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トップページ > 省議・審議会等 > その他会議 > 行刑改革会議 第2分科会 第3回会議

行刑改革会議 第2分科会 第3回会議

日時: 平成15年9月29日(月)
14時04分~16時45分
場所: 最高検小会議室(20階)


午後2時04分 開会

開会

○南会長 それでは,時間も参りましたので,ただいまから第2分科会第3回会議を開催いたします。
 なお,本日は,曾野委員は御都合により御欠席と承っております。
 本日は,九州大学の土井教授からのヒアリングと,矯正局の説明に加えまして,私から行政不服申立制度一般について御説明させていただく予定でおりましたが,内容が盛りだくさんでございますし,また,時間の関係もありますので,私の説明は次回とさせていただきたいと存じますが,よろしゅうございますか。

〈異議なし〉
 それでは,よろしくお願いいたします。御異議がないようですので,そのようにさせていただきます。
 次に,土井先生のヒアリングに入ります前に,今後の議論の進め方について御意見を伺いたいと存じます。
 通常,審議会におきましては,検討の進捗状況に応じまして事務局が案を出しまして,それを一応のたたき台として委員の方々に御議論をいただくという方法がとられることが多いのでありますけれども,本行刑改革会議の趣旨・目的に照らしまして,私はやはり本分科会が案を作成するのが相当と考えておりますので,私の方で皆様の御議論の結果を十分踏まえまして,各論点について整理いたしまして,そして私案といいますか,わたくしの案を作成いたしまして,それをたたき台として御議論いただきたいと存じますが,この点についていかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
〈異議なし〉
 それでは,御異議がないようですので,そのようにさせていただきます。

1.イギリスにおける刑務所の透明性の確保について

(土井政和九州大学大学院法学研究院教授からのヒアリング)

○南会長 それでは,前回,久保井委員から御提案のありました九州大学の土井政和教授からお話を伺いたいと思います。土井教授は,理想的な刑事拘禁の要綱作成に取り組んでいる刑事立法研究会に所属され,イギリスの事情にお詳しいとのことですので,「イギリスにおける刑務所の透明性の確保」についてお話を伺いたいと思います。それでは,土井教授,よろしくお願いいたします。
○土井氏 御紹介いただきました土井と申します。本日は,こういう席にお招きいただきまして誠にありがとうございました。
 では,早速よろしゅうございましょうか。
○南会長 はい,どうぞよろしく。大体30分程度でお願いできればと思います。
○土井氏 承知しました。
 それでは,初めに資料の御説明をさせていただきます。私の方で用意いたしましたものは3点ございます。本日のレジュメと,このレジュメの内容を論文調にまとめたもの,それから,参考資料としまして論文「刑務所のアカウンタビリティ」,これはゲラなのですけれども,この10月に発行される予定になっております論文集に,刑務所の透明性の確保に関連することを書きましたので,それをあわせて配付させていただいております。
 情報といたしましては,今日お話しすることが一番新しい情報でございます。ゲラの方で書いておりますことも情報としては少し古くなっておりますので,それを加筆修正しまして,レジュメの内容を論文調にして本日配付させていただきました。
 それではレジュメに従いお話させていただきますが,適宜,参考資料も御覧いただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 まず,「イギリスにおける刑務所の透明性の確保」について議論します前に,一つ前提として念頭においていただきたいことがございます。御承知のように,イギリスでは1994年に刑務所の運営体制が改革されまして,企画立案部門と刑務所の業務部門が分かれました。いわゆるエージェンシー化ということで,刑務所の業務部門は相対的に独立しております。これにより,目的・目標に基く政策評価によって改革をしていくサイクルが刑務所にも導入されました。このことを前提にお話をさせていただきたいと思います。なお,これにつきましては,参考資料である「刑務所のアカウンタビリティ」という論文の中で触れておりますので,後ほど御覧いただければ幸いでございます。
 それでは,本日は,論点としまして,「刑務所の査察制度」「独立監視委員会」「刑務所オンブズマン」の3点につきお話し申し上げたいと思います。
 まず,「刑務所の査察制度」につき,イギリスの刑務所査察局をみてみたいと思います。レジュメの最初に記述しておりますように,刑事施設の査察制度については国際準則がございまして,ヨーロッパではほぼすべての刑事施設において第三者機関が設けられております。これにつきましては,ロンドン大学のアンドリュー・コイル氏が『人権アプローチの刑務所運営』という冊子の中で外部査察の必要性について触れるとともに,査察形態について幾つかに類別しております。
 まず,最初に「市民による処遇プログラムへの参加という形での監察」と書いてあります。これは監視を直接目的にしたものではございませんが,市民が処遇プログラムに参加することによって刑務所の状況について知ることができるということでございます。我が国でも篤志の方々による処遇参加は行われているところでございますが,イギリスでは,これが一層拡大され開放されております。
 2番目は,「市民による部外者の独立した機関による監視」ということでございます。これはまだ我が国ではございません。この最初の二つが市民によるものと考えていただければと思います。
 それから,3番目の「行政内部での監察」ですが,これは行刑当局によって行われるものでございます。これは,さまざまなレベルのものが各国にあるかと存じます。
 それから,4番目に,相対的に「独立した査察機関」でございまして,これも国家機関ではございますけれども,他省庁など別の機関によるもの,あるいは議会によって設けられたものでございます。
 そして,最後に5番目は,「国際的な機関など,特にNGOなどの査察の在り方」ということになります。
 このように,5つに類別化されております。イギリスでは,この全てが完全に整っているというわけでは必ずしもございませんけれども,このそれぞれが,重層的に補完し合うような形で機能していると言っていいのではないかと思います。
 その中で,「刑務所査察局」でございますけれども,これは刑事施設に収容されている者の処遇及び収容状況を査察し,大臣,議会,その他に情報を提供し,政策立案及び刑務所業務を進展させるよう影響づけることによって,犯罪の減少に貢献することを目的としております。したがいまして,刑務所全般についての査察ということになります。ただし,不服申立てについては,ここでは取り扱っておりません。これは後ほど刑務所オンブズマンのところで言及いたします。また,独立監視委員会の方でも取り扱うことになります。
 刑務所査察局の任務は,施設の状況,それから処遇,それから大臣が指定したその他の問題などについて調査をし,査察をし,報告を大臣に上げることでございます。
 構成でございますけれども,今年の8月末現在で,事務員を含めて47名のスタッフを抱えております。首席査察官は一人でございまして,現在はアン・オワーズという方が就いておられますが,この方はジャスティスというNGOの事務局をされていた方です。ジャスティスというのは民間の人権擁護団体です。その事務局をされていた方が主席査察官に就いておられるというのも興味深いことでございます。
 査察の方法には,二つございまして,フル・インスペクションと言われる総合査察と,ショート・インスペクションと言われる簡易査察でございます。総合査察は,先ほど掲げましたような任務に従いまして,全面的な調査を行うことになります。調査項目につきましては,レジュメの5)を御覧下さい。幾つかの項目がございますが,そういうことにつきましても,事前に通知をして行う場合と通知をしないで行う場合と二つございます。それで,平均8人の査察官が一週間くらいかけて100項目以上について調査を行うわけで,全面的な査察と言ってよろしいかと思います。
 もう一つの簡易査察は,査察期間も二日ほどでございまして短いものですが,これは総合査察以降,そこで勧告がなされた事柄につきまして,その後どのような進展を見たのかという点を中心に調査をすることになっております。
 このように調査をしまして,その報告書が作成されますけれども,それはすべて内務大臣に送付され,行刑局にも送られることになっております。しかも,査察終了後5週間以内にこれを行うことになっておりまして,それはすべて公開されることになっております。実はこのことが非常に重要なポイントであると私は考えておりまして,確かにこの査察局は行政内部的な監察機関ではございますけれども,この報告書の公開によりまして,実質的に査察の効果を上げていると思っております。
 この報告書はかなり詳細なものでございまして,中には百ページを超えるものもございます。したがいまして,刑務所の現状をかなり正確に伝えていて,しかも,それが国民に自由にアクセスできる状態になっている点が非常に重要であると思うわけでございます。
 このように報告書の公開が行われることによりまして,刑務所は,そこで受けた勧告に基づき改善を行わざるを得ない。ですから,報告書が何らかの法的拘束力を持つわけではございませんけれども,公開という形によって実質的には刑務所改革への大きなプレッシャーになっていると言えます。したがいまして,わが国でも,刑務所の運営について内容のある情報公開を行うことができるかどうかが非常に重要なポイントになるだろうと私は考えております。
 次に,「訪問者委員会」の方に移ります。これは今年の4月から「独立監視委員会」と改称されております。これにつきましては,当分科会でも前回既に議論されたと伺っておりますので,ごく簡単に触れておきたいと思います。
 「訪問者委員会」につきましては,従来さまざまな問題点が指摘されております。レジュメの5)の批判のところで少し触れておきましたけれども,被収容者の側からと内務省及び行刑局の側のどちらからも不満といいますか,弱点が指摘されていたわけでございます。
 被収容者の側からは,この訪問者委員会が実は懲罰裁定権限を持っておりましたために,必ずしも自分たちの側ではなくて刑務所の側に立つものであると考えられていました。したがいまして,訪問者委員会に不服を申し立てたとしても,必ずしも自分たちの満足のいく解決ははかられないのではないか,そのような不信感がございました。
 一方,内務省及び行刑局の側からは,訪問者委員会の委員が作成しました意見書とか報告書が法的効力を持っていなかったために,必ずしも訪問者委員会を監視者というような形で受けとめてはいなかったようでございます。その結果,軽視されていたともいえましょう。
 そういう問題がございましたので,1990年の暴動を契機にしまして,この訪問者委員会の改革が目指されてまいりました。暴動の調査報告書であるウルフ・レポートでも訪問者委員会の問題点に触れられておりまして,訪問者委員会は各施設ごとにつくられ地域ごとに活動しているが,むしろ全国的な協議会を設立して,その存在を強く印象付けることが必要ではないかというふうな提案がなされております。と申しますのは,その訪問者委員会のメンバーは素人でございますので,刑務所の運営というかなり専門的な問題について的確な査察が必ずしもできないのではないか。あるいは,そのための研修制度が十分ではなかったのではないかということがございまして,そういう研修を踏まえた調査ができるように,全国的な協議会を設けて,その支援をするといったことが必要なのではないか,というような改善提案がなされたわけでございます。
 それを受けまして,2001年にロイド・レポートが出されまして,そこでは全面的にこの訪問者委員会を改組すること,独立性の強い,監視的な役割に特化したような委員会として再構成する必要があるということで,名称も「独立監視委員会」と改めるというふうになったわけでございます。
 このように申しますと,この独立監視委員会というのは刑務所査察制度,あるいは後で取り上げます刑務所オンブズマンとどう違うのか,その特殊性はどうなのかということが問題になりますけれども,このロイド・レポートによりますと,市民による独立監視委員会は,それを存立させること自体が非常に重要であると評価されております。個人性,篤志性,独立性という3点で,刑務所査察局とか,あるいは刑務所オンブズマンとは異なる性格を持っており,内務省やこれら二つの機関には統合・解消できないのであって,独自に存続させる意義があると評価されております。
 そして,この秋から全国協議会が設けられ,従来,弱点とされておりました研修制度等について充実させる方向で改革が進んでいるようでございます。
 最後に,「刑務所オンブズマン」につきまして述べておきたいと思います。
 この刑務所オンブズマンは,不服申立てに対する再審査を行う機関でございます。これが作られた経緯を申しますと,ウルフ・レポートの中で指摘されているところでございますけれども,被収容者の側から,刑務所の中にはジャスティス(公正さ)が欠けているという不満が出されていたということがあります。それが暴動の一つの引き金にもなったということでございまして,刑務所の中にジャスティスを復活させるには,ジャスティスが実際に遂行されているというだけではなくて,ジャスティスが遂行されていると外側から見えるということが必要なのだということから,不服申立てについて再審査を行う独立したオンブズマンを設置する必要がある,こういう提案がウルフ・レポートの中でなされたわけでございます。
 それに基づきまして,イギリス政府は94年に刑務所オンブズマンの制度を新設するわけでございますけれども,このオンブズマンの独立性を確保するために,機関としましては内務省行刑局から離れたところに事務所を置いております。さらにその後,2001年9月1日に機構改革が行われまして,現在では刑務所オンブズマンではなくて刑務所及び保護観察オンブズマンとなっております。現在,オンブズマン一人と5人の補助オンブズマン,そして8つの部に35人のスタッフと2人の秘書を抱えておりまして,調査部には22人が配置されております。
 ちなみにこのオンブズマンは,現在,スティーブン・ショウという方でありまして,この方も,イギリスでは非常に有名なプリズン・リフォーム・トラストというNGOの事務局長を務めた方でございます。元行政官ではなく,民間のNGOにいた方がオンブズマンになっているということも,今後わが国で類似の制度を作るとすれば,ひとつ重要なポイントになるのではないかと思います。
 それから,調査対象でございますが,これは刑務所の職員,あるいは刑務所の中で機関として活動している人たちの行動などに対する不服申立てということになっております。ただ,刑務所医師の医療的判断とか,あるいは大臣によって行われる政策決定などについては,調査はできないということになっております。
 次に,手続でございますけれども,申請手続につきましては,オンブズマンに不服申立てを行う前に,内部的な不服申立制度を利用しておかなければならないことになっております。これは解決の迅速性ということを考慮したものであろうと思われます。その内部手続によって救済が得られなかった場合に,原則としてその回答を受けてから一か月以内にオンブズマンに対して不服申立てが行われなければならないということになっております。そのほか,幾つかのタイムリミットがございますけれども,その点はあとでご覧いただきたいと思います。
 それから,オンブズマンへの不服申立につきましては秘密交通が認められております。封筒にコンフィデンシャルであるということを記載して郵送することができることになっておりまして,その郵送費も刑務所が負担することになっております。そして,その不服申立てが受理されたかどうかということにつきましても,10日以内に通知され,不受理の場合はその理由が通知されることになっております。調査が開始されることになりますと,不服申立人に面談するために事前に施設に連絡をいたしまして,訪問をすることができることになっております。
 その不服申立てに対する解決の方法としましては,三つの方法がございます。まず,「直接解決」と言われるものですけれども,これは単純な事実誤認といった比較的簡単な不服申立ての場合でございまして,この場合は電話等で刑務所に通知をして,それを刑務所側が認めれば,それで決着するというものでございます。次に,「簡易報告」でありますが,これは,第一の方法と次の第三の方法の中間に位置するものでありまして,両当事者の合意が得られない場合に,迅速な解決をはかるものであります。それから,最後に「最終報告」でございますけれども,これはやはり両当事者の合意が得られない場合にかなり詳細な調査を行い,その報告書の中に勧告を記載するものでありますが,少し時間がかかります。
 原則的には調査が開始されて12週間以内にいずれかの方法で処理されることになっており,解決の迅速性が目指されていますが,実際にはいろいろな手続的な問題もございまして若干ずれ込むこともあるようでございます。
 審査の結果につきましては必ず通知されることになっております。そして,その報告書に記載された勧告につきましては,行刑局の方からそれに対する回答を行うことになっております。行刑局が勧告を認め,それについて改善を行うことになりますと,後で改善結果の報告もしなければならないことになっております。
 もっとも,勧告が出ましても,行刑局はそれを拒絶することも不可能ではございません。その場合には,司法審査にゆだねられる可能性が出てまいります。しかしながら,この勧告は確かに拘束力を持つものではございませんけれども,現実にはその大部分が行刑局によって受け入れられているようでございます。それから,報告書に記載する内容につきましては,レジュメの3)のところで触れておりますので御覧いただきたいと思います。
 非常に重要なことですが,最近の動向を報道した新聞記事によりますと,この秋の刑事司法法案の中で,このオンブズマンにつきましては法的な独立性を強化するための立法がなされる予定であるということでございます。と申しますのは,この刑務所のオンブズマンはイギリスのオンブズマン協会にメンバーとして認められておりませんでした。それは,行政的な独立性に疑問があるという理由でございました。しかし,この法改正によりその独立性が強化されればオンブズマン協会への参加も見通せることになるのではないかと期待されているところでございます。
 もうひとつの改革としまして,刑事施設の中で発生しました自殺事件につき,第一次調査権限をこのオンブズマンに与える可能性が議論されております。イギリスには,御承知のようにコロナー制度(検死陪審制度)というものがございまして,刑事施設で発生しました死亡事件についてはすべてコロナー(検死官)が管轄権を持っていて,死因を特定することになっておりますけれども,それはあくまでも個別事例の死因を特定するということに限定されておりまして,なぜその死亡事件が起こったのか,その背景の分析というところまでは任務としておりません。ところが,イギリスでは年間だいたい100件くらいの自殺が発生しておりまして,その自殺を防止するのが現在の最大の眼目になっております。それで,その背景に対してアプローチできる権限をこのオンブズマンにゆだねようということでございます。そういう可能性が議論されているということじたい,非常に注目すべきことではないかと思います。
 以上,概略申し上げましたけれども,イギリスのこういう制度は確かに伝統に基づくものではございますけれども,抜本的な改革が行われるようになったのは90年代に入ってからだといわれております。80年代くらいまではかなり密行主義的な運用も行われておりましたので,それが90年代以降どのように改革されていったのかということは,わが国の刑務所改革を考えていく上でも非常に参考になるのではないかと思います。この分科会におきましても,ぜひそういう方向で御検討をいただきたいと考えております。
 以上で報告を終わらせていただきます。
○南会長 ありがとうございます。
 ただいまの土井先生の御報告につきまして,皆様,御質問,あるいは御意見等がございましたら,どうぞよろしくお願いいたします。
○大平委員 イギリスの場合は,刑務所査察局というのはもともとございまして,これが機能しているからオンブズマンが後でできたときに,査察ではなく不服申立てに対する職分割というのでしょうか,不服申立てに対する機能だけに絞られたということですか。
○土井氏 刑務所の査察局は,そのような受刑者の個別の不服申立てに対して受理をする機関ではなかったわけです。
○大平委員 日本は今からつくらなければなりませんから,お尋ねしたいのは,この二つの機能を一緒にするということが可能かどうかということなのですが。
○土井氏 その点は重要な一つのポイントかと思います。私は,結論的にはイギリスのような三つのシステムが必要ではないかと思います。と申しますのは,この刑務所査察局の業務でございますけれども,これは非常に大変な業務でございます。イギリス全国の刑務所について毎年数十箇所,それは総合査察(フル・インスペクション)もありますし,簡易査察(ショート・インスペクション)もあるのですけれども,それをやっていかないといけない。しかも,やるだけではなくて,それを報告書としてまとめ上げなければならない。特に総合査察ということになりますと,かなりの労力も使うわけでございまして,これを不服申立てと一緒にやるということは事実上不可能ではないかと思われます。
 この査察に基く報告書に記載されている勧告を各施設がどのように受け入れ,また,改善しているか,これを後に簡易査察で点検されますので,各刑務所は問題点の改善に向けて努力しなければならないことになります。他方,この査察による報告書は,刑務所の問題点についてあげつらうというだけではございませんで,評価すべき点についてもきちんと評価をしております。ですから,年によりましては,同じ刑務所でありながら評価が高い,努力が認められているところもございます。
 私はイギリスの幾つかの刑務所で職員の方にいろいろお話を伺いましたけれども,この査察報告書については自分たちも非常に興味を持っている,自分たちの仕事がどのように評価されているかを知る上で非常に重要なものであると話しておりました。私が訪問したある施設は評価がよかったものですから,職員の方も一層熱意を持って処遇にあたっているように見えました。
 もう一つの,オンブズマンへの不服申立てでございますけれども,こういうオンブズマンのようなシステムを従来イギリスは持っていませんでした。むしろ,訪問者委員会にかなり付託されていたところがございます。しかしながら,先ほどお話ししましたように,訪問者委員会は幾つかの弱点を持っておりまして,収容者の側からは必ずしも自分たちの不服申立てを正当に理解してくれるものと受け取られてはいませんでした。それは,収容者に対する懲罰裁定権も持っていたためです。そのため,後にウルフ・レポートの中でもその改革について言及されました。刑務所の中にジャスティスの概念を持ち込むこと,すなわち,正当さ,公正さが担保されていることが外から見える状態にしておくことが民主主義社会においては重要なのだということで,こういうシステムが生まれたという経緯がございました。
 このオンブズマンも年間3,000件を超える事件を処理しておりますので,大変な業務でありまして,とても査察制度のような他のものと一緒にすることはできないと思うわけです。
 ただ,これはあくまでイギリスの制度を前提にした話でございますので,日本でそこのところを別のかたちで工夫して両者を一つの機関で担当することができるかどうか検討する余地はあるかもしれません。けれども,私は,できれば分けた方がよろしいのではないかと考えております。
○瀬川委員 きっかけとなったと言われた1990年の暴動というふうにおっしゃったのですが,これはどういう暴動だったのですか。
○土井氏 これは,1990年4月にイギリスのストレンジウェイという刑務所から全国に拡大した非常に大規模な暴動でございます。ただ,職員の方も被収容者の方も,けが人は多数出ましたけれども,幸いにして死亡事件までは起こっておりません。
 その背景は幾つかございますけれども,重要な理由としましては,まず過剰収容です。過剰収容が,ひどいところではもう70%超過,170%の収容率というようなことでございまして,単独室に二人以上収容されることもあったということで,被収容者のストレスが非常に高かったということが一つございます。
 それから,二つ目は衛生設備が非常に遅れていたことです。御承知のようにイギリスは非常に古い建物がまだ残っておりまして,特に便器等につきましては,我が国の場合はほとんど水洗になっておりますが,イギリスではスロッピングアウトと申しまして,置き便器を部屋の中に置いておきまして,使用後にそれを外に出し,洗浄後またそれを部屋に入れるという,そういうやり方も残っていたわけでございます。そういう衛生設備に対する不満をはじめとして,自分たちは人間扱いされていないという,収容者側の不満がございました。
 それから三つ目に,先ほども少し申し上げましたけれども,ジャスティス,刑務所の中には人権がないということで,例えば不服申立のような人権保障のためのシステムが欠けている,そういう3点くらいが暴動のきっかけになったと私は理解しております。
○瀬川委員 それで,90年代というのは,暴動というのは年間どれくらい起こって,現在,こういう改革がなされて,暴動というのが減少しているのかどうかという点はどうですか。
○土井氏 その後も実は何件か暴動は起こっております。最近もある刑務所で起こったと聞いておりまして,完全になくなっているわけではございません。というのは,過剰収容状況はそのまま続いているわけでございまして,収容率は年々高まっているからでございます。ですから,その点での設備上の不十分さが,暴動を引き起こす契機となっていると思われます。
○瀬川委員 件数はどのくらいですか。
○土井氏 今日,手元には統計を持ってきておりません。申し訳ございません。
○瀬川委員 暴動というのはもう,イギリスではしょっちゅう起こりますし,もう70年代,80年代からすごい暴動がありましたので,大小含めて,90年代の暴動の件数,これにどういう変化があるのかという興味があります。
 それから,もう一点ありまして,僕の興味は,ボードオブビジターズから独立監視委員会に変わった理由ですが,これは一つの大きなポイントだと思うのですが,先生が書かれていますように,独立として監視する役割をよりよくするということを書かれているのですけれども,この改革の中で批判が一つあって,この訪問者委員会は法的な拘束力を何も持っていなかったという点が,独立性がなかったと言われていますね。それで,また,懲罰裁定機能を廃止したということになると,余計独立性というのは遠のいたように思うのです。この点はどうでしょうか。つまり独立性が,名称を変えたのだけれども,独立性という点では,裁定機能を奪うことによってむしろ独立性というのがやや後退したというか,そういう面を持っていると思うのですが,独立して監視する役割をよりよく反映するというために名称を変えたと書かれているのですけれども,その点の現実というか,お願いします。
○土井氏 この訪問者委員会設立の歴史的な経緯をさかのぼっていきますと,実は地方の刑務所はもともとマジストレート・コートが監督権限を持っておりました。その裁判官を治安判事と呼びますが,これは民間のボランティアがやっている判事でありまして,現在,事件の大体95%はこの裁判所で処理されております。そういう歴史的経緯がありましたために,もともとこの訪問者委員会はマジストレート・コートの裁判官がある程度兼ねておりました。1952年の刑務所法の中では,少なくとも各刑務所の訪問者委員会委員のうち二人は治安判事でなければならないことになっておりました。そのために,被収容者の側から見ますと,自分に有罪判決を下して刑務所に送り込んだ裁判官が同時に刑務所の監督権限を持っているということになりまして,自分たちの不服や苦情を申し立てたとしても,果たして公正に処理されるのだろうかという,不信感があったと思います。同時に,訪問者委員会は懲罰裁定権限ももっておりましたのでなおさらです。
○瀬川委員 レジュメでは懲罰機能を廃止されたとありますが,懲罰機能ではなくて懲罰裁定権限が廃止されたのですね。
○土井氏 はい,そのとおりです。そのように訂正させていただきます。
○瀬川委員 裁定権限が廃止されたのですね。
○土井氏 はい,そうです。懲罰裁定権限が廃止されました。これもウルフ・レポートにもとづいて廃止されたわけでございます。その懲罰裁定権限をもっていたために訪問者委員会は独立性そのものがないと被収容者の側からは見られていたわけでございます。
 懲罰裁定権限の廃止によりまして,被収容者の側から見ますと,いわば官側の立場に立っているものが,少しはこちらの方に移ってきたということになるのかもしれませんけれども,歴史的には懲罰裁定権限とともにもう一つの機能がございました。それは,刑務所運営に対する監督です。これは,90年代以前は,物理的な条件,すなわち刑務所の建物とか,通風であるとか,あるいは食事であるとか,そういう収容条件についての監督が中心でありました。
 ところが,現在問題になっていますのは,いわゆる処遇に対する公正さ,適切さをいかに評価するかということでございます。物理的条件でありますと,確かに素人で判断しても割と感覚的に分かるわけですけれども,具体的な処遇プログラムをどう評価するかというのは,ある意味ではかなり専門的な知識が要求されるわけです。それをやっていこうとしますと,どうしてもあらかじめ研修制度を十分に充実させていく必要がある。ところが,訪問者委員会において,これまでそういう研修システムがほとんどございませんでした。そこで,全国評議会のようなものをつくって,その事務局が研修のサポートをしていくことが必要なのではないかと言われていたわけですけれども,それが実現していなかった。最近,2001年3月にロイド・レポートが出されて,そういう方向で独自の活動をやっていく必要があると提言したわけです。行政に頼るのではなくて,自ら全国評議会を設けて,市民の立場から刑務所を監督することが必要だという趣旨で独立性を強調して,オンブズマンでもないし,査察制度でもない,独自のものを市民レベルで設けておくことが必要だという認識に立って名称も変更されたと理解していただければと思います。
○瀬川委員 ここで訪問者委員会の懲罰裁定機能が廃止されたと書かれている前に,暴動の理由となったというふうに書かれているのですけれども,これは,先ほどの1990年の暴動で訪問者委員会に対する懲罰裁定機能が非常に問題になったと。
○土井氏 はい,問題になりました。それは,刑務所の中での公正さ,ジャスティスの確保の問題として包括されるわけですが,その一つとして,訪問者委員会における懲罰裁定機能についても,被収容者の側からは問題であると考えられていました。
○瀬川委員 ジレンマがあるようなものですね。
○土井氏 はい。
○瀬川委員 それで,市民参加を求めて,これを設けたと。ところが,受刑者から非常に不満が出たと。それでもう廃止してしまったということになりますね。
○土井氏 懲罰裁定権限についてはそうです。
○瀬川委員 それで,市民が参加してやっていたのにもかかわらず,透明性というか,それを確保したという形で導入されたのに,こういう形で暴動の要因となったと。そこで,裁定機能というものが廃止されたと。そうすると,すごく市民参加というものと刑務所の運営というものと,すごくジレンマというか,それを感じるのですけれども。
○土井氏 それは,先ほど少し申し上げましたように,マジストレート・コートの裁判官がかなり兼ねている。現在も訪問者委員会の委員の方とお話いたしますと,かなりの方がやはり治安判事経験者,あるいは現在勤めておられる方なのです。
○瀬川委員 治安判事は裁判官ではないですね。
○土井氏 職業裁判官ではありません。
○瀬川委員 日本ではむしろ……。
○土井氏 ボランティアなのです。
○瀬川委員 市民ですね。
○土井氏 市民です。市民ですけれど,被収容者の側からみると,その方が実際に有罪判決を下して自分たちは刑務所に送られているわけですから,そういう意味での完全な独立性という点からは,やはり疑問が出てくるということだと思います。
○大平委員 治安判事は,いわゆる労働者階級は少ないと聞いています。
○土井氏 そうですね。
○大平委員 それで,元受刑者が入ったりしないわけですから,受刑者からしますと,自分たちとは階層が違う。そこが,まず,第一点だと思うのです。その辺に,治安判事ではなくて,例えばそういう同じような境遇の人をこのメンバーに入れるとか,そういうことの試みはないのですか。
○土井氏 実はその点も申し上げたかったのですけれど,今度,治安判事を少なくとも2名入れるという,その条項については廃止をすることになるだろうと思います。訪問者委員会をもっと市民に開かれたものにするといういう方向での提案がロイド・レポートの中では出ておりますので,いずれは法改正が行われるかもしれません。
○瀬川委員 結局,この具体的な中身なのですけれど,訪問者委員会の懲罰裁定機能が暴動の理由になったというのをもう少し詳しくというか,どういう状況なのでしょうか。つまりそれは,今おっしゃったような治安判事が入っていて,我々のクラスと違う人間が入っているという不満だったのか,もっと具体的に,何かもっと非常に高飛車なというか,高圧的な感じだというふうに非常に受刑者にとってそういうふうにとらえられたのか。
○土井氏 両方だと思います。やはり有罪判決を下した人が刑務所の懲罰裁定の場に出てきていて,自分の不満について訴えようとしても,同じ人が判断するということになったときには,やはり公正さに疑問を持つのは普通の感覚ではないかと思います。
○久保井委員 この査察局ですが,査察の方法には,事前通知の査察と,それから抜き打ちの査察と両方あるということでしたね。例えば24時間,抜き打ちの査察をするのに夜中,真夜中に査察したりするというような,そういうこともあるのですか。制度としては,そういうことが可能な制度になっているのですか。
○土井氏 別に時間の制限は設けておりませんので,そういうこともあり得るかと思います。それは,独立監視委員会(訪問者委員会)の方でも同じようなことがあり得ると思いますけれども,日中に限定をするということはございません。むしろ独立監視委員会の方について申しますと,夜中であったとしても,もし担当している刑務所で何か事件が起こったような場合には招集されることもあり得るという逆のインフォメーションも与えられているようです。
○久保井委員 訪問者委員会が訪問する場合は,あらかじめ連絡をして訪問するのですか。それとも,やはり抜き打ちで訪問することも行われているのですか。
○土井氏 別に通知をする必要はないということになっております。
○久保井委員 それで,夜でもいいと。
○土井氏 そういうことです。
 活動についてもう少し詳しく申しますと,大体月一回の定例の会議がございまして,これはやらなければならないことになっております。その会議と会議の間に,ローター制で委員が当番で訪問するわけです。被収容者のいろいろな苦情を聞くこともその任務の中に入っていますので,やはり毎日だれかが刑務所を訪問して,いつでも苦情を聞ける体制を置いておくというのは重要なポイントだと思います。したがって,ローター制によりまして,必ずだれかが行けるように,都合がつく日をそれぞれ相談し合って予定に入れておくことになっています。
 ただ,毎月すべて30日誰かが訪問できる体制になっているかと申しますと,その点は施設によって異なるようですけれども,どの施設でも少なくとも20日ぐらいは誰かが訪問する体制になっているようです。
○久保井委員 それから,不服の申立てをオンブズマンが扱うということですが,刑事弁護と同じように弁護士が受刑者の立場に立って弁護するとか,そういう関与をするというようなことは英国ではあるのでしょうか。
○土井氏 不服の申立ては,通常,文書で行うことになっています。手紙でオンブズマンに不服申立てをする,あるいは書式が既に決まっていまして,これはインターネットでも入手できますけれども,それに書き込みまして,それを送ることも可能です。その不服申立てを受理した後に,今度は調査が必要だということになりますと,直接オンブズマンのスタッフが調査に出かけまして,直接面談をして不服の内容について本人に聞くことになっています。弁護士が関与するということはないようです。
○久保井委員 最後にもう一ついいですか。最初に,監視についてはいろいろな形態が複合的に機能しているということで,まず,当局による行政内部の監察があるというようなお話があったと思いますが,そういう独立監視委員会とかインスペクションという国家による査察のほかに,行政当局自身による監察というのもまた別にあるのでしょうか。日本で言うと情願とか巡視官の検閲とかいうような制度があるようですけれど。
○土井氏 イギリスでは,それを査察局が行うということで,その権限が非常に広いということだと思いますけれども。
○久保井委員 当局自身による監察制度が別にあるわけではないのですか。
○土井氏 それは,今日はお話しできませんでしたけれども,刑務所の運営体制について評価が行われることになっています。と申しますのは,刑務所業務部がエージェンシー化されましたので,刑務所長は,その刑務所の運営方針を立案し,予算請求し,人事についても権限を持つようになりました。したがいまして,次年度の運営方針を立て,政策目標をきちんと出して,予算や人を獲得しなければならない。その際に,政策評価が内部的に行われるということです。
○久保井委員 そのエージェンシー化というのを分かりやすく簡単に教えていただけませんか。
○土井氏 基本的な刑務行政全体についての立案は,内務省の方で行うわけですけれども,個々の刑務所の運営については,刑務所長に非常に大きな裁量権限が付与されました。つまり,刑務所の運営については刑務所長に権限をかなり広く認めまして,そのために財政的,人的な裁量権限も与えたということです。
 従いまして,刑務所は,毎年目的・目標を掲げ,それに基づいてどのような人的な構成が必要なのか,予算はどのくらい必要なのか,どういう処遇プログラムを実施するのかという,詳細な内容を内務省の方に上げていかなければならないことになりました。それが認められますと,それに基づいて運営を行うことになります。他方,その結果についても内務省に説明責任を果たさねばなりません。目的・目標が達成されない場合には予算等が削られる場合もありますので,ある意味では,刑務所長の権限は広がったわけですけれども,責任は非常に重くなって,負担感は厳しいものがあると聞いております。しかし,逆に申しますと,非常にやりがいを持って取り組む刑務所長はいろいろな形で試行ができるということでもあります。
○瀬川委員 久保井先生の御質問に絡んでということになりますけれども,巡視委員会はいつでもというふうに書いてあって,訪問できるということですけれども,確かに透明性の確保というのにはこういうことが必要だと思うのですけれども,現実というか,刑務所の秩序とか,実際には常識で考えるとそういう面がありますし,受刑者の処遇というか,悪影響を与えてはいけないというのは我々も当然の前提だと思うのですけれども,その場合に,先ほど言いましたように夜中に行った例が本当にあるのかどうか。
○土井氏 実際はほとんどないと思いますけれども。
○瀬川委員 そうでしょうね。だから,そこには何らかのプラクティスというか,そういうモラルというか,モラルと言ったらおかしいですけれども,実際にこう書いてあるのだけれども,現実はやはりこういう運用がなされているということはあるように思うのです。それでよろしいでしょうか。
○土井氏 はい,そういうことだと思います。ただ,もし何か事が起こった場合には,夜中であれ招集されることがあり得るということです。
○瀬川委員 それは招集されるのですね。
○土井氏 はい。
○瀬川委員 独立監視委員会から行くわけではなくて。
○土井氏 はい,そうです。それは必要があってそうなっているのだと思います。事件が起こると,その時点で委員に公開して,事実の確認をしておくということが重要なのではないかと思われます。
○南会長 私から,よろしいですか。お時間をしばらくいただきまして,三つばかりお聞きしたいのです。
 一つは,イギリスの刑務所がたしかサッチャー政権のときですね,エージェンシー化されましたが,それ以外にも民営のものがございますが,今日のお話は民営化された民営の刑務所についても妥当するお話かということが第一点です。
 それから,第二番目は,訪問者委員会といいますか,先ほどもお話がありましたが,確かに法文上はいつでもどこでも立ち入ることができる,訪問することができるというような書き方ですけれども,一方,ある本を見てみますと,定期的に行われているということが書いてありまして,それは何か規則の中に訪問者委員会と刑務所との協議の条項があって,大体そこで,先ほどおっしゃったようなことが決められているというふうに思いますが,その点です。
 それから,第3番目,これは私が一番関心を持っているのですが,3ページのところに,オンブズマンに不服申立てをする前に行政内部の不服申立てを利用しなければならないとありますが,この行政内部の不服申立てについて,ごく簡単で結構ですから,お聞きしたいと思います。
○土井氏 第一点は,日本ではPFIとして議論になっておりますけれども,イギリスでも民営刑務所が幾つかございます。それで,結論から申しますと,そういう民営刑務所にも全く同じように妥当するということでございます。民営と申しましても,完全に全部を丸投げで委託するわけではございませんので,そういう意味でのコントロールはされるということでございます。
 それから第二点目の訪問者委員会の件でございますけれども,確かにおっしゃるとおりでございまして,夜でもいつでも訪問できるという余地はあるとしましても,一般的に刑務所は遠いところにあることが多いわけでございまして,現実には夜中に訪問することはなかなか難しいかと思います。ただ,時間を限定してしまいますと,逆の意味で閉鎖性をもたらすことにもなりますので,そこのところは夜中はだめだと明示してはいないということだと思います。
 それから,三点目でございますけれども,行刑内部の不服申立手続を利用しておかねばならないというのは,わが国の情願と同じように,刑務所長の措置ということが前提になっていますので,第一線の職員の行動について不服があった場合に,最終的には所長がそれを裁可するということがあって,それから外部への不服申立ができるというシステムでございます。
○南会長 そのときにもうプリズンオンブズマンにいけるわけですか。
○土井氏 イギリスの場合は,まずはその職員に非公式で不服を申立てる。その段階で終わってしまえば,それでいいのですけれど,それで終わらない場合は,不服申立用紙によって管理職あるいは所長に行きます。それで解決しない場合は管区長に行きます。
○南会長 管区長というのがおりますね。
○土井氏 はい,そういうところまでいって……。
○南会長 そして,それでも聞き入れられない場合に……。
○土井氏 オンブズマンのところにいきます。
○瀬川委員 口頭でできるのですか。
○土井氏 最初の非公式の段階では口頭です。
○南会長 矯正局ですね。
○土井氏 まずは口頭で職員に不服を申立てて,それでだめな場合は,今度は文書で,管理職あるいは所長へ申し立てます。それで満足できなければ最終的には管区ですけれど,そこに申立てをします。
○南会長 文書で管区にいくのですか。
○土井氏 はい,そうです。そして,その管区の回答も文書でなされることになります。それをオンブズマンへの不服申立ての際に添付して不服申立てを行うというのが一応原則とされております。ただ,最近新しい内部手続きが導入され,いくつかのエリアでは,不服申立用紙に記入して,それを所定の箱に投函することになっています。それを,職員,管理職,最後に所長が処理をするという三段階の審査を経て,それで満足できない場合に,直接オンブズマンに不服を申し立てることもできるようになっています。
○南会長 ありがとうございました。本当に長時間にわたって,大変有益なお話を聞かせていただきました。
 それでは,いろいろとまだ御質問はあるかと思いますけれども,時間の関係もございますので,今日の意見聴取はこの程度とさせていただきます。
 土井先生,どうも本当にありがとうございました。
○土井氏 どうも失礼いたしました。
○南会長 それでは,ちょうどこれできりがよろしいので,10分ばかり休憩をさせていただきたいと思います。


午後3時10分 休憩

午後3時17分 再開

2.不服申立てについて

○南会長 よろしゅうございますか。それでは,おそろいですので再開させていただきます。
 「不服申立て制度」について,現行制度や諸外国の状況等を,矯正局から説明してもらいたいと思います。矯正局の渡部矯正監査室長,それから佐伯専門官,よろしくお願いいたします。
○渡部矯正監査室長 矯正局矯正監査室の渡部でございます。情願等を直接担当しております。そういうことで御説明させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 初めに,行刑施設が社会から信頼され理解される存在であるためには,適正な被収容者処遇を展開し,適切な施設運営を図る必要がありますが,これらを確保し,維持していくためには,問題を迅速かつ的確に解決できる不服申立制度が必要不可欠であると認識しております。現行の情願制度の問題点も含めて実情を御説明し,新たな不服申立制度についての御議論の一助になればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 お手元の資料に沿いまして,まず,「情願に関する現状等」から御説明いたします。
 現在の「法務大臣情願の処理手続の概要」が資料1でございます。資料1の上段枠内,これが施設内での流れになっております。被収容者に対する施設の処置に対する不服がある場合には,担当職員,幹部職員又は施設長に面接を願い出て,直接にその不服を述べて解決を図るという手段があるとともに,法務大臣に情願をすることができることとなっております。被収容者が情願を申し立てようとする場合には,施設の職員に対し,情願する旨を申し出て,所定の用紙,説明冊子等を受領し,情願書を作成します。情願の作成に際しましては,情願内容の秘密を保持するため,施設では情願作成期間中には,雑居房に収容されている者の場合には独居に転房させるなどの配慮を行っております。情願書の作成を終えた場合には,申立人が自ら封筒を密封した上で施設に提出し,施設長が速やかに法務大臣,封皮は矯正局長あてとなりますが,法務大臣に進達することとされております。
 そのようにして法務本省に進達された後の調査等の流れとしましては,資料1の下段の枠内に囲んでおりますが,矯正局に送付された情願書は,従来は矯正監査室で受付の登録等の事務手続きを行った後,矯正局長名で矯正管区長あて調査を指示し,矯正管区職員が申立人と面談するなどして調査した結果に基づき,矯正局において裁決書の起案をし,法務省文書決裁規程に基づき特に重要な事案についてのみ大臣の決裁を得ることとしていたため,結果として長年にわたって情願書が全く大臣の目に触れることなく処理されてきました。
 しかしながら,情願が被収容者の人権救済制度として十分機能するように努めなければならないとの観点から,このような運用を改めることとし,本年2月20日以降に進達された情願書につきましては,矯正監査室で受付等の事務手続きを行った後,未開封のまま大臣秘書官室に持ち込み,大臣秘書官室で開封され,大臣が,副大臣,大臣政務官の助力を得ることはあるものの,すべての情願書を閲覧し,実情調査担当部局を矯正局,あるいは人権擁護局のいずれとするか等の調査方針等を決定した上で,矯正局に返戻されるものに改められました。
 大臣指示により矯正局調査案件とされたものにつきましては,矯正局長名で矯正管区長あて調査を指示しておりますが,大臣が報告等を要するものとして指定した事案,これをA区分事案と呼んでおりますが,大臣が報告を要するものとして指定した事案を中心に,一部の案件については直接矯正局職員が調査を実施しております。
 行刑施設の職員による被収容者に対する暴行等に関する申立てや,適切な医療措置がなされていないとの申立てなど,大臣が人権擁護局に調査させることがより適当と判断されたものについては,人権擁護局調査案件として人権擁護局に回付し,同人権擁護局職員が調査を実施しております。
 調査は,矯正局,あるいは人権擁護局いずれの局が担当する場合であっても,担当部局の本省又は中央機関の職員が原則として現地に赴き,申立人と面談の上,関係職員からの事情聴取,関係資料の収集等により申立て内容についての事実関係や実情等を調査しております。その上で,裁決等の事案処理はすべて矯正局において行っておりますが,人権擁護局調査案件については,人権擁護局において実情調査した結果をまずは大臣に報告した後,その調査結果に基づき矯正局が裁決等の処理を行っております。
 情願の裁決の決裁権者は,法務省文書決裁規程により,特に重要な案件は大臣決裁,重要案件は事務次官決裁,一般案件は矯正局長決裁とされています。大臣が報告等を要するものとして指定したA区分案件は大臣の決裁を了しております。決裁を終えた後,直ちに裁決書を矯正管区経由で施設に送付し,施設において申立人に裁決書を交付しております。
 以上が処理手続の概要であります。
 続きまして,「法務大臣情願の申立て及び処理状況」につきまして,資料2をごらんください。
 大臣情願の申立て件数及び処理件数につきましては,かつてはおおむね年間700件前後で推移したところでありますが,平成5年ころから増加傾向を示し始め,資料2のとおり平成10年1,404件,11年1,526件,12年2,382件,13年2,942件,昨年14年が3,455件,更に本年は,8月末現在の速報値ですが,3,806件と既に前年を上回るなど,著しい増加傾向を示しております。
 大臣情願がこのように著しく増加を示している原因はさまざまなものが考えられ,一概には述べられないところでありますが,報道等により本年2月20日以降,大臣が情願書を直接閲覧していることが知られたこと,収容人員の増加に伴い収容生活を送る上でのストレスが増大していること,情願作成中には秘密保持のために夜間独居等に収容するなどの配慮をしていることを逆に利用して,雑居生活からの逃避を図ろうとするための反復申立てと見られるものが増加していることなども一因と考えられます。
 一方,平成10年以降の情願の処理状況は資料2のとおりでありますが,処理の促進に努めているものの,申立ての増加に処理が追いついていないのが実情であります。
 次に,直近である「平成14年の結果別の処理状況」として,資料2の2にグラフとして提示しております。処理状況といたしましては,身体の検査等の実施の要領が不適当であったということで採択されたものが1件,率にして0%になりますが,却下,それから棄却,これが約30%,不裁決が70%となっております。不裁決の処理は,申立者の出所,あるいは取下げがあった場合のほか,食事の量やメニューに関する希望や意見など,不服には当たらないような個人的な希望,意見,感想を述べたにとどまるものの終局処理であります。採択件数が非常に少ないことで情願制度の実効性が問題視されることもあると思われますが,およそ違法・不当とは考えがたいような正当な処置に対しても不服を申立てるものも少なくないことも,その一因であると考えております。
 情願の処理に当たりましては,不服の対象となっている処置自体は不当とは認められない場合であっても,実情調査の過程でよりよい施設運営を確保する観点から改善等すべき事項が認められた場合には,施設に対し改善方指導を行っており,平成14年中に処理した情願につきましては,例えば面接時の説明が被収容者に明確に伝わるよう指導したもの,あるいは規律違反行為の調査の迅速な処理について指導したもの,施設内で発出された指示の記載がやや大げさで適当ではないとの指導をしたもの,書類や記録の適切な作成や記載について指導したものなど,145件の情願を契機とした指導を行っております。
 情願の申立て内容の概要といたしましては,職員の言動等職員関係に対する不服,それから,自己の望む投薬等の医療処置が受けられないなどの医療,あるいは衛生に対する不服,規律違反行為に係る取調べや懲罰の処置に対する不服,あるいは新舎の配置図や面会等外部交通に関する不服が比較的多い傾向にあります。
 それと,情願処理をする上での問題点といたしましては,情願処理を担当する上で問題と感ずる点は,制度面では,まず,申立期間の制限がない,そのために往々にして数年以上も前の事項についての申立てがなされ,実効ある実情調査ができず苦慮します。更に,広範な施設の処置全般を不服の対象としているため,他の不服申立制度では対象とならない取り消し得べき利益が損じないような処置,例えば職員の発言やささいな問題等を日記のように記載した申し立てであっても,事実関係を確認して対応せざるを得ず,客観的な証拠が存在しないなどから,十分な調査ができない上に事実確認に手間取る事例が少なくないというふうなことが挙げられます。
 また,情願の申立てを頻回する者の占める割合が高いことが挙げられます。資料3を御覧ください。「大臣情願の頻回申立ての状況」ということで,平成12年,13年,14年の3年間をとりました。平成14年の情願進達件数3,455件,申立人員としては平成14年1,103名が情願を申し立てている。件数として3,455件になっておりますが,そのうち一人で一件が638人,約57.8%,一人が二件申し立てているというのが196人で17.8%,一人で3件につきましては75人で6.8%ですが,一人で4件以上という件数を見ますと194人17.6%ですが,申立件数,進達件数でいきますと2,200件に上ると。3,455件中63.7%に当たる2,200件が一人で4回以上申し立てているというふうに占めている実情にあります。
 この頻回情願者の当年の上位3名ということでここに記しておりますが,Aという者については168件,これが平成14年の最高に申し立てている件数でございます。
 更に,各施設において希望等については情願の対象とならないことについて冊子に明記するとともに,情願の申立てを願い出たものに貸与する説明書においても明記するなどして,十分に周知しているにもかかわらず,そのような申立てが多数を占めるなどの状況にありますが,そのような申立ての処理に追われ,自己の権利救済を真摯に求める申立て等速やかに救済すべき申立ての処理が遅延しかねない状況が生じていることが挙げられます。
 続きまして,「巡閲官情願」について,その処理手続,あるいは申立て及び処理状況についての概略を御説明します。件数につきましては,資料2の1の大臣情願の下に巡閲官情願ということで件数を掲載しております。巡閲は,大臣の命を受けた巡閲官が二年に一回以内,施設を巡閲監査することとされているもので,巡閲官情願とは,この巡閲官に対し口頭又は書面で申し立てる情願であります。
 巡閲官情願は,巡閲官の判断により,その名と権限において裁決等の処理がなされています。実際の処理に当たっては,巡閲官又はその補佐の任に当たる巡閲補佐官が直接施設に対し必要と認める実情調査を行いまして,確認した事実関係のもとで裁決等の処理を行うこととなります。裁決等に当たって,裁決書は作成されず,かわって情願簿が作成され,口頭により申立人に告知されることとなるということ以外の処理の概要は大臣情願と同様です。
 平成14年度中に巡閲が実施された35施設において,延べ632人が2,566件の巡閲官情願を申し立てております。そのすべてが既に処理されております。申立て内容としましては,巡閲官情願につきましては直接巡閲官が面談して聴取することが影響してか,不服ではなく施設の処遇等に関する希望等を申し述べる傾向がより顕著に見受けられるところであります。
 続きまして,情願以外の不服申立状況ということで,資料4,「各種不服申立て状況」を御覧ください。被収容者は,当然のことながら情願などの在監関係を前提とした不服申立制度以外にも民事訴訟,告訴,告発,人権救済申立てをすることができ,その申立状況が資料4のとおりであります。
 なお,当然のことながら,これらを目的とした発信等に際しては,明らかに事実でない内容等であっても,削除・抹消等の指導や処分は行わず,そのまま発信をさせる取り扱いとしております。
 続きまして,「諸外国の不服申立て制度の概要」につきまして,資料5から資料9までに関し御説明いたします。
 行刑施設における不服申立ての国際準則の内容から見ますと,条約ではなく,法的拘束力はなく,その内容を尊重すべきであるにとどまるものとして,第一回国連犯罪防止会議で採択された被拘禁者処遇最低基準規則,それから資料5の二枚目の国連総会で採択された被拘禁者保護原則において,施設やその上級機関に対する不服申立てについて記載されております。
 次に,諸外国ではどのような不服申立制度をとっているかということについて,英国,米国の連邦等の制度について我々で承知している範囲内で御説明いたしたいと思います。
 まず,資料6を御覧ください。先ほど九州大学の土井教授の方から詳細なお話がございました。私どもで調べている範囲の事項で,かつ一般的な事項について,先ほど,秘密の申立てとか特定事項について文書で管区等への申立手続があるということをおっしゃっておりましたが,一般的な事項について私どもの方で承知している範囲について述べさせていただきたいと思います。
 英国では,被収容者の申し立てた不服は,各行刑施設内で不服調整員に指名されている幹部職員のもとに集められ,不服の内容に従って関係職員に回付される。回付先については段階別になっており,まず,最初は担当職員へ,その回答に不満がある場合は管理職レベルへ,更にその回答に不満がある場合は施設長へということになっております。不服につきましては,申立ての期間と回答期間が定められ,原則として最初の不服は事案が発生してから3か月以内に申し立てることとなっており,それに対する回答は平日3日以内に行うこととなっている。更に,その回答に不満がある場合は,回答を受け取ってから7日以内に申し出ることとなっており,それに対する回答は平日7日以内に回答することとなっている。施設長の回答に不満な場合に,内務大臣が任命する矯正オンブズマンに一か月以内に不服を申し立てることができることとなっております。
 次に,資料7をごらんください。「矯正保護オンブズマン」は,被収容者からの不服を受け付ける機関であり,保護観察中の者等からの不服も受け付けております。独自の調査官を持ち,不服の内容を調査し,まず,行刑当局との話合い等による簡易な解決方法を模索するが,それができない場合は,行刑当局及び被収容者から意見を聴取しながら報告書を作成し,必要に応じて勧告を作成し,内務大臣,行刑局等に勧告を行うこととなっております。また,矯正保護オンブズマンは,内務大臣に年次報告を提出しております。
 続きまして,「米国の連邦における不服申立て制度」について御説明いたします。資料8のとおりでありますが,連邦刑務所の受刑者が不服を申立てる場合は,まず,担当職員に非公式に不服を申し立てることとされております。その回答に不満な場合に,正式な不服申立手続に入ることになります。まず,受刑者は,施設長に所定の様式で不服を申し立てることとなっておりますが,この不服は事案発生から20日以内に行うこととなっております。施設長は,その不服を受け取った日から,これも20日以内に回答することとなっております。この回答に不服の場合,回答を受け取ってから20日以内に管区監督官に不服を申立てることになります。管区監督官は,不服を受理してから30日以内に回答をすることとなっております。更に,この回答に不服がある場合は,回答から30日以内に連邦矯正局内の参事官室に不服を申し立てる。参事官室は,不服を受理してから40日以内に回答することとなっております。独立の不服審査機関は置かれておらず,これらの手続きを踏み,更に回答に不満がある場合は,行政上の救済手段を尽くしたということで訴訟を提起できることになっております。
 続きまして,資料9で「ドイツの不服申立て制度」について御説明いたします。ドイツでは,行刑法において,受刑者は自己に関係する案件について施設長に対して希望の開陳,問題の提起及び不服を申し立てる機会が与えられると規定されております。連邦統一行政規則では,不服について形式等が条件に適合しないもの,単なる反復を内容とするものは回答を要しないとしております。また,監督官庁の代表者が施設を視察するときは,受刑者は自己に関係する案件について相談できることとされております。行刑の領域における個々の案件を規制する措置に対しては,裁判所刑執行部に決定を求める申請をすることができると行刑法に規定されており,裁判所に申請を行う前に行政上の不服申立てをまず行わなければならないかどうかは,州法において定められることとなっております。申請は,処分等の告知を受けた後二週間以内に書面で行わなければならず,行政上の不服申立てをまず行わなければならないときは,その裁決の告知から二週間以内に書面で行わなければならないことになっております。裁判所では,施設の措置が違法であり,かつ申請者がそれによって権利を侵害されている限りにおいて,その措置を取り消し,行政当局の不服申立てが先行している場合には,その裁決を取り消すこととなっております。この決定には,法律違反を理由として高等裁判所刑事部に抗告を行うことができるとされております。
 最後に,「刑事施設法案における審査の申請及び苦情の申出」につきまして,資料10を御覧ください。平成3年に国会に提出された刑事施設法案では,現行の情願制度と所長面接制度を改め,審査の申請と苦情の申出の制度を設けております。審査の申請は,被収容者の権利的性格を有する行為に対する制限等の措置に対象が限定され,当該措置があったことを知った日の翌日から起算して30日以内,当該措置のあった日の翌日から起算して一年を経過したときは行うことができないとしております。審査の申請は,自ら書面を作成し,封をした上,施設長に提出し,施設長から法務大臣に送付されることとなっております。法務大臣は,この申請に対して,申請の理由があるときは対象となった措置の全部又は一部の取消し,撤廃,変更等の是正措置を施設長に命じ,その他のときは却下及び棄却の裁決を行うこととなっております。裁決は書面で行い,理由を付し,裁決書の謄本が本人に交付されます。
 資料10の二枚目になりますが,「苦情の申出」は,審査の申請とは異なり,施設長の措置に限らず,被収容者自身が受けるすべての処遇が対象となります。口頭又は書面で施設長又は施設を実地監査する法務省職員である監査官に申し出ることができ,法務大臣にも書面で申し出ることができるとされております。審査の申請とは違い,法律上,裁決は義務付けられていませんが,苦情の内容を検討し,施設長が自主的に必要な措置をとることや,監査官又は法務大臣が適切に指揮監督することにより処遇の適正化を図るということが記載され,審査の申請で賄いきれないものも広く救済しようとする趣旨であります。
 以上,不服申立制度について御説明させていただきました。被収容者の不服申立制度につきましては,その特殊性も踏まえて,濫用防止策等を講じながら救済されるべきは速やかに救済し,理由のないものは速やかにその旨を結論づけ,被収容者が安んじて収容生活が送れるよう,よりよい制度づくりに努めてまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○南会長 ありがとうございました。
 この不服審査の制度,不服申立制度というのは,被収容者の人権の保障並びに行刑運営の適正化の確保という見地からも非常に重要だと思いますので,この機会にどうぞ皆様,御質問,御意見のある方はどうぞお願い申し上げます。
○瀬川委員 こういう処理の場合,一番大事なことは,こういう申立てをして不利益な取り扱いを施設面で受けてはならないということだと思うのです。彼がやったからどうだということになるといけないということが第一のポイントだと思うのです。
 それから,第二のポイントは,秘密性が守られるということだと思うのですけれども,この点について,現行制度なのですけれども,配慮されていること,その点をまずお聞きしたいと思います。
○渡部矯正監査室長 不利益であってはならないということで,例えば,まず,情願を申立てるというときに,先ほど最初に御説明させていただきましたけれども,夜間,雑居に収容中の者が情願を申し立てる場合には,他の被収容者,あるいは職員に情願の内容が漏れることのないように,夜間につきまして独居,単独室ですね,そこに収容して情願書を記載させると。一応期間としては通常7日間,更に,その間で情願書が作成できない場合には3日間延長して,最大10日間は夜間独居で他に触れることなく書かすという配慮をしております。
 それから,その際に,捜検方法等についても,情願を作成している被収容者については,封筒を貸与する,あるいは懲罰中の者は懲罰を停止するというふうなことで,秘密の保持に努めております。
 それで,その情願書ができましたら,自分で密封して提出するものですから,施設の職員はどういう内容かというのは確認できないということが保たれます。
 それから,不利益であってはならないという,情願をしたから不利益な扱いをされるということについては,基本的に今申し上げましたように独居の方で処遇すると,あるいは懲罰中も停止をするというふうなことになりますので,基本的に不利益になるということはないというふうに理解しております。
○瀬川委員 今の渡部さんの報告では一応ないように思えるのですけれども,現実として名古屋刑務所の事案で,うやむやにされたことがあったのではないかという疑いを持たれたということですね。だから,それについて,そういうふうにしないようにきちんとやる方策というのは,何かもう一つ枠がかけられていないのかというふうに思うのですが。
○渡部矯正監査室長 そういう内容の情願が上がってまいりますと,例えば職員から暴行を受けたとか,そういう情願が上がってきますと,現在では大臣が要調査案件だということになって調査しますので,ただし,それが,調査までに,情願の処理する調査までにかなりの時間がかかっていることも事実でございます。ですから,その間について即,そういう情願が上がったら即飛んでいってというところまではいかないところがあります。
○瀬川委員 情願を出した受刑者がだれか分かりますね,職員の人は。分かりますね。
○渡部矯正監査室長 はい。
○瀬川委員 だれが出したか,内容はともかくとして,分かりますね。その間に不利益を受ける可能性はないとは言えないでしょう。
○渡部矯正監査室長 そうですねえ……。例えば,要は情願を取り下げさせられたとかいうことを新聞等で見るのですが……。
○瀬川委員 今言っているのはそのポイントです。
○渡部矯正監査室長 取下げについては,本人が特定の事項について不服申立てしていた場合に,その問題事項が解決されれば,改めて情願するまでもなくということで取下げとか,あるいは出所のためにとかいうことで不裁決ということになりますので,ですから,無理やり止めさせるメリットというのは施設側にはないと思うのですが,確かに情願のために夜間独居に転房させないといけないと。雑居が,かなり収容がふえてギュウギュウですから,中での対人関係とか居住環境が悪くなっていますので,そういう面では,やはり夜間はゆっくり一人で寝れるところのためにということで情願を申し出るというふうなケースも多々ありますけれども,ですから,具体的に取り下げるための圧力をかけるメリットというのは,ちょっと私の方としては……。
○瀬川委員 施設側にはないと,職員側にもないということですか。
○渡部矯正監査室長 建前上は,そういうことはないと思うのですが。
○瀬川委員 建前上は私もそうだと思うし,それで理解できるのですが,やはりそこが疑われるということは,今回もおそらく次の制度を考える場合に何か,ワンクッション何か置かなければいけないのではないかというふうに私は思っています。
○久保井委員 今の点に関連しまして,資料2の不裁決の事由の内訳が書いてありますね。不裁決が7割ということで,そのうちの一つに,申立者の出所,取下げ,以下幾つか例示されておりますが,この取下げというのは,不裁決を仮に100とした場合は,そのうちのどれぐらい,何割ぐらいあるのでしょうか。
○渡部矯正監査室長 平成14年に処理した案件の中では,約23%です。
○久保井委員 それから,出所によって自動消滅というか,それは。
○渡部矯正監査室長 これが30%を切る28%ぐらいです。
○久保井委員 そうですか。それから,情願による裁決までの所要期間というのは,大体平均どれぐらいの間に,情願があってから,申立てがあってから裁決まで。
○渡部矯正監査室長 そうですねえ……。
○久保井委員 半年ぐらいですか。それとも……。
○渡部矯正監査室長 最低半年はかかっていると思います。
○久保井委員 最低半年,では,一年ぐらいかかりますか。
○渡部矯正監査室長 平均はとっていないのですが,不裁決につきましてはかなり早くはできていると思いますが。
○久保井委員 では,半年,一年の間,これはどういう,事実関係の調査に手間取るというか,判断に迷うというか。
○渡部矯正監査室長 基本的にそういう事実関係を調査,矯正局の職員,あるいは管区の管区長が指示して管区の職員が現地に行って調査する,そのときに,もろもろの書類とか相手の申立ての趣旨を確認したりとか,それに基づいて調査,資料収集を行うものですから,かなりの時間はかかると。
○久保井委員 この採択が0%というのは,少し,先ほどの御説明だとゼロにはなっているけれども,145件は事実上の指導によって改善をしておるから,それが一種の採択というか,採択した裁決書はないけれども,言い分を認めた措置をしたことになるのだというような趣旨のお話だったですね。145件ぐらいは認めたというか,そういうことですね。
○渡部矯正監査室長 この145件というのは,既に改善の措置が講じられているというふうな,裁決の段階で,そういうものもございますので,それと文書の記録の仕方が,あるいはほかの仕方が適切でないよとか,そういう形の指導をするとかいう,そういう指導,あるいは措置,その辺を入れておりますので,純粋に採択,要は施設の処置は不当である,あるいは違法であるということで認定したのは0%となっております。これは一件,昨年は一件ございました。
○久保井委員 この点,少し弁護士会に対してすごく受刑者からの申立てが多いのです,御承知だろうと思いますけれど。これは,各種申立ての資料4でいうと,その他の中に入れていただているのでしょうか。弁護士会はNGOですけれど,各種不服申立状況という資料4の中で,分類としてはその他に入れていただいておるのですね。
○渡部矯正監査室長 はい,その他です。人権侵犯申告等の欄に入っています。
○久保井委員 それで,弁護士会の人権救済の申立ての過半数は受刑者からの申立てで,かなり弁護士会としては勧告とか警告をずっと長年にわたってやらせていただいたという経過がありますが,それと情願の採択率がゼロということとはひどく乖離しているなと思って,少し不思議に思っているのですけれど,人権侵害があって違法だという裁決がゼロというなら,弁護士会の方で扱った件数は,かなり勧告書を送らせていただいたり,警告書を送らせていただいていますから,その食い違いはどこから来ていると思われますか。何か感想があれば聞かせていただきたいのですけれども。弁護士会が一方的に受刑者の言い分を聞いて事実と反する勧告をしているものが多いのか,そうではなくて,何か解釈に食い違いがあるのか,どういうことでしょうか。結論に大分違いがあるのですけれど。
○渡部矯正監査室長 パーセントにするとゼロになるのですが,年によっては数件は採択をして,たまたま14年については1件しかないということで,0%ですが,件数としては採択事案はございます。3,000件からの率からいってパーセントが0%となるということです。
○久保井委員 ゼロに近いという意味での0%だと。
○渡部矯正監査室長 はい。
○大平委員 巡閲官のがありますね。これも大臣情願の中の採択のこの円の中に入るのですか。
○渡部矯正監査室長 いや,これには入っておりません。巡閲官情願で処理したものは,この裁決,不裁決の中には入っておりません。
○大平委員 内訳は変わってきますか。
○渡部矯正監査室長 先ほど少し御説明しましたように,非常に巡閲官情願として面接形式でやりますと,非常に希望なり感想的なものが多くなりますから,更に不裁決がふえるのではないかと思います。
○大平委員 平成14年は35施設とおっしゃいましたが,これは一施設には大体一年にどれぐらいの頻度で行かれるのですか。
○渡部矯正監査室長 二年に一回,二年に一回以上です。
○大平委員 一つの施設には二年以内に一回ということですか。
○渡部矯正監査室長 はい。
○大平委員 ちなみに名古屋刑務所は何年に巡閲官が行かれたのですか。
○渡部矯正監査室長 去年は行っていなくて,一昨年,13年度に行っています。
○大平委員 先ほど瀬川委員もおっしゃったのですけれども,取下げのそれは,施設側が圧力みたいなものをかけて,暴行事件があったにもかかわらず取下げをさせたのだと,そういうふうに一般的な,私たちは情報を受け取るわけなのです。やはり収容されている側にしましたら,圧力というのはものすごくプレッシャーだと思うのです。情願して,その間,別の安全な場所に,その施設以外におれるのだったら別ですけれども,自分はそこでずっと24時間拘束されるわけですから,ある程度圧力があった場合には取下げをせざるを得ないとか,そういう心情になるのは当然だと思うのです。それで,極端な話,いったん情願すれば,もう取下げは認めないのだと。それで,内容を審査した上で,そのときに判断するというふうな方法を今後おとりになるとか,そういったことでの検討はまだ具体的には。
○渡部矯正監査室長 実際上,取下げをしても,情願の内容にそういう問題事項があれば,手続上は取下げということで不裁決しますが,実情については調査しております。施設から報告を求め,あるいは管区から引き続き調査をして,ですね。
○大平委員 その面談とか調査をされる人員は何名の方でやっていらっしゃるのですか。半年もかかると伺いましたから,それは大変なのだなというふうな実感なのです。
○渡部矯正監査室長 矯正局の矯正監査室としては,室長以下8名でございます。
○大平委員 8名の方々が日本全国をカバーしておられるのですか。
○渡部矯正監査室長 それは,矯正管区の方に調査指示を出しまして,管区の方から不服審査調査官等がそれぞれ調査に行って,報告してくると。
○大平委員 実際,調査に行かれますのは管区の方々が行くのですか。
○渡部矯正監査室長 管区と,矯正局からも行きますけれども。
○大平委員 すみません。分かりやすいように,イメージ的には,そうしたら,イギリスのオンブズマンがいて,サブがいて,調査官が20名いるという,あのような図式ですか。民間と行政の違いがあるにしましても。
○佐伯専門官 本省から管区に,通常の案件であれば指示をして,それで管区の職員が実際には現地に赴くという形が多くを占めるのですが,それを担当する職員というのは,管区の保安課というところに属している人,あるいは不服審査調査官という職務にある人が担当しております。実際には管区で二名前後が実際の事務に当たっていると思います。
 それで,本省の方で,矯正監査室で直接赴くというのは,先ほどの御説明にもございましたように,最近では特に大臣から特命を受けた事案がございますので,そういう重要事案について,そういったものを中心に実施しております。
○南会長 今の点について,昭和38年に訟務担当者の配置についてという矯正局長通達が出ています。これによりますと,各管区ごとに,非常に最近は情願等が増えてきたので,各矯正管区ごとに訟務担当者を置いて,情願の調査及び報告に関する事務を取り扱わせるということになっていますが,その訟務担当者というのは各管区でどのくらいの人数ですか。
○佐伯専門官 今,管区の方で担当すると申し上げたのは,おっしゃった訟務担当者が実際には。
○南会長 実際は,この通達によって行われているわけですね。
○佐伯専門官 管区の規模によって人数は異なりますが,小さいところでは訟務担当者としては一名,東京あたりですと3名が専属でおります。
○瀬川委員 マンパワーの点ですが,後でいいですから,何か出されてもいいかも分かりませんね。我々が考える材料として,これだけの何千件の件数をどういう感じでやられているのか,むしろ出された方が今後のためにはいいように思います。つまり非常にこれだけの人数で,また,なかなか時間がかかるのではないかという非難を受けるわけで,そういう点では,本省でどういうポストの人がこれだけ事務にかかわっている,矯正管区ではどれぐらいかかわっている,そこから各刑務所にどういう形でどういう人が担当しているのかということを,管区と刑務所との間を持つ人,その辺を少し図式化されて出していただくか,あるいは何人ということを書かれてもいいと思いますけれども,何か是非可能であれば見せていただきたい。
○南会長 資料2の2ですけれども,これは,たしか却下と棄却の区別というのは,通常言われているものではなくて,たしか棄却が通常言う却下であって,却下が通常に言う棄却だったですね。
 実を言いますと,非常に古い行政の不服制度というのは,よく区別が分からないのです。例えば恩給関係などでも,棄却を却下と言ったり,却下を棄却と言ったり,いろいろそういう例があるので,たしかそうだったと思いますが,どうですか。
○渡部矯正監査室長 却下が,申立てに係る事実がなしとか,あるいは不当はないというふうなことについて却下,棄却につきましては,既に裁決済みだとか,あるいは施設の処置に当たらないとか,所定の手続によらなかったものだとかいう場合は棄却ということになっております。
○久保井委員 門前払いが棄却で,実態判断をするのが却下と。
○渡部矯正監査室長 そうです。
○南会長 昔は裁判所もそうなのです。裁判所も,明治の初年の裁判所はそういう書き方です。よく区別がなかったのです。今でも行政レベルでは,行政手続法では,本当は申請に対して却下と棄却があるはずなのですが,これを区別できないので拒否という言葉を使っているのです。両方を一緒にして拒否処分と。申請に対する拒否処分。だから,却下と棄却とが余り区別がないのです。
 おそらくこれもそうだと思うのです。だから,却下の場合は,いわゆるこれが不服に理由がないとして棄却するというものだし,棄却の場合には,これは対象がないとか,そういうことだと思います。不裁決も,そういう対象にならないというのなら,普通は却下ということなのでしょうね。
○久保井委員 採決しない,できないと。
○南会長 そうですね。しないというのは,ですけれど,不服の対象とならないというようなことでしょう。
○久保井委員 裁決の基礎を失ったというのは,この明細が六つ書いてありますから,取下げによって完了したとか。
○南会長 これなども,みんな普通は対象にならないとか,取り下げられたからもう対象がなくなったとかいうのは,普通は却下するのです。それから,採択というようなことは,これは不服には理由があるという場合でしょう。おそらく採択に至らなくても,事実上は解決したというようなものがあると思うのです。だけど,やはりそれについてもきちんと応答すべきではないですか,こういうふうに解決しましたというように。そうすると,採択も結構ふえてくる。ゼロというのは……。
○大平委員 ゼロだと機能していないのかというふうな,やはり印象を持ってしまいますから。
○久保井委員 145件というのが採択なのでしょう,やはり。刑務所は指導しているわけだから。刑務所は指導をしているのでしょう。だから,一応言い分を認めているのでしょう。
○佐伯専門官 指導の中には,確かにおっしゃるように不服に対する対応として,本論とは違うところで改善したという場合もございますし,純粋に施設の事務処理上の問題,本人の申立てとは関係ないところで,情願を契機に発見されたことについて指導しておる場合も混ざっております。ですから,145件すべてがいわゆる採択同様の趣旨ということではないと思うのですが,ただ,我々が処理するに当たりましても,おかしいということであれば採択を躊躇したりということは全くございません。ただ,事実関係が確認できないであるとか,何もない中で,こういった発言をした,しないということを確定的に認定することができないものですから,なかなかその事実があったということで,それが不当かどうかという判断に至らない場合が多いというのが実情でございます。
○南会長 久保井先生,先ほど日弁連に対して非常に不服申立てが多いとおっしゃっていましたが,それの処理,それはやはり矯正局なり刑務所側に連絡されているわけですか。
○久保井委員 それは勧告,警告です。
○南会長 それについてのきちんとした回答はございますか。
○久保井委員 回答がある場合は少ないですけれど,該当事実がないという返事がある場合もありますけれど,ほとんど回答はないです。それが,日弁連はNGOに過ぎませんから強制力はありませんけれども,しかし,日弁連の人権擁護活動の7割を占めているのです。
○南会長 何か非常に多いということは聞いています。
○佐伯専門官 回答がないというのは,調査に対してということではなくて,勧告をいただいたことに対して反応がないという御趣旨だと思うのですけれども,矯正当局といたしましては,勧告等が例えば大臣,あるいは矯正局長に対していただく場合もございますし,その施設に対してという場合もございます。いずれにつきましても,報告等をとりまして,我々の立場から実情等を調べた上で是か非かということは再度判断しております。その中で,御指摘を受けた事項について,これはやはり正すべきということがあれば,指導を施設の方に当局からしておりますし,あるいは見解の相違であるとか,事実が我々の調べたものと違うということで違う結論になるものも確かにございます。
○瀬川委員 採択された場合,これはおそらく刑務職員の内部での責任というか,そういう問題になり得るケースがあるのですか。
○佐伯専門官 職務上の義務違背ということが確認できれば,当然のことながら懲戒処分も含めて対処いたします。その事務も矯正監査室の方で行っております。
○瀬川委員 採択されたら,常識的に懲戒処分に結びつくと考えてよろしいですか。
○佐伯専門官 これは,物事の判断,許否判断,本人のために教育上是か非かということの判断が,当局と施設現場での判断が違うという場合には,職責には出てこないと思うのですが,明らかに職務上果たすべき義務に反して事故が起こったというようなことがあれば,所要の措置を講ずるということになります。
○瀬川委員 日本では,外国に比べるとと言っておきますけれども,すごく刑務職員の責任問題を過剰に追及するというところがあって,だから,こういう消極的なといいますか,採択することによって何か責任というのがもう本当に過剰に新聞に報道されたりするので,その点もよく,刑務職員の立場というか,その点もよく考えてこれを見ないと,何かすごく,前にも言いましたようにレポートによってはと言っておきますが,もう本当に受刑者よりも刑務職員の方が本当に悪い人のように書いて,何かそういうふうに真っ黒に書いてしまうものもあるのですけれども,実態はそうではないので,その辺,こういう表を見る場合でも,やはり刑務職員の人の責任の取られ方というか,何かその点もよく考えてやらないといけないなというふうに私は思います。
 それから,大事な問題なのですけれども,情願については検閲はしないですね。ところが,弁護士会に対するものとか,ほかの訴訟,民事訴訟とか行政訴訟については検閲しているのではないかと思うのですが,この点についての正当化理由というか,何かその辺の理由付けというか,これは何なのでしょうか。
○佐伯専門官 非常に難しい問題だと思うのですけれども,現場の職員からすると,監獄法施行規則上そういう規定があって,検閲をしない場合に当たらないということでしか判断していないと思うのですが,我々の立場からしますと,そういう制度を維持していることがいかがかと,そういう御趣旨での御質問だと思うのですけれども,これは我々の経験といいますか,そういったところからいいますと,やはり施設とトラブルになっていることで,本人の心情等にかなり乱れとかそういったことがある場合が多うございますので,もともと検閲するという趣旨が,そういった文面,あるいは面接の中で出てくる心情等の参考となるべき事項をそこから取り込んで,それを本人に対する処遇へフィードバックしていくという趣旨が本来の趣旨でございますので,そういった点からすると,くむべき点は多いのだろうと思うのですが,ただ,それが,国を当事者とする訴訟の中でやるべきことかどうかというのは,やはり問題があるのだろうということは認識しております。
○瀬川委員 情願については検閲しないのであれば,ほかの不服申立てについても検閲しないのが原則ではないか,原則とすべきだと思うのですけれど,これはどうでしょうか。何か,それを阻止する何か大きな理由があるのかどうか,検閲する理由があるのかどうか。
○大橋補佐官 外部交通の話は,また議論になるのですが,検閲につきましても,今のところ矯正局の保安課長の方から御説明をさせていただく予定にしております。また,そのときに御議論をいただければと思います。
○久保井委員 それから,不服の申立てというのは個人個人の受刑者の申立てに対する対応ですが,刑務所の適正な運営のための国の査察というか,行政監察局とかいろいろな大臣の査察,そういう査察の実情というのは,査察というのはあるのですか,ないのですか,現行法では。刑務所が適正に運営されているかどうかを……。行政監察局というのがありますね,国家機関の。そういうところの査察というのはあるのですか。
○佐伯専門官 先ほど九州大学の先生が御講義いただいたような形での査察というのは,おそらく……。
○久保井委員 刑務所査察局という特別のものが日本にないのはわかっているのだけれど,しかし,国家機関が適正に運営されるということを,やはり国としての査察というのはどこの省庁でもやっているでしょう。
○佐伯専門官 そういった意味での内部監察というのは,巡閲というものが当たろうかと思います。監獄法4条に基づく巡閲です。
○久保井委員 それはだれがやるのですか。
○佐伯専門官 これは法務省の職員でございます。
○久保井委員 巡閲官によるあれではなくてですか。
○佐伯専門官 いや,巡閲官が,法務大臣に指名を受けた巡閲官が二年に一回,施設を巡閲して回ります。その際に,いわゆる巡閲官情願という不服の聴取もするのですが,同時に4~5名程度の職員が参りますので,その際に事務監査も行っております。
○久保井委員 名古屋のような事件を防ごうと思ったら,そういう運営をフォローする,査察することが必要だと思うのですけれども,行政監察局がそういう立場で,巡閲官ではなくて,査察をしているのではないですか。それはしていないのですか。
○瀬川委員 そもそも対象になっているかどうかということがありますね。
○佐伯専門官 それは,行政監察局ですか,それによる調査というのはもちろん対象になっております。
○大橋補佐官 定期的にはありませんが,いろいろな対象があって行政監察も広いですので,何年かに一回は刑務所問題を取り上げたりという監察はございます。
○瀬川委員 刑務所施設をテーマにした重点調査とかですか。
○大橋補佐官 はい。
○久保井委員 何年かに一回はあるのですね。
○佐伯専門官 はい。それは総務省の方で担当されますので。
○大橋補佐官 そのときにおいて何を見るか,行政のどれを見るというふうに決めますので。
 あと,会計的な立場ですけれども,会計検査院ももちろん検査に入っております。
○瀬川委員 行政監理局ですか。
○大橋補佐官 当時は行政監察局です。
○久保井委員 それは,名古屋の事件はかなり大きな波紋を呼んだでしょう,社会で。そうすると,ああいう事件があったときに,あの事件そのものは検察庁なり警察の管轄かも分からないけれど,そういうことを契機に刑務所の運営が適正に行われているかどうかの行政側による監察はあったのですか,なかったのですか。
○大橋補佐官 最近のですか。
○久保井委員 そうです。
○南会長 今,特別なものはなくて,例えば矯正局そのものが刑務所への監督権を持っているから,その監督権の行使として査察をしていると。それはもう常時とも言うようなものでしょう。常にやっているようなものなのですよね。
○瀬川委員 それはどこが。
○久保井委員 いや,要するに今の矯正局が監督をする,これは当然です。つまり刑務所のあれですから。
 だけど,今言っている法務省以外の行政監察局,あるいは総務省とか,そういう詳しいことは勉強していないけれども,他の国家機関による監察というのが今の行政監察局による監察だと思うのですけれど,それが何年かに一回行政監察しているのでしょうか。
○南会長 それはないでしょうね。例えば国税などの場合は,課税に関することですので,国税監察官というのがいるのです。
○久保井委員 それは国税庁の中にですね。
○南会長 国税庁の中に,ある程度独立組織として。それから,郵政もありましたね。今は外れましたが,郵政の監察官というのがあって,書留だとか非常に重要なものを扱いますので。そういうふうなものが,今,先生のおっしゃっている制度だと思いますけれど,それはないのですね。
○渡部矯正監査室長 そうですね。そういう形ではないし,部外で定期的にということもないと思います。
○南会長 制度的にはね。
○渡部矯正監査室長 内部だけです。
○佐伯専門官 矯正局が矯正に関する政策立案機能と実施の監督機能を兼ねて,これが合わさっている状態で今の組織が存在するということです。
○瀬川委員 今おっしゃった巡閲官ですが,大体どういう人が巡閲官になっているのですか。
○佐伯専門官 本省矯正局の課長クラスの人です。
○瀬川委員 本省におられる課長さんですか。
○佐伯専門官 はい。
○南会長 少しお尋ねしますが,この資料1の,これは大臣情願が出てきますね。そうすると,そこで大臣が閲覧して指示して,人権擁護局と矯正局に振り分けているわけですが,この振り分けの基準と,それからパーセンテージ,どちらの方が多いのか,その点が分かりましたら。
○佐伯専門官 本年2月20日から大臣が御覧になるようになりまして,どう振り分けるかというのは,私どもは。
○南会長 今まではなかったわけですか。
○佐伯専門官 ございませんでした。
○南会長 振り分けなかったのですね。
○佐伯専門官 はい。矯正局の方で開封もしまして,淡々と事務処理をしておったのですけれども,大臣が御覧になるようになって,私どもから見て,どうしてこれがこちらに振り分けられたかということは分かりかねますので,ただ,大臣がお決めになっているとしか言いようがないのですが,これまでの実績を見ますと,やはり職員に暴行をされた,あるいは施設での,先ほどの説明でもございましたけれども,医療処置が十分でないと疑われるようなものがあった,あるいは余り数は多くないですが,情願を盗み見されたとか,そういった昨今問題になっておるようなことが疑われるものについて,これは実情をよく調べなさいということで御指示いただいているものと理解しておりますけれども。
○南会長 どちらがパーセンテージとして多いですか。
○佐伯専門官 これは矯正局でというものがもう断然多うございます。
○瀬川委員 暴行とかいうものはどちらに振り分けているという趣旨をおっしゃいましたか。
○佐伯専門官 人権擁護局です。矯正当局に調査させずに,人権擁護局職員が調べてきなさいと。
○大平委員 2月20日からということなのですけれども,現在,こちらの人権擁護局の方で何か調査とかをされて,何か結果が出た分はありますか。ございますか,現在。
○佐伯専門官 50件ぐらい人権局にこれまでいっていると思いますが,既に裁決を終えたものもございますが,人権擁護局で調査したもので採択に至ったというものはございません。暴行等の事実が確認されたというものがないということです。
○大平委員 それは暴行事実がなかったということですか。難しいですか。
○佐伯専門官 ですから,我々としてはなかったと思っておるのですけれども,人権擁護局で広範に関係職員から事情聴取されたり,そういった活動をしても,そういったことを疑わせるようなことはなかったという結論が出ているものです。
○瀬川委員 資料10なのですけれども,今後のことを考えていく場合の参考資料に刑事施設法案の提案というのは,どの程度かは別として参考になると思うのですけれども,この審査の申請と苦情の申出というものは,情願とかほかのものとどう絡むのかという議論は当時あったのでしょうか。情願はこちらだと,そういう単純な議論ではなくて,情願を分けたと考えたらいいのか。
○大橋補佐官 その議論の過程で,今のところ情願は法律上回答義務がないものというふうに扱っていまして,それをもう少し回答義務のあるものにしようというところで,情願の中身の振り分けで,救済すべき措置であるもの,書籍の閲読の停止だとか,外部交通の禁止だとか,そういうものとそれ以外のものというものに分けて……。
○瀬川委員 停止なども審査の申請ですか。
○大橋補佐官 審査の申請です。それで,不服申立てとしてきちんと扱って回答をしようと。それ以外の,いわゆる今のところは希望とか苦情とかいろいろなものがありますけれども,それは法律上は受けるのみで,それに対する回答義務は法律上はつけないということで区別しようという発想です。
○瀬川委員 そうすると,比較的重いものは審査の申請,用語からそういう印象ですが,そのとおりでいいですね。
○大橋補佐官 まあそうです。救済すべき利益がまだあるものというような考えです。
○瀬川委員 その場合に,審査の申請の場合に,理由の付記はいいのですけれども,期間については書いていないのでしょうか。
○大橋補佐官 処理期限ですか。
○瀬川委員 はい。
○大橋補佐官 これも書いておりません。行政不服審査法におきましても,処理期間というのは特に定められておりません。
○南会長 処理期間ですか。
○大橋補佐官 回答期間です。
○南会長 これは,行政不服審査法にはないのですが,特別法で書いているものは結構あります。30日以内にしなければならないとか,それはありますね。
○久保井委員 それは,苦情を申し出るというときには,国としてはそういう扱いでは困る,あるいは苦情の申出に対する対応にそごもあれば,審査がつながっていたのですか。
○大橋補佐官 原案としましては,最初の処置がどうであるか,そこだけの振り分けになっています。それで,段階を踏んでやるとか,そういう発想はございませんでした。
○久保井委員 それは今から10年ぐらい前ですか。
○大橋補佐官 平成3年で,そのもとをつくったのは昭和50年代の話です。
○南会長 処理期間の問題が出ましたが,行政手続法では標準処理期間という形で,できる限りそういう標準処理期間を定めて,公にしなければならないということにはなったのです。これは,大体訓令で定められるものが多いのですけれど,それから,先ほど言いました法律できちんと定めている場合とありますね。
 ほかに何かございませんか。
 それでは,どうも本当に今日は,御説明ありがとうございました。御質問も出尽くしましたようですので,矯正局からの御説明はこの程度にさせていただきたいと思います。渡部矯正監査室長,佐伯専門官,どうもありがとうございました。

3.その他

○南会長 さて,本日の土井教授並びに矯正局のお話にもございましたように,海外の実情についてもなかなか興味深いものがあると思います。若干お時間がございますので,御案内のように行刑改革会議におきましては海外視察を行う予定であり,この海外視察を有意義なものとするために,どのような点を特に詳しく見てくるか,主に当分科会,第2分科会に関する論点について御意見をいただければ幸いだと存じますが,いかがでしょうか。
○南局付 今お配りしておりますのが,本日,日弁連の方からいただきました海外視察における調査事項といったメモでございます。それも御参考にされて御議論いただければと存じます。
○久保井委員 最初の市民による監視というのは,次代の流れとして議論されているのですけれども,市民による監視のほかに,伝統的な国の別の機関による査察といいますか,適正な行政運営をチェックする制度,両方からやらないといけない。そういう点を各国がどうやっているのか。訪問者委員会とか視察委員会のことは大体分かりましたけれど,国の別の機関による査察制度の実態がどうなっているかというようなことも尋ねてみたいと思います。
○南会長 そうですね。今,ドイツでも,これに出てきましたように……。
○久保井委員 そうですね。余り勉強はできていないのだけれど。
○南会長 刑務所顧問会などとありますし,これは第三者機関ですね。
○久保井委員 市民というのは最後に出てくるもので,本当は国自身がそういうところで適正な運営がなされるようフォローしなければいけないと思うのです。
○南会長 受刑者の人権というものについては,人権のとりでと言われる裁判所もやはり機能しなければいけないのですが,日本の場合はどうなのですか。
○久保井委員 日本の場合は,もう行政訴訟です。行政訴訟以外にですか。もっと手前でということですか。
○南会長 いえいえ,裁判所での救済です。
○大平委員 訴訟はできませんでしょう。損害賠償請求か……。
○南会長 損害賠償ぐらいですか。
○大平委員 施設を公開しなさいというようなことは。
○南会長 例えば今は司法改革で市民のための司法とか言われているわけでしょう。ですから,例えば人権裁判所まで至らなくても,人権部だとか何とか,そういう構想もあればと思うのですが,何か一向に出てこないので。
○瀬川委員 もともと受刑者はお金を持っていませんので,裁判の費用が。
○南会長 その点があるからですか。
○瀬川委員 あると思います。それから,司法救済の場合は期間がかかるので。
○南会長 なるほど。時間と金がかかるということですね。
○瀬川委員 そうです。
○南会長 だから,やはりもう少し,そういうふうな……。だけど,今度,裁判制度もかなり簡易迅速なものになってきているわけだから。
○久保井委員 行政訴訟の改革もかなり進みそうな雰囲気で議論は進んでいますけれど,しかし,こういうものにすぐ間に合うかどうか。
○南会長 もちろん,それとは全く別に,行政による救済を考えなければ……。
○久保井委員 ドイツなどは,高齢者の財産管理の成年後見の後見裁判所という,建物が独立してあるとは思えないけれど,そういうことを専門に扱う裁判所が観念上はあるようです。それで,人権問題についても,何かそういう,建物が別にあるわけではないけれど,人権問題を扱う人権裁判所みたいなものがあるようです。訪問した際にその辺のことを少し聞いてみたらいかがですか。
○南会長 そうですね。その際に,一回聞いてみたいですね。
○久保井委員 裁判所はもう少し活躍してもいいのではないかとおっしゃるように思いますね。
○南会長 やはり行政による救済と,そういう裁判によるところの救済とが相まってうまくいきますので。
○久保井委員 そうですね。それと市民とですね。
○南会長 それから市民ですね。その三者ですね。
○久保井委員 はい。
○南会長 私の言う行政の透明化というのは,市民を入れてということなのですけれど。
○瀬川委員 あの法案は廃案になりましたけれども,人権委員会との兼ね合いですね。これは質問しましたけれども,その兼ね合いですね。
○久保井委員 そうですね。
○南会長 人権委員会は,新聞報道によると,また,修正を加えた上で再提出するということですね。
○久保井委員 今国会というか,今回は間に合わないですか。
○南委員 もう廃案なのです。これはもう廃案で,間に合わないのです。
○久保井委員 ああ,この間,廃案と新聞に出ていましたね。
○南会長 出ていました。
 それでは,今のような点をひとつ重点にして。
 本日は,イギリスの状況につきまして土井教授からお話をお伺いいたしまして,次回は当会議の宮澤浩一委員からドイツの状況についてお話を伺おうと思っておりますが,いかがでございますか。よろしいですか。
 それともう一つは,引き続き不服申立制度について検討する予定になっておりますが,冒頭にお話しいたしましたように,その際に私から行政不服申立制度一般についてお話をさせていただこうと思います。よろしゅうございますか。

〈異議なし〉
 特に御異議がございませんようですから,次回は宮澤委員からお話を伺うということにして,その上で私から不服申立制度についてお話をして,皆さんの御議論をいただきたいと存じます。
 当分科会の次回開催日である10月6日には,宮澤委員が会長を務めていらっしゃる第1分科会も開催の予定でございます。その関係から,当分科会の開催時刻を午後1時30分からにしたいと。
○南局付 1時からということでございます。後でまとめて御報告申し上げます。
○南会長 1時からということにしたいと思いますが,事務局から御説明お願いします。
○南局付 10月6日の開催の時刻でございますけれども,宮澤先生の分科会の関係もございますので,午後1時からということにいたしたいと思います。午後1時半から,第2分科会は海外視察に行かれる方が多うございますけれども,海外視察での留意事項や質問事項等につきまして御説明,御相談を差し上げるということにいたしたいと思います。
 海外視察の質問事項につきましては,向こうの方が余り長時間割いてくれないということもございまして,十分絞り込みをする必要があるだろうということでございまして,現在作業中でございます。よろしくお願いいたします。
○南会長 そうすると,当分科会は1時から始めて,そして,宮澤先生のお話を聞いて,それから,1時半から海外視察の関係の御説明を聞くと。それは30分ぐらいですか。
○南局付 そうです。
○南会長 そうすると,また,2時から開催予定ということになりますね。
○南局付 はい。若干変則的になりますが,よろしくお願いいたします。
○南会長 どうも,本当にタイトな日程で非常に恐縮ですけれども。
○久保井委員 宮澤先生のレジュメみたいなものを,あらかじめもらえたら読んでまいりますが,30分しかないですから。
○南局付 そうですね。先生が,御準備に時間がかかるかもしれないということでございましたので,場合によりましたら……。
○南会長 一応ドイツですから,今日配ったこれは,一つの資料になりますね。でも,訴願が入っていませんね。このベックのこれは,非常に著名なコンメンタールです。ですけれど,あれがないですね。訴願,ベシュベールデと言うのですが,これが非常によく機能しているということなのです,私の聞く限りでは。
 そのほか,何か事務局からの事務連絡はございませんか。
○南局付 今お話に出ましたベックの簡略注釈書というものでございますけども,これは海渡先生の方からコメンタールを訳したもので御参考に供したいということでいただきましたので,よろしく御参照ください。
○南会長 できれば,訴願についての規定,この108条というのは一か条だけですので,それと,レジュメみたいなものをお出しいただければ幸いです。
○南局付 検討させていただきます。
○久保井委員 審査会の現実の機能というか,そういうものが中心になるのでしょう。
○南局付 はい。宮澤先生のお話も,そういったあたりに絞っております。
○南会長 それでは,長時間にわたりましてありがとうございました。これをもって閉会とさせていただきます。

午後4時45分 閉会
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