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従業員の方が裁判員等に選ばれた場合のQ&A

 従業員の方が裁判員等に選ばれた場合には、裁判員の仕事に必要な休みを取ることは法律で認められています(労働基準法第7条)が、その休暇を有給休暇とするか無給休暇とするかは、各企業の判断に委ねられています。
 しかしながら、幅広い国民の方に参加していただきたいとの観点から、裁判員等に選ばれた従業員の方が参加しやすいよう、特別な有給休暇として対応いただくなど、できる限りのご配慮をお願いしているところです。
 そこで、従業員の方が裁判員等に選ばれた場合に備えていただく際の参考として、よく寄せられるご質問とそれに対する回答をご紹介します(その他のご質問については、(最高裁判所ウェブサイト裁判員制度Q&A) 新しいウィンドウで開きます をご覧下さい。なお、就業規則を定めるに当たり不明な点等がある場合には、最寄りの労働基準監督署にお問い合わせ下さい。)。
 裁判員等に選ばれた方が参加しやすい環境の整備に、ご理解とご協力をお願いします。
Q1 就業規則において
(1) 裁判員候補者名簿記載通知を受けたこと
(2) 裁判員候補者として呼出しを受けたこと
(3) 裁判員や補充裁判員に選任されたこと
について、使用者に対する報告を義務付けることは問題ないでしょうか。

A  裁判員法第101条第1項では、何人も、裁判員や裁判員候補者等の氏名、住所その他の個人を特定するに足りる情報を公にしてはならないとされています。そして、「公にする」とは、そのような情報を不特定又は多数人の知り得る状態に置くことをいいますから、裁判員等が、休暇の取得のためその他の理由から、自分が裁判員等であることを他人に話したとしても、この規定に違反するものではないと考えられます。
 したがって、就業規則において、従業員に対し、(1)裁判員候補者名簿記載通知を受けたこと、(2)裁判員候補者として呼出しを受けたこと、(3)裁判員や補充裁判員に選任されたことについて、使用者に対する報告を義務付けた場合であっても、それが、(1)から(3)までに該当する従業員が一定の期間不在となることに伴って、従業員の勤務体制の変更等を行う必要があるなど、合理的な必要性があることに基づき、その必要性の範囲内で、報告を義務付けるものであるときは、その義務付け自体が裁判員法に違反することとはならないものと考えられます。

Q2 有給休暇を取って裁判に参加して日当と給与の両方を受け取ると、報酬の二重取りになり、問題ではありませんか。

A  報酬の二重取りにはなりませんので、問題ありません。
 裁判員の方には1日1万円以内、裁判員候補者の方には1日8000円以内の日当をお支払いすることになっています(旅費は、日当とは別にお支払いします。また、遠方等で宿泊が必要な方については、宿泊料についてもお支払いします)。この日当は、裁判員としての職務等を遂行することによる損失(例えば、保育料、その他裁判所に行くために要した諸雑費等)を一定の限度内で弁償・補償するものです。したがって、日当は、裁判員等としての勤務の対価(報酬)ではありませんので、日当と給与の両方を受け取ることは二重取りにはならず、問題ありません(Q3は、日当を使用者に納付するなどの就業規則を定めた場合に、裁判員法等に違反しないかという観点から解釈を示したものであり、日当を使用者に納付することなどを勧める趣旨ではありません。)。

Q3 就業規則において、裁判員用の特別の有給休暇を取得した場合に
(1) 裁判員として受領した日当は使用者に納付する
(2) 日当を受領した時はその金額について給与から減額する
などと定めることは問題ないでしょうか。

A  個別の事情によります。
 例えば、(1)のように、裁判員として受領した日当は使用者に納付するという規定を置いた場合、その規定により実質的に労働者が不利益を被るような場合は、裁判員法第100条が禁止している不利益取扱いに該当する可能性があります(例えば、受領した日当が1万円であり、特別の有給休暇に支払われる給与額が6000円である場合には、日当を納付することで4000円の不利益を被ることになります。)。
 また、(2)のように、特別の有給休暇としているにもかかわらず、給与額から裁判員の日当を差し引くことは一般的に認められません。
 なお、例えば、「裁判員用の特別の有給休暇を取得した場合には、1日分に相当する給与額(例えば1万5000円)と日当相当額(例えば1万円)との差額(例えば5000円)を支給する。」というように、給与額と日当相当額との差額を支給するような特別の有給休暇制度にすることは問題ないと考えられます。

Q4 就業規則において、従業員が裁判員候補者名簿記載通知を受け取った場合に、辞退の申出をするかどうか及び裁判員として参加することが困難な時期についてどのように回答するかを使用者と協議の上決定すると定めることは問題ないでしょうか。

A  就業規則において、従業員が裁判員候補者名簿記載通知を受け取った場合に、辞退の申立てをするかどうか等について使用者と協議しなければならないこととしたとしても、裁判員法第101条第1項に違反するものでないことについては、Q1の答えと同様です。
 なお、労働基準法第7条において、労働者が裁判員の職務を遂行するために必要な時間を請求した場合には、使用者は拒んではならないとされていることから、参加の意思を持っている労働者に対して、当該労働者と協議をした使用者が辞退を強要することはできないと考えられます。

Q5 従業員に対する有給休暇の付与を使用者に対して義務付ける前提として、全労働日の8割以上出勤することが必要であるところ(労働基準法第39条第1項、第2項)同条第7項によれば、労働災害による休業や育児休業等、一定の事由に基づく休業期間は、同条第1項、第2項の適用に当たっては「出勤したものとみなす」としていますが、従業員が無給休暇により裁判員候補者として出頭したり、裁判員等として職務に従事した場合、同条第1項、第2項の適用に当たって「出勤したもの」として扱うことになるのでしょうか。

A  労働基準法第39条第7項において「出勤したもの」とみなす場合が規定されていますが、裁判員候補者として出頭したり、裁判員等として職務に従事した場合はこの規定に当てはまらないため、この規定によって「出勤したもの」とみなすことはできません。
 そのような場合における不就業は、法律に定められた正当な手続により労働者が労働義務を免除されているものであるため、8割出勤の算定に当たっては「全労働日」から除外して扱うべきものとされています。
 なお、当事者の合意によって、労働者に有利に「出勤したもの」として取り扱うことは差し支えありません。

 国民の皆様が参加することによって、ひとりひとりの感覚や経験に根ざした、新鮮で多様な視点が裁判にもたらされます。裁判員制度の趣旨を実現するためには、幅広い国民の皆様に参加していただくことが重要です。裁判員等に選ばれた従業員の方が参加しやすい環境の整備をお願いします。


〜最高裁判所ウェブサイト「裁判員制度Q&A」より〜
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