検索

検索

×閉じる

法務大臣閣議後記者会見の概要

令和6年3月1日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 続いて私から3点御報告をさせていただきたいと思います。
 1点目は、「相続登記の義務化」についてであります。所有者不明土地対策の中核をなす「相続登記の義務化」の施行まで、残り1か月となりました。本日、相続登記の義務を簡易に履行するための「相続人申告登記」の手続などを定める「不動産登記規則等の一部を改正する省令」が公布されます。4月1日の施行に向けた法令の整備がこれで一応全部完了することとなりました。今後の課題としては、これを周知・広報していくということの必要性で、これが非常に重要な課題だというふうに思っています。まだ十分に国民に認知されていないということがわかっていますので、40代、50代、60代の相続への関心が高まってくる世代にフォーカスして、色んな媒体を使って、効果的な広報ができないかどうか、今、専門家の知恵を借りながら、良いやり方を編み出そうとしているところです。良いやり方が見つかったときには、また皆さんにも御報告し、また御協力もいただきたいというふうに思っています。
 2点目は、本日施行されました令和元年改正戸籍法についてであります。今回の改正戸籍法の施行によって、相続手続等に必要となる戸籍証明書の請求が便利になります。戸籍証明書は、本籍地の市区町村に赴くか、郵送で請求する必要がこれまではありましたけれども、本日からは、本籍地が遠くにある方でも、最寄りの市区町村の窓口で、戸籍証明書を請求することができるようになり、また、婚姻届などを提出する際における戸籍証明書の添付も不要になります。負担の軽減、国民の利便性の向上につながるよう、運用していきたいという思いで今日、施行になるわけであります。
 3点目は、株式会社の設立に必要な定款認証手続であります。起業促進、スタートアップ支援の観点から、本日から、全国の公証役場で新たに「ウェブ会議原則」を開始します。今までは、公証役場に来ていただいて色んな手続をしましたけれども、原則ウェブでやる「ウェブ会議原則」を今日からスタートさせていきたいというふうに思います。これに伴って、苦情・相談窓口を新たに設けます。昨年の末に、既に定款作成支援ツールを公開しまして、(本年)1月から東京と福岡で、このツールを用いた定款であれば、原則48時間以内に認証手続を完了させるという、大幅な期間短縮の運用改善もスタートしています。「ウェブ会議原則」と48時間の原則。これを多くの方々に活用していただいて、特に起業家の方々の負担軽減につなげていきたいというふうに思っております。

再審制度の在り方に関する質疑について

【記者】
 再審制度につきましては、在り方を検討する超党派の議員連盟が発足するとの報道がありました。再審の手続規定については、証拠開示のルールの明確化でありますとか、再審開始決定に対しての検察官の抗告ができる現状の見直しを検討すべきだという声があります。現状の制度について、大臣の御所見を伺います。
 
【大臣】
 御指摘の議員連盟が発足するという報道、これは承知しております。個々の国会議員の活動に関わる事柄について、法務大臣として所感を述べることは差し控えたいと思います。
 その上で、再審制度の在り方でありますけれども、これまでも御説明してまいりましたように、確定判決による法的安定性の要請、そしてまたもう一方で個々の事件における既存の判決の是正の必要性、その調和点をどこに求めるかという非常に重要な深い問題だと思います。ですから、様々な観点から慎重に、丁寧に検討すべき問題であるというふうにお答えするのが一番適切かというふうに思っております。法務省では(平成)28年成立の刑事訴訟法等一部改正法の附則で求められている検討に資するために、令和4年7月から、「改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会」を開催しまして、そこで再審請求審における証拠開示等についても、協議が具体的に行われております。法務省としても、ここで充実した議論をしていただきたいという考え方に基づいて努力しているところです。

死刑制度の在り方に関する質疑について

【記者】
 昨日、「日本の死刑制度について考える懇話会」が発足し、第1回会合がありました。諸外国の情勢でありますとか、死刑の代替刑などについても議論される見通しとなっています。死刑制度につきましても改めて大臣の御見解をお伺いします。
 
【大臣】
 御指摘の懇話会の発足は、承知しております。死刑制度の在り方は、我が国の刑事司法制度の根幹に関わる重要な問題でありまして、国民世論に十分配慮しつつ、社会における正義の実現等、種々の観点からこれも慎重に検討すべき問題だというふうに思います。世論調査によれば、国民世論の多数が極めて悪質、凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考えており、一方で、多数の者に対する殺人や強盗殺人等の凶悪犯罪がいまだ後を絶たないという状況等に鑑みますと、その罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては、死刑を科することもやむを得ないのであり、死刑を廃止するということは適当ではないというふうに考えております。その上で、死刑制度の在り方については、我が国の刑事司法制度の根幹に関わる問題であり、御指摘の懇話会を含め、多くの国民の皆様がその必要性を感じて自ら議論に参加するというような形で、幅広い観点から議論がなされるということが適切であると思います。そのような御議論の動向については、法務省も関心を持って注視していきたいと、そういうふうに思っています。

相続登記の申請義務化に関する質疑について

【記者】
 冒頭にもありましたが、相続登記の義務化に関して伺います。今日、省令を改正するということで、オンラインの活用ができるようになったりとか、旧姓の併記が可能になったりとかというところがあるんですけれども、この狙いと、この省令の改正によってできることによる効果への期待についてお答えください。
 
【大臣】
 最初に申し上げましたように、「不動産登記規則等の一部を改正する省令」が本日公布、4月1日に施行されます。これは、相続に限らず登記というのはふだんあまり日常生活で触れない作業なので、心理的なハードルが高かったり、手続が煩雑に感じてしまったり、そういう色々な改善点があるという認識のもとで、相続登記の申請義務を簡易に履行する方法として、相続人申告登記の手続をこの省令で定めようとするものです。中身は、オンラインによる簡易な申請を認め、また提出が必要な戸籍関係の書類の範囲を限定し、簡素化する。効率化、簡素化して、相続登記というものへのアクセスをやりやすくするという狙いであります。負担の軽減によって、より相続登記を推進していこうと、そういう考え方です。その中の一つとして、所有権の登記名義人の登記簿上の氏名に旧氏を併記するということも認めることになります。これは例えば結婚等によって氏が変更になると、所有権の登記名義人の識別性というものがちょっと損なわれる面もあるかもしれないということで、所有権の登記名義人の識別性を向上させるという観点から、こうした措置も織り込んでいるところです。こうした新しい制度が十分に活用されて、相続登記が全体として進んでいけばいいなというふうに考えており、そのことを期待しております。
(以上)