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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和6年3月22日(金)

 今朝の閣議ですが、法務省案件としては、政令が2件、主意書に対する答弁書が2件、閣議決定されました。
 続いて、本日公表します、令和5年における「人権侵犯事件」の状況について申し上げたいと思います。
 令和5年においては、人権侵犯事件の件数が8,962件。これは6年ぶりに増加したという形になりますが、その中の13.2パーセントが学校におけるいじめに関するものであり、その件数が1,185件でありました。そのほか、インターネット上の人権侵害情報に関する人権侵犯事件の数は1,824件で、高止まりをしているという状況です。激変している部分はないですけれども、やっぱりちょっと増加に転じて、そしてこのインターネットの人権侵犯あるいはこどもの学校におけるいじめ、こういったものが高止まりをしているという状況が伺えるわけであります。
 加えて、今回、(法務省の人権擁護機関が)救済措置を講じた事例の概要も公表しております。例えば、こどもの関係では、「LINEじんけん相談」等をきっかけとして、人権擁護機関が関与した結果、いじめや虐待等の問題の解消につながった事例を紹介しています。具体的に、法務省の人権擁護機関の関与によってどのような解決につながったのかを知ることが、こどもたちが相談しようと思うきっかけになり得るというふうに考えられますので、解決までの道筋も公表していくという考え方です。そういう形を今回とっています。報道機関の皆様方におかれても、この人権相談や調査救済手続の周知・広報に御協力をお願いできれば有り難いというふうに思います。

外国人支援コーディネーターに関する質疑について

【記者】
 先日、大臣からも御説明がありましたが、生活の困りごとを抱えた外国人を支援する外国人支援コーディネーターの研修が新年度から始まります。2021年度の在留外国人に対する基礎調査では、公的機関へ相談する際の困りごととして、どこに相談すれば良いのか分からなかったという答えが最多でした。今回の研修は、自治体などの窓口で対応にあたる方などが対象というふうに見込まれていますけれども、多様な国籍、年齢、属性の外国人住民が、相談をする先が分からないという事態を避けるために、研修にどのようなことを期待されるのか、改めてお伺いします。

【大臣】
 前回御説明しました外国人支援コーディネーターは、外国人からの生活上の様々な困りごとに関する相談に応じて、適切な連携先につないで解決まで導いている「相談対応支援」に加えて、その少し手前の部分で、日本の制度の概要や出身国の制度との違いを教示してあげるとか、困りごとが発生した場合にはこういうところに相談してくださいということを、具体的な事例が生ずる前に、あらかじめお知らせしておくという「予防的支援」を行うことを予定しております。
 やはりこの研修においては、専門知識、幅広い専門知識というと膨大になってしまうのですけれども、困りごとに関連するであろうと予測される分野の専門知識、それをしっかりとリーダーですから習得してもらうという研修の在り方が重要になってくるのではないかというふうに思っています。

令和5年における「人権侵犯事件」の状況に関する質疑について

【記者】
 冒頭、大臣からも発言があった人権侵害の関係ですけれども、平成29年以来の増加ということで、学校でのいじめとか、インターネットの誹謗中傷をきっかけとする自殺も後を絶たない状況ですが、今回の数字の受け止めと、今後の人権保護に向けた取組をどうお考えなのかお聞かせください。

【大臣】
 平成29年(2017年)に、前年に比べて増加し、その後6年続けて絶対数が減ってきていましたので、かなりまた大幅に減ってきていましたので、これが望ましい傾向であるかなというふうには見ていましたけれども、また令和5年(2023年)には(令和4年と比較して)1,103件の増加になったわけですよね。コロナからの回復とか色々理由のようなものは議論されていますけれども、増えたことは事実でありますので、やっぱり十分我々もこれから心して取組を更にやっていかなければいけないという緊張感は、非常に強く感じています。特に、学校でのいじめ、インターネット上での人権侵犯。こういう、こどもが関わるであろうと考えられる事案が高止まりしているということも懸念すべき状況だというふうに思います。こどもが対象になっているという問題については、若年層をターゲットとしてチャット形式の「LINEじんけん相談」。こどもが直接LINEを通じて相談できる形にしようということで、こういう相談体制もとっています。親御さんの場合は、電話とか、普通のメールが多いようですけれども、こどもからの受け止めというのは、このLINEを使ったものが、非常に有効性が高いということだと思います。これをもっと広げていく必要があると思います。インターネット上の誹謗中傷についても、被害者からの相談受けた場合には、その意向に応じて中立的な立場で違法性を判断した上で、プロバイダ等に対して削除要請というものも行っています。しっかりと緊張感を持って、また知恵を絞って、人権擁護がこどもたちの問題も含めて行き届くように、これから更にしっかり取り組んでいきたいと思います。
(以上)