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平成29年 記者会見要旨  >  法務大臣閣議後記者会見の概要

法務大臣閣議後記者会見の概要

平成29年2月24日(金)

 今朝の閣議では,法務省案件として主意書に対する答弁書が2件ありました。

テロ等準備罪に関する質疑について

【記者】
 重大な犯罪に合意することを処罰する共謀罪を創設する組織犯罪処罰法改正案について,大臣は2月21日の会見で,「正当な活動を目的としている団体が,重大な犯罪を一回だけ実行することを意思決定したとしても,直ちに結合の目的が一変して犯罪を実行することを構成員の結合する目的とすることになるわけではない」とお答えになりました。論点をもう少し明確にするために改めてお尋ねします。それまで一度も犯罪を実行したことがない団体が初めての犯罪として,重大な犯罪の合意をして,誰か一人が準備行為をしたときは組織的犯罪集団と認められるのでしょうか。その合意の際に,「今回一回だけやろう」とか「反復継続する」,「これからも犯罪行為を続けていく」という合意はしていなかった場合についてお答えください。また,初めて犯罪に合意した時点で,「これから反復継続する」,「これからも犯罪行為を続ける」という合意をしていなかったとしても,その後も犯罪行為を継続させる疑いが強ければ,組織的犯罪集団に当たり得るのでしょうか。

【大臣】
 まず初めに,テロ等準備罪は,組織的犯罪集団が合意に加えて,実行準備行為を行うことで処罰をされるものです。組織的犯罪集団の要件は,合意や実行準備行為とは独立した要件です。ただ,御質問が犯罪の実行についての合意によって組織的犯罪集団に該当することになるのか,ならないのかという趣旨であると受け止めていますので,あえてこの点についてお答えをしたいと思います。
 飽くまでも,一般的な考え方について申し上げると,現在,「組織的犯罪集団」については,構成員の結合の目的が一定の重大な犯罪を実行することにある団体とすることを検討中です。そして,正当な活動を行っていた団体について,団体の結合の目的が犯罪を実行することにある団体に一変したと認められるか否かは,具体的事情の下で個別に判断されるものですが,団体の意思決定に基づいて犯罪行為などを反復継続するようになるなどの状況に至らない限り,そのように認められることは想定しがたいと考えられるわけです。
 したがって,団体として一定の重大な犯罪を一回だけ実行することについて合意したとか,継続的に実行することについて合意したということは,団体の結合の目的が犯罪を実行することにあるのかを判断する上での一事情にすぎないわけですから,そのような合意のみをもって,結合の目的が一変したと認めることは通常は困難であると思われます。前回の私の記者会見における説明とはこのような趣旨で申し上げたものです。

【記者】
 組織的犯罪集団に一変したと認められるかどうかについては,重大な犯罪を犯す回数が一回で認められる場合もあれば,認められない場合もあるということでしょうか。

【大臣】
 前回,私は,団体として特定の重大な犯罪を一回だけ実行することを意思決定しただけで直ちに結合の目的が一変して組織的犯罪集団に該当することにはならないとお答えをしました。もう少し説明すると,団体として一定の重大な犯罪を一回だけ実行することについて合意したとか,継続的に実行することについて合意したということは,団体の結合目的が犯罪を実行することにあるのかを判断する上での一つの事情にすぎないわけです。そのような合意のみをもって結合の目的が一変したと認めることは通常は困難であると思っています。また,そのような合意のみをもって結合の目的が一変したと認めることは,一般人や一般の団体が絶対にテロ等準備罪の適用対象とはならないという点においても適切ではないと考えています。

【記者】
 一つの事情にすぎないということですが,そうするとほかに判断する材料として,犯行に向けての進捗状況や犯罪の重大性,団体の意思決定が一部で行われているのか,全体的に行われているのかなどのいろいろな条件を含めて判断されていくということでよろしいでしょうか。

【大臣】
 具体的な事情の下で,個別に判断されるべき事柄であり,具体的な事案を離れて説明することは困難であると思います。要は,結合の目的を一変させたかどうかについて様々な事情を総合考慮して判断するという趣旨になると思います。

【記者】
 様々な事情というのを,いくつか挙げていただいてもよろしいでしょうか。

【大臣】
 先ほど申し上げたとおり,具体的事情の下で個別に判断されるべき事柄であると考えています。

【記者】
 2005年10月の衆議院法務委員会では,こうした組織的犯罪集団と認められる基準について,「当該共謀が行われた時点における団体の活動実態,意思決定をされた犯罪行為の内容,当該犯罪行為を実行する組織の実態などの事実関係を総合的に考慮して判断されるべきもの」とお答えをしていますが,こういう理解でよろしいでしょうか。
 一つ目が当該共謀が行われた時点における団体の活動実態,二つ目が意思決定をされた犯罪行為の内容,三つ目が当該犯罪行為を実行する組織の実態,こうした事実関係を総合的に考慮して判断されるべきものということでよろしいでしょうか。

【大臣】
 今回は組織的犯罪集団の定義を条文上明記することを予定しています。御指摘の内容が,そのまま当てはまるかどうかということや,組織的犯罪集団を条文でどのように明記していくのかということも含め,成案を得て御説明をさせていただきたいと考えています。

【記者】
 先ほどの説明は,具体的事情の下で判断するということでしたが,具体的事情によって判断するということで,一回だけとか,反復継続するということは,特に判断の基準に当たらないとおっしゃったと理解しています。ということは,今まで何の犯罪も実行したことのない団体が,初めて合意した場合に,具体的な事情を考慮して,総合的に判断して,性質が一変したと判断することができれば,組織的犯罪集団と認められる場合もあるという理解でよろしいでしょうか。

【大臣】
 繰り返しになりますが,飽くまでも,一般的な考え方について申し上げると,現在,組織的犯罪集団については,構成員の結合の目的が一定の重大な犯罪を実行することにある団体とすることを検討中です。そして,正当な活動を行っていた団体について,団体の結合の目的が犯罪を実行することにある団体に一変したと認められるか否かは,具体的事情の下で個別に判断されるものですが,団体の意思決定に基づいて犯罪行為などを反復継続するようになるなどの状況に至らない限り,そのように認められることは想定しがたいと考えられるわけです。したがって,団体として一定の重大な犯罪を一回だけ実行することについて合意したとか,継続的に実行することについて合意したということは,団体の結合の目的が犯罪を実行することにあるのかを判断する上での一つの事情にすぎないわけですから,そのような合意のみをもって,結合の目的が一変したと認めることは,通常は困難であると考えています。

【記者】
 初めて犯罪に合意した時点で,一回だけとか反復継続するという合意をしていなかったとしても,その後も犯罪行為を継続させるような組織的犯罪集団に性質を一変させたと認められることになれば,組織的犯罪集団に当たり得るのでしょうか。

【大臣】
 お尋ねの趣旨が組織的犯罪集団の当てはめの御質問であるとすれば,お答えは冒頭に申し上げたとおりです。テロ等準備罪は,組織的犯罪集団が合意に加えて実行準備行為を行うことで処罰されるものです。そして,組織的犯罪集団の要件は,合意や実行準備行為とは独立した要件です。ただ,御質問が犯罪の実行についての合意によって組織的犯罪集団に該当することになるのか,ならないのかというものですから,あえてこの件についてお答えすると,飽くまでも,一般的な考え方について申し上げると,現在,組織的犯罪集団については,構成員の結合の目的が一定の重大な犯罪を実行することにある団体とすることを検討中です。そして,正当な活動を行っていた団体について,団体の結合の目的が犯罪を実行することにある団体に一変したと認められるか否かは,具体的事情の下で個別に判断されるものであって,団体の意思決定に基づいて犯罪行為などを反復継続するようになるなどの状況に至らない限り,そのように認められることは想定しがたいのではないかと考えています。団体として一定の重大な犯罪を一回だけ実行することについて合意したとか,継続的に実行することについて合意したということは,団体の結合の目的が犯罪を実行することにあるのかを判断する上での一つの事情であろうと考えていますので,そのような合意のみをもって結合の目的が一変したと認めることは通常困難であると考えられます。前回の私の記者会見における説明はこうしたものであったということです。これ以上の説明は,繰り返しになりますので控えさせていただきたいと思います。

【記者】
 反復継続した後でないと組織的犯罪集団とは認めないということですね。

【大臣】
 冒頭で申し上げたとおりの内容で御理解いただきたいと思います。

【記者】
 正当な団体と組織的犯罪集団と明確に二つを区別することができるのかということで,グレーゾーンが存在すると思うのですが,今の御説明だと,今回の法案では,構成員の結合の目的が一定の重大な犯罪を実行することにある団体と定義するということでした。これに加えて,何をしたら組織的犯罪集団と認めるのかという点について,ある程度法文で明確にしないと,大臣は裁判所が判断すると答弁されていますが,裁判所もある程度,立法府でそれを明確にしてもらわないと判断に困ると思います。その辺り,更に定義を明確にするというお考えはあるのでしょうか。

【大臣】
 現在,条文で組織的犯罪集団の定義を明記していくことを予定して検討を重ねています。一般人が対象となることのないように,条文で明確にしていく努力を重ねたいと思っています。

プレミアムフライデーに関する質疑について

【記者】
 今日から始まるプレミアムフライデーについて,大臣は,テロ等準備罪のことなどでいろいろお忙しいとは思いますが,今日はどのように過ごされる予定でしょうか。職員の方もお忙しいと思うのですが,どのような指示をされて,皆さん,どういった対応をされる御予定でしょうか。

【大臣】
 今般,官民で連携をしてのプレミアムフライデーの取組が行われることになりました。政府においても,内閣人事局から,各府省に対して,プレミアムフライデーに合わせた年次休暇の取得促進等が依頼されていると承知をしています。そこで,法務省においても,官房人事課から,各部局,そして所管各庁の人事担当者に対して,その旨の事務連絡を発出し,その周知を依頼しています。また,昨日,今日と,法務本省でも全職員に対し,館内放送を行うこととしています。そういう努力を通じて,プレミアムフライデーの周知,そしてそれに合わせた積極的な年次休暇の取得促進等を図ってまいりたいと考えています。
 私も,このプレミアムフライデーの趣旨を踏まえて,どのような過ごし方ができるかをこれから考えたいと思っています。

【記者】
 今日の御予定は,いつもどおり,お仕事をされるのでしょうか。

【大臣】
 仕事の対応を一番優先にしてきましたから,今日はどのようにするかは,これから考えたいと思います

【記者】
 全職員に対して放送を行うとおっしゃいましたが,それは,大臣が行うのですか。

【大臣】
 館内放送は職員がします。

【記者】
 大臣がメッセージを発信されるわけではないのですか。

【大臣】
 私の声の方が良いというのであれば考えなくもないのですが,私もそういうことを皆さんには伝えていきたいとは思います。

【記者】
 折角だったら自分で言ってみようとは思われないのですか。

【大臣】
 アドバイスを踏まえて考えてみたいと思いますが,まだ決めてはいません。
(以上)