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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年12月19日(火)

 今朝の閣議ですが法務省案件は、主意書に対する答弁書が3件ありました。
 続いて1点だけ御報告です。明日から3日間の日程で、第3回東京イミグレーション・フォーラムが開催されます。(各国・地域の)入管当局(間)で問題意識を共有し、一緒に取り組めるものは取り組んでいこうというフォーラムでありまして、日本が提唱者で、今回は3回目であります。参加国は17の国・地域、それから二つの国際機関が参加していただける予定であります。国連難民高等弁務官事務所と国際移住機関の二つ、プラス17の国・地域、かなり拡大をしてきているというふうに思います。グローバル化による人の往来に伴う様々な課題、共生社会の在り方。また、長期化する人道危機に対する恒久的な解決に向けた取組、こういったものの情報共有、認識共有、問題意識の共有、それを解決に向けてのきっかけにするという、野心的な取組だと思います。大いなる成果を期待したいというふうに思っております。

法務大臣が所属する派閥へ東京地検特捜部が捜査を開始したことに関する質疑について

【記者】
 政治資金の処理をめぐる問題で、大臣が所属する自民党の派閥志帥会に、東京地検の家宅捜索が入りました。御自身の出身派閥が強制捜査の対象になる中で、検察官を指揮監督できる法務大臣の立場にある適格性について、現段階でどのようにお考えでしょうか。
 
【大臣】
 はい。これは捜査機関の活動内容に関わる事柄でありますので、法務大臣として直接お答えすることは、差し控えたいと思いますが、飽くまで一般論として申し上げれば、検察当局においては、厳正公平・不偏不党、これを常に旨として、法と証拠に基づいて適切に対処していく。そのように承知しております。
 
【記者】
 関連してなんですけれども、安倍派の議員は辞職されたりとかもしていますけれども、大臣としてお立場どうされるのか、出処進退どうされるのかというところは。
 
【大臣】
 はい。これも基本的には捜査機関の活動内容に関わることですが、あえて申し上げれば、志帥会は12月4日だと思いますけど、事実関係をよく調査して、適切に対応するというコメントが出されています。その後の対応も含めて、様々な状況を踏まえ、私とこの政策集団との関わりについては、適時適切に判断していきたいと思っています。
 
【記者】
 今の御発言に関連してなんですけれども、岸田首相は、この一連の流れで、派閥から離脱されたり、動きがあったのですけども、大臣の方で志帥会から離脱したりとか、そういったことの御検討は今の時点ではいかがでしょうか。
 
【大臣】
 今申し上げたこととちょっと繰り返しになってしまいますが、志帥会の今、状況を私自身も見極めたいと思います。志帥会の、事実関係を調査しますと、適切に対応しますというコメントが出ていますので、そうした対応状況などを踏まえて、私自身と政策集団との関わりについては、適時適切に判断していきたいというふうに思っています。

「旧統一教会」問題をめぐる在外邦人の被害救済に関する質疑について

【記者】
 旧統一教会をめぐる在外邦人の被害救済についてお尋ねします。先週会見しました全国統一教会被害対策弁護団によると、韓国に渡った邦人の信者が数千人おり、潜在的に救済を必要とする方が多くいると見られるものの、日本での相談支援になかなか結びつかない問題が指摘されています。そこでこれまで法テラスの霊感商法等対応ダイヤルで、このような在外邦人からの相談がどれだけあったのか伺います。また、先日法テラスへの支援拡大を柱とする被害者救済特例法が成立しましたが、外務省とも連携した上で在外邦人の支援にどのように取り組む必要があるのかお尋ねします。
 
【大臣】
 韓国に渡った邦人の信者の方が数千人いらっしゃるというふうには伝わっています。大きな問題だと思います。救済の手をしっかりと差し伸べなければいけない。仕組みとしては、法テラスの霊感商法等対応ダイヤル、これは在外邦人からの相談にも対応できるようになっていますが、まだまだ件数はそう多くありません。対応ダイヤル開設から令和5年11月末までに受け付けた統一教会に関する相談のうち、海外からの相談と確認できたものが4件であります。本当にまだまだ声を出したい人がいらっしゃるのだろうなというふうには思います。在外公館では関係省庁連絡会議の取りまとめに基づいて、その対応ダイヤルの周知・広報、一生懸命やっています。また、直接在外邦人への相談対応等も実施しております。それから今回の特例法でも、在外邦人の方々への(我が国での)支援というのは、当然前提になっています。その支援を拡充するという形でありまして、国内であれ在外邦人の方であれ、今回の救済法によって、法テラスの機能強化、その対象には当然含まれるわけですね。しかしまだまだ足りないところはあると思いますので、今のこの体制をより広く実行できるように、周知・広報、関係省庁との連携、そういったものに万全を尽くしたいと思っております。

出入国管理行政に関する質疑について

【記者】
 冒頭のイミグレーション・フォーラムですか、これとも関連してくるとは思うのですけれども、昨日12月18日は、1990年に国連総会で採択された、全ての移住労働者の権利条約にちなんだ国際移住者デーでした。それでグテーレス国連事務総長もメッセージを出して、移住者の人権尊重に根差した安全な移住のためのガバナンスが緊急に必要であるというふうに訴えられていました。それでその後ですね、国連総会で、難民と移民の保護を促進するためのニューヨーク宣言が採択され、その評価基準として、詳細な行動目標を明記した難民と移住者それぞれのグローバル・コンパクトが2018年に国内採択されました。この中には、具体的な政策課題が明記されているのですが、法務省のホームページにはそのことが掲載されておりません。それで日本政府は12月13日から3日間ジュネーブで開催された第2回グローバル難民フォーラムの共同議長国でしたけれども、なぜ法務省は、難民と移民の保護を促進するための有力宣言を具体的に履行するグローバル・コンパクトに積極的に取り組もうとしないのでしょうか。これは日本政府が、移民政策は取らない。それから難民もできれば受け入れたくないという、そういった姿勢の現れと考えてよろしいのでしょうか。大臣の御見解をお願いいたします。
 
【大臣】
 まず、御指摘の難民グローバル・コンパクトでありますけれども、これは難民受入れ国の負担軽減、難民の自立支援、第三国での解決策の拡大、安全で尊厳のある帰還環境整備を目指すものであります。このグローバル難民フォーラムは、この難民グローバル・コンパクトのフォローアップ会合として位置付けられているわけです。この第2回会合では、先ほど申し上げた難民グローバル・コンパクトに沿った形で、各国が様々な宣言、プレッジを行っています。我が国としても、プレッジを行いました。第三国定住による難民の受入れの確実な実施のほか、補完的保護対象者の認定制度の導入による適切な認定と支援について、プレッジをさせていただいています。したがってグローバル・コンパクトに取り組もうとしないという御指摘は当たらないと思うのですが、法務省としては、今後このフォーラムでの議論や世界の潮流を踏まえて、人道上、真に保護する必要がある方々を確実に保護していくと。そういう取組をですね、実践的にしっかりと引き続き取り組んでいこうというふうに思っています。
 
【記者】
 関連ですけれども、先週、在日歴が33年に及ぶナイジェリア人の女性の難民申請者の在留特別許可を求める意見書が、茨城県牛久市議会で採択されました。この難民申請者の権利保障についても、今言ったグローバル・コンパクトにも明示されていますけれども、日本では多くの難民申請者が、国や基礎自治体の行政サービスから排除され、住民登録もされず、就労許可もされずといったことで、非常に困難な生活状況に陥っていることは、大臣は御存じだと思います。それで、12月1日から補完的保護制度が施行されたわけですけれども、在留特別許可の運用の見直しも早急に進めるお考えはあるでしょうか。齋藤前法務大臣も、以前、日本で生まれた201人の仮放免中のお子さんを主な対象に在留特別許可を検討するといった方針を出していらっしゃいましたが、法務省入管庁の対応が不透明で、該当する御家族も非常に困惑していますので、そのへんの進捗状況のことも含めてお答えをお願いします。
 
【大臣】
 まず、一般論として申し上げれば、法令に従い手続を進めた結果として、退去強制が確定した外国人は速やかに我が国から退去するというのが大原則です。そうしないと、国内の法秩序が守れない。大きな公益性がそこにはあります。ただ、個々の状況に当てはめたときに、問題があってはいけない。そういう観点から、退去強制の手続の中で個々の事案に応じて、例外的・恩恵的に在留特別許可を出すという形を取っているわけです。当然のことですが、この在留特別許可の判断は、個々の事案ごとに在留を希望される理由、家族の状況、素行、人道的な配慮の必要性など、諸般の事情を総合的に勘案して、適切な対応を我々は行っているという認識を持っています。この在留特別許可の本来の趣旨をいかせる運用をしっかり今させていただいてるというふうに認識しております。その中で齋藤(前)大臣が主導されたこの201人の仮放免中のお子さんの在留特別許可の進捗状況ですけれども、一斉に同時並行にはできませんので、多少遅い・早いはありますが、相当数の御家族の方に連絡がいき、既に在留特別許可がなされた御家族もいます。できるだけ速やかに、できるだけスムーズに進められるように、今、鋭意、取り組んでいるところであります。
(以上)