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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和7年10月17日(金)

 今朝の閣議において、法務省請議案件はありませんでした。 

法務大臣としての振り返り及び今後の課題に関する質疑について

【記者】
 いろいろとすでに報道もあるかと思いますけれども、早ければ21日にもですね、首相指名選挙が行われて、新しい内閣が発足する見込みとなっています。それに当たって、法務大臣就任からですね、今日までを振り返りまして、御所感というのを伺いたいのと、併せて法務行政、入管行政いろいろあるかと思いますけれども、今後の課題などもあれば、併せてお願いいたします。
 
【大臣】
 昨年11月11日に就任させていただいてから、11か月ほどが経過しました。この間、国民の皆様方の安全・安心を支えるために法務大臣として法務行政の諸課題について、職員の皆さんと一緒に全身全霊で取組を進めてまいりまました。 
 まず国会について申し上げれば、私の在任期間中に、情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の改正、民事裁判情報の活用の促進に関する法律の制定、譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律の制定等の法律の制定・改正に携わりました。 
 こうした法律の制定・改正は、社会情勢の変化に対応して、国民生活の基盤を改めて整備し、国民の皆様方の安全・安心の確保を図るためにも重要なものであったと考えています。 
 法律の制定・改正以外にも、出入国及び外国人の在留の公正な管理の実現のために様々な取組を行ってきました。平時・有事問わず様々なことも想定される状況ですので、まず大村入国管理センター、茨城県にあります東日本入国管理センター、あるいは福岡出入国在留管理局那覇支局石垣港出張所を含む、出入国在留管理の最前線である国内施設の視察もさせていただきました。また、タイ王国や、フィリピン共和国ではバタン諸島バタネス州バタン島にも行き、出入国管理行政等に携わる様々な方々との意見交換を行い、その関連施設の視察を行ってきました。そういった様々な意見交換を通じて、色々な意味での意識共有、認識共有を進められたのではないかと思っています。 
 そして、そういった中で、出入国在留管理行政について申し上げれば、具体的な方策として、国民の皆様方の安全・安心を死守するための「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」を5月に公表し、実施に移したところです。「外国人の受入れの基本的な在り方の検討のための論点整理」を公表させていただき、これは、一定程度は今後の議論の1つの出発点になったのではないかと考えています。 
 また、先般申し上げましたが、在留資格の「経営・管理」の許可基準の見直し、あるいは今後の「帰化」「永住資格」の要件の適正化に向けた取組についても今、進めているところです。 
 同時に、司法外交について申し上げれば、法の支配という基本的価値を国際社会に浸透させる趣旨から、まさに今、地政学的にも様々な対応が求められている状況ですので、私自身としても、司法外交を進めさせていただきました。 
 具体的には、タイ王国、キルギス共和国、ウズベキスタン共和国、フィリピン共和国に赴き、様々な方と認識の共有をさせていただきました。 
 また、国内においても、様々な国や国際機関の要人と意見交換をさせていただき、今様々話題に上がっていますが、国際刑事裁判所ICCの赤根智子所長とも面会し、あるいは島しょ国ということで、フィジーとの間でMOCの締結等の司法外交を積極的に進めてきました。 
 制度について申し上げれば、戸籍の振り仮名記載の運用開始、拘禁刑の運用開始、令和6年奥能登豪雨で被災された方に資力を問わず無料法律相談を行うための新たな政令の制定等、国民の皆様方の生活の基盤整備や国民の皆様方の安全・安心の確保のための様々な取組を進めてきました。 
 まさに今、法務・司法行政を取り巻く様々な環境の変化にどう対応していくのか、さらには、我々としては、そういったこれからのリスクをなるべく先取りしながら、適切に対応していくことが肝要かと思っていますので、そうした思いの中で取組を進めてきたと考えています。 
 法務省の皆様方と一丸となって、諸課題に取り組んだことで、様々な意味で、将来に向けての道筋を作ることができたのではないかと考えています。 
 今後ということですが、これから様々な課題に、引き続き直面していくことになっていくと思います。 
 例えば先ほど来申し上げているように、真に活力ある日本社会を実現するために、外国人の受入れの在り方については、今現在起こっている様々な事象に対する対応は当然のことながら大事ですが、同時に、今後の様々な可能性を見据えながら、具体的対応をしっかりと検討して実施に移していくことが極めて重要だと思います。短期的、中期的、長期的、様々な観点から、多角的な視点を持ちながら、きちんと検討していくことが必要だと思いますし、同時に刑事手続についても、取り巻く環境の様々な変化を見据えた対応を進めていくことも重要だと思っています。 
 あるいは会社法等、日本の経済の活性化に深く関与するような法制度についても所管していますので、これからの経済成長をどうきちんと形作っていくのかといった観点からの適切な対応を我々は考えていかなければいけないと思います。
 同時に、今のこの地政学的な環境の中で、やはり先ほど申し上げた司法外交についても、我々がいるこのアジア太平洋を考えたときには、やはり「面」として、例えばこのASEANであり、あるいは中央アジアであり、島しょ国であり、まさに法の支配という価値を共有することで地域の安定に資するような取組を進めていくべきと考えています。先般5月に出張した際にも、中央アジアプラス日本の法務・司法大臣会合の立ち上げの基本的な方向について合意しましたので、こういった取組をしっかりと進めていくとともに、この11月にはASEANとの会合も控えていますので、そういったことをしっかりと進めていく。
 さらには、我々は公安調査庁も所管しています。国民の皆様方の安全・安心のために広い意味での一定の在り方についても、きちんとしたことを我々としては考えていく必要があるのではないかと考えています。 
 引き続き、我々はこうした様々な課題に、アンテナを高くしながら不断の努力をし、適時適切に対応してまいりたいと考えています。 
 
【記者】
 先ほども触れられておられましたけれども、外国人の受入れの在り方の論点整理について、公表後の反響ですとか、あと入管庁のプロジェクトチームでの検討状況ですとか、今後期待されることとか、お聞かせ願えればと思います。 
 
【大臣】
 反響は様々いただいています。 
 個別の論点について、様々な御意見もあろうと思いますし、様々な反響があるところですが、やはり中長期の観点から、日本の外国人の基本的な受入れの在り方の検討が必要だということについては、おそらくおおむね肯定的な反響が、私は多いのではないかと考えていますし、そういった中で、こうした取組をしっかりと着実に進めていくことが求められているのではないかと考えています。 
 このプロジェクトチームの検討状況について、詳細は控えさせていただきますが、今、出入国在留管理庁の次長をPT長として、その他幹部職員、あるいは関係課室の職員30名が兼務して調査・検討を行っています。 論点整理の公表と同時に立ち上げ、様々な検討を進めていますが、今、有識者の方々からも色々なお話を伺い、様々な情報収集を行うことで、今後の更なる検討に向けての作業を進めていると承知しています。 
 今後ということですが、これは政策懇との連携・連動になっていくと思いますが、今後、私としても、例えば量的マネジメントを論点整理の中でも挙げています。 
 これについては、やはりどういったことが行い得るのか、どういったことが実際に効果的で、実現可能性があるのか、こういったことについてしっかりとした精査も必要だと思っていますし、同時にこの社会のある意味での許容度について、我々もやはり情報把握、状況把握をきちんとしていかなくてはならないと思います。 
 どのようにして適切なタイミングで、こうした予兆をキャッチできるのか、あるいはどういった形で、どこと連携することで適切にそうしたことを把握していくことができるのか、そういった情報把握の在り方についても検討が必要と考えますし、同時に社会統合の在り方は様々な国でも非常に苦労しているところです。 
 まさにそういった中で、今後日本に来られる外国の方々と日本社会の中でどういった形の社会統合ができるのか、こういった点についての検討が極めて重要だと思います。同時に、これは先般から申し上げていますが、これは入管庁や法務省の範囲内だけの議論にはとどまらない可能性が極めて高いと考えていますので、政府全体の中で、司令塔ということになるのかもしれませんが、政府全体の取組として進めていく、そこに向けて我々として様々な調整をこれからしていかなくてはいけないのではないかと考えています。 
 
【記者】
 社会の許容度のところで、適切なタイミングで予兆を把握するって予兆っていうのはどういう意味でしょうか。
 
【大臣】
 例えば欧州で言えば、色々な社会的な混乱であったり、分断が指摘されています。やはり我々としては、国民の皆様方の安全・安心を死守していくことが活力ある強い日本を実現していくことの大前提だと考えています。そういった中で、乱れてしまってからでは遅いですから、そうなる前の段階でどのような形でそうしたことを把握することができるのか、これはなかなか確立した方法は当然ありませんから、そこをしっかりと検討していくことが必要ではないかという趣旨で申し上げました。
 
【記者】
 今、色々振り返っていただいたんですけれども、入管行政にしても、家族法制にしてもですね、世論に大きな隔たり、ある意味分断といえるような状況が見られる時代になっています。そういう中で、どこにその民意の在りかがあるのかっていうのを探しながら政策を前に進めていくべきなのか、1年近く大臣を務められているうちの御所感をお願いします。
 
【大臣】
 様々な政策課題について、色々な形で国民の皆さんの御意見やお考えが様々あるという状況であろうと思います。 
 そこについて、我々としてもしっかりとした情報提供をしていく上で、やはりファクトに基づいた形での様々な対応をきちんと打ち出していくことが必要だと思います。ただ同時に、国民の皆様方の合意の下に進めていく、これは民主主義として当然のことだと思いますので、そうしたことを踏まえながら、適時適切な対応をしていくことに尽きるのではないかと思います。 
 
【記者】
 大臣の任期中のこれまでの11か月間の間には、約3年ぶりとなる死刑の執行もあったかと思います。これについての所感と今後の死刑制度の在り方についても、お考えがあればお願いします。
 
【大臣】
 今年の前半だと思いますが、公表された国民の皆様方の意識調査においても、8割を超える方々が死刑制度については容認するという結果となっていると承知しています。 
 まさにこれは刑事司法制度の根幹でありますから、こうした国民の皆様方の思いであったり、どのようにしてこの国の治安をしっかりと守っていくことができるのか、そういった観点から、適切に判断されていくべきものだと考えますし、そのことはこれからも変わらないと思います。 
(以上)