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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和8年10月2日(金)

 今朝の閣議について、私から特に報告する案件はありません。
 続いて、私から、2件御報告があります。
 1件目は、10月1日に公表した「永住許可に関するガイドライン」の改定及び「永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン」の策定についてです。
 まず、「永住許可に関するガイドライン」の改定についてです。
 在留資格「永住者」は、在留活動及び在留期間の制限がなく、最も安定した法的地位であり、それゆえに入管法上、いわゆる独立生計要件や国益要件といった厳しい要件を満たすことが求められます。
 この「永住者」については、本年1月に決定された「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」において、永住許可を行う趣旨を踏まえ、独立生計要件や国益要件の見直しを検討することとなりました。
 これを受けて、出入国在留管理庁は、最も安定した地位である「永住者」の位置付けを踏まえ、法律上の各要件の審査の在り方を検討し、「永住許可に関するガイドライン」を改定しました。
 その内容の主なものとして、独立生計要件に関し、収入の考慮要素を見直すとともに、将来において受給可能な年金の見込額を新たに考慮要素とすることとしました。
 また、国益要件に関しては、一定水準の日本語能力を有しているか、我が国の制度・ルールを理解しているかといった事項を新たに考慮要素とすることとしました。
 次に、「永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン」の策定についてです。
 永住許可の趣旨に照らし、一定の刑罰法令に違反したり、公的義務を履行しなかったりするなど、我が国の制度・ルールから逸脱する一部の悪質な永住者の方に永住許可を認め続けることは、国民に不安や不公平さを感じさせ、秩序ある共生社会の実現の観点からも適切ではありません。
 そこで、もはや永住許可を認め続けることが適切でない場合に対応すべく、令和6年成立の入管法改正法において、永住者の在留資格の取消事由が追加されました。
 この点について、出入国在留管理庁は、外国人及び関係者の予見可能性並びに処分の公平性を確保し、運用を明確化するため、「永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン」を策定しました。
 その内容は、永住者が故意に公租公課の支払をしない場合や、入管法上の義務を遵守しない場合及び特定の刑罰法令違反により拘禁刑に処せられた場合について、取消事由に該当すると想定される具体的事例等を明らかにするものです。
 これらのガイドラインは、パブリック・コメントで提出された御意見を踏まえて検討したものであり、内容はいずれもパブリック・コメントに付した原案どおりのものです。
 これらのガイドラインの施行日は、令和9年4月1日です。
 ただし、永住許可の判断においては法律上の要件の範囲内で、従前から収入についても考慮要素としていたところ、今般のガイドラインの改定は考慮要素を明確化したものであり、従前の運用を続けることは、永住許可の適正化を図るという今般の改定趣旨に鑑みると適当ではないということで、まず速やかに運用を開始すべきであるところから「永住許可に関するガイドライン」の収入に関する部分については、本年10月1日から適用を開始しています。
 出入国在留管理庁においては、永住許可制度について、これらのガイドラインに沿って、今後、適切に運用してまいります。
 次に2件目は、「法の日」週間についてです。
 「法の日」は、昭和35年、国民主権のもとに、国を挙げて法を尊重し、法によって個人の基本的権利を擁護し、法によって社会秩序を確立する精神を高めるために、政府において定められました。
 以来、法務省・検察庁、裁判所、弁護士会では、毎年10月1日からの1週間を「法の日」週間とし、全国各地で法の役割・重要性について啓発活動を行っております。また、本年は昭和元年から起算して満100年を迎える節目の年であります。これらを記念し、法務省本省においては、明日、10月3日に「昭和100年記念・法の日フェスタ in 赤れんが」を開催します。
 このイベントでは、一般の方に裁判員役で参加していただく「模擬裁判」や各施策の展示ブースなど、法務省を見て、学んで、体験できる様々な企画を用意しているほか、来年1月に公開予定の映画「劇場版「虎に翼」」とタイアップした特別企画も予定しております。御承知のとおり、「虎に翼」は女性初の裁判官となった三淵嘉子さんをモデルとした女性法曹らの苦労や活躍を描いた作品です。三淵さんの司法試験合格当時、たった3名だけだった司法試験の女性合格者は、今や合格者全体の3割を超え、幅広い分野で活躍されておられます。
 是非、多くの方々に「昭和100年記念・法の日フェスタ in 赤れんが」に御来場いただき、昭和という時代を振り返るとともに、法を身近に感じていただくきっかけにしていただきたいと思っています。報道機関の皆様方におかれては、イベントの周知・広報に御協力いただきますよう、お願い申し上げます。

肖像・声等の権利保護に係る法整備に関する質疑について

【記者】
 先月の30日なんですけれども、東京地裁の判決で、人の「声」もパブリシティ権の保護対象となるとの初めての司法判断が示されました。
 法務省も8月、生成AIによる声の無断利用について、現行法の考え方を解釈指針で整理されていると思います。一方で、同種の裁判例はまだ少なく、権利救済が十分に進まないケースも指摘されています。
 大臣はこの問題の今後の課題をどこにあるとお考えでしょうか。
 また、課題解決に向け必要な法整備等はあるとお考えでしょうか。
 
【大臣】
 御指摘の判決については、人の声は人の肖像と同様に個人の人格の象徴であり、例えば実演家の声などを無断で使用する行為は一定の場合にパブリシティ権の侵害に当たると解するのが相当であると判示したものです。
 この判断は、声の権利の保護に関する新たな司法判断を示したものと受けとめており、また本年8月に公表した御指摘の「肖像・声等の無断利用による民事責任の在り方に関する検討会」の取りまとめ報告書の内容と同様の立場をとるものを認識しています。
 引き続き、この裁判例も含め、個別具体的な事案における司法判断等の状況も注視しながら、関係省庁とも連携して、実効的な権利保護の実現を目指して必要な取組を進めていく必要があると考えています。
 御指摘の先月末から開催されている「不法行為法制の在り方に関する研究会」は、人の声に関する権利も含めた人格権の侵害等について、損害賠償額や差止請求を含め、民事上の救済の在り方についても検討がされる予定と承知しています。
 この研究会において、本判決も含めた人格権侵害等に関する司法判断の状況も踏まえつつ、活発な議論が行われることを期待しています。
 御指摘の課題については、この人の声に関する権利の侵害は比較的新しい問題で、今後の司法判断や学説の集積が待たれるところであり、その具体的な要件が更に明確になることが期待されています。
 こうした要件の明確化が今後の権利救済にも資することになると考えていますので、こうした司法判断の状況も注視しながら、関係省庁とも連携し、司法判断における要件の分析、周知、その他の必要な取組を進めてまいります。また、この研究会において活発な議論が行われることを期待しています。

売買春の規制の在り方に関する質疑について

【記者】
 9月17日に、「売買春規制の在り方検討会」で報告書が取りまとめられました。
 その中では買う側の勧誘行為などを処罰対象とすべきとの意見や、現行法の罰金額の引上げについて検討を求める意見がありました。
 そこで、法整備の必要性について、大臣のお考えを教えてください。
 
【大臣】
 御指摘のとおり、「売買春に係る規制の在り方検討会」において、9月17日に議論の取りまとめが行われました。この取りまとめ報告書というのは、いわゆる買う側による勧誘等に係る処罰規定として何らかの規制を設けるべきといった意見が複数の委員から述べられ、これは異論が見られなかったところです。
 また、現行の売春防止法におけるそれぞれの罪の法定刑のうち、罰金刑については、2万円というこの法定刑の上限を引き上げる必要があるといった意見が複数の委員から述べられ、異論は見られなかったところです。
 法務省としては検討会における取りまとめの内容を十分に踏まえつつ、必要な法整備に向けた具体的な検討を進めているところです。
 
【記者】
 今の売買春の関連なんですけれども、今、買う側の説明がありましたけれども、報告書の中で売る側についても言及されてまして、支援が必要としながら処罰も維持するような方向性で、一部支援団体などからは支援が必要な人を処罰するっていうのはちょっと問題なのではないかといった指摘も出ています。
 その売る側の支援と処罰という両立についてどのようにお考えかお聞きしたいのと、また内閣府の方では売買春は女性に対する暴力というふうに位置付けられています。暴力の被害者を処罰というのも、やはりどういうふうな整理になるのか、兼任の大臣としてのお考えを伺います。
 
【大臣】
 売買春に係る規制の在り方については、御指摘のとおり様々な御意見があることは承知しています。
 その上で、売買春に係る規制の在り方検討会において、御指摘があったような視点も含めて、幅広い観点から、多角的な議論が行われたものと承知しています。
 法務省としては、検討会における取りまとめの内容を十分に踏まえつつ、必要な法整備に向けた具体的な検討を進めているところです。
 なお、一般論として申し上げれば、この売春防止法違反に限らず、罪を犯した方であっても、様々な状況から支援の対象とすべきだという御意見があるのは当然であり、例えば実際、検察当局においては、刑事施設に入所することなく、刑事司法手続を離れる者について、福祉的支援を必要とするような場合には、関係機関などと連携し、支援の取組を実施しているというところもあります。
 そういった罪という違法行為は違法行為として定める一方で、支援はしっかりやっていくということは一般の法でもやっている部分はあります。
 そうしたことも含めて、いずれにせよ法務省としては、近時の売買春をめぐる社会情勢等に即した適切な対処は喫緊の課題であると考えており、御指摘のあった視点も含めて、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。
 
【記者】
 先ほどちょっと内閣府の部分あんまりお答えなかったかなと思うんですけれども、その女性に対する暴力という位置付けになっているという点を踏まえて、法務省はまたちょっと位置付け違うのかもしれませんが、そのあたりちょっと法整備でどのように考慮していくのかを。
 
【大臣】
 私自身も、例えばAV被害防止法や、あるいはリベンジポルノ防止法とか、様々な、女性に対する加害について禁止する法律を議員立法でやっています。
 ですから、御指摘の点はわからないでもないのですが、ただ、一概に、そういう定型的な切り口でやるというよりは、やはり家庭環境や交友関係といった個々の方々の事情がおありでしょうから、そういうことも含めてやるということは必要なんだろうと思います。
 検討会においては、そういった様々な視点からじっくり検討されていただいていると考えていますので、そういったものを十分に踏まえつつ、必要な法整備に向けた具体的な検討を進めていきたいと考えています。
 
≪検察に対する第三者委員会の設置等に関する質疑について≫
【記者】
 検察に対する第三者委員会の設置についてお伺いをしたいんですけども、設置についてまだ予定があるかってのは決まってないかもしれないんですけども、大臣の中で、その第三者委員会の設置を検討されるお考えというのはあるのでしょうか。
 また、自浄作用を高めるということですけれども、具体的に新たな取組っていうところを考えてらっしゃることがあれば教えていただきたいです。
 
【大臣】
 様々な検討をしていますが、やはりこうした事件の検証も含めてやることになると、かなりプライバシーの問題とか様々なものがありますので、まずは、検察における自浄作用、これがないと意味がありませんので、これをしっかりと高めるということで、検察における、しっかりとした検証、自浄作用、これを高めることをまず最優先でやっていきたいと考えております。
 私も元検事経験者でありますけれども、それ故に検察をかばうわけではなく、問題点について、法務大臣としても、そういった検察自身による検討もしっかり見ていきたいと考えています。
 要するに、実際に動いている事件とか、係属中の事件とか、あるいは終わっても再審がかかっている事件とか、そういうことも検証対象になりうるということとなると、これは第三者による捜査、公判活動に対する一定の影響力があり得るということが、本来の司法として予定されているのかという視点も大事だと思いますので、そういったところも慎重に見極めながら考えていきたいと思います。
(以上)