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平成29年 記者会見要旨  >  法務大臣閣議後記者会見の概要

法務大臣閣議後記者会見の概要

平成29年7月11日(火)

 今朝の閣議においては,法務省案件はありませんでした。

テロ等準備罪に関する質疑について

【記者】
 改正組織犯罪処罰法が本日施行されました。改めて,本改正法施行の意義について,大臣の御見解をお聞かせください。
 あわせまして,国民からは運用面での不安の声も上がっています。適切な運用を確保するために法務省としてどのようなことに取り組むのか,お考えをお聞かせください。

【大臣】
 先の通常国会において成立したテロ等準備罪処罰法は,本日,施行されました。これを受け,本日,国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を受諾することを閣議決定したところです。同条約を締結することにより,テロを含む組織犯罪による重大な結果犯の発生を未然に防止することが可能となるとともに,国際的な逃亡犯罪人引渡しや捜査共助が可能ないし更に充実するほか,情報収集において,国際社会と緊密に連携することが可能となります。
 改正法の適正な運用のためには,関係機関にその内容を十分周知することが重要であると考えています。法務省としては,以前にも御説明をしたとおり,全国の検察庁に,改正法の趣旨,内容等を踏まえた適切な運用を求める通達を発出し,警察庁,最高裁判所にも送付しています。また,検察庁との関係では,本日,テロ等準備罪に関する事件の受理から裁判確定までの各段階の全件報告を求める大臣訓令を発出しました。今後も,法務省としては,研修や各種会同など様々な機会を捉えて,関係機関に改正法の趣旨や内容等を周知して,テロ等準備罪処罰法が適正に運用されるよう,引き続き努めてまいりたいと考えています。
 また,改正法については,様々な御意見が審議の過程等で示されてきたのも事実ですので,改正法の正確な内容とその運用について御理解が得られるよう,当省のホームページ,報道機関への丁寧な説明を通じて,周知,広報の充実を図っていきたいと考えています。

【記者】
 テロ等準備罪についてですが,大臣は「法案成立後も更なる理解を得られるように,引き続き丁寧な説明をしていく。」とおっしゃられておりました。その後振り返られまして,法案成立後,法案に対する理解は深まったかについて御所見をお願いします。

【大臣】
 テロ等準備罪処罰法については,国民の皆様に御理解をいただくことは極めて大事なことであると考えています。これまでの国会審議においては,丁寧かつ誠実な説明に十分に努めてきたと思っています。部下の職員が数えたところ,民法の改正や刑法の改正その他の法案もございましたが,この法案だけでも1,100回を超える答弁をしています。そういう中で丁寧かつ誠実な説明に努めたいという思いは全く変わっていなかったと思います。したがいまして,私はそういう説明で国民の方々に御理解をいただきたいと思っていますが,引き続き改正法の内容を法務省のホームページに掲載したり,あるいは説明を機会あるごとに重ねていくということを心掛けていかなければいけないと日頃から言っています。それが大事なことだと考えています。そして,国民の皆様の御理解が必ずしも十分でないという御指摘もあることを踏まえ,法務省としては各種会議など様々な機会を捉えて,関係機関に改正法の内容や趣旨を周知し,改正法が適正に運用されるよう引き続き,努めていくとことが大事なことではないかと思っています。先ほどもホームページについて申し上げましたが,内容の更新をしながら,あるいは報道機関の皆様を通じての説明もしっかりと行っていくことで,周知,広報の充実に努めていきたいと考えています。

【記者】
 関連して,6月15日の成立から大臣の肌感覚として,国民の理解が深まったとお考えなのか,あまり変わっていないとのお考えなのか,その辺りを御自身としてどのようにお感じになっていますか。

【大臣】
 どういう比較の仕方が良いのかという点があろうかと思います。先ほど具体的に申し上げた努力に取り組んでいます。是非とも日を追って国民の皆様の御理解が深まるよう努力したいと,考えてます。

【記者】
 今日施行されたことについてですね,率直な思いを端的にお伝えいただけますか。

【大臣】
 御承知のように公布されて20日で施行というのは通例です。そうした形で施行時期を迎えました。先ほど申し上げたようにこの法律の意義を御理解いただき,かつ運用を適正に行っていただくことが私たちの務めではないのかと思っています。過去3回議論し,その間いろいろな御指摘を受けてきました。例えば,一般の団体も処罰の対象になるのではないか,あるいは,内心が処罰の対象にされるのではないかといった不安や懸念がありました。そういう不安や懸念を払拭して実現をした,この度のテロ等準備罪の創設を含む組織犯罪処罰法の改正だと思います。3つの厳格な要件を設けることで,この結果を得ることができたというふうに考えています。国民の安心・安全に直結する極めて重要な法案であり,過去の議論を踏まえれば,自由と人権をしっかりと守るという考え方で努力をしてきた原点を忘れずにやっていくことが,私たちの努めではないかなと思います。国民の安心・安全を守るということと,国民の大切な自由と人権を守るということ,この2つを絶対に調和させて全力で頑張るというのが政治家の使命だと思っています。その使命を貫徹するその努力を皆さんと共にし,振り返ると厳しい,苦しい思いもありましたが,それを乗り越えて今日に至っているという思いを国民の皆様には御理解していただきたいと思います。私たちは,これからも全力で頑張っていきます。それが私の思いです。

【記者】
 大臣訓令について伺いたいんですが,受理から裁判まで報告を求めることの意義と,報告を受けた上でそれをどのように活用されていくおつもりでしょうか。出されたのは今日付ということでよろしいですか。

【大臣】
 事件数,内容,そして裁判結果等を今後の報告によって把握した上で,運用の改善や,必要であれば法改正も含めて今後の判断材料として使うことを考えています。

【記者】
 組織犯罪処罰法改正法なんですが,刑事局長名ではありますけど適切な運用を求める通知を出していて,大臣は先ほど,懸念を払拭することができたとおっしゃいましたが,大臣自身人権侵害だとか,不当な捜査,こういったふうに懸念を全く抱いていないということですか。それとも抱いているのか教えてください。

【大臣】
 テロ等準備罪処罰法の処罰範囲というのは,明確かつ限定的なものであり,我が国においては裁判所による審査というものが機能し,捜査機関による恣意的な運用ができない仕組みになっています。また,今回の法整備が,刑事実体法の改正であり,刑事手続法を改正するものではないことは国会の審議の中で何度も申し上げましたが,新たな捜査手法を導入したりするものでもありませんし,捜査の方法を変えるといったものでもありません。したがって実体法を作ることによって監視社会を招くとの御意見には根拠はない,と考えています。テロ等準備罪の新設によりまして,捜査機関が常時国民の動向を監視するというような監視社会とはなりようがないことや,その恣意的な運用の危険もないということは,これも国会で繰り返し説明をしてきたところです。今後とも成立したこの法律につきましては更なる一層の御理解を得られるように,法務大臣として引き続き丁寧な説明を行い,法律が適切に運用されるように関係機関に対してその趣旨,内容の周知に努めていきたいと考えています。

【記者】
 恣意的な運用の危険がないと断言されてますけど,そうすると局長名での適切な運用を求める通知,それからあと関係機関への適切な運用されますようにとの趣旨というのは,どういうものになるのですか。

【大臣】
 捜査機関による恣意的な運用はできない仕組みになっていると申し上げましたが,捜査機関による運用に誤りが生じないよう趣旨を徹底していく必要があると考えています。

内閣改造に関する質疑について

【記者】
 来月初旬にも内閣改造との話がございますが,法務大臣として続投する意思,意欲はありますか。また,別の大臣を内閣改造の際には希望されるのか,是非,お聞かせください。

【大臣】
 様々な報道で来月8月初旬の日程についての推測記事があります。私から申し上げるまでもなく,内閣の改造につきましては総理大臣の専権事項でございます。したがって私からのコメントは差し控えたいと思います。
(以上)