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平成29年 記者会見要旨  >  法務大臣閣議後記者会見の概要

法務大臣閣議後記者会見の概要

平成29年9月15日(金)

 今朝の閣議ですが,法務省の案件はありませんでした。
 私から2件報告があります。1件目は,9月7日(木)から9月13日(水)まで,インドネシア及びシンガポールを訪問しました。インドネシアの最高裁長官からは,現在継続中のJICAプロジェクトである「ビジネス環境改善のための知的財産保護・法的整合性プロジェクト」が質の高い司法を実現するための裁判官の人材育成につながっており,研修等が一層強化されることを期待するなどと,当省の行っている法制度整備支援を評価する声を直接伺うことができ,大変心強く思った次第です。また,インドネシア法務人権省においては,現在のJICAプロジェクトに対して感謝が述べられました。さらに,国連アジア極東犯罪防止研修所(UNAFEI)の行っている矯正分野に関する研修についても高い評価を得たところです。今後,その分野も含め,両省の連携が一層進むことを期待するという声を聞くことができました。そこで,当省とインドネシア法務人権省との間で,協力のための枠組みを構築することを提案し,その検討に入るということについて,事務方に指示したところです。
 次に,シンガポールについてですが,今回,法務大臣兼内務大臣と司法分野おけるトップ同士の対話が実現しました。出入国管理行政のみならず,司法分野全般にわたり協力関係を強化することができたと実感しており,今後,当省との連携がこれまで以上に円滑に進むものと確信しています。また,アジアのハブ空港であるチャンギ空港の視察しました。チャンギ空港においても,日本で開催する2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向け,テロ対策をはじめとする水際対策を強化していきたいとのことでした。我が国としても,今後,オリ・パラに向けて同国との関係を更に強化し,我が国の水際対策についても強化をしてまいりたいと考えています。さらに,仲裁機関として国際的にも評判の高いシンガポール国際仲裁センター長と面談しました。国際仲裁に携わる専門家,実務家の人材育成を含む基盤整備に向けた取組について,率直な意見交換をすることができました。当省とシンガポール国際仲裁センターとの協力関係を強化することができたということで,今後,当省との連携がこれまで以上に円滑に進むものと確信しています。
 2件目は,法務局職員が登録免許税として納付された収入印紙を窃取した事案についてお話します。本件は,昨年12月に発覚しました。調査の過程で,過去10年以上にわたり不正が繰り返されていたことが判明したため,更なる調査を行ったところ,8月末をもって,被害額が額面金額4億7293万6千円に確定したとのことでしたので,直ちに公表するよう指示し,事案が発生した東京法務局において,本日,公表したものです。本件は,東京法務局の職員が,平成18年1月から平成28年12月までの間,多数回にわたり,商業登記のための登録免許税として印紙台紙に貼り付けられた収入印紙を剥ぎ取り,その発覚を免れるため,過去の登記申請書から消印済みの収入印紙を剥ぎ取って,差し替えたものです。当該職員に対しては,事件が発覚した平成28年12月に東京法務局長が懲戒免職処分を行っています。また,東京法務局長が警視庁に対して刑事告発を行っています。
 当該職員による不正行為は,法秩序の維持及び国民の権利の擁護を使命とする法務局の職員としてあるまじき行為であり,大変遺憾であります。事件発覚後,職員の規範意識を再確認するとともに,相互牽制の徹底などの再発防止策を講じていますが,さらに,金銭と同等の価値を有する収入印紙というものを扱う業務の在り方について,専門知識を備えた外部有識者の視点を踏まえるなどして,客観的な形で原因の分析や再発防止策の検討を速やかに行うよう民事局に対し指示したところです。再発防止に万全を期すとともに信頼回復に努める所存です。

東京法務局職員による収入印紙の窃取事案に関する質疑について

【記者】
 法務局の収入印紙の件なんですけれども,約10年間,発覚しなかったということですが,その理由とそれを踏まえた上で,具体的にどのような再発防止策を考えていらっしゃるのかお聞かせください。

【大臣】
 この事案については,一見して不正と断定できないような巧妙な手口であったために,発見が遅れてしまったと承知をしています。本件発覚後,相互牽制の徹底などの再発防止策を講じていますが,さらに,外部有識者の方の視点も踏まえて検討を行うように民事局に指示をしたところです。検討の結果を踏まえてしっかりとした形で対策を講じることができるようにしてまいりたいと思っています。

法制審議会民事執行法部会(中間試案)に関する質疑について

【記者】
 法制審議会の民事執行法部会が8日に中間試案をとりまとめました。離婚した夫婦間で子供を引き渡す際に,直接的な強制執行の前に間接強制を前置する案が示されています。大臣の御所感をお聞かせください。
【大臣】
 法制審議会の民事執行法部会においては,子の引渡しの強制執行の期日を明確化するなどの民事執行法制の見直しについて,調査審議が行われているところです。その際,子の心身の保護を図りつつ,強制執行を実現する観点からの調査審議ということで,本年9月8日に開催された第11回の会議において,民事執行法の改正に関する中間試案がとりまとめられ,執行官が子を債権者に引き渡す直接的な強制執行をするためには,先に間接強制がされていなければならないとする考え方などが提示されたものと承知しています。この中間試案については,今後行われるパブリックコメントの結果を踏まえ,引き続き,民事執行法部会において調査審議が行われます。今,審議中の個別の事項であり,さらに,パブリックコメントにもこれから付すということですので,今の段階において,法務大臣としてコメントすることは差し控えたいと思います。ただし,民事執行法制は,国民生活に関わる制度ですので,引き続き,国民一般の御意見をしっかりと踏まえつつ,専門的な見地から充実した調査審議が行われることを期待しています。

民法の成年年齢引下げに関する質疑について

【記者】
 民法の成年年齢の引下げの法案について,就任会見のときに早く提出したいとおっしゃっておりましたが,その後の検討状況を教えてください。

【大臣】
 民法の成年年齢引下げについては,就任会見の中でも申し上げたところですが,選挙権年齢の引下げが既に行われている中で,この問題については,なるべく早い時期に国会に提出したいということで,鋭意準備をしているところです。法案の審議をするために十分な準備をするとともに,迅速に提出することができるようにと指示をしています。

資産公開に関する質疑について

【記者】
 資産が公開されましたが,公開制度についてどう考えますか。また,自身の資産についての感想をお聞かせください。

【大臣】
 資産を公開する制度ですが,平成13年1月18日付けの官房長官決定「国務大臣等の資産公開について」に記載されているとおり,公職にある者としての清廉さを保持・促進し,行政への国民の信頼を確保し,行政の円滑な運営に資することを目的とするものと理解しているところです。この資産公開制度においては,閣僚がその立場を利用するなどして不透明な財産を作るようなことがないようにするという意義があるものと考えています。これまでの資産公開について,私自身,正確な報告を心掛けてまいりました。今回の資産公開についても,ありのままの資産状況を報告させていただいた次第です。

【記者】
 御自身の資産に関して,例えば他の方と比べて多いとか少ないとかという御感想はありますでしょうか。

【大臣】
 これは他の方と比較するものではなく,政治的なところで自分自身の資産を公開するものですので,その質問については答えられるものではないと思います。先ほどの趣旨に照らして,公職に就く者ですので,その仕事が国民の皆さんから信頼されるために情報を公開し,御理解いただくということですので,この基本をこれからも徹底してまいりたいと思っています。
(以上)