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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和6年3月19日(火)

 今朝の閣議では、法務省案件はありませんでした。

地下鉄サリン事件に関する質疑について

【記者】
 明日(3月)20日で、オウム真理教による地下鉄サリン事件から29年となります。公安調査庁は、後継団体が若い世代への勧誘活動を展開していると説明しています。また、事件から30年近くが経過する中で、後継・派生団体の活動の現状をどのように考えているのか。また、昨日、被害者の会の皆さんと大臣が面会されまして、その思いをどのように受け止めたのか、教えていただけないでしょうか。

【大臣】
 平成7年(1995年)3月20日に発生しました地下鉄サリン事件、29年の歳月が流れようとしているわけでありますけれども、本当に大きな傷跡を日本の社会に、また、被害に遭われた方々に残した未曾有のテロ事件であったというふうに思います。我が国のみならず全世界に衝撃を与えた。その衝撃がまだ残っている状況だと思います。この事件を起こした団体は、現在もなお、首謀者である麻原彰晃こと松本智津夫の絶対的な影響力の下で活動を行うなど、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性を有していると認識しております。また、当該団体は、立入検査においても非協力的な姿勢が続いております。依然として閉鎖的かつ欺まん的な体質を保持しているというふうに考えております。
 昨日、「地下鉄サリン事件被害者の会」の方々(である)、御遺族また弁護士の方々とお話しすることができました。この地下鉄サリン事件の被害に遭われた方々や御遺族の皆様方におかれては、今なお事件の苦しみや悲しみの中で日々を過ごしておられ、また当該団体の活動が活発化することに大変大きな懸念を持っていらっしゃるということを、改めて深く認識させていただきました。こうした点を踏まえ、被害者の会の皆様の御要望を真摯に受け止めて、いかなる対応が可能か検討を行うとともに、公安調査庁において引き続き当該団体に対する観察処分を適正かつ厳格に実施し、当該団体の活動実態を明らかにするとともに、地域住民を始め、国民の皆様方の不安感の解消・緩和に努めていくことが必要である。その決意を新たにしたところであります。

元死刑囚の遺骨をめぐる訴訟に関する質疑について

【記者】
 オウムに関連して、昨日、松本智津夫元死刑囚の遺骨を引き渡す裁判の判決を国は不服として控訴しましたけれども、その理由について改めてお伺いできますでしょうか。

【大臣】
 御指摘の判決は、国としてその判断を受け入れることはできないというふうに我々は判断しまして、控訴したものであります。取り分け本件では、判決の内容が公共の安全及び社会秩序全体に大きな影響を及ぼし、国民の皆様に不安を与えるものであることから、昨日控訴し、この判決に対する国の立場を速やかに明らかにすることとしました。詳細については、今後控訴理由書で明らかにしてまいります。引き続き適切に対応していきたいと思います。非常に慎重に対応すべき重要な事件だと思います。引き続き適切に対応してまいりたいと思います。

同性婚に関する質疑について

【記者】
 同性婚に関する先日の札幌高裁判決についてお伺いします。先週金曜日の会見で、大臣、国民的なコンセンサスを得るために各所での議論が必要だとの旨おっしゃっていたと思うんですが、今回、札幌高裁判決が、同性婚を認めるかどうかというのは個人の尊厳に関わる人権問題だという立場を強調して、対策を急ぐ必要があるというふうに説いていました。そして、現状の制度設計が人権上の問題をはらんでいるという問題意識については、他の全国の訴訟も全て共通しているというふうな指摘もあります。そこで御質問ですが、人権擁護も法務省の使命の一つだと思うんですが、人権問題という観点から主体的に検討を急ぐ考えはありませんでしょうか。また、先日の会見では、議論を促進するという意味で貢献できることがあるともおっしゃっていたと思うんですけれども、こちら、具体的にお考えになっていることがあれば教えていただければと思います。

【大臣】
 御指摘の判決は、原告らの請求を棄却した地裁の判決に対する控訴を棄却したものであります。東京地裁の判決では、理由中において民法・戸籍法の婚姻に関する規定等が憲法24条2項に違反する状態にある旨の判断が示され、また、札幌高裁の判決では、その理由中において民法及び戸籍法の婚姻に関する規定が憲法14条及び憲法24条に違反する旨の判断がなされました。基本的にはこの段階では確定前の判決であります。また、他の裁判所にも同種の訴訟が係属しておりますので、そういった状況もしっかりと注視していきたいと思います。注視するときの在り方を今問われたわけですけれども、これはやはり我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題だと思います。そして、その中にはもちろん人権的な配慮、人権を守るというその価値、そういったものももちろん含まれています。そして、また国民の様々な思い、これまでの経緯、そういったものを総合的に見ていく必要があると思います。国民の方々の受け止め方もまだ区々でありまして、全体のコンセンサス、理解、そういったものが深まっていくということがこの検討の前提にやはりあると思うんですよね。ですから、もちろんこの訴訟も非常に重要な要素だと思います。しかし、国民各層の御意見、国会における議論、そういった状況、地方公共団体の進み方、パートナーシップ制度の導入の状況、そういったものを総合的にしっかりと把握して、我々もそれに貢献していく。様々な事実関係、様々な論点、そういったものについては、我々がまたできる限り議論を促進する方向に進めることができればいいなというふうに思っております。

【記者】
 議論を促進する方法というか、具体的なものとしてお考えになっていることはありますでしょうか。

【大臣】
 まだ具体的にこれだというのはちょっとお示しできませんけれど、我々ができる情報提供、これについては考えて検討する余地はあるというふうに思いますので、今後検討していきたいと思います。
(以上)