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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和7年12月19日(金)

 今朝の閣議において、法務省請議案件として、政令案が1件、その他について7件閣議決定されました。
 続いて、私から、2件報告があります。
 1件目に、再犯防止推進白書と犯罪白書について申し上げます。
 本日、「令和6年度再犯の防止等に関する施策」、いわゆる「令和7年版再犯防止推進白書」を閣議決定するとともに、「令和7年版犯罪白書」についても、閣議において配布したので報告します。
 まず、令和7年版再犯防止推進白書は、令和5年に閣議決定した「第二次再犯防止推進計画」に掲げた施策に関し、政府が講じた取組や、それらの成果を掲載しています。
 今回の特集では、近年、再犯防止分野に新たに参画していただいている民間企業や団体の先駆的な取組を取り上げました。
 民間企業等の新たな関係者が再犯防止分野へ参画するに至るまでの経緯や取組の内容などを取り上げることで、より多くの方々に再犯防止への関心を持っていただくきっかけとなることを目指しています。
 次に、犯罪白書ですが、令和6年の犯罪情勢を見ると、刑法犯の認知件数が前年に引き続き増加し、新型コロナウイルス感染拡大前である令和元年の98.5パーセントの水準に達しました。
 また、個別の犯罪類型を見ても、児童虐待やストーカー規制法違反、サイバー犯罪、特殊詐欺、大麻取締法違反などの検挙件数が依然として増加傾向にあるなど、特に留意が必要な犯罪もあります。
 今回の特集では、令和5年に実施した精神障害を有する者等の性犯罪被害に関する調査及び令和6年に実施した一般国民を対象としたアンケート調査である犯罪被害実態調査、これは犯罪被害の実態の暗数の調査ですが、その結果等を紹介しています。これらを踏まえ、犯罪被害者等の支援の在り方等について、留意すべき点を検討しています。
 法務省としては、厳正・的確に犯罪に対処するとともに、これまでの取組の成果や課題を踏まえ、「第二次再犯防止推進計画」に掲げる施策を着実に実施してまいります。
 また、広く国民の皆様におかれては、近時の犯罪情勢や再犯防止施策の現状等についての理解を深める資料として、これらの白書を活用していただければ幸いです。
 2件目に、京都モデルストラテジーの採択について申し上げます。
 12月18日の国連総会において、「再犯防止に関する国連準則」、通称「京都モデルストラテジー」に係る決議案が採択されました。
 これは、令和3年に開催された京都コングレスの成果の一つとして、法務省が、外務省と連携して策定を主導してきたものです。
 本準則には、保護司制度等の我が国の官民連携や多機関連携による再犯防止の知見が盛り込まれています。
 本準則の採択による再犯防止の機運の高まりを踏まえ、法務省としては、各国における再犯防止施策の充実に貢献するため、本準則や保護司制度を始めとする更生保護ボランティアの国際社会における認知度向上及び活用促進を図るとともに、拘禁刑導入を含む刑事施設での再犯防止施策の知見を各国と共有してまいります。
 また、法務省が国連と協力して運営する国連アジア極東犯罪防止研修所による本準則に関する国際研修等の実施を通じて、刑事司法実務家の能力構築支援を推進してまいります。

旧姓使用の法制化と法制審の答申に関する質疑について

【記者】
 18日に開かれた法務委員会の閉会中審査で、旧姓使用の法制化をめぐり、選択的夫婦別氏制度の導入を提言した96年の法制審議会の答申との関連について質疑がありました。大臣は、法制審の答申は相応に尊重している旨の答弁をされていますが、法制審の答申の意義や重みをどうお考えかお伺いします。
 また、旧姓使用の法制化によって法制審の答申は必ずしも否定されるものではないと発言されたと認識しています。この点に関して、どうして答申が必ずしも否定されるものではないと言えるのか、答申と旧姓の通称使用の法制化との整合性をどう捉えているのかお聞かせください。
 
【大臣】
 法制審議会の答申については、なお重要な意義を有しており、現時点においても重く受け止めるべきものであると認識しています。
 御指摘の答申に基づく選択的夫婦別氏制度は、民法上の氏の制度を改正し、選択的に夫婦が異なる氏を称することができるとするものです。
 他方で、旧氏使用の法制化については、その制度の具体的な在り方として様々な考え方があり得るところであり、必ずしも民法上の氏に関する制度の見直しを前提とするものではないと認識しています。
 したがって、これによって平成8年の法制審議会の答申は、必ずしも否定されるものではないと考えています。

入管行政の個別事案に関する質疑について

【記者】
 在留外国人の強制送還についてお伺いします。一部報道では、茨城県牛久市の東日本入国管理センターに収容されていたパキスタン国籍の方が、今月17日に強制送還されたとみられるという報道がありました。この方は体調が悪化しており、支援団体が送還停止を求めていたとのことですが、今回の送還に関する事実確認と送還に当たっての経緯をお伺いします。
 
【大臣】
 個別事案については、お答えを差し控えるところですが、その上で、出入国在留管理庁からは難民認定申請について多数回却下され、これまでに提起した複数回の行政訴訟でも国側の勝訴が確定しているにもかかわらず、帰国を拒んでいた、南西アジア出身の被収容者について、護送官付き国費送還を実施したとの報告を受けています。
 また、出入国在留管理庁からは、この方について、事前に健康状態が送還に支障がないことを複数の医師に確認するなどし、本国での適切な受入れのための必要な関係機関との緊密な連絡調整を行った上で、送還に医師を同行させたとの報告を受けています。
 
【記者】
 関連でお伺いします。弁護士会との合意違反で裁判を受ける権利を奪っているという指摘もありましたが、こちらの事実認識についてもお伺いさせてください。
 
【大臣】
 まず、個別事案についてお答えを差し控えたいと思います。その上で、一般論として申し上げれば、日本弁護士連合会との合意に基づいて、被退去強制者の代理人となっている弁護士等から通知希望申出書の提出があれば、おおむね2か月前を目途とし、送還予定時期を通知することとしています。
 ただし、送還日が差し迫っているなどの諸般の事情により、送還予定時期のおおむね2か月前に通知することが困難な場合は、送還日が決定して通知が可能となった時点で、速やかに通知しており、このような運用がお尋ねの合意に違反しているとは考えていません。
 また、送還予定時期を被退去強制者が把握できるよう、直接本人に対し、基本的に送還の1か月以上前には、「1か月後以降」に送還される可能性があることを説明しており、本人の裁判を受ける権利にも配慮できているものと認識しています。

検事の情報漏洩に係る報道に関する質疑について

【記者】
 さいたま地検の検事に関する一部報道についてお伺いします。さいたま地検に所属する検事が部外者に捜査を情報漏えいした疑いがあるとして、法務検察当局が事実関係を調査しており、法務省が検事を処分する方向で検討しているとの報道がありました。事実関係について教えてください。
 
【大臣】
 御指摘の報道は承知していますが、現時点ではその有無を含めてお答えは差し控えたいと思います。
 なお、一般論として、職員に非違行為の疑いがあれば、必要に応じて十分な調査を行い、適切に対処するものと承知しています。
(以上)