本文へ
文字の大きさを変更する
標準に戻す
拡大する
色変更・音声読み上げ・ルビ振りを行うアクセシビリティツールを利用するかたはこちら
トップページ
サイトマップ
業務支障情報
ENGLISH
トップページ > 省議・審議会等 > その他会議 > 行刑改革会議 第2分科会 第2回会議

行刑改革会議 第2分科会 第2回会議

日時: 平成15年9月22日(月)
14時00分~16時50分
場所: 最高検察庁小会議室


午後2時00分 開会

○南会長 それでは時間も参りましたので,ただいまから第2分科会第2回会議を開催いたします。
 本日,曽野委員は御都合により御欠席でございます。
 さて,前回第1回会議で第2分科会の論点である透明性の確保につきまして,視察委員会,不服申立審査機関,情報公開について論じまして,次に外部交通の在り方について議論をする旨決定されました。
 本日は,これらの論点を通じまして,まず日弁連の御提言を承るという趣旨から,大阪弁護士会所属の岩田研二郎弁護士の御意見をお聞きしたいと思います。なお,岩田弁護士から,説明の補助者として海渡弁護士を同席させたいとの御要望がございました。岩田弁護士のヒアリングの間,海渡弁護士に御同席いただきまして,質疑に対して対応していただくということでよろしゅうございますか。

〈異議なし〉
 それでは特に御異議がないようですので,岩田弁護士のヒアリング時に海渡弁護士に同席していただくことにいたします。
 また,本日の議論に際しまして,矯正局にも参考のために出席いただくことにしたいと考えておりますが,それでよろしゅうございますか。
〈異議なし〉
 それでは,特に御意見がないようですので,矯正局にも同席してもらうことにいたします。
 それでは,岩田弁護士,海渡弁護士,矯正局重松少年教育企画官,名執専門官,どうぞ入室していただきたいと思います。

1.日弁連提言「市民参加による社会に開かれた刑務所への改革を求める」について

○南会長 それでは,岩田弁護士,海渡弁護士,よろしくお願いします。
○岩田弁護士 御紹介いただきました,大阪弁護士会の岩田と申します。私は,行刑改革会議の日弁連意見を集約することを目的に設置をされております行刑改革会議バックアップチームの事務局次長をしております。
 本日は,日弁連の提言の説明をする機会を与えていただいてありがとうございます。時間の制約がありますので,私の意見は既に提出しております意見書を御覧いただくこととしまして,そのうち制度改革の提案を中心に述べることといたします。
 まず,弁護士会にとって,監獄における人権問題というのは,いろいろな人権問題がある中で特に長い間取り組んできたテーマです。監獄法改正という立法課題とともに,全国の弁護士会の人権擁護委員会に毎年多数申立てがある刑務所,拘置所などにおける人権救済申立事件の調査を私たちは日常的に担当しており,被収容者の訴えなどを聞いています。
 この名古屋の刑務所問題をきっかけに,日弁連で全国の弁護士会に呼びかけまして,今年3月「刑務所,拘置所110番」という電話相談を実施しました。36の弁護士会の電話相談で受け付けた事件のうち,刑務所と拘置所に関する件数が119件で,元受刑者の方や親族などからの電話でした。
 訴えの内容は,保護房,革手錠,暴行に関するものが一番多く,次に医療に関する訴え,不服申立てに関する訴えが続いておりました。訴えの中に,「被収容者であっても人間らしい扱いをしてほしい」という声が共通して寄せられたことも報告しておきたいと思います。
 さて,この度の名古屋刑務所事件を契機に刑務所の改革が開始されましたが,この改革で求められている一番の課題は,刑務所を社会に開かれたものとし,その閉鎖性や密室性を打破することにあると思います。革手錠の問題など細かな改善課題はたくさんありますけれども,行刑改革会議という社会を代表する有識者による改革の提言に際しては,21世紀の日本の社会を見据えた長期的な視野に立った提言が不可欠であり,それが求められていると考えています。
 21世紀を人権の世紀にしようということは,私たち日弁連の合言葉ですけれども,そのためのキーワードは情報公開と市民参加だと思います。情報公開は,情報公開法の制定により,国,地方とやっとそろって開始をされたばかりですけれども,これも刑務所の閉鎖性を変えていく大きな手段になるものと思います。
 市民参加については,刑務所や拘置所という一般の市民に縁遠い分野に,どのように市民が参加できるのかという疑問があるのは当然です。日本の政治や社会では官依存の体質が抜け切れずに,市民が役割を果たすということが定着してこなかったために,私たちが市民参加の意義と役割について共通の具体的イメージを持てないことが原因です。しかし21世紀の社会は,何でも専門家や国に任すということではなくて,市民やNGOの力を社会の仕組みに取り入れて,市民が社会の主人公であるという民主主義社会を築いていくことが求められていると思います。刑事裁判への裁判員制度の導入などはその典型でもあり,行刑の分野においても市民の果たす役割を考えていくことは必然的な課題だと思います。
 ところで,刑務所という閉鎖社会の特質と,そこで起こる人権侵害の危険性に着目して,既にヨーロッパでは刑務所への第三者,市民の監視機能を重視する制度がつくられ,運用されてきています。時間が限られていますので,私は日弁連が本年6月に発表しました「市民参加による社会に開かれた刑務所への改革を求める提言」の骨子を紹介する中で,諸外国の制度などについても御紹介したいと思います。
 提言の骨子は3点あります。第1点は,すべての刑務所,拘置所それぞれに,「刑事施設視察委員会」という市民と専門家が委員となる第三者機関をつくろうというものです。
 第2点は,この市民参加の機関とは別に,「刑事施設審査会」というものをつくり,専門家を中心とした不服申立審査機関とし,人権救済の訴えや処遇に関する,処分に対する不服申立てを調査することにします。またこの機関に,査察機能を併せて持たせることを提案しています。
 以上は制度新設の提案ですけれども,第3点として,社会に開かれた刑務所とするためには情報公開が要だという考えから,刑事施設における処遇に関する規則,通達,達示などの法規の公開,刑事施設での死亡・傷害事案の事実の公表など,刑事施設の処遇や運営に関する事項の情報公開を積極的に行うことを提言しています。また,刑事施設における処遇や運営に市民が参加できる仕組みをつくり,刑事施設視察委員会における訪問活動やその他の文化・スポーツなどにおける交流を通じて,被収容者と市民とのコミュニケーションを促進する機会を拡大することも提案しています。
 時間の関係で,このうち前者の二つの制度提案を中心に説明させていただきます。
 まず,刑事施設視察委員会についてですが,これはイギリスやオランダなどの市民参加による刑務所の監視制度などを参考にして,日本に導入すべき制度として考案したものです。イギリスでは,古くから市民参加の訪問者委員会が刑務所ごとにつくられて,日常的な訪問活動がされています。全国で1,740名が任命されているメンバーは(平均すると1施設当たり13名ですが)各刑務所の近くに住む市民であり,日常的な刑務所の運営に関して意見を述べたり,受刑者の苦情の処理などに当たっています。委員が当番制で施設を訪問し,受刑者の不服や希望を聞き,毎月1回(年に最低8回)の定例会議では,所長も出席をして施設の運営について議論をしています。そして,年末には,刑務所の状態やその管理について内務大臣に報告書を提出し,それは社会に公表されています。
 ドイツでは,行刑法162条以下に根拠を持つ「施設審議会」と呼ばれる市民から構成される委員会が各刑事施設ごとに設置され,刑事施設の視察や受刑者と干渉を受けないで面談などを行うことができ,施設の運営や個別のケースについても改善の勧告を行っています。
 オランダでは,すべての刑務所に市民と裁判官,弁護士,医師,公務員の専門家委員の合計10名から12名で構成される「刑務所監督委員会」が設置され,それぞれ役割分担をしながら受刑者との相談や問題解決の調停を担当しています。
 ここで市民が果たす役割ですが,被収容者の相談や助言などを担当して,刑務所と社会の日常的な交流の役割を果たすこと。それを通して,刑務所内で起こっている人権侵害の芽を摘み取ることが求められます。被収容者からの身体の不調,精神的な不安,将来などへの悩みなども市民的な感覚で聞き取り,処遇部門へ伝えるなど,適切な処遇へのパイプ役になってもらうことができるのではないでしょうか。
 行刑改革会議でイギリスやドイツの調査も予定されているようですから,是非この訪問者委員会や施設審議会の市民委員が果たしている具体的な役割についても調査をしていただくようお願いいたします。
 日弁連の提言は,市民委員の役割や専門家委員の役割のそれぞれの重要性を生かしながら,市民委員と専門家委員の両者で構成される視察委員会を設置することを提案しています。提言には書かれていませんが,専門家委員としては弁護士,医師は最低一人ずつは選任されることが必要で,その選任に当たってはいわゆる一本釣りをせずに,その刑事施設が所在する都道府県の弁護士会や医師会の推薦に基づくものとすべきです。また市民委員についても,意欲のある人材を求める必要があり,さまざまな分野からの推薦を始め,公募による人材を募ることも考えられます。刑事施設視察委員会には,施設へ立ち入る権限,職員の監視なく被収容者と面談する権限,書類を閲覧する権限を与えます。そして委員会は,処遇や刑務所運営についての意見や勧告を行うことができるようにします。刑事施設内にメールボックスを設置し,被収容者はこれに手紙を投函することができ,メールボックスは刑事施設視察委員会のみが開けるようにできるようにすることも提案しています。
 刑務所は,刑務所当局と被収容者という二元的な社会構造をしており,ともすれば対立的構造となる危険を有していますが,そこに市民などの参加する第三者機関たる視察委員会がかかわりを持つことで,第三の次元を刑務所に持ち込むことになり,対立構造の危険を減少させる効果を生むことも考えられます。
 今回の改革では,もし懲罰などの処分の不服申立機関を内部につくることで改革が終わったのではあれば,刑務所の在り方は全く変わらず,従来どおり社会に閉ざされた刑務所として終わってしまい,21世紀の行刑改革の名に値しないものになると考えます。是非とも刑事施設への訪問や監督機能を持った,市民が参加する第三者機関を今回の改革で提案をしていただき,刑事施設を透明性のある運営に変えていくシステムをつくっていただくことを強く求めたいと思います。
 次に,刑事施設審査会の新設について説明させていただきます。刑務所などでは,懲罰など受刑者にとって不利益な処分がなされることがあります。さまざまな人権侵害の訴えが行われています。それに対する不服申立てや救済の方法が,現在のところ極めて不十分です。日弁連はこの提言で,この不服申立審査や人権救済のための外部機関として,刑事施設審査会を設けること提案しています。
 日弁連案の第1の特徴は,この機関を法務省の外に置くことです。刑務所や拘置所は法務省の所轄にあり,機能が分離しているからといっても,同じ省庁内の機関で不服申立ての審査などを行うことは,被収容者から見ても社会から見ても信頼と公正さを欠くことは明らかです。イギリスでは,不服申立てについては「プリズン・オンブズマン」という人権擁護のための専門的スタッフを備えている国家機関が不服内容を審査し,刑務所に具体的な改善措置を勧告することができます。そして,多くの場合この勧告は尊重されています。なお,調査は8週間以内に実質的な調査結果報告がなされなければならないとされています。
 日弁連案の第2の特徴は,この審査会に拷問禁止条約の選択議定書が求めている国内査察機関としての役割を果たさせようというものです。国連被拘禁者保護原則29項では,「関係法令の厳密な遵守を監督するために,施設は,定期的に,抑留施設又は拘禁施設の運営に直接責任を有する機関とは区別された権限を有する機関により任命され,その機関に責任を負う,資格と経験を有する者により訪問されるもの。」と定めています。1984年に,国連拷問等禁止条約が採択され,99年に日本政府はこれを批准していますが,2002年12月に開催された国連総会では,拷問等禁止条約の選択議定書が採択されました。そこでは,あらゆる刑事施設を定期的及び臨時に訪問し,改善の勧告などを行う小委員会を国連のもとに設置することを求め,同時に各国の国内にも同様の査察機能を持った機関を設けることを義務付けています。これは,拷問犯罪の防止のために,事後的な対応ではなく,予防的な観点で,査察による勧告,当局との対話,被拘禁者の支援の制度をつくることが,当局や職員による人権侵害の抑止効果となることを目的とした制度です。
 日弁連は,日本政府がこの選択議定書を速やかに批准することを求めています。日弁連の提言は,この選択議定書が求める国内の査察機能を持つ機関としてこの審査会を位置付け,専門スタッフによる刑務所査察を行わせ,その結果を社会に公表することを提案しています。イギリスにおいても,1980年に独立の刑務所査察局が置かれ,約32人のスタッフには専門家である査察官と研究者が含まれています。刑務所での職務経験がある査察官もいるといいます。査察局は,すべての刑務所を2~3年ごとに査察し,改善勧告を行い,その査察報告書はインターネットで公開され,社会や市民に全国の刑務所の現状及び問題点が知らされています。日弁連提言は,これにならい定期的又は臨時的に刑事施設を訪問し,いつでも査察することができる機関として審査会を位置付けたいと考えています。
 第3に,日本に求められている独立した人権委員会との関係については,今回の提言で提案している刑事施設審査会の機能は,今後日弁連が求める独立した人権委員会がつくられたときは,その委員会の主要な担当分野として吸収されていくことになると考えられます。
 ところで今回の日弁連提言では,この刑事施設審査会の構成や規模,設置単位などについては,今後の制度設計の課題として詳細は確定していません。日弁連は1992年に「刑事被拘禁者の処遇に関する法律案」を公表しましたが,そこでは不服申立ての制度として「刑務審査会」というものを都道府県ごとに設置するように提案しています。そして,審査会の構成は裁判官1名,検察官1名,弁護士2名,学識経験者,地方自治体の教育・福祉・医療関係の職員3名としています。審査会の任務は,被収容者からの苦情の申出の調査,処遇に関する調査,死亡時案の死因調査なども行うものとしています。今回の刑事施設審査会構想も,その延長上にあるものです。
 ところで,被収容者からの不服申立てなどを審査するためには,都道府県単位で審査会を設置することが適当だと思われますが,先ほど指摘をしました国内査察機関としての役割を果たすことや,都道府県単位の審査会の調整機能を果たすためには,全国レベルでの処遇の監視や情報の蓄積も必要で,全国レベルの査察組織も必要ではないかと考えます。学者,研究者でつくられている刑事立法研究会では,刑務所ごとの刑事施設委員会のほかに,専門家により構成される中央刑事施設委員会を設置することを提案しています。
 以上のとおり,国内査察機関としての制度設計をする上では全国レベルの組織も必要になると思われますが,都道府県単位の審査会との連携なども視野に入れることが必要だと思います。また,査察機関が常に新鮮な問題意識を持つためにも,人権NGOとの意見交換なども不可欠で,刑事立法研究会が提案するような市民からの意見聴取制度なども考案されるべきではないでしょうか。
 以上,制度提案を中心に説明させていただきました。今回の改革で,情報公開と市民参加という視点を制度の構築に際して重視をしていただき,21世紀の日本の社会を見据えた長期的視野に立った提言をしていだくことをお願いして,説明を終えたいと思います。各国の制度や日弁連提案の図解も別途用意しておりますので,御覧いただき,御質問などをお願いしたいと思います。以上です。
○南会長 ありがとうございました。委員の皆さん,今の岩田弁護士の御説明に対しまして,御質問,御意見等ございますでしょうか。ありましたら,御自由にどうぞ発言してください。
○大平委員 この審査会の位置付けなのですけれども,イギリスでいうオンブズマンと査察局がありますね,それを二つ足したようなイメージとしてこれは提言されているのですか。
○岩田弁護士 受刑者からの訴えに対して対応するという部分と,積極的に審査会が調査に入るという部分と,両方兼ね備え合わせたらどうかという提言です。
○大平委員 イギリスの二つを足したような形で,そういうイメージでいらっしゃるのですね。
○海渡弁護士 補足していいでしょうか。イギリスでいうと二つの機能を足し合わせたようなものになるのですが,具体的な実例で言いますとお隣の韓国にできている人権委員会というのがあるのですけれども,これはまさしく国内人権機関として設立されたもので,法務省からも独立して,向うで言うと行政,司法,国会からも独立した第4の機関みたいな感じで人権委員会ができているのですが,そこが現に今やっていることというのは個別の受刑者からの不服申立てについて調査して応答するという作業と,各刑務所を査察していって施設の改善を勧告するという,僕たちが今提案している刑事施設審査会と同じような機能を果たしているということで,決してですからそういうものをつくること自身は不可能ではないと思いますけれども。
○大平委員 韓国のお話になりましたけれども,韓国ではその機関とこちらで言う下の機関ですね,一般市民が入るそういう助言とか提言とか受刑者から直接声を聞くという機関も,韓国にはあるのですか。
○海渡弁護士 韓国は,一般の人のいわゆる市民参加の組織みたいなものは,現状ではまだできてない。
○大平委員 そこの上のところだけができているということですか。
〇海渡弁護士 そうだということです。
○瀬川委員 まず前提というかできている問題で聞きたいのですけれども,刑事施設法案のときの日弁連の提案と今回の提案というのは,大きく違っているのかあるいは違っていないのか,この点いかがですか。
○海渡弁護士 私日弁連の前の提言を定めたときからずっとやっておりますのでお答えさせていただきますが,前回定めた際のいわゆる刑務審査会というのは,各施設ごとに,ないしは各都道府県ごとぐらいに置いて,そして権限的には今回の視察委員会に相当するような,言ってみると苦情処理と勧告レベルにとどまるものを提言していたわけです。とりあえず最初につくるとしてはその程度のものをつくるしかないだろう。刑務審査会というのは,そういうものを考えておった。しかし,その構成メンバーとしては,その段階では今回のような市民参加の組織というような位置付けまで思い至っていなかったというのははっきり申し上げた方がいいと思うのですが,どちらかというと裁判官,検察官,弁護士といったような,そういう法律関係職の人を中心に考えるような委員会構成になっておったのですが,今回は各刑務所ごとに置くという部分については,そういう構想自身はそのまま生きていて,これは各刑務所ごとに置く。そして,そこは専門家委員も弁護士や医師も入るのだけれども,もちろん裁判官や検事も入っていただいていいのですが,一般市民をかなりそこにインボルブさせることが重要であるというふうに位置付けは少し変わっております。
 それと,今回新しく刑事施設審査会として御提案しているものは,これはイギリスのオンブズマン制度とか,そういうのは前の提言をしたときにはありませんでしたので,そういうものが先進国においてもできてきているという動向を踏まえて,新しく提言している。そういう意味では,刑事施設審査会として御提言している査察と不服の審査機能を持ったはっきりした第三者機関というのは,これは今回が初めてということになります。ただし,実は今回が初めてじゃないという,数年前に日弁連で提言している人権委員会,法務省に設置することということで今国会で審議されております人権委員会に関しての意見としては,これは刑務所に限らないわけですが,さまざまな人権問題を通じて,法務省当局から独立していて,調査権限を持っている独立の人権救済調査機能を持った組織が必要であるという意見は,数年前から日弁連としては言っていた。その流れと,今回のこの刑事施設審査会とは符号しているというふうに思います。
○瀬川委員 人権委員会との関係はどうなるのですか。人権委員会が今度もうできる方向にあるわけでしょうけれども,それとこれらの関係というのは。
○海渡弁護士 大変難しい御質問をいただきましたが,それはまさしく人権委員会がどのようなものとしてできるかということと密接にかかわると思うのですが,我々は現状で提案されている人権委員会について,非常に強い意見として,これを法務省から独立させて内閣府に置くべきであるというふうに申し上げておるわけです。それは,さまざまな新聞等でもその意見に賛成するような意見も出ておるのですけれども,その提案が実現すればこの人権委員会の中に自由拘束機関を管轄する小委員会みたいなものを置いて,刑務所,拘置所,警察署,精神病院などを独立に管轄するというふうになれば,これは韓国型なのですけれども,非常に有効ではないか。それでも構わない。しかし,それが今どうなるか分からない。人権委員会がどうなるか分からない状態で,この行刑改革会議で今御議論いただいているわけですから,刑務所に限ってだけでも,刑事施設審査会という独立の審査会,査察機関は必要である。それが将来的に独立の人権委員会ができたときにその中に吸収されていっても,決して問題はないというふうに考えているところです。
○大平委員 大前提としまして,それが法務省から独立した機関であるということは,もう大前提なわけでいらっしゃいますね。
○海渡弁護士 2番目に言っている審査会の方は,法務省からの独立が前提で,各刑務所ごとにつくる視察委員会の方は,これは組織的には各刑務所長の諮問機関的な位置付けで十分いいのではないか。その構成自身が市民の構成になっていればですね。イギリスなどでもこの訪問者委員会というのは各刑務所ごとの組織という,もちろん委員を任命するのは内務大臣になるのかもしれませんが,そういう組織で運営されているということで構わないのではないか。しかし,それだけではなくて,不服申立てを審査する組織としては,法務省から独立したものが一つ必要である。それは国連からも要請されていて,先ほど岩田さんからも紹介がありましたが,きょうの我々の第2分科会関連の提言書というのがございますが,それの4ページを御覧いただきますと,この選択議定書の18条で「締約国は国内防止メカニズムの機能的独立性及び人員の独立性を保障する」「国内防止メカニズムを設置する際,締約国は,人権の促進及び保護のための国内機関の地位に関する原則」,これはパリ原則と呼ばれている人権保障機関が独自の権限を持たなければいけないという原則なのですが,これを「十分に考慮に入れる」というふうに国連関係の条約の中で述べている。これに合致したものが必要である。各刑務所ごとにつくられる訪問者委員会は有効ですし,非常に市民参加の組織として大切で,是非それをつくっていただきたいのですが,それだけでは足りない。もう一つそういう査察機能,不服申立ての審査機能を持った委員会が必要であるというのが日弁連の今回の意見で,その点は今までの瀬川先生のお尋ねに答えるとすれば,我々の意見も諸外国の制度の進展,人権委員会みたいなものがアジア地域にでき始めたのは本当にここ10年足らずのことですから,そういう動向などを踏まえて一歩進んだというふうに御理解していただいて差し支えないと思います。
○大平委員 すいません,しつこいのですけれども,ではイギリスの訪問者委員会と下の視察委員会は大体同じ,イコールというふうな認識でいらっしゃるのですか。それを前提に伺うのですけれども,イギリスの方の訪問者委員会についてはかなり批判がありますよね。形式的になっているとか,委員が何も意見を言わない,形式的な報告書しか出さない,そういう形骸化している部分もあるということは聞いております。その形骸化をそのまま日本に持ってくれば,正に日本がそういう状態になるということはちょっと思うのです。だから,その点の手だてというのですか,この中で勧告というふうに書いていますけれども,実際その勧告なんかなされないとか,しても余り意味がないというならば,直接勧告とかではなくて上にあります審査会に,例えば情願という,言葉は別にしまして,現在情願をするに当たってこの委員の意見をつけるとか,そういうある程度の義務付けとか,そういうことまで考えておられるのですか。
○岩田弁護士 私の個人的な意見ですけれども,一つはイギリスの訪問者委員会と私たち日弁連が考えている視察委員会構想の違いは,構成委員を市民委員だけにせず,もう少し専門家委員,さっき言いました医者とか弁護士とか,そういう専門的な知見のある人なども入れて,例えばいろんな報告書をつくるときにも,そういう専門家が一定の役割を果たすでしょうし,いろんな批判的な目でこの施設を見るということができる人たちを入れていくということで形骸化を防ぐということができるのではないかと思っています。
○海渡弁護士 ちょっと補足していいですか。確かにイギリスは100何十もの訪問者委員会があるので,中には大変確かに沈滞している委員会もあるというふうに僕らも聞いていますが,私もイギリスの刑務所の関係の文献などを読んでいると,非常に活発に活動している委員会も幾つかあるのです。そういう委員会が活動したことによって,国の政策が変わったりした例まであるのです。例えばイギリスでも刑務所に関連する通達はずっと非公開だったのです。公開されたのはわずか10年足らず前だと思うのですけれども,それは一定の訪問者委員会が公開すべきじゃないかということで非常に強く意見を述べたことが原因となって公開されたということも聞いていますし,僕はさっき計算したら日本で70幾つつくることになるのですね。各刑務所ごとでつくると70幾つなのですが,各訪問者委員会が10人か14~15人という感じのメンバーになるのかもしれませんが,1,000人足らずの委員ですけれども,各地域ごとに競い合って非常に熱心に活動する委員会が一つでも出てくれば,ほかも引っ張られるというようないい効果もあるでしょうし,現実につくってみれば必ず僕は,全部がうまくいくとは思っていないのですけれども,いい結果がいろんな形で生み出されてくるのではないかとは期待していますけれども。
○岩田弁護士 あともう一つ,委員の選任の仕方なども重要だと思うのです。当局が好むような人を選任するようなシステムになれば,そういう批判的な意見はどんどんどんどんなくなっていくと思いますし,イギリスなどでこの前に出ています竹中さんの報告などを見ても,さまざまな年齢,職業,それから少数民族,身体に障害のある人たちの応募が歓迎されるという形で,年齢,性別,経歴でバランスをとるということもありますので,そういう委員の構成に配慮することが必要です。時間の余裕のある人たちだけを選ぶというのではなくて,いろんな発言をしようという意欲のある団体とか,そういうところから選んでいくという,そういうことを不断にしていかないと,どんどん形骸化していく可能性があると思います。
○久保井委員 先ほどの質問にも出かけておったのですけれども,訪問者委員会が刑務所を訪問した際に,被収容者からいろんな救済の申立てといいますか,苦情といいますか,被害の訴えとかそういうものが出た場合,それは訪問者委員会としてはそこで処理するのか,あるいは視察委員会というもう一つの委員会,審査会ですか,審査会の方に取り次ぐことになるのか,その処理の仕方についてはどういうお考えですか。
○海渡弁護士 それはこうなると思うのですが,苦情の中には法的な処分性の全くないような,例えば御飯が冷たくなっているとか,そういうレベルのものがあると思うのです。そういうのは,訪問者委員会が扱うのに非常に適していて,現実にどうなのですかということを刑務所の職員に尋ねて,改善できないんですかという,本当にインフォーマルな形で解決が図られる。もう少し具体的に,例えば非常にひどい言動を言う刑務官がいる。それをやめさせてくれというようなことなら,きちっとした調査をして,調停になるのでしょうか,苦情処理というのでしょうか,そういうやり方をする場合もあると思うのです。しかしそれを越えて,例えば懲罰処分自体に不満があるというふうに言われても,その訪問者委員会は恐らく懲罰を取り消す権限はないわけですから,それはうちでは調査はできますけれども,本当にやられるのであれば不服申立て,これは行政内部での不服申立てと外部の審査会に出す不服申立て,どちらかを選べばいいんじゃないですかというようなことを言うことになるのではないか。だから,問題によって対応が違ってくるというふうに思うのです。
○久保井委員 先ほどおっしゃった諮問機関ということになると,苦情を処理する権限が与えられないことになると思いますから,諮問機関の側面だけではなくて,そういう言ってみたら小さな苦情といいますか,そういうものを訪問委員会で処理する権限を与えるということになるとしたら,やはりそれは単なる諮問機関ではなくて,諮問機関だったら意見を述べるだけでしょう。紛争処理権限のある,あるいは苦情を処理する権限のある委員会とその両面を与えなければ,それはできないんじゃないですか。
○海渡弁護士 ですから,きちっとした本当に口頭で済ませてしまう場合だけではなくて,調査の結果委員会で議決して勧告というようなことまではできるというふうに考えているのですが。
○久保井委員 各毎週1回か3日に1回か,訪問者委員会の委員がずっと刑務所の中を訪ねていく。そこで受刑者からいろんな訴えが出てくると思うのです。それを聞き流して報告するだけでは,これは恐らく受刑者は満足しないと思うのですけれども,そのあたりをどうするのか。非常に本格的な不服は査察機関の方に回す。本格的でないものについては,そこで事実上受刑者と刑務所の間に立って,調停委員のような役割を果たすということを期待するわけですか。
○海渡弁護士 そのとおりです。この竹中さんが書かれた訪問者委員会のレポート,とても詳しくてよく書けていると思うのですが,それの198ページを見ますと,委員会の仕事の中心というのは,不服と要求を聞くことだというふうになっていまして,不服要求を書面で受けることもできるし,被収容者自身が回答を欲していれば,決定がされたかどうかをちゃんと知らせるというふうになっていて,不服要求に理由があると考えるときは,所長に決定を再考するよう認めるというふうになっていますので,決定を覆す権限はないのだと思うのです。しかし,決定の再考を求める勧告書のようなものを出すということが予定されているのではないか思うのです。
○久保井委員 先ほど,イギリスの訪問者委員会は市民によって構成されると。主として市民だけれども,裁判官が2名以上入るということだったと思います。
○海渡弁護士 そのとおりです。治安判事が入っております。
○久保井委員 だから,そういうのが入っておるからそういう苦情の処理ができるといいますか,日本の場合でも今日弁連が考えておられるものは,専門家の中に裁判官は入るのですか。
○海渡弁護士 入っていいと思います。もちろん,いいと思います。
○久保井委員 治安判事と日本の裁判官は違うから。
○瀬川委員 要注意だと思います。
○海渡弁護士 それはそうですね,確かに。
○南会長 法曹資格がないですからね。日弁連の御提言ですが,刑務所視察委員会とそれから刑事施設審査会,この二つに分けるわけですね。ごく大ざっぱに言いますと,刑務所施設視察委員会の方は,どちらかといえば市民を主体として,そして市民参加をそこで実現していくということで,それから刑事施設審査会の方は,これはむしろ職能的といいますか,専門的な人をもって構成していく,そういうふうに理解してよろしいですね。
○岩田弁護士 そのとおりです。
○南会長 そのように理解した上で,例えば不服の申立てあるいは苦情の申立ての範囲なんかは,やはりそれぞれ違ってくるのでしょうか。要するに視察委員会の方は市民でも判断できるようなものをやらせるのか。それからもう一つは,刑事施設審査会の方は,ある程度法律問題的なものとかそういうふうなものをやるのか。これ,非常に線引きは難しいと思うのですけれども。
○海渡弁護士 現実に訪問者委員会は,これを見てもあらゆる被収容者の不服・要求を聞くことにはなっていますが,はっきりした決定がなされているようなものについて覆したりする権限はないわけですから,基本的にそういう件については余り来ないという前提で仕事をしていると思われるのです。他方でプリズン・オンブズマンの方は,これははっきり対象が決まっていて,独房拘禁が決定された場合とか,懲罰とか,そういう幾つかの処分性のある事項に限って審査しているようですから,刑事施設審査会の方は申立ての対象となる事項はかなり制約される。しかし,それについてはちゃんと審査して決定を出すということになると思います。
○南会長 一方は諮問機関だけど,一方は決定機関ということですね。
○海渡弁護士 正確に言いますと,プリズン・オンブズマンは決定権限はないのです。
○南会長 重みがあるわけですよね。
○海渡弁護士 いろいろな本などを見ますと,8,9割は決定したことは受け入れられているというふうに書かれていますので,ドイツの行刑裁判所なんていうのはこれは100%権限を持って引っくり返せるわけで,そういうイメージで,8,9割にするのか100%にするのかは,それは先生方の御議論だと思うのですが,かなり信頼性の高いものをつくりたいということなのです。
○南会長 ちょっと時間の関係で,私二つだけお聞きしたいと思うのですが,一つは先ほどのイギリスのプリズン・オンブズマンが国家機関だと言われましたけれども,それはどこかの省に所属しているわけですか。どこの省の所轄になっているのでしょうか。
○海渡弁護士 これは,プリズン・オンブズマンの現状は……。
○南会長 刑務所は,イギリスではたしか内務省でしたね。
○海渡弁護士 内務省の所轄なのですが,いわゆるプリズン・サービスとは別になっていて,建物も全く別なところです。ただこれ自体にもイギリス国内でいろいろ批判がありまして,同じ内務省に置いているというのでは独立性がないではないかということで,イギリスにはオンブズマン協会というのがあるらしいのですが,そのオンブズマン協会自身がプリズン・オンブズマンは独立性がないので入会資格なしとかいう判断をしているという話もあるのです。しかし,現実の運用を見ていると,プリズン・オンブズマンになられた方が非常に評価の高い人がなられているということもあって,刑務所に対して厳しい決定もたくさん出されているようですし,しかもその決定が8,9割は受け入れられているということで,非常にパフォーマンス的には僕はうまくいっていると思うのですが。
○南会長 もう一つお聞きしたいのですけれども,イギリスの訪問者委員会というのが改組されましたね。今年の3月か何か。そこではIndependentそしてMonitoring boardsとこうなっていますが,そこのIndependentというのはどういう意味,どういう内容のものか。
○海渡弁護士 これは,組織的に独立しているということではないのですけれども,気持ち……気持ちと言うとちょっと弱過ぎますね。そこに構成メンバー自身が……。
○南会長 仕事をする上での職権行使の。
○海渡弁護士 刑務所に所属していないということです。ですから,僕らが提案しているこの視察委員会と非常に似ていると思うのですけれども,組織的には刑務所の諮問機関で所属していていいのだけれども,全然外部の人に来てもらう。選ぶときにも,独立性の。
○南会長 独立公正の立場の人を選ぶ。
○海渡弁護士 というふうにすれば,それで。
○南会長 さっきのプリズン・オンブズマンにしろ,今言ったBoardsにしろ,任命権は内務大臣が持っているわけですね。その人選の仕方が非常に問題だと思いますがね。
○海渡弁護士 そのとおりですね。
○南会長 そこが非常にポイントなような気がしますね。
○海渡弁護士 ただ僕が聞いたところでは,プリズン・オンブズマンは最初はたしか海軍大将の方が選ばれたのですけれども,イギリスの人権団体は海軍大将ではとても当局寄りの決定しかしないのではないかと思われたのですが,あにはからんやそういうことには全くならなくて,もともとはとても保守的な方らしいのですけれども,その役割を100%,120%果たされて,非常に厳しい見方で仕事をされたというふうに聞いているので,僕はやはり制度のつくり方,あとそれを支えるスタッフとか。スタッフ自身が割と民間の人権団体などからも人が登用されたというように聞いていますので,そういうスタッフが充実していれば,あと委員の方はもちろん公平無私な方が選ばれるといいと思うのですけれども,十分機能できるのではないかと思います。
○瀬川委員 Boards of Visitors,これがIndependent Monitoring boardsに移ったわけですけれども,移った最大の理由は何だったのかと。それは,先ほど大平さんがおっしゃった形骸化ということによってそれが起こったのか,あるいはほかの理由だったのか。確かに長く制度がやられたわけですけれども,ここでこういうふうに制度が変わったことの理由ですね。それは何か大きな理由があったと思うのですけれども,その最大の理由は何だったのか。
○海渡弁護士 難しいですね。これはちょっと調べてきた方がいいですね。余り自信を持って答えられないですが,一つはIndependent Monitoring boardsは,刑務所だけではなくてその他の自由拘束機関にも範囲が広がっているのです。ですから,やはり長年こういう制度を維持してきて,それの機能を訪問者委員会と言うだけではなくてIndependentとMonitoringと,名前自体が……。
○瀬川委員 なぜIndependentという名前を入れたのかということですよね。
○海渡弁護士 ですから,やはり訪問者委員会自身が施設と一体のものというふうに被収容者から見えていたんですよね。そういう面はあるわけです。ああいう人たちに幾ら言ってもだめだというか,実際そういう委員会もあったようなんですね。Independent Monitoringという名前がついていれば,そこに出せば何かやってもらえるのではないかということで活性化する。委員の人たちも,自分たちは独立してモニターする存在なんだという気になるという。だから名前でもって中身を少し変えようとしたのではないかと思われるのですけれども。
○瀬川委員 その点ちょっと調べる必要があるというか,外国の制度というのは常に光と影があるわけで,確かにいい面があって日本に導入したら何かバラ色のようなことが起こりそうな感じがしますけれども,同時に外国の制度を導入するというのはやはり影の部分もあるわけで,しかも文化の違いとか,日本では中央集権的な矯正制度をとっていますので,イギリスのように地方自治体が非常に独立してやっているところとの違いもあるので,その点よく,確かにおっしゃっておられることは注目されるべき御提案だと思っていますし,今回の僕は改革にもできれば取り入れるべきだと思っているのですが,その場合に,導入したはいいんだけれども,実際はそういう影の部分も導入しているということにならないようにしなければならない。だから非常に我が国の矯正制度の在り方というものにフィットするのかどうかということ,この点も十分注意してやる必要があると思いますね。
○海渡弁護士 調べて,もし見つかったらまたお出しいたします。
○瀬川委員 是非,調べて,みんなで一緒に議論しながら調べたらいいと思います。
 それから,先ほどの日弁連の提案なのですけれども,二つあるのですけれども,一つはこれは今回のいろんな問題だけではなくて,刑務所改革というのはずっと遅れているわけですから,新たな動き,提案というのはする必要があると思っているのですけれども,これはややネガティブな質問,意地悪な質問ではなくて,現行の枠内で何とかできないのかということはどう思いますか。つまり,情願制度というものをある程度,少し監獄法の規制を変える,あるいは規則を変えたりして,何とか現行の枠内ではではないのか。やはり,それはもう打ち破るべきものなのか。全く捨ててしまうべきものなのか。何とかできないのかどうかという,この点はどう思いますか。
○海渡弁護士 今回の日弁連の提案でも,刑事施設法に合ったような,刑事施設法案の中にあった法務大臣に対する不服申立制度ということをつくることには,我々反対しておりません。部内での不服申立制度というものは必要であるし,有意義だと考えているわけです。ただ,それともう一つ複線で独立な機関への不服申立てというのができると,どうしていいかと言いますと,大体どこの国も二通り持っているわけですね。これは,二通りの制度がどちらが人気が出るか。不服申立制度も一種の人気商売というふうに考えていただくと,たくさん不服が来る方が矯正されやすいというふうに思われているからだと思うのです。現状,大臣情願は非常に活発化しています,件数がウナギ上りになっていますが。
○瀬川委員 人気があるわけですよね。訴訟したらいいのに,情願に行っているわけでしょう。
○海渡弁護士 なぜ人気が出ているかといえば,それは名古屋刑務所事件が起こり,そして社会の批判が高まって,そして大臣御自身が自分で情願を読みますと言われて,現に読んだ結果として実態問題があるときにはどんどん変えるという,非常に今強い対応をとられているのです。だから人気が出ているわけです。ではそれでいいじゃないかというふうな意見もあるかもしれないのですが,僕は現況で情願が非常に活発化していることは大歓迎でいいことだと思っているのですが,それがまたおかしくなってしまわないようにするためにも,外部のそういう制度があって,両方が競い合えばいいと思うのです。制度の競争である。そして,施設ごとに置かれる視察委員会もこの三つの制度が共存して競争し合うことによって一番チェック・アンド・バランスが働くのではないかと思っていて,法務省御自身が提案されている不服申立制度の改善というものは是非やっていただきたいし,そのこと自身は非常に意義があると思います。そこに人気が出てきて外部機関は要らなくなるなんていうことも生まれるかもしれませんが,僕はでもそうはならないのではないか。いろんな制度がきっと,ある時期は大臣が非常に進歩的な方がなられればそこにざっと流れるでしょうし,不服申立機関の長の方がとても積極的になられたらそちらに向かうとか,そういう形が非常に望ましい在り方なのではないかなと感ずるのですが。
○瀬川委員 簡単で結構なのですけれども,提言のところなのですけれども,何か日本の国内にモデルというか,これが大体一つのモデルだなというか,こういう感じでやったらいいかなという委員会なり,都道府県にあったり,あるいは各省庁にあったり,それはないですか,行政の面で。何か,これはこういう場面でうまくいっているというのはないですかね。似たような制度は,精神医療審査会のようなものは,各都道府県ごとに。
○海渡弁護士 むしろこっちの方ですね。
○瀬川委員 僕も京都府の精神医療審査会の委員なのですけども。だから関心があって,そのうまくいっているモデルがあるということは大事なことで,もう一つ経済性ですよね。お金をかけるわけで,予算の獲得というのはどうしても官庁はあるので,その点でここではうまくいっていますよということでアピールする必要があるように思いますが。巡視委員会の制度はないのですか,日本には。ほかの領域にはないのですか。第1のモデルの。第2のモデルは,精神医療審査会だということですね。
○海渡弁護士 あと,精神医療だけではなくて,もう少しちょっと分野を外れてしまいますけれども,例えば食品安全委員会というのが今回できましたね。あれなんかも内閣府に置かれているのですけれども,もともと厚生労働省と農林水産省の中にあった機能を統合してああいう形になっているということで,僕らの今考えている審査会にちょっと近いのではないか。
○久保井委員 原子力安全委員会もそうですね。
○海渡弁護士 あと,公正取引委員会なんかも,関連するといえば関連すると思いますけれども。
○南会長 ほかに何か質問ございませんか。

〈質問等なし〉
 それでは,ありがとうございました。御質問も出尽くしたようですので,この程度とさせていただきます。岩田弁護士,海渡弁護士,たいへん本日はありがとうございました。
〔岩田・海渡弁護士 退席〕

2.情報の公開と行刑施設を監視するための委員会について

○南会長 それでは,ちょっと予定の時間をオーバーいたしましたが,視察委員会と情報公開の検討に入りたいと思います。
 前回御議論いただきましたように,まず,矯正局から現行制度,外国の状況等を説明していただくことにいたします。それでは,矯正局の重松企画官,御説明よろしくお願いいたします。
○重松企画官 矯正局の重松でございます。お手元に,「情報の公開と行刑施設を監視するための委員会について」という資料をお配りしておりますので,これに基づきながら説明をしてまいりたいと思います。
 それから,私は現在矯正局で渉外の窓口,調整的な仕事をしておりまして,情報の公開ということで,今日御説明をするということで参ったわけですが,行刑施設における勤務経験がございませんので,事務局員ではございますけれども,そちらに座っております大橋補佐官から,適宜必要があれば助言をしていただくということを御了解願いたいと思います。
 本日は,行刑施設の透明化に対する御議論の参考としまして,四つの点,具体的に申し上げますと,1番目が行刑施設に関する情報の公表について,2番目が外部協力者等の連携について,3番目が諸外国における行刑施設を監視するための委員会等の状況について,最後に昭和55年法制審議会の答申,監獄法改正の骨子となる要綱における部外者からの意見聴取について,御説明したいと思っております。
 まず第1点目の行刑施設に関する情報の公表ということです。資料1を御覧いただきたいと思います。これは,私どもが考えております行刑の透明化に関する基本的な考えを書きました概念図です。真ん中に,国民の目といいますか,まなざしといいますかを中心としてまとめてみたところです。積極的な情報の公開と外部協力者,地域社会との連携,この二つを軸にして,四方に書かれておりますそれぞれの施策を並行的に実施することによりまして,透明化を図ってまいりたいと考えております。
 それでは,具体的に御説明いたします。先の第3回の行刑改革会議において,矯正局としてすぐ実施すべき事項として公表,また最近において着手したことについて,この場で改めて御紹介をいたします。
 第一に行刑施設で起きた事案の公表基準等を作成をしたことでございます。お手元の資料の最後,情報の公開に関する参考資料というものがございます。その第1ページ目の説明図というものがございますので,それを御覧になりながらお聞き願えればと思います。
 まず,今年の2月に被収容者の死亡事案の公表基準を作成したところでございます。資料にありますように,保護房収容中及び革手錠収容中,並びにそれらの解除後おおむね1週間以内の死亡など一定の事案については公表することとしております。なお,2月にこの通達を出しまして,現在までに18件をこれに基づいて公表をしているところでございます。
 これに引き続きまして,今年の8月には,矯正施設で発生した特殊事案につきまして,被収容者の受傷事案のうち一定のもの,あるいは逃走,暴動,消防署等関係機関に通報した火事,被災事案などのほか,個別に検討し,社会的影響等を勘案して公表することが適当と判断される事案については,公表をしているところでございます。とりわけ,被収容者の受傷事案につきましては,職員の非違行為によるものは全部公表するという運用できております。なお,職員関連の不詳事案等につきましては,基準までは作成しておりませんけれども,これまで処分を含めて公表すべきは公表してきているということでございます。
 参考までに御紹介しますと。この資料の終わりから2枚目ですね。被収容者の死亡事案に関しまして,府中刑務所から該当の記者クラブあてに通報した内容と,それに基づきまして報道された新聞記事,具体的には読売新聞と朝日新聞ですが,参考までに添付をしているところでございます。
 次に,処遇関連情報の定期的な公表を今月から開始するということにしたところでございます。この9月18日には,各矯正管区から担当記者クラブの方に実施の連絡をいたしました。今週中に各矯正管区において第1回目を実施する予定であり,第1号は24日の水曜日に予定をしております。これは事前にお知らせしましたところ,それぞれの管区においてテレビカメラが入るような情報もございまして,注目をされているのだなと感じております。
 具体的な発表内容につきましては,月末の収容人員,あるいは懲罰事犯別の受罰人員,事件送致の件数,保護房の使用件数を始めとする情報に加えまして,取材可能な行事など各矯正管区管内の総括的な状況等について,原則として月一度その情報を提供するほか,記者に対する施設見学会等も計画しているというところでございます。
 2番目に,行刑施設における外部協力者との連携の現状について,御説明します。これは,この資料の最後の1枚を御覧ください。外部協力者・地域社会との連携・強調という資料を御覧になりながらお聞きください。
 この資料につきまして,お断りをしたい点がございます。一番上に,教誨師による宗教教誨というものがありまして,最後に指導回数が14年1年間で1万4,945回となっておりますが,これは算定のミスといいますか記載ミスでありまして,1万5,945回でございます。1,000回少なく計上してしまったものでありますので訂正をお願いいたします。
 行刑施設におきましては,被収容者の改善・更生を図るための各種処遇,あるいは職員の研修等のため,これまでも多くの外部の方を招聘しているところでございます。特に被収容者の処遇に関しましては,民間協力者を積極的に招聘をしまして,篤志面接委員による専門的知識や経験に基づく助言指導,あるいは教誨師の方々による宗教教誨活動を始め,処遇類型別指導や教育活動の指導に関しまして,民間の篤志家やゲストスピーカーを始めとする外部の専門家による援助協力を得る体制を整え,その充実を図っているところでございます。
 このほかにも,施設により程度の差はありますものの,多くの施設で施設内で行われます盆踊りや運動会などの行事への近隣の住民からの参加をいただいております。それからまた,更生保護女性会等の民間有志の団体からのさまざまな激励や援助,あるいは有識者の方からの被収容者に対する講話など,民間人に幅広い活動を行っていただいているところでございます。例えば,14年度における府中刑務所への外部からの参観者について調べて見たのですが,144件3,593人の参観があっております。ちなみに平成13年は122件の2,976人でございますので,外部からの参観者も非常に増加しているわけでございます。
 更に,釈放前の指導等の一環として,対象となる受刑者を選定しまして,地域の公共施設あるいは公園等の清掃作業に従事させるなどの社会奉仕活動も実施しておりまして,受刑者の社会復帰の準備とともに,行刑施設と地域との交流も図っているところでございます。これにつきましては,平成13年度行刑施設における施設外教育の回数でございますが,社会奉仕活動につきましては,人数までは入手しておりませんけれども,合計で840件ございます,あるいは出所前に職安や保護観察所などに見学に行かせるというようなことが724件実施されております。このような一般社会の人々との交流は,被収容者の社会復帰に効果的なものとなるばかりでなく,行刑施設に外部からの目が常に届きまして,外部の方にも正しく御理解をいただけるなど,開かれた施設運営に非常に益するものとなっております。今後ともその充実を図っていきたいと考えております。
 ちなみに,先ほど申し上げました教誨師につきましては,全国で行刑施設の教誨師数は1,510名でございます。昨年は先ほど申し上げましたように1万5,945回の指導がされております。篤志面接委員につきましては,行刑施設に1,172名おりまして,14年度合計1万5,088回の指導がされております。それからゲストスピーカーにつきましては,これは被害者団体の皆さん等からの話を聞くということが多いと思うのですが,14年中で34庁において383回の指導がされているところでございます。参考までに申し上げました。
 3番目として,御説明しますのは諸外国における行刑施設を監視するための委員会等の状況でございます。資料2を御覧になっていただきたいと思います。イギリス,ドイツ,フランス,3カ国に設置されております委員会等の概要を簡略にまとめた資料でございます。先ほどの日弁連の話とも重なろうかと思いますけれども,簡単に御説明をしたいと思います。なお,外国語の翻訳というのはなかなか難しいものがございますけれども,仮に訳せば英国におきましては独立監視委員会,ドイツでは施設審議会,フランスでは監視委員会という外部の者で構成される委員会が施設ごとに設置されているものと承知しております。3カ国のこの委員会等の概要について,御説明します。
 最初に,英国の独立監視委員会でございます。先ほども話が出ましたけれども,従来は訪問者委員会(Boards of Visitors)と称されていた委員会でございますけれども,英国内務省の内部のワーキングチームから,Prison Visitorsという日本の篤志面接委員制度のモデルとなった制度と名称が混同されやすいという勧告がなされたというふうに聞いております。そういうわけで,この組織の本来の機能をよくあらわすために,この4月に独立監視委員会という名称に変更されたものであります。概要について申し上げますと,まず委員については行刑施設等の運営に関心を寄せる一般市民が応募して,その中から内務大臣が任命するという形をとっております。なお「独立」という用語が使用されておりますけれども,内務省から独立しているという意味ではなくて,施設にとって部外の者,あるいは第三者的な存在,そういう意味で独立という用語を使用しているのではないかと,私どもは考えておるところでございます。
 施設ごとに構成員の数は様々ですが,現在137カ所の行刑施設等で約1,800人の委員が任命されているものと承知しております。委員会の任務は,行刑施設の建物の状況,施設の管理,被収容者の処遇に関して視察を行うとともに,内務大臣から命じられた事項について調査,報告を行うこととされております。なお,かつては重大な規律違反行為についての調査及び懲罰の決定も訪問者委員会の任務とされておりましたけれども,施設の運営を監視しながら自ら懲罰を科す責任も有するということは,監視の任務の遂行に障害となる,そのような意見から懲罰決定に関する業務は削除して,監視の任務に徹底することとされたと聞いております。
 会合は,原則として月に1回。各委員が輪番制で会合と会合の間に少なくとも一人が施設を視察することになっております。委員はいつでも行刑施設のすべての場所を視察でき,被収容者と職員の見聞きできない場所で面会を行うことができ,施設に備えつけられた記録を閲覧することができるということです。ただし,委員会の権限を行使する際に,施設の規律に影響を及ぼすおそれのある事項は,事前に施設の長と協議することが明言されているところでございます。内務大臣に年次報告書を提出するほか,施設の長に注意を喚起すべき事項があれば注意喚起を行うことになっております。
 2番目に,ドイツの施設審議会についてでございます。ドイツは,州の独立性が強く,運用の細目は各州で規定されておりますけれども,通常,委員は市町村議会又は州議会の推薦を受けて,州の司法大臣により任命をされております。構成員の数は施設の規模によって異なりますが,2名から12名と聞いております。審議会の任務は,行刑施設運営に関する問題提起,改善策の提示によって施設の長を支援し,受刑者の釈放後の社会復帰を援助するということとされております。構成員は施設とその設備を視察でき,受刑者と面接ができるということとされております。受刑者との会話及び信書の発受は検閲されないということになっております。ただし,秘密にすることを要する事項,特に受刑者の氏名及び身上について秘密を保持する義務を負うということになっております。
 3枚目の,フランスの監視委員会についてございます。メンバーは,県の知事,裁判官,検察官,弁護士,県議会議員,商工業会議所,あるいは被収容者に対する社会的援助事業を行う団体の代表者,社会事業に従事している者,又は行刑の問題等に関心を寄せている者の中で選ばれた者等で構成されております。委員会の任務は,行刑施設の医療,保安,休養,保健衛生,作業,規律,及び規則の遵守等について監視を行うとともに,法務大臣に報告の必要があると認める観察,批判又は示唆を法務大臣に報告するということとされております。会合は年1回以上開催するとされておりまして,必要と認めるときは,行刑施設を視察するために一人又は複数の構成員を派遣することができるというふうにされているところでございます。
 3カ国の状況について,簡単に御説明いたしました。
 最後に,法制審議会の答申,監獄法改正の骨子となる要綱について御説明をいたします。資料3を御覧いただきたいと思います。
 昭和55年と申しますからもう20年以上前の話ですが,昭和55年に法制審議会から答申されました監獄法改正の骨子となる要綱では,その4の(3)におきまして,刑事施設の長は,その施設の適正な運営に資するため,関係機関の職員,被収容者の処遇に協力する民間の篤志家,あるいは学識経験のある者,その他外部の意見を聞くことができるとされております。
 また,同要綱の110,一番最後なのですが,「その他」というところがございまして,改正法の実施に当たり,部外者からの意見聴取を活発化するため,刑事施設ごとに部外者からなる会議体,これは仮に要綱では刑事施設運営協議会ということですが,が附帯要望事項としてつけ加えられているところでございます。当時の状況を申し上げますと,この会議体の性格,在り方につきましては,法律上の公式な委員会組織を制定しようとすることとなれば,行政機構をなるべく簡素化しようとする要請と対立することになることや,近隣の一般市民の方々も参加可能とすることを考えると,多数決による意見の採用等の公式な固い形式の運営よりも,各構成員が自由に意見を表明することができる場として刑事施設の運営について意見を交わすことが適当であるというふうに考えられまして,法律上の組織とするよりも非公式的なものとし,その構成・運営等の詳細は省令その他に委ね運用上の配慮を求めているとされていたところでございます。
 最後に,私ども矯正は,行刑施設に対する国民の皆様の御理解を得るための広報活動の一環として,これまで公開してまいりませんでした刑務所の保護房の公開を始め,マスコミ取材への協力を通じて,行刑施設の内部や被収容者の生活ぶりを国民に公開しまして,取材の要望につきましても積極的に協力するという姿勢をとっております。施設の参観につきましても,各施設で学術研究あるいは教育関係者あるいは学生や更生保護の関係者,地元の住民などを積極的に受け入れております。このように国民に対しより開かれた行刑施設に向けまして今後とも鋭意努めてまいることを申し上げまして,簡単ではございますけれども,御説明を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○南会長 ありがとうございました。それでは,ただいまの御説明について,御質問,御意見等ございましたら,よろしくお願いいたします。どうぞ。
○久保井委員 公表で,「被収容者の死亡事案等に関する公表」という,あるいは特殊事案の公表を今次の改革に際して行刑改革会議の方針を待たずして進んで実行される。2月から死亡事案の公表ですか,それから9月24日に第1回でしたか,特殊事案をやられて,いろんな処遇関連情報の定期公表が義務付けられる,非常にこれは結構なことだと思います。しかし,今の段階で見ますと,これでは少し足りないのではないかという感じがいたします。死亡事案のうち,殺傷行為あるいは自殺というものはともかくとして,通常の病死も含めて,この刑務所の中で死亡した場合は,その原因がどこにあるかは別として,全件公表された方がいいのではなかろうかと,こういうふうに思うのですけれども,この基準の設定の根拠について何かお考えが,どういうお考えでこういう線をお引きになったのか。
○重松企画官 基本的には,病死ということで特に問題がなくてといいますか,一般市民,一般社会の中でも常識的な形で死を迎えたというもの以外は,原則として公開するという立場で基準をつくったということでございます。
○久保井委員 全件公表されない理由ですね。
○重松企画官 社会の常識に照らし,自然な形で迎えた人の死につきましては,とりあえずその範疇とはしなかったということでございますが,現実の運用につきましては先ほど申し上げました通達発出以降,死亡事案の公表は18件というふうに申し上げました。その中身を申し上げますと,自殺が6件でございます。残りの12件は,病死でございます。病死ではありますけれども,念のため司法解剖を行ったものは自主的に公表するという運用を実際上は行っているところでございます。
○大平委員 18件だけだということですか。今全件が18件ということですか。
○久保井委員 2月から9月まで。
○大平委員 18件ですか。
○重松企画官 公表をしたものですか。
○大平委員 いえ,亡くなった方です。
○重松企画官 司法解剖をしたものが12件でございますので,それは死亡した人全員ではありません。
○久保井委員 この同じ期間内で,原因を問わず刑務所の中で死亡した人数のトータルは幾らになりますか。
○重松企画官 それは,手元では現在持っておりませんので。
○久保井委員 18件より多いのは多いのでしょう。
○重松企画官 そう思います。
○久保井委員 何件ぐらいあるか分かりませんか。あとで調べて。
○瀬川委員 それを公表しない理由ですよね。
○久保井委員 そうです。
○大平委員 端的に言えば,みんな公表したらいいのではないかと思うのですよ。
○重松企画官 基本的には,被収容者のプライバシー等の問題もございまして,従来は基本的には公表しなかったわけですね。それで,透明化の必要性とプライバシー保護等の関係で拮抗する点はどこだろうかということを部内的に検討して,この線になったということでございます。
○大平委員 ただ何でもかんでも明らかにするのではなくて,60代の男性とか,そういうふうにしているわけですから,個人のプライバシーを侵害するとは私は思えないです。それよりもむしろ全員公表した方が,その線引きがあいまいという思いがぬぐい切れないですね。
○瀬川委員 かえってその方が自然というか,そういう感じがするけどね。批判する人は,何か隠していると見られているので,批判される必要は何もない。
○重松企画官 勝手な身内の線引きをしているというふうに思われますか。
○大平委員 と思われたら,せっかくやっていることがむだになるという感覚がするのですね。一生懸命やられていることが,そういうふうに思われてしまうと。
○重松企画官 それ,実態をちょっと調べてみまして。いずれにしてもこの通知自体が行刑改革会議が発足する以前の2月に,いろんな世論等の動向を見ながら,矯正自ら裁断をしたということでございます。この公表制度は今後も固定的に運用したいというふうな気持ちはございませんので,行刑改革会議における議論等も踏まえまして検討してまいりたいと思います。
○久保井委員 それともう一つ教えていただきたいのは,病死,自然死とそれ以外の事故死との原因の判定は,どういう方法でやっておられるのですか。だれが。
○重松企画官 基本的には,司法解剖に回されているケースが多いのだと思います。
○久保井委員 司法解剖に回すケースは,死者のうちどのぐらいの割合なんですか。一部なのでしょう。
○瀬川委員 判断をだれがして,どういう基準でやっているかということでしょう。
○大橋補佐官 まず死亡者が出た場合は,全件について施設長が行政検視をすることとなっております。
○久保井委員 それは,所長がですか。
○大橋補佐官 施設長となっています。
○久保井委員 医者は。
○大橋補佐官 もちろん,施設の医者などが見て,その後,それについて行政検視というものをやって,そこでいわゆる病死以外の不自然死,そういうものにつきましては検察官,警察に通報しまして,その判断により司法検視を受けることとなっております。大体そこが境目にはなるとは思いますが,実際の話,本当に病死と確認できない限りは,疑わしいケースは全部通報しているのが現状で,施設長は行政官でございますので,なかなかそこら辺の判断が難しいというところがありまして。
○南会長 府中刑務所で便器にもたれかかって亡くなったというのがありましたね。これは司法解剖もしていないわけでしょう。それはどうなんですか。
○重松企画官 必要があれば調査いたしますが……。
○南会長 これは病死であって,公表されていますよね。
○重松企画官 この客観的な状況から見ますと……。
○南会長 そこの点,これは第3分科会の本来の議論だと思うのですけれども,そこでも御議論はいただいて,今のようないろいろ御意見が出ましたので,ひとつ踏まえて御検討いただきたいと思います。そのほかに何かありますか。
○大平委員 一番最後の外部協力者と地域社会の連携なのですけれども,刑務所にいる間のことはよく分かりました。受刑者の方が仮釈放なり満期なりで社会に出たときに,これらの方々との関係はブツッと切れてしまうのですか。
○重松企画官 刑務所の関係者とは切れていきます。
○大平委員 例えば教誨師さんとか,ブツッと切れてしまうわけですね。だから,刑務所の中ではちゃんとやるけれども,表に出たら知らないというような形になるんですね。
○重松企画官 客観的に言えばそうですけれども,やはりまあ名残惜しくといいますか,十分出所前に必要なアドバイスをしながら別れる。その後仮釈放されるケースが非常に多いですから,施設内処遇から社会内処遇に移行しまして,大部分の場合は保護司さん等がついて同様のアドバイスをしていく,そういう関係にあるのだと思います。
○大平委員 現在はそうなんですけれども,ただ再犯率とか現在の犯罪の状況がありますよね。社会で受け入れたりあるいは社会生活をするためには,もっと連携が必要なのではないかなと思うのです。ですから,新たにそういうところをつくるというのはちょっと無理かもしれませんけれども,今あるそういう外部との連携をもう少し強化をして,社会に出てからもバックアップとか,支援とかする方法があればいいなとは私は個人的に思っているのです。そういう形でこれから検討されるとか,そういうことはまだ全然。
○重松企画官 そこまではまだいっていないと思います。行政的に法務省でいいましても施設内処遇は矯正局,社会内処遇は保護局というふうに別れておりますから,矯正と保護の連携ということはこれまで何度も言われてきましたし,これを更に拡充していく必要があるとは思っております。
○瀬川委員 情報の公表のことなんですけれども,監獄法のことを研究している先生方というか,そういう研究者あるいは弁護士もそうなんですけれども,通達とか通知,これがかなり制限されているというように思うのですが,要求すればそれを見せてもらうことができるのでしょうけれども,例えば矯正実務六法でしたでしょうか,そういうものとか保安情報というのがございますね。それから,保護では保護月報というのが,プライバシーに反するとか何かで,比較的最近緩やかになりましたけれども,比較的さっきおっしゃったプライバシーというのはもちろん重要なことでそれはもちろんそうなんですし,あるいは秩序を乱すというか,そういうことはよくないとか,それは当然理由となると思うのですけれども,ただ一般的にもうそれは見せないという時代ではなくて,むしろそういう研究上役立つとかいうことであれば比較的オープンにしていくというか,ただ刑務所を見せているだけでいいというのではなくて,やはりそれは正に監獄法というのは古過ぎますので,逆に通達行政みたいになっているところがあるので,むしろ通達とか通知に非常に重要なものがあって,それが刑務所を動かしているという部分があるので,それは僕は公表の方向でちょっと考えてもらいたいなという希望をこの場で言っておきたい。
○重松企画官 情報公開法が施行されまして,開示請求があった場合,現実的には個人情報,あるいは施設の管理等に問題がある場合以外は全部開示になっているのが実態でございまして,先ほどありました実務六法でありますとか,通達とか通知の類についても,将来的にはやはり開示請求を待たずして公表するということも非常に重要なことであるなと,矯正局としても認識を持っていることは確かでございます。
○瀬川委員 是非お願いします。確かに法律だけで見ますと,監獄法という古い100年前の法律で動いているようにいかにも見えますけれども,実際には通達とか通知でかなり現実的にやっているのに,それがわざわざ請求しないと見られない。古い監獄法だけを見てみんなこういうものだと思っているのは,かえっていびつなので,むしろ刑務所を見せるということと同時に,透明性ということを言われるわけですから,ビジブルにする方が僕はいいのではないかと思いますね。案外法務省は隠していると言うとおかしいですけれども,保護月報もそうなんですけれども,見せてくれと保護観察所でてんやわんやになったときがあるのですけれども,見てみたら本当に大したことない,こんなものを一々手続しなければいけないのかということがあるので,むしろ今回を機に何かそういう研究というか,そういう面でもあるいは一般市民にもそういうことはもう開示するのだ。何も隠すことはないと,むしろ僕は思うのです。だからそういうものはできるだけ開示して,あらぬ誤解はもう解くという方向で是非,そういう意見が出たということを是非お伝えいただいて,やっていただきたいと思います。
○久保井委員 この前に,警察刷新会議で同じような警察の改革が論議されたときに,警察庁も訓令とか通達もすべて開示請求を待たず公開することに踏み切ったのです。だから今世論は今おっしゃったようなそういうことで,開示された方が,中身を見たらなんだということがほとんどなんですから,隠すほどのことは何もないですよ。
○瀬川委員 ないと思います。保安情報はどうですか。
○大橋補佐官 保安情報は,お出しできる部分もあるのですが,例えば逃走の手口だとか自殺の手口とか,詳しい記述のものもございますので,少し中身を検討しなければならないと思います。もし出すとすればどういう出し方をするか,そういうことを考えないといけないと思います。
○重松企画官 基本的には,職員の研修用ということを想定してつくっておりますので。
○南会長 日弁連の提言にもありましたけれども,訓令,通達等が公表されていない,あるいは矯正六法なんかも売っていないというようなことが書いてありますね。今の監獄法が非常に不備なために,本来は法律で書かなければいけないことがみんな訓令,通達あるいは手引というような形で実際行われていますね。そういうのは,やはり情報公開の請求なんて待たないで,むしろ積極的にディスクロージャーと言いますか,出していかれた方が,理解と協力を求めるという意味でもよろしいのではないでしょうかね。もちろん個人のプライバシーにかかわるとかそういうものはありますから,それはできないとしても,もっと積極的にされた方が,透明性の確保の意味でも私どもはいいのではないかという気がしますけどね。
○久保井委員 刑務所の所内の心得なんていうのがあるでしょう。ああいうものも,やはり公表されたって差し支えのないものが多いと思いますけれどもね。
○重松企画官 情報公開の開示請求があった場合は開示されていますから,そうですね。先ほど申し上げましたように,そのことは重要であると考えておりますし,なおかつ行政の効率化にもつながるという色彩もございますので,矯正局といたしましても十分認識をしているところです。
○瀬川委員 先ほどのイギリスの独立監視委員会と,いろいろ紹介がありました。手がたく言っていただいてよく分かりましたけれども,何か先ほど大平委員が言われたような批判点,むしろ問題点とかどういう指摘がされているのかというのが我々は興味があるので,うまくいっている,うまくいっている情報というのは幾つもあるのですけれども,何かこういう点が実際には非常に大きな残された課題であるとか,やはりこういう問題は残るのだとか,そういう指摘は何かないですか。
○重松企画官 これまでのイギリスのですか。
○瀬川委員 イギリスでもドイツでも結構なのですけれども。
○重松企画官 ちょっと十分時間がなかったのですけれども,日弁連等の話でもございましたけれども,例えば,1995年の弁護士会の報告によれば各委員会の活動が必ずしも活発とは言えないことが指摘されています。
○瀬川委員 つまりアンバランスがあるということですね。
○重松企画官 そうですね。アンバランスもあるし,食い込み方も少ないというような御指摘がある。また,2001年に内務省のワーキンググループによる調査報告書が出ておりまして,この調査報告書に,先ほど言いましたようにPrison Visitorsと混同されるという勧告があったのですが,同時に同委員会が示した懸念事項に関して,矯正局の対応が十分でないというようなことが問題点として指摘されているというようなことです。
○瀬川委員 受刑者が言いっぱなしというか,そういう部分も多いですね。権限ないですからね。法制審議会のときの議論というのは後で恐らくこの委員会でも法制審議会が要綱を出した後の,それから大分たったわけですけれども,先ほど少し議論,少し紹介されたのですけれども,刑事施設運営協議会については,これはかいつまんでで結構ですけれども,どんな議論になったのでしょうか。その後というか,結局さたやみになったわけですけれども。
○重松企画官 昭和55年以降ですか。基本的にはなかなか法律が成立しないということで,このような外部からの意見聴取云々よりは,より実務的な分野における法律でやらなくてもできるようなことについて行刑運営の改善ということで,可能なことの検討が進められておりますが,この分野についてはほとんど未開拓であったと,個人的には感じております。
○瀬川委員 そう聞いたのですけれども,初めはフォーマルなものを予定していたのだけれども,実際は後で格落ちさせたと,批判する側から言えば。そういうふうに聞いているのですけれども,それはそうなんでしょうか。
○重松企画官 それは,日弁連等との当初の話し合いではそうだったけれどもということですか。
○瀬川委員 そこはちょっと分からないのですけれども。
○大橋補佐官 具体的には,この監獄法改正部会に小委員会というのがございまして,そこでその性格をどうするかというところで,小委員会の委員長の方から出されたのが,正式な法律のものとするよりも非公式なと申しますかそのようなものとするという結論でした。それに対抗する意見ももちろんあったのですが,とりあえず非公式なものと設定して,実績を見ながら法律化すればいいじゃないかというような議論もあったというふうに聞いておりまして,最終的には法の改正の項目の中に入れずに,改正法の実施に当たって配慮すべき事項ということで一つ落とした形で骨子となる要綱というのが成立いたしまして,刑事施設法案の方も7条で頭出しはしておりましたが,成立しておりませんので形にはなっておりませんが,省令で会議体を設置するということとし,以下の通達で詳細に定めるという予定をしておりました。まだこれは法案自体が成立しておりませんので,形にはなっておりませんが。
○南会長 それでは,どうもありがとうございました。それでは,ヒアリングはこれで終わらせていただくことにいたします。どうもありがとうございました。
 10分ばかり休憩をとらせていただきまして,その後情報公開と視察委員会について御議論いただきたいと思います。それでは,3時55分ということで,またお集まりください。


午後3時45分 休憩

午後3時50分 再開

3.透明性の確保(視察委員会・情報公開)について

○南会長 それでは,これまでの説明を踏まえまして,まず情報公開の方から御議論をいただきたいと思います。
○瀬川委員 話は違うのですが,単純化するために,あと先生もしこの方針でいって,あと先生がおっしゃったような死亡事件について全部出せという意見以外に,あるいは通達とか通知,これはきちっと出せというほかにこだわるところがありますか。
○南会長 今出ましたね。
○瀬川委員 それ以外に,僕はかなり思い切ったことを出されているというか,すごい今までの矯正局だと考えられないぐらいたくさん出されているように思うのです。ただ,弁護士の方とかあるいは日弁連はほかにこだわるところがありますか。
○久保井委員 最近この会議が動き出したから出てきたのですけれども,しかしそれは非常に大きく前進をして。
○瀬川委員 たいへん大きな前進ですよね。だから,この点はこのぐらいにしておいていいのかどうか。あと何かプラスするものがあるのかどうかという議論だけだと思うのです。
○久保井委員 死亡帳は国会の審議の段階でその存在が明らかになって全部出たわけですから,まあ全件公表していただくとか,そういうことはもうそれほど困難ではなかろうと思いますし。それで訓令,通達,その他そういう規範類を出してほしい。
○南会長 公開しても差し支えない限度でというようなことですね。
○久保井委員 あとは,保安情報をどの程度公表していただくかということですね。
○瀬川委員 手口についてもいろいろ市販されているものはいっぱい出るので,新聞報道もされますので,僕はそれほどと思いますけれども,ただどうしてもそれは隠したいものがあるんだったらと思いますけど,それもそんなにないんじゃないかと僕は思います。
○南会長 訓令,通達なんかの公表を仮にするとすれば,どういう形式で行われますか。
○久保井委員 あれ,警察はどういうふうにしているのですか。ホームページですよね。
○大橋補佐官 インターネットで。
○久保井委員 それでいいんじゃないでしょうかね。
○南会長 それでいいですかね。
○久保井委員 それをアクセスする能力のない人は,能力のある人に頼んでやる。
○南会長 恐らく通達の中にも基本的な通達,個別通達というようなものがある。ちょっと個別通達は出せないかも分かりませんね,プライバシーにかかわるので。だけど,基本通達はやはり出せるんじゃないですかね。例えば国税なんかは,官報に登載していますよね。
○久保井委員 実務六法に乗っている範囲内でも,相当なものでしょう。
○南会長 実務六法が売っていないと書いてありますよ。「ぎょうせい」から出ているのだと思うんだけど,売っていないのですよ。私も随分探した。
○久保井委員 実際は購入は難しいけど,一応はあれ。
○南会長 実務六法に載っているぐらいは,ホームページに載せたらいい。だけどあれもかなり膨大なものです。むしろその方が,信頼性の確保という意味から大事だと思います。それから,さっきの死亡事案にしても,やはり疑われますよね。何か隠しているんじゃないかという。そういう疑いは持たれないように。というのは,事故死か病死かというのはよく分からない場合があるでしょう。そのために,これは隠しているのだとあらぬ疑いをかけられるというのは,一番行政にとって困ることなので,やはり信頼性の確保という見地から,すべてやはり出すべき。それはもう個人の名前だとか特定できないものはもちろんありますけれども,病死なら病死という形で出されたらと思いますね。
○久保井委員 名前までは要らないけれども,年齢ぐらいは書いた方がいいと思いますけれども,そうでなくてただ男性というだけでは,それではあれでしょうからね。英国のやつなんかも,あれは随分名前が全部出ているようなことを聞きましたけれども。
○南会長 そうです。ありますよ。新聞なんか見ると出ていますからね。年齢も出ていたりしていますから。
○久保井委員 新しい時代の流れとしては,やはりこれから5年先,10年先をにらんで情報公開の範囲を決めるとしたら,やはりかなりそういうことを思い切ってやらないと,すぐまた批判が出てしまう。
○南会長 私は,これは非常にいい機会で,この機を失したら,また何年か先になってしまうと思うのです。だから,矯正局としても,信頼性の確保ということからも必要だと思います。それ以外何か,情報公開関係で。かなり今度網羅的に出されて,大変な私は前進だと評価しておりますけれども。
○久保井委員 やはり,こういう会議がスタートしただけでも,これだけの効果があらわれるという。会議がこれスタートしていなかったら,この公表もなかったわけですからね。
○瀬川委員 あとこれ以外に,監獄人権センターが要求しているのは,特にあるのですか。
○大橋補佐官 公開の部分に関しては,そんなにはなかったと思うのですが。
○南会長 それでは,情報公開はその点をひとつ中心にお考えいただいて,また死亡の関係については第3分科会でも御検討されると思いますけれども,この第2分科会のそういう議論の出たことをお伝えいただければと思います。
○久保井委員 死亡と病気との,自然死と事故死との区別の問題は,この分科会の狭い意味での公表の範囲の問題を越えるものがあるかも分からないけれども,少なくともこの行刑改革会議全体としてはそこをやはり議論をしなければならない。
○南会長 かえって,あらぬ疑いをかけられるということになろうと思いますのでね。
○久保井委員 死亡原因の確定手続をどうするなんていうことをやる。
○南会長 それでは,情報公開はもうそのぐらいにしまして,次に外部協力者,地域社会との連携・協調の面はいかがですか。これは更に網羅的になってくるとは思うのですけれども。
○久保井委員 篤志面接委員なんかが訪ねていったときに助けを求めるというようなことは,恐らくないだろうと思うのですね。そうすると,現状では不祥事を防止するという効果についてはないでしょうね。
○大平委員 今の現状では無理です。
○久保井委員 つまり,刑務所側の人間という形で篤志面接委員は受刑者に評価されていますし,事実刑務所側も意識としてはそうなっていますからね。モニタリングという意識は全くないですからね。だから,これはやはりこの第2分科会の大きなやはり。
○南会長 それはこの次の視察委員会の方でちょっと議論を入れたい。今は連携・協調の方なんですけどね。監視的なモニタリングの方は,ちょっと後にしたいと思うのですが。
○久保井委員 そうすると,今のこの四つ,五つですか。
○南会長 この一番最後のページにございますね。教誨師による宗教教誨,篤志面接委員による面接指導,ゲストスピーカーによる指導,外部専門家による指導,更生保護婦人会からの援助,地域住民からの援助。
○大平委員 この進行表なのですけれども,3番目の透明性の確保がありますよね。この視察委員会のことではないのですか,今やっているのは。これは終わったのですか。
○南会長 今情報公開を先にやって。そして今度は視察委員会に移っていこうと思っています。
○大平委員 この外部協力者というのは,情報公開の中の一部なのですか。今先生がおっしゃった,外部協力者のお話今なさっていましたが,それは情報公開の中の。
○南会長 そうですね。ここはオーバーラップしているのです,確かに。
○大平委員 中ということでよろしいんですね。
○南会長 一応便宜上ちょっと分けましたけれども。
○久保井委員 外部協力者との連携というのは,透明化の一環でもありますね。だけど,透明化の問題は後で議論するということですね。
○南会長 いや,もう一緒に御議論いただいていいと思います。さっき矯正局の方が二つに分けて御説明になったものだから分けましたけれども,御一緒に御議論いただいた方がいいかも分かりませんね。関連しますから。外部の連携・協力,提携の方ですか。これは実はアメリカのワシントン大学,ワシントン州の刑務所というのは,非常におもしろい試みをしているのです。ワシントン大学のロースクールと刑務所とが提携をいたしまして,そうして刑務所で講座を開いているわけなのです。講座の講師というのは,おもしろいのですが刑務官とそれから受刑者なのです。受刑者も講師なのです。そうして,ロースクールの学生がそこへ聴講に行って,あるいは施設見学だとか,あるいは犯罪はどうして起きるのか,犯罪の動機だとか,いろんなことを勉強しまして,そしてクレジットといいますか,単位が与えられるのです。それが非常に評判がよく,人気がありまして,おもしろい。イギリスに,泥棒をつかまえるには泥棒が一番つかまえ方をよく知っているということわざがありますが,刑務所の事情を最もよく知っている刑務官の方とそれから受刑者が講師なのです。
○久保井委員 それは,自分がどうして犯罪を犯したかという話をするわけですね。
○南会長 もっと一般的に,刑務所というのはこうだ,刑務所の戒護,処遇というのはこうなっているとかいうことがダイレクトに伝わるわけです。
○久保井委員 それは,講義の科目としては犯罪学とか,刑事政策とか。
○南会長 やはり刑事政策か何か,そっちの方にかかわるのでしょうね。
○大平委員 ちょっと趣旨は違うかもしれませんけれども,受刑者の方が教える側の立場になるということは非常に有効だと思うのです。恐らく犯罪を行った方というのは,自分は世の中には必要とされていないのだというコンプレックスがやはりあります。その中に,自分が人に教える立場になれば,自分もまだ必要とされていると思うことができるということは,これは韓国のソウル少年院がそうなのですね。ソウル少年院に収容されている子供たちは,中でパソコンの技術を一生懸命取得しまして,地域の方々に来ていただいて,その少年たちが地域の方に教えるのですね。そこの少年院を退院した後は,ベンチャー企業を立ち上げたりとか,そういうモチベーションになっているのですね。それは非常にいいことだと思うのです。
○南会長 私は非常にいいことだと思うのです。自分の問題を最もよく知っているものがお話をする。そのためには,自分はやはり勉強しなければいけない。教えることが一番勉強になりますからね。それと地域との連携,あるいは地域社会への奉仕という面もあって,ロースクールの学生に限らないのですよ。コミュニティカレッジの学生も行けますしね。それからワシントン大学のほかの学部の学生さんも聴講することができるのです。だから,それも一つの非常におもしろいアイディアで,アメリカらしいアイディアだと私は思いましたがね。
○久保井委員 そこはかなり具体的な例として,我々の答申案の中にそういうことも載せたら非常にいいかも分からない。可能かどうか,現場のあれで。
○南会長 ちょっと画期的になるとは思うのですよね。
○久保井委員 条件の合うところはということですね。同志社大学のロースクールに取り入れられたらどうですか。刑事政策で。
○南会長 だから,外部の人を招いて講義してもらうのも,それも結構なのだけれども,刑務所も自らが今度は講義する立場に立つということも。
○久保井委員 それは何か文献の中にあるのですか。
○南会長 あるのです。ちゃんとあるのですよ。私ワシントン大学のロースクールの客員教授をしておりました。そのほかの大学はちょっと例を知らないのです。1回調べてみていいと思いますけどね。ひとつそれも何だったら検討課題にしてもいいですね。特に今度ロースクールが発足しますから,そういうふうな事情をよく知っていないと困るのではないかと思うのですがね。
○久保井委員 地域社会に根差した刑務所という言葉は最近よく言われますけど,そういうできるところからやってみるというか。
○南会長 視察委員会の方もどうぞ。
○瀬川委員 むしろ南先生,どう思われますか。行政不服の先生は専門家ですけれども,一方で行政不服制度を設け,それに対して,民間のそういう視察委員会というのを設けるということは,最近の一つの流れなのでしょうか,これは。だから,我が国もある程度僕は独立の委員会を設ける必要はあると思っているのですけれども,ただどういう形にするかとなると,非常にさっき言った海渡さんが言っていたようにうまくいっているのと,うまくいっていないところがあるということですよね。
○久保井委員 ただ,形骸化して役に立っていないということはあっても,それがマイナス,有害化しているということがなければ,トライ・アンド・エラーでやるべきだろう。今度のロースクールだってそうですよ。あんなロースクールうまくいかないという意見も随分あるけれども,やはりやってみてトライ・アンド・エラーでいかざるを得ないから。
○瀬川委員 どの施設にいるかによって,非常に不公平感がありますよね。この委員会が機能しているところはうまくいっていて,自分はこの施設にいるからだめだという。受刑者というのは本当にあれで,御存知のように公平かどうかというのはものすごく大きい,一番彼らにとっては大きな問題で,仮釈放もそうですけれども,別の施設と違うというのは,ものすごく彼らにとってつらいことなんですよね。だから制度をつくるときは,制度設計するときは,できるだけ機能するように。
○久保井委員 全国共通の基準でね。
○瀬川委員 だからさっき言ったような問題点をやはりつんでおいて。そういう問題点が出ないように制度設計するという必要性があると思うのですよね。
○久保井委員 最近の民間企業でもデイスクロージャーがものすごく要求されてきているでしょう。だから,そういう公的な機関でもそういうものを受け入れていかなければ,もう批判に耐えられないと思いますからね。
○南会長 今までのように,統治する者と統治される者というような関係では全くなくなりましたね。今は,英米なんかでは行政と市民とのパートナーシップという言葉が使われていますし,ドイツではミットビルクンと言って協働と訳すのかどうか,協力して仕事をするという意味ですね。そういう言葉を使われているので,やはりそういう時代に大きく変わってきたなと思いますね。
○瀬川委員 各領域,行政もそうですね。大学もそうで,病院もそうですし,第三者評価みたいなものが必ず必要になってくる。
○南会長 ただこの本で見まして,「21世紀の刑事施設」,この本ですね。ロッド・モーガンという先生の話で訪問委員会がだめになったというのは,彼らが刑務所管理者に共鳴してしまう傾向がある。刑務所の上級職員と一体化してしまう。それから完全に批判的な意見というのをしなくなって,刑務所運営の問題について同情的になるという部分があります。
○瀬川委員 我々も府中に行ったときに,こんなにみんな苦労しているのかと,みんな委員の人が分かった。ああ,大変なんだなというのが分かった。
○南会長 やはり,これが改組の原因になったのだと思いますがね。
○久保井委員 現場の苦労を理解すればするほど,改革はできなくなりますね。弁護士会の改革も一緒ですよ。やはり一般の弁護士に重いことを押しつけますから,だからその実態が分かれば分かるほど社会の要求に答えにくくなってしまいますね。刑務所でも,現場の職員の方はものすごい苦労しているからね。
○瀬川委員 そこにも矯正実務家のある方が書いておられるのですけれども,刑務官のことを受刑者よりももっと質の悪い人間だと思って想定して議論している,批判する側は。これは気をつけなければいけないこと。大多数の人はまじめにやって,ただいろんな事件があるとみんなが何かそうであるというふうに思いがちなんですよね。
○大平委員 それは全体的に言えることですよ。弁護士の不祥事があったら,みんな弁護士が悪いんだと言われて。
○瀬川委員 大学の教師も一緒ですよね。
○久保井委員 企業がコンプライアンスをすごい求められているでしょう。だから,企業だけ責めてはいかんので,大学や弁護士会や公的な機関も同じようにコンプライアンスをやはり守らなかったら,これは不公平だということになってきますからね。だから,名古屋の事件がたまたまあそこで火がついただけで,そういう世の中の動きがなかったら,あんな事件は恐らく取り上げられなかったと思いますね。
○瀬川委員 恐らく監獄のかなりの研究者でも,刑務所の研究者でも,名古屋の事件というのは僕は想定していなかったと思います。これは皆本音はそうだと思うのです。やはりかなり刑務所というのは隠すことはないところまで実は僕はいっていたと認識しているのです。かんかん踊りはよくないと思いますけども,それ以外は確かにいろいろ不祥事はあったことは事実ですが,ああいう暴力的な事件なんてそれほどなかったと思うのですよね。
○久保井委員 あそこはちょっと,少し特殊かも分かりませんね。
○瀬川委員 巡視委員会があると,こういうものを認める方向で我々も議論しようというふうにお考えということでよろしいでしょうか。南先生が言うかどうかが,僕はものすごく大きいと思いますので。こういう巡視委員会みたいなこういうものを,イギリス型かどうかは別として,不服申立て以外のところでそういう市民が参加したというか,そういう専門家も含めた委員会を設けて,透明性というか,そういう委員会を今回設ける方がいいのでしょうか。
○南会長 それは,私はさっき言ったように,やはりこれから何も対立関係というふうに見ないで,やはりできるだけ運営にも連携・協力していく,そういうことも必要なんじゃないでしょうかね,もうこれからの時代というのは。もっとも,この先生も言っておられるように,外部からの査察者は市民であるべきだという提言をされていて,その提言そのものは非常にノーブルな考えだ,崇高な考えだと思うが,私はまた疑いも持っているという言い方をしていまして,それは一体何なのかというと,確かに不服申立てを扱う団体や査察を行う団体は,「私の考えでは」と言って,「市民とそれ以外の者の混合体であるべきだ」と。「かつて組織の内部に身を置いていて,内部のやり方の複雑性を理解している者には,内部の事情を洞察することが可能です。そしてそうした洞察ができる者には,より効果的な調査を行い,より効果的に要求を行うための重要な質問方法を知ることが可能なのです」と,こういう言い方をしていまして,これは私は実感を持って分かったのは,国税不服審判所というのがあって,これは私が構想を立て,実際審判官としても務めました。私どものような部外者というのはごくわずかなのです。裁判所,それから検察,学者と,入っているのはごくわずかで,あとは全部第一線の課税,あるいは査察に従事してきた者で,当時はそんな人が絶対公正な審判はできないと大変に攻撃を受けたのです。ところが,そういう人もいないとやはり困る。それは非常に専門技術的であるということ,それからよく本当に内部事情を詳しく知っているものですから,どこが悪いのか,どこに問題点があるのかというのは熟知しておりますね。それから,審判官の地位が非常に高いものですから,結局みんな部下が間違った課税処分をしているわけですから,こんなばかなことをしてと,こういう意識が働いてくるわけです。ですから,審判所は意外に権利救済としては機能しておりますね。もっともそればっかりでは困るんで,やはり外部の裁判官だとか,検察官,あるいは学会からも入る,そういう部外者ですね,そういう者も入れなければいけないとは思います。しかし,役人だからだめだ,あるいは公正性がないとは言えないとは思いますけどね。
○大平委員 前提でよろしいですか。この視察委員会と審査委員会がこれ別段になっていますよね。だからもともと同じにするのか,分けるべきなのかという議論も大事になります,ありますよね。ですから,それを先にしてからでないと,私ちょっと議論に入れないのです。前提が崩れてしまいますでしょう,それを先に。もっともっとそれ以前の問題で,そもそもつくるのかと。先生がおっしゃったように。
〇瀬川委員 その点ですね,視察委員会をつくったとして,それがどの程度の権限を持つか。それ以外に,不服申立てに関して何か専門的な委員会を設けるかということでしょうね,あるいは合体させて一つにしてやるのか。
〇久保井委員 英国では三つあるわけでしょう。要するに訪問者委員会と,それからプリズン・オンブズマンと,それからもう一つ査察局ね。だから,その三つまでやるとすごいかさが大きいから。
〇大平委員 ちょっと上の二つはまとめていいということは,先ほどおっしゃっていましたね。
〇久保井委員 だから,それを全部一つにしたら,それは恐らく訪問者委員会というのはどっちかというと透明化するだけのための,つまり諮問機関的なものですからね。
〇大平委員 皆さんおっしゃっていますよね,絶対分けるべきだとおっしゃって,それはよく分かっているのです。ですからこの議論の中でも,それを前提としてやるのかどうかということだけちょっと。
〇瀬川委員 いわゆる認識として,どっちから始めるか。
〇大平委員 そうです。
〇久保井委員 それは,それしかないと思うけどね。
〇瀬川委員 そういう形で,いきましょうか。
〇南会長 確かに不服審査制度というのは難しいと思いますよ。といいますのは,普通の不服審査というのは行政処分の取消しという形で来るのですが,これは情願でも処分とは書いてない,処置と書いてありますね。処置に対して情願するというふうに書いてある。非常に広い概念なのですね。だから,戒護という事実行為的なものだとか,処遇も事実行為ですね。そういうふうなものが日常いろいろ起きてくる,あるいは継続的なものも,拘禁みたいな継続的なものもあれば,非常に短期に終わってしまう一時的なもの,例えば制止だとか叱責だとか暴行だとかいうのがありますね。そういうものに対して,どういうふうな救済方法が向いているのか。刑務所長の命令だとかいうのであれば,その命令を取り消すということで済むのですけれども,そうではありませんですね。
〇久保井委員 そうではないですね。むしろ事実行為が主。
〇南会長 事実行為が多いのですよ。だから本当言うと,事実行為については,これはいわゆる直接強制と呼ばれるものなので,これは法律で定めないといけない。だけど法律がないものだから,実際それがまた事実上行われているということになりますね。だから,そういうふうな意味で,やはり執行法といいますか,そういうのは必要だと思いますね。それが今ないですから,将来の課題として。将来と言いますけれども,できるだけ早くやはりそれをつくらなければ。
〇久保井委員 第1分科会ではその議論をするのでしょうかね。受刑者と職員との関係を,権利の関係を明確にするというようなテーマがありますね。
〇南会長 そうですね。職務権限のテーマがありましたね。
〇久保井委員 だから,職員の権限を明確にするとか,先生がおっしゃったようなそういう民事執行法に対応する刑事判決の執行法みたいなものが。
〇南会長 それはやはりないと。だから執行の根拠,執行の手続だとか。
〇久保井委員 それは我々の分科会とちょっと。
〇南会長 懲罰はどうなっているのでしょうかね。懲罰も第1分科会ですか。懲罰も,やはり懲罰の手続というのは。ここには入らないわけ。
〇久保井委員 懲罰でなくても,おっしゃるように実力で制圧したりするのはデュープロセスの手続が本当は要るはずですね。
〇南会長 そういうことなのです。
〇久保井委員 事実上は,訓令,通達の中でやられている。
〇南会長 そういう場合をどうするかというのを,きちっとやはり法律で定めなければいけない。ちょうど行政の執行については,行政代執行法というのがあるように,そういう執行法が必要になりますね。問題は,それについて救済が今言ったように非常にバラエティに富んでいますので,どういうふうなのがいいのか。要するに取消しのできないような行為が多いわけですね。歴史は過去にさかのぼって取り消せないような,そういう行為が多いわけですから。それをどういうふうにコントロールしていくのか。
〇瀬川委員 これは会議としては,視察委員会と不服申立てを一応分けてありますね。きょうのところは一応の意見を取りまとめさせていただいて,巡視委員会をどうするかというか。
〇久保井委員 次回が,不服申立ての在り方ですね。
〇瀬川委員 これには,お金の問題が絡む。
〇南会長 刑事施設法はどうなっていました。何か苦情申立てと不服審査とを分けていましたね。
〇大橋補佐官 不服のところは二つ,審査の申請と苦情の申出という二つの制度をつくっております。また来週矯正監査室長が,お許し願えるのであればプレゼンテーションを行いたいと思いますので。
〇瀬川委員 巡視委員会というのは,監獄法のときはなかったのね。
〇大橋補佐官 規定上はありません。刑事施設法案の法律上には出てきておりません。
〇久保井委員 あの当時は,こういう市民による参加とか監視とか,そういう思想自身が,情報公開法という言葉自身がない時代ですから,だからただ人間的に処遇せよと言っているばかりで,管理よりも人間という言い方で,そういう思想はなかったですね。
〇瀬川委員 ただその巡視委員会をつくっても,僕は若干法律家で保守的なところがあって,つくったけれども何だと言われたら,非常にこれはかえって有害だと思うのですよね。言いっぱなしで終わるのか,あるいは何かぐじゃぐじゃして,あるいは全国的にうまくいっているのは少数でほとんどうまくいっていませんとかというのですと,これは本当によくないことだと思う。だから制度設計をどうするかというのはものすごく大事で,それから財政的な問題というのはすごく大事なことだと思いますよね。施設ごとにつくるのか,管区ということ,あるいは都道府県につくるのかでも大きな問題ですね。
〇南会長 私はちょっと聞かなかったのですが,都道府県単位にするという提案ですね。
〇久保井委員 それは不服審査。巡視委員会は施設ごとです。
〇南会長 巡視委員会の方は刑務所単位で。
〇久保井委員 それはドイツの刑務審議会もそうじゃないですか。
〇南会長 あれは州なのですね。
〇久保井委員 だから,今議論するのは……。
〇南会長 私は高裁の管区といいますか,所在地ぐらいの大きさでいいのではないか。なぜ都道府県になっているのかという点なのですが。
〇久保井委員 不服審査,そっちの方の。
〇南会長 そう,不服審査の方。
〇久保井委員 そちらですか。なるほど,それは……。
〇南会長 高裁ぐらいの単位でも,あるいは……。
〇久保井委員 それは,そういうこともあり得ていいと思います。
〇南会長 都道府県単位というのはどういうわけかなというような感じなのです。
〇瀬川委員 巡視委員会はどうですか。
〇久保井委員 巡視委員会は施設に属するものだから。
〇南会長 巡視委員会は刑事施設。だから刑務所単位ですよ。
〇瀬川委員 僕も発言求めたので,聞くと責任とりませんなんて。これはどうでしょうかね,大変は大変ですね。
〇大橋補佐官 法律上のきちっとした組織をつくったとして,委員の方々の肩書きをどうするのか。非常勤の国家公務員にするのか,それともほかにするのか分かりませんが,きちっとしたものをつくろうとすればするほど,今の行革の方向に反して,組織はつくれませんし人もつけられないということで難しいですね。
〇瀬川委員 矯正保護審査会というものがあったのですが,数年前に廃止されました。ただ巡視委員会というのは今まで本当に日本にないものなので,予算を取るときの一つの正当化理由というのはものすごく大事だと思いますね。単に国会議員が透明化とか言って分かるのかどうかということも含めて,本当にちゃんと作文をきちっとつくらないと,矯正局も非常にしんどくなると思いますね。
〇久保井委員 国会のこの案件をあれしてこういう行刑改革会議ができたわけで,国会が刑務所を全部フォローすることができないので,やはりそういうものをつくって日常的にフォローできるようにしなかったら,今回の行刑改革会議の趣旨は我々の責任を果たしたことにならないと思うので,トライ・アンド・エラーでどこまで効果があるか。
〇瀬川委員 エラーは困る。役人は責任をとらされる。
〇大橋補佐官 刑事施設法案のでき上がりの後の姿で,施設ごとに協議会をつくるというのはありましたので,それをつくるということに対してはそれほど抵抗はないとは思いますが,その法的な性格をどうするか。その後の中身の運営をどのようにするか。
〇瀬川委員 その場合の法的性格というのは,どんなことを言いますか。
〇大橋補佐官 例えばきっちりとした監視のような職務を担当する組織,そうしてしまうといわゆる国家組織のうちの一部というふうになってしまうのですけれども,そういうふうにするかどうか。それと,あと委員の地位を非常勤の国家公務員にするのかどうか,そういうところもございまして。
〇瀬川委員 保護司さんは,今非常勤ですね。
〇大橋補佐官 非常勤の国家公務員です。保護司法という法律に基づいて,保護観察の事務の一部に従事しておりますので。
〇大平委員 視察委員会をつくるならば,市民というところに意味があると思うのですね。準国家公務員になったら……。
〇瀬川委員 事故のあった場合とか,あるいはけがした場合とか,保護司のほうはそういうふうに考えている。
〇大橋補佐官 監獄法改正のときの議論も,そういう固苦しいものよりも市民の皆さんが参加できるやわらかいものをということで,法律を施行する上での配慮事項ということでした。
〇大平委員 やわらかいはいいのですけれども,具体的に何もできないというところで批判を受けていたのではないですか。やわらかいから批判を受けているのではなくて,例えばこういう提言ができないとか,実際そういう行使ができない,そこに批判があったのではないですかね。
〇大橋補佐官 どういうふうな仕事をしてもらうという中身は具体的には定めるまでにはいたっておりませんでしたので。
〇久保井委員 それ自身に争いがあったわけですね。その当時は情報公開とか訪問者委員会なんていう思想はなかった。
〇瀬川委員 ここでどの程度詰めるのが妥当,適正かということだと思うのです。
〇久保井委員 司法の場合でも,裁判員,つまり市民が裁判するでしょう。その場合の市民というのは,一体国家公務員なのか何なのか。そんな議論は今のところないですけれどもね。だからそういう議論なしに,もう市民が裁判を担当するということに踏み切っているでしょう。だから,訪問者委員会か視察委員会の委員に市民が入った場合に,それが国家公務員か単なる市民なのか,そこはそれほど大きな哲学的な論争をしなくても,ほかにも例がありますから。
〇瀬川委員 その点,ちょっと時代の流れが変わっているのですね。ただ先生,法律変えられたら,矯正局の先生方は非常にそこがしんどい,何か起こったときどうするのか。
〇久保井委員 それはそうですけどね。確かに訪問者委員会が刑務所の見学をするときに殴られた,けられたと。そのときにどういう救済措置があるのかということはね。
〇大平委員 それは裁判員でも同じ問題が起きていませんでしたか。判断してと。その場合は手だてとか何も。
〇久保井委員 手だてないですよ。そこまで進んでないからね。
〇瀬川委員 この委員会で,小委員会の法的な性格というのはどこまで煮詰めておくのか。委員の構成をどうするのかということでしょうね。
〇久保井委員 委員の構成とか選任は,やはり提案する以上は我々無責任にそこを抜きに提案というわけにいかないと思いますけれども,難しい位置付けは考えなくてもいいのではないかと思います。
〇瀬川委員 とにかくゴーサインを出して,デザインしていくと。
〇南会長 もうかなり具体的にした方がよろしいですよね。
〇久保井委員 委員は何名程度とか,市民と専門家を入れるとしたら,例えば裁判官とか弁護士とか医者とか,そういうものの例示ぐらいはしないと。
〇南会長 選任の方法も非常に大事ですね。
〇瀬川委員 僕,刑務所で裁判官1名というのはすごいしんどいと思いますけどね。裁判官でそんなことしてくれる人はほとんどいないのではないか。
〇久保井委員 今の裁判官は数が少ないから,手が回らないでしょうね。
〇瀬川委員 そう思いますね。法律家としておくぐらいで,弁護士を入れる程度,あるいは学識経験者のね。裁判官と入れてしまうと,すごくしんどくなるように……。
〇久保井委員 法曹人口が大幅にふえますけれども,増えるのは弁護士でして,裁判官はそんなに,国家予算が要るからそんなに増えませんからね。
〇瀬川委員 裁判官には,そういうことを嫌がる人が多い。
〇南会長 今の先生がおっしゃったのは,裁判官を入れるのは視察委員会の方ですか。
〇瀬川委員 視察委員会の方です。法律の専門家を先ほど……。
〇南会長 一人でしょうね。
〇久保井委員 英国のは,治安判事が入っています。
〇南会長 治安判事だけど,治安判事というのは市民なのですよね。
〇久保井委員 そうですね。
〇南会長 治安判事という資格はあるけれども。
〇久保井委員 非常勤の裁判官……。
〇瀬川委員 どんな人を入れたらいいかバーッと挙げていって,後で削除する。僕は医者とか,今回の場合は特に名古屋刑務所の問題があったので,医師は必要だと思いますね。ただその場合に,江川紹子さんがいつも精神科医のことをよく言われるのですけれども,精神科医あるいは内科医なのかという問題も一つあると思いますけれどもね。弁護士はどうですか。
〇大平委員 弁護士も,やはり必要だとは思います。
〇久保井委員 法律判断はどうしても要る。
〇瀬川委員 法律専門家,医師でしょうね,専門的なことでは。裁判官と入れたら,僕は何か制度として動かないような。
〇大平委員 私もそう思うのです。
〇久保井委員 でも法律家の中で,弁護士でなくても裁判官がある刑務所では,そういうものは選べる余地を残す。
〇瀬川委員 それはそうですね。検察官はどうですか。
〇久保井委員 検察官は,やはり刑の執行の主体だから,ちょっと問題があるでしょうね。
〇瀬川委員 裁判官か弁護士ですね。
〇大平委員 そうなんですよね。収容されている人たちは検察官から訴追されています。
〇瀬川委員 検察官を除くと。
〇久保井委員 検察官は債権者みたいな立場だからね。受刑者は債務者だからね。
〇瀬川委員 それから,市民をどう選ぶかですね。
〇久保井委員 選び方ですね。
〇大平委員 ちょっと話は全然変わりますけれども,大阪は安全なまちづくりってやっていますよね。官民一体となってやっているのですけれども,その中でそれぞれの団体から推薦を受けて市民が入っていますよね。
〇瀬川委員 その団体というのは,どこの。
〇大平委員 防犯協会とかPTAとか,本当に幅広く。企業者も含めています。錠前屋さんの業界,鍵屋さんですね。ピッキングがありますので。そういう本当に幅広い。そこからの推薦で皆なっています。
〇瀬川委員 案外それは機能しやすいところがありますね。団体というのは案外代表者を出してくるというところで。
〇大平委員 それと,治安回復は刑務所に一旦収容されたら,もうその方が再犯しないためには社会的に受け入れる,そういう形でいろんなところで接点があると思うのですね。
〇久保井委員 やはり個人でよりも,そういう推薦を尊重しながらやるということが望ましいでしょうね。
〇南会長 イギリスの場合は,応募者から選ぶ。
〇久保井委員 刑事立法研究会は,これは無作為抽出で。
〇大平委員 それ日本でやると……。
〇久保井委員 理想論で,ちょっとそこまで一遍にいくのは無理じゃないかと思いますけどね。
〇瀬川委員 そうですね。ちょっとそれは……と思いますね。
〇久保井委員 裁判ですら,裁判員は無作為抽出で選んでいるじゃないか。それから見たら,もう既に確定した判決の執行なのだから選択の余地は少ないのだし,いいじゃないかといえば言えないことはないけれどもね。
〇南会長 現に検察審査会はそうでしょう。無作為ですよね。あれはうまく機能しているのですか。
〇久保井委員 検察審査会は機能している。非常に機能しています。
〇瀬川委員 最近特に被害者の問題が……。
〇大平委員 不起訴不当が結構出ていますよね。
〇久保井委員 あれが機能しているから裁判員も大丈夫。
〇南会長 できるはずだとなるし,それならこっちもと,こういうことに。
〇久保井委員 無作為抽出どうでしょうかねえ。まあ一遍にそこまで飛躍する前に,もう一段階やってみて,それで形骸化したらもう一回考えるということで。
〇南会長 その方がよろしいですね。
〇久保井委員 もっとマイルドにいったらどうですかね。
〇南会長 ある程度公平に,推薦母体みたいなのを考えていくと。
〇瀬川委員 案外このごろあるのですね。自治体,割とうまくやっていますよね。
〇久保井委員 そうですね。
〇瀬川委員 福祉協議会とかああいうところに頼んだり。確かに問題意識持ってみんな来られて,一生懸命やられる。
〇南会長 審議会の委員なんかでも,かなり公正な人選をするようになりましたね。
〇大平委員 限りなく市民に近いですからね。
〇久保井委員 まあそれぐらいでいいんじゃないかな。
〇南会長 あと手続だとか,それから2段階にするかとか,それから不服苦情の対象をどうするかとか,いろいろ問題は残っている。
〇大久保委員 地方公共団体の推薦なんかも,一人ぐらい入れた方がいいかもしれない。
〇南会長 それもいいかも分かりませんね。
○久保井委員 委員の一人にはね。
○南会長 特にその地域に刑務所はあるわけですから,地域連携を強めるという意味で。
○久保井委員 そういうことが必要でしょうね。
○瀬川委員 それから,その次は権限ですね。この巡視委員会の。
○久保井委員 少なくとも私が望むのは,いつでも面接できるという,英国のいつでもどこでも面接できるという。
○瀬川委員 いつでもというのは,先生,夜中でもという意味ですか。
○久保井委員 だからそこは常識の問題がありまして,英国でどうなっているのか。規則の上ではいつでもどこでも何でもと書いてありますけれども,実際に夜中の12時ごろやってきて,抜き打ち検査をしたりしているのかどうか分かりませんが,運用の問題として。
○瀬川委員 刑務所は困ると思いますね。規律秩序の維持と,もう一つはやはりプライバシーの保護があるので。
○久保井委員 ただ,一方では抜き打ちも可能にしておかなければ。
○瀬川委員 その抜き打ちという程度ですよね。程度が問題だと思いますよね。突然来て,おれは巡視委員会だということでは,それは刑務所には刑務所の,やはり秩序がありますので。
○久保井委員 今度海外にせっかく行くのですから,そういうところをちょっと聞いてくる必要がありますね。規則の上ではいつでもどこでもとなっている。
○瀬川委員 すべきでしょうかね,やはりね。
○久保井委員 税務署の査察とか,税務調査では,あれ前もって予告しなければいけないという規定を入れたら,ほとんど逃げられてしまうから,一応抜き打ちになっているわけですね。やはりモニタリングを本当に形骸化させないためには,やむを得ないと思いますけどね。人数が問題ですね。人数を何人ぐらいにするか。
○瀬川委員 各刑務所ごとということでいいですね。
○久保井委員 刑務所の,府中とか大阪みたいに大きなところもあれば,小さいところもあるのに,同じ人数というわけにはいかない。
○瀬川委員 任命は所長で,さっきの日弁連もいいんですね。
○久保井委員 所長にするか,法務大臣にするか。
○瀬川委員 最終的には法務大臣でしょうけれども。
○久保井委員 法務大臣の方がいいんじゃないですか。
○大橋補佐官 矯正管区長というものもあります。今,篤志面接委員の委嘱は矯正管区長というふうに理解していますが。
○大平委員 推薦母体からの推薦でしたら,別にどなたがおなりになっても,そう恣意が働くとかは余りないと思うのですね。もしだめならば,なんでだめなのか。
○久保井委員 刑務所長が好きな人を呼んできたいというのは,困るわけね。だから,大臣がいいかも分からんですね。形式的になってしまうかも分からないけどね。
○南会長 それは刑務所長任命はちょっとまずいでしょうね。
○久保井委員 やはり慎重になると思いますよ。
○瀬川委員 ああいうもらったときに,だれからもらっているかということで,特に日本の人というのは重要ですね。
○久保井委員 大臣から付託されているという,我々だってそれで張り切ってやっている。今日の会議だって,大臣から頼まれてやっている。
○瀬川委員 人数はどうするのですか。
○南会長 ある意味では,刑務所長より上に立つという立場にありますので。
○久保井委員 上に立たないと効果がない。
○南会長 立たないとできないですよ。
○久保井委員 効果がない。
○南会長 それで一人では困るんでね。任命権者というのは結構大事ですね。
○瀬川委員 人数は,どうするのですか。
○久保井委員 人数は,10人ぐらいですか。
○南会長 10名から……刑務所によって違うでしょう。
○瀬川委員 施設の規模というのは,普通どう分けているのですか。
○大橋補佐官 府中刑務所みたいな大規模なものは,5部制庁と言いまして大きいものもあります。普通のところは2部制と言いまして,総務部と処遇部とで構成されています。
○瀬川委員 そういう分け方をするのですね。
○大橋補佐官 府中なんかは国際対策室がありますから,実質には6個の部室があるのですが。
○瀬川委員 府中刑務所と富山刑務所は違いますね。
○大橋補佐官 違います。府中刑務所は六つ部室がありますけれども,富山は二つです。
○久保井委員 だから,刑務所の規模に応じて,何人ないし何人というような大体のめどを。あと,立法段階でもう少し現実的な修正していただいてもいいのではないですかね。
○瀬川委員 例えば府中刑務所だと,何人ぐらい要ると思われますか。
○久保井委員 余り多かったら,会議が大変ですよね。
○瀬川委員 府中まで遠いですよ,東京都の人は。
○南会長 最大限12名ぐらいだと思いますね。普通ゼミでも12名が適正な人数だと言われるから。
○久保井委員 15だと大きいよね。その中で半分やられて。全員でやることが前提でなければいけないですからね。そうすると,12,3名でしょうね。
○瀬川委員 今日本一番小さい刑務所はどこですか。
〇重松企画官 大体比較しますと,小さいところと5倍か6倍ぐらいの差がある。
○久保井委員 5人から12~13人ぐらい。
○南会長 5から13という,奇数がいいわけですから。
○瀬川委員 もし何かのときに。
○南会長 10人以上ぐらいがいいかもしれないですね。規模に応じてというようなことで。
○久保井委員 弁護士と医者と入れて,あと市民が3人入れば,まああれかも分かりませんね。
○大橋補佐官 小さいところは被収容者数が400人弱ぐらいが普通です。
○瀬川委員 400弱ですか。どこですか。
○大橋補佐官 北の方で言えば釧路なんかですね。関東は割と大きい施設ばかりですけれども,管内では松本少年刑務所がちょっと400人を超えていますけれども。
○南会長 先ほど瀬川先生がおっしゃったように,予算の問題もありますけれども,何か法律の根拠がそういう組織をつくるとなると,法律の根拠が要るとかいろいろ問題が出てくると思うのですけれども,一回そういうことは余り考えないで。
○久保井委員 それを考えていたら何もできないから。
○南会長 何もできなくなるので,もっと将来に向けてあれということで考えでいったらどうかなと。
○久保井委員 恐らくこれは2000何年の改革ということで,日本の刑務所の歴史の上に残る改革になるでしょうから,多分10年間ぐらい先を見通してやらないと。
○重松企画官 先ほどの病死件数が判明しましたので,お答え申します。通達を出しましたのが今年の2月で,3月から今月まで半年間で110件ありました。そのうち,司法解剖がされた12件について公表された。この計算で行きますと,1年間で220~230件となる。ちなみに昨年は266件でした。三日に二日は亡くなっているということであります。
○久保井委員 普通の健康人の状態ではないよね。
○重松企画官 参考までに申し上げますと,遺族感情としてはやはり病死までは公表しないでほしいということで,公表した結果,遺族ともめたというケースもあるようです。もうそっとしておいてほしいということと,施設名あるいは性別,年代が分かりますと,やはり自動的に近所の人なんかにはもうあなたのところの方が亡くなったんですねというようなことが分かる。そういうことで遺族が抵抗するというような例もあったようです。
 なお,御案内のとおり情報公開法における不開示情報にも,それ自体では個人情報ではないのだけれども,第三者が持っているそれ以外の情報と合わせて個人識別情報になる場合には不開示になるというケースがございますので,これも一つのこれからの考え方の判断材料ではないかというふうに思っているところでございます。
○南会長 全体の死亡者の中で,病死は何人とか,それは統計としては出るわけでしょう。それも出ないわけですか。
○大橋補佐官 それは出ます。
○南会長 それは出してもいいと思うんだけど。
○久保井委員 現行の情報公開法の適用除外の条文がありますね。その解釈に,やはりここではそれをもう少し進む方向でやらないと,その範囲内でというわけにいかんと思いますね。
○大橋補佐官 それだけでは多分分からないかもしれないのでしょうけれども,分かるんじゃないかという遺族の心配というのがやはりあるわけです。
○南会長 別に刑務所名も出ないわけでしょう。
○重松企画官 刑務所名は出しています。
○南会長 刑務所名が出るなら,ある程度特定できるのかも分からないね。
○大橋企画官 普通は分からないかとは思うのですが,特定できるものもあるかもしれません。
○南会長 そのところですよね。工夫して,刑務所名を出さないで,例えば病死とかね。それだったら構わないんじゃないかと思う。
○大平委員 死亡件数が何件あったということは,数自体としてはもうお出しするようにして。
○大橋企画官 それはもう,統計に出ていますので。
○南会長 こちらの議論として伝えておいていただくということで。
 どうもありがとうございました。本日は,これで皆さんのきめの細かい御意見をいろいろと伺うことができました。本日の議論を踏まえまして,英,独,仏の視察を行い,その結果を御報告したいと思います。その上で,改めて皆様に御議論いただきまして,最終的な当分科会の意見をまとめていきたいと存じます。

4.その他

〇南会長 次回は,不服申立審査機関について検討する予定になっております。その際,矯正局から説明を受けるということは,既に御案内のとおりでございますが,それとは別に私から情願制度を含めまして,我が国の不服申立制度の仕組みにつきましてお話をさせていただければと思いますが,よろしゅうございますでしょうか。
○久保井委員 どうぞ,お願いします。
○南会長 それでは,次回は私からも説明をさせていただきます。
 そのほか,ヒアリング等の御提案はございませんでしょうか。
○久保井委員 誠に限られた時間で恐縮ですけれども,今日も議論になりました英国の刑務所の訪問者委員会とかさまざまな制度に非常に詳しい学者が,刑事立法研究会というこの間いただきました本の執筆者の一人で,九州大学法学部の土井政和教授という方がおられますが,この人は英国に留学をずっとされて刑事法を研究されたらしいのですけれども,この方に英国の実情を中心として,あるいは学者グループの考え方を,透明性,不服の申立てに限ってで結構ですけれども,ちょっとヒアリングしていただいたらありがたいです。
○南会長 今久保井委員から九州大学の土井政和教授からイギリスの制度についてヒアリングをしてはどうかとの御提案がございました。よろしゅうございますか。これはまた,事務局の方からお願いしますが,先生,それまでに内諾をひとつお願いします。
○久保井委員 もし今日の会議で承諾をいただける場合は,出ていただけるかということを電話で確認をしましたら,もしOKということになれば参りますと。
○南会長 それではもう,事務局の方から連絡すればいいですね。時間をどうしますか,順番もあるけど,それは私と事務局の協議にさせていただくということにして。
○久保井委員 一応2時に呼び出すということでいいと思いますけれども。
○南会長 それでは,次回の分科会ですが,9月29日午後2時からとなりますので,本日と同様お時間までに,法務省20階談話室にお集まりいただくようお願いいたします。本日は,これにて閉会をいたします。どうもありがとうございました。


午後4時50分 閉会
ページトップへ