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行刑改革会議第3分科会 第5回会議議事概要

1 日時

平成15年10月27日(月)14時から17時

2 場所

法務省第1会議室(20階)

3 出席者

(委員等,敬称略)
 (会長)高久史麿(自治医科大学学長)
 (委員)江川紹子(ジャーナリスト),野﨑幸雄(弁護士・元名古屋高等裁判所長官),広瀬道貞(全国朝日放送(株)(テレビ朝日)社長),宮澤弘(元法務大臣)(委員・50音順)

4 議題

(1) 論点細目について(事務局説明)
(2) 刑務官の研修等について(矯正局説明)
(3) 意見交換(人的・物的体制の整備)
(4) その他

5 会議経過

(1) 行刑改革会議事務局次長杉山治樹から,菊田委員提出の「『行刑改革会議』分科会報告に対する意見書」(別紙1【PDF】),久保井委員提出の「各分科会の検討経過報告に対する意見」(別紙2【PDF】),「第3分科会の今後の日程(案)」(別紙3【PDF】)及び「『人的・物的体制の整備等』と『職員の人権意識の改革』についての論点細目」(別紙4【PDF】)について説明がなされ,「第3分科会の今後の日程(案)」が了承された。
(2) 矯正局総務課国際企画官西田博から,別紙5【PDF】により刑務所PFI事業について説明がなされた。主な発言及び質疑応答は以下のとおり。
・ 現在収容数は右肩上がりであるが,収容数は増減するものである。収容数が減少してきたときに,PFI刑務所で収容数の調整はできるのか。民間の資金を使うPFI刑務所の収容数は簡単には減らせないので,そういう場合のことも考えておくべきである。
(回答:民間との契約期間を短めに設定することが考えられる。また,収容減になり施設に余裕ができれば,老朽化した国の施設をつぶしていくことになることも考えられる。)
・ PFIを使うのであれば,長期的な状況の変化も考慮に入れて,活用方針をしっかり打ち立てる必要がある。
・ 刑務所を民間業者が建てた場合,その業者に家賃を払うのか。
(回答:BOT(Build,Operate,Transfer)方式とBTO(Build,Transfer,Operate)方式があり,どちらが効率的かを考えることになるが,現在の税制では,PFIにより建築した場合であっても,民間業者が所有している場合には固定資産税がかかるので,民間業者が所有し家賃を支払うという方式(BOT方式)をとった場合,高くつくのではないかと考えている。所有権を国に移し,建築費を何十年かかけて支払う方が,その間に発生する利子を考慮しても安いのではないかと考えている。)
・ 食事・洗濯・清掃は現在受刑者がやっているが,これをアウトソーシングするということか。
(回答:この表は業務の性質を整理したものであり,決定したものではない。コストを計算して,アウトソーシングの方が安いということであれば外部委託することになる。)
・ 海外でのPFIの失敗例ということで紹介があり,これ以外には,逃走,暴動などの事象はあるが,PFIの失敗例としては把握できなかったということだが,どういうことか。
(回答:PFI刑務所で逃走,暴動などが起こった例が確認されたが,国営の刑務所でも同様のことが起こっており,PFIによる失敗例と考えることができなかったということである。)
・ PFIの細かいことについて議論がなされているが,PFI方式によるかよらないかはともかくとして,施設拡張の必要性があるのかどうかというところを議論すべきである。
(3) 官房参事官柴田元始から,別紙6【PDF】により刑務官の研修等について説明がなされた。主な発言及び質疑応答は以下のとおり。
・ 建物の構造を変えることで,職員を減らしたり効率化を図ったりできないか。
(回答:できると思うが,それぞれメリット・デメリットが生じる。例えば,舎房について言うと,現在の舎房では日当たりが確保できるが職員は多く必要になる。放射状舎房では現在の舎房よりも少ない職員で監視ができるが,日当たりの悪い舎房ができてしまう。職員や受刑者の動線等を考慮して,効率の良い建物を考えていくことが必要と考えている。)
・ 収容予測の根拠は何か。
(回答:過去3年間の実績から割り出した数字である。実際の収容数の変化には様々な要因があるが,経験的にはこの予測は大体合っている。)
・ 諸外国の刑務職員の団結権の状況を教えてほしい。
(回答:次回までに調査する。)
(4) 「『人的・物的体制の整備等』と『職員の人権意識の改革』についての論点細目」(別紙4【PDF】)に沿って意見交換が行われた。主な発言等は以下のとおり。
○ 施設の新設・増改築等
・ 過剰収容対策という点で施設の新設は不可避であろうが,PFI以外に対策はないのではないか。
・ 日本の刑務所は世界から注目されるようになっている。その点を意識して,舎房の広さなど,国際標準に近づけるよう議論をする必要がある。
・ PFIは一種のトライだろう。一度やってみて,これがうまくいき,なお過剰収容が継続しているときに更に推進するということになるのだと思う。
・ 国の補助事業は基準が高すぎると思う。16,000人の定員超過を解消するために本当に700億円も必要なのか。
・ 事業費削減のためにもPFIが役立つ場合があり得るのではないか。
・ 過剰収容を解消するために建物を増やすことも大切だが,職員が監視しやすく受刑者も落ち着いて生活できる構造にするなど設計の新手法の導入が必要だろう。
・ 独居と雑居の割合はどのくらいか。
(回答:今の施設は半々であるが,昔の施設は3:7ぐらいだった。)
・ アンケートの結果を見ても,近年の一般の生活パターンを見ても,独居を増やすべきで,一定のスタンダードが必要である。
・ 社会では集団生活をする習慣が減ってきている。独居を増やしていった方が良いのではないか。建設費の問題があるのであれば,水回りやトイレを共用する半開放の施設も考慮に値する。
・ フランスでは,死刑を廃止して30年の拘禁刑が創設されるなど刑期が長くなる傾向があるが,それに伴い規則が緩くなってきている。そうしないと,孤独感にさいなまれ,かえって施設の統制が取れなくなるからである。いきなりドイツやフランスのようにするわけにはいかないが,日本でも自由度を増していくことは避けられないだろう。
・ 居室の在り方も時代とともに変化する。基本的には独居の方向へ向かうが,ある範囲で集団処遇するということになるのではないか。
○ 勤務職員の超過負担の解消のための検討
・ 100人増えたのは今年が初めてで,これからも多くて100人ぐらいしか増員が期待できないのであれば,増員しなくても施設を運営できるシステムを作る必要がある。
・ 長期的に必要となる数字を,例えば,18年度には1000人程度の増員が必要というように,会議として打ち出す必要があるのではないか。
・ 現実性のない数字を出すのはかえって良くないのではないか。
・ 庶務などの外部委託を始めているようだが,これまであまり例のない会計業務の外部委託等も進め,刑務官をより処遇に専念させていったらどうか。
・ 例えば,17年には1000人の増員が必要,これができないのなら,外部委託により浮かせた職員を処遇に充てるというような提案をしてはどうか。
・ 「焼け太り」との印象を与えないため,具体的な数字は掲げない方が良いのではないか。
・ 改革のためには大幅な刑務官の増加が不可欠であり,有識者会議で提言として示す必要がある。
・ スケール,時期をある程度特定する必要がある。いろいろな場合を想定した試算を事務方にさせてはどうか。
・ 試算をするためには,外部委託の規模,職種等もある程度想定する必要があるのではないか。
○ 女子職員の増
・ ヨーロッパでは女子職員が増えて和やかになったというが,開放度との関係もあると思うので,一概にそのように考えるのはどうかと思う。
・ 男子刑務所の刑務官が男性でなければならない理由はないだろう。
・ 幹部に積極的に登用するなど,女性にとって魅力ある職場にする必要がある。

6 今後の日程等

・ 次回は,11月10日(月曜日)午後2時開催。
・ 次回は,本日に引き続き議論を行う予定。
(文責行刑改革会議事務局)
-速報のため,事後修正の可能性あり-

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