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平成29年 記者会見要旨  >  法務大臣閣議後記者会見の概要

法務大臣閣議後記者会見の概要

平成29年12月22日(金)

 本日の閣議においては,法務省案件はありませんでした。
 私から2件報告を申し上げます。本日の閣議において,平成29年度補正予算第1号及び平成30年度予算の政府案が決定されました。この政府案のうち,法務省所管の平成29年度補正予算案は,235億円,法務省所管の一般会計の平成30年度予算案は,7,638億円であります。主な内容でありますが,定員関係については,302人の純増が認められました。また,組織関係については,大臣官房国際課の設置が認められました。経費については,大変厳しい財政事情の下,法秩序の維持と国民の権利擁護という法務省の任務を十分に果たしていくために必要な予算を確保することができたのではないかと考えています。定員についても,非常に厳しい定員事情の中で純増が認められており,当省の業務の重要性や緊急性について理解が得られた結果であると受け止めています。組織については,大臣官房における国際機能を担う組織及び体制を強化する必要性について理解が得られたことにより,大臣官房国際課の設置が認められたものと考えています。大臣官房国際課については,「司法外交」を推進するための司令塔機能をも担うものであり,同課の新設により,法務省が直面する国際的課題に的確に対応し,司法分野における国内外の施策を総合的・戦略的に推進し,積極的に世界に向けて発信する礎を築くことができたと考えています。また,法の支配等の普遍的価値の各国への浸透,ひいては持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて,より一層貢献できるものと考えています。
 法務大臣としては,平成29年度補正予算案及び平成30年度予算案が次期通常国会において速やかに成立することを期待しているところです。この予算を最大限効果的に活用することにより,法務行政の様々な重要課題にしっかりと取り組み,国民の皆様の権利擁護と安全・安心な社会の実現に向け,全力を尽くしてまいる所存です。
 2点目ですが,本日の閣議において,平成30年度税制改正の大綱が閣議決定されました。法務省関連については,「土地の相続登記に対する登録免許税の免税措置の創設」が盛り込まれています。国会での審議を経たあかつきには,この免税措置の周知・広報に努め,更なる相続登記の促進に取り組み,その成果を上げてまいりたいと考えています。

税制改正大綱に関する質疑について

【記者】
 「土地の相続登記に対する登録免許税の免税措置の創設」について,概要と大臣の御所感についてお聞かせください。

【大臣】
 今回の税制改正の大綱に盛り込まれた免税措置ですが,2つの観点から平成32年度までの期間で適用されるものとして創設される見込みです。一つ目は,既に相続登記が放置されているおそれのある土地への対応の観点から,例えば,二次相続まで発生している土地について,その一次相続についての相続登記の登録免許税は免税するというものです。二つ目は,今後相続登記が放置されるおそれのある土地への対応の観点から,一定の資産価値が低い土地についての相続登記の登録免許税は免税するというものです。相続登記について税制上の措置が盛り込まれたということは,政府の中でも相続登記の促進は極めて重要な施策であるという位置付けがなされたものと受け止めており,国会での審議を経たあかつきには,この免税措置の周知・広報に努め,相続人に免税措置を積極的に活用していただき,相続登記の促進について,より一層拍車をかけてまいりたいと思っています。

大臣感謝状の文言見直しに関する質疑について

【記者】
 先日,朝日新聞のコラム欄に保護司を称える感謝状に「地域社会の浄化」や「犯罪者」というような文言に疑問を抱くという投稿が掲載され,その後法務省としてもこの文言を見直すというようなお話を伺ったのですが,その後の見直しの状況と他の部局で同様のものがなかったのかについて教えてください。

【大臣】
 本年11月23日付けの朝日新聞に亡くなられた保護司宛に届いた法務大臣感謝状の文言について,御指摘のとおり「犯罪者」の改善更生と「地域社会の浄化」という文言が使われてきたということに対して違和感を感じられたという投書の内容が掲載されたと承知をしています。このことを受け,法務省保護局において,文言の変更について検討を進めた結果,文言について修正することになりました。
 そもそもこの大臣感謝状は,退任された保護司の方々の御労苦に対し,感謝の気持ちをお伝えするものであり,この感謝の気持ちを十分にお伝えすることができるよう,その文言について,それを受け取られる方やその御家族の思い,お気持ちをできるだけ踏まえたものにすることが望ましいと考えています。御指摘のあった「犯罪者」という文言については「罪を犯した人たち」,「地域社会の浄化」という文言については「犯罪や非行のない明るい地域社会の実現」という文言としたところです。
 このようなお声をいただいたことは大変有り難く思っており,今後ともこうした国民の皆様からの率直なお考えあるいは御意見に十分に声を傾けながら法務行政に当たってまいりたいと思っています。
 なお,投書された方に対しては,保護局の職員から今回の大臣感謝状の文言を見直した旨をお伝えしました。それから,この投稿に対しては,先ほど申し上げたとおり,率直に意見を言っていただいたことに感謝したいと思っており,こうしたことが他の分野についてあるのかどうかということについては,一律に全てとなるとなかなか発見できないこともあるので,日頃の業務を通して国民目線でしっかりチェックし,その文言や表現の仕方等について見直していくことを徹底してまいりたいと思っています。

【記者】
 保護司法第1条に実際「地域社会の浄化」という言葉が使われていて,これを引用したと思うのですが,同法は1950年制定の古い法律であり,条文の言葉の適切さ,この時代に合っているのかということについて,大臣のお考えを教えてください。

【大臣】
 法律の文言は成立当時の社会状況や経済状況を反映したものですので,時代が変わり,今のような御指摘も本当にもっともなことだと私自身思っておりますが,保護司法第1条に規定されている「地域社会の浄化」とは,犯罪や非行のない地域社会をつくっていこうという思いの表れであると思いますので,法文上直ちに不適切であるから改正しましょうということは,今の段階で判断をしていません。時代の流れに伴って,こうした法律に則ったところで表現されている様々な言葉について見直しながら,今後,保護司法の他の規定を改正する必要が生じた場合には,御指摘の文言についても表現ぶりを検討することとしたいと思っています。

黒羽刑務所の廃庁に関する質疑について

【記者】
 栃木県の黒羽刑務所が2022年に廃止の方針ということですが,大臣のお考えと跡地利用について方針がございましたらお聞かせください。

【大臣】
 全国にある様々な刑事施設については,地域の社会の中で施設そのものをしっかりと支えていただいているということに,日頃から感謝を申し上げているところですが,昨今,行財政事情が非常に厳しい中,刑事施設における近時の収容動向を踏まえた上で,効率的な施設運営を確立する必要があり,また,職員の負担軽減と平準化も推進し,矯正行政の更なる充実強化を図る必要があると認識をしているところです。御指摘のありました黒羽刑務所は,建築年度が昭和46年であり,平成34年の3月末日をもって業務を停止し,廃庁する方針で所要の作業に着手しているところです。昭和46年から今日に至るまで地域との大変良好な関係を維持し,過剰収容という混乱を乗り越え,職員が一丸となって矯正処遇に取り組んできた中で,この歴史に幕を下ろすことは大変苦渋の決断でした。今後については,廃庁に向けた手続等を自治体等の関係機関と綿密に連携を図りながら適切に対応してまいりたいと思っています。跡地の利用についても,今後,関係省庁と協議をしながら検討していくことになると思っています。

大臣官房国際課の新設に関する質疑について

【記者】
 今度,新設される大臣官房国際課について,司法外交を推進するための司令塔機能ということですが,もう少し具体的にどのような働きを大臣が期待されているのか教えてください。あと現在,刑事局に国際課がありますが,同じ省内に国際課という名前の課が併存することについて教えてください。

【大臣】
 今回の決定により,大臣官房に国際課が新設されることは大変大きな意味があると思っています。現在,法務省が直面している国際的課題に的確に対応し,また司法分野における国内外の施策を総合的・戦略的に推進していくためには,司令塔機能を担う組織というものを新設することが大変重要であり,そうした判断の中で司法外交推進の司令塔役という位置付けで,この課を新設することになりました。この大臣官房国際課の新設により,官房の国際機能を担う組織体制を強化するということですが,司法外交の推進の目的である法の支配等の普遍的価値を各国に浸透させ,国内外の経済成長を支える司法インフラを整備することで国際社会における我が国のプレゼンスを高めることにも資するものであると考えています。また,国連犯罪防止刑事司法会議(コングレス)が2020年に我が国で開催される予定であり,これを司法外交元年と位置付けて,日本型司法制度の国際的な競争力を高めるための取組等を総合的・戦略的に推進していく上で,大臣官房国際課の果たす役割は極めて大きなものがあると思っています。新設後ですが課長以下20名体制の下,当面は今申し上げたとおり2020年に我が国で開催予定であるコングレスの準備,2点目としては国際仲裁の活性化のための必要な基盤整備に向けた取組,3点目としては戦略的な法制度整備支援の更なる推進,4点目としては戦略的な国際機関等への法曹人材の派遣と,数々の国際関係業務に対して総合的・戦略的な企画,立案等を行っていくことを念頭に置いています。御指摘の刑事局の国際課との併存についてですが,刑事局国際課は管理官室として継続し,主として刑事実務に関連する国際業務を担当するということです。各部局にもそれぞれ国際を担当していた部署が組織的にありました。それを司令塔で総合的・戦略的にまとめ上げながら全体としての効果をしっかりと発揮し,そして対外的にも窓口一本の中でオール法務省全体として,こうした内外の国際戦略にしっかりと対応できるように組織的にも強化していきたいという思いがあり,官房国際課の設置後,同課が直ちに実行部隊としての働きができるように全力を尽くしてまいりたいと思っています。
(以上)