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平成29年 記者会見要旨  >  法務大臣閣議後記者会見の概要

法務大臣閣議後記者会見の概要

平成29年5月23日(火)

 本日の閣議においては,法務省案件として主意書に対する答弁書が1件ありました。

テロ等準備罪に関する質疑について

【記者】
 テロ等準備罪を新設する法案をめぐって,与党側は今日の衆議院本会議で可決したい考えですが,今のところ協議は整っていません。大臣はかねてから,野党も含め幅広く支持を得たいと話していますが,今日のこういった状況について,どのように捉えていますか。また,野党側,そして国民の理解と支持を得るために,具体的にどのような手法を採っていこうとお考えでしょうか。

【大臣】
 国会における審議の進め方については,国会において判断されるべき事項であり,法務大臣として所感を申し上げることは差し控えさせていただきます。本法案については,様々な観点から充実した審議を頂いており,本年1月に国会が始まって以来,予算委員会,法務委員会等の委員会において,委員の方々から様々な角度からの御質問を頂き,誠実な答弁に努めてきたところです。今後の審議においても,国民の皆様に本法案の必要性と重要性を御理解いただきたいという観点から,与党のみならず,野党の皆様からも幅広い御支持を頂けるよう,これまでと同様に,引き続き丁寧な説明を尽くしてまいりたいと考えています。東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控える中,昨今の国内外のテロ組織による犯罪を含む組織犯罪情勢等に鑑みると,テロを含む組織犯罪を未然に防止し,これと戦うための国際協力を可能とする国際組織犯罪防止条約の締結は急務です。政府としては,本法案について,今後とも十分な御審議を頂いた上,できる限り早く成立させていただきたいと考えています。

【記者】
 国連の特別報告者が安倍総理宛てにテロ等準備罪がプライバシーや表現の自由を制約するおそれがあるとした書簡を送ってますが,法務大臣としての受け止めをお聞かせください。

【大臣】
 5月18日,国連人権理事会の「プライバシーの権利」特別報告者が,日本政府に対する書簡において,現在,国会で審議中の「テロ等準備罪処罰法案」について,御指摘のような懸念を表明したことは承知しています。しかしながら,書簡の中で記載されている懸念や指摘事項の多くは,本法案の内容や国際組織犯罪防止条約の義務等について,必ずしも十分な理解がない中で記載されているように見受けられます。直接説明する機会が得られることもなく,公開書簡が一方的に発出されたこと及び同書簡の内容が明らかにバランスを欠き,不適切なものであることについて,外務当局において,強く抗議をしたものと承知しています。そもそも国連は,累次の国連総会決議や安保理決議により繰り返し表明しているとおり,我が国を含む残された数少ない未締結国に対し,国際組織犯罪防止条約の早期締結と実施を求めています。「プライバシーの権利」特別報告者は,独立した個人の資格で人権状況の調査・報告を行う立場にあり,その勧告等は国連の立場を反映するものではないと受け止めています。
 テロ等準備罪は,国際組織犯罪防止条約を締結するに伴い必要なものとして新設するものであるところ,対象となる団体を明文で「組織的犯罪集団」に限定することにより,一般の会社や市民団体,労働組合などの正当な活動を行っている団体が適用対象とはならないことを一層明確にし,また,犯罪の計画行為だけでは処罰されず,実行準備行為があって初めて処罰の対象とすることにより,内心を処罰するものではないことについても一層明確にするとともに,処罰範囲も限定するなど,犯罪の構成要件は厳格かつ明確なものとなっていると考えています。したがって,本法案は,プライバシーの権利を含め,およそ人権を不当に制約するものではないことは明らかであると考えています。

【記者】
 この書簡に関して,法務省としての今後の対応を教えてください。

【大臣】
 外務当局において強く抗議をしたと承知しています。外務省あるいは関係部局とよく連絡を取りながら,ただいま申し上げた考え方や視点で,しっかりと特別報告者に対し説明していくことになろうかと思います。

【記者】
 先ほどのお答えの中で,野党側の支持を得るために,これまで同様に理解を得ていきたいとおっしゃっていましたが,これまで理解を得られたのは日本維新の会だけであり,野党側の支持は広がっていないわけですが,これまでと同様でよろしいのでしょうか。それとも具体的にこれから何か新しいアプローチや違う取り組み方をしていくのでしょうか。

【大臣】
 引き続き,丁寧な説明を尽くすよう努力していきたいと思っています。
(以上)