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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年11月14日(火)

 今朝の閣議ですが、法務省案件はありませんでした。
 続いて、私から冒頭、二つ報告させていただきたいと思います。
 一つは性犯罪に係る周知・広報についてです。
 先の国会においては、性犯罪に対処するための法整備として、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律など、二つの法律が成立し、いずれも、一部の規定を除き、本年7月13日から施行されております。
 これらの法律についての国民に対する周知・広報、これを一生懸命やっていかなければいけないわけでありますけれども、法務省のホームページに、法律の趣旨・内容を分かりやすくまとめた資料・Q&Aなどを掲載してまいりましたけれど、今回、小学生向け、中高生向け、大学生向けの、この三種類のリーフレットを作って、紙の形で、できるだけ多くのこどもたちに、また御家庭に、これを伝えようという取組を始めているところです。
 このリーフレットのコンテンツは、法務省のホームページに載っておりますけれど、これを文科省経由で各学校に送信しまして、各学校でそれをできるだけ多くのこどもたち、御家庭に読んでもらいたい。そういう形で、より本当に届くような形で進めたいというふうに思っているところです。
 報道機関の皆様方にも、是非御協力をお願いできれば有り難いというふうに思っております。
 二つ目は、「全国一斉『女性の人権ホットライン』強化週間」が始まります。
 11月15日、明日から一週間、(同月)21日までの間、「女性の人権ホットライン」強化週間を設けて、プロモートしたいと思っております。
 全国の法務局では、職場でのハラスメントやDVなどの女性の人権をめぐる様々な問題の解決を図るため、「女性の人権ホットライン」、「0570-070-810」を開設して相談に応じております。
 相応の相談があります、毎月。そして、去年の例を見ると、やっぱりこの強化週間になると、より多くの相談が寄せられるということもありまして、受付時間を延ばすとか、土日も受け付けるとか、そういう取組を行って、この窓口の存在をより広く、多くの方に知ってもらって、受け皿となりたいと、そういう取組です。
 内閣府の男女共同参画推進本部が、毎年11月12日から(同月)25日に実施している「女性に対する暴力をなくす運動」とコラボして、今週、そういう取組を行っていこうと思っているところでありまして、報道機関の皆様方には、同じく強化週間の周知・広報への御協力をお願いしたいと思っているところです。

区分所有法制の見直しに関する質疑について

【記者】
 老朽化した分譲マンションの建替えについて伺います。法制審議会の区分所有法制部会で、建替え決議に必要な所有者の同意要件として「5分の4」を維持した上で、客観的事由があれば「4分の3」に引き下げるという案が検討されていると思いますけれども、今後、老朽マンションの増加が見込まれる中で、見直しへの期待について改めて御所感をお願いします。
 
【大臣】
 建物の老朽化と区分所有者の高齢化を二つの背景としまして、区分所有建物の所有者不明化や区分所有者の非居住化が進行しています。
 そのため、区分所有建物の再生に関する意思決定に必要な賛成を得ることが難しくなって、5分の4の賛成が必要な建替え決議等については、必要な賛成を得ることが特に困難になっていて、建替えが進まないという社会的な問題が生じてきているところであります。区分所有建物の再生が困難になってしまうという問題・課題が生じているところです。
 この問題を調査・審議するために、法制審議会区分所有法制部会が、鋭意、審議を行ってきておりまして、そのための検討が進められ、(区分所有法制の改正に関する)中間試案が本年6月8日に取りまとめられております。これは、決議の緩和策ですね。具体的な緩和策。「5分の4」を「4分の3」にするとか、「3分の2」にするとか、そういった選択肢を具体的に示しながら、緩和策についての素案を提示して、7月3日から9月3日までパブリック・コメントに付され、100件以上の幅広い御意見が寄せられました。
 このパブリック・コメントの結果に基づいて、スピード感を持ってやりたいと。そういう形の中で、精力的に審議が進められておりまして、いつまでに、というのを今申し上げることはできないですけれど、とにかく早くやってもらいたい、スピード感を持ってやってもらいたいという強い期待を持って、この審議を見守っているところです。

旧優生保護法国家賠償請求訴訟に関する質疑について

【記者】
 上告中でお答えいただくことが難しいかもしれないのですけれども、旧優生保護法下の不妊手術をめぐる10月25日の仙台高裁判決に関してお尋ねします。この高裁判決では、原告の損害賠償請求権に関して、改正前の民法724条後段、これは時効を定めたものだと解釈して、国の請求権消滅の主張が信義則違反であって権利の濫用だとして、原告の請求権は消滅しないと判断しました。これに関して、政府が改正前民法724条後段をどのように解釈しているのかについて、可能な範囲で御説明いただけたらと思います。
 
【大臣】
 今、御指摘がありましたように、まさに現に係属中の事件でありまして、個別の事案でありますので、訴訟に与える影響等を考えると、お答えは差し控えざるを得ないのでありますが、最高裁は、改正前民法724条後段の権利消滅期間について、その法的性質を除斥期間と解釈しているところであります。
 また、国は、同訴訟においても最高裁判決と同様に、改正前民法724条後段の規定は、同じく、最高裁と同様に、除斥期間を定めたものであると主張しているところであります。仙台高裁判決は、この最高裁判決とは異なり、消滅時効であるという解釈をしたものと承知しておりますが、その法的な考え方については、コメントは控えざるを得ないのを御理解いただきたいと思います。

難民認定制度等に関する質疑について

【記者】
 補完的保護のことで何点か伺いたいと思います。先日、9日の参議院法務委員会で、国民民主党の川合議員からの質問もありましたけれども、12月1日から施行予定の補完的保護制度の運用に先立って一つ、この間の法務委員会で、概算要求で入国審査官を中心に401人の増員を求めているという御答弁がありましたが、このうち難民参与員の人数は何人で、現在は何人の調査官で難民審査の業務に当たっていらっしゃるのかということが一点。
 それと、難民調査官や難民参与員の研修内容について、概要だけでも公表する御予定はあるのでしょうか。
 それと、国会審議であったのですが、難民申請の一次審査のインタビューの段階で、代理人の立会いを認めることを検討中であるという理解でよろしいのでしょうか。
 もう一点ですが、先の通常国会でも大きな問題になりましたけれども、不服審査請求の段階で、一部の難民参与員が臨時班を構成して、そこに案件が集中して、申請者の口頭意見陳述も行わずに、書類審査だけで早急に不認定処分を出しているという実態が明らかになりました。この件について、どのような見直しを行っているのでしょうか。
 
【大臣】
 まず、来年度予算の概算要求の増員要求の中の難民調査官の人数については、公表しておりませんので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。難民認定業務に専従する者を切り分けることは困難でもありまして、令和5年4月1日現在、地方出入国在留管理局において、難民調査官に指定されている者は433名であります。
 それから、難民審査参与員への研修の問題です。この内容について、公表することは予定しておりませんが、その様々な御意見や現場の要望等を踏まえつつ、研修がより充実した内容となるよう、これは不断の検討をしていきたいというふうに思っております。必要な改善はしっかりと整えていくということが重要だと思っております。
 それから、代理人の立会いですが、入管庁では平成29年3月から、一次審査における難民認定申請者への事情聴取に際し、親を伴わない16歳未満の年少者、重度の身体的障害を有する者、精神的障害を有する者、重篤な疾病を抱える者等、特に配慮が必要な者については、医師やカウンセラー、手続を支援する弁護士等の立会いを認める取組を既に始めております。更なる取組についての御指摘もあろうかと思いますが、そういった御指摘も含めて、これも不断の検討を引き続き続けていきたいと思っております。
 最後に、臨時班の問題について御指摘がありましたが、これは、経緯はよく御存じだと思いますが、就労等を目的とする濫用、あるいは誤用的な難民認定申請が急増した時期があるわけですよね。そしてその結果、真の難民の迅速な保護に支障が生じる事態というものが生じておりました。これに対応するため、平成28年以降、行政不服審査法上の手続を円滑に進める、そして迅速かつ公正な手続を促進するために、臨時的措置として、難民認定制度に関する知識又は経験の豊富な3人の参与員によって編成される臨時班に、口頭意見陳述を実施しないことが見込まれる事件、口頭意見陳述を放棄される方々の事件など、迅速な審理が可能かつ相当な事件を重点的に配分する取組を行っているものです。
 これは、繰り返しになりますけれども、真の難民の迅速な保護に支障が生じる事態を何とか回避したいというところから、こういう取組を始めたわけであります。これも繰り返しになりますけれども、この「迅速な審理が可能かつ相当な事件」とは何かということでありますが、審査請求人が口頭意見陳述を放棄している事案など書面審査が可能なものが事実上は大半でありまして、迅速な審理が可能なものとしての処理ができるもの、こういう仕分けをした上で取り組んでおります。臨時班に迅速な審理が可能かつ相当な事件を重点的に配分する取組については、審査請求全体における事件の処理状況等を踏まえて、全体の事件の推移ですね。そういったものを踏まえて、継続の必要性があるやなしや、これも不断に注意深く判断していきたいというふうに思っております。
(以上)