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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和6年2月13日(火)

 今朝の閣議では、法務省案件としまして、「裁判所職員定員法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。また、主意書に対する答弁書が1件ありました。
 続いて、私から、明後日15日に法制審議会の総会を開催しまして、二つの検討課題について新たな諮問を行う件について、御報告させていただきます。
 一つ目は、遺言制度の見直しであります。現行の自筆証書遺言については、財産目録を除く全文、日付、氏名を自書し、押印して作成することになっておりますけれども、これがかなり作成者にとって負担が大きいという声もありますが、またその一方で、情報通信技術が発展してきておりまして、情報通信技術を活用すれば、遺言の偽造等を防ぎつつ、新しい方式を定めることができるのではないか。こういった問題意識の下で、法改正に向けた具体的な検討を行っていただくために、遺言制度の見直しについて法制審に諮問することにしました。
 二つ目は、成年後見制度の見直しであります。これも高齢化社会の進展によって、成年後見制度に対するニーズの増加、多様化が見込まれますけれども、これに現行制度が的確に対応できていないのではないか。そういう問題意識の下で、成年後見制度を見直して、より利用しやすいものとする必要がある。こうした観点から、法改正に向けた具体的な検討を行っていただくため、法制審に諮問することとします。
 これら二つの課題について、法制審議会において充実した調査審議がなされることを期待しております。

成年後見制度及び遺言制度の見直しに関する質疑について

【記者】
 先ほどの成年後見制度と遺言制度についてですけれども、高齢化社会が今後更に加速することが見込まれる中、政府全体で様々な検討がされています。今回、成年後見制度と遺言制度について議論される方針となりましたが、法務省としてどのような課題を感じて、どのような議論を期待されますでしょうか。
 
【大臣】
 まず、成年後見制度についてでありますけれども、そもそも高齢化によってニーズが増加する、また、内容も多様化する。そういう状況に直面していると思うのですよね。それに対して、制度のほうが、使い勝手が良いかと、柔軟性があるかと、効率性が確保されているかという観点から考えますと、公平性とか公正性はきちっと確保されていると思うのですけれども、利便性とか効率性とか、そういったものから考えたときに、改善の余地があるのではないかというふうに考えられます。
 例えば、成年後見制度に対する主要な指摘として挙げられますのは、利用動機の課題、例えば、遺産分割が解決し終わった後も、判断能力が回復しない限り、利用をやめることができないという指摘があります。また、成年後見人には包括的な取消権や代理権がありまして、本人の自己決定が必要以上に制限される場合があるのではないかという指摘もあります。また、本人の状況の変化に応じた成年後見人等の交代が実現しない。その結果、本人がニーズに合った保護を受けることができない。そういったような指摘や要望といったものが寄せられております。こういう点も含めた検討になっていくというふうに思います。
 それから、新たな方式の遺言についてでありますけれども、これもかなり本人にとって負担が大きいという問題があります。高齢化すればするほど、全部自書でやるという負担が大きい。でも、それは偽造を防止するためですよね。信用性を確保するための手間ですが、デジタル技術が発達してきていますので、偽造を防ぐ、信用性を維持しながら本人の負担を減らすという方法があって良いだろうという指摘があるわけでありまして、具体的なことはこれからでありますけれども、そういう問題意識の下で、課題を選別して検討していただきたいというふうに思っています。成年後見制度のほうは高齢化の進展、遺言制度のほうは情報化の進展。世の中全体のベーシックな変化。二つはよく言われますけれども、それに応じた我が民事制度も、高齢化に対応する、技術革新を取り入れる、情報通信技術を取り入れる。そういう対応を、しっかり法制審で議論していただければ有り難いというふうに思っております。

デジタルノマドの受入れに関する質疑について

【記者】
 デジタルノマドに在留資格を認める新制度について2点お伺いさせていただきたいんですけれども、まず、期間は半年で検討されていると思いますが、これについて少し短いのではという声も上がっています。滞在期間の延長を検討される可能性があるのかというところをまず1点お伺いしたいです。
 それから、2点目についてですが、海外でも同様の制度が行われていますが、デジタルノマドの呼び込みについて、日本は選ばれると思うかと、優位に立てるとすればどのような点が評価されるとお考えになるかですとか、どのくらいの来日を見込んでいるかという点について教えていただきたいです。
 
【大臣】
 まず、在留期間は6か月を想定しています。今、3月3日を期限としてパブリックコメントを実施しておりますので、その中でどういう御意見がどれぐらい出てくるかということをもちろん踏まえながら、必要な検討を行っていくということですが、一応6か月をめどに考えてはいます。これは、アンケート調査をやりまして、6か月未満の滞在希望という方が73パーセント。7割を超えるぐらいの方々がそういうお答えを出されましたので、2問目の御質問ともかぶりますけれども、デジタルノマドというものを、まだ日本はあまり現実性のある問題として受け止めきれていない部分もあると思うんですよね。国際的なリモートワーカーはいるんですけども、国内的なリモートワーカーですら、そうたくさん色々なところに滞留しているわけでもない。我が地元でもリモートワークの色々な施設を作っている。ワーケーションということで作っているんですよね。そこにゲームメーカーとか、いわゆるノマドと言われる人たちもいますけれども、全部日本人であって、まだ外国人は我が地元では見たことがないので、これから、早いか遅いか議論はあると思いますけれども、これから間口を広げてしっかりと調和を取りながら受け入れていくという、その最初のステップでありますので、6か月より長い在留期間としている国ももちろんありますけれども、一歩ずつ着実に速やかに進めていくというその一歩として、まず6か月から始めたい、始めることが適当ではないかなということで、パブリックコメント(を募集)しているところです。
 どれぐらい来てくださるかということですけれど、そもそも今何人ぐらい来てくださっているかが分からないわけです。短期滞在という(在留)資格で入っていますから、その中の何人の方がデジタルノマドかというのは分からないので、これからこういう在留資格ができれば、的確に、リアルタイムに近く把握できるようになりますので、その状況を踏まえて、どういう点に日本は強みがあるのか、どういう点が弱いのか、そういったアンケート調査もできるでしょうし、接点ができますから数字の伸びというのも把握できると思いますので、色々な情報をそこで集積することによって、また改善点を作り出していきたい。ベーシックには日本は治安が良い。また、観光地としての魅力がたくさんある。そういうことは強みだと思うのですけれど、でも観光で来られるだけでもないので、イノベーションにつながるような国内のスタートアップの成長とか、経済政策あるいは産業政策全般にもこれは関わってくると思いますので、しっかりとこれを契機に、法務省としてもこの問題にフォーカスして、問題意識を持って対応していくことができればというふうに思います。
(以上)