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公安調査局長・公安調査事務所長会議における公安調査庁長官訓示

2016年7月1日 更新

野々上公安調査庁長官訓示

 伊勢志摩サミットが無事閉幕しました。この間,各地で関連動向調査の陣頭指揮に当たられた皆様にまず御礼を申し上げます。今回の経験を踏まえ,浮かび上がった課題を1つ1つ検証した上で,2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の安全開催に向け,万全の体勢を整えるようお願いいたします。
 改めて申すまでもなく,当庁の責務は,我が国の公共の安全を脅かす各種動向を把握し,団体規制を実施するとともに,その調査過程で得られた各種情報について,法令の許す範囲内で関係諸機関との共有を図り,政府の各種施策の適切な実施に貢献することにあります。
 このような観点から当面留意いただきたいいくつかの事項について以下申し上げます。
 目下最大の脅威は,中東,北アフリカ,欧米を中心に頻発しているイスラム過激組織による国際テロです。
 特に,ISIL(いわゆる「イスラム国」)については,シリア及びイラクにおいて支配地域の一部を失いつつある一方,既存の過激組織を飲み込んで「州」と称する関連組織を各地に立ち上げるなど,その影響が及ぶ地域を拡大しつつあります。これを我が国周辺について見ると,南アジア,東南アジア地域で近時発生したテロへのISIL関係者の関与が強く疑われており,その脅威は確実に間近に迫りつつあります。実際のテロ事件では,ISILの本拠地への渡航歴がないのに居住国で過激化したホームグロウン・テロリストによるいわゆる「一匹狼」型のテロに加え,中東から帰国した戦闘員が加わった一団による組織的かつ大規模なテロも発生しており,我が国でこれを防ぐには,過激化が疑われる不審人物や外国で戦闘経験を積んで我が国に入るISIL関係者を速やかに捕捉してその動向を把握することが不可欠となります。これには相当の困難が伴いますが,このことこそが当庁の重要な使命であることを自覚し,国際テロ情報収集ユニットなどの関係諸機関と連携を密にしつつ,関連情報の収集を一層徹底願います。
 テロとの関連で申し上げれば,オウム真理教は,過去に我が国内において化学兵器を用いて無差別大量殺人を行った団体であり,引き続きその動静を注視する必要があります。その最近の動向を見ますと,主流派が麻原への絶対的帰依を扶植しつつ組織拡大に積極的に取り組む一方,上祐派は観察処分逃れを目的として“麻原隠し”の取組を進めています。しかし,主流派・上祐派共に,依然として麻原の影響下にあり,その本質的な危険性にいささかの変化も認められません。今後とも観察処分を適正かつ厳格に実施するとともに,平成29年度に観察処分の期間が満了することを見据え,一層徹底した調査をお願いします。
 続いて,近隣諸国の動向に関連して申し上げます。
 北朝鮮は,本年5月に36年ぶりとなる党大会を開催し,独裁体制の強化を図る一方,核開発と経済発展を併行して進めるとの並進路線の堅持を一層明確に打ち出しました。これまでも核実験とミサイル発射を繰り返してきたところ,党大会後もミサイル発射に踏み切っており,核とミサイル技術の完成に今後とも注力するものと考えられます。
 北朝鮮による核・ミサイル関連技術の獲得は,我が国の公共の安全にとって,テロに劣らず,あるいはそれ以上に深刻な脅威となりますので,北朝鮮本国及びこれと連動した朝鮮総聯の動向を注視するとともに,我が国を含む国際社会による対北朝鮮制裁を逃れようとして行う各種工作や核を含む大量破壊兵器の製造・開発につながる先端技術の窃取に向けた各種活動等の把握に最大限の注意を払っていただきたいと思います。
 併せて,拉致問題の解決に結び付く情報の収集にも引き続き注力願います。
 中国については,国内統制強化に向けて各種体制整備を進めるとともに軍の統合運用体制を本格的に始動させる中で,海洋を中心とした拡張政策を推し進めており,我が国への影響が懸念されます。
 ロシアについても,ウクライナ問題をめぐる欧米諸国の経済制裁に加え,国際石油価格の下落などを背景に景気が低迷する中,その打開策の一つとして,我が国との関係改善に関心を示す一方,北方領土においては,駐留軍の近代化や経済開発を着実に進め,その実効支配を一層強める動きを見せています。
 これら近隣諸国の動向は我が国の公共の安全に直接の影響を与えかねないものでありますので,引き続きこれを注視していただきたいと思います。特に,我が国の政府機関や民間企業,重要インフラを狙ったサイバー攻撃が飛躍的に増加して憂慮すべき状況にあり,懸念国あるいは懸念国関係者の関与が疑われておりますので,その主体解明を目標に見据え,関連情報収集の一層の強化をお願いします。
 次に,国内情勢に目を転じますと,先に述べたオウム真理教のほか,過激派,右翼団体等の諸団体が,国政選挙,米軍普天間基地移設問題,憲法改正問題などを捉え,活発な活動を展開し,これを通じて市民層への浸透を図るなど,勢力拡大に力を注いでいます。中には,国際的な連帯を目指す動きも見られますので,各局,事務所においては,部門の垣根を越えて情報の収集,分析に当たり,的確に関連動向を把握していただきたいのです。
 かように,当庁は,質,量ともに情報収集能力の強化が強く求められていますが,マンパワーを唯一の武器として,ヒューミントによりインテリジェンスを生み出す組織でありますので,各調査官の能力を最大限引き出すことでしか,これに対応することはできません。このため,現場の最高責任者である皆様には,個々の調査官が最大限のパフォーマンスを発揮し得るよう,ワークライフバランスの推進にも配慮し,率先垂範して,働きやすい環境作りに努め,もって,局,事務所の総合力の強化を図っていただきたいと思います。また,民間の皆様の御協力をいただくには,まずは当庁が可能な限り情報発信を図り,身近で頼りがいのある存在となる必要がありますので,企業等への講演活動や広報活動,地方自治体,地域住民との対話にも積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 終わりに,皆様の平素の御労苦に心から敬意と謝意を表し,私の訓示といたします。

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