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行刑改革会議第1分科会 第7回会議議事概要

1 日時

平成15年12月1日(月)14時から17時まで

2 場所

矯正局会議室(14階)

3 出席者

(委員等,敬称略)
(会長)宮澤浩一(慶応義塾大学名誉教授),(委員)井嶋一友(弁護士・元最高裁判所判事),菊田幸一(明治大学法学部教授),滝鼻卓雄((株)読売新聞東京本社取締役副社長・編集主幹),成田豊((株)電通会長)(委員・50音順)

4 議題

(1)  個別論点の検討
ア  追加論点について
イ  規律秩序の在り方について
ウ  仮釈放制度について
(2)  その他

5 会議経過

(1)  追加論点について
 宮澤分科会長から,別紙1【PDF】に基づいて,第1分科会として議論すべき追加論点について説明し,議論がなされた。
ア  行刑の基本理念について
・  改善更生と社会復帰に加えて,罪の自覚の意識を十分に醸成という表現では,規律優先という趣旨が出過ぎる。入れるにしても修正が必要である。上から命ずるのではなく,処遇の結果として意識するということが分かるようにすべきである。
・  罪の自覚を持てということと,規律の厳格化との間に因果関係はない。
・  「罪の意識を十分に自覚させることが大切である。」という表現なら良いのではないか。
イ  受刑者の権利義務と職員の権限の明確化について
・  改正監獄法を執行法として書くならば,刑務官が何ができるかということを書いていく,どんな時に何ができるかということを法律に明定することになる。それによって,その反面として被収容者が守られるというやり方になる。現行の監獄法のような大雑把な規定では駄目であり,きちんと権限と要件をきちんと書けということを打ち出したいと考える。
・  それ以上の具体的な点は施行規則になるかもしれないが,今まで規則で規定していたものを格上げすべきである。
ウ  昼夜間独居拘禁の適正化について
・  会長提案のとおりで了承
エ  職員に対する暴行等の立件について
・  受刑者だけの暴行を書くのか。職員によるものも書いたらどうか。そもそもこのようなことは当然であり,書く必要があるのか。
・  懲罰で済ました結果,施設内に司法が入らなかった場面があり,その結果,今回の名古屋刑務所での事件が起きたということも言えるではないか。
・  パブリックにオープンにすべきということ。
オ  個室環境の整備について
・  会長提案のとおりで了承
カ  累進処遇に替わる制度について
・  「大多数の受刑者は中程度のランク」というような文言が要るのではないか。全部取り上げてからちょびちょび与えるというイメージが持たれないようにすべきではないか。刑事施設法案では「段階的処遇」といったが,累進と何が違うかということをうまく表現すべきである。
・  現在の累進処遇制度は硬直化しているので改めるべきであるが,刑務所の性質上,何かメリット・システムがあった方がよい。少なくとも,刑務所の中における生活一般を秩序あるものにして,改善更生に役立つものにするためには,どういうメリットシステムを作ればいいかを真剣に考える必要がある。現在の生活にマッチしないようなものではなく,一般の社会の人がなるほどと思えるものを前提の標準にして,真に努力しようという気にさせ得るランクを作ってやってみたらどうかと思う。英国のやり方も一つのモデルになると思う。
・  基本的には賛成だが,イギリスの標準とされているランクで認められているものが,日本ではほとんど実施されていないので,これを日本のものとしてどう設定するか,具体的なものを出してもらわないと当局がどんなものにするのか分からないのではないか。
・  各施設の特徴ごとにそれを踏まえたインセンティブ・システムを設計できるような点を是非取り込んでもらいたい。
キ  代用監獄問題について
・  根本は警察の問題であり,当事者がいないところで議論することも不可能。この会議のテーマでもないので,論点として取り上げるべきではない。
(2)  規律秩序の在り方について
・  軍隊式行進の廃止は既に意見が一致している。
・  「人間としての尊厳を傷つけたり,社会通念に照らして著しく合理性を欠く規律の在り方であってはならない。」などというような書きぶりはどうか。また,規律については,それぞれの施設に収容されている受刑者の特徴に応じた規律の在り方というのを,何らかの形で文言化できないかと考えている。
・  懲罰のための事情聴取のやり方などについて,職員を研修して,受刑者から不公平であるというそしりが出ないよう,適正な懲罰を行うようにすべきである,職員に対して自分たちがやることが「俺の胸先三寸」などという時代ではないということを職員に自覚させるということを提案したい。
・  暴力は絶対いけないということを書いておくべきではないか。
・  「社会通念に照らし著しく合理性を欠く」というのは,余りに尺度が広くてあいまい過ぎる。もう少し具体的に書くべきではないか。
・  今回の答申は,基本的に骨太に将来の方向性を示そうというものであるが,骨太の方針だけではインパクトがない,「例えば」という形で,軍隊式行進は見直せとか,房内での姿勢は正座でなければいけないということなど,アンケートで出た中で取り上げた方がいい問題を幾つか書き連ねた方がよい。
・  ルールは,執行するのは当局だが,相手は受刑者。その場合に守らなければいけないという納得のいくものでなければならない。そのような目で規律を見直してもらうことを提言の中核にしてもらいたい。その時に,刑務所だけの合理性だけではなくて,それが社会に通用するかという目で見た合理性を要素に入れるべきである。逆に,いたずらに緩かったらいいかというとそうでもないということも言わなければならない。今までの刑務官と受刑者の関係には面従腹背という面があったのではと思う。受刑者が真にこのルールに従おう,これに違反したら懲罰も仕方ないという,だれが見ても分かる行動準則を定めてもらいたい。それによって,刑務所の雰囲気が人間としての矯正,人間としての行刑になる,刑務官にも人権意識が芽生える,本当の行刑が行える雰囲気が出るのではないかという理想的なことを打ち出したい。
・  例えば,丸坊主などは品位を傷つけるもので,これは納得も何もしてない,衣類が貧弱だということ,面会を集団でできるようにすべきということ,その他の所持品についても今申し上げたような形で具体的に示されないと納得できない。
・  納得がいくという意味は,すべての個人が納得するという意味ではなく,世の中の準則として納得できるものという意味。丸坊主は所内の衛生,散髪の頻度などを考えると,五分刈りにする必要があると世間が考えればそれはやってもいいと思う。
・  軍隊式行進,裸検身,居房内の姿勢ぐらいはともかく,全部にこの5人で○と×を付けるのか。そんなことが役割とは思わない。何百項目も5人で決めていく必要はない。
・  重箱の隅をつつくような態度で細かく規律を強制するようなことはおかしい。
・  5人が合意したものについて例示列挙することでどうか。
・  軍隊式行進,正座の強制,ちょっとわき見をしただけで懲罰に処すといった過剰な行動規制ということを例示すればよいのではないか。
・  府中刑でも裸体検身をしていた。なぜ,そんなことをしてるのといったら,工具を隠しもったり,不正物品を隠し持ったりしたら困るので,きちんと確認してからやっている。僕は危機管理としてはそうだと思う。
・  金属探知器を整備すればよいので,裸検身は品位を傷つける。
(3)  仮釈放制度について
・  仮出獄は恩典であり,そもそも棄却理由の説明の必要もないと思う。
・  仮出獄の問題をもっと徹底的に議論すべき。
・  仮出獄の制度を議論することは第一分科会に与えられた役割ではない。
・  棄却された人に理由を告知するかどうかを議論するなら,申請権者が所長だけということも問題となるべき。そうなると根幹から議論しなければならず,議論の必要性は理解するが,ここでやる話ではない。
・  仮出獄は受刑者と家族に申請権があるとするのが理想と思うが,そんなことを言い出したらどうにもならない。そんな根本が定まらないのに急に議論してもどうにもならない。
・  仮出獄については矯正のみならず更生保護にも大きな関係があるから,「今回は具体的な提言をしなかったが,大きな問題があるから将来検討されたい。」ぐらいは出してほしい。

6  今後の日程等

 次回は12月8日(月曜日)午後2時開催の全体会の議論の状況を見て,引き続き分科会を行うか否か検討することとする。
(文責行刑改革会議事務局)
-速報のため,事後修正の可能性あり-
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