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トップページ > 省議・審議会等 > その他会議 > 行刑改革会議 第1分科会 第7回会議

行刑改革会議 第1分科会 第7回会議

日時: 平成15年12月1日(月)
14時00分~17時00分
場所: 法務省矯正局会議室(14階)



午後2時00分 開会


○宮澤(浩)会長 それでは,時間になりましたので,第7回の議事を始めたいと思います。
 本日は,実を申しますと我が分科会にとっては,もしかすると最後の分科会になるかもしれません。もし論点が残って更に議論する必要があるとすれば,今度の全体会の後でというようなことがあるようでありますが,詳しい今後のスケジュールについて,まず事務当局からの御紹介,御説明をお願いしたいと思いますので,どうぞよろしくお願いします。
○名取課付 それでは,今後のスケジュールについて若干説明させていただきます。
 まず本日,今宮澤会長からも御説明がありましたように,分科会としてまとまった形で議論をしていただけるのは今日で一応の最後になる可能性があります。それで,本日の会議を踏まえまして最終提言の骨子を作成しまして,これを8日の全体会の日に提示する予定でおります。そこで8日の全体会でその骨子を御議論いただきまして,必要があれば全体会に引き続いて分科会を開いていただく可能性があるということでございます。今のところ,8日の全体会につきましては2時間ほど全体会を開きまして,残り1時間を分科会に充てるスケジュールを考えております。12月8日の全体会で,特にこの第1分科会について大きな議論にならずに,基本的に骨子が了承ということになれば,分科会を開く必要はないかという気もしておりますが,これまでのどうも全体会の議論等を見ますと,第1分科会が扱っている議論についてはいろいろな御意見が出る可能性があるものですから,できましたら分科会を開くということになろうかと思います。
 それで骨子につきましてですが,本日の議論を踏まえまして一応事務局(案)と申しますか,骨子と骨子のまた原案的なものを今日,明日中に作りまして,できましたら3日の午前中くらいまでには先生方のところに届くような形で骨子の(案)をお送りしたいというふうに思っております。その上で,3日,4日,5日あたりにちょっといろいろ私どもの方で先生方の御意見をお聞かせいただく機会を作っていただければと考えておりまして,そういった御意見を踏まえて8日に提示いたします骨子(案)を作りたいと考えているところであります。
 それで,8日でその骨子のついて議論をいただきまして,次の全体会が15日に予定されております。ここの15日の全体会では,その骨子(案)を元にしまして正に最終の提言(案)という,骨子に肉づけしたものを15日に提示させていただきまして,議論していただく。そこでの議論等を踏まえて,最終的に22日に提言をまとめていただくということを事務局としては考えているということでございます。
○宮澤(浩)会長 今後のスケジュールについて,何か御意見がございますか。
○菊田委員 12月8日にまとまりそうになければ,12月8日以後の15日の間に新たな分科会を設定するということなんですか,今の説明では。
○名取課付 8日の全体会に引き続いた分科会でもどうしてもまとまり切らないということであれば,また日程の調整をお願いすることになると思いますけれども,なかなか。
○宮澤(浩)会長 なるべくそうならないようにお願いしたいと。
○名取課付 できましたらば,12月8日中には何とかまとめたいなというふうに思っております。
○滝鼻委員 これも1時間しかないわけですものね。なるべくその日のうちに終わってもらいたいですね。
○宮澤(浩)会長 本当にそう思いますね。12月は,やはり皆さんそれぞれいろいろスケジュールがおありと思いますので,その点是非よろしくお願いをいたします。
○名取課付 その意味でも,やはり骨子をよく検討いただくことが一番我々としても有り難いと思っておりますので,そのあたり是非よろしくお願いいたします。
○井嶋委員 ほかの分科会の骨子は,それはもう8日の当日まで来ないのですね。
○名取課付 失礼しました。そこも,今日第1分科会と第3分科会が分科会を開いていまして,第2分科会については明日開く予定です。そこで一応各分科会の議論がまとまるというか,一応の区切りがつきますので,先ほど申し上げました12月3日中にはというふうなことで申し上げました骨子の案,これについては全部の分科会分について入る予定であります。まとめてお渡しできると思います。

第1分科会・追加論点事項について

○宮澤(浩)会長 それでは,お手元に資料,追加資料といいますか,出所後の云々というのは,これは今日の論点の仮釈放に関する第2ラウンドということで議論させていただくことにいたしまして,何しろ最終的ということになりますと,一応おさらいの意味を込めて申し上げなければならないかと思います。
 あと,第1分科会の追加論点についてというようなものがたしかお手元にあると思いますけれども,これに従って少しずつ申し上げますが,何しろ我が分科会の一つの重要な論点は,処遇というものの在り方についてでありますけれども,その処遇の議論の中で,念押しみたいなことで恐縮なのですけれども確認的な意味でお話をいたしますと,一つが行刑の基本的理念というものであります。皆さんの御発言の中に既にあらわれてはおりますけれども,例の受刑者をして罪を自覚させる。罪の意識,自覚を意識させる。これを十分に醸成させることが必要であるという,そういう点をやはり基本理念の中にはっきりと取り上げるべきではないかということでありますが,この点はいかがでございましょうか。
○菊田委員 一つずつこの論点について検討されるわけですか。
○宮澤(浩)会長 少しずつ。
○菊田委員 それでいいですけれども,この点は最初の会合のときに皆さんからの論点の基本理念についての意見が出まして,おおむね,つまり拘束した中で,社会から隔離した中で受刑者の改善・更生を図り,社会復帰の促進を願う,目的とするという段取りの表現が共通の認識だったと思っているのですが,この表現は「罪の意識の自覚を十分に醸成させる」という,言うなれば刑事思想犯でも問題になった規律優先という表現が余りにも出過ぎていると思いますので,とりわけこの第1分科会の考えというのがその全体の精神に影響を及ぼすことでもありますから,私はこの表現については修正を願いたい。入れるにしても,修正を願いたいと思います。つまり,罪の自覚というのはもちろん必要ですけれども,上からの押しつけによる自覚をさせる,あるいは醸成させるのではなくて,今申し上げたように改善更生を処遇を中心とする中で,当然本人は結果として罪の意識を意識するというのが本来の姿だと思うのです。それがこの表現では,私はちょっと規律優先ということ,もしこれが入りますと規律優先のために処遇があるというようなことが,あるいは罰則がそれについてくるというふうにとられがちなんですね。
○宮澤(浩)会長 なぜ君たちがここにいるかというと,やはり罪を犯したからだねと。
○菊田委員 だからそこのところの表現はあれですけれども,何しろ基本理念というものはこういう抽象的なことでありますと,この抽象的な用語に従って実務が動いていく。非常に重要な表現ですので,ここのところはもう少し,私が申し上げたような趣旨で表現を修正していただきたいと思います。
○滝鼻委員 罪の意識を自覚すると,何で。先生がおっしゃった規律というのは所内規律のことでしょう。施設内規律のことだよね。社会一般の規律ではなくて,施設内規律のことでしょう。
○菊田委員 そうです。
○滝鼻委員 規律あるいは秩序ということでしょう。それがなぜ厳し過ぎる措置のぎりぎりの方に行ってしまうんですか。
○菊田委員 つまり,規律を第一優先とすることによって処遇を図るのか,個別処遇を中心とすることによって規律がおのずから守られていくのかという,その処遇の姿勢の在り方なんですね。
○滝鼻委員 それは僕はおっしゃるとおりだと思うけれども,だけど,だからといってそこに罪の意識はどうでもいいんだと。
○菊田委員 いやいや,どうでもよくない。
○滝鼻委員 そうなったら規律もへったくれもないんであって,自分はなぜここに今いなきゃならないんだ,隔離されているんだという意識は持ってもらわないと。それはもう自由だ,どんな意識持ったって構わないというんだったら,僕は何のために刑務所があるのか分からない。
○菊田委員 そうではなくて,処遇とか個別的な扱いをすることによって,おのずから本人が自覚し,規律を意識するだろう。その規律を違反すればそれ相応の懲罰はこれは必要だという懲罰規定があるわけですから,あえて上からおまえはこれこれ悪いことをしたんだから規律を守れというような意味での理念というのはとるべきではない,と。
○滝鼻委員 規律を守れというのではなくて,罪の自覚を持ってくれ。こういうことですよ,これは。
○菊田委員 その点については構わないです,当然なんです。
○滝鼻委員 だけど,罪の自覚を持ってくれということと,規律が厳格化するということは因果関係はないと思うね,僕は。相当因果関係はないと思う。
○菊田委員 接頭語として何が来るかなんですね。一番最初の言葉です。接頭語というものが何が来るかなんです。罪の意識を自覚するということが。
○滝鼻委員 接頭語は,さっき言ったような二大原則ですよ。二大原則が来るわけだ,僕らが常にやってきた。社会からの隔離と,それからもう一つは社会復帰のために手を差し伸べましょうよという,その二大目的はあるわけ。
○菊田委員 そうです。そのもとにおいて……
○滝鼻委員 それは賛成なんでしょう。
○菊田委員 そうです。この言葉がありますから私は申し上げているわけですけれども。
○滝鼻委員 いや,あの二大目的をこの言葉にかえるという意味じゃないでしょう。
○菊田委員 この言葉をどこに入れるかですよ,どこに。
○滝鼻委員 裁判官だって,判決を言い渡しますよね,刑務所に入る人,入る予定者に対して判決言い渡すでしょう。必ず最後のところに,量刑事情ってあるじゃないですか。同じことを言っていますよ。それを刑務所から外せというんだったら,何のために刑務所があるんだか分からなくなっちゃう。
○菊田委員 いや,それは当然そうなんです。それは結構なんですよ。このことは「醸成させることが必要である」というのは,これはあくまでも管理する側が醸成させることが必要だと,意識を目覚めさせ,「醸成させることが必要である」という表現なのですよ。そうではなくて,今申し上げたような二大なら二大目的があって,おのずから意識を十分に意識することが必要であるということならいいですね。醸成というのは,だれが醸成するか。
○滝鼻委員 書きぶりの問題ね,それは。
○菊田委員 そうです。表現の問題です。
○滝鼻委員 菊田理念と僕の理念はそんなに違わないと思うよ,僕は。書き方の問題。
○菊田委員 ところがこれが言葉になりますと,これは私が危惧するような方向でこの言葉を解釈する人間が出てくるのですよ。
○滝鼻委員 だから,規律秩序を一層厳格にするような書き方はやめてくれと,こういうことでしょう。
○菊田委員 おっしゃるとおりです。
○滝鼻委員 それなら。こういう意識は僕は大切だと思うよ。
○菊田委員 もちろん。それでいいんです。
○井嶋委員 私もこのことだけの記述が表に出るというふうには思いませんけれども,しかしこのことは大事なことだし,特により個別的に言えば被害者に対する物の考え方というのも,こういうところに入ってくるのでしょうかね。
○宮澤(浩)会長 文法的に正しい言い方になるか分からないけど,副詞句としてどこへ入れるかということですよね,こういうような意味を。
○菊田委員 ですから,これはもしあれだったら具体的に理念の中の全体のことの中で,どういうふうにこれを入れるのかということを示してもらわないと,これだけ渡されてこれを入れるのは任せてくれというのでは困るのですよ。この言葉にしても。つまり「醸成」という言葉は,これは表現からいっても本人が醸成することはあり得ないのですから,上から醸成するという意味ですよ。
○滝鼻委員 醸成という言葉は,だけど相当丸まった言葉じゃないの。
○菊田委員 私はそうは思いませんね。これは,やっぱり支配する側が作り上げると,こういうふうな。
○宮澤(浩)会長 これじゃだめなの。「罪を自覚しつつ」とか,「罪を意識し」,「罪を償う気持ちを持ちながら」とかいうようなことじゃいけないの。
○菊田委員 これは具体的にはひとつ検討していただきたいと思いますね。本来これは宮澤先生がこれを入れたいということをおっしゃっているのですか。事務局からの指示ですか,どちらですか。
○宮澤(浩)会長 指示というか,こういうのはやっぱり何らかの形で入れなければいかんのじゃないかねというような合意はありましたけどね。これを出す前の電話による話で。だから,僕は菊田さんとは違って,これを入れたからこれを手がかりにして規律を強要するというような運用にはならないんじゃないかなと個人的には思うので。
○菊田委員 それは先生が思うのは自由ですけれども,それは一般的に言うとこれは私の言ったような危惧につながるのですよ。
○井嶋委員 醸成という言葉が,官側からの他律的なものだというふうに読まれるんでしょう。だから,そこの表現でしょう。
○宮澤(浩)会長 醸し出すという。
○井嶋委員 所内の雰囲気をそういうふうに醸し出すというような意味にとられているわけですから。
○滝鼻委員 どういう動詞を使おうと,中に入った人が罪の意識を自覚してもらわなくちゃ困るんでね,そんなもん,中に入ったからあとは勝手放題,自由にラジオを聞いてもいい,テレビを見てもいい,本読んでもいい,もう24時間電気つけっぱなしにしろと,こういうんじゃ困る。
○菊田委員 それは個別的な規則で全部許された範囲とあれで決まることですから,心の問題ですよね。心の問題を,今これは理念ですから,その表現は大事なことだと思うのです。
○宮澤(浩)会長 今までの文言で,これを副詞的に入れるとすればどんなふうな言葉になりますかね。
○富山調査官 副詞的ですか。もちろん一番の前提としては社会から隔離した上で,改善更生,社会復帰を目指すというというのがまずあって,その上でなんですけれども,そういった処遇をするに当たっては,やはり受刑者が罪の自覚を意識できるような……何と言うんですか。
○宮澤(浩)会長 「しつつ」じゃだめなの。意識しつつ,これこれこれこれに努める。おかしい,日本語にならないですか。「自らの犯した罪を自覚しつつ,社会復帰の努力をする」云々というのだと,隔離が出てこない。
○菊田委員 罪の意識というのは,自由を拘束し,そこに社会復帰のための処遇をし,それにのっとってくれば,言葉であらわすものではなくて,素直にそれに乗っていれば罪の意識を当然伴うわけですよ。言葉で言わなくても,それは伴うことなんですよ。
○宮澤(浩)会長 いや,それは分からないよ。
○菊田委員 いやいや,言葉ででは自覚がありますか,ないかと言ったって,本当にそれが身についているかどうかは,それは。
○宮澤(浩)会長 それはそうだけど。
○菊田委員 ですから,この表現というのはそんなに理念としては余り重要じゃないです。これからずっとこの各論に出てくるように,処遇の分類化とそして徹底的なグループ化ということにいくのには,それは本人がそういう意識を持ってくれるような施策をすべてをそれを統一しようとしているわけですから,それを改めてここでこのためにというふうに抽象的なことで言う必要はないはずなんです。だけども,もしおっしゃるように必要なら,この表現をもう少し別の言葉で考えてもらえばいいと思います。
○宮澤(浩)会長 でも,そう言ってしまったら身もふたもないんで,例えば裁判官がそういう,おまえを無期懲役にするのだと言ったって,内心は,それでもって一生懸命努力して無期だけれども勇気を持って出たいなんて思うか思わないかは向うの自由だというようなことになってくれば……。
○菊田委員 それとこれとは違います。これはもう,新しい法の基本理念ですから。基本理念ですから,その言葉を勝手に自由に解釈できるようなことはあってはならないと思う。もっと普遍的なものでなければいかんと思いますね。
○宮澤(浩)会長 どうなんだろうね。基本的な理念の中に,やはり犯罪者としてきちんと自覚してくれということがない理念ってあるかしら。
○菊田委員 だから,それは私は否定しませんよ。これも社会復帰を目指し,そして再復帰をするという,それに従ってくるということは,当然規律を維持し,そして本人が自覚するということが前提にあるわけですから,それがなかったら規則違反するだろうし,したらそれで懲罰をするということがずっとつながっていくわけですからね。今日,ですからその表現については具体的に再検討してください。
○宮澤(浩)会長 どうですか。よくわからないけど,滝鼻委員に伺いますが,我々つまらない専門家の言葉を使うと,不文の要素というのがあるんです。文章にあらわさないけれども,当然のこととしてそれが前提になっているのだという理屈はあるのですけれども。
○滝鼻委員 法律は国民に対して書くわけだからね。国民が分からない法律は,いくら作っても意味はないと思う。それは菊田先生の言うように,先を読んで先を読んで解釈すればそうなるのかもしれないけど,そんなことは普通の国民は解釈しませんよね。法律読んで,法の目的か何か読むでしょう,第1条と。仮にこの同じことがあったら,これは刑務所はえらいところになりそうだと,規律が厳しくて今より厳しい懲罰がありそうだぞと,その法律を一般国民が読むかしら。専門家だけの法律ならそれでいいかもしれないよ。あなたが言うようなそういう警戒心というのはあるかもしれないけれども,普通の一般の国民が,例えば新しい施設法案ができるとするでしょう,そこの刑務所の目的が書かれたときに,そこまで先を,今宮澤先生がおっしゃったような不文。
○宮澤(浩)会長 文章にならない不文の要素。
○滝鼻委員 不文の要素で十分だというわけでしょう。
○菊田委員 その点はより専門家の先生がいらっしゃいますように,やはり新しい法というものができれば,その法に従ってとりあえず運営していくのは行刑当局ですよ。その行刑当局の専門家がどうこの法案を考えるかという,本筋にかかわる問題です,理念というものは。だから,今おっしゃられた国民も大事だけども,その専門家がどうするかというところが一番大事なことで,それからおのずから解釈が出てくるわけですよ。その解釈が,後々の各論に及ぶところに整合性のない理念というものは,これは理念として値しない文章になるわけですよ。
○滝鼻委員 できることなら,専門家もこう考える,国民一般がこの法律を読んでもこう考えるというふうにやはり一致させた方がいいよね。
○菊田委員 そうですね。そういうことです。
○滝鼻委員 専門家がこう考える,国民は別のことを考えるかもしれない,そんな法律は僕らは作ってほしいとは思わない。
○菊田委員 そういうことです。だから,国民だって国民のすべての意志がどうなっているのかと言われれば問題ですけれども。
○滝鼻委員 いやいや,普通の文章能力を持って,普通の法意識を持って。
○菊田委員 文章じゃなくてね……
○滝鼻委員 法治国家の中に普通に生活している人が,この文章を読んでどう思うかということですよ。
○菊田委員 文章というよりも,むしろ理念です。この理念をどう解釈するかということなんですよ。それを解釈するに当たって,実はこれは規律優先の解釈なんだよというふうに実務家が解釈しているということなら,それは多くの人はそういうものかというでしょう。だけども,今あるのは世界的な国際的な動きとか,あるいは今回の事件に何でああいう事件が起こったか。これは,刑務所内であってはならないことが起こっているわけですよ。その基本理念は,旧態依然として明治41年にできた監獄法というものの精神があっからああいうことが生じたわけですよ。それを今改善しようとしているわけだから,やはり処遇と改善を目指して本人を,自由拘束の中だけども社会復帰を目指すんだという一つの大きな筋を出そうとしているその理念ですから,やはり国民も専門家も納得できる,こういうものであろうという一つの大きな柱をここで立てなければならないという意味で,理念というのが大事なんですね。
○滝鼻委員 だから,専門家だけが先読みするような文言はよくないと思いますよ。
○成田委員 私は,何か難しいよね,文章が。「罪の意識を……」。何か私は「罪の意識を十分に自覚させることが必要である」では,これはだめなの。
○滝鼻委員 考えてもいいかもしれないですね。私は主語がよく分からない,主語が。
○成田委員 そうだと思いますよ。ですから,「醸成」,「自覚の意識を醸成……」。
○井嶋委員 「罪の自覚の意識」と「罪の意識の自覚」というのは,違うんですかね。
○滝鼻委員 いやいや,「醸成」という言葉が。「罪の自覚の意識を十分に」。
○成田委員 自覚させることは必要。
○宮澤(浩)会長 意識の自覚というとおかしいですね,日本語としては。罪を意識させるという……
○井嶋委員 自覚というのは反省……
○滝鼻委員 僕らが書くんなら,「罪の意識を十分自覚させることが大切である」,そういうふうな動詞にする。
○成田委員 そうした方が分かりやすいですね。
○井嶋委員 言葉がちょっとおかしいように思うんですが。
○成田委員 刑務所に入るというのは,そういうことなんでしょう。
○井嶋委員 何か出典があるんですか,これ,出典。
○富山調査官 特にございません。急いで作っていますので。
○井嶋委員 ちょっとこの言葉自身が,解釈がちょっと難しい。
○滝鼻委員 「罪の意識を十分自覚させることが大切である」でいいじゃないですか。
○井嶋委員 それは当然のことだし。
○滝鼻委員 菊田先生,どうですか,それ。どこかにつけるとすれば。
○菊田委員 それはそれでいいんですけども,全体の文章の中でこの言葉がどこに入るかということにも関係あると思いますよ。
○井嶋委員 全体を見るんだけど。
○菊田委員 見なければいけない。だから,今議論してもどこにこれを入れるかということが肝心だと思いますよ。
○宮澤(浩)会長 だから,今までの議論のちょうど共通項になるのは,さっきから出ている,罪の意識を十分自覚させるとか,罪を十分に意識させるとか。それをどこに入れるかはやはり文章の流れの問題ですから,御検討いただくことにして,もう一歩先へ進めさせていただきたいのです。
 それは,もしかするとこれも大事なことかもしれませんけれども,「被収容者の権利義務と職員の権限」というものをどうやって明確化させるかということなんですけれども,今までの整理をすればおのずからそれは出てくるよというふうに考えるべきなのか,それぞれの章の章立て,若しくは文章の中に権利,義務,あるいは権限というようなことをくどいように明記するかどうかということになりますかね。
○滝鼻委員 それぞれの章でしょう。総体的に大づかみで,「被収容者の権利義務と職員の権限」をどこか大づかみでボンと書くというのは非常に難しいことじゃないですか。それこそ菊田さんが言っているように,抽象的に書き過ぎると,それこそ権利の濫用があったり,権限の拡大があったりするんじゃないですかね。
○宮澤(浩)会長 私自身ちょっと気にしていますのは,義務はかなり明確な形で書けるけど,権利というのはほかの法律との兼ね合いでもって,監獄法だけに権利,権利,権利というようなことは書きにくいという問題がありますね。ですから,これはそこのところで,場合によっては権利性を少し明確に出した方がいいのではないかというような議論で,被収容者の問題には指摘できるところがあるかもしれませんし,余り義務の点を強調し過ぎると,これまたがんじがらめになるという印象を与える危険もありますので。それはですから,やはり個別規定若しくは章を通じた精神として,やはり従来と違って,余り処遇の客体だという点が強過ぎるといけないのかなという気がするんですよね。やはりこの監獄法というのは明治憲法下の法律であり,帝国憲法では臣民の義務というのが随分あったけど,権利という言葉は余りなかったということがありますので,それとのかかわりがあるから,ちょっと監獄法と我々が考えていく改革すべき監獄法との間の距離というのは,そこなのかなという感じがしますが。ですから,この第2の論点というのは,個別的に一度我々の提案として出す場合の全体を見て,この点はということをチェックするのに,この第2の論点というのは,留意事項として権限を明確化するということとともにですね。
○菊田委員 それはそれで結構だと思うのですが,ただ,「監獄法の改正においては」というのは,これはどういうことですか。部分改正を言っているのか,改正ということになると,これは現行監獄法を改正するということなのですか。それとも新しい法においてはということなら,そこのところを明確にしないとね。
○富山調査官 この言葉は,あくまでも刑事施設法案のような監獄法の全部改正を念頭に置いての表現です。
○菊田委員 だけど,それは監獄法の改正じゃない。
○富山調査官 全部改正も改正ではあるんですけれども。言葉は「全部改正」と書いてもいいと思いますけれども。
○井嶋委員 私,第1回の,あるいは冒頭の方の最初の方の議論でちょっとこの点触れましたし,意見書にも書いてありますけれども,今度の全面改正法と言いますか,改めるについては,どういうふうに書くかということがあります。執行法みたいな形で書くとすれば,刑務官が何をするという権利,あるいはそれをきちっと定めるという形で書いていくという形,従来と同じような形になるのだろうと思いますが,そうなりますと結局現在非常にあいまいである権限をもっと明確化する,あるいは権限発動の要件を今までのように広過ぎないように厳しくきっと決めるという,要するにすべて法律で明定をするという基本姿勢で作り上げていく。そうしますと,当然その裏腹として,それによって被収容者が守られる。被収容者が,それも反面として,あるいは権利まで高められるかどうか分かりませんが,被収容者の法的地位がその反面として固まるという形でもって保障されるという書き方になっていくんだろうと思います。ですから,監獄法のように大ざっぱな規定だけではだめだと。今回の法律ではきちっと権限を書き,要件を厳しく書き,近代行刑法として改めるということを打ち出したい。その反面として,被収容者の権利が認められ,法的地位が認められるということになるんだから,そこをしっかり書くように改正してもらいたいということを提案しているわけですが,そんな方向でいいんだろうと私は思っております。
○宮澤(浩)会長 そうですよね。具体的な点は施行規則だとかそういうものになるかもしれないけれども,しかし現行監獄法と比べれば,今まで規則に委ねていたものを少し格上げして,どのような権限のもとでそういう処遇関係が形成されていくのかというようなことは,やはり文言化すべきですよね。
○井嶋委員 その反面が,法的地位だということだと思うのですね。
○宮澤(浩)会長 それでは,これは共通の理解ということで進めさせていただいて,3番目も,こういう書き方をしていますけれども,我々の立場とすれば昼夜独居について要件・手続をきちんと決めるということと,収容期間については6か月,3か月ごとに更新するという,そういう点を最初のたたき台として出てきたのだけれども,これについてはもう少し短い期間にしたらどうだということも,この分科会の合意であるというふうに考えてよろしいですねという念押しです。
○菊田委員 これで実はちょっと申し上げたいのですけれども,「戒護のための独居」というのは,つまり厳正独居も入れているわけですね。
○富山調査官 現行の実務の用語で言いますと,そういうことになります。
○菊田委員 厳正独居のことを具体的に指しているわけでしょう。
○富山調査官 「戒護のため」というのは,監獄法施行規則の第47条に基づく独居拘禁をこう呼びますので。
○菊田委員 ですから,その中の具体的に出てくる厳正独居というのは,私はこの際廃止してほしいと主張しているのです。廃止すべきだと。つまり,昼夜間だれにも会わせない,運動も一人,その他一切孤独な生活をさせ何か月も送るというのは,これはそういう対象者がいるというふうに反論が出てきますけれども,諸外国でそういうことをやっているところはないのです。例えば厳正独居の日本の対象者でも一人か二人,ほかの受刑者と一緒に何分でも何時間でも時間を合わせるようにその人に応じて処遇していくという意味では,日本で言う,言うなれば緩和独居制ですね。緩和独居制は必要だと思いますよ。だけども厳正独居というのは,それでも一人しか置けない場合もあるでしょう。だけども,規則なりあるいはその他の約束事で,本人が他人に危害を加えないとか,あるいはその他の事情が緩和できれば,いつでも常にそういう他の人たちと接触させるという方向でのものであるというのがしかるべき在り方だと思うのです。そこのところをネグレクトして,ただ単に昼夜独居ということを問題にする以前の問題として,これはちょっと考えていただきたいと思うのですよ。
○宮澤(浩)会長 これ,僕全然知らないから聞くんだけど,アメリカでもないの。
○菊田委員 ないです。ソリッドセルというのはありますよ。それは日本で言う厳正独居です。それでも,運動するときは他の受刑者と一緒に,あるいはゲームさせたり,それをさせるのです。そうしなければしないほど,ますますノイローゼになったり人間というのはおかしくなるのは当たり前のことなんだけども,なるわけですよ。だから,結果的にそういう者は他の人間と会わせることができないというのだけれども,発想が別なんです。積極的に,どうして接触させるかという努力をしなければいけないのですよね。
○富山調査官 外国の運用についてですが,一緒に見に行ったイギリスでも,セグリゲーション・ユニットというのがあって,そこではいわゆる独居拘禁されている。運動場がありましたよね,テニスコートの半分ぐらいの運動場。ここへ出すときは複数ですか単独ですかと聞くと,やはりほとんどの受刑者は単独で出しますとあのとき説明を受けたはずなんです。ですから,やはりどうしても一緒にできないケースというのはあると思うのです。
○菊田委員 ありますよ。
○富山調査官 アメリカでも,私平成10年ぐらいにマリオン刑務所というかなり警備度の高い刑務所を見に行っているのですが,そこでもやはり受刑者を実際に運動場へ連行する場面を見ているのですけれども,もう足と手に鎖をかけて連行しているんですよ。もちろん一緒にしていませんよ,ほかの受刑者と。
○菊田委員 そういうのがいることは認めるのですよ。ただし,日本のように,統計がありましたように何十年というのが厳正独居いるんですよ。そんなばかなことを世界的にやっている国はどこにもないのです。しかもそれが何百人もいるんですよ。
○富山調査官 何十年もやっている者は何百人もいませんよ。
○菊田委員 それはいないんだけども。
○宮澤(浩)会長 混乱するんだ。
○菊田委員 だからそういうものの存在は否定しない。けれども,短期間置いて徐々に緩和するという方策の上でそういうことをやっているわけですよ。それをただ隔離だけが目的の対象者だという物の考え方はやめるべきなんです。だから厳正独居という言葉は,これは実務的に使わない方がいいと思いますよ。現実にそういうことがあったとしても,これは昼夜独居でいいんですよ,現実にあったとしても。
○滝鼻委員 法律用語じゃないんでしょう,厳正独居というのは。
○富山調査官 実務上の用語なんですよね。いわゆる監獄法施行規則に独居拘禁の内容を定める条文があるのです。昼夜独居房に入れて,運動とかそういった必要な場面以外は居房外に出さない。それをその条文どおり厳正に行うのを実務上厳正独居と呼んでいるのですが,それはあくまでも実務上の言葉ですので,新しい法律ではもちろんそんな言葉は考えておりません。
○菊田委員 もちろん現行法に言葉としてないんだから当たり前のことだけども,事実上そういう厳正独居というのがあるということが,これはもう共通になっているわけだから。
○井嶋委員 更新とかいうのは,厳正独居にはなかったんだっけ。この6か月ごととか3か月ごととか。
○富山調査官 現在は独居拘禁は原則6か月なのですが,3か月ごとに更新ができるということになっております。
○井嶋委員 ということでずっと続いているわけですね。
○富山調査官 それが積み重なった結果,菊田先生がおっしゃるように非常に例外的なケースですが,20年というような者も現におります。1名か2名という話ですけれども。
○井嶋委員 これは,今度の短くするということはいいとして,同じような結果が出ることは認めているわけですね。
○富山調査官 上限というのは特に,新しい法案でも設定はしておりません。
○井嶋委員 必要な場合があるからね。
○富山調査官 あるかもしれないということです。
○井嶋委員 必要な場合を考えて,一般的な大多数はそんなことないんでしょう,菊田先生の調査でも。
○菊田委員 そうです。
○井嶋委員 4~5件かそのぐらいでしょう。
○菊田委員 いやあ,そんなことは。厳正独居というのは,とにかく4年か5年なんていうことはないですよ。
○富山調査官 ですから,極めて長期にわたるのは,本当の数人ですよ。これは質問主意書の回答も前回か前々回かこの場でお配りして何年あるというをお見せしたと思いますけれども,ごく一部医療刑務所とかそういうところで極めて長い者がいます。それはお配りした資料のそのとおりですけれども。
○菊田委員 それは医療関係ではなくて,訴訟を起こしている人間とか,長期にわたって拘束されたのがいるわけですよ。だから,4~5年ということはあり得ないです。もう少し正確な資料を出してください,それは。
○富山調査官 いやいや,この間お出ししたじゃないですか。あれ見ていただければ,先生分かるんですよ。
○菊田委員 その数字では幾らぐらいになっています。訴訟を起こしているとか,あるいは学生運動やったやつで連続で入ったのがいるでしょう。
○井嶋委員 しかし,訴訟が終われば終わりでしょう。
○富山調査官 訴訟だからといって,独居拘禁にしておりませんし,必ずしもですね。
○井嶋委員 事実の認識が違っているのかな。
○富山調査官 以前,「無期刑囚の執行期間と医療体制に関する質問主意書」というもので。
○名取課付 第5回の資料です。
○富山調査官 その質問趣意書の中で,別表の2というのをお配りしていたと思うんです。ちょっとすいません。44と右下に数字が振ってあるページに別表2というのがあると思います。別表2というのが,これが昼夜間独居拘禁をこの調査の時点で長期間継続している者。
○菊田委員 これは,25年以上30年未満とか,むちゃくちゃでしょう。そんな話を私は言っているのではないですよ。
○富山調査官 読み方を見ていただきたいのですが,右側は要するに無期刑の者で,刑期の執行期間が長い者ですね。それについて,例えば何年昼夜独居になっていますかということで,見ていただきますと,例えば大阪刑務所では一番長いのが16年3月昼夜独居になっている者がいます。岐阜刑務所でも1名,16年2月なっている者がいます。城野医療では,一番長いのは32年3月という者がいます。というような形で,確かに何十年と言えるような者もいますけれどもね。
○菊田委員 短くたって,1年8か月でしょう。
○富山調査官 これはなっている者を引っ張っているんですよ。昼夜独居拘禁になっている者。なっていない者は数えておりません。この調査の時点で昼夜独居拘禁になっている者について,その刑の執行期間,いろんな長さがありますが,そのことで一体今までにどのぐらい昼夜独居拘禁が続けられてきたのかというのをとったのがこの資料なのです。ですから,何十年もと言われると確かにいるのですけれども,そんなにべらぼうな数ではないということですね。
○菊田委員 それは国際基準から言っても残虐だと言われているんですから。
○井嶋委員 これはおそらく個別に事情があるんだろうと思うのです。ですから,個別の事情をチェックするというか,審査するというか,そういうシステムは必要かもしれませんけれども,必要な者は独居拘禁せざるを得ないわけですから,そういう余地は残す必要があるんですね。
○宮澤(浩)会長 この別表の宮城刑務所に二人いるというのは,一人は27年0月,もう一人は27年8月。それがこの長い期間独居拘禁を受けているということですか。
○富山調査官 そうです。ですから,これは非常に長い例です。
○宮澤(浩)会長 だけどそういうふうに聞くと,なぜだろうと僕らは思いますがね。なぜ27年も独居でなければいけないのか。例えば精神障害の程度が高くて,一緒に人と会わせたら途端に刃傷ざたになったりするというような事情があるとか,あるいは何か暴力団なら暴力団の幹部級の人で,その者と一緒になると途端にインフォーマルな上下関係が表へ出て,とても管理上具合が悪いとかというような,そういう何か,でもその暴力団の親分なんていったら27年もいるわけはないので。
○井嶋委員 これは精神障害とか,そんなものじゃないでしょうかね。おそらく無期だと思いますね。
○富山調査官 そうです。無期です。
○井嶋委員 ですから,無期の受刑者で,本人自身が外とつき合えないとか,そういう本人に事情のある場合というのも結構あるんだろうと思うんですね。ですから,個別にいろんな事情があると思います。それを,やはりどこかがチェックするようなことは必要かもしれない。それはだから更新制度を作っているんだろうと思いますから,その理由が通るか通らないかというか,今後視察委員会や何かができたら,やはりチェックされていくんだろうと思うのですね。しかし,システムとしてなければ困るという部分があるわけですから,おっしゃる意味は,廃止してしまえということになるとちょっと困ってしまうのではないかという気がするのです。
○菊田委員 先ほど私が申し上げたのは,全国に2,000人いるなんて言ったのは,こういう長期のことを言っているわけではないわけですよ。6か月とか1年近くとか,そういう形でも昼夜独居にして,そして一切外界から遮断するというやり方,これはやはり懲罰じゃなくて,非形式的に所長の方の一存で専断でやっているわけですよ。そういうものがあること自体が,やはりこれは改正すべきだということを言っているわけです。昼夜独居が必要なのもいますよ。だけども,そういう者でも他の受刑者と接触させる機会を設けて,その中での昼夜独居というものであるべきだと。それを何か月も何か月も一人だけで置くといういき方というのが,やはりこれは改めるべきではないかということを申し上げているわけです。
○滝鼻委員 右側に書いてある25年以上30年未満というのは,何の……。
○富山調査官 それは刑の執行期間です。
○滝鼻委員 45年以上って,これは無期の人ですか。
○富山調査官 もちろんそうです。それは無期です。無期を調べたものです。
○滝鼻委員 これ全部無期ですか。全員無期か。
○富山調査官 無期の刑の執行期間を調べて,その執行期間ごとの昼夜独居拘禁者を調べているものです。
○滝鼻委員 何十年も入っているのが2,000人いるということはないよな,これ見ると。
○菊田委員 それはないです。
○滝鼻委員 さっきそういうような言い方をされたから。
○菊田委員 そうじゃない。無期だけじゃないんですよ。普通の懲役囚で,短期の懲役囚でも厳正独居に入れるわけですよ。
○滝鼻委員 だけど,それは何十年にはならないわけでしょう。
○菊田委員 なりません。
○滝鼻委員 だって有期刑だったら出ちゃうから。
○菊田委員 だから,在監中ずっと厳正独居に入っているのもいるわけですよ。
○滝鼻委員 そうすると,今菊田先生がおっしゃった,生活時間は一人暮らしさせるとしても,その他の時間帯で他の受刑者と接触させるというのは,具体的にはどういうことが考えられるのですか。
○菊田委員 お風呂ですね。運動。
○滝鼻委員 入浴と運動。
○菊田委員 ゲームをする時間とか読書の時間とか,そういう自由な時間に他の受刑者と少しでも接触させると。危険であればだめですよ。危険でない場合は。
○滝鼻委員 どういう接触の仕方が考えられるのですか。
○菊田委員 今申し上げたように,運動も他の受刑者と一緒にやらせてみるとか,読書も一緒にできるとか,ゲームもできるとか,あるいはシャワーを一緒にとれるとか,そんな形でやっていかないと。
○滝鼻委員 おっしゃることはよく分かった。だけど,僕のこれは推測ですよ,実態は聞いてみなきゃ分かんないけれども,そういうことをさせると何か事件を発生させたりけんかが起きたり暴れたりなんかして,全体の収容所の空気を悪くするということで,ひとり暮らしさせているんじゃないのかね。個別の理由があるんじゃないの。
○菊田委員 ですから,義務違反です。そういう危険なことが起こる危険性のあるやつはできませんよ。だけど,おまえは規則を違反しなければ他の受刑者と接触させるよと,こういう形での処遇の在り方が大事なんですよ。
○滝鼻委員 だけど,更新時期というのはあるんでしょう,これ。
○富山調査官 あります。今短くしようとしているわけです。
○滝鼻委員 そういうときに,そういう点をチェックするわけじゃないの。改まってきたら,雑居房へ入れたり,ひとり暮らしを解消してやることもあり得るんじゃないですか。今言ったのは,日弁連のこの意見書の本林さんという人,会長さんかな,この意見書の中にも,今菊田先生がおっしゃったようなことが書いてあって,厳正独居は国際的に到底通用しない制度であるかどうかは僕は知らないけれども,この機に廃止せよと書いてあるわけです。しかし,一気に廃止するとの結論に達するのは困難であれば,原則3か月,1か月ごとの更新を認めて,最長何か月にしろという,この数字が正しいかどうか僕には分からないけれども,この辺をもうちょっと弾力運用したらどうだということを日弁連は提言しているのでしょう。今ここを読んだ宮澤先生のペーパー見ても,「要件・手続を法定する必要がある」,これはそうだよね。今度法律に書くと。「収容期間については,当初6か月,3か月ごとに更新」というのは,更新時にチェックするわけでしょう。それで,改善されれば二人暮らしにしてやるとか。それがなぜ反対なの。
○菊田委員 反対ではないです。私が申し上げているのは,厳正独居ということについてです。これは昼夜独居ですから……
○滝鼻委員 厳正独居を廃止するというと,どんな暴れん坊でも,一人暮らしはだめだと,こういうことになるわけ。
○菊田委員 厳正独居という名のもとで,現状はですよ,現状は他の受刑者ともうまくやられるのでも入れているわけですよ。
○滝鼻委員 分かってきた。要するに刑務所側は権利の濫用をしていると,こういうこと。それは,そういうことやってはいけない。
○井嶋委員 だから,更新のときのシステムをきちっと。
○滝鼻委員 受刑者の態度を見て,複数生活ができるようだったら戻すことだってあるんでしょう。ないの。
○富山調査官 もちろんあります。
○滝鼻委員 厳正独居というところに入れてしまったら,一生厳正独居。
○富山調査官 いえいえ,そんなことはないです。
○菊田委員 それはないですけど,所長の裁量でどうでもできるということです。
○滝鼻委員 だから,所長の裁量じゃなくて,ここに今宮澤意見で書いてあるのは,「要件・手続を法定する必要がある」と書いてあるじゃない。これも反対なの。
○菊田委員 そうじゃない。それは反対じゃない。
○滝鼻委員 じゃ,いいじゃない。今菊田さんの意志を継いでいるんじゃないの,これ。
○菊田委員 そういう意味ではいいんですよ。だから,ここの裏に隠れている……
○滝鼻委員 一般国民が読むとそう読めるよ,宮澤意見というのは。
○井嶋委員 廃止しろとおっしゃるからちょっと過激過ぎるので。
○滝鼻委員 日弁連会長ですら,結論に達するのが困難であれば,これでこういうふうに書いてあるんだよ。
○菊田委員 私の言っているのは,こだわるようですけれども,厳正独居というものを明確に今の実務からやめていただきたいということを申し上げている。実務上の運用を。だから,これによって。
○滝鼻委員 どんな暴れん坊でも,一人暮らしはだめだとこういうわけ。
○菊田委員 そうじゃないです。それは単なる昼夜独居というものですよ。
○滝鼻委員 だから昼夜独居にすればいいんでしょう。
○菊田委員 そうです。
○宮澤(浩)会長 厳正独居でも,更新制度はあるんですから。
○菊田委員 いや,あっても。
○宮澤(浩)会長 あってもとおっしゃるけれども,運用がいかんとおっしゃるだけであって,システムが機能すればいいわけでしょう。
○菊田委員 そうじゃなくて,昼夜独居の中に厳正独居も入るとしますよね。そういうものでも,昼夜独居の中で他の受刑者と一切交渉させない,あるいは読書させない,と。
○滝鼻委員 だんだん菊田先生の言い方は分かってきたけど,要するに権利の濫用があると。所長の胸三寸によって,このやろう,訴訟を起こしたからずっと一人暮らしにさせておけと,そういうのは権利の濫用だからだめだと,こういうことを言いたいわけでしょう。それは,更新とか手続を今度は法律で決めるということがあるし,それから視察委員会というのもできるかどうか,ほかの分科会の話だから余計なこと言ってはいけないかもしれないけれども,というような報告がこの間あったでしょう。そういうところでチェックできるんじゃないの。
○菊田委員 当然そこでチェックできるはずです。
○井嶋委員 ここでは,更新期間をより短く設定するべきであるという提案で十分だろうと思います。
○滝鼻委員 権利の濫用というのは,名古屋事件がそもそもそういうことから始まっているわけだから,だからこういう会議ができたんだから,やはり職員の権利の濫用というのは厳正独居に限らず戒めなければいけない。それがさっき一番先生がおっしゃった,簡単に言えば今度できるかもしれない新法というのは,要するに刑務官職務執行法みたいなものなんだと。その反射的効果として,受刑者の権利とかそういうのが浮かび上がってくるとこういうことだから,ともかく刑務所側の権利の濫用を防止しようというのが我々の議論ではないですか。
○菊田委員 そうです。
○宮澤(浩)会長 だから,できるだけ法律に明記するようにということですよね。今までは,法律は漠然として,しかも国家中心,管理中心だったわけで。
○井嶋委員 もとの決めがないから,濫用という意識もなかったのかもしれない,ある程度言い方を変えればね。
○滝鼻委員 受刑者殴ったりなんかするのは,やはり権利の濫用でしょう,それは。
○宮澤(浩)会長 多分懲りてくださっただろうと思うのですよ,今度の。
○成田委員 私は,やはり教育の問題だとか,そういう問題もあると思うんですよね,刑務官。だからそういうようなことを書いた方がいいんじゃないですか。
○井嶋委員 刑務官の教育ね。
○富山調査官 第3分科会の方で,それは見ていただいていまして。
○名取課付 人権意識を高めるためにどうやるべきかというのは,第3で議論していまして。
○成田委員 そういうような形で,これはやってはいけないことはやめろよということなんでしょう。濫用しちゃいかんと思うからさ。
○宮澤(浩)会長 ちょっと説明としまして,第4の論点も,実は第3の論点と同じ同根なんですね。問題は,今まで要件・手続というものがきちっとしていなくて,先ほどの言葉を使えば所長の胸三寸で行われていて,そこに濫用が非常にあったというようなことから,第3の論点と同じように「要件・手続を法定する」。そうすることによって,これまで言われていた保護房の収容を一種の懲戒の手段として使うというようなことは当然なくなるであろうと我々は期待するわけですから,こういう必要があるということはもう反対はないわけで,いやそれはもう,そんなもの規定したら自分たちの自由が束縛されるなんていうのは,正に今の現状を追認するだけのことなので,やはり第3と同じように第4はきちんと法定しようじゃないかというのは,これはもう皆さんの合意だと思います。
 そこで,第5番目の問題点というようなことになろうかと思います。これもある意味では当然だったのかもしれませんけれども,「受刑者による悪質な暴行事案等について,刑事事件として厳正に立件すべである」,これは単なるあれですね。これを法律に書くことはないでしょう。
○滝鼻委員 これなぜここに出てきたんですか,これ。
○宮澤(浩)会長 こういうことをまだ議論していないからどうだろうという。
○菊田委員 現在もう既に行われていることですから,何も。
○滝鼻委員 今まで隠していたというわけではないんでしょう。
○宮澤(浩)会長 でも,余りそういう理由でもって公訴の提起があったというのは少ないんじゃない。
○富山調査官 年間数十件あるかないかでしょうか,受刑者同士の傷害事案とか。やはり懲罰で済ましてしまうというケースが結構あったということは言えるんですね。
○宮澤(浩)会長 それをそうじゃなくて,刑事事件として立件してきちんと。
○井嶋委員 寛厳よろしきを得るという,その厳の方も忘れてはいかんということなんですね。
○滝鼻委員 ただ若干僕は違和感があるのは,今回この行刑改革会議というのは公判中だから有罪か無罪か分からないけれども,名古屋事件をきっかけにできたわけでしょう。処遇のことを考え直そうと。そのときに,殊更受刑者だけの暴行をここに柱にして,柱にするかどうかは別にして,職員によることを何も言わないというのは,何かちょっと違和感はあるね。だから,言わずもがなのことじゃないのかなという感じがしますよ。
○菊田委員 現にそうなさっているわけだから,改めて私はこういうふうに書くこと自体が不自然だと思いますよ。
○滝鼻委員 ただ今ちょっと聞いて気になったのは,今までは懲戒処分で終えていたけれども,そういう内々の処分だけではなくてちゃんと立件せよと。どうなのかね,だけど。今までは……。
○宮澤(浩)会長 元検察官としての御意見はいかがでしょうか。
○滝鼻委員 その前に懲戒処分で全部片づけて,本来刑事事件にすべきものを伏せていたという傾向がやはりあるんですか。
○井嶋委員 だからそれがあるんじゃないかということを,件数を見るとそれほど多く,発生している傷害事件と比べるとそれほど多く送致されていないという面は確かにあるんだと思います。しかし,逆に懲戒で済ませてしまうということで,所内に司法というものが入らないことが,何か今回のような問題につながっていないかという反省もあるわけですから,ですから起訴権を持つ検察が介入する部分も必要なんだということをもう一回リマインドしてもらうという意味では,必要なことかなという気はするんです。ただ,滝鼻さんおっしゃるように,では職員の暴行もはっきり書けとこうおっしゃると,それは当然のことなんです。それは当然で,これも当然だから余り書く必要はないだろうという御議論はよく分かるのです。
○滝鼻委員 だけど同じ法務省だからね,検察庁もそうだし,検察庁は独立はしているけども,法務省の一応傘の中にあるわけでしょう。矯正局もそうですよね。そうすると,身内のことは余り立件しないという風潮はあったわけですか。
○井嶋委員 まあ,そういうふうになるのかどうか分かりませんが,それが一つ司法が入らない部分で何か職員との癒着というか,一種の取引というか。
○宮澤(浩)会長 一種の取引ですね。
○井嶋委員 アメリカで言う,本当はこのぐらい重いんだけども,罪一等を減ずるから,そこで。
○滝鼻委員 司法取引,バーゲニング。
○井嶋委員 そんなことがあるか分かりませんが。
○宮澤(浩)会長 ないけれども,そういうこともあり得るわけでしょう,もしそれがはっきりしていないと。
○滝鼻委員 だけど,バーゲニングは,何も刑務所の中の事件だけじゃなくてさ,あらゆることに今司法取引あるわけで,殊更ここをバーゲニングしているから今度はっきりさせよう,全部公表させようと。
○井嶋委員 しろとは言いませんが。
○宮澤(浩)会長 外国ではあり得るのですけど。
○成田委員 今の時代は,やはりオープンにするという思想が必要なんじゃないですかね。だから,そういう慣行にしてやるべきものをやらないから,そういうことだったんじゃないんですかね。
○井嶋委員 おっしゃるとおり,もうやらなければいけなかったんですよね。
○滝鼻委員 だけど,提言にこういうのが入ってくると,今まで何かなあなあでやっていたのかよという印象はぬぐえませんね。
○成田委員 でしたら,もっと抽象的な文言でいいから,何かそういうものが想像できるような。
○滝鼻委員 だからこれ提言だから,そうですね,法律事項としてはなじまないかもしれないけど,刑務官に対する暴力も受刑者同士の暴力も,それから刑務官が受刑者に対する暴力も,今井嶋先生がおっしゃったように刑務所というのを余り聖域にしてはいけない。司法の目がきちっと届けなければいけないということは,全体として,法律には書かないかもしれないけれども。
○宮澤(浩)会長 前言の前言みたいなものでね。
○滝鼻委員 どこかにそういうことを入れておいてもいいんじゃないかな。
○井嶋委員 そういうのがどこかに入ればね。そんなことですね。
○成田委員 それと,私はこの間諸外国の刑務所を見てきたというお話,違うんだなあと。かなりやっぱり違っているねという思いをして,そういう話をある人にしたら,おまえちょっとこれ読んでみろってくれたのが,犯罪者処遇の基本理念というあれで,これはむしろ先生方にお聞きしたいのですが,1970年,75年から欧米の刑の処遇の思想が変わってきたというようなことを書いているのですね。日本はもう明治44年とか何とかさっきから出ていますね。例えば欧米諸国やスカンジナビア諸国においては,犯罪者に対しては単に応報としてあるいは社会からの隔離の手段として刑罰を科すべきであり,犯罪者を改善しその社会復帰を図るようなことはすべきではないという反社会復帰思想が提唱されていると。要するに70年,75年から全然違うと。医療モデルだとか更生モデルとか何とか,そういうことではなくて,何かそういうスタンスがあるから犯罪者に対する姿勢が処遇が違うのかなと。だから,こういう問題はもう当然専門家の方々は御存じで,だからそれはもう君,君の言うのは違うと。しかし現前にある文書として出てきて,欧米でそれを実際やっているということ。どうなんですか,それは。
○宮澤(浩)会長 その問題は,実はこういうことがあったんですよ。そのころに,アメリカと特にスカンジナビアで,いわゆる社会復帰行刑という思想で,お金を注ぎ込んで一生懸命施設をよくして,施設の中の生活が外部の生活に近いものであるべきだというようなことでみんな処遇要件というのをやってきまして,ちょうど70年代の初めにアメリカのマーティンセンとかいう,あれはノルウェー系のアメリカ人か何か知りませんが,彼がそういう処遇をやっても実は普通の処遇をやって出たのと比べて再犯率はそんなに違わない。だから,社会復帰というのは神話なんだという,そういうことを議論して,それ以来第二次大戦以後の日本の行刑と言うのは,実は国連の犯罪防止会議の最低基準とかいうのに合わせるように,そしてかけ声としては社会復帰ということでやってきた,その社会復帰というのが,言ってみればはしご外されたみたいな状況になったので,これはアメリカやスカンジナビアみたいに本気で社会復帰をやったんなら話は別なので,日本みたいに今までの監獄法という古い器をそのまま使って,それを利用して社会復帰をけなげに努力してきたのに,そのものとアメリカやスカンジナビアでやめようじゃないかというのと一緒くたにされては困るというようなことで,僕はどっちかというとアメリカやスカンジナビアの反処遇思想というのは,これは事情が違うのだ。だから日本の場合は,戦後に一生懸命になって最低基準を目標にして追いつき追い越せみたいにやっている努力は続けるべきだというのは,僕はそう議論したのです。それを保守的と言われれば一言もありませんけれどもね。菊田さんはどういうスタンスだったっけ。
○菊田委員 基本的に同じなんですね。先生のおっしゃるように同じですよ。ただ,今抽象的に言われたけれども,日本というのはスカンジナビアやアメリカのようには,そんなに個別処遇に対しては努力していなかったという。監獄法ですからね,当然お分かりになると思いますよね。ですから,今からその点についてはアメリカなりスウェーデンの満たされるような条件に持っていかなければいけないわけなんですよ。持っていったところのアメリカやスウェーデンの反省と日本とは,ちょっと事情が違うということの意味で,私は同じことを言うわけです。
○成田委員 私も何もアメリカのあれがいいとは言わない。やはり世の中の,社会の市民意識なり何なりが変わってきていますね。むしろ日本だってアメリカに近くなっている部分もあるだろうし,それはすべて是とはしないのですが,何か私はやはり今の犯罪の状況等々を見ても,何か割り切り方も必要なんじゃないか。検察,警察,刑をあれする側においてもね。例えば私一番違和感を覚えたのは,おやじさんという制度,日本の美風であり何とかだと。そういうことするから,キャパシティオーバーで,とてもこれノイローゼになってしまうよという気持ちを持ったのですね,刑務官に対して。
○宮澤(浩)会長 それ,実はこの間の全体会議が終わりまして,どの委員だかちょっと,僕はもう名前とお顔が一致しないので,ある委員から,一切合財今のような日本の担当制というのをやめたらどうだということが言われましたので,実を言うとある意味では刑務官の中で担当になれるということが一つのトップイメージといいますか,おれもやっとそこまで所長か処遇部長から信用されるだけの者になったんだなという一緒の誇りみたいなものがどうも担当というものにはあるらしい。つまり励みとしてね。だから,そういう意味でむげに担当という制度を取っ払っちゃって,そうなると刑務官というのは,特に看守というはある意味で江戸時代の牢役人みたいにただ保安を維持するお目付役というふうなことだと,逆に退廃堕落する危険があるんじゃないですかねと,個人的な意見としてその方には申し上げたのですけれども,ここの議論でも担当制を全部やめろということはなかったように僕は意識するのです。
 ただ先生がおっしゃったように,それからたしかこれは滝鼻委員から出たのかもしれないけど,今の社会状況から考えると,そういうふうに自分が担当として預かった者を一生懸命になってある意味で全人格的な努力をして直すなどというようなことを,刑務官にも期待するのは無理かもしれないし,受ける側の受刑者も昔のようにおやじさんなんて言って心を傾けるなんていう者がだんだんだんだん,処遇困難者が増えると出てこなくなるとすると,果たして全部の施設にこういうことが言えるのかなということは話の中で出てきたように私は感じたのですけど,どうなんだろう,この点。
○菊田委員 担当制については,やめるという話じゃなかったですか。
○宮澤(浩)会長 やめるというのは一致はしなかった。一部には出たかもしれない。
○菊田委員 処遇の個別化ということを徹底すれば,今の収容分類も問題になるし,累進処遇をやめるということになれば,逆に個別処遇する上にはそういう結果が出てくるわけでしょう。それから,刑務作業の1日8時間も短縮しようということになっているわけですから。そこで私,今そういう意味ではいい意味での担当ということをかなり強調されていますけれども,悪い意味の担当が,ボスの弊害が多いのですよ。たまたま今回,私が昔から知っていることですけれども,行動視察表というのが担当が日常ごとにつけているものが出てきました。これは,今までの本当は矯正当局も資料として出すべきだったのだけれども,一切我々に示さなかったですよね。これは,要するに加点,いいことをしたら加える。それから減点はマイナス点です。これが何と38項目の,もっとですか,40,50項目にわたってこういうものがあって,担当が工場を監視しながら,全部これマイナスかプラスつけているんですよ。それは合計点になると,何点以上になれば優遇措置を剥奪するというような形の措置として行われているわけですよ。
○井嶋委員 どこでも全部。
○菊田委員 それすらが明らかにしていないのです。私の認識では,全国の刑務所がやっているはずです。そういうことで,結局担当というのは自分の担当した受刑者を,もうあらゆる権限を持っているのです。累進処遇を上げようが下げようが,日々の行動で。こういう規律違反そのものが非常に主観的判断です。これを取り上げるか取り上げないかは,担当者の自由裁量になるわけですから。だから,担当というのはすべてなのです。もうこの人ににらまれたら,ひどい目に遭う。そういう関係にある担当制というのは,今の合理的な処遇の基本的にこれは障害になっているわけですよ。是非ともこれを問題にしてもらいたいと思いますね。
○宮澤(浩)会長 神戸刑務所か何かに,何か随分たくさん。
○菊田委員 関西の新聞に大きく出たのです。
○宮澤(浩)会長 それのもと,ああそう。
○滝鼻委員 新聞に出ましたよ,2~3週間前に。関西じゃなくて,東京にも出ましたよ。
○宮澤(浩)会長 神戸刑務所であるといって,僕に質問が来ました。
○滝鼻委員 ただ,何か減点主義でやるんでしょ,これ。
○宮澤(浩)会長 ただ,矯正局としてはそういう細かいことまでチェックするべきではないと。
○菊田委員 私が知っているぐらいだから,矯正局が知らないわけはない。
○宮澤(浩)会長 そうじゃなくて,そういうコメントをたしかテレビか新聞に出したんじゃないですか。
○井嶋委員 是正しろという指示をしたということを言っていたよ。
○菊田委員 全部ですか。
○富山調査官 要は,神戸の件が新聞に出たので,矯正局でも保安課で取り寄せて,中を見たそうです。余りにも非常識な細かなことまで減点項目になっている。これは見直しの必要があるでしょうということで,管区を通じて再検討するようにという指示をしているそうです。
○宮澤(浩)会長 全部把握できていないんじゃないの。
○菊田委員 していますよ,当然しています。矯正局がしていないはずないですよ。それ自体が今さら発覚したからやめろというなんて,何でもっと早くからそういう資料を出さないんですか。私自身が知っているんですよ。だって受刑者が,こういうもので採点されて,行動視察表というので,ありますよ,そこに何点つけられたというので,それで全部証拠にされるわけですから。そういうものは昔からあるわけですよ。それは知らないはずがないでしょう。
○成田委員 あるということは分かっても,そういうでたらめな点をつけているとは分からないよね。菊田さんが何か言っておられたじゃないの,点数をあれをするというのはやめろと。そうするとこいつが絶対権力者だから,こいつににらまれたらどうにもならないということは言っておられたですな。私は,そういうようなものは,本当考えていかなくてはいけないとは思うけども,何かこの論議していて何かマイナーに入っていく。何か私は基本的なスタンスは分からん,そして今我々が非常に近辺にある問題としては,例えば酒鬼薔薇君が出てくる。ところが,これなんかはもう,我々の危険を国が守ってくれるということで長く監禁しておいてくれというような期待は強いと思うのですね。私は,やはり安全の確保というものが,やはり刑務所の一つの大きなあれだと思う。それだからコストを払うのだと。もちろんこの人の人権はどうかという問題はあるけれども,何かその割り切り方が一つ必要なのではないかという気がしているのですよね。
○滝鼻委員 アメリカなんか,矯正施設はたしか日本とちょっと違って,中である程度電話かけられたり何かする,制限つきであるかもしれないし,自由度は若干あるのかもしれない。それは州法と連邦の法律によって違うかもしれませんけども。ただ出てからの元受刑者に対する監視の目は物すごく厳しいですよ。これこれの男が出た。お尋ね書じゃないけど,そういうのを新聞は堂々と書くしね。
○宮澤(浩)会長 ですから,それがいいかどうかはまたちょっと別で。
○滝鼻委員 だから,そういう社会には余り僕はやりたくないなという感じはするんですよね。
○宮澤(浩)会長 イギリスもそうらしいですね。
○滝鼻委員 堂々と,これこれ強姦魔が出てきた。気をつけろと。
○宮澤(浩)会長 殊に性犯罪の場合ですね。
○滝鼻委員 この町は気をつけろというようなことを発表する。
○宮澤(浩)会長 そうなってはちょっとまずいかなというようなことを感じて。
○滝鼻委員 そんな社会にするよりは,もうちょっと入っている間にきちんとやってくれと。なるべく直ってくれという方が,日本の国民的な感情には合っているんじゃないのかな。
○宮澤(浩)会長 だから,そういう意味でそこを責任追及だどうのこうのというつもりは私は一切ないのですけれども,やはり今まで施設にかなり任せるというとおかしいですけれども,細かいことは本省も知らないようなことをやっているということはあったんじゃないでしょうか。
○成田委員 それはあると思うな,末端に行くとね。
○宮澤(浩)会長 なぜかというと,昔もそうでしたけども,昔いろいろ施設見学へ行ったりすると,所長の裁量権というのが物すごく大きくて,随分所長が違うと雰囲気も違うし,もっともそれは受刑者の質がAとBでは全然違うということもあるかもしれないけど,これほど裁量を許してもいいのかねなんて思ったことは随分ありましたけどね。
○滝鼻委員 それは法務省だけじゃなくて,日本の官庁,特に国家機関は,出先になればなるほど権限強いですよね。
○成田委員 洋の東西を問わない。
○滝鼻委員 洋の東西を問わず,地方の○○所長というのが一番強いよ。
○宮澤(浩)会長 それがいいかどうかは別としまして,そうすると,ちょっと待って。菊田氏のその問題についてのあれは,次の問題にもかかわるのかな。プライバシーの配慮,きめ細かな処遇を実施するためにいろんなことを考えるべきで,このメモとすれば「個室の環境(昼間集団処遇・夜間独居)」,そういうものの整備を進めろというのは,これはこれとして共通理解で構わないですよね。
 それからもう一つは,プライバシーを配慮するということの応用問題として,余り細かいはしの上げおろしまで内部規則みたいなものでもってチェックして,それを累進だ何だかんだというのに反映させる,つまりいわゆる担当職員の絶対王政みたいなことが事実上行われるような今の,もしあるとすれば,今のそういう状況というのは,これはもう廃止することにしてほしいというわけですよね。
○成田委員 最低限よね。
○宮澤(浩)会長 僕,電話だから聞いただけでしたけれども,昔の言葉じゃないけど,はしの上げおろしまでやるんですね。こういう項目はどうですか,こういう項目,もちろん聞いてきた新聞記者が,自分が特にびっくりしたのをピックアップして僕に聞いたのかもしれませんけど,そこまでは要らないじゃないですかということを答えたつもりではありますけどね。そうなんでしょう,菊田さんの資料によれば。
○菊田委員 例えば,「歩行動作不良のとき」って,何が不良なのかよく分からない。そういうことだけでも減点3点。あるいは同僚の体をむやみに触った。これはどういうことか分かりませんけれども,許可なく他人の世話をしたとか,こういうようなものがざーっと並んでいるのですよ。非常に抽象的なことが。これはいいです。廃止するということであればいいのでしょうけれども,今の話でいけば担当制というのは,一つの工場を担当するわけだけれども,この先もし刑務作業の時間が短くなるとか,あるいは処遇の個別化ということにいけば,それぞれの担当というのはもちろん出てくると思うのです。同時に,工場の担当も可能な限り複数の人が担当するという形でいかないと,一人の工場の担当の独占によって,自由な配慮によって全部それが,今所長の判断と言われたけれども,むしろ現場のこの担当の意見が所長の命令にイコールになるわけですから,もし嫌われたら大変な思いをしなければならないという,大変な不公平が生じているわけですよね。やはりこれを合理化するには,この点を改善していかなければならないんじゃないかということなのです。
○滝鼻委員 だけど,担当制というのは刑務作業のときに言うんでしょう,担当制って。夜のときには,担当さんと言わないんでしょう。刑務作業の話でしょう。工場での話だよね。それはここでこの間何回か前に議論したときに,組織的な担当制というのもおかしいけど,組織的な何とかということを考えたよね。
○富山調査官 技官等を使って,担当さんをサポートする組織的な体制を作ると。
○滝鼻委員 組織的な体制を作るとここで話し合ったじゃない。
○富山調査官 ですから,担当行刑から組織行刑へというような。
○菊田委員 今,担当制について,明確な態度が出ていないという表現があったように思ったものだから,私も改めて申し上げたのです。
○富山調査官 ですから,担当制度にも,宮澤先生言っていただいたように悪い面もあればいい面もある。その悪い面が出ないように,組織的なサポート体制を作るということで,御同意いただいたと思っていたのですが。
○井嶋委員 私も言いましたけれども,いい面はいい面として,処遇の中身によってはこれはいい面があるから,それは残しましょう。
○菊田委員 従来の担当制というのは,やめるということは。
○富山調査官 担当制をやめるというと,工場から職員がいなくなってしまいますから。
○菊田委員 工場50人を担当すれば,一人の担当者が全部それをチェックするわけですよ。合理化するというわけは……。
○滝鼻委員 僕らが理解しているのは,担当制というのは,今までのとおりの担当制を残すと,そういう制度の細かいのもあるし,それからべたべたした親分,子分みたいな関係もあるし,非常に湿った湿度の高い関係,そういうのはやめよう。組織的に処遇するようにしようじゃないか,こういうことじゃないの。
○菊田委員 今はまだそうじゃないのですよ,現在は。
○滝鼻委員 僕らが考えている提言は。
○菊田委員 だから,そういうふうに改正しましょうということ。
○滝鼻委員 ただちょっと引っかかるのは,さっき井嶋さんがおっしゃっていたけど,刑務所の看守というのは,担当になるのが一つの人生の目標だという人もいるんでしょう。
○富山調査官 それはかなりいます。
○滝鼻委員 それはどうすりゃいいの。人生の目標なくなっちゃうんだよ。
○菊田委員 どうするって,それは,そんなものが目標だというのはおかしな話なんですよ。担当でない人だって,職員なんだから。
○滝鼻委員 それなら,看守に向かって,それを人生の目標にするなということをきちっと言えるかね。
○菊田委員 言えますよ,それは。
○滝鼻委員 どういう言い方をするの。
○菊田委員 担当でない人は,夜間の人たちは,職業補導だとかいろんな形の……。
○滝鼻委員 カウンセリングとか。
○菊田委員 カウンセリングやっているわけですから,その人たち全部の人が職員なんですよ。担当だけが偉いわけでも夢があるわけじゃないですよね。だから職員全体の夢なんですよ,処遇をどうするかということが。ただ工場担当しているだけが……。
○滝鼻委員 工場担当者と,それからカウンセリングとか処遇みたいなことをやっている人との人事交流というのは,ないんですか。
○菊田委員 ないですよ。
○滝鼻委員 全くないの。
○菊田委員 努力して,有能なのになれば担当になるでしょう。担当にならない人というのは,ある意味能力がない人だという。地位が高いわけですよ。
○富山調査官 ちょっと説明していいですか。
○宮澤(浩)会長 どうぞ,分からないから。
○富山調査官 工場の担当も,あるいは昼夜間独居の場合舎房にも担当がいるのですけれども,これはもちろんある程度経験を積んだベテランの職員が配置されます。やはりどこの施設でも,担当職員になれば正に自分の全人格を受刑者にぶつけて影響力を行使できるという立場ですから,カウンセリングもやります,担当が。作業の面倒も見ます。身の上相談も受けます。いろんなことをやるわけです。前に,担当の業務ということで,この分科会でも御紹介したと思うのですが。それはやはり職員にとっては,正に受刑者を処遇するという仕事が中心になりますから,やってみたい。向上心のある職員にとってはやってみたいポストなんです。ですから夜勤で最初は夜の舎房を回ったりしながら,昼間は工場へ交代で行くような仕事をして,そういう職員の中でやる気があって一生懸命勉強する者が担当に抜擢されます。担当になっていく。ずっと担当でいるわけではなくて,もちろん担当職員から事務所に行って事務をとったり,これは事務処理能力がある者は総務部門で事務をとるような仕事にも回されます。あるいは担当経験が長くなると,今度は夜勤監督者といいまして,夜勤者を取りまとめをするような監督の仕事があります。これはやはり若い経験の浅い夜勤職員を取りまとめなければいけませんので,相当程度能力の高い人が要求されます。そこで,工場担当などを経験して,受刑者処遇なども十分できる人は,今度は夜勤監督ということで若い後進を夜や休日などを中心に面倒見ながら育てていく人。そんなような形で配置がなされていくのです。
 そういうシステムになっていまして,中には自分は一生夜勤で結構です。そんな受刑者処遇なんてつらくて苦しい仕事はやりたくないという職員もいます,現実に。でもやはり多くの職員は,担当になって何十名かの受刑者を自分の受け持ちに持って,その人たちを指導して,一人でも二人でもまじめになってもらったらこれが生きがいだというような気持ちでやっているのです。ただそれが,その生きがいが行き過ぎると,菊田委員も言われるように,自分の受け持ち受刑者は自分の胸先三寸,何とでもなるんだという,そういう誤った意識に陥ってしまうと怖いですから,そうならないようにするためにいろんな別の人の目を入れるというのがもちろんあっていいと思うのです。ですから,今人手が少ないですから工場に担当が一人しかいませんけれども,もう一人本当は人員がいればつけたいのです。そういうような形で。
○菊田委員 きれいごとばかりではないんだから,現実は。
○富山調査官 ですから,人手があればやりたいんですよ。
○菊田委員 客観的に処遇されるという方向に担保がなければだめですよ。
○富山調査官 それは是非やりたいし,その辺は是非人的体制という意味でも,本当は応援していただきたいわけなんです。
○成田委員 フェアだということだと思うんですね。
○宮澤(浩)会長 それもこれもみんな,そういうことが全部法律でなくて,規則だとか内規だとかそういうものでやられていたから,現場と管理する者が乖離するだろうし,第一線の刑務所と本省の矯正局とがやっぱり乖離しているのだろうなとは思いますね。
○滝鼻委員 現実はそんなきれいごとじゃないんだと。全部の担当者がおかしなことになっているわけ。
○菊田委員 そんなことは言いませんよ。要するに一家の御主人みたいなもんですから,その御主人がやれれば自分の自由な裁量でできるということです。
○滝鼻委員 だから権限が集中しないような何か仕組みを考えればいいんだ。それをいきなり担当制廃止だとか言い切るから,分からなくなっちゃうんだよ。
○菊田委員 今ある担当制は修正でもいいんですよ。
○滝鼻委員 今ある担当制の仕組みをもっといいものにしようと,こういうことでしょう。
○菊田委員 そうです。
○滝鼻委員 いきなり何かすぐ廃止という言葉を使うから,明日から工場に人がいなくなるのかと思ったんだよ。
○宮澤(浩)会長 最近の言葉じゃないけど,超何とかというやつですね。
 それでは,かなり時間もまだ1時間半ぐらいありますけれども,もう一つ重要な論点としては,我々が議論すべき論点としては,皆さんにお配りされている累進処遇制というものについての現在の在り方ですね。それから,規律・秩序の維持に関する論点についても,やはり我々としては一応はっきりした態度決定をしておく必要があるかもしれませんので,それの論点へと移らせていただきたいと思います。
 そこで,この7番の「累進処遇制度に替えて」云々という,この問題について事務当局の方で御説明をいただいて議論させていただきたいと思います。
○菊田委員 ちょっと事務局の説明以前に,私もこれは問題にしたいと思っていることがあるんですよ。これは累進制度は廃止と。それはいいのですけども,結局「認められる特典を臨機に付与・剥奪することによって」云々というのは,こういうことになりましたら,今の累進処遇とどこが変るのか,違うのかということになるわけですよ。これは全然そういう意味のあれは出てこないですね。累進処遇をやめるということの趣旨がね。前と後ろがつながらないのですよ。本来受刑者というものは,個人個人の特性に応じて,必要に応じて,条件はあるわけだけども,特別な行為をすれば確かに規則,制限を受けますよ,特典をなくすることはありますね。だけども,認められる特典を臨機に与える,特典もいい者には更に与えるというのはどういうことなのか。これをやれば,全然累進制と同じことですよ。
○井嶋委員 これはちょっと今説明するのでしょう。説明すると言っていますから,ちょっと聞きましょう。
○富山調査官 これは以前に御説明したこともある制度なのですが,現在の累進処遇令が運用が硬直化しているという御指摘を受けていまして,何が硬直化なのかというと,やはり一つはすべての者を一番下の第4級から初めている。スタート地点が一番下になってしまっているということが一つと,級が上がっていく過程で刑期の長いものはどんなに一生懸命頑張っても,何年もたたないと上に上がっていけない。そういったような進級するのに時間がかかるということ。そういったようなことから,どうしても運用が硬直化している。それからもう一つ,上の級に上がっていっても全然魅力がない。例えば絵画を部屋に飾れるとか,花を飾れるとか,あるいは面会の回数が増えるとか,そんなようなもので,本当にこんなようなものでインセンティブになるのかというようなお話がありました。
 なかなかそれにかわるものを,ではどうすればいいのかというのはまだ事務当局としては悩んでいるところなのですが,一つこのような制度でイギリスのIncentive and Earned Privilege Systemというのが,これは以前にも御紹介したのですが,お手元に1枚物でまとめた資料があると思います。「英国におけるIncentive and Earned Privilege System」,これは今回の海外視察の報告書の中でも書かれていますが,この行刑規則の8条に基づいてこういうシステムができていまして,受刑者に秩序ある態度,例えば責任ある態度,行動ですとか,建設的な活動に参加したとか,自らよい行いをしたとか,そういったことを行わせるための一つのインセンティブを与える手段であるということで,すべての刑務所が何らかのこういうIncentive and Earned Privilege Systemに基づいた報奨制度をつくらなければいけないということで,イギリスの場合には大きく三つに,BASICとSTANDARDとENHANCEDという三つのプリビリッジのランクがある。これは多分一つの例なのだろうと思うのですが,枠組みにすぎないと思うのですが,使用可能な個人用の現金,毎週どのぐらいの自分のお金を使っていいのかということで,その使用の額が違っていたり,面会の頻度についても違っていたりとか,面会の場所についてもまた違っていたり,あるいは地域社会を訪問するということについてのものがあったり,より高い支払いの作業,より賃金の高い作業を希望する資格とか,居房内でテレビを所持できるかできないか。居室の外に出る時間を何時間にするのか,あるいは自分の服を着ることができるのか。こんなのが何か枠として挙がっているのですが,こういったことについて差をつけられる。
 イギリスのこの制度の特徴は,日本の累進処遇のように一番下から上がっていくのではなくて,まずSTANDARDに入る。入所した受刑者は,すべてこのSTANDARDに入ります。その上で非常に改善更生に取り組んでいる,一生懸命規則を守ってまじめに過ごしている受刑者はENHANCEDの方に上ることができる。逆に全然もうまじめにやらないという者はBASICに落とすというような運用がなされているようです。特徴的なのは,ほとんどの受刑者はSTANDARDにいるということが,かなり特徴的なのです。要は当たり前にやっていればSTANDARDにいられます。ただ,もう私は全然作業も教育も,そんなものやるつもりはない。悪いことしたと思っていません,ふざけるなというようなことを言う人はBASICに落ちる。逆に一生懸命勉強したり一生懸命やっている人はENHANCEDに上がる。基本はSTANDARDですという考え方でやっているようです。
 あと,一番左のDisciplinary Minimumというのは,規則違反によって懲罰を受けているときには,今までどこにいてもここに落ちる。落ちても,戻るのはSTANDARD。まじめにやるというような態度が見えれば,STANDARDに戻ってくるようです。一番下のBASICから順番に上っていけという格好ではない。そういうようなシステムのようです。
 これは,お配りした表というのはあくまでも行刑庁が示している枠でありまして,その施設によっていろいろとカテゴリーが違いますから,警備度が厳しい施設とそうでない施設がある。各施設が自分の施設の実情に応じて具体的に,じゃSTANDARDの者にはどんなことを許して,BASICではどこまで,ENHANCEDではどこまでというのは,各施設が決めなさいという運用をしているようです。これはあくまでも行刑庁が示している一応の枠組みということのようなのです。
 これはイギリスの制度で,我が国ではもちろんこれと同じことができるとは考えておりませんけれども,行刑累進処遇令のようにまず一番下から始まるというような発想を捨てるということ,あるいは刑期が長い者はなかなか上がれないとか,そうではなくて,何かいい一生懸命頑張っていたら,その期間がどのくらいかはともかくとして,それを評価してもっといい待遇を与えてあげる。逆に全然まじめにやらない者は下げる。だけども,たとえ懲罰になっても,また一生懸命やりますという意志を示すのであれば,標準のところに戻してあげる。臨機というのはそんなようなイメージでできないものか。これは全くの私限りの考えを言わせていただいているのですが,そんなようなもので何かできないだろうかという考えなのです。今の累進処遇の硬直化した面を何とかクリアできないだろうかという一つの試行錯誤として,イギリスの制度みたいなものを参考にできないだろうかということで,御説明させていただきました。そういう趣旨で,何か文案をちょっと考えさせていただいたということでございます。
○宮澤(浩)会長 そうしたら,2行目の「複数のランクを設定し」の次に,大多数の受刑者はまず中程度として,それで服役者の服役態度いかんによって特典をあげ,もし服役の態度で好ましくない場合にはその特典を下げる,若しくは剥奪するというようなことで,「改善更生の意欲を」というふうに,これだとやはり何か最初がみんな一番下で,それから上がっていくというふうな感じがとれるかもしれませんから,そこでまず普通なら,一般という程度に全員が位置づけられて,それから上へ行ったり下へ行ったりするというような表現をすれば,累進とは違うということが分かるような気がするのですけれどもね。前にも申し上げたと思うけれども,刑事施設法案のときにも,どうも段階的というのと累進とがどこが違うかというと,言葉では出発点をみんな一緒にするのではなくて,それぞれに合ったところから位置づけて,それから上げたり下げたりするというような,そんなことをイメージとして入れたのだけれども,それを言葉でどう言ったらいいのだろうというので,あのとき遂に最後までいい言葉に当たらなかったんですよ。だから,ここのところで,「設定し」と「服役態度いかん」との間に,何か,要するに中間レベルというものを置いて,最初の段階でもって一般には普通の,全部取り上げてからちょびちょび与えるというやり方ではない,そこと違うものが構想されているのだということを言いあらわすのに,その言葉がないから,菊田委員のような同じことになるじゃないのという疑問にはちょっと答えにくいなと思いますね。そこを何かないかな,工夫することは。
○井嶋委員 私,累進処遇のときに議論したと思いますが,まず現在の累進処遇制度が硬直化していてだめだということは,さっき紹介がありましたとおりでありまして,これを廃止しようというのはここでコンセンサスとして決まったことだと思います。その際に,しかし刑務所というところの性質上,こういった何かメリットシステムというものがあった方がいい。これは諸外国でもやっているのだということで,何か考えてもらおう,考えなければいけないぞということは議論したと思いますが,どんなものがイメージできるのかということについてはペンディングだったと思うのです。そういう状況の中で,今回富山君の方で英国の例を一つの下敷きにしてこういうことを考えてみたわけです。私はこれがすべてそのままそっくり取り入れられるかどうかは分かりませんけれども,少なくとも刑務所の中における生活一般をやはり秩序あるものにし,そして少しでもやはり改善更生に役立つような方向に持っていくためには,どういうメリットシステムを作ればいいかということを真剣に考えてもらって,少なくともスタンダードになるメルクマールについては,現代の生活にマッチしないようなものは取り込まないで,現代の生活にマッチして,そして一般の社会の人もなるほどと思えるものを前提にして,そしてかつ人権というか人間性というものを阻害しないようなもので,本当に努力させる,真に努力しようという気にさせ得るスタンダードを作ってやってみたらどうかというのが,私の個人的な意見ですが,そういった意味ではこの英国のは一つのモデルになるだろうと私は思います。ですから,これを下敷きに,今申し上げたような隘路を十分検討して,いいものを作っていただければいいのかなと。我々としては具体的にそこまで決められませんので,何かそういった方向に行くような提言をここでしておけばいいのかな,こういうふうに私は思っておるのですけれども,いかがでしょうか。
○菊田委員 賛成です。けれども問題は,このイギリスのスタンダードなんていうものは日本の,仮にこういうものだとすると,今イギリスでこれを,上の1,2,3,4ぐらいまではほとんど実現されてない問題ですから,この標準というものをどういうふうに設定するかだ,日本のものとして。それについては具体的なものを出さないと,当局が今の基本以下のものを標準だなんていって出してきて,これによってどうのこうのといったら累進処遇と同じになってしまうのですよ。そこの設定の仕方ですよ,問題は。
○井嶋委員 ここで決めておきたいことは,要するにこういう何かメリットシステムは,累進処遇は廃止するけれども何かこういうメリットシステムは必要だということは皆さんもう同意したのだから,あとはインセンティブ。それを近代的な生活に合った,物の考え方に合ったものに。
○成田委員 何を求めるかね。
○井嶋委員 そういうことです。それを改めてもらいたいという提言をしたい。その一つのモデルとしては,これはなるだろう。しかし,これそのままではないということだと思うのですが。
○滝鼻委員 ここで例示されている私物の所持範囲,それから外部交通の頻度対応,それから外出,外泊を含めた開放処遇。このほかに,何かインセンティブ,メリットシステムというのはあの刑務所では考えられるのでしょうか。
○井嶋委員 例のアンケート調査にたくさん出てきているものの中には,例えば読書の数の制限とか,そういったような。
○滝鼻委員 広い意味の私物の所持範囲に入るでしょうね。
○井嶋委員 そうですね。そういうような,アンケートに出てくるようなことも含めて,日本独特の要求があると思いますから,そういうまずメルクマールもきちっとつくっていくべきだと思うのですね。
○成田委員 より高い支払いの作業を希望する資格。
○井嶋委員 それなんかは日本には余りそういう制度はないわけですから,余り日本にはなじまないかもしれない。
○成田委員 現金の使用というのはどうなのですか。
○井嶋委員 それはあるかもしれません。領置金ですから。
○滝鼻委員 1日幾ら使えるの。
○富山調査官 今施設によって金額を制限しているところとしてないところがあると思うのですが,ただ買えるものが限られていますので,買える品物の範囲がですね。
○滝鼻委員 それは,私物の所持範囲と関係してくるわけでしょう。
○富山調査官 関係します。
○滝鼻委員 例えばこんなすばらしいものを買いたいと言ったって,これは買ったって持てないよと言われればそれはむだなことであって。しかし本とか新聞とか雑誌とか,そういうものはそんなに高いものじゃないから,買おうと思えば幾らでも買えるわけでしょう。
○富山調査官 幾らでもと言うと語弊がありますけれども,買えます。
○滝鼻委員 買えるよね。
○富山調査官 すごいべらぼうな本を買いたいと言えばだめですけれども。
○滝鼻委員 極端なケース持ち出すと,こういうのはまとまらないからさ。
○菊田委員 だけどここに許してあるのは面会なんだよね。面会室で面会させるということ,これ自体が日本では今まだ戒護関係は出てこないですよ。旧態依然として面会室については結論が出てないでしょう。一番大きな問題が実現しようとしてないのだから,出てくる標準なんていうのは推して知るべしですよ。
○井嶋委員 それはそうだけど,そんな悲観的なことばかり言ってもあれだから。
○菊田委員 いや,だってもう結論ほとんど出ているんじゃないですか。我々が主張した面会とか電話をかけられるとか,その特権は全部今当局は実現しようという意識になってないんじゃないですか。
○滝鼻委員 外部交通のことは,だってここでやってないから分からないんじゃないか。
○菊田委員 ほかの部会の結論はそうですよ。
○宮澤(浩)会長 そうでもないですよ。
○富山調査官 電話は少なくとも認める方向でということで議論は進んでいるのだと思いますけれども。
○菊田委員 そうですか。私は認めないようになったと聞いたし,面会も従来と同じような形でしかいかないでしょう。面会施設を設置しようという意見は出ていますか,ほかの部会では。面会室で集団面会させると。
○富山調査官 それは聞いていません。それについては聞いていません。だけども,電話は少なくとも使用させる方向で検討していると聞きましたけれども。
○菊田委員 それならいいですけど。
○滝鼻委員 だけど,あれもだめだ,これもだめだ,だからこの制度全部だめだと言ったら,実現しないからさ。
○菊田委員 標準なら標準がどの程度のものかという担保がないとだめですよ,これは。基本は,そこが担保がなくてこんなものができたってだめですよ。
○滝鼻委員 外出,外泊を含めた開放的処遇って,考えられるんですか,こんなことは。
○成田委員 日本ではそんなことはないんでしょう,外泊というのは。
○菊田委員 それは標準としてはあり得ないですよ。
○富山調査官 現行法ではできないのですが,刑事施設法案では,外出,外泊,外部通勤いう制度を新設しておりますので。
○成田委員 もうできるわけ。
○富山調査官 はい。
○井嶋委員 提案ね。
○滝鼻委員 提案はしているわけ。
○井嶋委員 我々が提案したのです。改正案が通っていればできているはずなんですよ。通らなかったからできてないということが現状なのです。
○宮澤(浩)会長 私の考えでは,当然のことだと思っているのだけれどもね。そのぐらいはね。
○成田委員 いいんじゃないですか,これで。日本にインセンティブとしてほかに何があるのかね。
○宮澤(浩)会長 僕はこの日本で,外部交通の対応の中で,当然電話の問題だとかそれから全部の施設じゃないけれどもA級の施設などで,あるいは釈放前半年ぐらいからそれこそ昔で言う1級の人には集団で家族と面会させたり,あるいは例えば台湾でさえやっていますけれども,夫婦のために1週間ぐらいの,そういう施設内に特別な施設を作って,そこで奥さんが台所から材料をもらってきて自分で炊いて,それで食べさせて,朝は「行ってらっしゃい」って出勤に行くというような,こういうことだって僕はできないとは言えないと思うのですけどね。
○成田委員 だからそういう例証があるし,というものを提案したらどうなのですか,事務局の方で。例えばこういうようなというようなのを。
○宮澤(浩)会長 例えばというようなことでね。
○井嶋委員 現に市原の面会等は,本当にフリーな形で集団でやっています。
○成田委員 面会室を大きくしなくちゃいかんだとか,予算の問題なんかも出てくるでしょうしね。
○井嶋委員 ですから,一番開放的処遇ができて規律の一番緩やかな施設には,そういうことが取り入れられるわけです。したがって,逆にまた府中といいますか警備が厳重でなければ困るところは,またそれに応じたシステムを作ればいいのだ,こういうふうに思うのですね。
○宮澤(浩)会長 麓という女子刑務所で,釈放前1週間自治的に小さなプレハブのおうちを造って,そこで女性の受刑者たちが3~4人で共同生活して。だからそういうふうに,いろいろ工夫はしているんですけどね。今度のやつは,もっとだからそういうことができる可能性があるので。
○井嶋委員 今説明があったとおり,これはあくまで行刑庁の示す一つの案であって,各施設によってそれに応じた中身を決めてよろしい,こういう説明だった。私はそこが非常に重要だと思うので,それは是非,そういう今度造る施設というのはある程度処遇だとかいったものも加味した施設になっているはずですから,そういったものとアダプトするようなものを各施設ごとに作っていくというようなことが,どこまで取り込めるか分かりませんが,考え方としては取り込んでもらいたいと思うのですけれどもね。
○菊田委員 日弁連の提言によると,第2分科会に対してこういう外部交通の在り方ということを希望しているように聞いていますけれども,出ているということは,私第2分科会でもこういうことを具体的に結論を出してないのではないかと思っていますけれどもね。面会とか電話とか,いろんなことを出ていますけれども。
○井嶋委員 それは,今度骨子を見てからまた議論しないといかんですな。
○菊田委員 具体的には出ていませんよ,今まで。第2分科会の結論としては。
○名取課付 先生,どこの部分ですか。
○菊田委員 弁護士会のですね。提言の外部交通の在り方,第3というところがありますね。面会なんかも,面会室を設けろということがありますよね。
○名取課付 何か面会場所とかその面会の方法,要するに立会いをどうするかというあたりは,第2分科会で議論をしていて,そういった点についても配慮すべきだというような議論がなされているというふうに聞いています。
○菊田委員 例えば弁護士の場合は看守の立会いをやめるとか,具体的なことを決めていかないと,配慮するって。
○名取課付 ちょっと私も全部分科会の議論を……。
○菊田委員 配慮というのは分かるのだけれども,結論は出てないということを言っているのですよ。配慮ったって,何の配慮か。
○名取課付 そこは,明日また議論するというふうに聞いていますので。
○菊田委員 だから,日弁連からこういう案が出ているということは,提言が出ているということは,第2分科会でまだ結論が具体的に出てないから出ているのではないかということを言っているのです。
○名取課付 それはまだ検討中ですので,当然。
○菊田委員 だから,こういうことを全部というか,このうち幾つかは実現されるでしょうけれども,そういうことの程度で標準というのができて,それで累進をやめたとしても,結果的には同じになる危険性があるから,その辺の担保をやはりしておかないといけないというふうに申し上げたわけです。

1.個別論点の検討

○宮澤(浩)会長 時間もまだ1時間ちょっとありますけれども,少し先へ動かしたいと思いますが,前回他の委員から,部会の方からも御指摘がありましたけれども,例の所内における規律とか秩序とか,そういうものについて,よく言われるような軍隊式行進のようなものはやめたらいいだろうという点については,これはもう我々一致しているわけでありますし,施設である以上は秩序ある生活,適切な所内環境,処遇環境,これを確保するために規律とか秩序とかそういうものがあるわけなのです。
 そこで,具体的に提案するとなるとどういう言葉がふさわしいかなということになろうかと思うのですが,例えばこんなことではどうだろうという工夫したものとしまして,「人間としての尊厳を傷つけたり社会通念に照らして著しく合理性を欠く規律の在り方であってはならない」といったような提言を示すことで,今世の中で「イチニ,イチニ」なんていうのは学校でもやっていませんし,会社ではもちろんやっていない。そうしますと,「社会通念からして著しく合理性を欠く」というふうに表現することによって,軍隊式はチェックできるだろう。それから,「人間としての尊厳を傷つけたりこういう合理性を欠く規律の在り方であってはならない」というふうに一応我々の意見を打ち出しますと,A級とB級ではおのずから秩序維持についてもやり方が違うだろう。だとすれば,規律の在り方は一律に全施設についておしなべてこうすべきだというのではなくて,やはりそれぞれの施設に収容されている受刑者の特徴に応じた規律の在り方というのを何らかの形で文言化できないだろうかというのは一つの問題であります。
 それともう一つは,規律を維持するための方法として懲罰というのがあるわけですけれども,この問題についてどういう懲罰の種類があるかという議論をいたしましたけれども,やはり規則を作っても魂が入らないといけないわけでして,その点で我々として「懲罰の手続における事情聴取のやり方」といったような点について職員を研修して,受刑者から不公平であるというようなそしりが出ないように,いわゆる適正な懲罰の手続を行うようにすべきであるというような,職員に対してそういう自分たちがやることが主観,さっきの菊田委員じゃありませんけれども,おれの胸先三寸だというようなことを許されるような時代じゃないんだというようなことを職員に自覚させるような,そういうことを私たちとして提案してよろしいのではないだろうかという問題があります。
 こういう点などを含めまして,「規律・秩序の在り方について」の御意見で,従来の論点を補足するなりあるいは更にこういう問題をというような改革提案がございましたら,お願いします。我々が考えております次の重要な問題点としては,前回第2分科会の瀬川委員から出ました仮釈放と,その結果もし棄却された場合にそれをどのように申請した受刑者に伝えるかという,その点について何か問題点はないのかというようなことを論じ,それからもう一つ,これは必ずしも当部会の問題ではないとは思われますけれども,世情大変問題になります代用監獄問題について,何らかの意見を第1分科会として言うべきか,それとも,それは今のところはやめた方がいいのではないかという意見と,まだこの辺皆さんの御意見を伺っておりませんので,残りの1時間を使いましてこの三つの論点を議論させていただければと思います。



(1)規律・秩序の在り方について(第2ラウンド)


○宮澤(浩)会長 まず規律・秩序の在り方どのようにするか,その提言の表現をどうするかという点。どなたからでも結構ですので,御意見を賜ればと思います。
○成田委員 私は暴力は絶対行使してはいかんと。
○宮澤(浩)会長 職員がですか。
○成田委員 職員が。これはもう絶対というか,そういうようなことをひとつ。
○宮澤(浩)会長 これは,ですから「人間としての尊厳を傷つけるような」……。
○成田委員 そういうことよりも,具体的なあれの方がいいんじゃないですか。それだとか,私は本当は何かよく何訓だとかあるじゃないですか,これは絶対にしてはいかんというスローガンじゃない,規約をね。何かそういうものをけんけん服膺するようなやつを,本当やってみたらどうかと思うんですよ。改めて,実際刑務官たるものこれは絶対にやっちゃいかんというようなことを強く言っていく必要があるのではないですかね。何か形の上でね。実際暴力は,今度の問題だってやはり尊厳云々とかいうようなことじゃなくて,やはり暴力振るっているわけでしょう,いろんなあれで。だから,これはやめろ,絶対やってはいかんと。そういう者に対しては処罰をする。
○宮澤(浩)会長 問題は,それをどう文言化するかということなのですよね。
○成田委員 それは,もうはっきり言ったらいいんじゃないですか。
○宮澤(浩)会長 はっきり書くんですか。
○成田委員 私はそれぐらいあれじゃないですか。例えば新聞のあれだって,うそをついちゃいかんとか,はっきり書いているよね。新聞の内規だって,我々のあれだって。今企業の経営のあれでも,はっきりコンプライアンスのあれで,何かそういうものはっきり言っていますよ。
○井嶋委員 社内規則。
○滝鼻委員 暴力というのもそうだし,人間の尊厳もそうだし,要するに刑務所から暴力を排除するということでしょうね。それは受刑者の暴力もそうだし,刑務官の暴力もそうだ。有形力を行使して秩序を維持するというやり方は,もう古臭い。ただ,その有形力といったって,暴れる者を取り押さえたりなんか,そういう有形力の行使はあれだけれども,報復的な有形力の行使はだめだということでしょう。そこは宮澤先生が苦しむところで,どう表現するんだと言われるとなかなか難しいけれども,成田説はともかく,もうちょっと具体的に書いたらどうなんだ。うそはいかんと。この場合はうそというのは関係ないけど,うそはいかんとか,誤報はだめだとか,それから暴力はだめだとか。
○成田委員 フェアであれだとかね。
○滝鼻委員 それと同時に,僕が今宮澤先生がおっしゃった2項目の,「社会通念に照らし著しく合理性を欠く」という表現なのですが,これはいろんなところに使われるのですよね。まず一番裁判官が好んで判決で自分が判断つかなくなったとき,必ず使う言葉がこれなんだよね。これほど尺度の広過ぎるあれは,それは井嶋裁判官も最高裁判所時代多分多用されたと思うのだけれども,これほどあいまいな表現はないのですよね。最も社会通念上あいまいな表現はこの表現なんだな。これはもうちょっとはっきりと,時代感覚に合わないとか,あるいは表現はちょっとどぎついけれども,刑務所以外の社会では行われてないことを行わせることとか,そういうふうに書いた方がいいのではないかな。「社会通念に照らし著しく合理性に欠く」というのは,裁判官,弁護士,それから学者,もう必ず使う言葉です。
○宮澤(浩)会長 申し訳ないです。
○滝鼻委員 文化人。
○井嶋委員 今成田さんと滝鼻さんが言われたとおり,この規律の問題も含めて今回の答申はどちらかというと基本的には骨太の,要するに将来の方向性を示そう,こういうことだったわけで,余り具体的なことに踏み込まないようにしていこうということでやってきたわけですが,しかしほかのこの前全体会議でほかの分科会の委員からも幾つか個別の問題が指摘されて,どうするのだという指摘がありました。やはりそういう個別の問題も関心があるわけです,当然。ということは,社会も関心を持っているわけです。したがって私どもは,結論的な抽象的な,それを骨太の方針といいますか,骨太の方針を出すことを目的としてきましたけれども,骨太の方針だけでは何か分からない。インパクトがないということもあるのかもしれません。ですから,骨太の方針を示すというのが基本ではあるけれども,例えばというような形で具体的に暴力の行使とか,あるいは今のフェアであれとか,ああいったような個別のこととか,あるいはもっと砕けば軍隊式行進はやめろとか。やめろという表現はともかくとして,見直せ。あるいは例えば房内での姿勢が正座でなければいけないなんていうのをどうするかとか,非常に関心の強いもの,それからアンケートで特に刑務官,受刑者から出た問題点で取り上げたらいいなと思われるようなことを幾つか書き連ねて,例えばという形で,その骨太の方針をフォローする。「など社会通念に照らし」という,最後に締めくくれば,大体具体的なことは分かるのではないか。
○滝鼻委員 井嶋先生の意見に賛成なんだけど,一つ混同しちゃいけないのは,骨太と抽象とは違うと思うんですよね。抽象的表現とはね。
○井嶋委員 具体的な骨太。
○滝鼻委員 要するに,方針をこれまでの方針から変えるにしても,あるいは一部残るにしても,はっきり方向性を示すことがやはり骨太だと思うんですよね。
○井嶋委員 そうです。具体的と言えば具体的なのです。
○滝鼻委員 だけど,その骨太方針を見れば具体性も頭に浮かぶようなことにしておかないと,これを提言した後に法務省矯正局が……。
○井嶋委員 曲解したら困る。
○滝鼻委員 曲解はしないと思うけども,180度幅がとれるようなものではだめだと思うんだな,僕は。
○井嶋委員 ですからそういう意味で,例えばみたいなものをたくさんつけ加えるということはある程度いいだろうと。
○滝鼻委員 軍隊行進なんかは,宮澤座長もよく言いますよね。なぜか知らない,あれだけはよく表現するね。
○井嶋委員 今はみんなが問題視しているし,新聞もあれを問題にしているから,やはりあれこたえなければいけないと思うんですよ。
○菊田委員 もう我々の分科会では廃止したわけですから。
○井嶋委員 そういうことをちゃんと書こうということです。
○菊田委員 今の先生のおっしゃったとおりなのですけれども,もう結局はその受刑者を品位ある扱いをするかしないかということですよ。その本人の品位を傷つけるような扱いをしちゃいかんということでしょうね。
○井嶋委員 それは人間性の尊厳が出ているわけです。
○菊田委員 尊厳が出ているわけですから。それよりも決めてほしいのは,とにかく裸体検身なんかを廃止しろというのは,これは出ていますよね。
○井嶋委員 ですから裸体検身なんかも,そういうのを例えば中に取り込むかどうかですね。
○滝鼻委員 ただいろんなやり方には,軍隊はともかくとして,裸体検身にしても何にしても,もうちょっと必要性があるから,かんかん踊りとかいうのは別ですよ,そうじゃなくて一部服を脱がせて房用の服に着がえさせるということは,費用もかかることだから。だけど必要だからやっているのでしょう。その辺の必要性というのはきちんと点検してから我々表現しないと,裸検査はけしからんという一般通念でやっていくとだめだと思うな,僕は。
○井嶋委員 それはおかしいですよ。
○滝鼻委員 軍隊なんていうのは,あの「オイチニ,オイチニ」は,そんなものどうでもいいの。やめたって構わない,そんなものは。きちんと歩かせればいいんだから。
○井嶋委員 当局が曲解しないような骨太の方針を出して,それに具体例を幾つかつける。それを基本にしていく。その中では,成田さんがおっしゃったようなものも含めて分かりやすいものにする。別にまとめ的に言うわけでもないのですけれども,僕は規律というのは刑務所に必要だということを皆認識しているわけですけれども,今回の審議を通じて表に出ている懲戒の事由とか刑務所へ行ってもらった行動準則とか,今回今日また出た神戸の視察項目とか,いろんな取決めというものが今度明らかになりました。しかしそれを見ますと,誠にそれはここまでやるのかというぐらいに細かいというか,抽象的に言えば人間性の尊厳を損なうような,あるいは通常の日常生活でもしないようなことをやらせるとか,非常にとにかくおかしなことがたくさんあったということが分かりました。これを全部新しくそういった方向で見直してもらいたいということは,提言で出すわけですね。
 要は,私はルールというか,法律もそうですけれども,ルールというのは執行する方は当局ですけれども,相手はこの場合は受刑者です。その場合に,やはり守らなければいけないという納得がいくものでなければ意味がないのです。そういう意味でこれを見直しますと,これは守らなければならないと思うかねと思うような性質のよくないものがたくさんあったということが分かったわけです。これはこの際きちっと,そういう目で見直してもらうということをまず提言の中核として出してもらいたい。このように思います。
 その上で,ただそのときに刑務官,刑務所だけの合理性だけではなくて,やはりそれが社会に通用するかという目で見た合理性といったものも要素に入れなければならないだろうと思いますから,同時に逆にいたずらに緩かったらいいかというと,決してそうではないということも言わなければいけないので,正に寛厳よろしきを得て,社会どこへ出してもうん,なるほどと思えるようなもの,ということはイコール受刑者が守ろうという気持ちになるもの,これを作るということが大事だ。
 この際,もし今までの記述からいくと,私は余り言いたくない言葉ですけれども,結局受刑者と刑務官の間というのは面従腹背みたいなものでやってきたという面が非常に大きくあるのではないか。アンケートでの結果でよく分かったような気がいたします。ですからそうでなくて,受刑者の方も真にこのルールに従おう,あるいはこれに違反したから私は懲罰受けても仕方がないと思えるような,だれが見ても分かる規則,行動準則その他のことをきちっと見直してもらいたい。決して私はそういうことが甘やかすことになるのではなくて,そのことによって刑務所の雰囲気というものが一種の人間性,人間としての矯正,人間としての矯正行刑にやっとなる。そこで初めて刑務官の方も,逆に言えば人権意識がその分芽生えるはずだということを考えていくと,決して緩やかにすることは甘やかすことではなくて,本当の意味での行刑が行える雰囲気が出るのではないか。非常に甘いかもしれませんけれども,そういう理想的なことを目指してこの際少なくとも,今までやってきたことをそういう目で見直して改めてもらいたいと私は思っております。
○菊田委員 先生のおっしゃるとおりですので,私もそういうことで今まで作業してきたつもりでして,是非ともそれは盛り込んでもらいたいと思いますけれども,ただそういう記述の問題,理念を前提とした場合に,具体的に,例えば丸坊主なんていうのも,これは具体的な問題として品位を傷つけていますよ。それは納得も何もしてないですよ。強制的に丸刈りしているのですから。これは社会も,私はそんなことは必要と必ずしもしていないと思いますよ。そんなことを含めて,あるいは衣類が極めて貧弱だというような問題だとか,今申し上げた面会を具体的に集団でできるようにすべきだとか,あるいはその他の所持品の問題にしても,ことごとくについて今おっしゃったような物の考え方,理念,本人も納得しということが出てなければ,具体的なものが示されなければ,おまえたちの納得できる方向で理念としてやっていくのだよでは,これはだめなのですよね。やはり働かせて賃金も与えないというようなことから始まって,基本的な問題でこれは懲罰優先のシステムですから,今おっしゃったことは理論だけれども,しかしそれがすべて達成されるわけではないわけです,現実問題は。だからその中でも,今具体的に言えば金もかからないし即刻できること,これはやはり具体的なものとしてやってもらいたいと思いますし,是非とも皆さんの意見としてまとめてもらいたいと思いますね。例えば丸坊主なんていうのは,私は何で反対されるのか理解できないのですよ。そういう小さなことといえ,私は基本的に品位を問う問題だと思うのですけれどもね。
○井嶋委員 今ちょっと誤解があるといけませんが,納得がいくと言った意味は,すべての我を持っている個人が一人一人が納得するという意味ではなくて,世の中の準則として納得できるものと,こういう意味なのです。ですから例えば丸坊主,おれは嫌だということがあっても,もし世の中で私は丸坊主事件という裁判をして判決しましたけれども,丸坊主はやはり,学校の丸坊主ですけれども,これは私は合憲だと判決したのですが,要するに所内の衛生とかそういったことを考える,あるいは散髪の頻度とかいろいろ考えると,所内で丸坊主あるいは五分刈りにするということはやはり必要だろうという合理性がもしあるとすれば,それが一般の社会として所内は五分刈りか丸坊主はいいでしょうというのであれば,これはやってもいいと思うのです。ですから,私はそれに従うのは嫌だという人が出るかもしれませんけれども,そこはやはりルールですから,そう決まった以上はやってもらうということなのだろうと思うのです。そういう意味で,個別の自我のある個人と納得ずくでという意味ではありませんので,そこは誤解のないようにお願いしたい。
○滝鼻委員 細かい,コップ一つそれから額を一つ持ち込んでいいのかどうか,丸刈りがどうか,軍隊調というのはしょっちゅう共通の話題に出ていたから,それに対しては答える必要があるかもしれない。それから裸検査かな。それは僕は必要だと思うけれども。それから姿勢とか,全部この5人で丸とバツをつけていくのですか。そんなことを僕ら与えられた役割だとは思わないね,僕は。
○井嶋委員 ですから,方向性が分かるようなものを出せばいいのです。
○滝鼻委員 だから骨太ということは,方向性が分かる。今井嶋先生がおっしゃったような方向だったら,当然丸刈りがバツになるか丸になるのか,それから絵1枚持ち込むのがいいか悪いかというのがバツになるのか丸になるのかというようなことがしっかりと分かるような,法務省の裁量によってそれが180度違うようなことにならないような方向性をきっちり出そうじゃないか。すべての持込物品だとかあるいは服装だとか,それから規律について,それは何百項目あるでしょう。それを全部この5人で,これはいい,これは悪いということをここで判断する必要は全くないと思うな,僕は。
○菊田委員 それは分かりますけれども,今までだって当局は日本の伝統であり日本の多くの人が認めていることだということで今までやってきているわけですから,それに対する改革をどうするかという我々の立場なのですから,だから抽象的なことでいくと,それは当局は抽象的な趣旨に従って今までやってきたじゃないかで終わりですよ,それは。ですから,具体的なことで大事なこと,それは軍隊調をやめろということもいいけれども。
○滝鼻委員 今までやってきたのが,この提言になってすべて,今まで伝統でやってきたのだからいいじゃないかとはならないと思うよ,僕は。
○菊田委員 もちろんなりませんよ。
○滝鼻委員 そんなことやったら,何のための半年もかけてやってきたんだか。
○菊田委員 だから,せめて大きな問題については具体的なことについて,やはり意見をしないと,これは当局に任せるじゃね。
○滝鼻委員 法務省には,それは具体的な重要項目については判断するかもしれないけれども,もうすべての所内の規律についてそれをここで判断するのは僕は反対。
○菊田委員 例えばその軍隊調と同じようなレベルのものを,やはりもう少しは骨太の中の一つとして,やはり規律なら規律の中で置くべきではないですか。例えば刑務官が軍隊調でこんなことやっているでしょう。あんなものやめてくれぐらいなこと言ってやることはいいことだと思いますよ。丸坊主については,皆さん違いますか,意見は。
○滝鼻委員 そんなに違和感ありますかね。衛生的でいいじゃない。衛生的でいいんだよ。
○菊田委員 それは強制的に,衛生的にいい,悪いの問題じゃないのです。好みの問題ですから。
○井嶋委員 それは骨太の方針に基づいて見直してもらえばいいんです。
○滝鼻委員 丸坊主がいいか悪いかというのを,ここで何時間も議論するのですか。
○菊田委員 意見が一致しなければ仕方ない,議論するしかないですからね。
○井嶋委員 そう思います。ですから,幾つか出すということなのだろうと思いますね。余り抽象的なものばかりじゃいかん。どれを選ぶかということは。
○宮澤(浩)会長 私のところにそう数が来るわけじゃないですけど,受刑者から来る手紙のかなり部分が,彼らは非常に不公平ということを言いますね。公平であって欲しい。
○成田委員 どういうことが不公平。
○宮澤(浩)会長 要するに,職員によってはある人のときは雑談しても文句言われないけれども,ある人のときは物すごく厳しく言われるとかね。
○成田委員 ですから,実効はともかく,要するに金科玉条じゃなくてこれを守れよ,おまえたちはと,刑務官に。平和でいけよと。
○宮澤(浩)会長 規律もきちんとすれば,彼らはそれに,しようがない,自分たちは受刑者なのだからで従うのですけれども,その規律を胸三寸でもって,おまえはこの規則に違反してるじゃないかとある人は言い,この次,気をつけろよで済ます人もいる。そういうのがいるのは,今の矯正はちんたらちんたらしていると,こういう非難の手紙をよこしたりね。
○井嶋委員 それはだから,規律その他のルールの運用の方法ですよね。運用の指針として,フェアに執行することということを提言するかどうかですね。
○宮澤(浩)会長 「社会通念に照らして著しく」云々というのは,非常に抽象的なので,これをどうかみ砕くか。つまりそういう重箱の隅を突くような態度で細かく規律を強制するなんていうのではおかしいわけですし,軍隊調もおかしいわけですし。
○滝鼻委員 さっき井嶋先生が言った,守れないようなルールは作って意味がないと思うのですよ。減点ばかり多く出るようなね。
○井嶋委員 およそ反発ばかり食うようなものを作ったって,意味がないのですよ。
○宮澤(浩)会長 「社会常識に反する規律強制の在り方であってはならない」なんていうのはだめですかね。
○井嶋委員 ただ,所内の規律というのは社会常識で律するのかどうかという一つ問題があるわけですね。社会常識よりもう一つやはり厳しくしなければならないという面は,どうしても出てくるだろうと思いますね。ですから,そういう意味では……。
○滝鼻委員 社会常識守れたら,大体あんなところへ来ないのだからね。
○井嶋委員 相手は来ないです,少なくとも。
○宮澤(浩)会長 でも規律の強制が社会常識を超えるというのはやはりまずいので。
○井嶋委員 それはだからまずい。その点では言えるのですね。
○菊田委員 例えば居室内の姿勢,動作の制限,正座,安座の強制,それから工場内での交談の厳格な禁止,わき見禁止をもう少し緩和してほしい。こういう受刑者からの廃止基準というのが出ているのですね。
○井嶋委員 そのうちの上位三つぐらいを入れ込んで。
○滝鼻委員 今菊田先生がおっしゃったようなことは,当然これからは見直されていくのではないかな。正座,安座とかさ。
○菊田委員 これはやはり表現しなきゃ,絶対にだめですよ。具体的に出さないと。
○滝鼻委員 じゃ,それ幾つか出すとしても。
○井嶋委員 どこまで出すのですか。
○滝鼻委員 だけど100項目も一覧表つけて丸バツつけるのは,僕はこんなことはやってられない。
○宮澤(浩)会長 さっきも言ったように,社会常識に反するような規律の強制はどうのこうのというのをもしポンと入れた場合に,受刑者なるがゆえに居房でもって正座しなきゃいけない,あるいは寄りかかったような姿勢をとっちゃいけないというのの根拠になりますかね。
○富山調査官 ですから,正座も寄りかかりも,今基本的には制限してないのですよね。基本的にはですよ。ただし,例えば朝晩の点検というときには,今きちんと並んで座らせていますので,そういう2~3分の時間ですけれども,朝と夕にそういう場面はあります。あとあり得るとしたら,懲罰のときに,これは正座とかは強制していませんけれども,同じところに座ってなさい,用がなければということはやらせていますね。
○成田委員 今座らせるのは大変だよね。
○富山調査官 ただ,いすがないのですよね,基本的に,居房の中に。
○成田委員 これは大変なんだな。
○富山調査官 普通の畳の部屋ですから,和室ですからね。
○成田委員 これは本当,煉獄に入った苦しみだよ。
○滝鼻委員 提言に説得力を持つのなら,代表的事例についてせいぜい,少なくてもこの5人が同意した項目にしましょうよ。一人でも反対しているような合わないやつを例示するのは,それは無責任だから。同意した事項については,例示列挙として,限定列挙じゃなくて例示列挙として出すということでどうですか。
○井嶋委員 そうしたら,それから逆に演繹すれば,骨太の方針も分かると。
○滝鼻委員 それが大体この提言の常識かなというのが分かる。
○井嶋委員 例えばというような形ででも出せば,少しはほかの分科会の委員の先生方にもお答えになるだろうと思ったのですが。
○滝鼻委員 それから,それは挙動だけではなくて,所持品の問題についても,これは今本はだめなんだよね。何冊も持てないのでしょう,本。
○富山調査官 普通の書籍は三冊,その他の学習用のものなども入れると10冊というのが通常のパターンです。
○滝鼻委員 そんなに持てるの。
○富山調査官 はい。
○滝鼻委員 10冊か。今若者,大体活字離れと言われているのに,刑務所だけ活字づけにしてもしようがないな,だけど。
○富山調査官 本というのは,要するに活字の本だけじゃなくて,いわゆる週刊誌とかそんなものも。
○井嶋委員 それは滝鼻先生は見たこともないような,週刊写真誌。
○滝鼻委員 それは,エロ雑誌ですか。
○井嶋委員 エロ雑誌。そういうものが要求の中に非常に大きく占めている。
○滝鼻委員 そんなものは持ち込まない方がいいんじゃないのかね。どうなんだろうか。それもあれかな,表現の自由とか読書の自由ということになるのかな。
○菊田委員 今は見せてるんじゃないですか,週刊誌なんか。
○富山調査官 もちろん見せています。かなり頻繁に入っています。
○滝鼻委員 それはだけど,さっき言った僕の社会通念というか,社会常識から言うと,ちょっとぜいたく過ぎるんじゃないか,そんなものは。
○井嶋委員 だから本なんていうのは,僕は余り入れない方がいいと思います。
○滝鼻委員 だからそういう議論して,この5人が少なくでも合意したことについては例示するとしたらどうですか。
○井嶋委員 ですから,さっき言ったように,一つは軍隊式の行進。これは非常に象徴的なこととして。
○滝鼻委員 正座の強制ね。
○井嶋委員 それがもし今の事務局の御説明だとないと言うんだけど。
○富山調査官 点検時を除けばですね。
○滝鼻委員 だけど,刑務所によっては強制しているところがあるかもしれないよ。厳しい担当の人とかね。
○成田委員 私はキャッチフレーズというか,やはりフェアだと。何かそういうこと。
○滝鼻委員 公平感。
○成田委員 公平だ,公正だと,何かそういうものが必要だと思うのですよね。それで,暴力は絶対使ってはいかん,二度と使ってはいかんと。
○井嶋委員 規律保持のために暴力を使うとか,規律を保持するためにはフェアにやれとかいうことを要するにつけ加えるわけですな。中身じゃなくて,今度は執行の仕方の方ですから。それは提言としては,この場所になるのかな,やはり。成田さんがおっしゃっているような意味でね。
○成田委員 フェアであるということが,私はそれが……。
○井嶋委員 今回の事件を受けての審議会だから,非常に必要なことかもしれませんね。
○宮澤(浩)会長 いかなる理由があるとも,暴力は許さない。
○成田委員 許されないわけですよね。
○宮澤(浩)会長 そして,この規律,秩序の維持に当たっては,不公平感にわたらぬことに留意すべきであるとかね。
○成田委員 それが基本理念じゃないですかね,実行のね。
○井嶋委員 ですから規律の中身じゃなくて,執行の仕方ということで少し分けて。おっしゃるとおりだ,それはやはり必要ですね。
○宮澤(浩)会長 社会常識に関する規律の在り方,例えば軍隊式行進,正座の強制,あと何でしょうね。沈黙の強制か。
○滝鼻委員 作業室で交談という言葉がよく出てくるのだけれども,要するに隣と話し合っちゃいけないというのでしょう。あれはどういう危険性があるのですか。
○富山調査官 幾つか理由があるのですが,まず一つは機械作業なんかやっているものがそんなおしゃべりなんかしていると危ない,事故が起きる。作業事故につながるというのがまず一つあります。それからあと,作業に関する話をすることはもちろん構わないのですが,そうではない例えばくだらんだべりをしたり,あるいはもっとひどいのは今度あいついじめてやろうとか,そういうようなよからぬ謀議をされたりと。居房にいるときというのは,雑居房というような形で仕切られていますけれども,工場では何十名が一緒になりますから,居房とは別の単位ができるわけです。そういうところで不
正な相談等をされても困る。担当が全部そばにいて聞いているわけにもいかないということで,一つは作業中はとにかく作業に専念しなさい。一生懸命やりなさいということがあるのと,事故防止あるいは不正な情報交換の防止ということで交談を禁止しています。もちろん休み時間とか,そういうときは自由にしゃべらせています。これは担当がそばに行けますので,担当台にいてずっと全体を見渡しじゃなくて,みんなを1か所に集めて休憩させますので,変な話はできないということで好きに話させています。
○滝鼻委員 それと,あとわき見の禁止とかいうのがあるのですか。
○富山調査官 わき見も,これは基本的には要は作業に集中しなさいということでやっていますので,ただこれが規制が行き過ぎると,ちょっと音がして横をちらっと向いたら,おまえ,わき見したと。これは余りにもひどい話でして,そんな運用はもう当局としても絶対やるべきではないと思っているのですが,そうではなくて作業をさぼってぼーっと横を向いているとか,そういうときはやはり作業に専念してない,あるいは手元を見てなければ危ない作業のときにわきを向いている。それはもう本人自身が危険である。そういうことでわき見を注意しております。ですから,何かちょっとあって横をちらっと見るとか,本来そんなことを注意すべきものだとは我々は思っていません。ただ,それこそさっきの担当の恣意的な裁量ではないですけれども,場合によってはそんなことまでとらえてわき見と言われてしまう例が恐らくあるのだと思います,現実には。それはむしろ統制して,そんなことはだめだということで抑えていかなければいけないと思うのです。
○菊田委員 そういうことを理由に,懲罰,軽屏禁などの根拠にするとか,そのたぐいじゃないと思うのですね。だから,そういうことはよくないよということは,どの学校だって何だって集団生活は必要ですよ。だけども,それが即規則違反で懲罰だとか軽屏禁だというようなことに結びつくこと自体が規律優先と言われるわけですよ。
○富山調査官 ですから,今はわき見を1回したから懲罰なんていうケースはほとんどないです,基本的に。
○菊田委員 ないと言ったって,あなたはそういうことばかり言うけれども,全国の刑務所を津々浦々まで知っているわけではないのだから,そういうことがあってはならないと。
○富山調査官 ですから,あってはならない。それでいいですよ。あってはならないという意味でいいのですが。
○菊田委員 そのときは,そういうことが刑罰の中身としてあってはならんというようなことで,相手を信用しなければ教育,処遇なんかできるわけないのだから。
○富山調査官 それはそのとおりです。だから,例えばわき見をしてずっと横を向いていて,横を見てないでちゃんと前を向きなさいと言っても一切聞かないというようなことであれば,あるかもしれませんよ。そういうわき見はあります。だけども,ちらっと横を見ると,はい,わき見したから懲罰だというような運用は,むしろするなと当局からも言っているのです。それはイレギュラーはあるかもしれません。でも,それはむしろ我々も直さなければいけないと思っています。
○菊田委員 むちゃくちゃあるんだから,こういうものが。こういうもので,全部権威づけている。だから,担当者は,さっきも言ったけど,こんなことでやったら物すごくくだらない時間を使っているわけでしょう。神経と。
○富山調査官 実際多分,それは職員が覚え切れないのではないかと思うのです,そんなにあったら。
○菊田委員 受刑者に暗記させるんだそうですよ,これ。
○富山調査官 受刑者の方が覚えていたって,職員が摘発しなければ意味ないですよね。
○菊田委員 これは一覧表があるんだから。ちゃんと一覧表があってやるのだから。それで全部つけるのだから,チェックするのだから。
○富山調査官 受刑者はそうですけれどもね。それは本当,見直すべきだと思いますよ。
○井嶋委員 そういう方向でドラフトしてもらえますか,骨子を。
○宮澤(浩)会長 それはさっき申しましたような,文言を少し修正するなりして例示をする。
○井嶋委員 合意したものだけね。
○宮澤(浩)会長 それと,あとその適用に当たっては公平感を害するようなことがあってはならないというような文言をつけてください。それで一応(2)の問題,仮釈放制度の見直し……。
○名取課付 すいません,ちょっと確認させていただきたいのですけれども,軍隊式の点と正座の強制と,今富山調査官の言ったわき見の禁止なんかの過剰な規制といいますか,こういったものは見直すべきだということを盛り込むということでよろしいでしょうか。ちょっとかねがね問題になっている裸体検身は,前回の議論もいろんな意見があって,廃止すべきだという意見もあったり,当然必要じゃないかという意見もあったりして,必ずしもちょっと一致していないということで,先ほどの滝鼻委員のお考えによると,ここにはちょっと盛り込むのは難しいのかなというふうな感じでしょうか。
○滝鼻委員 我々が府中刑務所を視察というか行ったときに,裸体検身の話出ましたよね。一緒に行ったでしょう。そのときに,なぜそんなことするんだよと言ったら,作業服から房服というの,あれ,昔。何て言うんですか。要するに自分の部屋に戻って着る,色が違うんですよね。舎房衣か。そのまま行かせないのだと言ったら,例えば作業場で工具なんかを隠し持ったり,それから覚せい剤というのはどういう意味だか分からないけれども,そういうちょっとした刃物とかあるいは物を切れるような道具でも隠し持ってそのまま入らせてしまうと困るのだと。それを所持品がきちんと全部なくなっているということを確認してから舎房に入れているのだと。それは一度洋服を,前のを脱がしてパンツ1枚にして,それでパンツの中に入れるかどうかは知らないけれども,新しい洋服を着せて,それで向こうに送り込まなければだめなのだと。危機管理としては,僕はそうだと思うよ。そんなもので,脱走までできるのかどうか知らないけど,あるいは相手を雑居房かなんかでけんかでもおっぱじめてけがしたとか,そういうことはあるのだろうから,それは菊田先生は他人を信用しなきゃ教育できないと言ったけれども,それは必要な措置だと僕は思ったね,あのときは。説明聞いて。
○菊田委員 現状では必要だと思いますよ。だけど例えば裁判所に入るときに,今かばんもやられるように,そんな金かからなくてあんなものちょっと置けば,何も裸にならなくてもできるわけですよ,チェックは。チェックができないから裸にするという。
○滝鼻委員 金属探知機。
○菊田委員 そうですよ。
○滝鼻委員 そういうのができればね。
○菊田委員 それは,裸検身ということ自体が品位を傷つけるのだから。金の問題じゃなくて,そういうものやりなさいぐらいの提言はしていいと思うのですよ。
○滝鼻委員 裸検身というか,着がえさせているわけでしょう。
○菊田委員 それは強制的に裸になるのですから,人の前で。そして検番の前を通るのですから,裸で。アメリカであんなことやっているところはありませんよ。
○成田委員 センサーはいいセンサーができているのだから,すぐあれするような,通ったらね。
○菊田委員 そんなに金かからないですよ。最高裁の裁判所の入り口のあれ。
○滝鼻委員 そこまで言うのなら,僕は言わせてもらえば,金属だけじゃないものもあるというんだ,この間ちょっと聞いたら。
○菊田委員 だから,それは疑えばどんなことだってやりますよ。とことんまで厳格なことやればいいになってしまう。
○滝鼻委員 できる範囲のことをやっているわけでしょう,今。金属探知機を全刑務所に配置せよということを今提言するわけ。
○菊田委員 そこまで言わなくても,裸検査をやめなさいぐらいは言っておく。
○滝鼻委員 やめなさいといったら,それにかわるリスクヘッジはどうするの。
○菊田委員 それは当局が考えることで,こっちが考えることではない。
○滝鼻委員 それは無責任じゃないですか。
○菊田委員 そんなことないですよ。無責任と言われれば,探知機だけつけなさいと言ったっていいよ。私はそう思っていますから。あんなの,そんなに金かかりませんよ。
○宮澤(浩)会長 でも,やはり規律についてはA級とB級では大分違うでしょうからね,だからA級ではもうそういうようなものは廃止する方向へ行くだろうし,B級ではかなり問題の受刑者がいるときに,おまえはこうやれとかっていうことはできないから,やはり一律にしないと不公平が起こるから,その場合には金属探知機を置けとかというのは,そのぐらいのフレキシブルなことがあってもいいかなとは思いますがね。
○成田委員 私も初め滝鼻委員が言われるように必要最低限,そういうものはあるわね。変なのがいるだろうから。でも,実際それは希有のこと。
○井嶋委員 一致しないからちょっと書けないという意味では,むしろ書かない方で。
○宮澤(浩)会長 問題は,先ほどの言葉で言う人間としての尊厳を傷つけるようなことをしてはならんという言葉を,A級の所長さんは,じゃこれが新しく出たのだから我が施設では裸はやめようというふうに判断してというのだったら,それはそれでいいでしょう。
○富山調査官 A級の施設では,裸検身までは実施してないところがあります。全裸にはしないというところもあります。
○滝鼻委員 衣服は着がえさせているわけ,どこでも。
○富山調査官 着がえさせていますね。それはほとんどの施設が衣服は着がえさせていますが,ただその検査の過程で全部脱がないでいいと言っているところもあります。特にA級の施設です。
○菊田委員 実務の方が進んでいるわけですよ。裸がいいというレベルじゃないんですよ。やめたい方向に動いているのですよ。
○滝鼻委員 それは安心だと思えるところはそれでいいじゃないですか。だけど,今裸検査を一切やめろということになると,本当に数パーセントのリスクをどうするのだということも,僕らは無責任なことは言えないよと言っているので。
○菊田委員 だから,それは探知機なんぞをつくれということを私は言っているわけですよ。
○宮澤(浩)会長 だから,菊田さん,こういうことだと思うのね。人間としての尊厳を傷つけたりどうのこうのというふうに提案して,その提案には一応注釈というのか説明があるとすれば,施設によってこの方法は違うだろう。例えばA級においては現在も一部でやっているように全身を裸体にするような検身はしない方向に行くのが望ましいし,B級の施設においては,金属探知機等を使用することによってこの要請にこたえるというふうにすればいいんじゃないの。
○菊田委員 それでいいのですけれども,A級とB級,じゃB級の方がA級よりも危険な人間ばかりかというと,そうじゃないんです。あれは刑期によって違うわけですからね。だから,それはもう全然基準にならないのですよ。そういう点では,ちょっと実務としては妥当性に欠けているように思う。
○宮澤(浩)会長 だからその場合に,我々の間で一致したような意見を言葉で盛り込むのに,では当局でもって何かそういうのの……。言葉がたくさん入ってくると,法律というのは逆に解釈がまた多様化するから,なるべくきれいな簡略な表現。
○菊田委員 可能な限りにそういう方向で行くというような意味でもいいのだろうと思いますけれどもね。もう一つ私さっきから言っている丸刈りだって,実務上は出所する前に5センチまで伸ばすように改正しているわけですよ。だから方向としては,長髪をやろうという意気込みがあるわけですよ。だから,それを丸坊主も結構だという論理は,ここで議論してもらいたくないですね,本当のところ。既に実務では伸ばしているのです。
○滝鼻委員 今は丸刈りはしてないわけ。
○菊田委員 そうです。
○滝鼻委員 してないなら,してないと言ってくださいよ。これ丸刈りと書いてあるから,丸刈りにしているのかと思った。
○菊田委員 出る前は,5センチまで伸ばすということを。
○滝鼻委員 短期の話でしょう。出所直前の話でしょう。
○菊田委員 そうです。
○滝鼻委員 それはいいですよ。
○富山調査官 それは,違和感のある姿で社会に出さない。社会では丸坊主の人が少ないですから,伸ばして出たい人には伸ばしてあげる。
○滝鼻委員 そんなことまで僕は言っているのではなくて,今頭のスタイルを自由化すると,要するにすごい格好して歩いているじゃないですか。刑務所がああなっちゃうんじゃないかと思って。
○井嶋委員 長髪族。
○滝鼻委員 長髪。
○菊田委員 それは常識的に切るべきものは切る必要ありますよ,それは。
○滝鼻委員 それだってあるでしょう,調髪はするわけでしょう。床屋は必要なわけでしょう。
○菊田委員 必要ですよ。
○宮澤(浩)会長 すいませんけど,あと20分しかないのですが,先ほどのような趣旨でそれこそ全体会議に出す前の表現というのはまたチェックする時間もありますので,その点大いにそのときにチェックするとして,残りの2点。



(2)仮釈放制度の見直しについて
・棄却理由の告知に関する運用状況等についての説明


○宮澤(浩)会長 一つは,これはどちらかというとこの分科会プロパーの問題ではないのですけれども,仮釈放を申請したところ棄却される人が,そんなに多くはないのですけれどもあるわけです。そうします,その棄却事由をきちんと告知するような手続を考えていますかという質問に対して,それは実を言うと保護の方も矯正がどうしているかは知らないし,矯正の方は今度は保護でどの程度詳しい理由があって棄却されたかというようなことまでは伝わってこない。そこで,今実務上やっているのは,先ほどの話ではありませんけれども,担当を通じ若しくはその他処遇関係の部長がやるのか調査主任がやるのか知りませんが,しかるべき人が申立ては残念ながら棄却されたので,次回までに大いに努力をしてまたなるべく早くそういう申請ができるように努力しなさいというような趣旨のことは告げているようなのですね。だから,ここでそれをもう少し個人プレーではなくて,ある程度の制度として棄却された人に対する棄却事由の告知について,矯正施設として何か手続的に担保するようなことを考えるべきかどうかという提案をするかしないかの問題。
○井嶋委員 私は,要らんと思いますが。これはあくまで仮釈放というのは権利性があるものではなくて,恩典的にやっていることですから,そもそも棄却理由も説明する必要ないのかもしれませんが,これは実務でやっているという話ですから,それでもう十分だろうと思います。
○成田委員 これは,仮釈放というのを,本人がそういうことを君,あれするよということをだれかに言うのですか。
○宮澤(浩)会長 あれは,よく知りませんけれども,もう入所したときから大体出る日は決まっているんですよ,有期刑の場合は。それで,その有期刑から今度換算していつごろ,法律的には3分の1過ぎればいつでも仮釈放できるのですけれども,実務上この間資料があったように,大体70%か80%まで執行されるわけですよね。そうすると,その手続に時間がかかるから,一月か二月か分かりませんけれども,大体そのころを目安に仮釈放の準備が事実上始まっているのではないでしょうか。その,君について仮釈放の申請中だよなんていうことは言わないの。
○富山調査官 申請をしたということは余り言わないのですが,ただ実際には委員面接があったりとか,そういうのがあるものですから,言わなくても何となく分かるのですね。
○成田委員 ところがそれがだめになる。だめになったら,だめになったから何でだということなのですか。
○井嶋委員 それは担当官が適宜説明している,実務上,ということでしょう。
○富山調査官 これは施設ごとにばらつきがありまして,8割ぐらいの施設で,とにかく棄却されたということは本人にしゃべっています。
○井嶋委員 理由を。
○富山調査官 理由じゃなくて,棄却されましたということですね。半分ぐらいの施設では,ある程度の理由は,例えば所内での服役態度でよくないと思われたようだねとか,そのほかこんな理由があるからこういうところを頑張ってごらんとか,何か指導をするような感じで棄却理由を伝えている。これを伝えるのは,分類の幹部職員が通常やるそうですが,そういうことを半分ぐらいの施設はやっているというのが実態です。
○菊田委員 私は,仮釈放の制度をこんな10分ぐらいで議論するというのは,そもそもおかしいと思いますよ。これは特別の時間を設けてやるべきだし,そもそも仮釈放そのものが規律維持の手段に使われている実態なのですから,これはそういう問題から考えると,今までおっしゃった議論から言って,仮釈放制度はもっと徹底的に議論しなきゃなりませんよね,どうするかということについて。それは公平だけの問題ではないです。全然,根本的な問題から話をしなきゃ。
○宮澤(浩)会長 その点なのですけれども,これは実は単なる監獄法だけの問題ではなくて,刑法の問題でもあり,かつ更生保護の問題でもある。
○菊田委員 現に3分の1というのがある刑法に規定しているのだから,権利じゃなくて3分の1で仮釈放するという原則をどう維持していくかというところの改正は,私は工夫はできると思うのですよ。そういう方面での議論をもっとすべきだと思いますよ。
○井嶋委員 ここでやる議論かどうかちょっと分からないのですが。
○菊田委員 だから,そういうところの基本的な問題をネグレクトしてただ公平と言ったって,これは絶対公平ということはあり得ませんよ,今の中では。グズタムシステムとか,あるいは必要的仮釈放とか,いろんな制度が諸外国でとられているのは,やはり公平化から来ているわけですよ,基本的には。今のは権力側の裁量です。裁量で結局引き延ばされて,棚の上のぼたもちという形でえさで釣っている材料に使われているわけですから。だから,これはもう記録が全部公に出ますから,この中でこの形で簡単に議論されたといったら,行刑委員会何だと言われますよ。
○宮澤(浩)会長 そこはおそらく御発言になるかと思いますけれども。
○滝鼻委員 我々第1分科会に与えられたテーマではないと思いますね。
○菊田委員 いや,仮釈放はやはり所内です。
○滝鼻委員 そうしたら無限に広がっていくから。
○菊田委員 いやいや,規律問題の重要なポイントを占める。
○宮澤(浩)会長 それは事実上の問題であって,制度としてそうなっているわけではないから。
○菊田委員 その制度を合理化する,どうするかということでしょう。
○宮澤(浩)会長 だけど,どうでしょうかね。
○滝鼻委員 仮出獄の制度をここで議論するのは,僕らに与えられた使命とは思わないね。
○菊田委員 そうですか。
○宮澤(浩)会長 これはだから,本当言うと矯正と更生保護が連合でやらないとだめなんです。ちょうどその中間の問題だから。
○滝鼻委員 だから,今宮澤先生が言ったように,オーケーになったのはいいのだけれども,棄却された人に対してその理由を告知するかどうかということを議論するのなら,それ以前に僕は申請権者が所長だけにあるというのも僕はおかしいと思うんだよね。もうちょっと,本人がいいかどうかはともかくとして。それから所長が申請して,今度は所長が,代理の人が答えるとしても所長が仮出獄のことを本人に伝えるわけでしょう。それもおかしいと思うのだよね。だからそうすると,仮出獄の制度そのものを根幹から議論しなきゃいけないでしょう。それはちょっと別の審議会なりあるいは分科会というのか,行刑では間に合いませんよ。議論の必要性というのは,僕は菊田先生の言うとおり必要だと思うけれども,ここでこの12月の8日までに結論出せというのは無理があるし,僕はそこまで委任はされてないと思う。
○菊田委員 では,我々の分科会でやらなければどこでやるかという,どこもやるところないでしょう。
○滝鼻委員 それは分かりません。
○菊田委員 では,行刑改革の大きな柱がネグレクトされるわけですよ。
○滝鼻委員 いやいや,行刑改革の大きな柱とは僕ら,全体会議のときには認識してなかった。認識してないですね,現実も。
○菊田委員 そうですか。それはしかし,大きな問題ですね。認識されてないということは。
○宮澤(浩)会長 なぜかというと,そんなこと言い出したら引っくり返っちゃうけど,どうにもならないけれども,私は仮釈放というのは受刑者に権利性を認めるべきである,受刑者の家族も申請権があるというふうになるのが理想だと思うのです。だけど,それはここではそんなことを言い出したらどうにもならないから,言わない。したがって,そういう根本がきちんと定まらないのに,ここで急に出てきてもどうにもならんという,僕の本質はそうなのです。あれは今みたいに恩恵はおかしいですよ。本来は。だけど,それはもっと大きな機会に根本的な議論を大勢の人間でやり合わなかったら,これは無理です。
○井嶋委員 無理ですね。これは,そうすると答申の骨子に入ってくるわけ。
○宮澤(浩)会長 だから,簡単には結論づけられないので,したがって寝る子を起こすみたいなことを言わないことにするなんていうような答申というか案は,必要ないですね。黙っていればいいのですか。
○富山調査官 そこはもうお考えはいろいろあるとは思うのですけれども,ただ結論が出ないことを書くとどうなのかなという気はいたしますよね。
○滝鼻委員 第1分科会に与えられたテーマというのは,箇条書きであったですよね。あの中に仮出獄の在り方なんて,ありました。
○宮澤(浩)会長 いや,なかったものですから,実を言うと私自身も虚を突かれて,すぐにこれ調べてって頼んだような。
○滝鼻委員 調べるのは,それは広範に調査活動するのはいいとしても,それについて結論を出せなんていうことを我々は諮問されているのかしら。
○井嶋委員 どなたかの御意見の中に,過剰収容だから早く仮釈放したらどうかみたいなことが出たんだろうと思うのです。
○滝鼻委員 全体会議で。
○井嶋委員 どこかペーパーでしたか。
○宮澤(浩)会長 この中でやりましたよね。70%,80%というデータが出て,それで仮釈放の実態はどうかというのは,そういう議論はしたのです。ただ,それを手続的にもし棄却されたときに告知をどうするかという,そこまで突っ込んだ議論はできなかった。時間的にできなかった。
○井嶋委員 できませんし,瀬川先生にはそういう実務でやっておりますという程度でお答えいただいていいと思うのですが。
○菊田委員 少なくとも仮釈放については大きな問題があるので将来検討されたいとぐらいは出しておくべきですね。
○宮澤(浩)会長 それならいいと思いますけどね。
○菊田委員 全然触れないのではなくて。
○宮澤(浩)会長 それこそ抽象的な表現ですけれどもね。だから,仮釈放は矯正のみならず更生保護とのかかわりもある問題であるから,今回はそれを詳しく議論することは避けたが,将来この点について十分に検討してほしいというようなことは言っていいのではないでしょうか。だめですか。
○滝鼻委員 会長がそうおっしゃるならいいですよ。
○宮澤(浩)会長 どうでしょう,井嶋委員。
○井嶋委員 その方がいいと思いますよ。
○宮澤(浩)会長 やはりいつかはやってほしいわけですよ。
○井嶋委員 それは,私もこの前言いましたように,早く出せば過剰収容は減るわけですから,副次的には効果があるという意味では,過剰収容対策にはなるのかもしれません。しかし,それは主目的ではありませんので。ですから,こういう時代にそういうのを運用をどう見直すかということはあっていいとは思うのです。ですけれども,ここでは議論できなかったということを書けば。そこまで書くのかという問題だけだと思いますが。一応ちょっとドラフトをつ作ってみて,どうするか。
○名取課付 とりあえずそういう方向で入れたものをドラフトを作ってみますので。



(3)その他の論点について
・分科会長からの提案


○宮澤(浩)会長 それでは,場合によっては非常に重要な問題かもしれませんし,我々にはちょっとやるのは荷が重いという問題が最後に残りました例の代用監獄問題なのですが,私個人としては,実はこれについてはいろんな意見を持っていますけれども,これはやはりある意味では法律自身が法務省の法律ではないわけでありまして,あれは国家公安委員,警察の問題ですから,そういう当事者がいないのに議論するということはとても不可能なことですし,第一それは我々のこの改革会議のテーマとしても与えられていなかったというふうに考えていいのではないでしょうかね。
○井嶋委員 私も同感です。
○菊田委員 私の意見ですけれども,ただ行刑改革という流れの中で,拘置所における処遇といいますか,そういうものにも何かこちらの結論の方向が,拘置所の在り方についても何らかの影響というか,改善に向けてもらいたいというようなことだけは入れてほしいと思いますね。
○滝鼻委員 僕はちょっと知らないから。
○富山調査官 拘置所というのは,法務省所管の拘置所ということで。
○菊田委員 そう。
○滝鼻委員 僕は知らないから聞くのだけれども,新監獄法というのが仮にできたとすれば,名前は違うだろうけれども,できたら,それは拘置所にも及ぶのですか。
○富山調査官 及びます。現行監獄法ももちろん拘置所に及びますので,同じように及ぶものをと思っておりますが。
○滝鼻委員 及ぶわけね。
○富山調査官 はい。
○名取課付 今菊田先生がおっしゃった,いわゆる未決の問題という形になろうかと思いますけれども,基本的に第1分科会でも中心に念頭に置いたのは受刑者の問題で議論していただいたのは間違いないのですが,それは当然時間の制約もありますし,いろいろ問題を広げ過ぎてもというのがあったのだろうと思います。ですから,受刑者の問題を中心に議論して,提言もそうなるとは思うのですが,ただ当然,その未決の問題の重要な問題であるので,改革の方向性を十分尊重して未決の方も考えていくことを提言するというようなものになるのだろうと思います。
○井嶋委員 この程度でとどめようということですか,冒頭で。
○名取課付 はい。
○滝鼻委員 それともう一つ伺いたいのですが,拘置所に経理という仕事があって,どこかの受刑者が来て働いているという実態があるのですか。
○富山調査官 どこかのというか,その拘置所自体に経理作業をする受刑者というのもおりまして。
○滝鼻委員 それは刑務所じゃないのでしょう。
○富山調査官 拘置所です。拘置所の中に受刑区というのがありまして,例えば炊場,食事を作る作業,衣服の洗濯をする作業,あるいは営繕といった施設の補修の作業。
○滝鼻委員 それは既決囚なのですね。受刑者なのですね。
○富山調査官 そうです。受刑者がそういう作業を拘置所でやっています。
○名取課付 床屋もそうですね。
○富山調査官 理髪なんかもそうですね。未決の人の無料理髪というのがあるのですが,これも経理係の受刑者が希望した人の理髪をする。
○滝鼻委員 成績のいい人。
○富山調査官 成績がいいというか,余り行状の悪い人はそういう経理係では使えませんので,ある程度行状のいい受刑者ということになると思います。
○宮澤(浩)会長 それは所属は拘置所だけれども,執行刑罰ということですね。
○井嶋委員 刑の執行をしている。
○滝鼻委員 それは刑務作業なんですか。
○富山調査官 もちろんそうです。
○宮澤(浩)会長 Eというやつですよね。
○富山調査官 N級ですね,経理ですから。
○滝鼻委員 態度のいい人だね,そういうところは。
○富山調査官 Eはエデュケーションで教育が必要な処遇分類です。
○滝鼻委員 割と勤務態度のいいやつ。服役態度のいいやつ。
○井嶋委員 分類的に軽作業に向いているという分類をして。
○成田委員 経理というのは……。
○滝鼻委員 経理局の経理。だから,ここ読んだら,なじまない言葉が。経理といったらそろばんはじいているのかと思うでしょう。そうじゃないんだ。それをなぜか法務省では経理と呼ぶんです。それから外部交通なんていうのも,だれも分からない言葉ですよ,こんなもの。
○宮澤(浩)会長 もう一つ言わせていただきたいのは,ここに言う代用監獄というのは警察署の留置所をもって監獄にかえるという,あの文句のかわりで,日弁連はそれに非常に関心が高いわけですから,その問題をどう扱ったのであろうかというような質問がたしか来ているはずなので,一番最後の問題として,だけど我々としては与えられた我々の仕事というのは行刑改革であって,刑の執行,そしてその一つの形として法務省管轄下の拘置所,しかも処遇という言葉を使うけれども,まだ未決ですから,受刑者と同じような処遇とはちょっと意味が違うわけですよね,未決の処遇というのは。むしろ処遇というのは,取扱いというような感じの処遇なのでしょうね。受刑者の場合は,彼らが社会復帰のためにいろいろな方法を通して訓練を受けるというような意味が受刑者の場合の処遇には入るわけですが,その部分は拘置所ではないわけで。ただ拘置所で,希望する人に作業ができるんだっけ。拘置所の中で。未決の拘置所の中で,希望する人には作業をさせているわけですね。だから,請願作業という形でやらせているけれども。
○井嶋委員 大規模な工場を持っていませんので,せいぜい紙細工とかそういうようなものです。
○宮澤(浩)会長 というようなことで,私どもとしてはこの問題については論点として取り上げないというようなことになるわけでしょうかね。
○井嶋委員 結構だと思います。

2.その他

○宮澤(浩)会長 それでは,大変不手際で皆さんいろいろおっしゃりたいことも途中で論点整理の次の点へ移したりして大変失礼をいたしました。でも,冒頭にお話がありましたように,8日の本会議に出す案が水曜あるいは木曜にできるようでありますので,その案についていろいろ,その場合はだけでもう一度合議することはできないから,本会に出すには名前を出すか出さないかは別として,少数意見があるとかというようなことになるのかしら。
○名取課付 それは,またちょっと御意見次第になるかと思いますけれども。
○井嶋委員 あとに第1分科会集まってやりますということになるのでしょうかね,そういう部分は。
○宮澤(浩)会長 分かりました。ではそんなわけで,場合によってまた8日の後に1時間ほど積残し及び論じ残したことの検討ということが多分あるでしょう。ですから,今回をもって最後というわけではありませんが,どうぞ格別の御協力を賜りたいと存じます。
○名取課付 ちなみに,明後日の午前中には骨子の案を先生方にお渡しできると思うのですけれども,8日までの間にもう一度お集まりいただくというのはおそらく難しかろうと思うのですが,もしお集まりいただけないとなれば,個別に御説明に伺って個別の御意見を聞いてということになるわけなのですけれども。
○宮澤(浩)会長 4日の1時ごろ,よければ僕来ます,一応。出るついでがありますから。4日,木曜日。
○名取課付 皆さんでお集まりというのは忙しいのでしょうね。成田会長は大分お忙しいというふうに……。
○富山調査官 こちらもできるだけ早くお出しするようにしますので,できるだけ早く意見の有無を教えていただいた上で。
○名取課付 個別でよろしいですか。
○宮澤(浩)会長 そうしましょう。
○井嶋委員 会長が言われたようにできるだけ協力するということで,説明を聞いて。それでどうしてもペンディングになったところは,全体会議のときに会長から,ここはペンディングで後で議論するということで引き取っていただいていいわけでしょう。それはあとの1時間で決着をつけると。
○富山調査官 ただ,8日に出すのは,なるべくこの分科会としてはまとめたものを出したいと思っているのですね。ここでペンディングだと,全体会でじゃ何を議論したらいいのかという形になると思いますので。
○宮澤(浩)会長 でも3日には。
○名取課付 明後日の午前中には何とかお渡しできるようにしたいと思っております。4日は先生は大丈夫ですか。
○宮澤(浩)会長 私は1時半に来ます。
○井嶋委員 僕も4日はオーケーです。集まれる人は集まりますか。
○名取課付 菊田先生,4日の午後は。
○菊田委員 何時ですか。
○宮澤(浩)会長 1時半じゃだめ。2時でもだめ。
○菊田委員 午後は大丈夫です。
○滝鼻委員 僕は全然だめですね。では,集まって,僕は基本的には今の議論でそうでかい問題が出てくるとは思わないんだけれども,ささいなことで,みんな重要だけれども,余りささいなことではないのだけれども,重要なことだけれども,どうしても僕と宮澤会長の間で意見調整ができないようなことが仮に万が一あったとしたら,僕はよほどのことじゃない限り会長の意見に賛同します。
○成田委員 僕もそうです。
○名取課付 それではこういう形でよろしいかですが,4日の1時半に宮澤会長と井嶋先生と菊田先生にできましたらお集まりいただいて,検討していただいて,その結果を踏まえて滝鼻先生と成田先生に御説明に上がるということで御了解がいただければと思うのですが。
○井嶋委員 なお修正があれば,もう一回個別にファックスやなんかでやってください,8日までに。
○名取課付 はい,分かりました。
○宮澤(浩)会長 それでは,申し訳ありませんが4日にお願いします。
○名取課付 では,1時半でお願いできますか。


午後5時00分 閉会
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