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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年12月1日(金)

 今朝の閣議においては、法務省案件としましては「難民対策について」の一部改正について閣議了解となりましたほか、主意書に対する答弁書が2件ありました。
 続いて、私から5点報告させてください。
 1点目は、補完的保護対象者の認定制度であります。
 本日12月1日、施行になります。本日より、全国の地方出入国在留管理官署において申請の受付が開始されます。
 また、10月20日にお伝えしました補完的保護対象者への支援内容については、関係省庁の連絡調整会議、難民対策連絡調整会議において、政府として正式に決定することになりました。
 支援内容等の詳細については、入管庁にお尋ねいただきたいと思います。
 入管法の改正法の趣旨にのっとり、着実に制度が運用されていくように全力を尽くしていきたいと思っております。
 また、認定された方々が適切な支援を受けられるようにも取り計らっていきたいと思っております。
 2点目は、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議の最終報告書であります。
 昨年11月から議論が始まりまして、計16回の審議・28回のヒアリングを経て、昨日(11月30日)、有識者会議の高橋進座長代理から私(法務大臣)宛てに最終報告書を提出していただきました。
 最終報告書では、「外国人の人権保護」、「外国人のキャリアアップ」、「安全安心・共生社会」を作るという3つのビジョンに基づいた議論の成果としまして、技能実習制度に替わる人材確保及び人材育成を目的とした新たな制度の創設が掲げられておりまして、その他様々な提言が盛り込まれています。
 今後、政府においては、この報告書で示された理念、提言の内容をしっかり踏まえて、具体的な制度設計の検討を行ってまいりたいと思います。
 3点目は、「ウクライナ汚職対策タスクフォース」の開催についてです。
 来週の12月5日・6日、このタスクフォースの第1回会合が東京で開催されます。これは、御承知のとおり、本年7月に東京で開催しましたG7司法大臣会合において、我が国の提案で設置が決定されたものであります。
 汚職対策というのは、ウクライナの国づくりにとって重要な要素であり、戦後を見据えて、各国からの復興支援を公正・公平に配分するという仕組みの中で非常に重要な要素、課題であるというふうに考えております。
 第1回目となる本会合には、ウクライナから5名の汚職対策の専門家が来日して対面で御参加いただき、G7及び国際機関からはオンラインで広く参加されます。支援ニーズや支援策などについて、議論が行われ、大いなる成果を期待したいというふうに思っております。
 4点目でありますけれども、刑事施設及び少年院における被害者等の心情等の聴取・伝達制度の運用開始が本日であります。
 これも皆様方にかねてより御説明してまいりましたけれども、全く新しい取組であって、被害者あるいは御遺族の方々、また一方で受刑者、この両方に大きな影響が及びます。
 それを勘案しながらしっかり取り組んでいかなければならない大変重要な大きな課題だというふうに思います。
 これまでも研修を重ね、様々な講義も重ねてきましたけれども、一歩一歩着実に、今申し上げた双方にとって意義のある制度となるよう、しっかり運用を進めていきたいというふうに思っております。被害者等の方々に寄り添った運用に努めてまいりたいと思っております。
 最後に、5点目ですけれども、改正更生保護法の改正部分の施行であります。
 更生緊急保護制度というものがあって、起訴猶予になった方、あるいは出所された方が普通の生活に戻るときの道筋を手助けするという取組であります。それが1年だけの措置だったのですけれども、今日から最長2年の措置に延長されます。
 また、地域の保護観察所が中心となって、窓口機能をもっと発揮してもらおうということで、法律に書き込む形で保護観察所の機能強化というものも掲げておりまして、具体的にはリスタート・サポートの略で「りすたぽ」という窓口を保護観察所にそれぞれ設けて、地域からの相談、また地域援助、そういったものに、より積極的に法務省としても関わり、そしてまさに息の長い支援に結び付けていこうという改正更生保護法が、本日、改正部分が施行されるわけであります。

同性婚に関する質疑について

【記者】
 現在、集団訴訟が行われている同性婚について伺います。これまで、札幌と名古屋地裁が違憲、東京と福岡地裁が違憲状態と判断し、昨年の大阪地裁判決も合憲としながらも社会状況の変化によっては今後憲法違反になり得るとしています。全ての判決が同性カップルを法律上の家族と認める立法措置を促している一方で、岸田首相は2月に、同性婚について「社会が変わってしまう」と発言されていますが、大臣御自身の同性婚についてのお考えと、法整備の必要性をお聞かせください。
 
【大臣】
 当事者双方の性別が同一であるという形での婚姻というものの成立を認める、それは憲法上想定されていなかったことであるので、少なくとも現時点において同性婚に関する規定が設けられていないということが憲法違反になるというものではないと考えておりますが、国民的な関心も高まり、様々な議論も行われ、また、こうして司法での判決も出てきているわけでありますので、社会全体として考えていくべき大きな課題になってきているということは間違いないと思います。
 更にもうちょっとその中に入って考えてみると、とはいうものの、一人一人の心の奥底にある家族というものに対する見方、家族観みたいなものに非常に関わる問題なので、経済政策の選択肢を選ぶようにはいかないだろうというふうにも思うのです。
 しかし、これをしっかりと国民の課題として捉え、取り組んでいくためには、国会の審議でも質問が出て、私もそういうふうに答えたのですが、オープンな議論を一回二回ではなくて繰り返し深めていくと。そういう取組が必要だろうなと思います。それは国民各層においてもそうあっていただきたいし、国会における議論もそうあってもらいたいし、また、訴訟の動向、地方自治体におけるパートナーシップ制度の導入も広がっているようでありまして、そういった地方の状況、こういったものを幅広い視野で注視していく中で、幅広い国民の理解とコンセンサス、こういったところにたどり着くことができれば、という思いでいるわけであります。

外国にルーツのある少年院在院者への処遇に関する質疑について

【記者】
 外国人の受入れ政策をめぐって、外国にルーツがある非行少年の矯正教育の取組についてお伺いします。今、矯正局では、在留資格「特定技能」の導入を盛り込んだ2018年の改正入管法の成立以降、在留外国人の増加を視野に入れて、国籍や文化の違いからくる少年の生きづらさに着目し、日本人少年とは違う特性に配慮した指導を一部の少年院で先行していると承知しています。外国にルーツがあるからといって非行の傾向が進んでいるわけではありませんが、外国人との共生社会において、受入れ環境の整備次第で将来的にこうした問題が顕在化してくる可能性も指摘されています。その上で、こうした外国にルーツがある非行少年の現状と、彼ら彼女らに対する今後の矯正教育の取組の方向性について大臣の御所見をお聞かせください。
 
【大臣】
 日本がこれから本当の意味での共生社会を目指していくということになれば、当然、外国にルーツがあって、日本に来て生きづらさの中で非行を犯してしまうというような方々にも包摂的な対応をしていくことが非常に重要な課題だというふうに思うのです。
 御指摘のように、2018年以降、まさにこういう点に着目しまして、各少年院等において個別に、外国にルーツのある非行を犯した方に対する個別の指導というものをよく考えながら、彼らの抱えている問題、直面している問題をしっかり把握しながら対応してきたと思います。
 それでもなお、まだやることがあるだろう、課題があるだろうということで、今、早稲田大学大学院日本語教育研究科と連携して、全国の少年院で活用できる、外国にルーツのある在院者の更生に活用できる教材の作成等の準備を進めています。
 やはりコミュニケーション能力、日本語能力、そういったものもあるでしょうし、日本の文化に対する理解を深めてもらうということもあるし、我々がまた彼らの文化というものを理解するという点もあると思いますよね。双方向の理解、それは共生社会に向かっての大事なステップだというふうに思います。
 今後、御指摘を踏まえて、更にこれをしっかりと深めていかなければならないと思います。もう少し詳細を、ということであれば矯正局に是非お問合せいただければと思います。

犯罪被害者等施策に関する質疑について

【記者】
 犯罪被害者支援のことについてお伺いしたいと思います。平成20年、損害賠償命令制度というものが導入されまして、犯罪被害者が加害者に対して賠償請求するハードルが下がったんですけれども、なかなか加害者が支払いをしない、踏み倒すということが非常に多いという問題があります。この問題について、大臣、どのようにお考えか、お聞かせください。
 
【大臣】
 まず、犯罪被害に遭われた方々やその御家族・御遺族を支え、そして被害から回復していただく、平穏な生活を取り戻していただくように、きめ細やかな支援をするということは、まず大元として大変重要なことだと思います。損害賠償を命じられても踏み倒すというか、履行しない。そういう実体上の問題があるということも、報道等を通じて認識はしています。そういったことも含めて、これまで政府は、損害賠償債務の国による立替(払)制度の創設なども含めて、何か他に手がないだろうかということを検討してきたところでありまして、まだ最終的な答えには至っていないのですけれど、司令塔である警察庁、関係省庁がそれぞれより認識を深めながら、より連携を深めながら、今、施策の推進・充実を図ろうとしている、まさにその努力の途上です。しっかり取り組みたいと思います。
(以上)