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公安調査局長・公安調査事務所長会議における公安調査庁長官訓示

2008年5月29日 更新
公安調査局長・
公安調査事務所長会議

公安調査庁長官訓示

本日,ここに公安調査局長・公安調査事務所長会議を開催するに当たり,所懐の一端を申し述べます。
国際テロに関しては,テロの脅威が拡散する傾向にあるなど,依然として厳しい情勢にあります。こうした中で,本年4月,「アルカイダ」が我が国のイラク復興支援活動に関連し,「日本は欧米などの十字軍の一員である」として我が国も攻撃対象であるとの認識を改めて示しているほか,イスラム過激派の攻撃対象となり得る外国関連施設が多数存在するなどの我が国の現状をかんがみますと,我が国がテロの標的となる可能性は否定できない状況にあります。
北朝鮮情勢に関しては,北朝鮮が日本人拉致問題につき「解決済み」との強硬姿勢を固持したまま,対北朝鮮措置の早期解除に向け,朝鮮総聯を介するなどして我が国政府に対する抗議・要請活動及び各界への各種働き掛けを継続しております。また,核問題でも,6者協議の合意の履行を遅延させつつ,硬軟織り交ぜた駆け引きを繰り返すなど,情勢は極めて複雑かつ流動的であります。さらに,朝鮮総聯においては,中核層の思想強化に努めつつ,「同胞再発掘運動」による組織基盤の拡大を企図しており,中央会館については,その競売の回避を目論んでいるものとみられます。
また,オウム真理教については,主流派が麻原への絶対的帰依の徹底を進めている一方,上祐派も,表向き“脱麻原”を標ぼうしておりますが,その目的,組織構成などからして依然として麻原の影響下にあると認められます。
こうした現下の情勢にかんがみ,当面,留意をわずらわしたい事項を申し上げます。
第一は,G8サミットの安全開催に向けた不穏動向調査の徹底であります。
G8サミットを成功させることは,我が国政府の最重要政策課題の一つであり,サミットにおける不法事案の未然防止に向けた不穏動向の事前把握は,当庁が当面する最優先課題であります。
我が国内でのテロの脅威や反グローバリズムの高まりなどから,今次サミットは,過去4回のサミットにも増して厳しい情勢下での開催となることが考えられます。皆様方には,サミット関連会合開催地はもとより,外国関連施設が存在する地方都市におけるテロも念頭に置いて調査を推進するとともに,国内外の反グローバル化勢力による妨害活動や過激派,右翼団体などによる不法事案などの不穏動向に関しては,必ず事前に把握するという強い使命感を持って,サミットの円滑かつ安全な開催に向け,万全の態勢で臨んでいただきたいのであります。
第二は,北朝鮮関連情報の収集強化であります。
北朝鮮及び朝鮮総聯の動向は,我が国の治安や安全保障に重大な影響を及ぼすものであり,とりわけ,北朝鮮の対日姿勢や核・ミサイル問題への対処方針,北朝鮮指導部内の動静などについては,内外から強い関心が寄せられております。各局・事務所においては,こうした点について,政府の政策判断に寄与するとの視点から,時宜に即した深奥に迫る情報の収集に向け,特段の努力を注いでいただきたいのであります。
第三は,オウム真理教に対する観察処分の期間更新請求に向けた取組の強化・徹底であります。
オウム真理教に対する観察処分は来年1月末に期間満了を迎えますが,教団は主流派,上祐派共に,依然として麻原の影響下にあると認められることから,当庁としては,引き続き観察処分を厳正に実施し,公共の安全確保と住民の不安払しょくに努めるとともに,期間更新請求に向けた取組の強化・徹底を期していただきたいのであります。
以上,当面の諸課題について申し述べましたが,情報収集の最前線で指揮を執る皆様方におかれては,以上の諸課題に留意し,我が国の公共の安全を確保するという当庁の責務を果たすべく,部下職員と一丸となって,国民の期待と信頼にこたえていただきたいのであります。
終わりに,皆様方の平素のご努力に心から敬意を表し,私の訓示といたします。

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