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トップページ > 省議・審議会等 > その他会議 > 行刑改革会議 第1分科会 第2回会議

行刑改革会議 第1分科会 第2回会議

日時: 平成15年9月22日(月)
    14時05分~17時02分
場所: 法務省17階会計課会議室



午後2時05分 開会


○宮澤(浩)会長 それでは,前回のように皆さんからの活発な御意見と,それを交通整理する役ということを二ついたしますので,よろしく御協力を賜りたいと思います。

1.第1分科会(処遇の在り方)開催スケジュール(案)の訂正

〇富山調査官 それでは,最初にまず配付資料の確認からさせていただきたいと思います。
 1枚目に配席図がございます。そのほかに,ガチャックで留めております「行刑改革会議第1分科会(第2回)議事次第」ということで20枚程度の資料があるかと思います。そのほかに,日弁連からのパンフレット,「社会に開かれた刑務所をめざして」というシンポジウム。更に日弁連からの行刑改革会議に対する意見書ということで,第1分科会,第2分科会,第3分科会それぞれに関連した意見という形でペーパーが出ているかと存じます。この日弁連のペーパーは,私どもも実は今日いただいたもので,まだ中を確認しておりません。次回以降またこれを御参照いただきまして議論の参考にしていただければと思います。このパンフレットにつきましても,皆様に配付していただきたいということで預かったものでございます。このようなシンポジウムがあるということを御承知おきいただければと思います。
 それでは,お手元の議事次第と書かれてあります綴じた資料に基づきまして,御説明をさせていただきます。
 まず1枚をめくっていただきますと,「行刑改革会議第1分科会開催予定」というものがございます。これは前回御審議いただきまして,前回(案)がついていたものを,ただ(案)をとったものでございます。このような日程で開催ということで,まとめさせていただきました。
 次のページは「第1分科会の開催スケジュール(案)」ということで,前回進め方の順序につきまして御審議いただきましたことを踏まえまして,この日付はあくまでも参考までに入っているものとお考えいただきたいのですが,審議の順番といたしまして,まず「処遇困難者,処遇の基本原則,民間人活用」,その次に「刑務所の規律等と懲罰」,次に,「保護房の使用要件,被収容者の所持品等」,次に,「担当制,刑務作業」,そして「その他」,それから「仮釈放,刑罰の在り方」,以降予備日というような形での順番の整理をさせていただいたものでございます。またこれでよろしいかどうかを御検討いただければと思っております。
 なお,前回この表の中で,死亡者の取扱いというようなことが書いてあったのですが,第3分科会から,それは第3分科会で行いたいという申入れがございまして,落とさせていただいております。そのほかは順番の並び替えをしております。
 次表以降が,本日の御審議いただく事項について当局の方で準備いたしました資料ということになります。逐次御説明させていただいてよろしいでしょうか。
〇宮澤(浩)会長 どうぞ,お願いします。

2.個別論点の検討

〇富山調査官 では,御説明させていただきます。まずこの「昼夜間独居拘禁者の占める割合」という表でございます。常態的にこういった統計は取っておりませんが,たまたま平成12年11月10日現在で統計を取った資料がございました。この当時は,全国の刑務所と少年刑務所の本所に収容されている受刑者4万5,953名。このうち昼夜独居拘禁者が何人いるかということで,1,630名,約4%という結果が出ております。
 このときの昼夜独居拘禁者の取り方と,今回9月10日に取ったものとの比較をしたわけでございますが,今回の9月10日現在は,同じく全国の刑務所,少年刑務所の本所,これに刑務支所,もっぱら受刑者が入っている支所がございますが,そこも加えております。そこに収容されています受刑者5万6,403名のうち昼夜独居拘禁者が何名かということで,パーセンテージで言うと12%になっておりますが,これは若干取り方が違っている関係でございまして,内訳の方を見ていただきますと,右側に保安上・処遇上が2,108名,4%,懲罰執行中が1,299名,2%,取調べ中が1,514名,3%,その他1,742名,3%となっておりまして,12年のときの昼夜間独居というのは,このオレンジの部分に当るものがほとんどでございます。ほぼこのオレンジ色の部分が,前回と今回で一致しております。
 若干厳密に言いますと,前回は今回のこのオレンジ色の部分に加えまして,黄色,紫,緑の部分のものでも,それ以前にオレンジ色の理由で昼夜独居になった者がいる場合には,それも含めて数えるという,ちょっと面倒な取り方をしておりました。その関係で,若干今回のオレンジ色よりは膨らんだ対象者を数えておりますが,それほど多くはないと思います。そういった目で見ますと,1,630名が2,108名になっており,厳密な割合で言いますと若干増えているのかもしれませんが,おおむね4%から5%程度が,いわゆる我々の矯正当局の方の考え方で言います,なかなか処遇が難しい者と言えるのかなという数字になっております。
 次のページを見ていただきたいのですが,次のページは受刑者の年末の在所数を過去10年間まとめたもので,棒グラフが,過去10年間の受刑者の年末の数をまとめたものでございます。その中で類型的に処遇が難しいと思える者ということで,まず赤い線が暴力団関係者の数でございます。御覧いただきますと分かるとおり,おおむね横ばい,最近若干は増えてきておりますが,それほど極端な増加は示しておりません。受刑者全体が増えていることを考えますと,むしろ割合的には減っているかなというような状況でございます。これは暴力団の対策法の施行に伴いまして,暴力団の数そのものが減ってきているというようなことも,もしかしたら影響が出ているのかもしれません。
 そのほかに,下の方の青い線,これはF級受刑者,日本人と異なる処遇を必要とする外国人受刑者の数でございます。これはかなり最近になって増えてきているということがお分かりいただけるかと思います。
 それから緑色の線,これは途中からしか数値がございませんが,精神障害があると医師に診断された受刑者でございます。平成10年からしか統計数値がございませんが,これも最近やはり増えてきており,全体の数ももちろん上がってはきているのですが,多分それをしのぐ勢いで,特にここ2~3年は増えてきているということがお分かりいただけるかと思います。処遇の困難を伴うのではないかと思えるような類型の受刑者,ちょっとピックアップしますとこのような感じになります。
 次のページを御覧いただきたいのですが,次のページは精神や行動に障害を有する受刑者の中で休養患者の数を取りまとめたものでございます。ほとんどの者が言わば医療刑務所で処遇を受けている障害のある者というふうに,精神に障害がある者と認定できるかと思います。総数で956名,平成14年の末でございます。色分けで示してありますが,薄い黄色が比較的26%と多くなっていますが,これがアンフェタミンによる精神及び行動の障害,いわゆる覚せい剤の使用による精神行動の障害と認定されている者で,約4分の1程度はいるということでございます。その次に,17.1%という赤い色の部分ですが,これは精神分裂病,分裂病型障害及び妄想性障害といった分類をされている休養患者でございます。そのほか,その他の類型は別といたしますと,18.8%,これが2番目に多いのですが,薄紫色の類型で,神経症性障害,ストレス関連障害,身体表現性障害といったような分類されている者であって,そういった者が上位を占めているということが伺われます。
 男女別で見ますと男性がほとんどでございまして,女性は80名。女性ですと全体の割合とは若干変わっておりまして,むしろ神経症性障害,ストレス関連障害,身体表現性障害が一番多くなっておりまして,その次に気分(感情)障害(躁うつ病を含む)といったような類型が多くなっている傾向があるようです。このあたりが,特に精神に障害を有していて,休養をさせなければいけない患者の数ということになります。
 次のページを御覧いただきますと,これは受刑者を罪名の面から見たグラフでございます。年末に在所している受刑者の過去10年分につきまして,罪名がどんなものになっているかということを示したもので,圧倒的に多いのはやはり窃盗と覚せい剤でございます。その他に,殺人と詐欺を計上していまして,あとは細かなものはその他になっております。全体と男性はほぼ同じ傾向になるわけですが,覚せい剤がやはりちょっと増え気味であり,この緑の幅が少しずつ増えてきております。もちろん窃盗も増えておりますが,それ以上に覚せい剤かちょっと増え気味かなというあたりが見てとれるかと思います。
 一方女性の方は,これは圧倒的に覚せい剤が多うございます。特に最近では,過半数をこの覚せい剤が占めており,収容人員の増加にかなり覚せい剤が影響しているということが言えるかと思います。このような罪名別の推移がございます。以上が受刑者の動向,特に処遇困難者というものを考える上で何かお役に立つのではないかと当局の方で考えました資料でございます。
 次のページからは,分類処遇に関する資料ということで取りまとめさせていただきました。まず「分類調査の流れ」というのがございます。これは私どもの方でのいわゆる分類処遇制度の中でどんな形で調査を行っていくのかということを図の形で取りまとめたものでございます。ちょっと細かな話になってしまいますが,この表を大ざっぱに御説明しますと,「分類センターに収容する場合」というのが,表の上の方の段でございます。下の段は「分類センターに収容しない場合」となっております。この「分類センターに収容する場合」というのは,基本的にまだ今まで一度も施設に入ったことがない,初めて今回刑務所に入ってくる者,しかも28歳未満の若年者,なおかつ1年以上執行刑期のある者で,要は,しっかりと分類をする意味があると思える者を集中的にこの分類センターというところで分類をしております。
 この分類センターの分類ではかなり時間を掛けておりまして,大きく前期,中期,後期と分かれていますが,約2か月間を使いまして,その受刑者の様々な特性などを分類いたしまして,どのような処遇をするのがいいのかといったことを検討し,処遇をすべき施設に送るという流れになります。処遇をする施設では,この分類センターからの移送を受けまして,かなり細かな分類が既になされておりますので,簡単なオリエンテーションその他を行った後は,もう実際に処遇を開始するという流れになります。
 今申し上げた流れに入っていない受刑者,すなわち施設には過去に1回は入ったことがあり,その際に分類調査を受けている,あるいは処遇のデータもいろいろあるという受刑者,あるいはもう年を取って若年者ではない受刑者,あるいは刑期が短い受刑者につきましては,判決が確定した施設で約10日間程度使いまして分類調査を行います。その上で処遇すべき施設に移送いたします。移送を受けた施設では,まだこの10日間の分類では十分な資料収集が終わっていないということで,あわせまして処遇する施設でも分類調査等を比較的長目に行いまして,その後で工場等に出していくというような流れになります。大きく言いますとこのような形で,二種類に分けて,より人的資源を投入すべき者には長期間を掛けて,より専門性の高い職員を集めて分類調査を行っております。
 具体的にどんなふうに分類をしているのかというのが,次のページでございます。こちらにございますように,分類級には収容分類級というものと処遇分類級という2種類の分類級がございます。最初に収容分類級の方を御説明いたしますが,こちらは収容する施設を決めるための分類と簡単に考えていただければよいかと思います。
 まず,非常に端的に分かる分類なのですが,1番目のJt級というのは最近少年法の改正に伴ってできた類型でして,受刑者なのですが特に少年院に収容する16歳未満の受刑者です。少年院に収容する必要がある者につきましては,まだ対象者は一人も出ておりません。そういった分類級が新設されております。
 これ以降はかなり以前からある分類級ですが,まずは性別,国籍,刑名,年齢,刑期によるものということで,女性はW級,日本人と異なる処遇を必要とする外国人はF級,禁こ刑の者はI級,少年,20歳未満の者はJ級,執行すべき刑期が8年以上の者はL級,26歳未満で20歳以上の成人は,若いという意味,若年という意味でY級といった区分をしております。これは性,国籍等によってほとんど一見して分かるような分類の部分です。
 次に,犯罪傾向の進度によるものということで,A,Bの二つに分かれております。端的に,A級は犯罪傾向の進んでいない者,B級は進んでいる者という分け方になっております。この分け方の詳細は,後ほどまた御説明いたします。
 そのほかに,精神障害や身体上の疾患,障害による分類ということで,大きくはM級とP級という二種類の分類がございます。M級は精神上の障害がある者,P級は身体上の疾患や障害がある者という区分でございます。更に,それぞれがx,y,zの小文字をつけまして,より細かく分けてございます。M級で言いますと,Mxは知的障害あるいはこれに準じる処遇の必要な者,My級は人格障害あるいは人格障害の疑いが相当程度認められる者といった分け方になっております。Mz級は精神病者あるいは精神病の疑いが相当程度認められる者,そのほかに強度の神経症にかかっている者,拘禁性反応,薬物による中毒症,アルコールによる中毒症又はその後遺症が著しく認められる者といった分類をしております。P級の方は身体疾患でして,xは身体疾病そのほか妊娠,出産などのために相当期間の医療,養護の必要がある者,Py級は,身体障害があるために特別な処遇が必要な者あるいは視聴覚の障害者,Pzは,年齢が60歳以上で老衰現象が相当認められる者,その他,身体が虚弱で特別な処遇が必要な者といったような括り方をしております。
 この分類は,一人の受刑者がどれか1個だけに当てはまるというわけではもちろんございません。例えば女性であって外国人であって刑期が長いということになれば,W級,F級,L級と全部その分類級が付いてまいります。そのほかに,必ずすべての受刑者がA,B,いずれかに振り分けられます。このA級かB級かというのは,必ずどちらかに振り分けられます。更に,精神障害,身体障害があればM,Pが付くというような分類が行われます。
 収容する施設を決めるための分類級ということを申し上げたのですが,たくさん分類級が付いたら,結果的にどこへ行くのだということになりますと,基本的には一番最初についた分類級というのが原則です。ですから女性であれば,W級が一番上にありますので,まず女性の施設に収容される,外国人であって,Wであれば女子施設に行きますし,そうでない男の外国人はF級を入れる施設というのが全国で10数箇所ありますので,そのどこかに行く。あるいは外国人でも女性でもない男性であるということになりますと,L級が付けばLの施設に行く。若干例外が,Yがついている場合で,若年者の場合には,L級が付いていても26歳になるまではY級の少年刑務所に入るというような運用をしております。M級,P級は,それぞれ身体,精神の疾患がある者なのですが,このM,P級については,これを一番左側に付ける場合には,医療刑務所のような医療措置が十分できるところに送ることとなります。
〇井嶋委員 一番左ですか。
〇富山調査官 分類級を書くときに,WFLA級とか書いていくのですが,その際に一番最初にMやPを書く場合がございます。そう書く場合には,この身柄というのは医療刑務所で処遇する必要があるという分類をした場合に,そのような書き方をします。そうでない場合には,BMzとか書きまして,これは普通のB級施設にM級に分類される者も入るということになります。例えば府中刑務所のレッドゾーンで御覧になったような身柄というのは,恐らくはBMz,医療刑務所に送る必要はないけれども,精神障害を有しているというような者も,そういう分類をされているケースもあるということでございます。いずれも,これが収容分類級でございます。
 先ほどA,B級というのを申し上げましたが,次のページにこの犯罪傾向の進度による収容分類,A級,B級の判定基準というものを付けさせていただきました。何をもって犯罪性が進んでいる,進んでないというのを判定しているのかということで,表に書いてありますが,一番最初に注意事項がありまして,ここの以下に書いてある指標というのは,あくまでも外面的特徴であるにすぎないということで,絶対的指標ではないので,このA指標,B指標を参考にしてできる限り内面的な特徴や性格や価値観の偏りがどの程度社会不適応の原因となったり,犯罪性を固着させているかを調査し,妥当な判定をしなさいというような注意書きがなされております。この注意書きをいかに生かせるかが,実際に判定を行う心理技官の仕事のしがいというか,腕の見せどころになるところなのですが,一般的な指標としましては,まず施設収容歴については,Aとなるためには児童自立支援施設あるいは少年院の収容歴は1回限り,かつ仮に刑務所での施設受刑歴があったとしても,既に出所から5年以上を経過しており,その間,悪質な犯罪行為はないというような者に限って,施設収容歴があっても犯罪性が進んでいないと認定します。逆に児童自立支援施設あるいは少年院で2回以上収容されたことがある,あるいは過去に刑務所等に入ったことがあって,まだそれから5年がたっていない,あるいは5年はたっているけれどもその間には悪質な犯行行為があったというものは,犯罪進度が進んでいるという指標になります。
 それから,反社会性集団への所属という意味では,今まで一度も所属したことがない,あるいは所属したことはあるけれども周辺の構成員であって,かつ1年未満しかいたことがないという者はA指標になります。そうではなくて,中心的構成員であるとか,あるいは周辺の構成員であっても1年以上続いている者は犯罪性が進んでいるというふうな指標に当てはまるというふうにされております。
 それから,受刑に至った犯行の態様が偶発的又は機会的な場合にはA指標,慣習的,計画的な場合はB指標というような指標になっております。
 更に,習癖や生活態度ということで,最近1年以内に薬物の依存,アルコール等の中毒,放浪癖,徒食癖などがない者はA指標,逆にこれがある者はB指標というような形で,一応のA,B判定の指標が示されております。これらを参考に,具体的に本人の成育歴,犯罪の状況その他を調査いたしまして,A,B判定をしているところでございます。
 また1枚前に戻らせていただきます。この収容分類級のほかに,処遇分類級,すなわちその施設において何を重点に処遇していくべきかということを決める基準となる分類級というのがございます。これも大きく二つに分かれておりますが,まず処遇内容によるものということで,6種類,V,E,G,T,S,Rとございます。V級というのはヴォケーショナル・トレーニングの略でして,職業訓練を必要とする者,E級はエデュケーションの略ですが,教科教育を必要とする者,G級はガイダンスの略なのですが,生活指導を必要とする者,T級は専門的な治療処遇,トリートメントの略かと思いますが,あるいはセラピーなのでしょうか,専門的な治療処遇を必要とする者という級でございます。S級は特別な養護処遇を必要とする者,R級というのは,治療的な,リハビリテーションで生活訓練を必要とする者というような6種類に分けられておりまして,場合によっては複数の処遇分類が指定されることもあり,その場合には,最も重点を置くべきものを一番左側に書くというような分類のされ方をしております。
 それから,その他の分類としまして,O級というのがございまして,これは開放的処遇が適当と認められる者で,詳しくは,更に第1類,第2類がありますが,第1類はもともと犯罪傾向の進度が軽微で開放処遇が適当と認められる者,第2類の方は,相当の期間服役をして,心的状態等が安定して,社会復帰のための釈放前の開放的処遇が適当と認められる者であり,いずれにしても,このO級に分類されますと,開放的処遇が適当ということになります。それからN級,経理作業適格者と認められる者がおり,この経理作業といいますのは,刑務所は基本的に食事をつくること,刑務所の受刑者の食事をつくること,あるいは受刑者自身の衣類の洗濯をすること,こういった仕事も全部自分たちでやっております。その食事をつくる工場ですとか衣類の洗濯をする工場については,そういった作業を経理作業と呼んでいる関係で,経理工場と呼んでおります。経理工場の受刑者というのは,食事を運んだりあるいは洗濯物を運んだりと,所内のあちこちを移動したりもしますし,保安上いろいろな面で危険のある者にその作業をさせるわけにはいかないということで,経理作業をさせても構わない受刑者というのを特にN級ということで,経理作業適格者として選ぶというようなやり方をしております。そういった処遇の分類級というものもございます。
 このような制度がございまして,では分類の実態はどうなっているのだろうかということが,めくっていただきますと「年末在所受刑者における収容分類級別人員の推移」というグラフとしてございます。これは今言った分類の一つに,犯罪傾向が進んでいる,進んでいないというA,B分類に着目しまして,これはどの受刑者も必ずA,Bに分類されますので,それぞれ年末現在でどのくらいの人数がAとBに分類されたのかということを調べたものでございます。
 棒グラフが,これは絶対的な数,人数で表したものです。御覧いただきますと分かるとおり,受刑者全体が大幅に増えている中で,青色のA系統,犯罪進度がまだ余り進んでいない者の数がかなり急に増えてきているというのが見てとれると思います。一方,B級の方も,増え方こそ,それほど急ではございませんが,数的には増えており,決してこのB系統に分類される者が減っているわけではないということが御覧いただけると思います。
 その上で,この折れ線グラフになっているものは,このAとBの割合を示したものでございます。割合で見ていきますと,A系統の者がだんだん増えてきておりまして,平成5年には30%程度がA級だったのが,最近では40%近くまで上がってきているというのがこのグラフで見てとれるかと思います。
 これを男女別に取り直してみますと,男性の方はほとんど全体と同じ数値になるのですが,女性の方は過去10年間見てみても,もともとA級に分類される者の数が多い。その後の増加を見ても,A級の者が圧倒的に増えている。したがって,今ではA系統の者が6割を超えて,約3分の2がA系統,3分の1がB系統であるということが見てとれるかと思います。女性の受刑者の場合には犯罪進度が進んでいない,初めて刑務所に入る者が急激に増えてきているということが見てとれるかと思います。
 次のページを御覧いただきますと,こちらは先ほどの二つ目の類型として御説明しました処遇分類級の分類級別の人員でございます。いろんな分類級があると申し上げたのですが,圧倒的に多いのがこのG級でございます。過去3年間,いずれもこのG級が群を抜いて多くなっております。これはいわゆる生活指導を必要とする者ということで,いかに受刑者の中で生活指導を重点的にやらなければいけないという者が多いかということが言える反面,そこに分類が偏ってしまっているということも言えるかと思います。G級以外には,十分な数がいるのは,先ほど申し上げた経理作業適格者というN級だけでございまして,その余はほとんど数がいない,極めてわずかな数しか分類されていないような状況になっております。以上が分類制度に関する説明でございます。
 次のページが,いわゆる累進処遇制度に関する説明の資料として作らせていただいたものでございます。行刑累進処遇制度というのは,これは昭和の初めぐらいから実施されているものなのですが,基本的に受刑者は刑務所に入りますと,まず4級に分類されます。その後施設内でまじめに服役をしていますと,次第に級が上がっていくという形で,級が上がるに従っていろいろな制限が少しずつ緩和されていくというような仕組みになっています。
 その緩和のされ方なのですが,ちょっと見にくい表なのですが,行刑累進処遇令という法務省の省令をまとめた表でございまして,まず一番上の6段ぐらい,拘禁及び戒護の章で書かれているところを見ていただきますと,4級から3級,2級,1級と上がっていくと何が違うのかというところで,まずは居房が当初は雑居房なのですが,そのうちに昼間雑居・夜間独居,つまり夜は一人でゆっくり暮らせるような居房が与えられるということを省令上で予定しております。1級になりますと,特に特別の場所,通常は1級舎房といいまして,鍵もかからない,正に民間の寮みたいなイメージの部屋に入っていまして,当然鍵がかからない部屋ですから,トイレなども部屋の中にはなくて,部屋の外に共同のトイレとかがあるというような感じの部屋に収容されるというのが一般的です。そのほかの差は実は余り違いがございませんで,1級になりませんとなかなか緩和されません。検身・居房捜検の免除,すなわちいちいち職員から身体や着衣の検査をされるとか,部屋の中を検査されるとか,あるいは所内遊歩というのは,特に職員が一緒についていなくても自由に所内の一定区画を歩けるというような制度,あるいは紀律維持・希望開陳のための代表者制ということで,施設に対していろんな意見を述べるようなことができるとか,そういう一種の自治制度でしょうか,そういったような特権はすべて1級者にならないと与えられないということで,余り拘禁,戒護上の特権というのは2級,3級,4級の者にはないというのが原則になっています。
 次に作業に関することですが,作業については1番目の転業というのは,今やっている作業から別の作業に変えてくれという願い出ができるという特典でして,これは2級以上になりますと,その作業に十分熟練した者がなおかつ作業を替わりたいと願い出た場合には,それを許すというようなことが規定されております。
 次の作業賞与金月額計算高の自己用途使用の範囲というのは,毎月作業の内容に応じて一定額の賞与金が計算されます。平均しますと4,000円程度の微々たる額なのですが,その賞与金について毎月一定額は,例えば下着を買ったりとか本を買ったりとか,所内での自己用途にそれを使うことが許されています。どのくらいの範囲使えるかということで,4級者の場合は毎月の計算高の5分の1,3級ですと4分の1,2級3分の1,1級2分の1と,だんだん余分に使えるようなシステムになっています。
 次の自己の作業用具の使用・購入というのは,2級以上になりますと工場などで使う,例えばのみですとか,そういったいろんな道具を自分のお金で買って自分のものを使うことも許すことができるというような規定になっております。
 次の作業指導・監督の補助ですが,いわば指導者となって他の受刑者をいろいろと教えるようなポジションに就くことができるのは2級以上で,指導のみですと2級者から,監督的なことまで任すには,1級者にならなければできないというような形が省令で定まっています。
 そのほか無戒護就業,職員が直接見ていないところで就業できるというのは,これは原則としてやはり1級者でなければだめだということになっております。
 次の教化の関係ですが,これは個別教晦の実施がちょっと変わっておりまして,4級者と1級者が個別教誨で,これは,一番最初に施設に入ったときと,そろそろ出所時の仕上げの時期になる1級者において特に個別教誨を実施しろという趣旨で,当時はこのような条文ができたようでございます。
 そのほか集会に関する規定がありまして,これは1級者でしたら月に2回以内,2級者でしたら月に1回以内集まって集会を開いて,その際お菓子などを買って,お菓子を食べたりしながらいろんな話を自由に話をする,そういったことができ,3級,4級については△がついておりまして,これは原則はないのですが,所長が許せばできるということで,今では運用としては3級者については集会をやっております。
 そのほか図書室における文書図画閲読ということで,国の図書室というのが大抵どこの施設にもあるのですが,その図書室の中で時間をとって読むことができるのが1級は保障されておりますが,2級以下は施設によっては部屋の中で,自分の部屋の中でしか読めない,図書室では本を選ぶことしかできない,あるいは更には本は目録で選んで,実際の現物が居房に来るといったシステムをとっているところもございます。
 運動会の実施も,この累進処遇令上は原則は上級者しかできないことになっておりますが,現在では運用上は4級の者を含めて実施しております。これは△マークで,所長が必要と思えばできるということを活用してやっております。
 次の集団散歩というのは,職員も一緒について行くのですが,施設の外にいわば社会見学に出かけるようなことができるという規定でして,1級者の場合は累進処遇令で認められております。2級以下は所長の裁量でということで,施設によっては2級者であっても特に行状の良好な者を選んで集団散歩をさせているところがございます。
 次の写真備付というのは,写真立てなどを与えまして,そこに自分の家族の写真などを部屋の中に飾っておける,そういった形での写真の所持を許すのが,2級と1級ということでございます。もちろん4級,3級の者でも,ただの写真を持っているということは可能でございます。
 次の接見・信書,これは外部交通の頻度の話になりますが,一番上は親族以外の者ともできるのかということで,累進処遇令では4級はできないとなっておりますが,現在の運用では4級の者でも特に必要があると認めれば許す運用はしております。その上で頻度なのですが,発信,手紙を出す方と面会は級別に回数制限が決まっておりまして,4級の場合は月に1回面会ができて,更に月に1回発信ができ,3級になりますとこれが月に2回,月に2通と増えてきます。2級になりますと,週に1回,週1通で,1級はもう随時毎日面会も手紙の発信もできるというように,回数が緩和される仕組みになっております。ただ,これも施設によっては,例えば少年刑務所ですと,若年者が特に親との親交を深める必要があるということで,この回数を1回増しにするというような配慮をしているところもございます。
 次の接見場所につきましては,受刑者の接見,面会は通常ガラス板で仕切られた面会室という場所でやるのが通例なのですが,1級者になりますと屋外にテラスみたいなところを造りまして,そこでお互いに何も遮蔽物がないところで自由に面会ができるというようなことをやっております。2級者,3級者等でありましても,特に問題のないと思える者についてそのような取扱いをしている施設もございます。
 それから,接見時の無立会につきましても,2級,1級の者には所長の裁量で認めることができるとなっておりまして,現に実施している施設がございます。
 そのほか,例外的なものなのですが,給養のうち一般的な食べ物その他は階級では差はつけてはいけないとなっているのですが,花瓶と花ですとか,あるいは書画の備付けなどは1級者について認めるということと,2級者は,少年の受刑者には認めるというような規定が置かれております。このような級別の差が,行刑累進処遇令に設けられております。
 次のページを見ていただきますと,そういった制度のもとで実際各累進処遇の級がどんなふうになっているかについてですが,これは出所時の統計がございましたので,出所時で過去3年間調べてございます。これを見ていただくと分かるとおり,本来ですと出所時にはみんな1級になって仮釈放で出ていくというのがこの行刑累進処遇令の実は理想なのですが,なかなか現実の運用はそうはなっておりませんで,むしろ1級者になって出ていく者というのは,所内では非常にまじめにやっているのですが,残念ながら環境調整が整わないで,引受人が見つからないということで,1級になって満期で出ていくという者が多くなっております。この2級で出ていく者が圧倒的に多いのですが,これがいわば処遇はうまくいって,仮出獄の形で出ていっている者が大半がこの2級でございます。3級,4級というのは,3級の中には仮出獄で出ていく者もおりますが,途中で反則を繰り返したりして仮出獄になれなかった,あるいは環境調整もうまくいかなかったということで,満期で出ていった者がこの3級,4級には多く含まれているかと思います。
 ちなみに除外級というのは,刑期が6月未満の者などのことで,これは累進処遇令の対象になりません。累進処遇令の適用を除外されている者が一定数おりまして,そういった者はこの除外級という形で分類されております。
 次のページは,前回宮澤(浩)会長の方から要請のございました,刑事施設法案において段階的処遇というような概念があったはずだがということで,それを説明してもらいたいという要請を受けまして作ったペーパーでございます。刑事施設法案には,ここに書いてあるような「自主性の促進」という条文がございまして,この49条1項で,自主性を促進するために,この法律に基づく受刑者の生活や行動に対する制限は,前条1項の目的を達成する見込みが高まるに従って順次緩和されるといったようなことがありまして,より細かいところは法務省令でというようなことが書いてあるわけなのですが,これをイメージで書きましたのが下のこの図でございます。横軸の改善更生や社会復帰の見込み,これが高ければ高いほど所内でのいろいろな制限,生活や行動に対する制限が低い,なるべく制限がないものになっていきます。一応矢印がついていますのは,こういう形で処遇をしていく上で段々と改善更生の見込みが高くなって,より制限が少なくなっていくという方に流れていくだろうということで矢印がついていますが,行刑累進処遇制度のように,皆最初は一番制限が強いところから始まるのではなくて,その個人個人を調べまして,どこから始めるのかはその都度決める形の個別的な処遇を行うというイメージが当時考えられておりました。
 ただ具体的に,この制限をではどんなふうに緩和するのだとか,あるいはこの改善・社会復帰の見込みというのをどんなふうにレベル分けして判断していくのかというのは,必ずしも練られた議論がなされていなかったというふうに承知しております。一言付け加えますと,この改善更生・社会復帰の見込みだけで,こういった生活に関する制限の緩和ができるのかといいますと,それ以外にも万が一逃走等をした場合に社会に与える危険性といったものが本当は指標としてあるのかもしれないということも言えるかと思います。いかに改善更生の見込みが高まってきたといっても,万が一逃走したときに人を殺傷するおそれがあるような人に対して,そう簡単に開放的な処遇はできないかもしれない。その辺のことが,これを十分考えられた物差しだったのかどうかというあたりは,どんなものだろうかというようなことがあろうかと思います。これが段階的処遇のイメージでございます。
 次のページに,イギリスにおけるInsentive and Erned Privilege Systemの概要というのを1枚ものの資料を付けさせていただきました。この行刑累進処遇制度というのは,全員が第4級から始まるということで,いろいろとこれは少し硬直的な運用がされるのではないのかというような御意見もいただいているところであります。ただ,イギリスにおいても似たような,少し考え方は違うのですが,ある意味似た面がある制度がございまして,それを紹介させていただきたいと思っています。
 このイギリスの制度では,受刑者に限りません。まだ裁判中の未決の者も含めまして,所内で秩序ある行動をとることを推奨する,そのためのインセンティブを与えるために一種の優遇制度というのが行われていると聞いております。これはインターネットその他を通じてとりあえず入手した資料を,仮訳しまして整理した表なのですが,このシステムを受刑者についての表だけで取りまとめました。すべての受刑者がまず最初はSTANDARDに位置付けられる,標準というところに位置付けられるそうです。その受刑者が所内で規則を守ってきちんとした態度で生活をしていると,ENHANCEDというレベルに上がることができる。逆に職員に対して侮辱的な言動を繰り返したり,まじめに服役をしないというような場合には,このBASICという方に下げられる。更に左側にDisciplinary Minimumという懲罰中の基準があるのですが,これは現在BASIC,STANDARD,ENHANCED,どの階級にいる者についても,何か規則違反をして懲罰になる場合にはこのレベルになる。そのときだけ,その懲罰が終わると,またどこの階級にするかは別途検討されるということのようです。そういう意味で,四つのレベルがあるようです。
 どんなことで優遇があるのかというと,まず使用可能な個人用現金ということで,懲罰中は使用できない。BASICは週に2.5ポンド,STANDARDが週10ポンド,ENHANCEDが週15ポンドと,大分金額に差がついております。
 面会の頻度というのも,懲罰中は基本と同じにまで制限ができる。基本というのは,28日間ですからすなわち4週間でしょうか,30分を2回あるいは1時間を2回,いずれにしても2回だけということです。何か我々の感覚ですと,30分を2回と1時間を2回は全然違うような気もするのですが,2回だということです。STANDARDになりますと,少なくとも3回。拡張になりますと,1時間を4~5回。これが典型的な例で,施設のリソースによって管理運営上可能な範囲によるというふうなことになっているようです。
 面会場所というのも,BASICはいわゆる面会室で行う。STANDARDになると,面会室が基本だけれども,ほかの設備,多分より開放的な設備だと思いますが,そういうところでできる場合があり,ENHANCETになりますと,標準よりもよい範囲で,利用可能設備によってはいろいろ変わるけれどもということであります。ちょっとこの辺がよく意味が分からない面もあるのですが,面会の時間や日にち,終了時間に選択の余地がある,あるいは拡張レベル用の面会,多分,設備がいい何か面会室があるのだと思います。そこを利用することができるのが典型的だという書き方もされています。
 それから地域社会への訪問につきましては,これはいわゆる職員の付添いなしの外出のことだと思います。懲罰中とBASICはできない。標準の場合は,これはすべての受刑者ではなくて,釈前の施設又は区画にいる者については,この標準に分類されていれば週に1回できる。それから開放施設にいる受刑者であれば,1か月に1回できる。その他カテゴリーD,これはイギリスの場合カテゴリーAからDまで4種類あって,Dというのが一番開放的な処遇ができるという分類だそうです。このカテゴリーDの受刑者などについて,1か月に1回。上の方に開放施設とありますから,完全に開放的な施設でなくてもカテゴリーDに分類されている受刑者では1か月に1回程度ということだと思います。これがENHANCEDにある場合には,特に開放施設の受刑者は1か月に2回と回数が増えています。そういった回数,職員の付添いなしに地域社会に外出ができるというような特典があるようです。
 それから,より高い支払いの作業を希望する資格ということで,恐らく作業の中で賃金の高いものと低いものがあって,自分が今就いている作業よりもより高い賃金の作業につきたいという希望をすることができる資格として,スタンダードの場合は資格はあるけれども拡張レベルが優先する。拡張レベルは資格があるというような分類がされております。
 それから,居室内でのテレビの視聴ということで,懲罰中は剥奪が可能で,BASICはできず,STANDARD,ENHANCEDはできるとなっております。
 それから,居室外に出る時間は,最高でも12時間ということなのですが,これは外国の施設ですと大抵部屋は独居房が多いのですが,部屋のドアを日中は開けておきまして,廊下で自由に過ごすことができるという時間を設けているケースがあるようです。その時間のことを言っているようです。これについて,懲罰中は剥奪が可能,BASICは機会は与えられるべきだが,その程度は施設の判断により,STANDARDは基本レベルよりは多くしなければいけない。そしてENHANCEDは管理運営上可能な限りは標準レベルよりも多くしなければいけないというような基準の立て方がされています。
 それから,自分の服を着ることの許可というようなことで,懲罰中はその許可を剥奪することができ,BASICは着ることができない。STANDARD,ENHANCEDは自分の服を着ることができると,このような形で何か差をつけているというふうなことがあるようです。
 最後のページですが,これは本日お時間があるかどうか分かりませんが,民間の活力の活用というようなことの参考資料ということで,現在までに行われておりますもの,あるいは来年度の予算要求をしておりますものを含めまして,業務の外部委託,どんなことについてどの程度外部委託を進めているのかという,内容と委託人員を表にまとめたものでございます。これは非常に細かなものになりますので,後ほど御覧いただければと思います。現時点での状況として,このような感じになっております。
 あとは末尾に,本日御欠席の菊田先生からの意見書が載ってございます。以上でございます。
〇宮澤(浩)会長 どうもありがとうございました。具体的なデータもかなりつけてくださって,非常に要領のいい説明だったと思いますが,なお御質問の箇所があるかと思います。もちろん後に一つずつの論点について皆さんの御意見を伺うということでありますが,差し当たって何かお聞きになっていて気づかれた疑問点とか,あるいはここのところをもう少し詳しくして欲しいというようなところがございましたら,御発言を願います。
〇井嶋委員 先ほどの説明でMが一番左に来るのと,そうでないのとの分類の意味は分かりましたけれども,そういう意味では府中なんかの場合はBが一番左に来ているはずですね。この何枚目か,こういう資料,これの休養患者というのは,医療刑務所に入れているという意味ですか。
〇富山調査官 基本的にはそのとおりでございます。ただし,一部例えば医療刑務所以外でもとりあえず病舎に入れて休養させているという場合は,この中に入ってまいります。
〇井嶋委員 府中のベッドに寝ている……。
〇富山調査官 府中の病舎で精神科医が診ているような場合には,この中に入ります。ただ,恐らくそういう者は府中でもし面倒が見切れないということになれば,いずれ医療刑務所に移送されるという形になるのかなと思います。
〇井嶋委員 では,休養というのはそういう意味ですね。
〇富山調査官 はい。
〇井嶋委員 それから,いずれまた意見のときに申し上げるのですが,この処遇分類別の人員推移という表がありますね。G級という分類が圧倒的に多いが,その生活指導というのは何ですか。つまり僕が聞きたいことは,刑務作業というのは処遇の分類の一つなのでしょうね。じゃないのですか。
〇富山調査官 刑務作業自体は,ある意味,懲役刑における刑罰の内容なのですが。
〇井嶋委員 そうすると,このVとかEとかGとかというのは,それに付加してという意味ですか。
〇富山調査官 そうですね。基本的に懲役受刑者の場合は,もちろん刑務作業をやるのが前提なのですが,それ以外に特にその者を処遇する上でどんなことに注意をしていくのかということで,一番注意をすべきものは何なのかというときに,生活指導が重点だということになってしまうわけです。
〇井嶋委員 G級というのを,もう少し詳しく教えてほしいのだけれども,どのぐらいの時間,どういうことをやっているのですか。
〇富山調査官 基本的には,先ほど言った刑務作業を中心には,まじめに一生懸命働くのだというその勤労の意欲を喚起させるために一生懸命仕事をさせることで,正に生活指導になるのだというような部分が一番多いと言えるかと思います。
〇井嶋委員 刑務作業そのものに従事させている者が圧倒的に多いということになるわけですね。
〇富山調査官 刑務作業には90数パーセントの者が従事していますので。
〇井嶋委員 それ自体が,もうG級の処遇でもあると,そういうことですね。
〇富山調査官 そのとおりです。V級の職業訓練も,これはある意味刑務作業でございますので,やはり職業訓練も刑務作業に従事しているというふうに考えておりますので,これも刑務作業であると。
〇滝鼻委員 E級の教科教育というのは,これは刑務作業の一部なのですか。
〇富山調査官 教科教育というのは,例えばまだ中学校の義務教育が未了の者がおりまして,松本少刑で今桐分校というのがございまして,ここでいわゆる中学校卒業の免状を与えるための教育をやっておりまして,そういったものが必要な者というのは正にE級に分類されまして,1日の大半はその授業を受けて過ごしております。
〇滝鼻委員 刑務作業もしているのでしょう。
〇富山調査官 その場合は,1日1時間程度なのです。
〇井嶋委員 あそこはそういうバリュエーションがあるわけですね。
〇富山調査官 あります。
〇滝鼻委員 職業訓練と生活指導というのは,内容的にはどう違うのですか。
〇富山調査官 職業訓練というのは,正に単なる刑務作業ではなくて,資格・技術を身につけさせるための,民間でもいわゆる職業訓練学校というのがあると思いますけれども,そういうところでやるような溶接の資格とかコンピューターの資格とか,そういったものをとらせるためにいろいろ教えている部分が職業訓練でして,これは形態的に刑務作業に類似のいろいろな物を作ったり,そういったこともやるものですから,実務上はそれも刑務作業と整理をしているのです。その意味で,作業もやっている形になりますけれども。
〇滝鼻委員 生活指導というのは。
〇富山調査官 生活指導というのは,正に毎日規則正しく生活をするというような習慣付けをさせると。
〇滝鼻委員 生活習慣。
〇富山調査官 そういったことを目的として,一番そこを重点に置いて指導しようという類型なのですが,そのためにでは何をするのかといいますと,やはり刑務作業が主体となります。
〇井嶋委員 朝ちゃんと起きて,きちっと号令をかけて出かけていって,ちゃんと集団で帰ってくるというのが,生きた生活指導だと,こういうことでやっている。こういうわけですね。
〇富山調査官 正にそういうことになるのですが。
〇滝鼻委員 昼夜独居拘禁者の占める割合,一番最初の表ですよね。そこの平成12年の円グラフと15年の円グラフの比較の問題なのだけれども,12年の円グラフの中に4%とありますよね。1,630人,昼夜独居。それから同じ昼夜独居でも,15年になると12%になるのだけれども,内容がちょっと違って,保安上処遇上,昼夜独居というのがおおむね4%いる。これと平成12年だから3年前のこの4%が大体対応すると。
〇富山調査官 おおむね対応するということです。どこが違うのだという部分が,その下にオレンジの部分プラスというのがございまして,実は12年のこの古い方の統計では,下のグラフのオレンジ色の部分に加えまして,下の部分の別の色の類型に今はなっているのだけれども,それ以前にオレンジ色の類型で昼夜独居になったことがある者については,このオレンジとして数えているのです。その部分で若干,ですから今ももし同じような数え方をしていたとしたら,この4%がもうちょっと増えるかなというところがございます。
〇滝鼻委員 15年の方が。
〇富山調査官 はい,そうです。
〇滝鼻委員 例えば黄色の懲罰執行中とか,それからこの紫の取調べですか,そういう数字は,そういう人たちは12年のときにも若干入っていたかもしれないと,こういうことですか。
〇富山調査官 そのとおりなのです。実はこの12年のときは,正に昼夜独居にずっと入りっぱなしになるかもしれないという人たちをあぶり出すために調査をやったものでして,その意味で,もちろん現在処遇上,保安上で独居になっている者は入るのですか,処遇上,保安上に独居になっていた者が規則違反をしますと,その時点で取調べのための独居拘禁になってしまったり,規則違反について懲罰を科されたりということがあり得るものですから,今取調中,懲罰中の者でも,それまではずっと昼夜独居になっていた者がいればそれも数えましょうということで,この12年のときは実は取ったのです。今回はちょっと,そのような取り方をしている時間的余裕がなかったものですから,とにかく今いる者についての類型別で数えてくれということで全国の施設に照会をかけた関係で,オレンジ色の部分が若干重なり合わないとり方になってしまっていますが。
〇滝鼻委員 そうすると,絶対数が増えているからその数は増えているとしても,全体の被収容者における昼夜独居というのは,割合は余り変化ないと,こういうふうに理解すればいいのかな。
〇富山調査官 ちょっと厳密な割合を今出してなかったのですが,今言った重なっている部分がどのくらいかということにもよるのですが,増えていたとしてもそんな極端ではなく,例えば4%か5%程度になっているということは,もしかしたらあるかもしれないのですが,そんな極端な増え方ではないと言えるかと思います。
〇井嶋委員 昼夜独居といっても,独居房の数は前と変わらないわけですから。
〇富山調査官 その面はもしかしたらあるのかもしれません。
〇井嶋委員 ですから,独居の施設の数が。現在は御覧になったように独居で一人でいるべきところへ二人入れたりしているわけですから,実態的に見たら多くなっているように見えます。だけど,独居房の数は12年も15年も同じはずですから,ですからそういう意味ではそんなに,それだけでは現在の状況をきちっと表わしているかどうかは不明ですよ。
〇滝鼻委員 被収容者に比べて施設が今足りないわけでしょう。したがって,本来は独居房に入れるべき者を複数の房に入れているということもある。
〇富山調査官 あり得ます。
〇滝鼻委員 言い方は正確かどうか知らないけれども,無理しているということはありますね。
〇富山調査官 あると思います。その兆候と言っては何なのですが,いわゆる懲罰の件数ですね,規律・規則違反を犯して懲罰になる件数が全体的に増えてきているのですが,特に同囚同士のけんかとか職員に対して向かってくる規則違反とか,あるいは作業が嫌だから独居で一人にしてくれという作業拒否というのですか,そういった懲罰の増え方が非常に目立っています。ということは,まともにそういったことができない者を何とか集団にしようということで無理をしていることの現れなのかもしれません。
〇成田委員 このグラフはどういう意味で書かれたのですか。
〇富山調査官 これは,昼夜独居拘禁者というのがどのぐらいいるのだろうかということで。
〇成田委員 ただそれだけの理由なのでしょう。
〇富山調査官 前回そのことを言われまして,ある意味,処遇困難な者の割合を示す指標にはなるだろう。ただ,今申し上げたようにいろいろな設備上の制約があったり,いろんなことがあって,これがイコールというわけにはなかなかいかないのですけれども,ただある程度の指標にはなるのかなと。どうしても昼夜独居にせざるを得ないものが4%か5%か,そのぐらいは3年前もいたし,今でもいるという状況は示せるのかなということで,作らせていただいたものです。
〇井嶋委員 パーセンテージはともかくとして,絶対数は増えているわけだから。ただ,どうしても今のように一人部屋に二人入れるとかいう現実が起こっているわけでしょうね。
〇滝鼻委員 だけど人口密度が高まれば,いらいらは募りますよね。
〇富山調査官 そのとおりだと思います。特に6人部屋に8人入れたりすれば,やはり生活空間は狭くなりますので。
〇滝鼻委員 本来静かにしている者が,そこで何か粗暴になるとか,あるいは被収容者同士がけんかを始めるとか,そういう原因にはなるかもしれないね。
〇富山調査官 それもあると思います。
〇井嶋委員 もう一つよろしいですか。累進処遇令の先ほど御説明の表がありました。累進処遇令は昭和8年だったかにできたもので非常に古くて,物の本やあるいは矯正の人たちの意見の中にも,もうこれは古いからやめるべきだという意見もあると聞いていますし,私もそういう方向だろうなと思うのですが,先ほど御説明のは,現在の運用をもうやめているものも含めて,この〇や△がついているのですか。それとも,これはあくまで規定上のものが書いてあるだけのこと。
〇富山調査官 あくまでも規定上のものを書いてあります。
〇井嶋委員 運用の実態を,もうちょっと説明してもらえますか。
〇富山調査官 運用で見ますと,ある意味これほどの処遇格差がつかなくなっているというのがむしろ実態だと思います。例えば先ほど運動会のことをちょっと言ったのですが,この累進処遇令の規程からいいますと,運動会というのは基本的には2級で月1回,1級で月2回となっていますが,実際にはそうではなくて,4級者まで含めまして年に1回大運動会みたいなのを開催したりと。ですから,実際には級別による差はないというような形になります。それから集会というので,これは2級で月1回以内,1級で月2回以内,3,4級は△がありまして,所長が認めればできるとなっているのですが,今,運用では3級者についても集会を実施しております。そういったような形で,だんだん差がなくなってきているということがあります。
〇井嶋委員 これはあくまで,規定上のものを分類されたというわけですね。
〇富山調査官 そのとおりです。
〇宮澤(浩)会長 ちょっと細かい質問なのですが,今の集会で,例の殺人とか傷害致死の場合に,被害者の命日に追悼会みたいなことをやる。その月というふうにして何か細かくはあれしないのだけれども,そういう被害者を追悼するような,それは集会の中に入らないのですね。
〇富山調査官 それはあくまで教誨というふうに整理していますので,個別でやれば個別教誨ですし,集団でやれば集団教誨になりますし,いずれにしても集会とは,この行刑累進処遇令での集会とは整理しておりません。
〇宮澤(浩)会長 一応舎房のところにあるみんなが集まるような集団施設,そういうところでやるということなのでしょうかね。それとも映画会というのは,これに入るの。
〇富山調査官 映画会は,ちょっとこれとは別なものでございまして,慰問演芸なんかも。あくまでもここで言う集会というのは,累進級ごとに集めてきて,実際その場で映画を見せたりすることはあるのですけれども,累進級別にお菓子を食べさせていろいろ討論させたり,あるいは映画を見せたり教育テレビを見せたりと,そういったような形でやるものをここで集会と言っていまして,いわゆる慰問の映画とか演芸とか,そういったものはまたこれとは別の扱いになっております。
〇宮澤(浩)会長 要するに,累進処遇令の条文上こうなっているけれども,現実はこうだという,そういうあれなのですよね。
〇富山調査官 そうですね。
〇滝鼻委員 条文というのは,これは監獄法ですか。累進処遇法か。
〇富山調査官 行刑累進処遇令という司法省令でございます。
〇宮澤(浩)会長 正木先生が随分昔自慢しておられた制度ですよね。あれは非難があってね,最初は全く自由をかなりとってしまって,それをちょびりちょびりと餌のようにして出すというのは,いかにも基本的人権を無視するようなものだなんていう,そういうようなこともやはり少しずつ下と言うとおかしいけれども,4級,3級者にも所長さんの裁量でもって認めるようになるなんていうことで,そういう批判に対応しているということなのでしょうね。
〇富山調査官 そうかもしれません。
〇滝鼻委員 1級というのは,ともかく一番まじめ人間なのでしょう。
〇富山調査官 所内でずっとまじめにやってきた者じゃないと,1級になれません。
〇滝鼻委員 それと,次の棒グラフがどうもなかなか理解しにくいのだけれども,出所時の階級ですよね。出所時の階級は2級が一番多いのだと。そうすると,まじめにならないうちに出てくるやつが多いと,簡単に言えばこういうことですか。
〇富山調査官 そうではないのです。これは実は1級者の処遇の中身ということにもかかわってくるのですが,先ほどちょっと申し上げたように,1級者になりますといろんな保安面の制限が一気に無くなるのです。例えば工場へ出るときも身体検査とか一切受けないでいいとか,職員がついて歩かずに施設の中を自由に歩けるとか,そういった特典がつくのですが,なかなか施設の方もそこまで踏み切るのにためらいがありまして,それでも1級にするというのは,やはりよほど所内で行状のよい者なのです。それで,所内で普通にまじめにやっていますと,大体2級になったころに仮釈放が来てしまうのです。普通の運用です。ところが,むしろ1級になっている者というのは,所内では非常にまじめに一生懸命やっているのだけれども,残念なことに引受人が決まらないとか,仮釈放になれないというようなケースがありまして,そうなるとこれだけ一生懸命まじめにやっているのだから,人間的にも全然もう問題がないと思えると。であれば,非常に緩和した1級の処遇をしてやってもいいだろうということで,1級にして処遇をしている者というケースがかなり多いと思います。
〇滝鼻委員 そうすると,出所時4級で出てくるというのは,満期で出る人が多いのですか,これは。
〇富山調査官 ほとんど満期だと思います。
〇井嶋委員 処遇が成功してない事例です。
〇宮澤(浩)会長 暴力団の人なんかはそうですものね。
〇富山調査官 暴力団でも,まじめに頑張っていれば級は上がるのですけれども,なかなか難しいですよね。頑張っている場合は,もちろん3級になったり2級になったりするケースもありますけどね。暴力団だからというだけで級を上げないということは,必ずしもありません。
〇井嶋委員 ちょっと今廃止を考える人もいまして,ルールどおりにはされてないという点もありますから,余り厳密な分類でないのかもしれない。
〇滝鼻委員 出てきて仮出獄した後,定期的に出頭して,自分が社会にどれだけなじんでいるかというのを観察してもらう人がいますよね。
〇富山調査官 保護観察官と,あと保護司です。
〇滝鼻委員 保護司というのは,引受人とは違うのですよね。
〇富山調査官 違います。
〇滝鼻委員 引受人というのは,大体どういう人がなるのですか。親族ですか。
〇富山調査官 やはり家族がもちろん多いのです。そのほか雇主の方とか,あと更生保護施設といいまして,民間の篤志家が,そういうだれも引き受けてくれない人を引き受けてくれるための一種の家を運営しているのです。そこに刑余者を引き受けて,そこで生活をさせながら仕事を探させてと。
〇滝鼻委員 そうすると,1級者なら刑務所から堂々とPRして,これはもう1級者だから,そういう家とか保護司とか,そういう方に推薦するということはしないのですか。
〇富山調査官 それは本人がそういう更生保護施設でいいから帰りたいと言えば調整はさせているのですが,それでも残念ながら調整が整わないうちに終わってしまうというケースなのです。やはり更生保護施設も多分定員の問題がありまして,こちらも無限に受入れができないというようなこともあるかと思います。
〇宮澤(浩)会長 すると,定員の問題もあるし,やっとの思いで近隣の同意をとって,そのかわり近隣からは間違いない者しか入れちゃいけないというようなことで,青森なんか本当は20人ぐらいの定員なのに,実際は5~6人しか入れていないというようなもったいないことがあるのですね,たしか。
〇富山調査官 確かに罪名が強盗殺人とか,そういう重い罪名の受刑者ですと,やはりかなり調整は難航することはあります。
〇宮澤(浩)会長 本当にこの問題というのは深刻な問題が裏にあるのですよね。この棒グラフの。
〇滝鼻委員 累進処遇というのは,見直しの動きがあるのですか。
〇井嶋委員 もうやめたいという,処遇令そのものもやめろという意見もあります。
〇宮澤(浩)会長 実はさっきちょっと説明がありましたけれども,監獄法改正というのが昭和51年だかに始まった。あのころもう既に,累進じゃなくて段階的処遇というのをやろうという非常に強い意見があったのですけれども。ところが,それがどうも区別がうまく頭の中に入ってこなくてね。
〇井嶋委員 だから,これはまだ結局ほとんど具体的に検討されてないですね,この中身は。段階的処遇の。
〇滝鼻委員 段階的処遇と累進処遇とは違うのでしょう。
〇富山調査官 要はイメージとしては,累進処遇のように4級から一律に始めるのではなくて,累進処遇のイメージで言えばいきなり1級になる者もいればいきなり2級になる者もいる。いきなり最初から4級から始まる者もいる。そういうふうにその人に応じてやりましょうという発想ではあったのですね,段階的処遇は。ただ,ではいきなり1級とかいきなり4級って,その差をどんなふうにつけるのかということ自体は,必ずしも詰まっておりませんで。
〇滝鼻委員 現行の累進処遇制度というのは,ともかく最初は全部4級から始まるのですか。
〇富山調査官 そうです。一律なのです。
〇滝鼻委員 どんなにこの人は大丈夫だと思う人でも,危ないなと思う人でも,4級から始まる。
〇富山調査官 4から始まる。
〇成田委員 それが所内規律ではもう決まってしまっている。
〇滝鼻委員 違う場合は。
〇富山調査官 原則としてありません。ごく例外に,市原刑務所という交通刑務所ですね。ここだけは例外的に入所と同時に仮1級と呼んでいまして,所長の裁量で特に仮の1級だということで非常に自由な処遇をやっているのですが,例外はここぐらいだと思います。
〇成田委員 何かいいことを採点するわけ。
〇富山調査官 採点というほど厳密なものと言えるかどうかは何なのですが,要は例えば規則違反を犯して懲罰になれば,当然階級は上に上げません。上げないどころか,場合によっては下げます。そうでなくて,そういったマイナス要因が何もなければ,刑期を参考にして,大体刑期が何年の者ならこのぐらいの間,普通にやっていれば上げましょう。特に目覚ましく一生懸命やっているとなれば,それをちょっと早く上げるとか,若干そういう差はつくのですけれども,基本的には何も間違いを犯さずにいると少しずつ上がっていくというような感じで運用をしているのが実態です。4から3,3から2とですね。
〇成田委員 大体どれぐらいの標準でいくのですか。
〇富山調査官 これも刑期によって違うものですから。ですから,刑の長い者はなかなか上がりません。というのは,余り最初から上げてしまいますと,すぐに一番上まで行ってしまうものですから。
〇井嶋委員 これも,所内の所長以下何か幹部というか,委員会みたいな形式で審議をしてやっているということで,決して独断ではないということでしたね。
〇富山調査官 そうです。分類審査会というものを作っておりまして,そこで毎月審査をしまして,今月の進級対象者,これを上げようかどうしようかというのを審査します。
〇井嶋委員 その4級とか1級は,その部分は今でもちゃんと運用しているわけだ。
〇富山調査官 それはそうです。必ず級の格付けをして。
〇井嶋委員 廃止してない限りは,やはりやらざるを得ないよな。
〇富山調査官 もちろんそうです。
〇滝鼻委員 この中身のいろんな項目があるでしょう。今の累進処遇の集会とか。この項目は,戦前から現在に至るまで変わってないのですか。
〇富山調査官 基本的には変わってないと思います。
〇滝鼻委員 しかし時代が変わって生活も変わって,さっき英国の例を見ると,衣服なんかは自分の洋服が着れたり,そういうようなこともあるでしょう。戦前は余り衣服なんか裕福じゃないから同じ洋服着せてりゃいいということになるのかもしれないけれども,例えば給養,それから花瓶,書画,何か書いてある言葉が古い言葉で,それから人間の行動パターンそのものも今の時代に合うのかなという感じがしないでもないよね。
〇井嶋委員 そういうことも含め,これはもうだめだという意見が多いのですね。
〇成田委員 これを見るのにページ数を振ってくれないとだめだな。
〇富山調査官 申し訳ありません。次回以降は必ずページを振るようにいたしますので。
〇滝鼻委員 例えば,これは別の分科会で検討しているのだろうけれども,先ほど説明されたシステムを見ると,さっき僕が言ったように自分の服を着れるか着れないかとか,それからテレビが見れるか見れないかとか,これは賃金でもないのだろうけれども,より高い支払いの作業を希望する資格,要するに作業によって報奨金が多分違うのでしょうね。
〇富山調査官 だと思います。
〇滝鼻委員 それから,面会場所がいいところと,堅苦しいところとあるわけでしょう。
〇富山調査官 そうだと思います。
〇滝鼻委員 そういうような,今の生活パターンに合うような1級から4級までの緩和ですよね,だんだん緩和していくというものは,この省令の条文があるから変えられないわけですか。
〇富山調査官 いや,省令自体はその気になれば,法務省の省令ですからもちろん私どもで変えられるのですが,ただ,なかなかどこをどうしようかという話が難しい面がありまして,監獄法改正の話が出てからは,要は法改正と同時にやろうということでいったところが,この20年間全然法改正が動かなかったというようなこともございまして。
〇井嶋委員 監獄法を根拠として作っている省令ですから,監獄法が変わらなければ省令だけ先に変えてしまうというわけにいかないというような,非常に堅い考え方なわけです。
〇成田委員 今日的にしなくてはいけないでしょう。
〇井嶋委員 ですから,そのインセンティブシステムをとることはいいと思うのだけれども,滝鼻委員がおっしゃるように今日的な要素を取り入れてやらないと,こんなかびが生えたようなメルクマールではおかしいというのが,大半の人の考え方だと思うのですね。
〇富山調査官 それはおっしゃるとおりだと思います。
〇宮澤(浩)会長 滝鼻委員の感じとしては,そういうのはやはりちょっと古過ぎるのではないか。もう少し日常普通の人の感覚でいったら,こういうようなものよりもイギリス的な方へと変えた方がいいのではないかというのが。
〇滝鼻委員 イギリスがいいかどうかは知らないけれども,今,日本の普通の生活の中で,例えば今の若い人が花瓶とか書画だけじゃなくて,もっとほかに何か飾るものはあるわけでしょう。
〇井嶋委員 それこそCDだとかDVDだとかということになるわけですよね。
〇滝鼻委員 CDカセットとかね。
〇井嶋委員 そういうことになってくるわけですよ。
〇滝鼻委員 CDカセットなんていうのはともかく,ここに省令に花瓶と書画しかないからだめだと,こうなるわけでしょう。
〇富山調査官 今現時点ではですね。
〇滝鼻委員 それは,かなり堅苦しくなるというか,あれじゃないのかな,それこそ改善更生にこんな限られた行為しか許されないということになると,ブレーキにならないかしらと思う。それを監獄法から改正しなければだめなのだということになると,それはまた10年かかったりするわけでしょう。
〇成田委員 本当古いよな。だから,やはり今日的に,今価値観が非常に変わってきているでしょう。だから今日もあるところで話をしたのだけれども,今,善悪が分からない者もたくさんいるし,それとやはり欲でインセンティブをやることによって努力する人もいるし,やれば認めてくれる,早く出れる,社会復帰なら社会復帰したいのでしょう,全部。してもらっても困る人もいるけれども。だから,そういうこと何かやはりやることが必要なのではないですかね。
〇滝鼻委員 この間,府中に行ったとき,テレビが入っていましたね,小さいテレビ。
〇富山調査官 これは本人のものという意味ではなくて,施設の設備としてテレビが入っています。
〇滝鼻委員 ここの内容というところのどこに入るのですか。
〇富山調査官 これは累進処遇とは関係なく,累進処遇というのはあくまで級別に差をつける場合にここに書いてあるものですから,テレビというのは今級別の差というわけではなくて入れてあります。4級者であっても3級であっても雑居房には全部入っています。
〇滝鼻委員 1級でも。
〇富山調査官 もちろん1級でも。雑居房にはすべて入れていまして,独居にまでは入れるだけのテレビの台数がありませんので,府中はもしかしたら夜間独居には全部入っているかもしれませんが,予算の問題がありますので。
〇滝鼻委員 施設のものですか。国のものなの。
〇富山調査官 全部国のものです。教育用機材ということで入れているのです。
〇成田委員 でも,全部番組が見られるわけではないのでしょう。
〇富山調査官 これも施設によるのですが,いつでも見ていいといっても当然見ていい時間帯というのがありまして,例えば平日だったら6時から9時までとか時間を区切っていまして,その時間だけ見ていいですよと。
〇井嶋委員 チャンネル権はたしか保安の方で持っているのではなかったっけ。
〇富山調査官 これは施設ごとに違いまして,自由に見てもいいよという施設もあれば,この番組は見てはだめだというように指定をする施設もございます。
〇井嶋委員 何か過剰拘禁の一つの緩和策として導入したというようなことを現場の人は言っていましたね。
〇富山調査官 今では,特に府中なんかは中国人向けの中国語のテレビ放送とか,あと英語のテレビ放送なんかもビデオを使ってやっておりますので,それはもう累進級とは全く別個に実施しております。その意味でも,級別の差というものではない形でのいろいろな設備とかそういったものも入ってしまっていまして。
〇滝鼻委員 新聞なんか講読していましたよね。
〇富山調査官 新聞は,施設の新聞を回覧しております。受刑者の場合は,今は自分では新聞を買えないことになっておりまして。
〇滝鼻委員 いやいや。だってあれ,ここは読売新聞とかここはデイリー読売とか人民日報とか,書いてあったですよ。
〇富山調査官 それは,中国語の新聞を配る者,英語の新聞を配る者,日本語の新聞を配る者という意味で差がついているのです。中国人は日本語の新聞をもらっても読めないと意味がありませんので。
〇滝鼻委員 それだけの分類なのですか。
〇富山調査官 そうなのです。読売というのは,たまたまアンケートか何かをとって,今は読売になったのだと思います。
〇滝鼻委員 じゃ,講読代金というのは国が払っているのですか。
〇富山調査官 国費です。
〇滝鼻委員 個人が払っているのじゃないの。
〇富山調査官 違います。全部国費でやっています。
〇成田委員 スポーツもあったよね。
〇富山調査官 スポーツ紙は差入れで受け付けておりまして,これはですから家族がお金を差し入れたりして,それで買っています。
〇宮澤(浩)会長 週刊誌はどうだっけ。
〇富山調査官 週刊誌は違います。自分のお金で買います。ですから,国が提供しているものとしては,ラジオ放送は国のお金でやっていますし,テレビも国のものです。それから新聞も,いわゆる通常の新聞ですね,これは国のお金でやっております。
〇成田委員 それは,読売を含めて,朝日,毎日……。
〇富山調査官 いろんな新聞をというわけにいきませんので,受刑者にアンケートをとるなどしまして,どの新聞というのを選定しております。
〇滝鼻委員 何か犯罪者は,読売新聞のファンが多いらしいよ。この間府中へ行ったときは,全部読売新聞ですよ。アンケートで決めるというので今はっきり分かったのだけれども,俺はどうしても朝日見たいんだといっても,アンケートで決まると読売新聞になってしまう。
〇成田委員 今関東で一番出ているから。名古屋じゃ中日と言うかもしれない。
〇滝鼻委員 犯罪者の中には知的労働者もいるわけでしょうから,そういうのは朝日と言うかもしれないね。日経とかさ。おれは汚職で贈賄やったのだから日経が読みたいのだと言うかもしれない。
〇宮澤(浩)会長 前みたいにチェックしなくなったんじゃない。対立抗争の事件の場合はチェックするのかと聞いたことがある。
〇富山調査官 被収容者が読むものは全部チェックはしますけれども,今消すものというのは恐らく多分暴力団の抗争事件とか,あとは刑務所の脱獄の記事なんかで,その逃げる手段,方法を詳しく書いてあるものとか,そういったものは多分消すと思います。
〇成田委員 私は,テレビなんかでニュースは消すのではないかと思ったのですが。
〇富山調査官 今は多分,特に受刑者の場合は暴力団の抗争みたいなものは別なのですけれども,それ以外は最近では消してないと思います。
〇宮澤(浩)会長 カラーじゃないけど,ほとんど白黒ではありますよね。
〇富山調査官 いや,最近はそうでもないと思います。
〇成田委員 白黒なんかもうないでしょう。
〇富山調査官 もし買いますと,白黒テレビの方がかえって高いのです。
〇宮澤会長 大分寄附で入れたというのは前から聞いているのですけれども,このごろはそういう予算でしているのですかね。
〇成田委員 累進処遇というのとその運用だけども,内容がちょっと今日的じゃないような気がするな。
〇井嶋委員 この累進処遇令はそうだと思うのですね。
〇成田委員 犯罪者も刑務所に入ってくる人も若い人たちがいるし,何かこれは考えてやった方がいいね。
〇井嶋委員 今の若い人,若い人に限らないけど,犯罪者に,我々が考えていることが本当にインセンティブになっているかどうかということ自体をまず考え直さないといけないわけです。幾らこれはいいことだと思っていても,向こうは全然あっけらかんとしているというものがあるわけですからね。それはやはり,正に今日的な生活を基準にしてインセンティブを考えていかないといけないので,これはもう明らかに修正していくべきものだと言っていいわけでしょう。
〇成田委員 あなたたち考えたってそうでしょう。
〇富山調査官 要は,正に国民生活の標準みたいなものですね。ただ,我々が一番恐れるのは,一般社会で汗水垂らしている人が,刑務所の中で何だ,犯罪犯したやつがCDラジカセでロックの音楽聞いて踊り踊っているのか,冗談じゃないというような御批判というのはあり得るところでして,その辺との調和をどうするのかということは,やはり常に念頭に置いているところなのですけれども。その辺で,ただそうはいっても余りにもこれが古過ぎるということも,またおっしゃるとおりだと思いますので。
〇井嶋委員 古過ぎるというか,現在の生活にマッチしてないということですね。
〇宮澤(浩)会長 恐らく成田委員とか滝鼻委員がお入りになっている意味というのは,刑務所だというようなことを,どの程度世論として称するものが監視の目を光らせるかどうかの問題にもなるのだろうと思いますけれども。
〇井嶋委員 でも,とにかく基本的に自由を拘束されているという基本的な制限を受けているわけですから,それをまず割り引かなければいけないので,その上での話だからね。
〇宮澤(浩)会長 それに問題がありますのは,要するに自由刑って何だという本質論に来なければならないですよね。そこで剥奪されている自由というのは,場所の移動の自由だけてあって,それに伴う若干のプラスアルファはあるかもしれないけれども,自由刑をもう少し純化すべきだという議論が前からあるのですよ。51年のころから。
〇滝鼻委員 実はその辺を,僕は専門じゃないから宮澤氏に聞くのだけれども,自由刑はともかく社会から隔離して拘禁するということが一つの要素です。もう一つは,懲役の役というのは,要するに役務を科す,何か働かせる,作業させるということでしょう。これがセットになって,懲役刑というのがあるわけでしょう。ほかの刑罰を別にすれば,あるわけですよね。そうすると,それが自由刑の基本形ですよね。その中で,こういう等級をつけるということとか,それから懲罰を。懲罰をするというのは,要するに刑の中でまた刑を科すようなものですよ。それは,あっていいと思うのだけれども,その辺の法律的な整理というのはできているのですか。例えば法の下の平等と言う人はいるかどうか知らないけれども,同じ自由刑を,今裁判所の確定された判決によって今それを服役しているのだと。しかし,人によっては自由に行動できる人も,あるいは懲罰房に入れられている人もいる。これは法の下の平等に反するのではないかというような主張をする人はいないですか。
〇宮澤(浩)会長 懲罰に関しては,ないですね。なぜかというと,それは別の意味での尺度ですから。要するに社会規範に反して自由,懲役とか禁こになった者が,今度は施設の中の規律とかそういう施設内の法律に反するということですから,本来から言えば施設が裁判所に訴えて,裁判所が新しい刑を言い渡すというのがもしかすると筋かもしれないけれども,そんなことやっていたら……。
〇滝鼻委員 大変手間が掛かるから。そうすると,これはこれから議論になるのだけれども,懲罰の手続というのは,それなりのデュープロセスがあるわけですか。
〇宮澤(浩)会長 そこが問題はあるのでしょうね。
〇富山調査官 現在は法律にはほとんど何も書いておりませんで,訓令と通達でその手続を定めております。もちろん刑事罰と違いまして,検察官と弁護士がいてという対審構造にはなっておりませんけれども,本人に対してはまずどういう違反をしたら取調べになるのだということを告げまして,もちろん本人の言い分も調書に取ります。それから関連する受刑者の調書も取りますし,複数の職員の報告書も集める。そういった形で証拠を集めて,懲罰審査会というのを開きまして,そこに本人も呼んできます。
〇滝鼻委員 少なくとも不利益処分ですよね。
〇富山調査官 もちろん不利益処分です。
〇滝鼻委員 したがって,その聴聞と告知という原則は守られているわけですか。
〇富山調査官 そうですね。どんな形であなたはこれから処分を受けようとしているのかということは,最初の段階で告知をします。それから,その処分をする審査をする場に本人を呼んできて,弁解を言わせます。もちろん,こういうことであなたは今裁かれようとしていますというのを告げた上で,本人の弁解を言わせます。その審査会の中に1名,いわば弁護士役というのでしょうか,摘発する組織には所属していない別の部門にいる職員が一人弁護士役になりまして,本人の言い分を代弁するという,そういう役割の者も付けております。そういった形の審査をした上で,最終的に所長が判断をするという仕組みになっております。
〇滝鼻委員 それは当たり前の話だけれども,1回で終わるのでしょう。
〇富山調査官 基本的には1回です。場合によって所長が命じれば,再審査ということはもちろんあります。実務上もありますけれども,それはこの辺が十分に煮詰まっていないということで,更にここを調査しなさいということで所長から指示が出れば,再審査ということもあり得ます。
〇滝鼻委員 不服の申立てはできるのですか。
〇富山調査官 これは懲罰制度の中には何もありませんが,もちろん裁判を起こすこともできますし,情願といった部内の不服申立て制度を踏ませることはできます。
〇滝鼻委員 情願というのは,懲罰に対する不服の申立てなのですか。
〇富山調査官 それだけではありません。何でもできるのです。
〇滝鼻委員 処遇全般に。
〇富山調査官 すべてできます。ですから,懲罰だけについての不服の申立制度というのはありません。
〇宮澤会長 ただ,外部には全然分からないですね,それは。
〇富山調査官 本人が言わなければ,もちろん分かりません。
〇成田委員 内部の秩序規律違反だから,そういうルールに乗っかって,こういう懲罰をするということなのでしょう。
〇富山調査官 そうですね。
〇滝鼻委員 それは,府中であろうと網走であろうと熊本であろうと,みんな同じスタンダードでやっているのですか。
〇富山調査官 今言った手続は全く同じです。
〇滝鼻委員 所長が替わると,何か厳しさが変わるとか,そんなことはない。
〇富山調査官 手続自体は,訓令,通達で決まっていますので,それは変えようがないのですが。その部分はですね,手続は変えようがありません。
〇成田委員 やはり罪刑法定主義ではないけれども,何か一つのルールがあるでしょうね。
〇富山調査官 懲罰の重い軽いにつきましては,例えば一番重い懲罰として軽へい禁という,要するに独居房にずっと入れて謹慎させるという懲罰があるのですが,これが最高が2か月なのです。ということは,刑罰と比べまして1日から2か月,要するに60段階しかない。簡単に言いまして,それしか差がつかないわけですから,重いといっても最高2か月,軽いといっても1日というのは実務上そんな短いのはしませんけれども,強いて言えば軽へい禁も1日から2か月までの幅しかない。ですから,最も重いものでもその程度しかできないということで,余り強烈なものではないのです。それも,特に昼夜独居拘禁にもともとなっている者からしますと,ふだんと余り変わらないのですね。結局は独居で一人いる。ただ仕事がない。日ごろは作業が少しはあったのが,それがなくなって手持ちぶさたになるという程度のことでして,その意味では余り強烈なものでは必ずしもないのですけれども。
〇宮澤(浩)会長 さっきの累進級が下がるということは,もちろんあるのでしょう。
〇富山調査官 あり得ます。懲罰を受ければ累進級が1段階下がるということはあります。
〇成田委員 だから,例えば累進級がよくて,よくやれば早く出れるだとか,そこまでいくなり何なりするなり,何かインセンティブがね。要するに思想として,君たちを刑務所に入れるのは,おまえたちを更生させるのだ。矯正するのだということを構えているわけでしょう。ですから,何かいいことをすればあれだと。それと,本当全部出たいのですか。出たいのだろうな,それは。
〇富山調査官 大半はそうです。ごくまれに,刑務所に入りたくて犯罪を犯すなんていう人がおりますけれども。
〇成田委員 暴力犯で何かやって,2~3年入って出たけれども,もう食えない。また適当なあれしてあれするという累犯者もいるのでしょう,今。
〇富山調査官 中にはおります。
〇成田委員 この間あそこで飯食ったけれども,ただで食えるのだものね。500円……。
〇宮澤(浩)会長 アジア系の外国人はとてもうまいとか言って。
〇滝鼻委員 この表についてちょっと伺いますが,暴力団関係者等の推移というさっきの御説明では,この暴力団関係者というのは余り変化ないと,横ばいだと。若干増えているかもしれないけれども,まあ横ばいだと。それに対して,この緑の精神障害のある人,それからF級という外国人は,数字見たって倍近くまでいってしまっているわけですよね。この暴力団は,やはりこんなものですか。
〇富山調査官 これはいわば現役の暴力団員なのですが,現在も暴力団に所属している者という形で取っている統計なのですが,大体やはりこの程度の数になります。2割程度ですか。このほかに,かつて暴力団にいたというような者を加えますと,倍ぐらいに跳ね上がります。
〇宮澤(浩)会長 僕らが学生を教えている,今から10数年ぐらい前のときは,これを説明するのがとても楽だったです。A級とB級で,B級にはこれだけいて,B級の施設にはその施設の収容されている者の4分の1から半分ぐらいまでいるようなところがあるとか何とかって言えたのですけれども,このごろそういうのがだんだん特徴的じゃなくなってきちゃったね。
〇滝鼻委員 それと,何となく悪そうな3種類ですね,暴力団,精神……要するに処遇困難と思われる人たちね。暴力団と精神とそれから外国人と。これがやはり,処遇困難者の中に占める割合は高いのですね。
〇富山調査官 高いとは思います。あと,なかなかこの類型で拾い切れない性格異常というような言い方になるのでしょうか。
〇滝鼻委員 それは精神障害に入ってないわけ。
〇富山調査官 入っていません。精神障害ではないのだけれどもという処遇類型の者が,類型というか,なかなか類型分けが難しいのですけれども,結局自分だけは正当だということで,人の欠点はどんな小さなことでもあげつらうという形の生活態度をとる者がおりまして,これはやはり集団に出しますと周りとすぐトラブルを起こしてしまう。職員との間でも,ささいなことで職員のミスをこれはいかん,おかしいじゃないかと。それにこだわり続けてしまうというのですか,確かに職員のささいな事務的なミスなんかが現にあるわけなのですけれども,それは悪かった,申し訳ないと言ってもそこで譲らない。もうそんなのはちゃんと賠償してくれなければ私は後に引かないとか,そこはそんなささいなことで賠償までできないよというような応対をすると,もう完全にへそを曲げてしまうというようなタイプの者がやはり結構おりまして,これはなかなか分類しづらいのですけれども。
〇成田委員 「切れる」だとか今言うじゃないですか。そういう人たち,何かどこか欠陥があるというか,僕は昨日どこかの番組見たな。何かそういう人たち,いますよね。だから精神障害,大体家庭内暴力だとか,そういう人たちはちょっとおかしいでしょう。大きな精神障害なのだろうけれども。何かそういう人たちが増えているような気がするのですよね。だから,こんなあれは何か,僕は前から言っているのだけれども,類別をするというか,そうしないと酒鬼薔薇君が出てくるわけでしょう。
〇富山調査官 まあ,少年の方の話ですけれども。
〇成田委員 あんなの怖いものね。
〇井嶋委員 そこで結局のところ会長,この処遇困難者の定義というか,その辺から議論は始まってくるのですかね。この今日の議事次第の紙の説明が一応終わったわけで,処遇困難者の定義と。これは当局はどういう定義にするのですか。このその下の(3)のところに書いてある4類型を定義としているわけですか。
〇富山調査官 いえ,それはそういう者の中に処遇困難者が多く含まれるかなということで挙げさせていただいておりまして,例えば暴力団関係者が全員が処遇困難者なのかといえば,そういうわけではない。あと他の類型もみんな同じでございまして。
〇井嶋委員 外国人も,全部がそうだと言えない。真ん中の二つは,恐らく処遇困難につながると思う。
〇富山調査官 かなり大変な者が割合的には多いかとは思いますけれども。
〇井嶋委員 だから定義をどうするかということからまず始まる。これは今おっしゃったけれども,一つのグループとして何か把握して,それに対する対処方針を考えるというのが今回一つ大きな問題なのかなというふうに,前回からも思っていますし,皆さんもそう思っておられるわけだから,まずその定義づけみたいなものを。余り定義付けしてはいけないと菊田さんは言うのだけれども。
〇宮澤(浩)会長 犯罪白書や,それから例の法曹時報の矯正の現状なんかでも,随分というのは10数年前でしょうけれども,処遇困難者というのが説明の中にありまして,あの中にたしか高齢受刑者というのが入っていたでしょう。
〇富山調査官 処遇に手数が掛かるという意味でですね。
〇宮澤(浩)会長 そういう意味なのでしょうね。だから困難者の困難という意味がいろいろあるのですよ。その定義がまたあるのです。
〇井嶋委員 そういう意味では,今問題になっている処遇困難者というのを,まず定義付けなければいけないですな。
〇宮澤(浩)会長 これはだから,刑務所が手を焼いているという意味の。
〇井嶋委員 そういうことでしょうね。
〇宮澤(浩)会長 高齢者の場合は,保護とのかかわりが出てくるのではないかなという気がするのです。
〇井嶋委員 私はこの定義付けというのは,分類学上,結局はその定義付けすることに意味があるのではなくて,定義付けしたグループをどう処遇するかというところへつなぐ意味での定義付けをしなければならないのではないかと思うのですね。
〇宮澤(浩)会長 あれはどうなのでしょう,常習的に幼児に対する性的な行為をするというのは,どこへ入るのですかね。
〇富山調査官 どこといいますと,今のこのグラフの中ですか。
〇宮澤(浩)会長 処遇困難者の意味は,この四つの中には入らない。
〇富山調査官 どうでしょう,この性格異常とかあるいは精神に,薬物ではないですが,精神に障害を来している者に入るケースがあるとは思います。これは実務家としての感覚だけでしか申し上げられませんけれども,幼児に対する猥褻行為等を行う者というのは,やはりどこか変です。同じ性犯罪でも,強姦なんかする若い者も結構入ってきますけれども,成人女性に対する強姦をするような受刑者というのは,ある意味まともなのです。まともと言っては,やっている犯罪は非常に凶悪な犯罪なのですけれども,物の考え方とかを見ていますと女性観みたいなものは曲がっていたりするのですけれども,それ以外の部分では結構まともなのです。ただ幼児などを相手にするような性犯罪者というのは,接していて,やはり普通じゃないという印象を受けるのです。
〇宮澤(浩)会長 「法と精神医療」という本当に小さな学会グループがあるのですけれども,正に矯正の現場でそういう人を預かっている人の話で,この間,今と同じような説明がありましたね。本当におかしいと言うのです。
〇成田委員 この間,刑務所でちょっと見ただけだけれども,やはり目を見たらちょっと違うものね。
〇宮澤(浩)会長 しかも,日本は,そういう者に対する刑は短いのです。だものだから,どうしても刑期が決まってしまうと出さざるを得ない。だけど,これを出したら必ずまたやるというような,そういう難しさというのが,変な意味での処遇困難者なのではないかな。
〇富山調査官 要は出すときに恐ろしいのですね,正に。釈放するときにですね。
〇成田委員 昔は,例えば江戸時代からこういうものはあったわけでしょう,罪と罰だと。遠島だとか何だとか。あの場合は非常に単純に分けられたと思うのだけれども,今の場合ちょっと異常な人が多いよね。だから,それに対する処遇なり何か考え方を変えていかないと,性悪,性善というような立場でなくて,現実問題として異常な人たちが多いですよ。
〇宮澤(浩)会長 アメリカでは例のミーガン法というのがありましたでしょう。ミーガンという女の子が性的に殺された。あれをきっかけにして,シカゴだっか何か,そういう州で作って,それが連邦法になった。ところがほぼ同じころに,ドイツとオーストリアとスイスで同じような問題が起こりまして,それまでそれぞれの国は割合に自由を許して矯正をすごくいわゆる人道的にしたのだけれども,世論がものすごく反発して,その結果,刑事政策がそういう危険な性犯罪者という新しい類型を作りまして,これには社会へ直ちに出さないで,保安監置といいまして,刑期が終わっても危険な者を即座に別の施設へ送り込むという制度が,ドイツにもそれからオーストリアにもスイスにもあるのです。そういうふうに,今の時代に対応するには立法者というのはいろんな苦労をするのですよ。ところが日本は残念ながら,そういう刑期というものと責任というものをいやにリジッドに考えすぎて,犯罪者から社会を守るという視野というか観点が本当に遅れているのですよ。
〇成田委員 だから,私は,それが今度の一つの目的でもあると思うのです。どのような形に持っていったらいいのか。そうしないと,私は心配しているのは,やはり酒鬼薔薇のような者がいるんだもの。この間の長崎の事件にしてもそうだし……。
〇宮澤(浩)会長 今度のもおかしいですよね。26歳とかいいながら。
〇成田委員 ちょっとね,異常だよね。
〇宮澤(浩)会長 刑事政策の意味とか刑務所の存在意義だとかというものが,やはり社会防衛という視点をもう少し考えなければいけないのではないかなということなのですよね。
〇成田委員 そうですよ。それはおっしゃるとおり。私も本来的には方法があると思うのですよね。
〇宮澤(浩)会長 だけど,それがおもしろいのですよ。その3国の議論を見ていると,社会防衛の必要上,そういう犯人は特に考慮すべきであるが,これまでの矯正の進歩は後戻りをする意味ではないのだと,そういう釘を必ず差して議論するのです。ところが残念ながら我が国には刑罰しかないものですから,制度としてその安全弁がないのですね。
〇成田委員 それは,我々の社会の安全確保のために離すということが必要なのではないかと思うのですね。
〇宮澤(浩)会長 そういう人は弱い人をねらうでしょう,幼児とか,抵抗力の弱い人。
〇成田委員 我々の監視の及ばないところでやってしまうわけですから。よく事件が起こったときに,いや,精神病院に通っていたよという人たちが割と多いでしょう。
〇宮澤(浩)会長 そういうのもいるけど,残念ながら幼児姦は精神病の対象ではないのですよね。この間の議論もそうなのですけれども。
〇滝鼻委員 この間,前回の全体会議の中で,法務省の説明で,こういう処遇困難者だけを集めた集中刑務所というか,センターをつくる構想がどこかの国であるとかいう話をちょっとされていたでしょう。
〇富山調査官 外国なんかですと,いわゆる重警備の刑務所みたいなものが既にありますので,処遇困難者というのは,そういう厄介な者がある意味,集禁されている施設があると思うのです。
〇滝鼻委員 日本はそれはないのですよね。府中が東日本では大体そのセンターになっているのですか。
〇富山調査官 いや,必ずしもそうではありません。府中に限らず,いわゆる各高等裁判所所在地にある施設を基幹施設と呼んでいまして,例えば東京ですと府中刑務所,東北地方ですと宮城刑務所,北海道は札幌刑務所といったような形でありまして,大体そういう施設では比較的その管内にいる者の中で厄介な者を集めてきている傾向はあります。ただ,必ずしもそこの施設が全部そういう者ばかりを扱うのではなくて,比較的そういう厄介な者はなるべくそこでやりましょうという形では引き受けています。
〇滝鼻委員 それから,この行刑改革会議自体が例の名古屋事件をきっかけにできたわけですけれども,名古屋事件はまだ公判中だから検察が言っていることがすべて正しいかどうか僕にはよく分かりませんが,仮に検察の主張している起訴事実がそのとおりだとすれば,あの事件の被害者,被収容者ですよね,というのは全部処遇困難者だったのでしょうか。
〇富山調査官 類型分けは微妙とは思いますが,12月の事案で亡くなった受刑者というのは,それこそ部屋の中で汚物を投げたりするような受刑者だったということですし,5月に亡くなった受刑者というのは,正に刑務所に入ってきたそのときに,職員が身体検査のために口をあけなさいと言ったことが発端で暴れ出したというようなことがありますので,やはりかなり問題がある受刑者だったのかもしれません。9月の被害に遭った方はまだ現に御存命の方ですので,余り個人的なことをここで申し上げるのはいかがかと思うのですけれども。
〇井嶋委員 あれは,何か革手錠をやられた事件でしたっけ。
〇富山調査官 革手錠で大けがを負った事件ですね。
〇成田委員 しかし,ああいう反抗する人だとか,そういう人はいるでしょう。本当に僕は大変だと思うよな。実際どこまでやっていいのかね。
〇滝鼻委員 名古屋刑務所というのは,名古屋高裁管内における基幹施設だったのですね。
〇富山調査官 はい。
〇滝鼻委員 したがって,ある程度ベテラン刑務官というのは配置されていたはずだったのですよね。
〇富山調査官 そうです。当然職員もそれなりの職員がいっぱいいたはずです。
〇成田委員 名古屋というのは,大体が入ってくる人も質が悪いのだと,そういうようなことを。そうでもないのですか。問題があると。
〇富山調査官 今回の事件を契機に分析したところですと,名古屋の場合いろんな,ちょっと他の基幹施設と比べて負因がありまして,他の基幹施設と比べると職員の数が少な目だったとか,あと独居房の数が少なかったとか,施設として負因が現にあったのですね。そういった過程の中で,東京管内から送られてくる身柄が必ずしも質のいい身柄でもなかった。東京管内というのが,一番確定者が多くて,関東地方で確定した受刑者というのは,関東地方の刑務所ではとても収容し切れないのです。そのために札幌,北海道に送ったり東北に送ったり名古屋に送ったりと,結構分散して各地に送っているのですが,今回名古屋の職員の実感としては,関東から来る受刑者にはろくなのがいなかったという感想を漏らす職員も結構おりまして。
〇井嶋委員 滝鼻さんとか私は府中と名古屋へ行きました。そのときもらった資料をもう一回今日見直してきたのですが,中身をもう一回よく見ますと,こういう表がついていますからね,名古屋も府中もB級施設ですよね。B級というのは,犯罪者の進んだ,そしてかついわゆる医療重点施設です。ですから,八王子刑務所へ入る前,入れない人達で,しかしおかしい。名古屋も,MとP,フィジカルとメンタルにおかしいというグループの重点医療施設になっているわけです。それで,その統計を見ますと,府中では覚せい剤の罪名で入っている日本人の受刑者34.4%。それから名古屋では,それが31.6だったかな,やはり3割なのですね。ところが全国平均の統計というのを見ると,今男は25%,4分の1が覚せい剤受刑者なのです。女の方は,新入も含めてさっきの説明がありましたけれども50%が覚せい剤受刑者なのです。そういうことで,B級施設の二つの名古屋と府中を見ましても分かるように,平均よりも多くの覚せい剤受刑者を入れている。覚せい剤受刑者というのは再犯性が非常に高い人達が多いから,結局B級であり,B級の中でも非常にたちの悪い者が多いということが言えるわけでしょう。それから今度はMとPについて言えば,府中で,驚いたことには日本人受刑者の中で,全受刑者の中で精神障害,身体障害の部分というのは5割を超えているのですね。54~55%。もちろんダブっているのでしょう。
〇滝鼻委員 不眠症も入れてあるとか言っていましたよ。
〇井嶋委員 かもしれませんが,要するに問題となるのは。名古屋の方は,名古屋は府中と統計のとり方が違っていますけれども,日本人の受刑者1,500人中の353人,23.6%が精神障害。それから1,500人中の身体障害疾患者が778人で,51.8%という順になっているのですね。ということは,名古屋と府中だけに限って見ても,そういう重点施設に入っている中身の実態を見ると,非常に多くの覚せい剤受刑者を抱えている。それらの者の中に,もちろんダブっているのですけれども,M級とP級に分類されるべき者がやはり半数ないし半数以上入っているということなのです。そうすると,結局これがほかのそういう重点施設が全部そういう傾向なのだとすれば,やはり今日的な問題,処遇困難の問題を起こしている中核というのは何かというと,覚せい剤受刑者と精神あるいは身体,M級,P級,あるいは医療刑務所へ入る前の準M級,準P級と言ってもいいのかもしれないけれども,そういう人たちではないのだろうかということが言えるのではないかと思うのですね。
 そうすると,処遇困難者というのをどういうふうに定義するかということになるのですけれども,やはりこのペーパーにあるように,暴力団という分け方よりも,むしろ覚せい剤を中心とした薬物中毒受刑者,それからあるいはそれに起因する,あるいは本来的なものに起因する精神的,身体的障害者,それからそういう医学的なものには入らないけれども人格欠陥者。先ほど会長が言われたような極めて切れやすい人達とか,そういう現代的な人格異常者。こういった者と,中に一部言葉が通じないという意味において苦労する外国人という者が含まれるかもしれませんが,これは数はそんなに多くないとしたら,結局中核は僕は覚せい剤とM級,P級,準M級,準P級の受刑者じゃないのだろうかという感じがするのですが,どんなものでしょうかね。
 だとすれば,僕はその処遇をどうするか,その分類をどうするかということをこの際考えるべきではないのだろうかというふうに思うのですよ。極端な話,女子の受刑者が半分あるいは半分以上覚せい剤であるとすれば,覚せい剤受刑者であることが分かっているなら,覚せい剤の受刑者を矯正する教育方法というものを,50%いるのなら50%の力をかけてやはりやるべきなので,そうするとそういう分類,そういう収容分類,そういう処遇分類をきちっとつくってやるべきではないか。
〇成田委員 覚せい剤なんかあれでしょう,早く手当てすればそういう一つの……。
〇井嶋委員 矯正しやすい。
〇成田委員 矯正すれば。
〇井嶋委員 ただ,今までは犯罪別に分類するということはしてないのですね。ですから,そこに一つの融通性のない部分があるのですが,こういう非常事態なので,異常事態であるのだから,そういう覚せい剤,女子の場合50%,男の場合は25%,4人に一人いるという現実に着目すれば,処遇の4分の1の力,女子の場合,半分の力をやはり覚せい剤受刑者に向けた処遇というものをきちっと策定してやるべきではないか。それは,今の処遇方針,刑務作業を中心に据えてやる処遇の方式とマッチしないから,抗命者が出るし,怠業者が出るということになるのではないのか。やはりマッチした処遇方法なり収容要分類をきちっとこの際作るべきだというのが僕の意見なのです。府中と八王子と同じ傾向が全部の刑務所にあるのかどうか分かりませんけれども,少なくとも統計で見れば受刑者の半分以上が覚せい剤と窃盗ですから,女子の場合それは著しくて,覚せい剤が5割ですから。そういう現実に着目した処遇というものを考えないと,何か余り旧来的な処遇にとらわれてばかりいたのでは対応し切れないのではないかというような気がしております。
〇宮澤(浩)会長 今の御指摘に関連して質問したいのですけれども,女子の場合は施設が六つしかありませんよね。
〇富山調査官 数が少ないですね。そうです,六つでしょうか。
〇宮澤(浩)会長 ですから,男みたいに施設を変えるということができないので。
〇井嶋委員 集禁ですね。覚せい剤刑務所。
〇宮澤(浩)会長 だけど,今度はそうすると家族から離れてしまうような。
〇井嶋委員 そういうことは仕方ないという前提でやらなければしようがないですね。できたらたくさん作ればいいのだけれども。
〇滝鼻委員 今,井嶋さんがおっしゃったM級は確かにそう,P級というのはそれほどでもないんじゃない。
〇井嶋委員 P級は数が多いのですよ。
〇滝鼻委員 数じゃなくて,処遇困難者というのは圧倒的にPとMだけ比較したらMが多いのではないですか。
〇井嶋委員 かもしれませんね。分かりませんが,その点どうですか。
〇滝鼻委員 フィジカルの人はだって……。
〇富山調査官 要は体の具合が悪いだけですから,心がまともであれば,移動に時間がかかるとかそういう方ですから,身体的な介護に手間がかかるだけで,職員としてはM級を処遇するような意味では多分困らないと思います。
〇滝鼻委員 だからMでしょう,要するに。Mのx,y,zでしょう。
〇富山調査官 だと思います。
〇滝鼻委員 そうですよね。それと組合せで言えばB級であり,かつL級ですよね。L,B,Mという組合わせの人でしょうね。
〇富山調査官 そうですね。ただLがなくても,やはり短いということは,単に早く施設からいなくなるというだけの話でして,それはやはり施設にとっては困難であることは変わりがないと思うのです。
〇滝鼻委員 そういう人たちを,Mだけ考えてもいいけど,集中的に処遇するというのは,施設的には今やりくりできるのですか。
〇富山調査官 今それに近いことをやっているのが,いわゆる医療刑務所なわけですよね。
〇滝鼻委員 この間,医療刑務所のセンターつくるという話をしていましたよね。
〇富山調査官 それは,まだ大分先の話の構想になろうかと思います。
〇滝鼻委員 場所も何かあれしているとかって。あれは違うか,あれはPFIのやつだ。
〇富山調査官 あれは初犯の男女500名ずつを集めるという構想ですので。今医療刑務所は満杯ですので。
〇宮澤(浩)会長 心神喪失者何とか法案に関連して,西と東に一つずつ何か重点的なものを作ろうとかいう将来計画。
〇富山調査官 あくまでも,これはまだ将来的な絵図面でして,具体的な構想には至っていないのです。
〇井嶋委員 ここは将来的な構想も含めて議論するのだからね。そういう集禁方向へ持っていかなければいけない。そうすると結局根っこは何かというと,今の分類なのです。分類をやはり見直していかないとできないのです。
〇滝鼻委員 分類と,それから累進……。
〇井嶋委員 累進はちょっとあれなのですけれども,まず基本は分類なのです。
〇成田委員 それと,基本コンセプトに社会防衛という形のものを出した方が,何で犯罪者に特別のあれをするのだというようなあれがありますから,もう我々の防衛なのだと。そういうものの一環として,これをどう対処するかということで今言ったように分類してやろうじゃないかと。
〇井嶋委員 おっしゃるような,現在は我々の安全が守られてないよという不安がある。それは何かというと,結局そういう処遇困難者のような人たちに対して現在の処遇がマッチしてないから,処遇が十分行き渡らないまま出ているという。そういうことをさせないように,そういう人たちにマッチした処遇方法をこの際考えなければいけない。そして出すことが矯正の責任であるし,それによって我々は安心するのだということになるのだと思うのですね。今は恐らく,処遇が僕は残念ながらマッチしてないまま出る人が結構いるのだろうと,こういう現実からすれば。
〇滝鼻委員 残念なことに今,日本社会には刑罰しかないのですよ。
〇井嶋委員 刑罰を与えながら,それを全部1日8時間刑罰を与えるのか,半分にしてもっと別の処遇をするかという処遇部分を入れる。そういう治療処分です,僕が言いたいのは。そういうものを導入することができるかできないかということは,宮澤先生のおっしゃる刑の基本というものとかかわるのですけれども,僕はその部分を絶対なしにしない限りは,僕はそれは取り込めると思うのですね。
〇成田委員 私は矯正に通ずると思うね。だって,薬をやっている人をそういうようにして薬に対する対応をやるならば,この人たちは復帰できる可能性があるのだものね。かえってなくなればね。
〇滝鼻委員 この後ろの方のテーマにあるけれども,民間人の活用とか専門家のガイダンスとか,心理療法とか,ケースワーカーとか。
〇井嶋委員 正に覚せい剤受刑者に対する世界的な処遇というものをもっと研究してくれば,もっといっぱい見習うべきものができると思う。そうすると,それは内部で間に合わなかったら,外部の厚生労働技官も使うようにするということも考えていいのだろうと僕は思いますけどね。いずれにしても,8時間刑務作業というのを中心に据えて,覚せい剤だろうがM級であろうが,それを中心にしなければならないという現在の考え方自体を,まずぶっ壊してやらないと,そういう人たちに対する適切な処遇方法が出てこないのではないか。それで結局は規律違反を繰り返し,懲罰する。規律違反だ,懲罰だと繰り返して,今日のような不幸な事態になっているのではないか。これは僕の見方ですが,そういうような気がするのですね。
〇宮澤(浩)会長 ですから,多分これから少しずつ変わってくるかもしれないなと思いますのは,覚せい剤に関するプロ的な犯罪者に対する刑がすごく重くなりましたでしょう。しかも普通の覚せい剤取締法違反じゃなくて,国際的何々かつ何とかっていう長ったらしい,あれは無期まであるのでしょう。
〇井嶋委員 死刑まで入っています。
〇宮澤(浩)会長 かなり量刑も重いのですよ。
〇滝鼻委員 ただ覚せい剤といっても,その覚せい剤の密売を生業にしているという人は,それなりの正常人間が結構いると思うのです。そうではなくて,覚せい剤漬けになっている人の犯罪者,受刑者というのが,やはりこういうところで問題になるのでしょう。
〇井嶋委員 漬けの者が一番処遇困難になるのでしょうね。まともな者でも頭のきく人は……。
〇滝鼻委員 頭のきく暴力団で覚せい剤密売で入ってきた者というのは,出ればまたやるのかもしれないけれども,この者たちは多分処遇はそれほど困難じゃないんだと思う。
〇井嶋委員 困難じゃないかもしれないけれども,その代わり刑罰は長くして。
〇滝鼻委員 刑罰としては,今宮澤先生がおっしゃったように長くして死刑まであるのだよとすれば,それは根っこから断つことができるからね。
〇成田委員 だから,そういう覚せい剤に溺れてそれで犯罪を起こしているのが,今言った人たちでしょう。覚せい剤を売買する売人たちは,ちょっとこれとは別だと思う。
〇井嶋委員 もちろん殺人とか強盗とかの罪名が付いていても,それが覚せい剤に起因しているというのは必ず併合罪として覚せい剤で起訴しているから,覚せい剤犯罪で括ろうと思ったら括れるはずですよね。
 とにかく私はこの統計を見ていて,全国平均で4分の1,4人に一人が一つの特定の罪名だという現実を無視して,一般的な殺人者にも窃盗者にも詐欺者にも横領者にも適合するような処遇の道筋だけを考えて対応するというのでは,やはりもう追いつかないのではないのか。4分の1というのは大きな数字だし,ましてや半分になったらとても異常としか言いようがないのではないか。4分の1なら4分の1の対処の仕方というのをやはり考えないと,それはいろんなあつれきが起こる原因になるのではないだろうかというふうに思うのですけどね。
〇滝鼻委員 M級の人たち,x,y,z,こう分類された人の数というのは分かるわけでしょう。
〇富山調査官 一番左側にMが来ている者の数というのは毎年統計を取っているのですが,そうでないものは必ずしも正確なのはないのですが,ただこの精神障害を有する者という統計の中にほぼ入っていますので,この統計で大体近似値が出ると思っています。
〇滝鼻委員 何ページだっけ,それ。
〇富山調査官 先ほどの暴力団関係者等の推移という棒グラフが。
〇滝鼻委員 その中で,今井嶋さんがおっしゃったように,アンフェタミンというのが覚せい剤ね。これが26%でしょう。
〇富山調査官 休養している者の中で。
〇井嶋委員 それでも,それだけ多いわけですね。4分の1。
〇滝鼻委員 4分の1以上ね。一番左にMが来るとは限らない。中にMが入っているのもこの26%に入っているのですか。
〇富山調査官 これは休養しているぐらいですから,ほぼ一番左にMが……。
〇滝鼻委員 左にMが入ってきているんだね。
〇富山調査官 ほとんどそうだと思います。
〇井嶋委員 「矯正の現状」の冊子の95ページを見ると,受刑者の収容分類級別の人員推移とあるのですよ。これを見ますと,M級というのは10年から14年までずっと見ましても,444とか450とか422とかいう数字なのです。P級が536とか502とかという数なのです。これはつまり,一番左にMが来ている,一番左にPが来ている人達でなければ,この数が合わないわけですよ。ですから左側でないM級,P級というのはたくさんいるということです。
〇滝鼻委員 何でもいいから覚せい剤にかかわって今収容されている人の数というのは分かるのですか。
〇富山調査官 これはかなり難しいかもしれません。例えば窃盗で服役しているのだけれども,覚せい剤の習癖がある者なんていうのは,ちょっとこれは相当苦労して押えませんとなかなか。
〇井嶋委員 ただ,併合罪で起訴されていれば分かりますよ。
〇富山調査官 罪名があれば,これは簡単です。
〇井嶋委員 併合罪で起訴されていれば,覚せい剤で括ろうと思ったら括れるでしょう。
〇富山調査官 そうですね,罪名で引っ張るのは簡単なのです。
〇井嶋委員 少なくともここの統計を見ると,覚せい剤は平均25%前後でずっとこの10年近く推移している。
〇富山調査官 そうです。
〇宮澤(浩)委員 この数字取るときは,どうしているの。
〇富山調査官 これは最も重い法定刑の罪名で取っていますので,覚せい剤はかなり重いですから,ほとんど引っかかってくると思います,覚せい剤が入っていれば。ただ,殺人と覚せい剤なんかになりますと,覚せい剤が消えてしまうかもしれません。ごくわずかだと思います,それは。ですからほとんど,覚せい剤の罪名で引っ張った形で,罪名的にはほぼ拾い上げていると思います。
〇滝鼻委員 それから,揮発性溶剤使用による障害,これはシンナーとかああいうものですか。
〇富山調査官 そうです。トルエンとかシンナーとか。
〇滝鼻委員 これだって1.9%もあるのだよね。その他精神作用物質使用による精神……これだって,これは4.4か。
〇井嶋委員 これはその他の薬物ですよ。新しい,幻覚剤とかね。
〇滝鼻委員 全部含めると,結局30%を超えるよね。
〇井嶋委員 超えますよ。つまりM級で入っている人達の中でもこれだけあるわけですから,これがいかに精神に原因を与えているかということは言えるわけですね。3割もあるのだから,それに向けた処遇というものをやはりもっと考えないといけないのだろうという気がする。だから覚せい剤に限らない。覚せい剤と薬物中毒によると,こういう定義でいいと思いますけどね。
〇滝鼻委員 処遇と施設と対応ですね。専門家。
〇井嶋委員 収容分類と処遇分類をきちっとつくって,認知して,そしてそういう専門家を入れて処遇を考えるということをしないと,少なくとも社会に対する責任を負えないのではないか,負ってないのではないかという言い方を私はしたいわけです。
〇滝鼻委員 この間府中で見た,ああいうひどいところに入っている人たちは,満期だったら出るわけでしょう。あの後,病院に強制的に入れることはできないのでしょう。
〇富山調査官 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく通報というのですが,これはすることができますし,必要があればしているとは思うのですが,ただその後,措置入院になるかどうかというのは,また都道府県の方の判断ですので。
〇滝鼻委員 そこが継続しないんだよね。接点ないのでしょう。
〇富山調査官 切れてしまう可能性があるわけです。通報はしますけれども。
〇宮澤(浩)会長 施設長の通報というやつでしょう。
〇富山調査官 そうです。通報はできるので,それはやっていると思いますが,それが100%措置入院になっているのかというと,多分そうではないのではないかという気がします。
〇井嶋委員 だから,そこが社会的に見れば切れているわけですね。これは極めて恐ろしいことだと思うし,やはり僕らはずっと覚せい剤対策で刑罰を上げてきましたけれども,刑罰だけの問題じゃなくて,やはりここの処遇のところで,処遇困難だから刑務作業にも出せない,適切なガイダンスもしてない,治療もしてないという形で出てしまったということが今日分かった以上は,何とかしなければいけないというのは。
〇滝鼻委員 井嶋さん,おっしゃっていることはそのとおりで,その方向でいろんな意見をやりたいと思うけれども,この行刑改革ができた発端というのは,ともかく刑務官の方の問題行動があって,それで我々調べてみたら,被収容者の方にもこういう問題があると。そうすると,やはり,ただ分類,処遇を新しくするというだけじゃなくて,それに対応した刑務所を作るとか,それから専門家を養成するとか,そういうことまで提言しないと,被収容者のことだけを,これは社会に出さない,隔離しないのはとんでもない,何かどこか特別のところに隔離しておけというだけでは,この行刑改革会議の意味はないよね。
〇井嶋委員 今日はたまたま処遇困難者というところがテーマだから,それに対して処遇をどうするかということになるとね。
〇成田委員 それと私は,刑務官の教育,何をやるべきかということをもう一度,今出したような形で,今までのように明治から続いてきているおやじさんだとか何とかというようなことではなくて,もっと違った形で対応していかなくてはいけないのではないかと。
〇宮澤(浩)会長 ですから,井嶋委員と成田委員の意見を調整しますと,そういう特別な施設をつくるか,若しくはかなり重点的にそういう収容区に,例えばそういう薬物あるいはそういう非常に処遇困難な人に対応するだけの処遇技術を持った職員を充てる。職員の研修なども,そういう薬物的なアグレッシブな者が何か変な行動をしたときには,どういうふうに対処すべきであるかとか,そういうものがワンセットにならないと,幾ら施設を変えてもしようがない。
〇成田委員 ビデオで見たときに,ヘルメットかぶってボンボンボンボンあれしていくでしょう。もうあんな人たちは,これは普通のあれじゃ……。
〇井嶋委員 やはり刑務官は無理ですから,そしてまた権限行使ですから,きちっとした根拠がないと何もしない。ですから,やはりそれを作ってやらないと,刑務官はそれに対応できないということがあると思うのですね。
 それからもう一つは,民活もこの際考えなければいけない,技官なんか。そういうようなことも含めて,もちろん総合的に。
〇宮澤(浩)会長 民活の場合に,そういう処遇困難者を民間施設には任せられませんよね。
〇井嶋委員 ただ,例えば覚せい剤何とかセンターなんていうのは警察の外郭団体にありますけれども,いろんな教育をしていますよね。覚せい剤の中でももちろん僕はA級とかB級とかと分けていいと思うのですけれども,A級の場合の覚せい剤受刑者なら,そういったものでもある程度きくだろうと思うし,ですからそういうようなものも想定しながら,もちろんおっしゃるとおり総合的に組織が,官側も組織の方も変えていかなければいけない。
〇滝鼻委員 これはもうこの分科会の仕事じゃないから余計なことは言ってはいけないのかもしれないけど,刑務官というのは親子代々というのが結構いますよね。
〇富山調査官 そういう者もおります。
〇宮澤(浩)会長 地域によるらしいね。
〇富山調査官 パーセンテージを出してどのぐらいいるかは何とも言えませんが,確かに結構いるというぐらいで言わせていただければ,おります。私の知っている刑務官でも,親子で勤務しているというのが何人かおりますし。
〇滝鼻委員 刑務所に勤務しているということが,日本社会の場合は余り誇りに思わないんだね。
〇宮澤(浩)会長 地域によるんじゃないでしょうか。北海道は非常にステータスが高いとよく聞きます。それから九州も。
〇富山調査官 特に長崎とか,あと北海道でも特に網走などは,非常に刑務官の地位が高いと聞いています。市役所に行くよりも,刑務官の方が人気があるというぐらいに地位が高いという,これは聞いた話ですが。
〇滝鼻委員 何でなのだろうかね。
〇宮澤(浩)会長 収入も関係があると聞きます。
〇成田委員 昔,北海道といったら,そういう官がないでしょう。職をするところが。
〇宮澤(浩)会長 地域の集会なんかだと,そういう上席に座れるのだとかいう話を聞きます。
〇滝鼻委員 アメリカなんか,刑務所に勤務している人の社会的地位がすごく高いですよね。
〇成田委員 元プロフェッサーだとか何だとか。
〇井嶋委員 やはり閉じ込めている番人だという形だけではだめなので,こういう者に対する処遇,もっとプロ意識をあれするためには,処遇というものをもっと多様化して,その専門家を作っていくというぐらいの気持ちでやっていかないと,意識が高まっていかないと思うのですね。
〇成田委員 刑務官のビジョンというのは,前にビデオを見せてもらいましたが,ああいうような時代じゃないのではないか。もっと違った形での一つの刑務官像というものを考えなくてはいけないのではないかという気がするな。過去からの延長で,おやじさんとなって慕われるなんとかいうんじゃなくて,もっと現代らしいね。
〇滝鼻委員 さっきの民活という井嶋さんが言った趣旨は,民間施設という意味ではなくて,民間人の専門エキスパートをどんどん活用しようと,そういう意味でしょう。
〇井嶋委員 中に入れようと。心理技官とかソーシャルワーカーとか。
〇滝鼻委員 民活というのはそういう趣旨でしょう。
〇井嶋委員 はい。どんどん今そういった薬物に対する専門家が養成されていますから,そういった者をもっと中にも取り込みたいし,足らなければ外からも引っ張ってくる,あるいは委嘱するというような形ででも,この際手を広げていくという方向を出さないと,刑務官だけでやろうということはできない。もちろん刑務官だけでできるように教育していく,養成していくことは必要だけれども,当面間に合わないから,そういったことも,また,どこまで厚生労働省が協力してくれるか分からないけれども,そういったことも考えてみないといけないのではないかなと。そのためには,やはりそういう収容施設,あるいは区画でいいのだけれども,そういうものをこの際きちっと認知する。刑務官は職務権限がきちっとしてないと何もしないから,認知してあげるということが非常に大事なのだろうと思うのですけどね。ただ,恐らく医療分類の制度を作ってきた人たち,そしてそれを運用している人たちというのはほとんど技官の人たち,お医者さんとかそういう人たちが中心になってつくっているのですが,そういう人たちが,いや,僕の言っているようなことは全く暴論で,そんな哲学のないことはできない,学問的裏打ちもないからできないということになるのだろうと思うけれども,今はもうそんなこと言っている時代ではなくて,こういう事態に対応してどうするかという提言をする以上は,少しはそういうことにも目を向けないといけないのではないかなという気はしますけどね。恐らくしかし,オーセンティックな分類学者から言えば,絶対受け入れてもらえないものではありましょうけれどもね。
〇滝鼻委員 先ほど説明があった分類はいつごろから確立したものなのですか。
〇富山調査官 現在のような形になったのは昭和47年からでございます。
〇滝鼻委員 そんな大昔じゃないよな。
〇井嶋委員 平成10何年かに改正しているでしょう。
〇富山調査官 一部改正は何回か繰り返してございます。
〇井嶋委員 さっきも言ったように,少年の処遇が変わったら変えるとか,その程度のことで付け加えてきていますが,基本的にはずっとこれを長くやっているのですよ。
〇宮澤(浩)会長 学者の間では,「分類あれども処遇なし」というのが随分昔から言われているのですよ。
〇成田委員 対応した処遇が。分類はあったと。
〇井嶋委員 生きたというか。
○宮澤(浩)会長 効果的な処遇というのがなかなかできてない。だから先ほどの滝鼻委員のお話も,非常に核心を突いているわけなのですが,今のシステムで言うと医療課というのと分類課というのとが何か離れているけれども,本来から言えばプロフェッショナルとして,そこのところはもう少し受刑者の質的な変化というものに対応するようなものへと,根拠になる条文を考えるということでしょうね。
〇井嶋委員 それをきちっと与えないと動かないという組織ですから。
〇成田委員 もう一つは,処遇するために分類するような考えで。
〇井嶋委員 分類が先にあるんじゃないのですけれどもね。処遇をしやすいように分類する。
〇成田委員 それと,現実的な問題ですが,薬物の人たちはどういう処遇をしているのですか。特別に何かやっているのですか。
〇富山調査官 一般刑務所では,いわゆる薬物指導というような時間を設けて,そういったことはやっているのですが,ただやはり1日の大半は刑務作業ということにはなります。
〇井嶋委員 8時間の労働は,刑務作業をやっているわけですね。
〇富山調査官 刑務作業大半で過ごしつつも,班を編成して薬物防止教育というようなものをやったりはしておりますけれども,時間的には刑務作業が圧倒的ということになります。
〇井嶋委員 これを少し変えていかないといけない。半日ぐらいにして。
〇成田委員 それで薬が切れてもやるわけですか。
〇富山調査官 薬が切れて本当におかしくなる者は,これはまた医者に見せて治療しなければいけないわけですけれども,覚せい剤をやっていた者でもいろいろ波がありまして,おかしくなっている時期があると思うとまた普通に戻ったり,これは様々なのです。ですから現場としては,そのおかしくなっている時期はとにかく医者に見せて何とかそれを抑えて,また普通に話ができる状態になればまた作業に出しながら教育をしてというようなことの繰返しですね。
〇滝鼻委員 少しでも疑いのある人は,無理に仕事をやらせるより,刑務作業をやらせるより先にカウンセリングが先だね。
〇井嶋委員 僕もそう思う。そういう人たちには,少なくとも1日8時間の刑務作業というものを中心に据えた現在の刑務所の生活は改めないといけないということを言いたいのですよ。あとどういう処遇をするかと。
〇宮澤(浩)会長 今言ったように,例の刑法改正案みたいな「作業又は矯正に必要な処遇を行う」という,それが必要なのだけれども。
〇井嶋委員 刑法の改正草案にはそう書いてあるのですよ。それは,それを意識しているわけなのです。
○宮澤(浩)会長 でも,現行法でもそれぐらい僕は許容されると思うのですけれども。そこをどううまく言葉にするかなのですけれども。
〇井嶋委員 そこが一つありますけどね。全く取ってしまったらいけないのかもしれないけれども。
〇成田委員 刑務所にあれすると,やらせなくてはいけないというでしょう。
〇井嶋委員 懲役というものを。
〇成田委員 役だと。
〇井嶋委員 どう考えるかということですけれども。
〇滝鼻委員 今の監獄法の中には,職員の役割というのか,権限として,そういうカウンセリングとか心理療法とか,そういうものの人たちの役割は入っているのですか。
〇富山調査官 いえ,そういったことまで書かれておりません。実務としてやっているだけです。
〇宮澤(浩)会長 明治41年にはそんなことは考えられませんね。
〇滝鼻委員 ともかく刑務官というのは,国家権力の直接行使する人だからね,もうちょっと役割,権限というのは事細かに書いていてもいいのではないのかね。
〇井嶋委員 今度書きましょう。書かなければいけないです。もちろん言うまでもないことですから言いませんけれども,今回の我々に与えられている問題というのは,一つは「刑務所の後進性」という,非常に彼らには悪い言葉を使うのですが,刑務所が持っている後進性というのはあります。監獄法だとか権限規定がないとか,懲罰の不服制度が悪いとか,いろんなことがあります。そういうものを一般的なものとして見直さなければならないというのが一つのテーマです。これは我々がやらなければいけないのですが,プラス当面問題になる過剰収容のがんは何かといったら,今の処遇困難。これを当面どうするかということに提言をするという,要するにそういう二本立ての考え方での提言をしないといけないのだろうと思うのです。そういう意味では,第1のテーマの方は当然のこととして私は見直しを主張していますし,すべて施設法に入れるように。
〇滝鼻委員 これは宮澤先生,全体会議でやることなの。法の改正とか。
〇宮澤(浩)会長 我々としては,こういうような議論になっていますという分科会の報告というのをやるわけですよね。それをほかの分科会の人たちの意見も聞いて練っていくということになる。
〇井嶋委員 例えばここで不服制度をどうするかとか懲戒をどうするかということは,ここでは,今の1のテーマの方の問題として議論していいわけですよ。
〇滝鼻委員 それは,当然法改正を伴うものでしょう。
〇井嶋委員 ですから監獄法を改正して,省令,通達を全部考え直すということ。それから自由の束縛ですか,軍隊式何とかとかいういろいろな,そういうのを全部洗い直して,近代行刑に合うような形に見直せというのも,提案としては必要だと思うけれども,これも別に当面の処遇困難の問題とは違うわけなので,対応仕様の問題ではないわけだから,それはそれとしてやはりやらなければいけないし,そういう提言はしなければいけないのだろうと思う。これは1,2,3の分科会それぞれが1のテーマ的な一般論というものをやはり書いていかなければいけないだろうと思うのですけれどもね。
〇宮澤(浩)会長 それと,さっき御説明があって御質問もありましたけれども,懲役受刑者がほとんどですから,どうしても刑務作業というのが処遇の一つの根幹になる。その刑務作業のほかに,処遇分類としていわゆる職業訓練というのがある。ところがその数が少ない。なぜか。これは法務省で出しておられる資料でずっと追いかけていく人間としては,かつては職業訓練にかなり希望を持っていたように思えるのですけれども,このごろはそういう職業訓練重点施設に適したような受刑者の数が段々減ってきて,かなりそういう職業訓練用の8つの矯正管区でそれぞれ力を入れてそういうものを作っているのだけれども,そういうのが来ない。殊に全国区の施設というのがあるらしいのです。四国の造船作業場なんていう完全開放の。でもそこへ来るのが昔はかなりいたらしいのですよ。ところが全然このごろ,それに該当する者がいなくなってきた。
〇滝鼻委員 富山刑務所だっけ,宮大工養成するとかって,お神輿つくったりなんかして。
〇富山調査官 富山刑務所です。
〇井嶋委員 今の松山の例は,造船所へ構外作業で出ていくわけです。
〇滝鼻委員 来島ドックとか,ああいうところだね。
〇井嶋委員 それでその会長が非常に力を入れていましてやっていた。往時は非常に盛大だったけど,最近そういう選ぶ対象が少なくなってしまって。
〇滝鼻委員 資格取得的なものもあるのでしょう。
〇宮澤会長 それは職業訓練であるわけですね。
〇滝鼻委員 例えば府中にもあったけど,車検の補助員であったりする。しかし,今言っているのはそれ以前の話だな。覚せい剤なんていうのは,作業とか職業訓練とか生活指導以前でしょう。真人間に戻してやらないと。だから刑務作業したって意味がない。
〇井嶋委員 刑務作業して意味のない者と意味のある者とがあるのですよ。ただ前に悪玉菌と善玉菌と言ったけれども。
〇滝鼻委員 意味のない者に8時間労働させたって意味ないよね。
〇井嶋委員 そういうこと,僕が言いたいのは。だから意味のない者に対する処遇方法を考えないから,そのまま放り出すということになるのだから,意味のない者にはどういうことをしたらいいかということを考える。それを,しかも分類して集禁する。そうすると,いい方の者に,本来今まで我々が考えてきたこと,やってきたことはあるいはきちっとアダプトしているかもしれない。現に安部譲二さんは作業をやって良かったと言っているわけですよ。それはいい受刑者で,そういう困難者と交わらずにうまく過ごせた人だったわけですね。だから分けて処遇してやれば,あるいはいい者は今までの処遇方法,作業等の方法を中心としたもので十分対応していけるのかもしれない。ただ,もうちょっと近代化だけすればね。
〇成田委員 私は,何十年か前の仕事はもうないのではないかと思う。
〇井嶋委員 それは一つありますね。
〇成田委員 もう手職を覚えるというならともかく,今の日本の工業生産を見ると,そういうものじゃないでしょう。手職でやるだとか,昔は机を作ったりなんかやったとかいうけども,今やっている仕事はもう頼みにも来ないでしょう。要するにマーケットからも来ないでしょうが。
〇宮澤(浩)会長 手についた職を応用して働く場所がない。でも,あれは左官はいいそうですよ。
〇成田委員 左官なんかはいいかもしれない。私はそういうものをやるか,それとも今日的な例えばテレビを分別するだとか。この間自動車の分別をやっていましたね。自動車の廃車を。そういうようなもので社会貢献的なことをさせるか,何か意味のあることをしないと。
〇井嶋委員 おっしゃることは,要するに刑務作業の中身を近代化しなさい,もっと現代にマッチしたように見直しなさい。これも一つの問題点です。
〇成田委員 そういうようなプライドを持たせるべく何かやっていくものがあるのではないか。分別というのは大変らしいですな。だから,今度デジタルテレビになって,テレビがどんどん廃棄されてくるでしょう。そういう場合に,それを電子工業界あたりと話してそういうことをやれるのか,あるいは自動車で何か。
〇滝鼻委員 確かに刑務作業も,今の日本の生産工場,第2次産業のほんの一部ですよね。宮大工とか造船なんていうのは,今そんなにないものね。本棚といったって,そんなにないですよ。
〇井嶋委員 最近は機械でやっていて。
〇滝鼻委員 今中国から入ってきてしまっている。
〇井嶋委員 中国もあるしね。だから幾ら手に職つけてもだめですよね。
〇成田委員 この間聞いたら,昔試験問題なんて刷っていたでしょう。それだとか債券を印刷したり。ところが,今ではそんなにないでしょう。
〇滝鼻委員 印刷は少し残っているのかな。
〇成田委員 注文が来ないんだって。どこかでやっていた。
〇富山調査官 横浜では試験問題をやっていました。
〇井嶋委員 株券もやっていますね。ただ,これも電子株券になったらパーだしね。
〇滝鼻委員 もう株券要らないんですからね。
〇井嶋委員 だから本当に,作業の見直しも大事なんだな。
〇成田委員 それも,僕は考えていったらいいだろうし。
〇井嶋委員 ただ,これは設備を変えなければいけないからえらい金がかかりますけどね。
〇宮澤(浩)会長 借金したらつぶれる可能性がありますよね。刑務作業協力事業……。
〇滝鼻委員 設備を残すために今の刑務作業を続けるというのは本末転倒でね。つぶれればつぶれるでいいんだろうと思う。
〇宮澤(浩)会長 農業問題みたいなものですよ。
〇成田委員 何かそういうようなことも考えていったらいいのでしょうし,実際彼らも仕事をすることによって誇りを持つだとか,何かそういうことも考えていったらいいんじゃないかな。
〇宮澤(浩)会長 根幹が,この処遇って何だということと,処遇困難な人に今までどおりただ労働でもって働く習慣つければいいやというのではないのですからね。
〇成田委員 それは戦前と今の2000年,もう戦後50年たった時代は違うのだもの。だから僕は,それをワンパターンで考えていったらいかんなと思うな。そういう意味で,刑務,懲役の役は何ぞやとか,そういうものを今日的なもので見ていくだとかいうことも必要なのではないですかね。
〇宮澤(浩)会長 職員の意識改革というのももちろん必要だし,新しい処遇技法に習熟するように研修を充実させるとか,おのずから知恵というのは大体集約されるわけですよね。あとはそれをどうやってドラフティングするかという。
〇成田委員 それで実際に官が,こうやろうと,こういう一つの提案に対して動いていくということではないのですか。我々としても知恵を出して,いろいろな。
〇井嶋委員 我々はある意味では応援してやらなければならない立場ですから。
〇成田委員 箸にも棒にもかからん人たちを我慢してやっていかなくてはいけない苦労は分かるものね。
〇井嶋委員 それが特に最近著しくなってきたということだと思いますから。
〇成田委員 24時間体制でこうやって……。
〇宮澤(浩)会長 ですから矯正局は当然考えておられるのでしょうけれども,箸や棒にかかるようなのは例の初犯の人たちの西東500人ずつの施設を作って……。
〇井嶋委員 近代行刑やればいいと思う。
〇宮澤(浩)会長 外側は私企業に任せる。中はがっちりと,何かそれでいけると思うのですね。
〇井嶋委員 だから,やはり結局は処遇のやり方に応じたというか,処遇の効果面を見た分類みたいなものかな。
〇宮澤(浩)会長 真の意味での処遇行刑なんですね。
〇井嶋委員 そういうものにもっと目を向けて,見直さないといけないということなのではないのかな。
〇宮澤(浩)会長 そこら辺とても難しい問題なのだけれども,施設内だけではなかなか解決できない問題があるでしょう。例えば女子の覚せい剤なんていうのは,必ず待っている男がいるわけですからね。それと断ち切らなければいけないということもあるだろうし,それからやはり組織犯罪者なんていうのも,社会的な差別みたいなのをずっと追っているようなのが関西には割合多いというふうなこともあるから,そういう問題も考えないといけないだろうし。
〇井嶋委員 ただ,それは職分は職分で,刑務所としてやれることをやってもらうということがテーマですから,刑務所としてここまでやりましたということが示せられれば,次にどういうことをやるかと,法の問題もあるし,社会の刑の理論,そうなっていくのだろうと思いますが,今はそういう意味では刑務所の部分が何か,そう言っては悪いけれども後進性のまま残されているような,しかし規律だけはきちっと守らなければいけないということでガンガンとやっているという,そういう気がしてならない。
〇宮澤(浩)会長 ですから,50年代の刑事施設法が実現していればね。
〇井嶋委員 できていればこんなことにならなかった。これは私も,宮澤先生もその当時苦労した仲間ですが,本当にそうなのですが,これは言っても仕方ないことだし,それから先生,今度は,当時の刑事施設法より更に進んだものを作らないといけないでしょうね。
〇宮澤(浩)会長 幸いに,神学論争みたいなのがだんだんなくなってきているのです。あのころは神学だったのですよね。絶対的な堅いあれがありましてね。だけど今,反対勢力がやはり大分変わってきてはいるのです。
〇成田委員 死刑廃止だとか何とかの問題は入らずに,もう具体的なあれでやっていって。
〇井嶋委員 一般的な刑務所での行政の一般的な近代化の展開。それから当面の過剰収容に対する対策。この二つ。
〇成田委員 増えるのは間違いないんだ。
〇井嶋委員 これはしばらく続きます。覚せい剤というか,薬物も結局ずっとこれを見ますと,占めている割合がここ10年全部25%前後ですから。決して増えこそすれ,減っていくことはないと思いますから,何とかこれを考えなければいけない。
〇成田委員 薬,暴力,それと……。
〇井嶋委員 性格の偏りですね。犯罪の多いのはね。だから薬が4分の1,それから窃盗で大体30%台ですか。この統計に新受刑者の罪名別の比率というのがあるのですが,窃盗が男女合計で26.5%。これは平成13年度の新受刑者ですよ。覚せい剤が25.6%です。ですから,窃盗と覚せい剤だけで50%を超えているわけです。女性の場合は,窃盗が20.9,覚せい剤が46.4。新入の刑務所の罪名別分類。この対策をきちっととれば,言いようによれば,ある程度刑務所の運営は半分はうまくいくという話になるのですよ。
〇宮澤(浩)会長 女子の覚せい剤の場合は,アグレッシブでとても女性刑務官の手に負えないなんていう人は余りいないのですか。
〇富山調査官 私も女子施設はちょっと勤務経験がないものですから余り正確なこと言えるかどうか分からないのですけれども,いたとしてもごくわずかな人数だとは思います。ただ,ごく一部なのですけれども,本当に覚せい剤で精神変調でどうにもならなくなっていて,それこそ相当現場で苦労している例があることは間違いないです。
〇井嶋委員 それは覚せい剤のフラッシュバックとか何とかというのは,男女別に格差があるとは聞いたことがないから,恐らく男に発生している分は女にも発生しているのだと思うけどね。それは統計がないと分からないけれども。
〇宮澤(浩)会長 現場が手を焼いている度合いは,やはり男の方が物すごいでしょうね。
〇富山調査官 人数的にも男の方が多いですから。
〇成田委員 暴力を振るったりなんかするでしょう。
〇宮澤(浩)会長 私が一つ矯正当局の方にお願いしたいのは,前もそういう話でしたけれども,今の刑法の規定を利用しながら,かつ先ほどのように1週40時間の刑務作業というものがどうしても動かないなんていうようなことでないような,運用ができる言葉を,現行法から離れすぎると権限離脱になりますけれども,何か考えるヒントがあるといいですね。
〇井嶋委員 それはおっしゃるとおりですけれども,しかしこの際,余り神学論争的なことには入らない方がいいわけだから。
〇宮澤(浩)会長 「作業」という言葉にとらわれなければいいのですけどね。
〇井嶋委員 一つの治療とか教化とかカウンセリングとかというのを受忍させるということ自体も,広い意味では一つの役務の義務を履行させていることだろうというような,極めて変てこな理屈だけれども,そういうものを受けなければならない義務を与えているというようなことも,何か懲役の義務と読み込めないのかなという気はするのですがね。
〇宮澤(浩)会長 悪いことをした以上,そういうものを受け入れるのが当然だろう。素直にどうだというふうにいくわけでしょう。
〇井嶋委員 やはり拘束する以上は,いろんな異常者が出てくることは当たり前なので,だから作業をせずに出る人もできるわけだけど,それは現実としては,刑罰の分野から見たら容認しているわけですからね。
〇滝鼻委員 自由刑の目的というのは,やはり社会から隔離するということが一つでしょう。もう一つは,改善・更生ということでしょう。改善・更生の一つの道具として作業をやらせて,ただ何もさせないでぶらぶらさせているのではなくてね。そのためには,1週40時間とか1日8時間とか,そういう時間を区切って,この時間作業させなければいけないというのは,最後のあれであって,そうできない人もいるわけだから,そのためには1日作業を1時間にして,あとの時間はカウンセリングに回して,それだって改善・更生の一つの同じ方向でしょう。どうしても役務をさせなければならないのだということを自由刑は求めているのではないと思うな。
〇成田委員 でも,学者さんだとかなんかは,やはり懲役だと。だから役をという。
〇滝鼻委員 理屈が先に立って,じゃ結果はどうでもいいんだと,刑務所の中がめちゃくちゃになっていいのか,あんな事件がまた起きていいのかということになると,その学者はどういうふうに返事するのかね。
〇成田委員 実際,刑務所って何だと。これはやはり懲らしめだ。二度とこんなことさせないように世の中に対する見せしめ,これが一つあるのかな。それと,自由を拘束して拘禁してしまってあれだと。それと,法務省は更生・改善だと。本当にできるのかねと。しかしいい人が出てきたりなんかしますわな。それと,役だと。懲役だから服さなくてはいけない。そういうように聞いたんですね。
〇宮澤(浩)会長 それは悪いことしたんだよと。
〇成田委員 国家から見れば,社会から見れば,安全の確保だと。これはこっちにやってしまって,それをやることによって安全,社会の秩序を守る。何かそういう要素が出てきているのではないかというような気がするのね。それで,滝鼻さんが言うように,役なんてそんな生産性の悪いことやらなくたって,まともに働こうという気持ちを起こせばいいだろうし,あるいは病院に行って薬をやめるようになればいいじゃないか。これが更生じゃないかということ。何か変わってきているのではないかと思うのです。
〇滝鼻委員 さっき井嶋さんが言ったように,受刑者の現実を直視しないと,こういう状態なのだ,それに合った,それに適合した分類と処遇が必要ですよね。
〇井嶋委員 しないのは,僕は義務違反だと思う。
〇滝鼻委員 それが,役務をある一定期間科さなければ刑法の精神に反するというのは,それは通用しないよね,そんなこと言っていたら。
〇井嶋委員 通用しないと思うし,少なくとも全部取り上げるわけではないのだから。
〇滝鼻委員 そんなことを言う刑事法の学者っているのですか。
〇宮澤(浩)会長 むしろ今は,刑法の現行法の条文自身を,つまり定役に服するというような,義務として作業するというようなことでは,どうしてもその言葉に学者の我々はとらわれてしまいますからね,改正草案のように「その他処遇に必要な処分を行う」というようなものを,それが当然なのです。それを自由刑の単一化というのですよ。これはほとんどの人が言っているのです。それを大反対したのが小野清一郎先生なのですよ。あの先生が頑として,やはりこれは裁判官による分類である。人倫に反するような行為をした者は,これは懲らしめる。これに対して世界観的,宗教的な動機からやった者に対しては,動機に帰すべきものはあるが,けじめとして自由を奪うぞ,これが禁こだ。こういうふうに分けるのが道義にかなった刑法だと。もう全然,我々幾ら言ってもだめだったです。断固として違うとやられて。僕らの指導教授たちも,そういう方がかなりおられましたからね。あのころは懲役,禁こというのを分けるというのはむしろ当たり前であって,自由刑の統一なんてそんなのおかしいよというふうに言われる方が多かったです。委員がそうだった。幹事の方では,そんなのおかしいよという,そういう世代対立が昭和四十二,三年のころはかなりあったのです。
〇滝鼻委員 ほとんど懲役刑でしょう。禁こ刑なんていうのは少ないでしょう。
〇宮澤(浩)会長 昔は,刑法を改正して3年以下の禁こだったのを5年以下の懲役又は禁こというように業務上過失致死傷事件を変えて,最初は割合禁こを言い渡す場合が多かったのですけれども,このごろは懲役だね。それからもう一つは,道交法違反で市原刑務所なんかに行く人が増えてしまった。道交法には禁こってないのです。
〇滝鼻委員 禁こなんて,請願によって何か役に服することができるという。
〇富山調査官 実際にはかなりの者が作業を希望していますので,実際の処遇としては余り差がなくなっております。
〇宮澤(浩)会長 それは,作業に服するというものしかないから,禁こ受刑者だって,ほかに何かやらなければ退屈でしようがないというので,作業へやられてしまうわけでしょう。もしそれがカウンセリングがあるとか別のいろいろな違う処遇があれば,そっちを選ぶような禁こ受刑者も多かったかもしれないのですよね。だから,現実に刑をやるのが大多数だからという理屈は立たないだろうというのが,今の我々の議論なのですね。現に,懲役,禁こと書き分けて最後まで頑張ったスイスが,去年の12月刑法改正で遂に一本化したのです。
〇成田委員 どういうのに一本化したのですか。
〇宮澤(浩)会長 自由刑という名にする。その前は懲らしめ刑と入れておく刑というふうに分けたのです。ドイツもそうだった。だけど,ドイツはもう。そのドイツより前に74年にオーストリアが分けなくしたのですね。そういうふうに,要するに矯正の現場の人たちに適したことをやらせるように選ぶ自由を与えようじゃないか。正に我々の間のコンセンサスと同じことを法律で書いているわけです。だから,刑法は我々がタッチできないわけですから,そうではなくて,現実の矯正という言葉を,あるいは作業という言葉を何かいい言葉に,あるいは解釈規定でも置くなりしてやれば,すんなりいくんですよ,と思うけれども。
〇富山調査官 刑法の話ですから,なかなか反対しづらいのですけれども。
〇宮澤(浩)会長 だからそれは刑事局が考える問題なのだけれども,しかし受け取る矯正局としては,決まってしまったとするならば,現場の方では,やはりそれを分けなければならないということになるのでしょうね。だけどそこのところだな。かつては内閣法制局がうるさかったのですよ。だから,鈴木義男さんだとか,みんな苦労した。
〇滝鼻委員 現実に適合した分類と処遇ということですよね。
〇井嶋委員 僕はそう思います。そうしないと,行刑機関としての責任をまっとうしたことにならない。
〇宮澤(浩)会長 井嶋委員,検察官もそういう議論には絶対反対だというような堅い姿勢では今はないですか。
〇井嶋委員 ないと思います。
〇成田委員 社会的なモラルも変わってきているからね。社会生活が変わってきているのだから。
〇滝鼻委員 食事に麦を入れるでしょう。あれは単に経済的理由だけなのですか。
〇富山調査官 経済的理由と,あと栄養学的な理由でしょうか。
〇滝鼻委員 だけど,受刑者に特に栄養を多く与えるということもないだろうからさ。現実には,一般社会では麦飯なんかて食ってないよね。
〇富山調査官 少ないでしょうね。
〇滝鼻委員 あれ,麦のコストの方が高くないかい。
〇富山調査官 いえ,大量購入をする関係上,麦の方が安いそうです。
〇滝鼻委員 麦というのは輸入しているのですか,それともあれは国内の麦なのですか。
〇富山調査官 すいません。そこは押えないと分からないですけれども,少なくとも麦の方が購入額が安いそうです。
〇成田委員 昔は麦を混ぜると脚気にかからないとか何とか言ったね。
〇井嶋委員 健康的にも悪くはないのだそうですけどね。でも,やはりコストでしょう。ですから,潤沢になればやめていくということになると思います。
〇宮澤(浩)会長 ただ,現場を回ってみますとこういうことを伺いますよ。混入率なんていうのは全体として考えればいいのであって,施設長の裁量でパンの日を増やすことによって,パンは麦であるということで換算して,米だけ食べさせるという日を。
〇滝鼻委員 混入率が決まっているのでしょう,3割とか何とか。
〇富山調査官 米が7で麦が3というのが原則になっています。
〇滝鼻委員 よく菊田さんが,それを2割にしろとか何かよく言っているよね。どんな意味があるのかね。それは白米に近づけろということ。
〇宮澤(浩)会長 そういうことなのでしょうね。
〇井嶋委員 宮澤先生がおっしゃったとおり,ある特定の日には白米にしてしまうという施設もあるようですよ。お祝いの日とか。そのかわりパン食にする。トータルとしては,まあ。執行上は可能だ。
〇滝鼻委員 F級の人はいつもパンだというのでしょう。
〇富山調査官 米の御飯を食べられないという生活習慣の人にはパンを出しています。代替食として出しています。
〇宮澤(浩)会長 全体から見れば少ないですからね。僕びっくりしたのですけれども,F級というのは中国人は入らないと思っていたのですよ,食生活みんな似ているから。ところが言葉が違うからやはり外国人で,中国人はF級だと。
〇滝鼻委員 パンなのですか。
〇富山調査官 それは御飯です。
〇宮澤(浩)会長 だけど,この人数の割合が増えたとかというのは,F級は中国人は韓国人や日本と同じように食生活が似ているからというので,Fというのはないだろうと思ったら大間違い。
〇滝鼻委員 一度決めたらなかなか変えないというのは。
〇井嶋委員 それはどこの組織にもあることで,特に刑務所はその最たるものなのです。というのは,明治40年の監獄法を使っていること自体がそれを証明しているわけです。それは我々を含めて法務省の責任です。法務省の責任ですが,できなかった政治情勢というのがありまして,本当にこんなことになったのは,そういう意味では申し訳ないとは思うのですけれども。
〇滝鼻委員 外国の刑務所へ行くと,日本人がそこで収容されると御飯を出してくれるのですか。
〇宮澤(浩)会長 そんなことはありませんよ。
〇滝鼻委員 そんなことないでしょう。
〇宮澤(浩)会長 そんなことないですよ。パン食です。外国人が炊いた米なんて食えたもんじゃないですね。ひどいものですから。彼らは米をゆでるんですから。だから,それはやはり明治の法律なんですよね。しかもほとんどが命令とか省令とか通達の下にやってしまっているでしょう。そんなことはあってはならないことなんですもの。
○井嶋委員 これだけの権力行使をやっている仕事としてね。
〇滝鼻委員 法律以外のものでね。
〇井嶋委員 こんなことは,全くいけないことなのです。少なくとも戦後の新憲法下でこれでずっと通ってきたということ自体が,本当におかしなこと。
〇滝鼻委員 だから,この間,基本的な考え方というのをみんな出したでしょう。あの中に国家権力の直接行使だとか細かいことまで法律で決めろと書いておいたのです。
〇井嶋委員 それは正論なんですよ。原理原則はそうなのです。ただ現実にはできませんけどね。しかし現在の法律は,足らないことは間違いないですよ。
〇宮澤(浩)会長 もっとひどいのは,我々の問題じゃないけれども,いわゆる代用監獄です。警察の留置所。根拠は法律じゃないんですもの。だから,そういう意味で日本は法治国家と言えるのかというと,刑務所の問題と警察の留置所の問題では,ほったらかしの「放置国家」なんですよね。そういうことが議論できなかったから。
〇滝鼻委員 代用監獄をなくして警察留置場だけにして,それで法律に基づく監獄の拘置所を作ったとするでしょう。そうしたら弁護士さんは大丈夫なのかしら。
〇宮澤(浩)会長 弁護士はかえっていいんじゃないですかね。近いところに拘置所があるわけですから。それも法律で認められるわけなので。
〇滝鼻委員 彼らが言っているのは,新しく拘置所を作れというわけでしょう。
〇宮澤(浩)会長 それはそうです。そんなこと金がかかってしまってどうしようもない。
〇滝鼻委員 それでまた,場所的に遠くなるでしょう。
〇宮澤(浩)会長 そうでしょう。
〇滝鼻委員 だって,あそこだって遠いと言っているのだから。
〇宮澤(浩)会長 南千住。
〇滝鼻委員 南千住だって遠いと言っているんだもの。あそこに全部未決入れて,弁護士があそこで全部接見するのかというと,そんなことないよね。
〇宮澤(浩)会長 とんでもない。あの先生は代用監獄反対だから,あの先生の事件だからといって未決へ入れると,なぜこんな不便なところへ入れたと怒る。
〇滝鼻委員 警察に代用監獄という言葉はよくないけど,要するに未決がいるから,弁護士というのは接見できるんじゃないのかな。
〇宮澤(浩)会長 そうだと思います。
〇井嶋委員 そういうことなのです。
〇宮澤(浩)会長 本当はね。本音はね。
〇滝鼻委員 だけど,日弁連は反対しているよね。
〇井嶋委員 本音と建前は違うんだ。
〇成田委員 刑務所がいっぱいだから拘置所で代替……。
〇宮澤(浩)会長 それは明治の監獄法の規定がそうなのですよ。30日未満の刑を執行するために拘置所を使えというのが最初の意味なんですよ。だから第2項だったか何かに,「30日を超えることを得ず」と書いてあると言えるのですよ。ところが,それが最初はそうなのだけれども,いつの間にか意味が変わってしまってね。

3.その他

〇宮澤(浩)会長 もう時間になりました。今日は随分いろいろ論点ができました。今日は民間の活用が少し少なかったかもしれませんけれども。
〇井嶋委員 PFIは説明したような形で今後進めていくのだろうと思います。ただ問題は,本当に中核的な公権力行使の部分を民間にどこまで任せられるかということですが,これも余り後ろ向きの議論をしていたのでは近代行刑に間に合いませんので,やはり前向きな議論を我々としてはサポートしてやるような方向を出せばいいというふうに思いますね。
〇成田委員 どういう中身にするかによって,この部分は民間だろうというようなことではないのですか。
〇井嶋委員 ですから,民活を推進する方向で意見をまとめていってやればいいのだろうと思いますがね。
〇滝鼻委員 お医者さんなんていうのは,ほとんどあれでしょう。
〇井嶋委員 職員である医官もおりますけれども,外部から来ていただいている方も。
〇滝鼻委員 出向の人が結構いるのですよね。
〇宮澤(浩)会長 ですから,心理学の人たちの増加,活用,それから社会心理学とか社会教育学とか社会学とか,そういう人たちを処遇関係のところにもう少し入れるようにするとか。
〇成田委員 これはしかし,非常に今日本は払底しているのでしょう。まだ,そんなに多くないでしょう。
〇宮澤(浩)会長 売手市場が大変だから,なかなか刑務所なんか来てくれないというようなことは聞きますね。
〇井嶋委員 来てくれないからいろんな処遇をするものですから,この前どこかの自治体との間に何か裏取引があるようなことを新聞に書いてあるけれども,刑務所も同じようなことをやっているわけです。ただ,僕は少年院の技官というのは,教官というのは,むしろ,心理学とか社会学とかいうことを素養にしている人たちなのですから,こういう人たちと刑務所の刑務官と,もう少し人事交流をするというようなことも考えたらどうかということを提案しているのですけれども,これも異動を伴うことで,恐らく少年院教官からこちらへ異動しなさいなんて言ったら嫌がられるのだろうと思うけれども。
〇宮澤(浩)会長 管理職はいいのでしょうけれどもね。
〇井嶋委員 嫌がられることも含めて提案をしないといけないと思うけれども,それは内部的にもそういう人たちは結構いるのですよ。ですからパート的に一定期間だけ,月のうち一定期間は,あんたはどこの刑務所へ行って少しカウンセリングをやってきなさいとかいうような使い方とかね。
〇滝鼻委員 管区内は異動させてもいいと思うけどね。
〇井嶋委員 そういうこともあるのだろうと思います。
〇宮澤(浩)会長 実り多い議論を,今日はありがとうございました。


午後5時02分 閉会
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