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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和6年2月22日(木)

 今朝の閣議ですが法務省案件はありませんでした。
 私から2点御報告をさせていただきたいと思います。1点目は、先日お話をしましたけれども、刑事施設における組織風土の改革について、この2月にいくつか措置を執りましたので先般、御説明したものも含めて、概略を御説明させていただきたいと思います。この組織風土の変革、刑事施設における変革については三つの背景があります。(従前から)衆参の法務委員会において、各委員から幅広く問題点の指摘が行われてきました。特に鈴木宗男議員からは御自身の実体験に基づいた御指摘が幾つもありまして、我々もそれを大変重く受け止めたところでもあります。2番目の背景としては名古屋刑務所で起こった不適正処遇事案。これに対する第三者委員会、アクションプランの策定、その実施という具体的なステップを踏んで、名古屋で起こったことをベースとしながら、全国の刑務所の在り方についての検討を進め、できることから着手をしてきております。この流れがあります。こういったものを踏まえて、やはり法務委員会で質疑がございました。このときも、参議院の法務委員会で鈴木委員から、歴代の大臣に言っているのだけど早くやってくれという強い御指摘もありましたので、しっかり取り組みますというお話をさせていただきました。およそこの三つの事柄が背景となりまして、次の三つの項目についての改善策を実施することになりました。
 まず一つは、受刑者、あるいは職員、刑務官に対する呼び方ですよね。受刑者に対しては、「○○さん」という「さん」付けにする。また職員、刑務官に対する「先生」というような呼び方があるようでありますけども、そういったものもやめていくという点が一つあります。それから刑事施設内において使用されてきた俗語、隠語、一般社会では使用されない言葉ですね、これを廃止していく、あるいは別の言葉に置き換えていくという問題が2番目。3番目が、経済社会が大きく変化する中で受刑者にも十分な社会的情報が届くようにという配慮が必要ですよね。そういう意味で、刑事施設におけるテレビ、ラジオの情報に接する機会、全国の刑務所で一律に基準を設けてしっかりとそういう機会を確保していこうという取組であります。こうした取組によって刑務官の心の持ち方、姿勢、受刑者に対する心の在り方、こういったものが変わっていくことを期待しておりますし、施設全体としても、この社会から隔絶した別世界ではなくて、やがてまた実社会に戻っていくためのステップとしての、この刑事施設、矯正施設としての役割。そういった点からの適切な処遇が実現しやすくなるだろうという考えがベースにはあります。
 また、言葉遣いでありますけれども、やはり人間の心や精神は、言葉とつながっていますので、言葉がゆがんでいれば、考え方、気持ち、そういったものも意識も間違っていく、ゆがんでいく、そこから虐待的な行動というものが誘発されかねないという点もありまして、この長い間、刑務所にある様々なこういう適切ではない慣行、呼び名、一朝一夕にいかないかもしれません。相当の時間の中で作られてきたものだと思いますので、粘り強く改善していく、その第一歩にしたいということであります。
 最初の1項目の「さん」付け、あるいは刑務官に対する呼称の適正化については、昨年8月から、名古屋刑務所で先行的に実施しまして、職員から肯定的な受け止めも得られましたので、昨年11月1日、全国の刑事施設に指示をして、本年4月1日から、全被収容者との関係で実施してもらいたいという通知をいたしました。2番目は、刑事施設において使用されてきた俗語、用語、幅広く調査しましたが、第1弾として35の用語について、2月9日(金)、各施設に直ちに使用を取りやめましょうという通知を出しました。同じく2月9日にテレビ、ラジオの視聴方法等について、統一的な基準を設ける旨の通知をし、直ちに実施をお願いしました。平日の午後7時から8時までの時間帯については、全国の施設で共通の視聴時間として、チャンネルの選択は自由にする。また、受刑者の置かれた状況、あるいは設備の状況によっては、リアルタイムで報道番組を見られない場合がありますけども。報道番組についてはそういった場合においても録画を含め、確実に視聴できるようにしていこうということを始めたわけであります。この3回の通知によってこの三つがいよいよ実施されることになります。実施状況をよくウォッチして、結果をフォローして、また今後につなげていきたいというふうに思います。
 2点目はルーマニア法務大臣との会談です。今まで法務省は10か国と協力覚書を結んできましたけども、11か国目として、ルーマニアの大臣がお越しいただきまして、是非日本と司法協力をしたいという大変ありがたいお申し出もありまして、是非一緒に協力関係を作りましょうということでMOCを交換しました。再犯防止に大変意欲的に取り組んでおられます。関心も強いです。10年間で10ポイント、再犯率を下げたというお話もされておられました。我が国と(再犯率の)定義が違いますので横並びの比較は難しいのですけれども、共通の問題意識というのは強く私も感じました。今後このMOCをベースに両国の司法面での関係を一層強めていきたいというふうに思います。

選択的夫婦別氏制度に関する質疑について

【記者】
 夫婦別姓を求めて東京や北海道に住む男女が集団訴訟を起こすという報道があります。先日、経団連が夫婦別姓制度を導入すべきと会見で述べているほか、日弁連の新しい次期会長も公約に夫婦別姓制度の導入を掲げています。法制審で答申がされてから長期間議論が止まっている状況ですけれども、こうした世間の動きを踏まえてどのように対応をしていくのか大臣のお考えをお聞かせください。
 
【大臣】
 御指摘の報道は承知しております。国民の各界各層で、選択的夫婦別氏制度に対する関心が高まってきていることの一つの表れだというふうに思います。繰り返しになりますが、平成8年、法制審が、選択的夫婦別氏制度導入を答申したわけでありますけども、法律案も作ったわけですが、平成8年と平成22年に二度の法案の提出を準備したのですよね。しかし、当時の政権内、国会の中に様々な御意見があったことから、法案の提出には至っておりません。こういう二度の経緯がありますよね。かつ、現在でも、専門調査、世論調査をしてみると、やはり様々な御意見がありますので、一つの方向性が見えてくるというところにはまだ至ってはいないのですが、今申し上げたように国民の関心は高まってきていると思います。我々法務省も幅広く視野を持って注視をしていきたい。御意見というのは国会の中にもあるし、また、司法の判断ということもあると思います。こうした経済団体等からの御意見ということもあると思いますので幅広くそういったものが折り重なって、お互いに影響を与え合って、国民全体としての一つの方向性みたいなものが出てくるかどうか。そういうところを注意深く見守りたいし、ただ見守るだけではなくて有効な情報提供はしていきたいと思います。ホームページに詳細な論点に関わる様々な情報経緯が整理されて掲載されておりますので、こういったものを充実させながら、国民的な議論に資する、そういう積極的な情報提供というのが法務省の重要な役割だと思いますので、今回の動きを踏まえて、なおこういった点の努力を強めたいなというふうに思います。

「自動車運転による死傷事犯に係る罰則に関する検討会」に関する質疑について

【記者】
 危険運転致死傷罪について2点質問があります。昨日、有識者検討会が始まりました。危険運転をめぐっては全国の御遺族からの色々な問題点というか声が出ていると思います。具体的な議論については検討会でこれから始まると思うのですけれども、現在、現状、この危険運転致死傷罪という法律にどのような問題点があるというふうに大臣は認識をされているかという点を伺いたいのが1点と。もう1点、検討会での具体的な論点出しとか方向付けとかで、大臣が注目している点とか期待している点があれば、お願いいたします。
 
【大臣】
 昨日から始まった検討会については、充実したものになることを我々も期待していますし、我々もしっかりこの検討会を運営し支えていきたいと思います。ただ、個別の論点は、昨日始まったばかりですので、今この時点で私が申し上げるのは適切ではないと思いますが、御遺族の方々との面会等を通じて、そうした御主張、御意見、論点は、しっかりと、真摯に受け止めているということは申し上げたいと思います。御遺族の方々の意見をこの検討会においても聞いていこうということになりました。ですから、中身についての論点はちょっとここでこうですということは申し上げられませんけれども、しっかりと取り組みたい。御遺族の方々の意見も十分伺った上で、真摯に受け止めて、しっかり取り組みたい。委員の方々も同じような思いでいらっしゃると思いますので、しかるべき時期に適切な成果が生まれてくることをしっかり我々もサポートしたいし、そういう方向に向けて取り組んでいきたいというふうに思います。

政治資金問題に関する質疑について

【記者】
 ただ今、確定申告の時期であり、政治の裏金問題、大変多くの国民の皆さん、関心をお持ちでいらっしゃいます。法務大臣というお立場、またかつて二階派に所属されていた議員の先生として御見解を改めてお聞かせいただければと思います。
 
【大臣】
 自民党におけるパーティー券による資金に関する処理の問題、大きな社会問題、政治的な問題になっています。一議員として大変、反省すべき点が様々あると思います。また党の議論、自浄作用、改革案に期待していきたいと思いますが一議員としてね。法務大臣としては、しっかりと、この日本の法体系、法秩序、そういった枠組みの中でこの問題に処してきたつもりでありますし、これからも厳正公平、不偏不党、検察の本来の在り方ですけれども、法務省全体においても、そういったものをゆるがせにすることなく、きちんと取り組んできましたし、そういう姿勢で、この問題には取り組んでいきたいとそういうふうに思います。
(以上)