁式典が開催されます。ここは、前身は市原学園という少年院でした。これを刑事施設に転用して設置するというものであります。少年院の開放的な処遇環境や、そこで培われた矯正教育の手法、ノウハウを活用して、若年の受刑者に対して特に手厚い処遇を行うことをその趣旨としています。拘禁刑が、再来年(の6月)までには、導入されますけれども、それに向けた先駆的な取組であると考えております。本取組を含めて、引き続き、受刑者の改善更生、社会復帰に向けた処遇の充実を進めたいと思っております。

最高裁が性同一性障害特例法のいわゆる生殖不能要件を違憲と判断したことに関する質疑について

【記者】
 (本月)25日に最高裁で、性同一性障害特例法に関する違憲判断の決定が出ました。その決定を受けて同法の改正などについて、今後法務省としてどう対応されるのか、お願いします。
 
【大臣】
 最高裁の決定についてのお尋ねがありました。この内容を十分よくまず精査して、そしてその趣旨を踏まえて、関係省庁が連携して、立法府の動向を注視しつつ、最高裁の(決定)内容を十分精査して、その趣旨を踏まえ、所要の検討を進めることになるというふうに考えております。

イスラエルの情勢について、法の支配の観点からの見解等に関する質疑について

【記者】
 法の支配について、これまで法の支配を始め、司法外交を進めてこられましたけれど、ウクライナ情勢について歴代大臣も法の支配の観点から色々言及されていましたが、今般のイスラエルの情勢について、法の支配の観点からの見解、あるいは国際社会へのメッセージをお願いします。
 
【大臣】
 ガザ地区及び周辺の緊張度は刻一刻と増してきており、情勢は全く予断を許さず、我が国政府としては政府全体として、深刻な懸念を持って、情勢を注視しているところであります。大変憂慮される事態に至っていると思います。今、御指摘がありましたように法務省としても、基本的人権の尊重、法の支配、司法の面での外交を進めて、こういった基本的な価値を世界に発信して、世界各国に浸透させていくという取組をやってきています。こういった取組、このウクライナの問題もそうでありますし、ガザ地区でのこの問題もそうでありますけれども、世界情勢が非常に混沌とし、紛争が増える中でよりこうした司法外交の持つ重要性というのは、増してきているというふうに思います。粘り強くあらゆる機会を通じて、法務省としてもこの主要先進国に共通する理念である、法の支配、基本的人権の尊重という価値を粘り強く繰り返し、あらゆる機会を通じて発信していくなど、その努力をより強めなければいけないというふうに思っております。

再審制度につき指摘されている課題に関する質疑について

【記者】
 今日、袴田さんの再審公判が始まりますが、再審制度に関して、条文が乏しく、証拠開示の規定がないこと、検察官による抗告が長期化の要因になっていることを中心に課題が指摘されています。この二つの指摘されている課題についてどうお考えでしょうか。
 
【大臣】
 再審制度というのは判決が確定して、確定判決が存在する中で前提として主として事実認定の不当を是正し、救済すると。有罪の言渡しを受けた方を救済するというための非常救済手続です。事実認定の不当を是正し、ということから帰結するのは、やはり証拠というものの扱いの重要性、それは御指摘があることは、よく認識しております。現時点で現行法の規定に、直ちに手当てを必要とするというような不備があるとは認識しておりませんが、様々な角度から、法的安定性、そして個々の事件における是正の必要性との調和点を求めるという様々な観点から、慎重に検討するべきものであろうというふうに思います。現実に今、平成28年成立の刑事訴訟法等の一部を改正する法律の附則により、この点についての検討を行うことが求められています。再審請求審において証拠開示制度を設けることについての検討を行うことが求められております。この検討に資するため、令和4年7月から、「改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会」を開催しており、今、お尋ねがありました再審請求審における証拠開示等についても、協議が行われるというふうに承知しております。御指摘の点も含め、こういう協議会での議論をまずは見守りたいと考えております。

【記者】
 検察官による抗告の長期化の要因に関してはいかがですか。
 
【大臣】
 検察官が再審開始決定に対し抗告し得るということについては、公益の代表者として当然のことであって、これにより再審請求審における審理決定が適正かつ公正に行われることが担保されるものと考えております。検察官の抗告権を排除することについては、違法不当な再審開始決定があった場合に、法的安定性の見地からこれを是正する余地をなくしてしまうという問題があり、また司法制度全体の在り方とも関連するので、全体を見ながら、今の問題点も視野に置いて慎重に検討するべきものであると考えております。
 
(以上)