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平成29年 記者会見要旨  >  法務大臣閣議後記者会見の概要

法務大臣閣議後記者会見の概要

平成29年11月21日(火)

 今朝の閣議においては,法務省案件はありませんでした。
 私から2件御報告があります。まず,公安調査庁から,11月20日,オウム真理教について,同教団は現在も無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があると認められ,引き続き,その活動状況を継続して明らかにする必要があることから,無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の規定に基づき,同日,公安審査委員会に対し,観察処分の6回目の期間更新の請求を行った旨の報告を受けました。今後は,公安審査委員会において,迅速かつ適正な審査が行われるものと期待しています。
 もう1点は,無戸籍者問題についてです。無戸籍の方は,国民としての社会的な基盤が与えられておらず,社会生活上の不利益を受けるという,人間の尊厳にも関わる重大な問題が生じているものと認識しています。法務省においては,平成26年度から,無戸籍の方の不利益状況改善のため,無戸籍の方に関する情報の集約,法務局職員等による無戸籍の方に対する無戸籍解消のための丁寧な手続案内のほか,中央省庁等を構成員とする「無戸籍者ゼロタスクフォース」の設置を始めとする中央における関係機関との連携という,3つの観点からの取組を積極的に行ってきたところです。
 まず,「無戸籍の方に関する情報の集約」については,  丁寧な手続案内ができるよう,市区町村長等から無戸籍の方に関する情報の提供を受けていますが,新たに把握された方の中には,無戸籍状態が継続していた方も一部おり,依然として,市区町村の戸籍担当部署が把握していない無戸籍の方々がおられるものと認識しています。そこで,市区町村の戸籍担当部署以外の部署も含めた情報の集約に更に十全に取り組むことを推進してまいりたいと思っています。そこで,今般,市区町村内における情報提供は法的な根拠に基づくものであること,更に個人情報保護の観点からも問題とならない旨を総務省とともに周知をするよう,民事局に対し指示をしました。法務省においては,このような取組を通じて,戸籍担当部署以外の部署をも含めた市区町村の各部署に対し,情報集約依頼の周知徹底を図ってまいりたいと考えています。
 また,丁寧な手続案内等による「無戸籍の解消」については,情報の集約を開始した平成26年9月10日から現在までに把握した無戸籍者の累計1,495名のうち,平成29年10月10日現在,780名が無戸籍状態を解消していますが,この解消率は約52パーセントという状況で,依然として無戸籍状態が解消されていない方が相当数おられるというのが現状です。その背景には,無戸籍状態を解消するためには裁判所における手続が必要となる事案が多いという事情があります。無戸籍状態の解消を更に推し進めるためには,無戸籍者ゼロタスクフォースのような,中央における関係機関との連携のみならず,各地方において,弁護士会,法テラス及び家庭裁判所など,裁判所における手続に関与する機関等による協議会を設置して,地方における関係機関の連携を強化することが有効であると考えています。
 そこで,本日,民事局に対し,無戸籍者問題の解消を目指した地方協議会の設置について,法務局・地方法務局において,弁護士会,法テラス及び家庭裁判所への働きかけをするよう,指示をしました。あわせて,日本弁護士連合会及び最高裁判所に対し周知の依頼をするよう,民事局に指示をしたところです。
 また,無戸籍の方については,人間の尊厳にも関わる重大な問題が生じているという認識をしており,正に人権問題そのものであるという点を踏まえ,人権擁護局においても,主体的・積極的にこの問題に対応する必要があると考えています。この点,例えば,人権擁護委員の方々の協力も得ながら,法務局の人権擁護部門において,一人一人の無戸籍の方に寄り添うなどの対策が今後必要となると考えており,この点に関して適切に対応するように人権擁護局に対しても指示をしたところです。無戸籍者問題への取組開始から3年が経過していますが,今申し上げた新たな2つの方策を通じて取組を更に強化し,無戸籍者問題の解消に一層尽力する所存です。

特別養子縁組に関する質疑について

【記者】
 特別養子縁組制度についてお伺いします。養子の対象年齢の引上げ検討を法制審に諮問するとの報道がありますが,現在の検討状況を教えてください。

【大臣】
 そのような報道があったことは承知しています。特別養子縁組制度は,昭和62年の民法改正によって新設されたものであり,制度創設から約30年が経過しています。法務省としても,その後の状況を踏まえ,見直しを検討しているところです。現在,研究者,実務家等を中心に特別縁組制度の在り方に関する研究会が立ち上げられており,法務省としても,この研究会に担当官が参加して必要な検討を行っています。研究会においては,養子となることができる年齢の引上げを含め,様々な論点について検討がなされているものと承知しています。特別養子縁組制度の見直しに関する具体的な方向性や時期は,現段階では未定ですが,法務省としては,研究会において,特別養子縁組制度の基本的な在り方について充実した議論が行われることを期待しています。その結果を踏まえ,できる限り速やかに見直し作業を進めたいと考えています。
(以上)