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先輩からのメッセージ (現場職員)

係員級

少年鑑別所


服部 真人
札幌少年鑑別所 法務技官 専門官
服部 真人 (平成23年入省・人間科学1)


(1)今の仕事はどのような内容ですか。

 採用後,東京少年鑑別所での勤務を経て,平成24年4月から札幌少年鑑別所で勤務しています。主な業務は,非行のあった少年に対して,面接や各種心理検査を実施し,非行の問題について共に考えたり,これまで吐露できずにきた生きづらさを聞き取ったりする中で,その少年の人となりを捉え,なぜ非行に至ったかを分析することです。その上で,少年が立ち直るために必要な処遇や環境を検討し,関係機関にその結果を「鑑別結果通知書」等の書類にまとめるなどして伝達しています。


(2)登庁から退庁までの平均的な一日の流れを教えてください。

 8:10 出勤,メールチェック,朝礼
 9:00 少年との面接,鑑別方針の設定
11:00 家庭裁判所調査官とのカンファレンス
12:15 昼休み
13:00 少年との面接,各種心理検査の実施,所見作成
15:30 法務教官とのカンファレンス
16:00 判定会議,鑑別結果通知書の作成
19:00 残務整理の後,帰宅


(3)入省後,一番思い出に残っている出来事を教えてください。

 入省後,まもなくして鑑別を担当した少年との面接を繰り返す中で,当初は強がり,自分の内面を見せようとしなかった少年が,これまで家族関係や学校生活で悩み,寂しさを抱えてきたこと等を吐露し,涙を見せることがありました。その少年の退所時のアンケートに記載されていた「先生との面接で気持ちが楽になった。一生忘れない。」との文面を見て,胸にこみ上げてくるものがあり,自分の仕事の大切さややりがいを感じました。


(4)社会人になってつらいことは何ですか。

 少年の力になりたい気持ちとは裏腹に,非行臨床や心理検査に関する知識や経験が少ないことで,少年の真の気持ちに寄り添えられていないのではないかと歯がゆい思いをすることです。また,任される業務が増え,それに対応し切れず,時間に追われることも多々あります。しかし,先輩職員や上司からの丁寧な指導やサポートを受けられるので,日々,自らの成長を感じることもできています。


(5)実際に働いてみて,法務省のどんなところが魅力だと思いますか。

 様々な少年に出会い,多くの関係機関の方々と関わる中で,非行臨床に関する知見が広がり,自分の専門性を向上させることができます。また,現場には,少年自身やその家族が抱くつらさ,悩み,喜びといった思いや感情に加えて,職員の熱意や優しさ,厳しさといった,少年の健やかな育ちを願う様々なかかわりがあふれています。自分もその輪の中の一人として,熱を帯びた仕事ができることは大きな魅力です。

少年院


室賀 明子
榛名女子学園 法務教官専門官
室賀 明子 (平成23年入省・人間科学2)

(1)今の仕事はどのような内容ですか。

 女子少年院の法務教官として,寮担任業務をしています。具体的には,少年院送致となった非行少年に対して,個々の問題性に応じた面接などの生活指導等の働き掛けを行い,改善更生に向けた指導をしています。少年一人ひとり,性格特性や問題性が異なるため,どのような処遇が効果的かを考えながら,寮職員がチームとなって処遇を行っています。少年と正面から向き合いながら,少年が成長し,変わっていく姿を一番近くで見守ることができる仕事だと思っています。


(2)登庁から退庁までの平均的な一日の流れを教えてください。

 8:00 登庁 
 8:30 朝のミーティング(前日までの引継と当日の留意事項の確認)
 9:00 午前の日課配置(職業補導や問題性別指導等)
12:15 昼休み
13:00 午後の日課配置(体育や寮集会,入浴等)
16:00 担任面接
18:00 明日の日課準備等,残務整理の後,帰宅

 週に1回程度のペースで当直勤務もあります。


(3)入省後,一番思い出に残っている出来事を教えてください。

 少年と接する中で日々新しい発見や感動があり,毎日の勤務がどれも大切な思い出になっています。特に,運動会などの行事後,「人生で初めて運動会に出られた。」と泣きながら嬉しそうに話す少年の姿を見ると,社会では当たり前に行われている学校行事が彼らの人生にとっては大きな意味のあるものであることが伝わり,そこに自分が関われたことを嬉しく思うと同時に,多くのことを考えさせられました。


(4)社会人になってつらいことは何ですか。

 自分のやることに責任が伴うことです。特に,少年院の業務はチームで行うことが多いため,周りの方に支えられながら仕事ができる反面,自分のミスで周囲に迷惑を掛けてしまうこともあります。また,自分の言動一つで少年の人生を大きく左右してしまうというプレッシャーもあり,少年にうまく自分の思いが伝わらなかったとき,あれで良かったのかなどと,正解がない中で悶々と考えてしまいます。


(5)実際に働いてみて,法務省のどんなところが魅力だと思いますか。

 現場と行政の両方に携われるところだと思います。私はまだ現場の勤務経験しかありませんが,行政という大きな枠組みに携わるとき,忘れてはいけないのが,それを運用する側である現場の視点だと思っています。実際に現場で過ごした3年間は内容が濃く充実しており,少年と接したり,経験豊富な先輩方からのアドバイスを受けたりする中で,人間的にも成長できたと感じています。

保護観察所


田中 直樹
旭川保護観察所沼田駐在官事務所 保護観察官
田中 直樹(平成23年入省・人間科学1)


(1)今の仕事はどのような内容ですか。

 保護観察官として,矯正施設在所者の帰住先に関する調整を行う生活環境の調整,保護観察対象者が再犯・再非行をなくし改善更生できるよう指導・支援を行う保護観察を,主に担当しています。
 現在は,沼田駐在官事務所に併設された沼田町就業支援センター(保護観察中の少年を宿泊保護する国の施設)での保護観察官業務にも携わり,センター入所中の少年に対し再非行防止指導を行うほか,就職・資格取得支援等多岐にわたる業務を行っています。


(2)登庁から退庁までの平均的な一日の流れを教えてください。

 7:15 登庁。前日勤務,宿直勤務の職員からの引継ぎ確認,メールチェック。
7:30 始業。本日の業務の確認。
8:15 センター入所中の少年を農業実習に送り出す。
10:00 保護観察対象者(センター入所者以外)との面接。
12:00 午前の実習を終えたセンター入所中の少年を出迎え,昼食。
13:00 視察対応。
15:00 各種記録(保護観察,生活環境調整,センター入所中の少年の行動記録)作成。
17:00 実習を終えたセンター入所中の少年を出迎え,高卒認定試験に向けた学習補助。
18:30 残務処理後,退庁


(3)入省後,一番思い出に残っている出来事を教えてください。

 保護観察官として3年間ではありますが,多様なケースに携わったことです。大学院で臨床心理学を専攻し,これまでも発達障がいや精神疾患を抱える人と関わる機会はありましたが,同じ障がいや診断名でも保護観察に付されている人はそれだけに留まらない問題性を抱えていることも多く,未だに考えさせられることばかりです。


(4)社会人になってつらいことは何ですか。

 「国家公務員」として見られるため,仕事でもプライベートでも,自分の言動が及ぼす影響力について認識しなければならないことです。
 また,異動は避けて通れない道であり,慣れない土地への異動は新たな発見があり学ぶことも多い反面,その土地の気候や風土に慣れきれない部分もあります。


(5)実際に働いてみて,法務省のどんなところが魅力だと思いますか。

 犯罪や非行をした境遇の人を相手にするため,杓子定規では通用しない独特の興味深さと難しさがあり,それが法務省の一番の魅力だと感じます。
 また,「本省」と「現場」の両方に携わる機会も多いため,現場で感じたことを本省での業務に還元し,また本省で考えたことを現場で実践できるよう働けることも魅力だと感じています。



※ 執筆者の役職は,平成26年1月30日現在です。