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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年12月26日(火)

 今朝の閣議でありますけども、法務省案件としては、主意書に対する答弁書が1件ありました。
 続いて私から2点申し上げたいと思います。
 1点目は、株式会社の設立に必要とされる定款認証の見直しです。(本年)10月の第1回デジタル行財政改革会議で、岸田総理から、公証人による定款認証の見直しを行うよう指示がありました。これを踏まえて検討作業を進めてきたわけでありますけども、その結果、今般、定款認証の新たな取組を開始することといたします。まず二つ原則を置きました。一つは、スタートアップ向けのモデル定款を公表して、これを用いた場合には、公証人が原則48時間以内に認証手続を完了するという「48時間原則」、これを開始したいと思います。もう一つは、公証役場に赴いて行うことが多かった、対面の確認手続、これをウェブ会議を原則とするという「ウェブ会議原則」、この二つの原則を新たに導入いたします。まず「48時間原則」の方は、法務省も関与して策定しましたモデル定款を、本日、日本公証人連合会のホームページで公表いたします。これを用いていただいて、原則48時間以内の認証、これはまず、(来年)1月10日から東京都内及び福岡県内の公証役場で試行的運用として開始いたします。二つ目の「ウェブ会議原則」ですけれども、これは今年度中の運用開始に向けて準備を進めていきたいと思っております。これが1点目です。
 2点目は、お知らせというよりはむしろお願いに近いのですけれども、来年4月1日から相続登記の義務化が始まります。この(来年)4月1日以前に相続された物件でも、相続による登記の義務化が課せられます。残り100日を切りました。年末年始、皆さん、御実家に帰られたりしたときに、御親族も含めて、相続未登記の不動産がないかどうか、ちょっと気をつけていただいて、身近なところから御協力いただければありがたいと思っています。この相続登記の義務化、聞いたことがあるという方が6割近くいらっしゃるのですけれども、詳しく内容を知っている、大体わかっていると答えた方はまだ32パーセントです。打つ手がないか、PRできる方法がないかということを今、検討しております。もっと国民の認知度を上げていく必要があるというふうに思っています。

再審制度に関する質疑について

【記者】
 再審制度の関係でお尋ねします。再審制度について、これまで検察官の抗告による審理の長期化や証拠開示規定がないことが長く問題として指摘されてきていますが、日弁連によると、今月21日までに、自民党議員42人を含む国会議員156人が再審法改正に賛同するメッセージを日弁連に寄せております。大臣としてこうした法改正を必要とする声の広がりをどう受け止めているのでしょうか。また改めてではありますが、大臣御自身の再審制度の見直しについてのお考えも伺います。
 
【大臣】
 国会議員の方々の活動、これについては、直接私の今この立場で所感を申し述べることは差し控えたいと思いますけれども、様々な形で関心を示す方々が多くおられ、またその中に様々な御意見があるということは、よく承知しております。法務省においても、平成28年成立の刑事訴訟法等一部改正法の附則で求められている検討に資するため、昨年の7月から、「改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会」を開催しておりまして、この再審請求審における証拠開示等についても、順次、議題が設定されてきており、現在、協議に入っているところであります。私どもも協議をお願いしている立場でありますので、中身にわたってのコメントは、差し控えなければいけないと思いますが、法務省としては、この協議会で是非、充実した議論をしてもらいたいと。そのために努力しようと、そういう立場で取り組んでいるところであります。

検察官による供述誘導疑惑に対する最高検の内部調査結果に関する質疑について

【記者】
 供述誘導疑惑についてお尋ねします。2019年参院選の大規模買収事件をめぐって、東京地検特捜部検事による供述誘導疑惑に関し、最高検が昨日、内部調査結果を公表しました。調査結果によると、検事の取調べについて適正確保の見地から不適正だったとしつつ、組織的指示はなかったと結論付けました。この調査結果に対する大臣の受け止めをお聞かせください。併せて、今回の調査は飽くまで内部調査に過ぎず、第三者による調査を実施すべきだとの意見もありますが、この点について大臣はどのようにお考えでしょうか。
 
【大臣】
 御指摘のありましたとおり、令和5年12月25日、最高検監察指導部が当時の広島市議会議員に対する取調べ及び証人尋問をそれぞれ担当した検事の言動について、一定の判断を下した上で、監察結果を公表しました。取調べの一部に不適正な点が認められる、あるいはより慎重な配慮が必要であったというような点も認めた、こういう判断が下されたところであります。取調べも含めて、捜査・公判は適正に行われなくてはならないことは言うまでもありません。検察当局においてこれはもう本腰を入れて、この結果を踏まえて今後とも捜査・公判活動の適正確保に努めていくというふうに承知しております。
 第三者機関の内部調査(については)、検察当局では必要かつ十分な調査を行い、その結果を公表したものと認識しております。私として調査を重ねる、あるいは、し直す、そういう指示をすることは考えていません。

定款認証に関する質疑について

【記者】
 冒頭発言ありました定款認証に関して、この二つの原則として取り組まれることの期待であったりとか、なぜこういう取り組みだったのか、経緯みたいなところが伺えればと思います。
 
【大臣】
 この定款認証の話は、スタートアップの設立手続が非常に時間がかかる。煩雑だと。スタートアップという立ち上げの作業において、アナログ的で古いのではないかという御批判がかなりあったのですね。そういう意味でデジタル(化)とも関わりますし、行財政改革とも関わるということで、行財政改革本部での議論もありましたけど、スピードアップする、簡素化する、そういう取組をしてもらいたいという強い要請がありました。事柄を分けてみると、ウェブを使って、利便性を高めるという要素と、早くやるという要素の二つに問題を分解したのですよね。それぞれ、これは、原則と例外をひっくり返そうと。(これまで認証手続に)約2週間かかっていたようでありますけれども、それを48時間にする。(今までは)基本的に9割方、本人と対面で確認手続をしていたのですけれども、まずはウェブ会議原則とする、問題があれば対面になりますけど。原則と例外をひっくり返す。この二つをしっかりと、この間の行財政改革の改革会議で報告いたしました。是非皆さんも御理解いただければありがたいと思います。

こどもへの在留特別許可に関する質疑について

【記者】
 日本で生まれ育った外国籍のこどもたちへの在留特別許可についてです。東京入管が昨日25日、長野県在住の高3と中3の姉、弟に在留特別許可を出しました。母親が不法入国した、いわゆる消極事情を持ったケースでした。母親は仮放免のままですが、こども二人に在特を出しましたけれども、その理由についてお伺いできればと思います。
 
【大臣】
 お尋ねは個々の案件のことですので、この事案に直接入ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、その上で申し上げれば、親に「看過し難い消極事情」がある場合は、対象にはならないという判断があります。それは、国民の安全、あるいは安心を守るというもう一つの公益があるんですよね。それとのバランスですよね。ですから、難しい判断ですけれども、「看過し難い消極事情」というのをやはりチェックせざるを得ないということは御理解いただきたいと思うのです。でも、そういう場合であっても、自活できるのだろうか、親がいなくて大丈夫かというところが、自活のめどが立っているかどうかということは、個別案件に即して諸般の事情を総合的に丁寧に勘案して、許可を出す・出さないの判断をしている。そのように御理解いただければと思います。

難民申請者への支援等に関する質疑について

【記者】
 12月8日の記者会見で、生活困窮状態に陥っている難民申請者などへの公的支援に関する質問をしました。大臣はその際に、難民支援協会が公表した公的支援の緊急課題と生存権に関するレポートを是非読んでみたいというふうにお答えになられたんですが、その後お読みになったでしょうか。読んだ上で、現在の難民保護費の支給状況で、難民申請者の生存権が守られるというふうにお考えでしょうか。横のつながりということでいえば他省庁との関係とか、UNHCRとの関係、それから民間のNGOとの関係とか、色々な関係を作ることで生活支援とか住居支援も可能だと思うんですけれども、大臣のお考えをお聞かせください。
 
【大臣】
 先日お話がありました記事は、すぐ読みました。内容を理解しながら拝読させていただきました。2番目の問いですけれども、これは基本的に外務省が委託する難民事業本部があります。我々も含めて関係省庁は常日頃、連絡、情報共有、調整をしていますので、そういう中で我々の考えも、こうした全体の仕組みの中にいかしていきたいとは思っています。ただ、応急住宅対策のような御指摘もありましたけれど、これは明らかにちょっと所管外なので、我々が入れないということでありますけれども、今後とも横の連携をしっかり取っていくことは、御指摘のとおりだと思います。そのように努めたいと思います。

今年の振返りと来年の抱負に関する質疑について

【記者】
 予定されている記者会見、今日で一応(今年)最後ということで、1年間といいますか、振り返りをお願いできればと。
 
【大臣】
 振り返りでありますけれども、本当にあっという間の3か月と2週間がたったのですけど、9月13日に法務大臣に就任して、3か月と約2週間、本当に色んなことがありましたが、多くの職員、関係者の方々に支えていただいて、法務行政にまっすぐ取り組んで来ることができたというふうに思います。成果はまだまだでありますけども、存分に仕事をさせていただいているという有り難さがまずございます。具体的な中身について細かくは申し上げませんけれど、やっぱり再犯防止に向けた取組の進展、拘禁刑の導入もありますし、被害者等の心情等の聴取・伝達制度の運用開始、質的に変わろうとしているところです。今までやってきたことが、どうもまだ十分に効果を発揮できないでいる。そこで、新しい取組をしていこうということがスタートしましたので、これは非常に大きなスタートの年であったと後で振り返ることができるように、引き続き取り組みたい。入管の関係では、やっぱり、技能実習制度、特定技能制度に関する様々な議論を深めることができた。有識者会議で最終報告書も頂きましたし、与党の方で、自民党も公明党も議論をしていただいて、その結果も受け止めることができた。これを実際に法改正として実現していくことになりますが、その基礎部分が大きく進んだというふうに思います。同じ意味で離婚後のこどもの扶養の在り方、共同親権の問題も、制度論には立ち上がってきませんけど、非常に緊密で様々な意見、そういったものが今、寄せられています。入管とか刑務所の内部改革も着実に今進めております。そういった様々な課題がまだ途上ではありますけれども、進んできている。また、司法外交の観点からも、7月の国際司法フォーラム(司法外交閣僚フォーラム)で決議されたウクライナ汚職対策タスクフォースを開催することができました。着実に約束したことを前へ進めていこうという状況にあります。多くの課題、まだまだこれから頑張らなければいけないと思っていますけども。まっすぐに取り組んでくることができた、大勢の方々のおかげであると感謝しています。
 
【記者】
 大臣来年、年男を迎えると思うのですが、辰年(たつどし)に絡めて、来年の抱負をお聞かせください。
 
【大臣】
 来年私の干支(えと)なのですよね。この質問いただいてよく考えてみたのですが、龍は昇るものだっていう伝説があって、天から広く世の中を見渡してっていうイメージがあるのです。私は、龍が昇る前にはどこにいるのだろうと思ったのですよ。これは非常に大事な問題で、龍はね、雌伏しているのですよ。大地をずっと雌伏している。それがあって、初めて求められたときに昇龍になれるというふうに思います。私はまだ今、大地を這っている状態ですから、まだ昇龍のめどが立っていません。その龍が、昇る前の龍をまず実行しようというのは私の考え、そして、昇ることが必要な場面がもし来たならば、これは上に昇るのではなくて、横に展開しなきゃいけない。法務行政は、昇っていってもらうべきは国民であり、国民の幸せなのですよ。我々は、その実現のために龍としてなぞらえるならば、横に広げる。民間の方々との協力、再犯防止における最前線での民間の方々との協力、横関係ですよね。共生社会の実現、これも横ですよね。各国の(技能)実習生の問題含めて横に繋がる。司法外交もそうだと思うのですよね。法務行政の要諦は横に枠を広げていく、既成の法務行政の枠を払って横に広げていく。それは私なりの昇龍の抱負ですね。そうありたいと思います。
(以上)