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行刑改革会議第2分科会 第2回会議議事概要

1 日時

平成15年9月22日(月)14時から16時50分

2 場所

最高検小会議室(20階)

3 出席者

(委員,敬称略)
(会長)南博方(一橋大学名誉教授)
(委員)大平光代(弁護士),久保井一匡(弁護士・前日本弁護士連合会会長),瀬川晃(同志社大学法学部長)(50音順)

4 議題

(1)  日弁連提言「市民参加による社会に開かれた刑務所への改革を求める」について(岩田研二郎弁護士からのヒアリング)
(2)  情報の公開と行刑施設を監視するための委員会について(矯正局の説明)
(3)  透明性の確保(視察委員会・情報公開)について(議論)
(4)  その他

5 会議経過

(1)  岩田弁護士から,別紙1【PDF】に基づいて説明がなされ,以下のとおり質疑がなされた。
・  日弁連提言の刑事施設審査会の位置づけはどのようなものか。イギリスのオンブズマンと刑務所査察官の役割を兼ねたものなのか。
(回答: 英国について言えばそうであるが,例えば,韓国では,個別の不服の処理と査察を行う人権委員会があると聞いている。)
・  韓国には市民参加の組織はあるのか。
(回答: ないと聞いている。)
・  刑事施設法案の際の日弁連の提言と現在の提言は,どのような点が異なっているのか。
(回答: 刑事施設審査会について,市民参加という視点が加わった点,イギリスのオンブズマンのような役割を持たせた点が異なる。)
・  刑事施設審査会については,人権擁護法案の人権委員会との関係をどのように考えているか。
(回答: 日弁連としては,人権委員会を内閣府に置くべきだと考えているが,それが実現すれば,刑事施設審査会もその人権委員会に吸収されることになると考える。それが実現するまでの間,刑務所のみに関する刑事施設委員会を置くべきだと考えている。)
・  イギリスの訪問者委員会については,形骸化しているとの批判があるようであるが,形骸化させないためにはどのようにすべきだと考えているか。
(回答: 構成員に専門家を加え,選任の仕方を考える必要がある。なお,イギリスでは,不活発な訪問者委員会もあるが,活発なものもあると聞いている。)
・  刑事施設視察委員会に,受刑者から苦情の申立ての処理権限を与えるべきではないか。
(回答: 刑事施設視察委員会は,所長に意見を述べる諮問機関と考えている。)
・  イギリスのオンブズマンは,どこの組織か。
(回答: 内務省の組織であるが,内務省に属していることには批判もあると聞いている。)
・  イギリスの訪問者委員会は,今春,「独立監視委員会」に変更されたが,その「独立」というのはどのような意味か。
(回答: 組織的には独立していないが,公正な独立している者を構成員としているという意味で「独立」と言われているようである。)
・  イギリスの訪問者委員会が独立監視委員会に変更されたのはどのような理由からか。
(回答: 正確なところは確認する必要があるが,受刑者にとって,訪問者委員会が刑務所と一体のものと見えているとの問題意識があったのではないか。)
・  日本国内に,日弁連提言の委員会のモデルとなるものはあるか。
(回答: 精神医療審査会等がモデルとなるのではないか。)

(2)  矯正局重松企画官から,別紙2【PDF】に基づいて説明がなされ,以下のとおり質疑がなされた。
・  刑務所での死亡事案は,病死を含めて全件を公開すべきではないか。
(回答: 公開の範囲については,行刑改革会議で御検討いただく事柄だと考えている。なお,名前を伏せても,他の情報と併せると誰のことか分かる場合もあり,遺族の中には公表してもらいたくないとの意向の方もいると聞いている。)
・  社会復帰後は,例えば,刑務所内で教誨を受けた教誨師との関係は切れてしまうのか。
(回答: 保護との連携については考えていかなければならないが,社会復帰を機に関係が切れるのが現状である。)
・  通達,所内生活の手引き等の関係文書を公開すべきではないか。
(回答: 矯正局としても公開に向けて検討することの重要性について認識している。)
・  イギリスの独立監視委員会(訪問者委員会)については,どのような問題があるのか。
(回答: それぞれの委員会の活動が区々でアンバランスであること,刑務所への食い込み方が足りないこと,訪問者委員会への矯正当局の反応が悪いことなどが言われているようである。)
・  刑事施設法案の刑事施設運営協議会については,どのような経緯でインフォーマルなものにすることになったのか。
(回答: 法制審議会の小委員会で,行政組織を縮小しようという考えと対立することや各構成員が自由に意見を表明できる柔らかい形式のものにした方がいいなどという理由で,法律事項とされなかった。)

(3)  透明性の確保(情報公開・視察委員会)について,以下のような意見が述べられた。
・  刑務所での死亡事案は,病死を含めて全件を公開すべきではないか。
・  通達等の公開は,行政に対する信頼性を確保するという観点から重要であり,個人名等,支障がある部分を除いて行うべきである。
・  通達等については,インターネットで公開すればよいのではないか。
・  外部との連携については,受刑者に,ロースクールの学生に講義をさせるというのはいかがか。
・  視察委員会については,形骸化するおそれがあるとしても,有害でなければいいと思う。トライアンドエラーの精神で創設すべきではないか。
・  イギリスの独立監視委員会のような機関は,連携協力のための機関として必要なのではないか。
・  視察の委員会を各施設ごとに設けることは,行政のスリム化に逆行し,大変なのではないか。
・  視察委員会については,市民が参加するということが重要であり,委員の地位を固いものにするのは適当ではない。
・  視察委員会の構成員については,裁判官,弁護士,医師が含まれるべきだと考えるが,現状では,裁判官の参加を求めるのは困難であろう。
・  視察委員会の構成員については,公募ではなく,しかるべき団体の推薦に基づいて決定すべきである。
・  視察委員会の権限については,いつでも受刑者と面会できるようにすべきである。
・  視察委員会の視察については,夜間には行わないなど,合理的な範囲に限定されるべきである。
・  視察委員会の人数については,「施設の規模に応じて5名~13名程度とする」こととしてはいかがか。

6 今後の日程等

・  次回は,9月29日(月曜日)午後2時開催。
・  次回は,土井政和九州大学法学部教授からヒアリングを実施した上,透明性の確保(不服申立制度)について,矯正局,南会長の各説明の後検討する予定。

(文責行刑改革会議事務局)
-速報のため、事後修正の可能性あり-

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