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平成29年 記者会見要旨  >  法務大臣閣議後記者会見の概要

法務大臣閣議後記者会見の概要

平成29年12月15日(金)

 本日の閣議では法務省案件として,「再犯防止推進計画」及び「民法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」が閣議決定されました。本日,政府として初めて決定した「再犯防止推進計画」は,再犯防止推進法に基づき,犯罪をした者等に対し,国や地方公共団体,更には民間団体等が,それぞれの役割に応じてその力を最大限発揮し合って「息の長い」支援を実施するため,5つの基本方針の下,7つの重点課題について115の施策を盛り込んだものです。再犯防止施策を官・民一体となって推進する上で,その意義は大変大きなものと考えています。閣議に先立ち開催された犯罪対策閣僚会議において,安倍内閣総理大臣からも,推進計画に掲げた事項について,関係省庁が密に連携し,確実に実施するよう御指示がありました。再犯防止の考え方は,国連総会で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)にうたわれている「誰一人取り残さない」社会の理念そのものに合致するものであり,国際社会が目指す方向に沿った取組ですので,法務省としても強力に推進してまいりたいと考えています。そこで,法務省として,特に重点的に取り組む10の施策を「再犯防止アクション宣言」として取りまとめましたので配付させていただきます。アクション宣言においては,国が率先して取組を推進しその展開を図ること,地方公共団体の取組を促進すること,「息の長い」支援を支える民間の活動を促進すること,重要事項について新たな取組の導入も含めて検討を行うこと,の4つの視点から主な施策を提示しています。法務省においては,新たな被害者を生まない,国民が安全・安心して暮らせる社会の実現に向け,このアクション宣言を踏まえ,「再犯防止推進計画」に盛り込んだ施策を効果的に実施してまいりたいと思っています。また,2020年に,京都で開催される第14回国際連合犯罪防止刑事司法会議(コングレス)において,再犯防止が重要論点の一つとされていることから,我が国における再犯防止施策の運用過程を,絶えず国際社会へも発信してまいりたいと考えています。
 次に本日閣議決定された民法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令について御説明させていただきます。本年5月に成立した民法の一部を改正する法律は,社会・経済の変化への対応を図るとともに民法を国民の皆様に分かりやすいものとする等の観点から,制定以来121年ぶりに民法の債権関係の諸規定について見直しをするものであり,国民の日常生活や企業の経済活動にも広く影響を与え得るものです。そのため,改正法の施行期日は,国民各層に対する十分な周知活動を実施する観点から,ごく一部の例外を除き,公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日とするとされていました。本日閣議決定をした政令は,この施行期日を平成32年4月1日と定めています。法務省としては,これまでも説明会や法務省ホームページを活用するなどして周知活動を行ってまいりましたが,改正法が適切に施行されるよう,今後とも,より一層効果的な周知に努めてまいります。
 また昨日,短い時間でしたが,グテーレス国連事務総長にお会いすることができ,SDGs達成に向けた取組や,2020年4月,京都において開催される国連犯罪防止刑事司法会議(コングレス)の準備にベストを尽くす旨お伝えしました。グテーレス事務総長からは,コングレスの準備について全面的にサポート(fully support)するという言葉をいただきました。今後,国連と協力し,コングレス開催を成功させるとともに,SDGsの達成に向けた取組等を総合的・戦略的に進めてまいりたいと考えています。

大阪・和歌山での視察の成果に関する質疑について

【記者】
 大臣は,12月13日,14日に大阪,和歌山へ出張され,車座ふるさとトークへの出席や更生保護施設,刑務所などの視察をされましたが,この出張の成果をお聞かせください。

【大臣】
 12月13日,14日の出張では大変密度の濃い視察をさせていただきました。法務行政の重要課題と密接な関連を有する施設の視察やそこで勤務されている方々と意見交換をするなど貴重な機会となりました。
 まず,出入国管理の関係では,関西空港において「観光先進国に向けて~入国審査に期待すること~」をテーマとして車座ふるさとトークを実施したところです。空港で勤務されている方々や観光を勉強されている学生の方などから様々な観点から貴重な御指摘をいただくことができました。この中には,入国審査に対する印象や,年々入国者が増加する中で入国審査において更に工夫すべきこと,例えば,入国審査における多言語化への対応,入国審査官の接遇の在り方等が含まれており,今後の政策にいかしてまいりたいと思っています。特に印象深かったのは,入国審査官は外国の方が日本に降り立ったときに初めて出会う日本人であるので,その先も含めて一連の様々な活動をする中,入国審査は他の部分と連携をして取り組んでいかなければならないということをしっかりと認識することができ,そういう配慮を含めての対応もこれからきめ細かくやってまいりたいと思っています。
 次に再犯防止の関係では,職親プロジェクトにおける中間支援施設「良心塾」と更生保護施設「端正会」を訪問させていただきました。官民連携による息の長い支援の実施が何よりも大事であると感じたところです。両施設ともに大変丁寧に少年に寄り添い型の対応をしており,例えば出院後の少年たちへの教育や就労について,正に親代わりともいえる支援をしておられました。また,入所者と福祉,医療機関をつなぐための困難をいとわない積極的な活動があり,再犯防止に対しても,皆様方からの並々ならない決意とこれまでやってきたことへの更なる取組は,大変力強いものがあったと思っており,民間施設への御苦労に対する支援について,しっかりと検討し対応してまいりたいと思っています。また,もう一つ非常に印象深かったこととして,負の連鎖が起きているという御指摘もありまして,少年たちが虐待やいじめ,非常に恵まれない経験をしていることについても大変強く印象に残りました。心の中のバリアフリーについて,また地域の皆さんからの理解についても丁寧に取り組んでいきたいと思っています。
 それから無戸籍者問題解消については,法テラス和歌山,和歌山地方法務局において意見交換を行った折に,地方協議会を設置し参加することについて大変前向きで積極的な取組をしていただくことができる確信を持って戻ってまいりました。この問題解決のためには,関係機関との連携が何より大切であると思っていますので,様々な人権相談等に対応されている人権擁護委員の方々にも今後は無戸籍者一人一人に寄り添った活動をしていただくようお願いをしたところです。
 最後に,女性刑務官の離職の背景やその課題については,和歌山刑務所の比較的経験の浅い女性刑務官と座談会を通して生の声を伺うことができました。今後もマーガレットアクションを通じて女子刑事施設の運営改善を最優先に取り組んでまいりたいと思っています。端正会や和歌山刑務所の視察等を通じ,女性の処遇については,大変きめ細かく対応していく必要があることを実感したところですので,再犯防止も含めしっかりと取り組んでまいりたいと思っています。

税制改正大綱に関する質疑について

【記者】
 今回の税制改革大綱で,格差解消という観点から見た場合の大臣の評価を教えていただけますか。

【大臣】
 税制大綱全般における格差解消は,私自身の所掌ではありませんので,その点について代表して答えることができないものですから,お答えは差し控えさせていただきます。今の経済的,社会的状況の中でしっかりと税制改正をしていくということであり,これについて私どもの観点からいくと登記に関する施策が盛り込まれているので,今後も相続登記の促進につなげることができるように,この問題については御理解をいただき,実現できたらと思っています。いずれにしても,相続登記の促進については,所掌の中での大変大きな課題ですので,これまでも施策の充実に取り組んでまいりましたが,更に一層拍車をかけてまいりたいと思っています。

資産公開に関する質疑について

【記者】
 第4次安倍内閣発足に伴い,首相と全閣僚などの資産が公開されました。公開された資産に対する感想や評価と,制度そのものに対する感想,大臣規範の是非についての3件をお教えください。

【大臣】
 資産公開については透明性を高めていき,皆さんから信頼していただくための一つ大きな手段として,大変大事なものと位置付けています。私も法律に則って適切に対応していくことを心掛けています。

【記者】
 資産制度そのものに対する感想はどうでしょうか。

【大臣】
 今ある制度の中でしっかりと対応していくことが大事であり,3点目の大臣規範との関係でいえば,そうした規範を設定してそれを守っていくことは,基本的に大変大事なことであると思っています。
(以上)