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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和6年2月16日(金)

 今朝の閣議では、法務省案件として、主意書に対する答弁書が1件ありました。

相続登記の申請義務化に関する質疑について

【記者】
 相続登記の義務化まで50日を切りました。制度に関する認知の浸透に課題がありますが、明日には電話相談会も司法書士会のほうでやられるというのもありますけれども、今後、関連団体と連携して取り組んでいくことがあるのか、また国民への呼び掛けをお願いしたいです。
 
【大臣】
 所有者不明土地対策のまさに中核をなす相続登記の申請義務化が4月1日から開始されます。国民生活に大きな影響がある制度改正でありますけれども、おっしゃるようにまだ国民に十分に幅広く認知されていないという課題がありまして、これまでも司法書士会等と連携しながらパンフレットを作ったり、リーフレットを作ったり、あるいは対談をしたり、アバター動画配信、こういう取組も一生懸命やってきているんですね。ただ、認知度調査というのを見てみると、令和4年と5年にやっていますが、この制度を「詳しく知っている」と「大体知っている」、これを合わせて令和4年度は33パーセント、令和5年度は両方合わせて32パーセント。1年経っても3割止まりなんですよね。上がってこないわけです。何とかここを広げていかないと、本来の意味でのこの制度の趣旨が生かされないというふうに思っています。今、事務方に私からお願いしているのは、PRのターゲット、候補のターゲットをもっと上手く絞り込めないかという検討を指示しています。90代の親から60代のこどもに相続されるのが多いとよく言われますけれども、それは極端だとしても、50代、60代ぐらいをターゲットにした相続あるいは遺産、資産形成、そういったものに関心を持つ世代をターゲットにする方法をプロフェッショナルの知恵も借りて何とか編み出していきたいなというふうに思っております。その一環として、今取り上げていただきましたけれども、明日、全国の司法書士会で一斉に遺言・相続についての無料相談会が開催されます。対面、ウェブ、外国語での電話対応、色々な形でこれを進めたいと思っています。これも一つのPRのステップになればというふうに思っています。

犯罪被害者等の情報を保護するための制度に関する質疑について

【記者】
 (本月)15日から性犯罪などの被害者を守るために、逮捕状や起訴状に氏名などを記載しない新たな制度が始まりました。被害者の泣き寝入りを防ぐ一方で、冤罪を生みかねないとの指摘もあります。この制度の意義と運用の課題をお答えください。
 
【大臣】
 犯罪被害者等の情報の保護の制度が昨日15日から施行されました。これは、刑事手続全体を通じて、犯罪被害者等の氏名、住所等の情報について、秘匿措置をとることができるようになります。
 今、お話のあった起訴状、逮捕状に名前を書かないという形で保護を図っていこうということで、大変重要なステップだと思いますけれど、一方で、冤罪を生み出しかねないという指摘も確かにありますので、被疑者あるいは被告人の防御に不利益が生じてしまう場合等には、秘匿措置がとられた情報を被疑者・被告人に通知するという仕組みはしっかりとインストールされていますので、被疑者・被告人の防御権には十分配慮されたものになっていると思います。これがまさに昨日から始まっていきますので、またその実態をよく注視していきたいというふうに思います。

名古屋刑務所の事案を受けた再発防止に向けたアクションプランの取組状況に関する質疑について

【記者】
 名古屋刑務所の事案を受けた第三者委員会の提言を踏まえたアクションプランについて、昨日、受刑者を4月から「さん」付けで呼ぶこととかを含めたものの進捗状況が発表されました。この現状の取組の進み具合、大臣どうお考えか所感をお答えください。
 
【大臣】
 名古屋刑務所における不適正処遇事案があり、2023年6月に第三者委員会提言を頂きました。それを受けて、法務省としてのアクションプランを同月(2023年6月)に作りまして、それを速やかに進めていこうということで取り組んできています。昨日公表させていただいたのは、その取組状況であります。68の具体策が盛り込まれていますけれども、現在、全国の刑事施設において、その中の約4分の3が試行又は実施段階に移行しています。これは、拘禁刑への移行に向けても十分意義を有するものだというふうに思います。
 その中で、受刑者に対する「さん」付け、あるいは受刑者から職員、刑務官に対する呼称、これは「先生」と呼ぶケースがままあるようですけれども、こういった呼称の適正化ということも一つの大きなテーマになっていまして、これは参議院法務委員会で、鈴木宗男先生から、この呼称の問題、あるいは刑務所の中だけで使われている不適切な用語、こういったものを一掃する必要があるんじゃないかということを、かねてより、各歴代の大臣に対して鈴木先生からも強い御指摘があって、私もこれはしっかり改めますという答弁を、昨年11月から12月にかけて、法務委員会でさせていただいております。
 こういった問題と、この名古屋のアクションプラン、全国ベースですけれども、それが重なる形で進んでいきますので、刑務所内の用語の適正化については、結局、上下関係が固定化する、観念の中で、意識の中で固定化する。そこにやっぱり虐待的なアクションというものが生まれてくるおそれがある、可能性がそこで生まれるんじゃないかということで、やはりこの風通しというものを、組織風土というものを改変していく大きな取組だと思います。時間をかけて形成されてきていますから、一朝一夕というわけにはいかないかもしれませんけれども、粘り強くこの方向に向かって進んでいく、その出発点にできれば良いなというふうに思っています。
(以上)