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平成29年 記者会見要旨  >  法務大臣閣議後記者会見の概要

法務大臣閣議後記者会見の概要

平成29年2月17日(金)

 今日の閣議においては,法務省案件として,主意書に対する答弁書が2件ありました。
 次に,犯罪捜査のための通信傍受に関する法律第29条に基づき,平成28年中の通信傍受の実施状況等について国会に報告すべく,先ほど報告案が閣議決定されました。
 本日午後,国会に報告がなされることとなりますが,平成28年中は,11事件につき傍受を実施した結果,合計33人を逮捕しています。なお,平成28年中に,電子計算機使用詐欺の事案で通信傍受を実施しましたが,この事案は,昨年12月1日から新たに追加された対象犯罪について通信傍受を実施した最初の事案になります。捜査当局においては,今後も,通信傍受を適切に活用していく方針と承知しています。

テロ等準備罪に関する質疑について

【記者】
 今通常国会に提出を検討中の組織犯罪処罰法改正案についてお尋ねします。大臣は2月14日の衆議院予算委員会で,国際組織犯罪防止条約(TOC条約)が求める以上のテロ対策は含まないという趣旨の答弁をされました。これまでの共謀罪法案の国会答弁との整合性がとれていないとの指摘がありますが,答弁に変更はありませんか。

【大臣】
 TOC条約の国内担保法は,条約の締結に伴い,必要となる法整備として立案するものです。御指摘の答弁は,テロ等準備罪についての立案の方針として,条約の担保という目的と離れて立案することは考えていないという意味で申し上げたものであり,その答弁に変更はありません。

【記者】
 テロ等準備罪をめぐって,対象犯罪を当初検討していた600あまりから277に絞り込む方針を固めたという話がありますが,事実関係の確認をしたいのと,それから,どういった定義に基づいてそういった削減をされているのですか。

【大臣】
 御指摘のような報道については承知しています。TOC条約の国内担保法案については,テロ等準備罪における対象犯罪の在り方を含め,現在,検討中であるため,お尋ねの点についてはお答えできる段階にはありません。お尋ねの点も含め,法案の具体的内容については,成案を得た後に御説明したいと考えています。

【記者】
 法務省が昨日,予算委員会の理事会に「目的が犯罪を実行することにある団体に一変したと認められる場合には,組織的犯罪集団に当たり得る」という考え方を示されていますが,これについて,一般の方が対象になるのではないかという懸念があります。それについて,どのようにお考えでしょうか。

【大臣】
 元々正当な活動を行っていた団体については,団体の意思決定に基づいて犯罪行為を反復継続するようになるなどの状況に至らない限り,団体の結合の目的が犯罪を実行することにある団体に一変したと認められることはないと考えられます。一般の方々が対象とはならないのですが,テロ等準備罪の具体的内容については,検討中であり,対象となる団体をテロ組織,暴力団,振込詐欺組織,薬物密売組織といった重大な犯罪を行うことを目的とする組織的犯罪集団に限定することを考えています。いずれにしても,厳格な要件を定めることにより,一般の方々がテロ等準備罪の適用対象とならないような法案を検討しているところです。

【記者】
 「犯罪行為を反復継続するような状況に至らない限り,一変したと認められることはない」というお答えでしたが,過去の共謀罪法案の審議では,「合意段階で合意したと認められれば,一変したというふうに認められる」というような答弁があったと理解しています。犯罪行為を反復継続するような状況に至った,既遂の状態になった以降ではないと一変したと認められないという意味でしょうか。

【大臣】
 元々正当な活動を行っていた団体については,団体の意思決定に基づいて犯罪行為を反復継続するようになるなどの状況に至らない限り,団体の結合の目的が犯罪を実行することにある団体に一変したと認められることはないと考えています。

【記者】
 団体の意思決定に基づいて,犯罪行為を反復継続していれば当たるという理解でよろしいでしょうか。

【大臣】
 繰り返しになりますが,元々正当な活動を行っていた団体について,団体の意思決定に基づいて犯罪行為を反復継続するようになるなどの状況に至らない限り,団体の結合の目的が犯罪を実行することにある団体に一変したと認められることはないと考えています。

【記者】
 今,「反復継続するなどの」とおっしゃいましたが,「など」はどういったものが含まれるのでしょうか。

【大臣】
 「など」の点も含めて,現在検討中であり,一般の方々がテロ等準備罪の適用対象とならないような法案を検討しています。

【記者】
 通信傍受の実施状況等について,今回,国会報告がありました。国会でも答弁されていましたが,テロ等準備罪が対象犯罪に今後なるかどうか,どのようにお考えなのか,改めてお聞かせください。

【大臣】
 通信傍受の対象犯罪となることは全く予定していません。

【記者】
 性質が一変したという段階で,その構成員は既に一般の人ではないから,結果的に一般の人は対象とならないという意味なのでしょうか。つまり,その時点で,その人たちは一般の人とはいえない,組織的犯罪集団の一員であるということになると理解してよろしいですか。

【大臣】
 成案を得た段階で御説明しますが,先ほど申し上げたとおり,一般の方々がテロ等準備罪の適用対象とならないような法案を検討しています。

【記者】
 TOC条約が求める以上のテロは含まれない,という答弁をされています。TOC条約が求めないテロとは,具体的にどういったものがあるとお考えでしょうか。

【大臣】
 例えば,ローンウルフ型のテロ事案や長期4年未満の犯罪はTOC条約が求めていない犯罪と受け止めています。
(以上)