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平成29年 記者会見要旨  >  法務大臣閣議後記者会見の概要

法務大臣閣議後記者会見の概要

平成29年3月3日(金)

 今朝の閣議においては,法務省案件として主意書に対する答弁書が1件ありました。

テロ等準備罪に関する質疑について

【記者】
 テロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案について質問させていただきます。与党への条文の説明が始まり,与党からは「テロ」という文言を入れてほしいという声があがっています。大臣としては,これに対してどのように対応されるか,お考えをお聞かせください。

【大臣】
 御指摘のような意見があることは承知しています。いつも申し上げてまいりましたが,テロ等準備罪に関する法案の具体的な内容は,まだ成案に至っていません。現在も,ぎりぎりの最終的な検討を行っています。御指摘のような意見も含めて,最終的な詰めを行っていきたいと考えています。

【記者】
 「御指摘のような意見も含めて」ということですが,「テロ」という文言を入れたらどうかという与党側の提言について,大臣御自身の評価はどうでしょうか。

【大臣】
 テロ等準備罪を設けることによって,テロを含む組織犯罪について,実行着手前の段階での検挙,処罰が可能となり,その重大な結果の発生を未然に防止することができるようになります。さらに,テロ等準備罪を整備し,TOC条約を締結することにより,国際的な逃亡犯罪人引渡しや捜査共助,情報収集において国際社会と緊密に連携し,国際協力を行うことが可能となります。このようにテロ等準備罪を含むTOC条約を締結するための国内法の整備は,テロ対策となることは明らかであると私は考えています。
 そういう中で,法案の具体的な内容に関する御質問については,政府として責任を持ってお示しできる成案を得た段階で十分に説明をさせていただきたいと考えています。

【記者】
 「テロ」という文言を入れるかどうかについては,現段階ではどちらとも決心はついていないということでよろしいでしょうか。

【大臣】
 現在,様々な御意見が出ているのだろうと思います。そういうものを踏まえ,ぎりぎりの最終的な検討が行われていると認識しており,最終的な詰めを行っていきたいと考えています。

【記者】
 閣議決定の時期についてですが,3月10日を目安として目指している段階だと思います。そうした最終的な詰めの調整のところでスケジュールに影響が出る可能性はあるのでしょうか。

【大臣】
 閣議決定の時期についてですが,法務大臣である私としては,できるだけ早期に提出をさせていただきたいと考えています。

【記者】
 条文に「テロリズム」という文言が盛り込まれていなかったことによって,政府が呼称と位置づけるテロ等準備罪と法案の実態とがそぐわないのではないかという批判もあるかと思いますが,それについて大臣はどう思われますか。

【大臣】
 テロ等準備罪の具体的な内容については,申し上げているとおり,現在検討中ですが,基本的な考え方として,対象を組織的犯罪集団,つまり重大な犯罪等を行うことを目的とする集団に限定することを検討しています。国内外の犯罪実態を考慮すると,そうした犯罪組織による犯罪の中で重大なものの典型がテロ組織によるテロであろうと思っているわけです。
 また,テロ等準備罪は,重大な犯罪の合意に加えて,実行準備行為が行われたときに初めて処罰されるものとすることを検討しています。
 したがって,このような罰則の実態を反映したものとして,テロ等準備罪という呼称について申し上げれば,適切ではないかと考えています。

【記者】
 実行準備行為が行われて初めて処罰するとおっしゃっていましたが,実行準備行為は,犯罪の構成要件というお考えでよろしいのでしょうか。

【大臣】
 現在,合意に加えて,実行準備行為が行われて初めて処罰の対象とすることなどを検討中であり,実行準備行為の法的な性格について,お示しすることは困難でありますが,法案の成案を得た後であれば,十分に御説明を申し上げます。

【記者】
 「テロ」という文言が入った呼称については適切であるという認識を示されましたが,そうすると,今検討されている「テロ」という文言が入っていない条文についてはどうお考えでしょうか。

【大臣】
 現在もぎりぎりの最終的な検討を行っている中で,御指摘されたような意見が出ていることも踏まえ,最終的な詰めを行っていきたいと考えています。

【記者】
 「テロ等準備罪」の呼称について,基本的に適切であるという認識を示されました。この呼称は,過去に「テロ」という文言が入った少し違う呼称も使われていたことがあるかと思うのですがどういった経緯で決まったのでしょうか。法務省が考えたということでよろしいのでしょうか。

【大臣】
 「テロ等準備罪」という呼称は,法務省の内部において,TOC条約の担保法案の内容を検討していく過程において,法案の実態を踏まえた呼称として,徐々に使われ始め,やがて収れんして用いられるようになった呼称であり,いつ,誰が使用し始めた呼称であるかは不明です。
 いずれにしても,テロ等準備罪という呼称は,本罪を新設する趣旨,あるいは本罪が対象とする犯罪を端的に表すものとして,適切であると考えています。
(以上)